JP2015093557A - ブレーキ制御装置 - Google Patents

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小林 伸之
Nobuyuki Kobayashi
伸之 小林
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Abstract

【課題】多様な形状の車体に取り付け可能で、汎用性の高い車両用ブレーキシステムのブレーキ制御装置を提供することを課題とする。【解決手段】ブレーキペダルの踏み込み操作量に応じた液圧をブレーキ液に発生させるマスタシリンダ1と、ブレーキペダルの踏み込み操作量に応じた反力をブレーキペダルに付与するストロークシミュレータ2と、ブレーキ液が流れる液圧路9a,9bと、が形成される基体50に、この基体50が取り付けられる車体側取付面に面接触するフランジ部52が備わるブレーキ制御装置10とする。そして、フランジ部52は、基体50と別体に形成されて当該基体50に締結ボルト54で取り付けられ、基体50に形成されて締結ボルト54が締め込まれるボルト穴50aは、液圧路9a,9bを回避するように形成されていることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、車両用のブレーキ制御装置に関する。
特許文献1に記載される車両用制動力発生装置(車両用ブレーキシステム)には、運転者のブレーキ操作が入力される入力装置(ブレーキ制御装置)が備わっている。この入力装置には、運転者のブレーキ操作で液圧を発生するマスタシリンダと、運転者のブレーキ操作に反力を付与するストロークシミュレータと、が一体に形成されている。そして、この入力装置には、当該入力装置を車体に取り付けるためのスタッドボルトが設けられている。
特開2012−188025号公報
特許文献1に記載される入力装置に設けられているスタッドボルトは、筐体をなすハウジング(基体)に取り付けられている。したがって、入力装置が取り付けられる車体の形状が異なる場合には、車体の形状に合わせて、スタッドボルトの取り付け位置や形状を適宜変更する必要がある。しかしながら、入力装置にはマスタシリンダとストロークシミュレータが一体に形成されているため、ハウジングの内部にはブレーキ液(作動液)が流通する油路(液圧路)が複雑に形成されており、スタッドボルトの取り付け位置が制限される。このため、入力装置を取り付けられる車体の形状が限定されることになり、入力装置の汎用性が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、多様な形状の車体に取り付け可能で、汎用性の高い車両用のブレーキ制御装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため本発明は、ブレーキ操作子の操作量に応じた液圧をブレーキ液に発生させるマスタシリンダと、前記操作量に応じた反力を前記ブレーキ操作子に付与するストロークシミュレータと、前記ブレーキ液が流れる液圧路と、が形成される基体を有するとともに、車体の取付面に固定されるフランジ部を有するブレーキ制御装置とする。そして、前記フランジ部は、前記基体と別体に形成されているとともに、当該基体に締結ボルトで取り付けられ、前記基体に形成されて前記締結ボルトが締め込まれるボルト穴が、前記液圧路を回避するように形成されていることを特徴とする。
本発明のブレーキ制御装置では、車体の取付面に固定されるフランジ部が基体と別体に構成されている。フランジ部は締結ボルトによって基体に取り付けられる。また、基体には、締結ボルトが締め込まれるボルト穴が形成されているが、このボルト穴は、基体に形成される液圧路を回避するように形成される。このため、基体のフランジ部が交換可能であり、車体側取付面の形状に合わせた形状のフランジ部を基体に備えることができる。したがって、基体が取り付けらる車体側取付面の形状の制限が緩和されて基体を多様な形状の車両に取り付けることができるようになり、ブレーキ制御装置の汎用性が高まる。
また、本発明は、前記マスタシリンダまたは前記ストロークシミュレータの少なくとも1つが、前記基体の外面に開口部を有する有底のシリンダ穴に形成され、前記基体に取り付けられた前記フランジ部が、前記開口部の少なくとも1つを閉塞していることを特徴とする。
本発明によると、基体に開口するシリンダ穴をフランジ部で閉塞することができる。したがって、シリンダ穴の開口部を閉塞するための別部材が不要になるため、ブレーキ制御装置を構成する部品の数を削減可能であり、ブレーキ制御装置のコストダウンを図ることができる。
