JP2015087660A - 光導波路、光電気混載基板および電子機器 - Google Patents

光導波路、光電気混載基板および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】コア部同士の間における混信が少ない光導波路、ならびに、かかる光導波路を備える光電気混載基板および電子機器を提供すること。
【解決手段】光導波路1は、複数のコア部14が形成されているコア層13と、コア層13の一方の面に積層されている第1クラッド層11と、コア層13の他方の面に積層されている第2クラッド層12と、第1クラッド層11のうち、コア層13とは反対側に設けられた第1カバーフィルム(第1保護層)2と、第2クラッド層12のうち、コア層13とは反対側に設けられた第2カバーフィルム(第2保護層)3と、を有し、隣り合うコア部14同士の離間距離をSとし、第1クラッド層11の厚さをCとしたとき、0.1<S/C<10の関係を満足することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光導波路、光電気混載基板および電子機器に関するものである。
近年、情報化の進展とともに、大容量の情報を高速で送受信することができる広帯域回線(ブロードバンド)の普及が進んでいる。また、これらの広帯域回線に情報を伝送する装置として、ルーター装置、WDM(Wavelength Division Multiplexing)装置等の伝送装置が用いられている。これらの伝送装置内には、LSIのような演算素子、メモリーのような記憶素子等が組み合わされた信号処理基板が多数設置されており、各回線の相互接続を担っている。
各信号処理基板には、演算素子や記憶素子等が電気配線で接続された回路が構築されているが、近年、処理する情報量の増大に伴って、各基板では、より高いスループットで情報を伝送することが要求されている。しかしながら、電気信号の伝送速度を上げると、それに伴って、クロストークや高周波ノイズの発生、電気信号の劣化等の問題が顕在化する。このため、電気配線がボトルネックとなって、信号処理基板のスループットの向上が困難になっている。また、同様の課題は、スーパーコンピューターや大規模サーバー等でも顕在化しつつある。
一方、光搬送波を使用してデータを移送する光通信技術が開発され、近年、この光搬送波を、一地点から他地点に導くための手段として、光導波路が普及しつつある。この光導波路は、線状のコア部と、その周囲を覆うように設けられたクラッド部とを有している。コア部は、光搬送波に対して実質的に透明な材料によって構成され、クラッド部は、コア部より屈折率が低い材料によって構成されている。
光導波路では、コア部の一端から導入された光が、クラッド部との境界で反射しながら他端に搬送される。光導波路の入射側には半導体レーザー等の発光素子が配置され、出射側にはフォトダイオード等の受光素子が配置される。発光素子から入射された光は光導波路を伝搬し、受光素子により受光され、受光した光の明滅パターンもしくはその強弱パターンに基づいて通信を行う。
このような光導波路によって信号処理基板内の電気配線が置き換えられると、前述したような電気配線の問題が解消され、信号処理基板のさらなる高スループット化が可能になると期待されている。
電気配線を光導波路に置き換える際には、電気信号と光信号との相互変換を行う必要があることから、発光素子および受光素子を用いて光電変換を行う。すなわち、信号処理基板には、発光素子および受光素子と、これらの間を光学的に接続する光導波路と、を備えた光モジュールが必要となる。
例えば、特許文献1には、プリント基板と、プリント基板上に搭載された発光素子と、プリント基板の下面側に設けられた光導波路と、を有する光インターフェースが開示されている。このような光インターフェースにより、光通信が可能になる。
また、最近では通信の大容量化の要求が強くなっており、光導波路についてさらなる多チャンネル化および高密度化が求められている。多チャンネル化および高密度化が進むと、チャンネル(コア部)のピッチがより狭くなり、それに伴って、クロストーク(1つのチャンネルからの漏洩光が隣り合うチャンネルに混信すること)の発生が顕在化する可能性が高い。
特開2005−294407号公報
本発明の目的は、コア部同士の間における混信が少ない光導波路、ならびに、かかる光導波路を備える光電気混載基板および電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。
(1) 複数のコア部が形成されているコア層と、
前記コア層の一方の面に積層されている第1クラッド層と、
前記コア層の他方の面に積層されている第2クラッド層と、
を有し、
隣り合う前記コア部同士の離間距離をSとし、前記第1クラッド層の厚さをCとしたとき、0.1<S/C<10の関係を満足することを特徴とする光導波路。
(2) 前記コア部の幅をLとし、前記コア部の高さをHとしたとき、0.8<L/H<1.2の関係を満足する上記(1)に記載の光導波路。
(3) 前記離間距離Sは、5〜100μmであり、前記第1クラッド層の厚さCは、2〜20μmである上記(1)または(2)に記載の光導波路。
(4) さらに、前記第1クラッド層の前記コア層とは反対側に設けられた第1保護層と、
前記第2クラッド層の前記コア層とは反対側に設けられた第2保護層と、
を有する上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の光導波路。
(5) 上記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の光導波路を備えることを特徴とする光電気混載基板。
(6) 上記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の光導波路を備えることを特徴とする電子機器。
本発明によれば、コア部同士の間における混信が少ない光導波路が得られる。
また、本発明によれば、上記光導波路を備える光電気混載基板および電子機器が得られる。
本発明の光導波路の第1実施形態を示す(一部透過して示す)斜視図である。 図1に示す光導波路の縦断面図である。 図1に示す光導波路の他の例であって、12本のコア部を有する光導波路の縦断面図である。 図4(a)は、横軸に走査距離(Scanned distance)をとり、縦軸に規格化された光強度(Normalized intensity)をとったグラフの一例であり、図4(b)は、横軸に走査距離をとり、縦軸に各コア部で測定された光強度の基準値に対する強度比(クロストークの大きさ)をとったグラフの一例である。 本発明の光導波路の第2実施形態を示す(一部透過して示す)斜視図である。 図5に示す光導波路の縦断面図である。 本発明の光導波路の第3実施形態を示す(一部透過して示す)斜視図である。 図7に示す光導波路の縦断面図である。
以下、本発明の光導波路、光電気混載基板および電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<光導波路>
