JP2015089968A - 遮熱構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】1,600℃程度までの高い温度に対する耐性を有する遮熱構造の提供。
【解決手段】本発明の遮熱構造10は、MCrAlY(Mは、Ni、Co及びFeから選ばれた少なくとも1種の原子である)等からなる耐熱金属基材11と、該耐熱金属基材11の表面に形成された酸化アルミニウム層13と、該酸化アルミニウム層13の表面に形成されたYTaOドープジルコニアを含む第1層15とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、1,600℃程度までの高い温度に対する耐性を有する層構成を備える遮熱構造に関する。
発電用ガスタービンエンジン、航空機用ジェットエンジン等において、その燃焼ガスの温度は、例えば、1,600℃といった高い温度となることが知られている。そのため、動翼、静翼、燃焼器等の高温部品は、Ni、Co又はFeを主成分とする超合金等からなる金属基材の表面に、耐食性及び耐酸化性に優れたMCrAlY合金(但し、MはNi、Co及びFeの少なくとも1種)又は白金アルミナイドからなる金属結合層と、イットリア安定化ジルコニア等のセラミックスを主成分とする遮熱層(遮熱コーティング層)とを、順次、形成させた構造を有するものが一般的である。そして、遮熱層により金属基材の温度上昇が抑制され、金属結合層により、金属基材と遮熱層との間に発生する熱応力が低減され、更に金属基材の腐食又は酸化が抑制される。尚、上記金属基材及び金属結合層を併せて、耐熱金属基材ということがある。
イットリア安定化ジルコニアは、例えば、ガスタービンの始動から停止までの温度上昇又は降温の際における応力及び疲労への耐性に優れるものの、近年、このイットリア安定化ジルコニアより低い熱伝導率を与える材料の探索が行われてきた。
特許文献1には、Aで表されるパイロクロール構造を有する化合物(LaZr等)を含む皮膜を有する金属物体が開示されている。
特許文献2には、希土類安定化ジルコニア及び希土類安定化ジルコニア−ハフニアに、酸化ランタンを0.1〜10mol%添加したセラミックスからなる遮熱層を有する遮熱コーティング部材が開示されている。
特許文献3には、LnNb1−xTa(0≦x≦1、LnはSc、Y及びランタノイドからなる群より選択される1種又は2種以上の原子)で表される化合物を主として含む遮熱コーティング用材料が開示されている。
特許文献4には、Ln1−x1.5+x(0.13≦x≦0.24、LnはSc、Y及びランタノイドからなる群より選択される1種又は2種以上の原子、MはTa又はNb)で表される化合物を主として含む遮熱コーティング用材料が開示されている。
また、特許文献5には、Lnx+y−3xyTiTaZr(1−3x)(1−y)2+1.5xy−0.5y(0.05≦x≦0.25、0≦y≦0.15、Lnは、Y、Sm、Yb及びNdからなる群より選択される1種又は2種以上の原子)を主として含む遮熱コーティング用材料が開示されている。
特開平10−212108号公報 特開2004−270032号公報 特開2006−298695号公報 特開2009−221551号公報 特開2010−235415号公報
耐熱金属基材が、MCrAlY合金(但し、MはNi、Co及びFeの少なくとも1種)又は白金アルミナイドからなる場合には、遮熱層を配設した際に、耐熱金属基材の最表面に、酸化アルミニウム層(アルミナスケール)が形成されることが知られている。また、遮熱層の形成時(焼結等)における酸化物の変態(例えば、図5におけるYTa)や、遮熱層と耐熱金属基材との熱膨張差、更には、耐熱金属基材の酸化による体積膨張等により、遮熱層の破断、剥離等を引き起こすことも知られている。これらの事情から、遮熱層を有する高温部品(耐熱部品)に対して、更なる耐性の要求が高まっており、特に、酸化アルミニウム層及び遮熱層の間における高い安定性が求められている。
本発明の目的は、1,600℃程度までの高い温度においても、酸化アルミニウム層に隣接する層、更には、この酸化アルミニウム層の表面に更に新たな層を形成した場合に、互いに隣接する層を構成する材料どうしの反応が抑制されて熱的に安定な遮熱構造を提供することである。
本発明は、以下に示される。
1.耐熱金属基材と、該耐熱金属基材の表面に形成された酸化アルミニウム層と、該酸化アルミニウム層の表面に形成されたYTaOドープジルコニアを含む第1層とを備えることを特徴とする遮熱構造。
2.更に、上記第1層の表面に、下記一般式(11)で表される化合物(B)を含む第2層を備える上記1に記載の遮熱構造。
Ta1−4xZr2.75+5x (11)