また、本発明は、前記基体が鋳物であることを特徴とする。
本発明によると、基体を鋳物とすることで大量生産による生産コストの削減が可能である。なお、別体のフランジ部を鋳物以外で形成すると、フランジ部を金型成形するときの湯量を削減することが可能になり、コストダウンすることが可能になる。
また、本発明は、前記フランジ部がプレス加工品であることを特徴とする。
本発明によると、フランジ部を軽量化することができ、ひいては、ブレーキ制御装置を軽量化できる。また、様々な形状のフランジ部を容易に成形することができ、このフランジ部が取り付けられる基体を、多様な形状の車体に取り付けることが可能になる。
また、本発明は、前記車体の取付面の係合部に係合する係合部材が、前記フランジ部に取り付けられていることを特徴とする。
本発明によると、フランジ部を取り替えることによって、車体の取付面の係合部に係合する係合部材が変更される。したがって、車体の取付面の係合部の形状に適合する形状の係合部材が取り付けられたフランジ部を基体に取り付けることが可能になり、多様な形状の車体に取り付け可能なブレーキ制御装置とすることができる。
本発明によると、多様な形状の車体に取り付け可能で、汎用性の高い車両用のブレーキ制御装置を提供できる。
本発明の実施形態に係る車両用ブレーキシステムに関する概略構成図である。 ブレーキ制御装置の斜視図である。 ブレーキ制御装置の内部構造を示す図である。 (a)は、基体と別体に形成されるフランジ部の斜視図、(b)は、(a)のSec1−Sec1における断面図である。 第一シリンダ穴の開口部がフランジ部で閉塞された状態を示す図である。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る車両用ブレーキシステムAに関する概略構成図である。
図1に示す車両用ブレーキシステムAは、原動機(エンジンやモータ等)の起動時に作動するバイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムと、非常時や原動機の停止時などに作動する油圧式のブレーキシステムがともに機能するように構成されている。車両用ブレーキシステムAは、別ユニットとして構成されるブレーキ制御装置10と、モータシリンダ装置20と、ビークルスタビリティアシスト装置30(以下「液圧制御装置30」という。)と、を含んで構成されている。そして、ブレーキ制御装置10と、モータシリンダ装置20と、液圧制御装置30は、外部配管を介して連通している。
ブレーキ制御装置10は、タンデム式のマスタシリンダ1と、ストロークシミュレータ2と、リザーバ3と、常開型遮断弁(電磁弁)4,5と、常閉型遮断弁(電磁弁)6と、圧力センサ7,8と、を備えている。また、ブレーキ制御装置10には、作動液(ブレーキ液)が流れる液圧路となるメイン液圧路9a,9bと、連絡液圧路9c,9dと、分岐液圧路9eと、が形成されている。
マスタシリンダ1は、基体50のシリンダ穴(第一シリンダ穴11a)に設けられている。第一シリンダ穴11aの内部には、2つのマスタピストン(第一マスタピストン1a,第二マスタピストン1b)が直列に配置されている。
2つのピストンのうち、第二マスタピストン1bは、ブレーキ操作子(ブレーキペダルP)が接続されるプッシュロッドRに連結され、第一マスタピストン1aは、第二リターンスプリング1dを介して第二マスタピストン1bと連結される。さらに、第一シリンダ穴11aの底部と第一マスタピストン1aの間に第一リターンスプリング1cが配設される。
また、第一シリンダ穴11aには、底部と第一マスタピストン1aの間に第一圧力室1eが形成され、第一マスタピストン1aと第二マスタピストン1bの間に第二圧力室1fが形成される。
第二マスタピストン1bには、ブレーキペダルPの踏力がプッシュロッドRを介して入力される。そして、ブレーキペダルPに対して踏み込み操作がなされると、第二マスタピストン1bが変位する。さらに、第二マスタピストン1bに入力された踏力は第一マスタピストン1aに入力され、第一マスタピストン1aも変位する。
そして、第一マスタピストン1aおよび第二マスタピストン1bの変位によって第一圧力室1eおよび第二圧力室1fでブレーキ液が加圧されて、ブレーキ液に液圧(ブレーキ液圧)が発生する。
第一圧力室1eで発生したブレーキ液圧はメイン液圧路9aから出力され、第二圧力室1fで発生したブレーキ液圧はメイン液圧路9bから出力される。
このように、ブレーキ制御装置10は、マスタピストン(第一マスタピストン1a,第二マスタピストン1b)の変位によって、ブレーキペダルPの踏み込み操作量に応じたブレーキ液圧を発生する装置である。