≪第1実施形態≫
まず、本発明の光導波路の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の光導波路の第1実施形態を示す(一部透過して示す)斜視図、図2は、図1に示す光導波路の縦断面図である。なお、図1は、光導波路の一端部のみを図示したものであり、この一端部以外の部位については図示を省略している。
図1に示す光導波路1は、帯状をなしており、その長手方向の一端部と他端部との間で光信号を伝送し、光通信を行うことができる。
図1に示す光導波路1は、上側から第1クラッド層11、コア層13および第2クラッド層12を積層してなる導波部10を備えている。コア層13中には長尺状のコア部14とその側面に隣接して設けられた側面クラッド部15とが形成されている。
また、光導波路1は、導波部10の上面に積層された第1カバーフィルム(第1保護層)2と、導波部10の下面に積層された第2カバーフィルム(第2保護層)3とを備えている。
以下、光導波路1の各部について詳述する。
(コア層)
図1に示すコア層13中に形成されているコア部14は、クラッド部(側面クラッド部15、第1クラッド層11および第2クラッド層12)で囲まれており、コア部14に光を閉じ込めて伝搬することができる。
コア部14の屈折率は、クラッド部の屈折率より大きければよいが、その差は0.3%以上であるのが好ましく、0.5%以上であるのがより好ましい。なお、上限値は特に設定されないが、好ましくは5.5%程度とされる。屈折率差が前記下限値未満の場合、光を伝搬する効果が低下するおそれがあり、一方、屈折率差が前記上限値を上回る場合、光の伝送効率のそれ以上の向上は期待できない。
また、前記屈折率差とは、コア部14の屈折率をA、クラッド部の屈折率をBとしたとき、次式で表される。
屈折率差(%)=|A/B−1|×100
また、コア部14の横断面における幅方向の屈折率分布は、いかなる形状の分布であってもよい。この屈折率分布は、屈折率が不連続的に変化したいわゆるステップインデックス(SI)型の分布であってもよく、屈折率が連続的に変化したいわゆるグレーデッドインデックス(GI)型の分布であってもよい。SI型の分布であれば屈折率分布の形成が容易であり、GI型の分布であれば屈折率の高い領域に信号光が集まる確率が高くなるため伝送効率が向上する。
また、コア部14は、平面視で直線状であっても曲線状であってもよい。さらに、コア部14は途中で分岐または他のコア部と交差していてもよい。
なお、コア部14の横断面形状は特に限定されず、例えば、真円、楕円形、長円形等の円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形であってもよいが、四角形(矩形状)であることにより、コア部14を形成し易い利点がある。
また、コア部14の幅および高さ(コア層13の厚さ)は、特に限定されないが、それぞれ1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましく、10〜70μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、光導波路1の伝送効率の低下を抑えつつコア部14の高密度化を図ることができる。
上述したようなコア層13の構成材料(主材料)は、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料等を用いることができる。なお、樹脂材料は、異なる組成のものを組み合わせた複合材料であってもよい。
(クラッド層)
第1クラッド層11および第2クラッド層12の構成材料としては、例えば、前述したコア層13の構成材料と同様の材料を用いることができるが、特に(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましく、(メタ)アクリル系樹脂またはエポキシ系樹脂がより好ましい。
また、光導波路1の横断面の厚さ方向の屈折率分布についても、特に限定されず、例えばSI型、GI型の分布が挙げられる。
光導波路1の幅は、特に限定されないが、2〜100mm程度であるのが好ましく、5〜50mm程度であるのがより好ましい。
また、コア層13中には、複数のコア部14が並列するように、あるいは互いに交差するように形成することができる。光導波路1中に形成されるコア部14の数は、特に限定されないが、2〜100本程度であるのが好ましい。なお、コア部14の数が多い場合は、必要に応じて、光導波路1を多層化してもよい。具体的には、図1に示す第2クラッド層12上に、さらにコア層とクラッド層とを交互に重ねることにより多層化することができる。
なお、第1クラッド層11とコア層13との間、および、第2クラッド層12とコア層13との間は、それぞれ圧着、融着、一方の上に他方を成膜等の方法で接着されている。
以上のような第1クラッド層11、コア層13および第2クラッド層12からなる導波部10によれば、前述したように光信号を伝搬することができる。すなわち、導波部10では、コア層13中のコア部14に入射された光が、コア部14とクラッド部との界面近傍で反射を繰り返しながら伝搬する。この反射は、上述したように、コア部14とクラッド部との屈折率差に基づくものである。
また、光導波路1では、図1に示すように、コア層13中に2本のコア部14が形成されている。各コア部14では、互いに独立の光信号を伝搬させることができるので、コア層13に形成されるコア部14の数を増やすことにより、同時に伝搬可能な光信号の量を増やすことができる。これにより、通信容量の増大を図ることができる。
コア部14に入射された光は、通常、第1クラッド層11と第2クラッド層12との界面近傍で反射を繰り返しながら伝搬するが、このとき、コア部14と第1クラッド層11との界面近傍で反射せず、第1カバーフィルム2側へ漏洩してしまう光もある。このような漏洩光のうち、少なくとも一部は、第1カバーフィルム2の上面21で反射される。
従来の光導波路では、このようにして第1カバーフィルムの上面で反射した漏洩光が、再び第1クラッド層を透過し、漏洩前に伝搬してきたコア部の隣にあるコア部へ意図せず侵入してしまうことがあった。このようにして侵入した光は、侵入を許したコア部を伝搬する光信号にとっては「雑音」となるため、そのコア部における光通信のS/N比が低下する原因となり得る。
そこで、本発明者は、上述したような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、コア層13中に形成された複数のコア部14のうち、隣り合う2つのコア部14同士の離間距離と、コア層13に隣接する第1クラッド層11の厚さとの間に、所定の関係が成り立つとき、上述した課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、隣り合うコア部14同士の離間距離をSとし、第1クラッド層11の厚さをCとしたとき、0.1<S/C<10の関係を満足させることにより、クロストークの発生を抑制し得る光導波路1が得られる。