(式中、xは、−0.021〜0.069である。)
3.更に、上記第2層の表面に、上記化合物(B)と、下記一般式(21)で表される化合物(C)とを、両者の合計を100体積%とした場合に、それぞれ、30〜70体積%及び30〜70体積%の割合で含む第3層を備える上記2に記載の遮熱構造。
1+yTa3−3yZr3y (21)
(式中、yは、0.05〜0.10である。)
4.上記耐熱金属基材が、MCrAlY(Mは、Ni、Co及びFeから選ばれた少なくとも1種の原子である)である上記1乃至3のいずれか一項に記載の遮熱構造。
本発明の遮熱構造は、イットリア安定化ジルコニアより低い熱伝導率を有し、相変態が発生しにくいYTaOドープジルコニアを含む第1層を備えるので、1,600℃程度までの高い温度において、層構成が安定であり、この構成は、航空機用ジェットエンジンにおける燃焼器、発電用ガスタービンにおける高温部品、その他、各種プラントにおける高温部品等への適用に好適である。
特に、一般式(11)で表される化合物(B)及び一般式(21)で表される化合物(C)は、いずれも、25℃〜1,200℃の範囲における昇温又は降温により相変態が発生しにくく、融点が1,700℃以上と高く、熱的に安定であるため、優れた耐熱性を有する層構成を備える遮熱構造を与える。
本発明の遮熱構造の一例を示す概略断面図である。 本発明の遮熱構造の他の例を示す概略断面図である。 本発明の遮熱構造の他の例を示す概略断面図である。 実験例で用いる複合酸化物等の熱伝導率を示すグラフである。 実験例で用いる複合酸化物等の線膨張率を示すグラフである。 試験例1により得られた熱処理物の作製前後のX線回折像である。 試験例2により得られた熱処理物の作製前後のX線回折像である。 試験例3により得られた熱処理物の作製前後のX線回折像である。 試験例4により得られた熱処理物の作製前後のX線回折像である。 試験例5により得られた熱処理物の作製前後のX線回折像である。 試験例6により得られた熱処理物の作製前後のX線回折像である。 試験例7により得られた熱処理物の作製前後のX線回折像である。 実験例1により得られた積層体の断面画像並びにAl及びTaの元素プロファイルである。 実験例2により得られた積層体の断面画像及びTaの元素プロファイルである。 実験例3により得られた積層体の断面画像及びTaの元素プロファイルである。
1.遮熱構造
本発明の遮熱構造は、耐熱金属基材の表面に複数の無機材料層が積層されてなるものであり、その断面は、図1に示される。即ち、図1の遮熱構造10は、耐熱金属基材11と、耐熱金属基材11の表面に形成された酸化アルミニウム層13と、酸化アルミニウム層13の表面に形成されたYTaOドープジルコニア(以下、「化合物(A)」ともいう)を含む第1層15とを備える。また、本発明の遮熱構造は、図2及び図3に示すように、第1層15の表面に、上記一般式(11)で表される化合物(B)を含む第2層17を備える態様、並びに、第2層17と、上記化合物(B)及び上記一般式(21)で表される化合物(C)を、両者の合計を100体積%とした場合に、それぞれ、30〜70体積%及び30〜70体積%の割合で含む第3層とを、順次、備える態様、とすることができる。
1−1.耐熱金属基材
耐熱金属基材は、単一物及び積層物のいずれでもよく、酸化アルミニウム層との接触面(積層物の場合は、最表層)において、融点が1,200℃以上の金属又は合金を含むことが好ましい。このような無機材料としては、例えば、Fe基合金、Ni基合金、Co基合金、アルミナイド型合金等を用いることができ、具体的には、MCrAlY合金(但し、MはNi、Co及びFeの少なくとも1種)、白金アルミナイド、ニッケル−白金−アルミナイド等が挙げられる。これらのうち、耐熱性の観点から、MCrAlY合金が好ましい。尚、上記耐熱金属基材が積層物である場合の基部を構成する材料は、好ましくは、Ni、Co、Fe、Nb、Ta、Mo、W、Pt、Ir、Cr、Al等から選ばれた少なくとも1種の金属又は少なくとも2種からなる合金である。
1−2.酸化アルミニウム層
酸化アルミニウム層を構成する酸化アルミニウムは、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、σ−アルミナ、χ−アルミナ、η−アルミナ、θ−アルミナ及びκ−アルミナのいずれでもよく、これらのうちの2種以上の組み合わせであってもよい。本発明においては、高温における安定性、酸素遮蔽性等の観点から、α−アルミナが好ましい。
上記酸化アルミニウム層は、酸化アルミニウムのみからなることが好ましいが、本発明の効果が得られる範囲において、NiAl、(Co,Ni)(Al,Cr)等からなる他の化合物を含んでもよい。その場合、他の化合物の含有割合の上限は、酸化アルミニウム層の構成材料を100体積%とした場合に、好ましくは5体積%、より好ましくは1体積%である。