ストロークシミュレータ2は、踏み込み操作されたブレーキペダルPに擬似的な操作反力を発生させる装置である。ストロークシミュレータ2は、シリンダ穴(第二シリンダ穴11b)内を摺動するピストン2aと、ピストン2aを付勢する2つのリターンスプリング(第一シミュレータスプリング2b,第二シミュレータスプリング2c)を備えている。
第一シミュレータスプリング2bは、第二シミュレータスプリング2cよりもバネ定数、軸径(コイルスプリングの直径)、および線径(構成する線材の直径)が大きい。ストロークシミュレータ2には、ピストン2a、第二シミュレータスプリング2c、第一シミュレータスプリング2bの順に直列に配設されている。
また、ストロークシミュレータ2の第二シリンダ穴11bは、メイン液圧路9aおよび分岐液圧路9eを介して第一圧力室1eに通じており、第一圧力室1eで発生したブレーキ液圧で作動する。
リザーバ3は、ブレーキ液を貯溜する容器であり、マスタシリンダ1に接続される給油口3a,3bと、メインリザーバ(図示せず)から延びるホースが接続される管接続口3cと、を備えている。
常開型遮断弁4,5は、メイン液圧路9a,9bを開閉するものであり、いずれもノーマルオープンタイプの電磁弁からなる。一方の常開型遮断弁4は、メイン液圧路9aと分岐液圧路9eとの分岐点からメイン液圧路9aと連絡液圧路9cとの分岐点に至る区間においてメイン液圧路9aを開閉する。他方の常開型遮断弁5は、メイン液圧路9bと連絡液圧路9dとの分岐点よりも上流側においてメイン液圧路9bを開閉する。
常閉型遮断弁6は、分岐液圧路9eを開閉するものであり、ノーマルクローズタイプの電磁弁からなる。
圧力センサ7,8は、マスタシリンダ1で発生するブレーキ液圧を検出するセンサであり、メイン液圧路9a,9bに通じるセンサ装着穴(図示せず)に装着されている。一方の圧力センサ7は、常開型遮断弁4よりも下流側に配置されており、常開型遮断弁4が閉じられた状態(=メイン液圧路9aが遮断された状態)にあるときには、モータシリンダ装置20でブレーキ液に発生するブレーキ液圧を検出可能に構成されている。他方の圧力センサ8は、常開型遮断弁5よりも上流側に配置されており、常開型遮断弁5が閉じられた状態(=メイン液圧路9bが遮断された状態)にあるときに、マスタシリンダ1で発生したブレーキ液圧を検出する。圧力センサ7,8で検出された液圧は信号に変換されて、図示しない電子制御ユニット(ECU)に入力される。
メイン液圧路9a,9bは、マスタシリンダ1を起点とする液圧路であり、一方のメイン液圧路9aは第一圧力室1eに接続され、他方のメイン液圧路9bは第二圧力室1fに接続される。また、メイン液圧路9a,9bは、出力ポート15a,15bに接続され、出力ポート15a,15bには、液圧制御装置30に至る管材Ha,Hbが接続されている。
連絡液圧路9c,9dは、メイン液圧路9a,9bから分岐する液圧路であり、それぞれ入力ポート15c,15dに接続される。そして、入力ポート15c,15dには、モータシリンダ装置20に至る管材Hc,Hdが接続されている。
分岐液圧路9eは、一方のメイン液圧路9aから分岐し、ストロークシミュレータ2に至る液圧路である。
なお、ストロークシミュレータ2の第二シリンダ穴11bのブレーキ液は、リターン液圧路9fを流れ、第一シリンダ穴11aの第一圧力室1eを介してリザーバ3に戻る。
ブレーキ制御装置10は、管材Ha,Hbを介して液圧制御装置30に連通している。そして、常開型遮断弁4,5が開弁状態のときにマスタシリンダ1で発生したブレーキ液圧は、メイン液圧路9a,9bおよび管材Ha,Hbを介して液圧制御装置30に入力される。
モータシリンダ装置20は、図示は省略するが、シリンダ内を摺動するスレーブピストンと、電動モータおよび駆動力伝達部を有するアクチュエータ機構と、シリンダ内にブレーキ液を貯溜するリザーバとを備えている。
電動モータは、電子制御ユニット(図示せず)から入力される制御信号に基づいて作動する。駆動力伝達部は、電動モータの回転動力を進退運動に変換したうえでスレーブピストンに伝達する。スレーブピストンは、電動モータの駆動力を受けてシリンダ内を摺動し、シリンダ内のブレーキ液を加圧してブレーキ液圧を発生する。
モータシリンダ装置20で発生したブレーキ液圧は、管材Hc,Hdを介してブレーキ制御装置10に入力され、連絡液圧路9c,9dおよび管材Ha,Hbを介して液圧制御装置30に入力される。リザーバには、メインリザーバ(図示せず)から延びるホースが接続される。