このような効果が得られる理由は明確でないものの、理由の1つとして、コア部14から光が漏洩するとき、その漏洩光の伝搬方向には特異性があるため、所定の角度への漏洩光が特に強くなると考えられる。このため、この強度の大きい漏洩光が反射して隣り合うコア部14に侵入してしまうのを防ぐことにより、全体としてクロストークの程度を抑えることができると考えられる。そして、漏洩光の伝搬角度は、その光路長等に依存するため、光路長を最適化することによってクロストークを効果的に抑制することができると考えられる。本発明では、そのような光路長を踏まえ、前述した隣り合うコア部14同士の離間距離Sと、第1クラッド層11の厚さCとによって規定される前述した関係を満たすとき、クロストークの発生を抑制し得る光導波路1が得られることを見出したのである。
なお、離間距離Sおよび厚さCは、好ましくは0.5<S/C<5の関係を満足するよう設定される。
また、隣り合うコア部14同士の離間距離Sは、特に限定されないものの、5〜100μm程度であるのが好ましく、10〜80μm程度であるのがより好ましい。離間距離Sが前記範囲内にあるとき、特にクロストークの発生を効果的に抑制することができる。
すなわち、離間距離Sが前記下限値を下回ると、離間距離Sが非常に狭くなるため、コア部14から漏洩した光が隣り合うコア部14に到達してしまう確率が高くなり、クロストークの発生を十分に抑制することができないおそれがある。また、離間距離Sが前記上限値を上回ると、今度は離間距離Sが非常に広くなるため、コア部14から漏洩した光が第1カバーフィルム2の上面21で反射される確率が高くなり、やはりクロストークの発生確率が上昇する。
一方、離間距離Sが前記範囲内にあるとき、第1クラッド層11および第2クラッド層12の厚さCは、特に限定されないものの、2〜100μm程度であるのが好ましく、5〜20μm程度であるのがより好ましく、7〜18μm程度であるのがさらに好ましい。第1クラッド層11および第2クラッド層12の厚さCを前記範囲内に設定することで、クロストークの発生を特に抑制することができる。また、第1クラッド層11および第2クラッド層12の厚さCが厚過ぎる場合、第1クラッド層11や第2クラッド層12越しにコア層13中のコア部14等を視認するとき、その視認性が低下するため、かかる観点から、厚さCは前記範囲内であるのが好ましい。
また、コア部14の幅をLとし、コア部14の高さをHとしたとき、光導波路1は、0.8<L/H<1.2の関係を満足するのが好ましく、0.9<L/H<1.1の関係を満足するのがより好ましい。これにより、光導波路1において、強度の大きい漏洩光が隣り合うコア部14に侵入してしまう確率をより低くすることができるので、全体としてクロストークの程度をさらに抑えることができる。
なお、隣り合うコア部14同士の離間距離Sは、次のようにして求められる。
まず、導波部10の複数のコア部14に対して同時に光信号を入射する全モード励振をしたとき、隣り合うコア部14からそれぞれ出射する出射光を出射端面近傍において撮影し、得られた出射光像、すなわち近視野像(NFP:Near Field Pattern)を得る。
次いで、近視野像のピーク強度に対して強度比が5%である点を結んでできる等高線の形状を特定し、その領域の幅を測定する。これを、コア部14の幅Lとする。
したがって、隣り合うコア部14のピーク強度を示す点同士の距離(コア部14のピッチ)を求め、そこから幅Lを差し引くことにより、コア部14同士の離間距離Sを求めることができる。
このような近視野像は、例えば、シナジーオプトシステムズ株式会社製のNFP計測装置やNFP光学系により観察、撮像することができる。また、入射光の波長は850nm、撮像倍率は100倍とする。
(カバーフィルム)
また、図1に示す光導波路1は、最上層として第1カバーフィルム2を、最下層として第2カバーフィルム3を、それぞれ備えている。なお、このような第1カバーフィルム2および第2カバーフィルム3は、必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。また、以下の説明では、主に第1カバーフィルム2について説明し、第2カバーフィルム3についての詳細な説明は省略する。第2カバーフィルム3の構成は、第1カバーフィルム2の構成と異なっていてもよいが、好ましくは同じであることが好ましい。したがって、例えば第1カバーフィルム2と第1クラッド層11との間で成り立つ関係は、第2カバーフィルム3と第2クラッド層12との間でも同様に成り立つよう構成される。
第1カバーフィルム2は、特に波長850nmにおける光線透過率が90%以上99.5%以下であるのが好ましく、91%以上99%以下であるのがより好ましい。これにより、例えば光導波路1に対してコア部14の光路を90度変換するミラーを形成し、光導波路1外の光学部品とコア部14とを光結合させる際、第1カバーフィルム2を透過する光路の伝搬効率が向上するため、とりわけ良好な結合効率の実現を図ることができる。
第1カバーフィルム2の波長850nmにおける光線透過率は、JIS K 7375に規定された全光線透過率の求め方に準拠して測定される。また、上記光線透過率は、平均厚さ25μmの試験片についての測定値である。
また、第1カバーフィルム2の全光線透過率は、80〜99.5%であるのが好ましく、85〜99.0%であるのがより好ましく、87〜98.5%であるのがさらに好ましい。第1カバーフィルム2の全光線透過率を前記範囲内に設定することにより、上述したように、例えば光導波路1に対してコア部14の光路を90度変換するミラーを形成し、光導波路1外の光学部品とコア部14とを光結合させる際、第1カバーフィルム2を透過する光路の伝搬効率が向上する。また、例えばコア層13中に形成されたコア部14や図示しないアライメントマークを第1カバーフィルム2越しに視認するとき、その視認性が向上するため、コア部14等を位置の基準にした各種加工や処理を、高い位置精度で行うことができる。
なお、第1カバーフィルム2の全光線透過率が前記下限値を下回る場合、第1カバーフィルム2を透過する光路の伝搬効率が低下し、光導波路1と他の光学部品との結合効率が低くなるおそれがある。一方、第1カバーフィルム2の全光線透過率が前記上限値を上回る場合、例えば第1カバーフィルム2側から入射させる方法で照明したとき、コア部14やアライメントマーク等で反射する光の光量が多くなり過ぎて、コア部14等の視認性が低下するおそれがある。このため、コア部14等を基準にした加工等の位置精度が低下するおそれがある。
第1カバーフィルム2の全光線透過率は、JIS K 7375に規定された全光線透過率の求め方に準拠して測定され、測定波長は600〜1800nmの範囲である。また、上記全光線透過率は、平均厚さ25μmの試験片についての測定値である。