上記酸化アルミニウム層の厚さは、特に限定されないが、熱サイクル耐性等の観点から、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは0.5〜5μm、更に好ましくは0.5〜2μmである。
1−3.第1層
第1層は、YTaOドープジルコニア(化合物(A))を含む層であり、化合物(A)の含有割合は、第1層の全体に対して、好ましくは70〜100体積%、より好ましくは90〜100体積%である。
化合物(A)は、YTaOをジルコニアに固溶させることにより立方晶(cubic)ジルコニアを安定化させた化合物である。また、この化合物(A)は、1,600℃程度までの高い温度において、接触する酸化アルミニウムとともに安定である。YTaOの含有割合は、この化合物(A)の全体に対して、好ましくは10〜30mol%、より好ましくは12〜25mol%である。尚、立方晶(cubic)ジルコニア単一相が良好に維持されることから、更に好ましくは14〜20mol%であり、より低熱伝導性が得られることから、特に好ましくは16〜20mol%である。
上記化合物(A)の融点は、通常、1,700℃以上であり、JIS R1611に準じて、レーザーフラッシュ法により測定される熱伝導度(測定温度:25℃〜1,000℃)が、好ましくは2.0W/(m・K)未満、より好ましくは1.8W/(m・K)未満である。
更に、上記化合物(A)を、熱機械分析に供し、空気、酸素ガス、アルゴンガス等の雰囲気中、昇温及び降温を一定速度として、室温(25℃)〜1,200℃の範囲において、加熱及び冷却を行い、圧縮荷重法により寸法変化を測定し、得られる線膨張率の挙動により確認することができる相変態は見られず、熱的に安定な化合物である。そして、この方法により得られる線膨張係数を、10.00×10−6(1/℃)未満とすることができる。
上記第1層に含まれる化合物(A)は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
上記第1層は、好ましくは化合物(A)のみからなる層であるが、他の化合物を含む場合、例えば、酸化アルミニウム等を用いることができる。
1−4.第2層
第2層は、下記一般式(11)で表される化合物(B)を含む層であり、この化合物(B)の含有割合は、第2層の全体に対して、好ましくは70〜100体積%、より好ましくは90〜100体積%である。
Ta1−4xZr2.75+5x (11)
(式中、xは、−0.021〜0.069である。)
上記化合物(B)は、1,600℃程度までの高い温度において、上記化合物(A)とともに安定であり、第1層及び第2層を、順次、備える積層構造において、破断、剥離等が抑制され、優れた耐熱性を得ることができる。
上記化合物(B)の結晶構造は、明らかではないが、ABO型構造からの欠損型であるといわれている。
上記一般式(11)において、xは、−0.021〜0.069であり、好ましくは−0.010〜0.020、より好ましくは−0.01〜0.010、特に好ましくは0である。
xが上記範囲にあることにより、上記複合化合物は、25℃〜1,200℃の範囲における昇温又は降温により相変態が発生しにくく、相変態に伴う体積変化が抑制される。これにより、上記化合物(B)を含む第2層において、特に、上記範囲の温度において、体積変化に伴う変形、破断等の不具合を抑制することができる。
上記化合物(B)の融点は、通常、1,700℃以上であり、JIS R1611に準じて、レーザーフラッシュ法により測定される熱伝導度(測定温度:25℃〜1,000℃)が、好ましくは2.0W/(m・K)未満、より好ましくは1.8W/(m・K)未満である。
更に、上記化合物(B)を、熱機械分析に供すると、上記方法により確認することができる相変態は見られず、熱的に安定な化合物である。そして、この方法により得られる線膨張係数を、9.50×10−6(1/℃)未満とすることができる。
上記第2層に含まれる化合物(B)は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
上記第2層は、好ましくは化合物(B)のみからなる層であるが、他の化合物を含む場合、例えば、酸化アルミニウム等を用いることができる。
1−5.第3層
第3層は、上記化合物(B)と、下記一般式(21)で表される化合物(C)とを所定の割合で含む層である。この第3層は、これらの化合物からなることが好ましいが、必要に応じて、他の化合物(後述)を含んでもよい。その場合、他の化合物の含有割合の上限は、第3層の全体に対して、好ましくは30体積%、より好ましくは10体積%である。