このように、モータシリンダ装置20は、電動モータ(図示せず)の駆動によって、ブレーキペダルPの踏み込み操作量に応じたブレーキ液圧を発生する装置である。
液圧制御装置30は、車輪のスリップを抑制するアンチロックブレーキ制御(ABS制御)、車両の挙動を安定化させる横滑り制御やトラクション制御などを実行し得るような構成を具備しており、管材を介してホイールシリンダW,W,…に接続されている。なお、図示は省略するが、液圧制御装置30は、電磁弁やポンプ等が設けられた液圧ユニット、ポンプを駆動するためのモータ、電磁弁やモータ等を制御するための電子制御ユニットなどを備えている。
次に車両用ブレーキシステムAの動作について概略説明する。
車両用ブレーキシステムAが正常に機能する正常時には、常開型遮断弁4,5が弁閉状態となり、常閉型遮断弁6が弁開状態となる。この状態で運転者がブレーキペダルPを踏み込み操作すると、マスタシリンダ1で発生したブレーキ液圧は、ホイールシリンダWに伝達されずにストロークシミュレータ2に伝達され、ピストン2aが変位することにより、ブレーキペダルPのストロークが許容されるとともに、擬似的な操作反力がブレーキペダルPに付与される。
また、図示しないストロークセンサ等によってブレーキペダルPの踏み込みが検知されると、モータシリンダ装置20の電動モータが駆動され、スレーブピストンが変位することによりシリンダ内のブレーキ液が加圧される。
電子制御ユニット(図示せず)は、ブレーキペダルPの踏み込み操作量に応じた適切なブレーキ液圧(目標液圧)を算出するとともに、モータシリンダ装置30から出力されるブレーキ液圧(圧力センサ7で検出されるブレーキ液圧)が、算出した目標液圧となるようにモータシリンダ装置20(電動モータ)を制御する。
モータシリンダ装置20で発生したブレーキ液圧は、液圧制御装置30を介してホイールシリンダW,W,…に伝達され、各ホイールシリンダWが作動することにより各車輪に制動力が付与される。
なお、モータシリンダ装置20が作動しない状況(例えば、電力が得られない場合や非常時など)においては、常開型遮断弁4,5がいずれも弁開状態となり、常閉型遮断弁6が弁閉状態となるので、マスタシリンダ1で発生したブレーキ液圧は、ホイールシリンダW,W,…に伝達されるようになる。
図2は、ブレーキ制御装置10の斜視図、図3は、ブレーキ制御装置10の内部構造を示す図である。
図2に示すように、ブレーキ制御装置10は、例えば、アルミニウム合金やマグネシウム合金の鋳物である基体50を有している。また、基体50の外側(例えば、上方)には、リザーバ3が取り付けられている。
基体50の一面からは、プッシュロッドRが突出している。さらに、基体50の外部においてプッシュロッドRの周囲には、基体50の内部への異物進入を防止するブーツ51が配設されている。
また、基体50には、プッシュロッドRの周囲が平面状に広がるようにフランジ部52が形成されている。フランジ部52は、ブレーキ制御装置10が車体(図示せず)の取付面(車体側取付面100)に取り付けられるときに、その車体側取付面100に面接触して固定される部分である。プッシュロッドRは、車両の車室側101に向けて延伸している。この構成によって、プッシュロッドRの先端に車室側101からブレーキペダルP(図1参照)が取り付け可能となる。
また、フランジ部52には、ブレーキ制御装置10を車体側取付面100に取り付けるための係合部材(スタッドボルト53)が備わっている。スタッドボルト53は、雄ネジが加工されているスタッドであり、例えば車体側取付面100に形成される係合部(係合孔100a)を車室側101に向かって貫通する(すなわち、係合孔100aに係合する)。車体側取付面100を貫通したスタッドボルト53に、車室側101からナット102をねじ込むと、ブレーキ制御装置10が車体側取付面100に締結固定される。
また、図3に示すように、基体50の内部には、マスタシリンダ1とストロークシミュレータ2が形成されている。
マスタシリンダ1は、第一マスタピストン1a、第二マスタピストン1b、第一リターンスプリング1c、および第二リターンスプリング1dを備えている。第一マスタピストン1a、第二マスタピストン1b、第一リターンスプリング1c、および第二リターンスプリング1dは、基体50に空間部として形成される第一シリンダ穴11aに収容される。
第一シリンダ穴11aは、基体50の外面に開口部11a1を有する有底の空間部である。そして、第二マスタピストン1bは開口部11a1の側に配設され、第一マスタピストン1aは底部の側に配設される。また、第二マスタピストン1bがプッシュロッドRと接続するように構成される。さらに、第一シリンダ穴11aの開口部11a1にはCクリップ55が装着される。Cクリップ55は、開口部11a1に形成される凹溝(図示せず)に嵌るように装着される。Cクリップ55によって、第二マスタピストン1b等の収容物が第一シリンダ穴11aに収容される。