このような第1カバーフィルム2を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂等の各種樹脂材料が挙げられるが、これらの中でもポリイミド系樹脂またはポリエチレンナフタレート系樹脂(PEN)を主材料とするものが好ましく用いられる。これらの樹脂材料は、前述したように、弾性率が大きく、熱分解温度も高いものであるので、これらの樹脂材料で構成された第1カバーフィルム2は、導波部10を確実に保護し得るものとなる。また、これらの樹脂材料は、熱膨張率が小さい。このため、これらの樹脂材料が第1カバーフィルム2の構成材料として用いられたとき、光導波路1に反り等の変形が生じるのを抑制することができる。さらには、これらの樹脂材料は、耐光性が高い。このため、第1カバーフィルム2を透過する光路において長期にわたる光伝送が行われた場合でも、第1カバーフィルム2が劣化したり破れたりすることが防止される。
なお、ポリイミド系樹脂としては、特に、下記式(1)および式(2)で表される繰り返し単位を含むものが好ましく用いられる。
Figure 2015087660
Figure 2015087660
なお、上記式(1)および式(2)中のnは、それぞれポリイミド系樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量が2万〜40万程度となる値に設定されるのが好ましい。
また、第1カバーフィルム2の構成材料には、必要に応じて、フィラー、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、劣化防止剤、帯電防止剤等が添加されていてもよい。
このうち、フィラーを添加することにより、第1カバーフィルム2の熱膨張率を調整することができ、熱膨張率差に伴う光導波路1の反り等をより確実に抑制することができる。
第1カバーフィルム2中のフィラーの含有率は、特に限定されないが、0.05〜5質量%程度であるのが好ましく、0.1〜3質量%程度であるのがより好ましい。フィラーの含有率を前記範囲内に設定することにより、第1カバーフィルム2の熱膨張率を最適化することができる。
また、第1カバーフィルム2の厚さは、前述した光線透過率や後述するその他の物性等に応じて適宜設定されるが、平均厚さが5〜500μm程度であるのが好ましく、10〜400μm程度であるのがより好ましい。これにより、第1カバーフィルム2は、導波部10を保護するのに必要かつ十分な機械的特性を有するものとなる。また、光導波路1は、適度な可撓性を有するものとなり、湾曲または屈曲させた状態でも高い信頼性を示す光導波路1を製造することができる。
また、第1カバーフィルム2の引張強さは、200〜800MPa程度であるのが好ましく、250〜750MPa程度であるのがより好ましい。第1カバーフィルム2の引張強さを前記範囲内に設定することにより、十分な耐久性を有する光導波路1が得られる。
なお、第1カバーフィルム2の引張強さは、JIS K 7127(ASTM D882)に規定された引張特性の試験方法に準拠して測定される。また、上記引張強さは、平均厚さ25μmの試験片についての測定値である。
また、第1カバーフィルム2の引張弾性率は、3000〜12000MPa程度であるのが好ましく、4000〜11000MPa程度であるのがより好ましい。第1カバーフィルム2の引張弾性率を前記範囲内に設定することにより、十分な耐久性を有する光導波路1が得られる。
なお、第1カバーフィルム2の引張弾性率は、JIS K 7127(ASTM D882)に規定された引張特性の試験方法に準拠して測定される。また、上記引張弾性率は、平均厚さ25μmの試験片についての測定値である。
また、第1カバーフィルム2の伸び率は、30〜100%程度であるのが好ましく、35〜95%程度であるのがより好ましい。第1カバーフィルム2の伸び率を前記範囲内に設定することにより、十分な耐久性を有する光導波路1が得られる。
なお、第1カバーフィルム2の伸び率は、JIS K 7127(ASTM D882)に規定された引張特性の試験方法に準拠して測定される。また、上記伸び率は、平均厚さ25μmの試験片についての測定値である。
また、第1カバーフィルム2の吸水率は、0.7〜2.5%程度であるのが好ましく、0.9〜2.1%程度であるのがより好ましく、1.3〜1.9%程度であるのがさらに好ましい。第1カバーフィルム2の吸水率を前記範囲内に設定することにより、第1カバーフィルム2には適度な吸水性に伴う密着性が高くなり、第1カバーフィルム2を透過する光路の伝送効率がより高くなる。
なお、第1カバーフィルム2の吸水率は、JIS K 7209(ASTM D570)に規定された吸水率の試験方法に準拠して、23℃、24時間水中浸漬により測定される。
また、第1カバーフィルム2の耐屈曲回数MITの試験結果は、それぞれ10000回以上であるのが好ましく、20000回以上であるのがより好ましい。これにより、信頼性の高い光導波路1が得られる。
また、第1カバーフィルム2の熱収縮率は、0.01〜0.2%程度であるのが好ましい。これにより、反り等の変形が少ない光導波路1が得られる。
また、第1カバーフィルム2の熱膨張係数は、特に限定されないが、5〜25ppm/℃程度であるのが好ましく、7〜20ppm/℃程度であるのがより好ましい。これにより、熱変形が少ない光導波路1が得られる。
なお、第1カバーフィルム2の屈折率は、特に限定されないが、第1クラッド層11の屈折率より大きいのが好ましい。これにより、コア部14から漏洩した光が第1クラッド層11を透過した後、第1カバーフィルム2側へ移行し易くなる。その結果、この光を第1カバーフィルム2の上面21から漏洩させ易くなり、クロストークの発生をより確実に抑制することができる。また、上面21から漏洩させられなくても、第1カバーフィルム2内に光を閉じ込め易くなるので、漏洩した光が再びコア層13に戻り難くなる。その結果、クロストークの発生をさらに抑制することができる。
より具体的には、第1カバーフィルム2の屈折率をRbとし、第1クラッド層11の屈折率をRcとしたとき、Rb−Rcは0.001〜0.5であるのが好ましく、0.005〜0.3であるのがより好ましい。Rb−Rcを前記範囲内に設定することで、クロストークの発生を十分に抑制することができる。なお、Rb−Rcが前記下限値を下回ると、第1クラッド層11から第1カバーフィルム2側へと光が伝搬し難くなるため、空気中へ漏洩させたり第1カバーフィルム2中に閉じ込めたりする光量も少なくなり、クロストークの発生を十分に抑制することができなくなるおそれがある。一方、Rb−Rcが前記上限値を上回ると、屈折率差は十分に大きくなるが、それ以上の効果が期待できないばかりか、第1カバーフィルム2を構成する材料を選択するときの選択肢が狭まる。このため、構成材料によっては、第1カバーフィルム2と第1クラッド層11との間の密着性が低下し、コア部14から漏洩した光が第1カバーフィルム2に到達し難くなり、その結果、クロストークの発生を十分に抑制することができないおそれがある。
また、第1カバーフィルム2の光学膜厚をDbとし、第1クラッド層11の光学膜厚をDcとしたとき、Dc/Dbが0.1〜10であるのが好ましく、0.5〜5であるのがより好ましい。Dc/Dbを前記範囲内に設定することで、クロストークの発生を抑制する効果がより顕著になる。