1+yTa3−3yZr3y (21)
(式中、yは、0.05〜0.10である。)
上記化合物(C)は、1,600℃程度までの高い温度において、併存する化合物(B)とともに安定であり、第1層、第2層及び第3層を、順次、備える積層構造において、破断、剥離等が抑制され、優れた耐熱性を得ることができる。
上記化合物(C)は、カチオン欠損型の欠陥ペロブスカイト型複合酸化物である。この化合物の構造は、Aで表されるペロブスカイト構造から、2/3のAイオンが欠損した構造となっている。
上記化合物(C)は、Aサイト及び×印にY原子が、BサイトにTa原子及びZr原子が入った構造を有する。
上記一般式(21)において、yは、0.05〜0.10であり、好ましくは0.06〜0.09、より好ましくは0.07〜0.08、特に好ましくは0.08である。
yが上記範囲にあることにより、上記複合化合物は、25℃〜1,200℃の範囲における昇温又は降温により相変態が発生しにくく、相変態に伴う体積変化が抑制される。これにより、上記化合物(B)及び(C)を含む第3層において、特に、上記範囲の温度において、体積変化に伴う変形、破断等の不具合を抑制することができる。
上記化合物(C)の融点は、通常、1,700℃以上であり、JIS R1611に準じて、レーザーフラッシュ法により測定される熱伝導度(測定温度:25℃〜1,000℃)が、好ましくは2.0W/(m・K)未満、より好ましくは1.8W/(m・K)未満である。
更に、上記化合物(C)を、熱機械分析に供すると、上記方法により確認することができる相変態は見られず、熱的に安定な化合物である。そして、この方法により得られる線膨張係数を、9.00×10−6(1/℃)未満とすることができる。
上記第3層に含まれる化合物(B)及び(C)は、いずれも、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
上記第3層に含まれる化合物(B)及び(C)の含有割合は、1,600℃程度までの高い温度において、両者が安定に存在し、低熱伝導性が得られることから、両者の合計を100体積%とした場合に、それぞれ、30〜70体積%及び30〜70体積%であり、好ましくは40〜60体積%及び40〜60体積%、より好ましくは45〜55体積%及び45〜55体積%、更に好ましくは48〜52体積%及び48〜52体積%である。
上記第3層は、好ましくは化合物(B)及び(C)のみからなる層であるが、他の化合物を含む場合、例えば、酸化アルミニウム等を用いることができる。
1−6.各層の厚さ
本発明の遮熱構造を構成する各層の厚さは、目的、用途等により、適宜、選択される。以下、発電用ガスタービンの動翼等の工業用部材に備える遮熱構造とする場合の好ましい厚さを示す。
図1の態様の場合、第1層の厚さは、好ましくは1〜10μm、より好ましくは5〜10μm、更に好ましくは8〜10μmである。
図2の態様の場合、第1層及び第2層の厚さは、それぞれ、好ましくは1〜10μm及び1〜10μm、より好ましくは5〜10μm及び5〜10μm、更に好ましくは8〜10μm及び8〜10μmである。
また、図3の態様の場合、第1層、第2層及び第3層の厚さは、それぞれ、好ましくは1〜10μm、1〜10μm及び1〜10μm、より好ましくは5〜10μm、5〜10μm及び5〜10μm、更に好ましくは8〜10μm、8〜10μm及び8〜10μmである。
本発明の遮熱構造は、耐熱金属基材の表面に、酸化アルミニウム層、第1層、第2層及び第3層を、順次、備えることから、特に、隣接する2層間の熱膨張差により発生する熱応力を緩和することができるので、遮熱構造の耐久性をより向上させることができる。
2.遮熱構造の製造方法
本発明の遮熱構造を製造する方法は、特に限定されない。
耐熱金属基材がAl元素を含む材料(Fe基合金、Ni基合金、Co基合金、アルミナイド型合金等)であって、後述する第1層形成方法により、耐熱金属基材の表面に酸化アルミニウムを生成させることが可能な、アルミナフォーマー型耐熱合金(好ましくはMCrAlY合金、白金アルミナイド、ニッケル−白金−アルミナイド等)からなる場合には、その表面に、第1層形成用原料を用いて、電子ビーム物理気相堆積(EB−PVD)、プラズマ溶射、真空プラズマ溶射、フレーム溶射、高速溶射、焼結等の方法に供することにより、第1層を形成するとともに、耐熱金属基材及び第1層の界面に酸化アルミニウム層を形成することができる。その後、第1層の表面に、第2層形成用原料及び第3層形成用原料を、それぞれ、用いて、電子ビーム物理気相堆積(EB−PVD)、プラズマ溶射、真空プラズマ溶射、フレーム溶射、高速溶射、焼結等の方法に供することにより、遮熱構造を製造することができる。尚、この場合、耐熱金属基材の表面に対して予備酸化処理等を行うことにより酸化アルミニウム層を形成してから、第1層、第2層及び第3層を、順次、形成してもよい。