プッシュロッドRは、ロッド本体R2とヨークR1からなる。ロッド本体R2は、第二マスタピストン1bに連結される棒状の部材である。ヨークR1は、ブレーキペダルP(図1参照)が接続される部位である。ヨークR1は、ロッド本体R2の先端にねじ込まれて取り付けられる。このため、ロッド本体R2の先端にネジ溝SC1が加工されている。
また、基体50には、第一シリンダ穴11aの開口部11a1の周囲を凸状に囲む周壁部51aが形成されている。周壁部51aには、これを周回するように凹溝51bが形成されている。凹溝51bには、ブーツ51の端部が係合する。
ストロークシミュレータ2は、ピストン2aと、第一シミュレータスプリング2bと、第二シミュレータスプリング2cと、を備えている。ピストン2a、第一シミュレータスプリング2b、第二シミュレータスプリング2cは、基体50に空間部として形成される第二シリンダ穴11bに収容される。第二シリンダ穴11bは、基体50の外面に開口部11b1を有する有底の空間部である。そして、第一シミュレータスプリング2bおよび第二シミュレータスプリング2cは開口部11b1の側に配設される。また、ピストン2aは底部の側に配設される。第二シリンダ穴11bは、開口部11b1の側が底部の側よりも拡径した形状で、ピストン2aよりも大きな直径の第一シミュレータスプリング2b,第二シミュレータスプリング2cが収容可能に構成されている。
そして、本実施形態のブレーキ制御装置10は、フランジ部52が基体50と別体に構成されている。フランジ部52は、例えばステンレス鋼板などの板金がプレス加工されたプレス加工品であり、締結ボルト54によって基体50に締結固定される。そして、スタッドボルト53は、フランジ部52に取り付けられている。
締結ボルト54は、基体50に形成されるボルト穴50aにねじ込まれて、フランジ部52を基体50に締結固定する。ボルト穴50aは、メイン液圧路9a,9b、連絡液圧路9c,9d、分岐液圧路9eを回避するように形成されている。この構成によって、これらの液圧路を流れるブレーキ液がボルト穴50aから漏出することが防止される。
フランジ部52には貫通孔521が開口している。フランジ部52は、貫通孔521に周壁部51aが挿通する状態で基体50に取り付けられる。貫通孔521の径(開口径)は、ロッド本体R2の外径(最大の外径)よりも大きい。これによって、第二マスタピストン1bに連結した状態のロッド本体R2が貫通孔521を挿通可能になる。したがって、ロッド本体R2を第二マスタピストン1bに連結した後でのフランジ部52の取り付け(基体50への取り付け)が可能になる。
さらに、フランジ部52が基体50に取り付けられた後で、ブーツ51の周壁部51aへの装着と、ヨークR1のロッド本体R2への取り付け(ねじ込み)と、が可能になる。
なお、フランジ部52はプレス加工品に限定されるものではなく、アルミニウム合金やマグネシウム合金を素材とする鋳物であってもよい。
また、第一シリンダ穴11aの開口部11a1、および、第二シリンダ穴11bの開口部11b1は、フランジ部52が取り付けられる面に設けられている。そして、本実施形態では、第二シリンダ穴11bの開口部11b1が、フランジ部52に形成される閉塞部52b(係止部522,突起部523)で閉塞されるように構成されている。
ストロークシミュレータ2は、フランジ部52で閉塞される第二シリンダ穴11bに形成される。
ストロークシミュレータ2を構成する第一シミュレータスプリング2bは、第二シリンダ穴11bの開口部11b1の側に配設されており、フランジ部52の係止部522で一端が係止される。そして、フランジ部52の突起部523が第一シミュレータスプリング2bの内側に入り込むように構成される。
係止部522で係止されない第一シミュレータスプリング2bの他端には、第二座金2eが接続される。第二座金2eは、一端が開口した有底の筒状部材であり、開口している側が外方に広がってフランジ部2e1が形成されている。そして、第二座金2eは第一シミュレータスプリング2bの内側に入り込み、フランジ部2e1が第一シミュレータスプリング2bに係合する。
また、第二シミュレータスプリング2cは、第二座金2eの内側に収容される。第二シミュレータスプリング2cの一端には、第一座金2dが接続される。第一座金2dは、一端が開口した有底の筒状部材であり、開口している側は外方に広がってフランジ部2d1が形成されている。そして、第一座金2dは第二シミュレータスプリング2cの内側に入り込み、フランジ部2d1が第二シミュレータスプリング2cに係合する。そして、ピストン2aの端部に形成される凸部が第一座金2dの内側に入り込んでピストン2aと第一座金2dが接続される。