なお、第1カバーフィルム2には、必要に応じて、光吸収性を有する光吸収材が添加されていてもよい。第1カバーフィルム2に光吸収性を付与することにより、導波部10から漏洩した光を第1カバーフィルム2において吸収させることができる。これにより、コア部14から漏洩した光が、他のコア部14に侵入するクロストークの発生をさらに確実に抑制することができる。
光吸収材としては、例えば、光吸収性を有する材料の粉末、粒子等が挙げられる。光吸収性を有する材料としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェンのような炭素系材料、アルミニウム、チタン、ニッケル、ジルコニウム、タングステン、鉄、銅、金、銀、亜鉛、モリブデン、クロムの単体またはこれらを含む金属化合物、フタロシアニン系化合物、シアニン系化合物、アミニウム系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、ジイモニウム系化合物、アントラキノン系化合物、芳香族ジチオール系金属錯体(例えばニッケル錯体)のような有機系材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。また、金属化合物としては、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物等が挙げられる。
このうち、光吸収材としては特にカーボンブラックが好ましく用いられる。カーボンブラックは、広い波長範囲において高い光吸収性を有しているので、第1カバーフィルム2の光吸収率を十分に高めることに寄与する。また、比較的粒径の揃った粒子を得易いことから、第1カバーフィルム2における光吸収性のムラを抑え、局所的だけではなく光導波路1全体でクロストークの低減を図ることができる点で有用である。
第1カバーフィルム2における光吸収材の含有率は、好ましくは0.1〜30質量%程度に設定され、より好ましくは0.5〜20質量%程度に設定される。光吸収材の含有率を前記範囲内に設定することで、第1カバーフィルム2から透けて見えるコア層13の像の明度やコントラストを低下させることなく、第1カバーフィルム2において漏洩光を十分に吸収することができる。
なお、光吸収材の含有率が前記下限値を下回ると、光吸収材の組成や粒径によっては、光吸収材の含有率が少な過ぎるため、光吸収材による光の吸収確率が低下し、クロストークの発生を抑制することができないおそれがある。一方、光吸収材の含有率が前記上限値を上回ると、光吸収材の組成や粒径によっては、光吸収材の含有率が多過ぎるため、やはり光吸収材による光の散乱、吸収確率が低下し、クロストークの発生を抑制することができないおそれがある。また、多過ぎる光吸収材が第1カバーフィルム2の表面粗さに影響を及ぼし、光吸収材が導波部10を圧迫するなどして、コア部14の伝送損失の増大を招くおそれがある。
粒子状の光吸収材の平均粒径は、特に限定されないが、1〜1000nm程度であるのが好ましく、5〜500nm程度であるのがより好ましい。このような粒径の光吸収材を用いることにより、光吸収材は、漏洩光の吸収確率が特に高くなる。このため、クロストークの発生を抑制するにあたり、第1カバーフィルム2において漏洩光を十分に減衰させることができる。
なお、光吸収材の平均粒径が前記下限値を下回ると、光吸収材の組成や含有率によっては、光の波長に比べて光吸収材の粒径が小さくなり過ぎるため、光吸収材による光の散乱、吸収確率が大きく低下し、クロストークの発生を抑制することができないおそれがある。また、光吸収材の表面積が増えることによる光吸収材同士の凝集が起き、光吸収材の均一な分散が出来なくなることにより、光吸収性のムラが発生するおそれがある。一方、光吸収材の平均粒径が前記上限値を上回ると、光吸収材の組成や含有率によっては、光の波長に比べて光吸収材の粒径が大きくなり過ぎるため、光吸収材が第1カバーフィルム2の表面粗さに影響を及ぼし、光吸収材が導波部10を圧迫するなどして、コア部14の伝送損失の増大を招くおそれがある。
また、光吸収材の平均粒径とは、レーザー散乱回折法による粒度分布測定装置を用いて測定された体積基準の粒度分布において、積算値が50%となるときの粒径のことをいう。
また、第1カバーフィルム2のうち、第1接着層4側の面の算術平均粗さRaは、特に限定されないものの、0.01〜2μm程度であるのが好ましく、0.03〜1μm程度であるのがより好ましく、0.05〜0.5μm程度であるのがさらに好ましい。この面の算術平均表面粗さRaを前記範囲内に設定することで、第1接着層4に漏洩した光を、さらに第1カバーフィルム2側へと導き易くなる。これは、第1カバーフィルム2のうち、第1接着層4側の面が一定の表面粗さを有していることにより、第1カバーフィルム2と第1接着層4との界面における反射確率が低下するとともに散乱、透過確率が上昇するためであると考えられる。その結果、コア部14から漏洩した光が他のコア部14へ侵入するクロストークの発生をより確実に抑制することができる。
なお、第1カバーフィルム2のうち、第1接着層4側の面の算出平均粗さRaが前記下限値を下回ると、反射確率を十分に下げることができないおそれがある。一方、前記上限値を上回ると、表面粗さが大きくなり過ぎて導波部10が圧迫されるため、コア部14の伝送損失が増大するおそれがある。
なお、第1カバーフィルム2と第1クラッド層11との間、および、第2カバーフィルム3と第2クラッド層12との間は、それぞれ圧着、融着、一方の層に他方の層を成膜等の方法で接着されている。
(クロストークの定量化)
なお、このような光導波路1におけるクロストークの程度は、下記のようにして定量化することができる。
図3は、図1に示す光導波路の他の例であって、12本のコア部14を有する光導波路の縦断面図である。
図3に示す光導波路1のコア層13には、前述したコア部14と同様の第1のコア部141、第2のコア部142、第3のコア部143、第4のコア部144、第5のコア部145、第6のコア部146および第7のコア部147がこの順序で並列している。この光導波路1のうち、第1のコア部141に光を入射すると、漏洩した光が第2のコア部142から第7のコア部147の6本を含むその他のコア部14に漏洩し、この漏洩した光は、これらのコア部14の出射端でそれぞれ観察することができる。
そこで、第1のコア部141に光を入射した状態で、光導波路1の出射端に沿って光検出器を走査する。そして、走査距離Xにおいて検出した光の強度YをX−Yグラフにプロットすることにより、クロストークを評価するためのデータを取得する。
図4(a)は、横軸に走査距離(Scanned distance)をとり、縦軸に規格化された光強度(Normalized intensity)をとったグラフの一例を示す。また、図4(b)は、横軸に走査距離をとり、縦軸に各コア部14で測定された光強度の基準値に対する強度比(クロストークの大きさ)をとったグラフの一例を示す。