また、耐熱金属基材がAl元素を含まない材料からなる場合には、溶射等の方法により酸化アルミニウム層を形成し、次いで、酸化アルミニウム層の表面に、第1層形成用原料、第2層形成用原料及び第3層形成用原料を、それぞれ、用いて、電子ビーム物理気相堆積(EB−PVD)、プラズマ溶射、真空プラズマ溶射、フレーム溶射、高速溶射、焼結等の方法に供することにより、第1層、第2層及び第3層を、順次、形成し、遮熱構造を製造することができる。
酸化アルミニウム層が緻密であれば、形成される第1層との密着性が改良されるので、高い温度における使用時に層間剥離の発生を抑制することができ、遮熱構造を備える製品の耐久性をより向上させることができる。
上記第1層形成用原料は、化合物(A)からなる粉末を主として含むことが好ましく、更に、酸化アルミニウム粉末を含んでもよい。
上記第2層形成用原料は、化合物(B)からなる粉末を主として含むことが好ましく、更に、酸化アルミニウム粉末を含んでもよい。
また、上記第3層形成用原料は、化合物(B)からなる粉末及び化合物(C)からなる粉末を主として含むことが好ましく、更に、酸化アルミニウム粉末を含んでもよい。
1.複合酸化物の調製
後述する各実験例で用いる複合酸化物は、以下の(1)〜(4)であり、(1)〜(3)については、それぞれ、下記の製造例1〜3で得られた焼成体を粉砕したものである。
(1)YTaOドープジルコニア粉末
(2)Y1.08Ta2.76Zr0.24粉末
(3)TaZr2.75粉末
(4)イットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー社製「ジルコニア粉末 TZ−10Y」(商品名、10mol%Y−ZrO))
製造例1(YTaOドープジルコニアの製造)
フッ素樹脂製の反応器に収容した蒸留水700グラムに、純度99.99%以上のY(NO・6HO粉末(関東化学社製)6グラム(0.45モル)と、純度99.95%以上のZrClO・8HO粉末(関東化学社製)23グラム(1.8モル)と、を入れて、室温(25℃)で1時間撹拌し、無色透明の水溶液を得た。次いで、この水溶液に、尿素530グラム(125モル)を投入し、室温(25℃)で1時間撹拌した。その後、得られた無色透明の水溶液に、純度99.9%以上のTa粉末(レアメタリック社製)3グラム(0.2モル)を投入し、室温(25℃)で7時間撹拌し、懸濁液を得た。
次に、懸濁液を加熱して95℃とし、還流冷却しながら、攪拌下、反応(尿素加水分解反応)させた(反応時間:15時間)。その後、得られた反応液を、25℃、4,800rpmで30分間遠心分離し、下層のゲルを回収した。このゲルを、大量の蒸留水に投入し、十分に撹拌したところで、上記と同じ条件で遠心分離し、下層のゲルを回収した。そして、このゲルを、大量のイソプロピルアルコールに投入し、十分に撹拌したところで、上記と同じ条件で遠心分離し、沈殿物を回収した。
その後、沈殿物を、大気雰囲気中、120℃で24時間加熱し、乾燥粉末とした。次いで、この乾燥粉末をふるい(100メッシュ)にかけて、微粉末を回収した。そして、この微粉末を、プレス成形(圧力5MPa)に供し、円板形状の成形体を作製した。その後、この成形体を、大気雰囲気中、1,400℃で1時間熱処理(仮焼)し、仮焼成形体を得た。得られた仮焼成形体を、室温(25℃)で、乳鉢により乾式粉砕した。
次いで、乾式粉砕物をふるい(100メッシュ)にかけて、微粉末を回収した。そして、この微粉末を、プレス成形(圧力25MPa)に供し、更に、冷間等方静水圧加圧(荷重2.5トン)を行って、円板形状の成形体を作製した。その後、この成形体を大気雰囲気中、1,650℃で1時間熱処理した。得られた焼成体を、室温(25℃)で、乳鉢により乾式粉砕し、そのX線回折測定を行ったところ、焼成体は、実質的に、立方晶(cubic)ジルコニア単一相からなる16mol%YTaO−ZrOであることが分かった。また、焼成体を目視観察したところ、1,650℃における高温熱処理により、溶融等を伴っていないことを確認した。
上記YTaOドープジルコニアの熱伝導率は、文献等により公知であり、M. R. Winter, et al., J. Am. Ceram. Soc., 90, 533-540 (2007)から引用したデータを用いて、図4(図中、「Y,Ta−ZrO」と表記)に示した。
製造例2(Y1.08Ta2.76Zr0.24の製造)