なお、第一座金2dと第二座金2eは、ロッド2fで接続される。ロッド2fは、第二座金2eに係止されるとともに第一座金2dを摺動させるように備わり、第二座金2eに対する第一座金2dの動作がロッド2fによって規制される。例えば、第一座金2dが第二座金2eから抜け出ることがロッド2fによって防止される。なお、ロッド2fには、ゴム等の弾性部材からなるブッシュ2gが取り付けられており、第一座金2dのフランジ部2d1が第二座金2eのフランジ部2e1に当接するときの衝撃がブッシュ2gによって緩衝される。
また、第二シリンダ穴11bには、液導ポート120が形成されている。液導ポート120には、常閉型遮断弁6が備わる分岐液圧路9eが接続され、常閉型遮断弁6が開弁した状態のとき、マスタシリンダ1で発生したブレーキ液圧が液導ポート120を介して第二シリンダ穴11bに入力される。
また、第二シリンダ穴11bには、ピストン2aが摺動する部分に、内周に沿って環状溝110が刻設され、この環状溝110にリング状のカップシール110aが嵌装されている。カップシール110aはピストン2aに摺接し、第二シリンダ穴11bの液導ポート120側と、開口部11b1側と、の間を液密に封じている。
このように、ピストン2a、第一座金2d、第二シミュレータスプリング2c、第二座金2e、および第一シミュレータスプリング2bが直列に配設されて第二シリンダ穴11bに収容されて、ストロークシミュレータ2が形成されている。
そして、マスタシリンダ1の第一圧力室1eで発生したブレーキ液圧が第二シリンダ穴11bに入力されるとピストン2aが変位し、ブレーキ液圧の大きさに応じて第二シミュレータスプリング2c、第一シミュレータスプリング2bの順に圧縮されてピストン2aに反力を発生する。このようにピストン2aに発生した反力が、分岐液圧路9e、メイン液圧路9aを介してマスタシリンダ1に入力されて、ブレーキペダルP(図1参照)に付与される操作反力になる。
図4の(a)は、基体50と別体に形成されるフランジ部52の斜視図、(b)は、(a)のSec1−Sec1における断面図である。
図4の(a),(b)に示すように、フランジ部52は、車体側取付面100(図2参照)と面接触する固定面52aと、ストロークシミュレータ2の第二シリンダ穴11b(図3参照)を閉塞する閉塞部52bと、を有する。また、フランジ部52には、スタッドボルト53が取り付けられている。
固定面52aは、車体側取付面100(図2参照)の平面形状と同じ平面形状である。
また、固定面52aには、スタッドボルト53が立設している。スタッドボルト53は、カシメ、溶接、ネジ部材による締結固定などの固定方法によって固定面52aに取り付けられている。なお、スタッドボルト53の配置や本数は、車体側取付面100(図2参照)に形成されている取り付け穴の配置や個数等に応じて適宜決定される。
また、固定面52aの中央部分は段差を有して落ち込んでいる。すなわち、固定面52aの中央部分には、固定面52aよりも基体50側にオフセットした底面52cが形成されている。底面52cは、ブレーキ制御装置10の基体50(図2参照)と面接触する平面である。底面52cには固定孔520が開口している。固定孔520には、フランジ部52を基体50に締結固定する締結ボルト54が挿通する。また、底面52cには、基体50の周壁部51a(図3参照)が貫通する貫通孔521が開口している。
なお、図4の(a)には、2本の締結ボルト54が貫通孔521を挟んで対称の位置に挿通される構成が図示されている。しかしながら、締結ボルト54の本数は2本に限定されない。また、締結ボルト54の配置は、図4の(a)に図示するような対称の位置に限定されない。
底面52cが固定面52aから落ち込む深さ「D1」は、締結ボルト54のボルトヘッド54aの厚み「T1」よりも深い(D1>T1)。
このように底面52cが形成されると、フランジ部52が締結ボルト54で基体50(図2参照)に固定されたときにボルトヘッド54aが固定面52aから突出しない。したがって、ブレーキ制御装置10(図1参照)が車体側取付面100(図2参照)に取り付けられるとき、固定面52aが車体側取付面100に好適に面接触する。
フランジ部52の閉塞部52bは、第二シリンダ穴11bの開口部11b1(図3参照)を覆うように形成される。