図4(a)は、光導波路1の出射端に沿って光検出器を走査しつつ、光強度を測定して得られたグラフであり、最も高いピークが第1のコア部141から出射した光強度である。これを基準値として、第2のコア部142ないし第7のコア部147から出射した光強度を規格化し、図4(a)のグラフにプロットしている。図4(a)の矢印で指し示す極小値は、左側から順に、第2のコア部142からの光強度、第3のコア部143からの光強度、第4のコア部144からの光強度、第5のコア部145からの光強度、第6のコア部146からの光強度および第7のコア部147からの光強度を示している。
図4(b)は、図4(a)の矢印で指し示した極小値を黒丸でプロットしたグラフである。図4(b)から明らかなように、6つの黒丸はほぼ直線状に並んでおり、各コア部14のピッチとクロストークの大きさとの間に、一定の相関関係(比例関係)があることを見出すことができる。
そこで、光導波路1の出射端における第1のコア部141と第2のコア部142との離間距離をx[μm]とし、第1のコア部141と第3のコア部143との離間距離をx[μm]とする。
また、第1のコア部141の入射端に光が入射され、第1のコア部141の出射端から出射する光の規格化前の強度をPとし、第2のコア部142の出射端から出射する光の規格化前の強度をPとし、第3のコア部143の出射端から出射する光の規格化前の強度をPとするとき、10log10(P/P)をy[dB]とし、10log10(P/P)をy[dB]とする。これらのy[dB]およびy[dB]が、第2のコア部142から出射した光の強度Pを前述した強度Pを基準値として規格化された強度比、および、第3のコア部143から出射した光の強度Pを前述した強度Pを基準値として規格化された光の強度比である。
さらに、(y−y)/(x−x)をaとする。このaは、図4(b)に見出すことができる近似直線の傾きに相当する。
本発明に係る光導波路は、このaが−0.005[dB/μm]以下であるのが好ましく、−0.01[dB/μm]以下であるのがより好ましく、−0.03[dB/μm]以下であるのがさらに好ましい。aの値は、光導波路1におけるクロストークの波及し易さを示す指標であるといえ、aの値がこのような範囲内であれば、光導波路1はクロストークの波及し易さが十分に小さいものであるといえる。換言すれば、このような光導波路1は、第1のコア部141から漏洩した光が、第2のコア部142や第3のコア部143といった他のコア部14に漏洩し難いという特徴を有するものであるといえる。このため、コア部14のピッチを十分に小さくした場合、一例としてピッチを100μm以下にした場合であっても、S/N比に悪影響を及ぼさない程度にクロストークの程度が小さいといえる。したがって、このような光導波路1は、高密度化しても高品質の光通信を実現可能なものとなる。
また、図4(b)の横軸をX軸とし、縦軸をY軸としたとき、座標(x:y)と座標(x:y)とを結ぶ直線の切片(Y軸との交点)をbとしたとき、このbは、第1のコア部141から漏洩した光の最大値を示す指標、すなわち第1のコア部141から離れるにつれて徐々に減少していくクロストークの初期値であるといえる。したがって、bの値が小さければ小さいほどクロストークの初期値が小さいといえる。
具体的には、bの値が−20[dB]以下であるのが好ましく、−25[dB]以下であるのがより好ましい。
≪第2実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の光導波路の第2実施形態を示す(一部透過して示す)斜視図、図6は、図5に示す光導波路の縦断面図である。なお、図5は、光導波路の一端部のみを図示したものであり、この一端部以外の部位については図示を省略している。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
本実施形態に係る光導波路1は、第1カバーフィルム2と導波部10との間が第1接着層4で接着されており、また、第2カバーフィルム3と導波部10との間が第2接着層5で接着されている以外、第1実施形態と同様である。
このような本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
(接着層)
図5、6に示すように、導波部10と第1カバーフィルム2との間は、第1接着層4を介して接着されており、一方、導波部10と第2カバーフィルム3との間は、第2接着層5を介して接着されている。
第1接着層4は、いかなる材料で構成されていてもよく、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、オレフィン系接着剤、各種ホットメルト接着剤(ポリエステル系、変性オレフィン系)、各種熱硬化性樹脂を主成分とするボンディングシート等の硬化物で構成される。
これらの中でも、第1接着層4の構成材料は、環状オレフィン系樹脂、すなわち、ノルボルネン系化合物、単環の環状オレフィン、環状共役ジエンおよびビニル脂環式炭化水素から選択される少なくとも一種の化合物をモノマーとして含む(共)重合体またはかかる(共)重合体の水素化物等であるのが好ましい。これらの環状オレフィン系樹脂は、光透過性が高く、かつ、耐熱性および耐候性に優れている。このため、環状オレフィン系樹脂で構成された第1接着層4を含む光導波路1は、クロストークの発生をより確実に抑制しつつ、耐熱性および耐候性に優れたものとなる。
また、第1接着層4の平均厚さは、特に限定されないが、1〜200μm程度であるのが好ましく、3〜100μm程度であるのがより好ましく、5〜60μm程度であるのがさらに好ましい。第1接着層4の平均厚さを前記範囲内に設定することで、第1接着層4は、十分な接着性を有するとともに、コア部14から漏洩した光を第1カバーフィルム2へと十分に透過させることができるので、クロストークの発生をさらに確実に抑制することができる。
なお、第1接着層4の厚さが前記下限値を下回ると、第1接着層4や被着体の構成材料によっては、接着力が低下するおそれがある。一方、第1接着層4の厚さが前記上限値を上回ると、光導波路1の機械的特性において第1接着層4が及ぼす影響が大きくなり、光導波路1の耐折性等が低下するおそれがある。
また、第1接着層4の引張弾性率は、特に限定されないが、200〜2000MPa程度であるのが好ましく、300〜1800MPa程度であるのがより好ましく、500〜1600MPa程度であるのがさらに好ましい。第1接着層4の引張弾性率を前記範囲内に設定することにより、光導波路1において、第1接着層4の接着性と応力集中の緩和性とを両立させることができる。
なお、第1接着層4の引張弾性率は、第1接着層4の硬化物についてJIS K 7127に規定された方法に準拠して測定され、測定温度は25℃とする。また、第1接着層4の引張弾性率を測定するときは、光導波路1から第1接着層4を剥離した上で測定するようにしてもよい。
また、第1クラッド層11、コア層13および第2クラッド層12を積層してなる導波部10では、コア層13中のコア部14に入射された光が、コア部14とクラッド部との界面近傍で反射を繰り返しながら伝搬する。この反射は、上述したように、コア部14とクラッド部との屈折率差に基づくものである。