フッ素樹脂製の反応器に収容した蒸留水900グラムに、純度99.99%以上のY(NO・6HO粉末(関東化学社製)10グラム(0.025モル)と、純度99.95%以上のZrClO・8HO粉末(関東化学社製)3グラム(0.007モル)と、を入れて、室温(25℃)で1時間撹拌し、無色透明の水溶液を得た。次いで、この水溶液に、尿素90グラム(3モル)を投入し、室温(25℃)で1時間撹拌した。その後、得られた無色透明の水溶液に、純度99.9%以上のTa粉末(レアメタリック社製)12グラム(0.026モル)を投入し、室温(25℃)で7時間撹拌し、懸濁液を得た。
次に、懸濁液を加熱して95℃とし、還流冷却しながら、攪拌下、反応(尿素加水分解反応)させた(反応時間:15時間)。その後、得られた反応液を、25℃、4,800rpmで30分間遠心分離し、下層のゲルを回収した。このゲルを、大量の蒸留水に投入し、十分に撹拌したところで、上記と同じ条件で遠心分離し、下層のゲルを回収した。そして、このゲルを、大量のイソプロピルアルコールに投入し、十分に撹拌したところで、上記と同じ条件で遠心分離し、沈殿物を回収した。
その後、沈殿物を、大気雰囲気中、120℃で24時間加熱し、乾燥粉末とした。次いで、この乾燥粉末をふるい(100メッシュ)にかけて、微粉末を回収した。そして、この微粉末を、プレス成形(圧力5MPa)に供し、円板形状の成形体を作製した。その後、この成形体を、大気雰囲気中、1,400℃で1時間熱処理(仮焼)し、仮焼成形体を得た。得られた仮焼成形体を、室温(25℃)で、乳鉢により乾式粉砕した。
次いで、乾式粉砕物をふるい(100メッシュ)にかけて、微粉末を回収した。そして、この微粉末を、プレス成形(圧力25MPa)に供し、更に、冷間等方静水圧加圧(荷重2.5トン)を行って、円板形状の成形体を作製した。その後、この成形体を大気雰囲気中、1,650℃で1時間熱処理した。得られた焼成体を、室温(25℃)で、乳鉢により乾式粉砕し、そのX線回折測定を行ったところ、焼成体は、実質的にY1.08Ta2.76Zr0.24からなる正方晶系であることが分かった。また、焼成体を目視観察したところ、1,650℃における高温熱処理により、溶融等を伴っていないことを確認した。
更に、上記焼成体を、レーザーフラッシュ法(JIS R1611に準拠)に供して、25℃、200℃、400℃、600℃、800℃及び1,000℃における熱伝導率を測定した。尚、固体の熱伝導率は、測定試料の気孔の影響を受けやすく、気孔を有すると、低めの値となることが知られている。そこで、緻密質の熱伝導率を得るために、下記式(40)に示される補正式(C. Wan, et al., Acta Mater., 58, 6166-6172 (2010))の利用が好ましいといわれている。
k’/k=1−4/3φ (40)
(k’:測定された熱伝導率、k:緻密質の熱伝導率、φ:気孔率)
上記の各温度における熱伝導率は、上記式(40)による、補正されたkとして、図4に示した。
また、リガク社製熱機械分析装置「TMA8310」(型式名)を用い、大気中、昇温速度及び降温速度を毎分10℃として、25℃〜1,200℃の範囲において、焼成体の加熱及び冷却を行い、圧縮荷重法(荷重:98mN)により寸法変化を測定し、線膨張率を算出した。その結果を図5に示す。また、上記温度範囲における線膨張係数は、8.87×10−6/℃であった。
製造例3(TaZr2.75の製造)
Y(NO・6HO粉末及びZrClO・8HO粉末の併用に代えて、ZrClO・8HO粉末のみを、23グラム(1.2モル)用い、尿素、及び、Ta粉末の使用量を、それぞれ、540グラム(125モル)及び5グラム(0.2モル)とした以外は、製造例1と同様にして、焼成体を作製した。次いで、X線回折測定により、焼成体は、実質的にTaZr2.75からなるABO系欠損構造であることが分かった。また、焼成体を目視観察したところ、1,650℃における高温熱処理により、溶融等を伴っていないことを確認した。
その後、製造例2と同様にして、熱伝導率及び線膨張率を求めた。その結果を図4及び図5に示す。また、25℃〜1,200℃の範囲における線膨張係数は、9.19×10−6/℃であった。
上記(4)で示したイットリア安定化ジルコニアの熱伝導率及び線膨張率は、非測定であるが、図4には、M. R. Winter, et al., J. Am. Ceram. Soc., 90, 533-540 (2007)から引用した、イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)のデータを掲載した。