閉塞部52bには、開口部11b1から第二シリンダ穴11bに入り込む係止部522が形成されている。係止部522は、第二シリンダ穴11bの開口部11b1を閉塞するとともに第二シリンダ穴11bに収容されているリターンスプリング(第一シミュレータスプリング2b)を係止するものであり、底面52cから落ち込むように(つまり、第二シリンダ穴11bの側に突出するように)形成されている。
そして、図3に示すように、第一シミュレータスプリング2bは、その一端が、第二シリンダ穴11bに入り込んだ係止部522に係止されて、第二シリンダ穴11bの開口部11b1の方向への伸長が規制される。
また、係止部522には、第一シミュレータスプリング2bの内側に入り込む突起部523が、係止部522からさらに落ち込むように形成されている。突起部523は、図3に示すように、第一シミュレータスプリング2bの内側に入り込み、第一シミュレータスプリング2bの不規則な移動を規制する。
なお、図3に示すように、係止部522と基体50との間がシール部材60で液密に封じられる構成とすれば、第二シリンダ穴11bに充填されるブレーキ液の漏洩が効果的に防止される。
以上のように、図2に示す本実施形態のブレーキ制御装置10は、車体側取付面100に面接触するフランジ部52が基体50と別体に構成されている。そして、ブレーキ制御装置10を車体側取付面100に固定するスタッドボルト53がフランジ部52に取り付けられている。
したがって、フランジ部52の形状は基体50の形状に規制されることなく設定可能であり、フランジ部52の形状を車体側取付面100の形状に合わせ込むことが可能になる。
このことによって、フランジ部52が車体側取付面100と好適に面接触することになり、車体側取付面100に取り付けられたブレーキ制御装置10のガタツキが抑制されるなどの効果を奏する。
また、フランジ部52の取替えによって、車体側取付面100の形状に合わせた形状のフランジ部52がブレーキ制御装置10に取り付けられる。したがって、当該ブレーキ制御装置10を取り付ける車体(図示せず)の選択範囲が広がり、ブレーキ制御装置10の汎用性が高まる。
また、スタッドボルト53は、基体50と別体のフランジ部52に取り付けられるため、スタッドボルト53の位置が、基体50に形成される液圧路等によって制限されることがない。したがって、スタッドボルト53の配置は、車体側取付面100の形状に合わせて自在に設定可能であり、本実施形態のブレーキ制御装置10を取り付ける車体(図示せず)の選択範囲が広がるため、ブレーキ制御装置10の汎用性が高まる。
また、図4の(a),(b)に示すように、フランジ部52は、固定面52aから底面52cが落ち込むように構成されている。このように、底面52cが固定面52aから落ち込む部分によって、フランジ部52の曲げ剛性が高まり、フランジ部52は変形しにくい形状になる。
本実施形態のブレーキ制御装置10は、フランジ部52に取り付けられたスタッドボルト53を介して車体側取付面100(図2参照)に取り付けられる構成であり、フランジ部52が変形しにくければ、ブレーキ制御装置10は、車体側取付面100に強固に取り付けられる。
したがって、変形しにくいフランジ部52を有する本実施形態のブレーキ制御装置10は、車体側取付面100に強固に取り付けられる。
また、図3に示すように、フランジ部52の係止部522が第二シリンダ穴11bの開口部11b1に入り込む。したがって、フランジ部52の回転が好適に抑制される。
《変形例》
図3に示す形態では、第一シリンダ穴11aの開口部11a1にCクリップ55が装着される構成としたが、第一シリンダ穴11aの開口部11a1がフランジ部52で閉塞される構成としてもよい。
図5は、第一シリンダ穴11aの開口部11a1がフランジ部52で閉塞された状態を示す図である。
例えば、図5に示すフランジ部52では、周壁部51aを覆うカバー部52dが、底面52cから周壁部51aの形状に対応するように突設されている。また、カバー部52dの外周には、周方向に沿った凹溝52d2が形成されている。そして、この凹溝52d2にブーツ51の端部が係合して、ブーツ51が取り付けられる。
カバー部52dは、有底の円筒状に底面52cから突設し、内側に周壁部51aを収容する。また、周壁部51aの端部がカバー部52dの先端部52d1に突き当たり、先端部52d1にはプッシュロッドR(ロッド本体R2)が貫通する貫通孔52eが開口している。
そして、カバー部52dの先端部52d1が第一シリンダ穴11aの開口部11a1を閉塞し、プッシュロッドR(ロッド本体R2)が、先端部52d1の貫通孔52eを介して第二マスタピストン1bと接続される。