第1接着層4は、その屈折率が第1クラッド層11の屈折率よりも高くなるよう構成されているのが好ましい。これにより、コア部14から第1クラッド層11へと漏洩した光が、第1接着層4を透過して第1カバーフィルム2へと抜け易くなる。その結果、クロストークの発生をより確実に抑制することができる。
より具体的には、第1接着層4の屈折率をRbとし、第1クラッド層11の屈折率をRcとしたとき、Rb−Rcが0.001〜0.5であるのが好ましく、0.005〜0.3であるのがより好ましい。Rb−Rcを前記範囲内に設定することで、クロストークを十分に抑制することができる。
また、第1接着層4の光学膜厚をDbとし、第1クラッド層11の光学膜厚をDcとしたとき、Dc/Dbが0.1〜10であるのが好ましく、0.5〜5であるのより好ましい。Dc/Dbを前記範囲内に設定することで、クロストークの発生を抑制する効果がより顕著になる。
なお、第1カバーフィルム2の場合と同様、第1接着層4にも、必要に応じて、光吸収性を有する光吸収材が添加されていてもよい。
また、第1カバーフィルム2の場合と同様、第1接着層4における光吸収材の含有率は、好ましくは0.1〜30質量%程度に設定され、より好ましくは0.5〜20質量%程度に設定される。
また、第1接着層4の波長850nmの光の吸収率をAb[dB/25μm]とし、第1クラッド層11の波長850nmの光の吸収率をAc[dB/25μm]としたとき、Ab/Acが500〜150,000程度であるのが好ましく、1000〜80,000程度であるのがより好ましい。Ab/Acを前記範囲内に設定することで、コア部14の伝搬効率の低下を抑えつつ、コア部14から漏洩した光を第1接着層4において吸収し、減衰させることができる。これにより、クロストークの発生が抑制される。
なお、Ab/Acが前記下限値を下回ると、第1クラッド層11に対して第1接着層4の光吸収率が小さ過ぎるので、コア部14から漏洩した光を第1接着層4において十分に吸収することができなかったり、あるいは、第1クラッド層11の光吸収率が高くて、コア部14を伝搬する光が第1クラッド層11で吸収され、伝搬効率が低下したりするおそれがある。一方、Ab/Acが前記上限値を上回ると、第1接着層4の光吸収率が大き過ぎるので、第1カバーフィルム2の外側からコア層13を見たとき、第1接着層4から透けて見えるコア層13の像の明度やコントラストが低下するおそれがある。このため、コア層13に形成されているコア部14等の位置を基準にして光導波路1に加工を施す際、加工精度が低下するおそれがある。
また、第1接着層4の波長850nmの光の吸収率Abは、0.1〜10[dB/25μm]程度であるのが好ましく、0.5〜5[dB/25μm]程度であるのがより好ましい。第1接着層4の光吸収率Abを前記範囲内に設定することで、コア部14から漏洩した光を第1接着層4において吸収し、減衰させることができる。これにより、クロストークの発生が抑制される。また、このような効果を確保しつつ、第1カバーフィルム2の外側からコア層13を見たとき、第1接着層4から透けて見えるコア層13の像の明度やコントラストの低下を抑えることができる。
したがって、第1接着層4の光吸収率Abが前記下限値を下回ると、第1接着層4の光吸収率が小さ過ぎるので、コア部14から漏洩した光を第1接着層4において十分に吸収することができなくなり、クロストークの発生を十分に抑制することができなくなるおそれがある。一方、第1接着層4の光吸収率Abが前記上限値を上回ると、第1接着層4の光吸収率が高過ぎるので、第1カバーフィルム2の外側からコア層13を見たとき、第1接着層4から透けて見えるコア層13の像の明度やコントラストが低下し、コア層13中のコア部14等の位置を識別することが困難になるおそれがある。このため、コア部14等の位置を基準にして光導波路1に加工を施す際、加工精度が低下するおそれがある。
なお、第1接着層4の光吸収率は、例えば第1カバーフィルム2と第1接着層4との積層体を試験片として用意し、この試験片の光吸収率を測定した後、第1カバーフィルム2の光吸収率を差し引くことにより求めることができる。また、試験片の光吸収率は、例えば分光光度計を用いて測定される試験片の透過率T[%]および反射率R[%]から、下記式により求めることができる。
光吸収率[%]=100−T[%]−R[%]
また、第1クラッド層11の光吸収率も、同様に、第1クラッド層11の試験片を用意し、例えば分光光度計を用いて測定される試験片の透過率および反射率から、上記式により求めることができる。
また、第1接着層4の光学膜厚をDbとし、第1クラッド層11の光学膜厚をDcとしたとき、Dc/Dbが0.1〜10であるのが好ましく、0.5〜5であるのより好ましい。Dc/Dbを前記範囲内に設定することで、第1接着層4内において漏洩光を十分に吸収し減衰させるための必要かつ十分な膜厚を第1接着層4に確保することができる。このため、クロストークの発生を抑制する効果がより顕著になる。
また、第1接着層4に臨む第1クラッド層11の上面の算術平均粗さRaは、特に限定されないものの、0.01〜0.5μm程度であるのが好ましく、0.03〜0.4μm程度であるのがより好ましく、0.05〜0.3μm程度であるのがさらに好ましい。この面の算術平均表面粗さRaを前記範囲内に設定することで、第1クラッド層11から第1接着層4へ漏洩する光の透過率が上昇するため、コア部14からの漏洩光をさらにコア部14から遠ざけることができる。これは、第1クラッド層11のうち、第1接着層4側の面が一定の表面粗さを有していることにより、第1カバーフィルム2と第1接着層4との界面における反射確率が低下するとともに散乱、透過確率が上昇するためであると考えられる。その結果、コア部14から漏洩した光が他のコア部14へ侵入するクロストークの発生をより確実に抑制することができる。
なお、第1クラッド層11のうち、第1接着層4側の面の算出平均粗さRaが前記下限値を下回ると、第1クラッド層11から第1接着層4へ光が漏洩する確率が低下し、反射確率を十分に下げることが困難になるおそれがある。
以上、第1接着層4について説明したが、第2接着層5の構成については特に限定されないものの、第2接着層5についても第1接着層4と同様に構成することができる。例えば、第2接着層5は、その屈折率が第2クラッド層12の屈折率よりも高くなるよう構成されているのが好ましい。このように第2接着層5の屈折率を第2クラッド層12の屈折率よりも高くすることで、クロストークの発生をさらに抑制し得る。したがって、第1接着層4のみならず、第2接着層5についても上記のように構成することで、クロストークの発生がより確実に抑制されることにより、通信速度等の通信品質をさらに高めることができる。
≪第3実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第3実施形態について説明する。
図7は、本発明の光導波路の第3実施形態を示す(一部透過して示す)斜視図、図8は、図7に示す光導波路の縦断面図である。なお、図7は、光導波路の一端部のみを図示したものであり、この一端部以外の部位については図示を省略している。