図4から明らかなように、上記(1)〜(3)の化合物粉末は、25℃〜1,200℃の範囲において、イットリア安定化ジルコニアの熱伝導率よりも低いことが分かる。また、図5から明らかなように、これらの化合物では、相変態が確認されなかった(上記(1)の化合物は、実質的にジルコニアであるので、相変態は見られない)。即ち、Y1.08Ta2.76Zr0.24、TaZr2.75及びYTaOドープジルコニアの3つの化合物は、25℃〜1,200℃の範囲において、遮熱性に優れ、体積変化に伴う変形、破断等が抑制されて耐熱性に優れることが分かる。
2.化合物どうしの反応性
以下の試験例では、2種の化合物を混合し、所定形状に成形した。次いで、大気雰囲気中、1,500℃で熱処理を行った。その後、熱処理物のX線回折測定を行い、反応性を調べた。尚、比較のために、熱処理前の混合粉末に対しても、X線回折測定を行った。
試験例1
YTaOドープジルコニア粉末と、大明化学工業社製α−アルミナ粉体「TM−DAR」(商品名)とを、体積比1:1にて混合した。次いで、混合粉末を、プレス成形(圧力25MPa)に供し、直径15mmの板状成形体を得た。その後、この板状成形体を、モトヤマ社製電気炉「スーパーバーン」(商品名)により熱処理(大気雰囲気中、1,500℃)した。熱処理前後のX線回折像を図6(図中、YTaOドープジルコニアを「Y,Ta−ZrO」と表記)に示す。
図6(a)及び(b)から、熱処理前後のX線回折像に違いがないので、各化合物を独立して含む層からなる積層体が熱的に安定であることが予想される。
試験例2
TaZr2.75粉末と、上記α−アルミナ粉体とを、体積比1:1にて混合した以外は、試験例1と同様にして、板状成形体を得た後、熱処理(大気雰囲気中、1,500℃)を行った。熱処理前後のX線回折像を図7に示す。
図7(a)及び(b)から、熱処理により、AlZrTaOに由来するシグナルが検出されたので、各化合物を独立して含む層からなる積層体が熱的に安定ではないことが予想される。
試験例3
1.08Ta2.76Zr0.24粉末と、上記α−アルミナ粉体とを、体積比1:1にて混合した以外は、試験例1と同様にして、板状成形体を得た後、熱処理(大気雰囲気中、1,500℃)を行った。熱処理前後のX線回折像を図8に示す。
図8(a)及び(b)から、熱処理により、AlZrTaO及びAlTaOに由来するシグナルが検出されたので、各化合物を独立して含む層からなる積層体が熱的に安定ではないことが予想される。
試験例4
YTaOドープジルコニア粉末と、TaZr2.75粉末とを、体積比1:1にて混合した以外は、試験例1と同様にして、板状成形体を得た後、熱処理(大気雰囲気中、1,500℃)を行った。熱処理前後のX線回折像を図9に示す。
図9(a)及び(b)から、熱処理前後のX線回折像に違いがないので、各化合物を独立して含む層からなる積層体が熱的に安定であることが予想される。
試験例5
YTaOドープジルコニア粉末と、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)粉末とを、体積比1:1にて混合した以外は、試験例1と同様にして、板状成形体を得た後、熱処理(大気雰囲気中、1,500℃)を行った。熱処理前後のX線回折像を図10に示す。
図10(a)及び(b)から、熱処理により、m−ZrO(単斜晶系ジルコニア)に由来するシグナルが検出されたので、各化合物を独立して含む層からなる積層体が熱的に安定ではないことが予想される。
試験例6
TaZr2.75粉末と、Y1.08Ta2.76Zr0.24粉末とを、体積比1:1にて混合した以外は、試験例1と同様にして、板状成形体を得た後、熱処理(大気雰囲気中、1,500℃)を行った。熱処理前後のX線回折像を図11に示す。
図11(a)及び(b)から、熱処理前後のX線回折像に違いがないので、各化合物を独立して含む層からなる積層体が熱的に安定であることが予想される。
試験例7
TaZr2.75粉末と、イットリア安定化ジルコニア粉末とを、体積比1:1にて混合した以外は、試験例1と同様にして、板状成形体を得た後、熱処理(大気雰囲気中、1,500℃)を行った。熱処理前後のX線回折像を図12に示す。
図12(a)及び(b)から、熱処理により、イットリア安定化ジルコニアに由来するシグナルが消失し、m−ZrO(単斜晶系ジルコニア)に由来するシグナルが検出されたので、各化合物を独立して含む層からなる積層体が熱的に安定ではないことが予想される。
3.積層体の製造及びその評価
上記のように、耐熱金属基材が、MCrAlY合金又は白金アルミナイドからなる場合には、複合酸化物等を用いて遮熱層を配設した際に、耐熱金属基材の最表面に、酸化アルミニウム層(アルミナスケール)が形成されるので、以下の実験例では、酸化アルミニウム層の表面に、上記複合酸化物の1種又は2種からなる層を積層し、隣接する層の界面の安定性評価を行った。
実験例1