貫通孔52eの径(開口径)は、ロッド本体R2の外径(最大の外径)よりも大きい。これによって、第二マスタピストン1bに連結した状態のロッド本体R2が貫通孔52eを挿通可能になる。したがって、ロッド本体R2を第二マスタピストン1bに連結した後でのフランジ部52の取り付け(基体50への取り付け)が可能になる。
このように、フランジ部52が第一シリンダ穴11aの開口部11a1を閉塞する構成とすれば、図3に示すCクリップ55が不要になり、ブレーキ制御装置10の部品点数を削減できる。また、ブレーキ制御装置10の生産工程において、Cクリップ55を第一シリンダ穴11aの開口部11a1に取り付ける工程が不要になるため、ブレーキ制御装置10の生産効率が向上する。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、図2に示すように、本実施形態のブレーキ制御装置10は、スタッドボルト53がフランジ部52に取り付けられる構成とした。これは、車体側取付面100にスタッドボルト53が挿通する係合孔100aが開口している場合に対応したものであり、この構成に限定されるものではない。
図示はしないが、車体側取付面100にスタッドボルトが取り付けられている場合、フランジ部52には、このスタッドボルトが挿通する取付孔が形成される構成であってもよい。このような構成でも、基体50に形成される液圧路の位置に制限されることなく、フランジ部52には自在に取付孔が形成可能である。
したがって、フランジ部52の取付孔は、車体側取付面100に取り付けられているスタッドボルトの配置に合わせて自在に配置可能であり、ブレーキ制御装置10を取り付ける車体(図示せず)の選択範囲が広がるため、ブレーキ制御装置10の汎用性が高まる。
また、図2に示すスタッドボルト53の代わりに、他の形状の係合部材がフランジ部52に取り付けられている構成であってもよい。例えば、図2に示す係合孔100aに掛かるように係合するフック状の係合部材(図示せず)がフランジ部52に取り付けられている構成であってもよい。
1 マスタシリンダ
2 ストロークシミュレータ
9a,9b メイン液圧路(液圧路)
9c,9d 連絡液圧路(液圧路)
9e 分岐液圧路(液圧路)
10 ブレーキ制御装置
11a 第一シリンダ穴(シリンダ穴)
11b 第二シリンダ穴(シリンダ穴)
11a1,11b1 開口部
50 基体
50a ボルト穴
52 フランジ部
53 スタッドボルト(係合部材)
54 締結ボルト
100 車体側取付面(車体の取付面)
100a 係合孔(係合部)
P ブレーキペダル(ブレーキ操作子)

Claims (5)

  1. ブレーキ操作子の操作量に応じた液圧をブレーキ液に発生させるマスタシリンダと、前記操作量に応じた反力を前記ブレーキ操作子に付与するストロークシミュレータと、前記ブレーキ液が流れる液圧路と、が形成される基体を有するとともに、車体の取付面に固定されるフランジ部を有するブレーキ制御装置であって、
    前記フランジ部は、前記基体と別体に形成されているとともに、当該基体に締結ボルトで取り付けられ、
    前記基体に形成されて前記締結ボルトが締め込まれるボルト穴が、前記液圧路を回避するように形成されていることを特徴とするブレーキ制御装置。
  2. 前記マスタシリンダまたは前記ストロークシミュレータの少なくとも1つが、前記基体の外面に開口部を有する有底のシリンダ穴に形成され、
    前記基体に取り付けられた前記フランジ部が、前記開口部の少なくとも1つを閉塞していることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
  3. 前記基体が鋳物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブレーキ制御装置。
  4. 前記フランジ部がプレス加工品であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のブレーキ制御装置。
  5. 前記車体の取付面の係合部に係合する係合部材が、前記フランジ部に取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のブレーキ制御装置。
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JP2017114349A (ja) * 2015-12-24 2017-06-29 オートリブ日信ブレーキシステムジャパン株式会社 液圧発生装置
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