大明化学工業社製α−アルミナ粉体「TM−DAR」(商品名)1.1グラムを、内径15mmの成型ダイスに充填し、ピストンを用いて、軽く圧粉し、円板状とした。その後、成型ダイス内において、このα−アルミナ層の表面に、均等に、YTaOドープジルコニア粉末2.6グラムを充填し、軽く圧粉した。次いで、積層物を、800kg/cmの圧力でプレス成形し、更に、2.5t/cmの静水圧でCIP成形した。その後、成形体を、モトヤマ社製電気炉「スーパーバーン」(商品名)により熱処理(大気雰囲気中、1,500℃)し、厚さ約4mmの積層体を得た。
得られた積層体を、その中央付近で切断し、切断面を鏡面研磨した。その後、日立電子社製電子顕微鏡「S4500」(型式名)により、研磨面の観察及びエネルギー分散型X線分析(以下、「EDS分析」という)を行った。その結果を図13に示す。隣り合う層に原子(Al又はTa)の移動がなく、安定な層構造であることが分かった。
実験例2
上記α−アルミナ粉体「TM−DAR」(商品名)1.1グラムを、内径15mmの成型ダイスに充填し、ピストンを用いて、軽く圧粉し、円板状とした。その後、成型ダイス内において、このα−アルミナ層の表面に、均等に、YTaOドープジルコニア粉末2.6グラムを充填し、軽く圧粉した。次いで、成型ダイス内において、このYTaOドープジルコニア層の表面に、均等に、TaZr2.75粉末1.5グラムを充填し、軽く圧粉した。その後、積層物を、800kg/cmの圧力でプレス成形し、更に、2.5t/cmの静水圧でCIP成形した。次いで、成形体を、モトヤマ社製電気炉「スーパーバーン」(商品名)により熱処理(大気雰囲気中、1,500℃)し、厚さ約6mmの3層型積層体を得た。
得られた3層型積層体について、実験例1と同様の評価に供した。その結果を図14に示す。上側2層の界面においてTa原子の量的変化が見られ、安定な層構造であることが分かった。
実験例3
上記α−アルミナ粉体「TM−DAR」(商品名)1.1グラムを、内径15mmの成型ダイスに充填し、ピストンを用いて、軽く圧粉し、円板状とした。その後、成型ダイス内において、このα−アルミナ層の表面に、均等に、YTaOドープジルコニア粉末2.6グラムを充填し、軽く圧粉した。次いで、成型ダイス内において、このYTaOドープジルコニア層の表面に、均等に、TaZr2.75粉末1.5グラムを充填し、軽く圧粉した。その後、成型ダイス内において、このTaZr2.75層の表面に、均等に、Y1.08Ta2.76Zr0.24粉末及びTaZr2.75粉末を等体積とした混合粉末1.6gを充填し、軽く圧粉した。次いで、積層物を、800kg/cmの圧力でプレス成形し、更に、2.5t/cmの静水圧でCIP成形した。その後、成形体を、モトヤマ社製電気炉「スーパーバーン」(商品名)により熱処理(大気雰囲気中、1,500℃)し、厚さ約8mmの4層型積層体を得た。
得られた4層型積層体について、実験例1と同様の評価に供した。その結果を図15に示す。上側2層の界面においてTa原子の量的変化が見られ、安定な層構造であることが分かった。
本発明の遮熱構造によれば、酸化アルミニウム層の表面に、低熱伝導性及び耐久性に優れる皮膜を備えるので、航空機用ジェットエンジンにおける燃焼器、発電用ガスタービンにおける高温部品、その他、各種プラントにおける高温部品等への適用に好適である。
10:遮熱構造、11:耐熱金属基材、13:酸化アルミニウム層、15:第1層、17:第2層、19:第3層

Claims (4)

  1. 耐熱金属基材と、該耐熱金属基材の表面に形成された酸化アルミニウム層と、該酸化アルミニウム層の表面に形成されたYTaOドープジルコニアを含む第1層とを備えることを特徴とする遮熱構造。
  2. 更に、前記第1層の表面に、下記一般式(11)で表される化合物(B)を含む第2層を備える請求項1に記載の遮熱構造。
    Ta1−4xZr2.75+5x (11)
    (式中、xは、−0.021〜0.069である。)
  3. 更に、前記第2層の表面に、上記化合物(B)と、下記一般式(21)で表される化合物(C)とを、両者の合計を100体積%とした場合に、それぞれ、30〜70体積%及び30〜70体積%の割合で含む第3層を備える請求項2に記載の遮熱構造。
    1+yTa3−3yZr3y (21)
    (式中、yは、0.05〜0.10である。)
  4. 前記耐熱金属基材が、MCrAlY(Mは、Ni、Co及びFeから選ばれた少なくとも1種の原子である)である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の遮熱構造。
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