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では第1、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図7、8に示す第3実施形態に係る光導波路1は、第1カバーフィルム2および第2カバーフィルム3が省略されている以外、第1実施形態に係る光導波路1と同様である。
以上のような第3実施形態においても第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
<光電気混載基板>
次に、本発明の光電気混載基板の実施形態について説明する。
本実施形態に係る光電気混載基板は、内部または表面に電気配線が敷設された電気配線基板と、電気配線基板上に積層された光導波路(本発明の光導波路)1と、を備える積層体である。
このような光電気混載基板には、さらに光素子や電気素子を搭載することにより、光信号と電気信号の相互変換を行い得る光モジュールが得られる。
電気配線基板は、例えば、絶縁性基板と、その表面または内部に敷設された電気配線と、を備えている。
このうち、絶縁性基板としては、例えば、樹脂基板、セラミックス基板、複合基板等が用いられる。
また、電気配線は、絶縁性基板上に設けられたランド部と接続されている。このランド部は、光素子や電気素子を搭載するための端子として機能する。
発光素子としては、例えば、面発光レーザー(VCSEL)、発光ダイオード(LED)、有機EL素子等の発光素子が挙げられる。
また、受光素子としては、例えば、フォトダイオード(PD、APD)等の受光素子が挙げられる。
また、電気素子としては、例えば、ドライバーIC、トランスインピーダンスアンプ(TIA)、リミッティングアンプ(LA)、またはこれらの素子を複合したコンビネーションIC、CPU(中央演算処理装置)、MPU(マイクロプロセッサーユニット)、LSI、IC、RAM、ROM、コンデンサー、コイル、抵抗、ダイオード等が挙げられる。
<電子機器>
上述したような本発明の光導波路は、他の光学部品との光結合効率に優れたものである。このため、本発明の光導波路を備えることにより、内部において高品質の光通信を行い得る信頼性の高い電子機器が得られる。
本発明の光導波路を備える電子機器としては、例えば、携帯電話、ゲーム機、ルーター装置、WDM装置、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー等の電子機器類が挙げられる。これらの電子機器では、いずれも、例えばLSI等の演算装置とRAM等の記憶装置との間で、大容量のデータを高速に伝送する必要がある。したがって、このような電子機器が本発明の光導波路を備えることにより、電気配線に特有なノイズ、信号劣化等の不具合が解消され、その性能の飛躍的な向上が期待できる。
さらに、光導波路部分では、電気配線に比べて発熱量が大幅に削減される。このため、冷却に要する電力を削減することができ、電子機器全体の消費電力を削減することができる。
以上、本発明の光導波路、光電気混載基板および電子機器について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、本発明の光導波路を備える光電気混載基板や光モジュールは、光導波路と光素子との間で高い光結合効率による光接続が可能になるため、高品質な光通信を行い得るものとなる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.光導波路の製造
(実施例1)
(1)ポリオレフィン系樹脂の合成
水分および酸素濃度がいずれも1ppm以下に制御され、乾燥窒素で満たされたグローブボックス中において、ヘキシルノルボルネン(HxNB)7.2g(40.1mmol)、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン12.9g(40.1mmol)を500mLバイアル瓶に計量し、脱水トルエン60gと酢酸エチル11gを加え、シリコン製のシーラーを被せて上部を密栓した。
次に、100mLバイアルビン中にNi触媒1.56g(3.2mmol)と脱水トルエン10mLを計量し、スターラーチップを入れて密栓し、触媒を十分に撹拌して完全に溶解させた。
このNi触媒溶液1mLをシリンジで正確に計量し、上記2種のノルボルネンを溶解させたバイアル瓶中に定量的に注入し室温で1時間撹拌したところ、著しい粘度上昇が確認された。この時点で栓を抜き、テトラヒドロフラン(THF)60gを加えて撹拌を行い、反応溶液を得た。
100mLビーカーに無水酢酸9.5g、過酸化水素水18g(濃度30%)、イオン交換水30gを加えて撹拌し、その場で過酢酸水溶液を調製した。次にこの水溶液全量を上記反応溶液に加えて12時間撹拌してNiの還元処理を行った。
次に、処理の完了した反応溶液を分液ロートに移し替え、下部の水層を除去した後、イソプロピルアルコールの30%水溶液を100mL加えて激しく撹拌を行った。静置して完全に二層分離が行われた後で水層を除去した。この水洗プロセスを合計で3回繰り返した後、油層を大過剰のアセトン中に滴下して生成したポリマーを再沈殿させ、ろ過によりろ液と分別した後、60℃に設定した真空乾燥機中で12時間加熱乾燥を行うことにより、ポリマー#1を得た。ポリマー#1の分子量分布は、GPC測定により、Mw=10万、Mn=4万であった。また、ポリマー#1中の各構造単位のモル比は、NMRによる同定により、ヘキシルノルボルネン構造単位が50mol%、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン構造単位が50mol%であった。
(2)コア層形成用組成物の製造
精製した上記ポリマー#1 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、シクロヘキシルオキセタンモノマー(東亜合成製 CHOX、CAS#483303−25−9、分子量186、沸点125℃/1.33kPa)2g、重合開始剤(光酸発生剤) RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(0.025g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄なコア層形成用組成物を得た。なお、ポリマー#1は、活性放射線の照射により離脱性基が離脱する機能を有しており、いわゆるフォトブリーチング現象が生じるものである。
(3)クラッド層形成用組成物の製造
精製した上記ポリマー#1の各構造単位のモル比を、ヘキシルノルボルネン構造単位80mol%、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン構造単位20mol%にそれぞれ変更したものを、前記ポリマー#1に代えて用いるようにした以外はコア層形成用組成物と同様にしてクラッド層形成用組成物を得た。
(4)第1クラッド層の作製
離型層を形成した基材フィルム上に、(3)で製造したクラッド層形成用組成物をドクターブレードにより均一に塗布した後、50℃の乾燥機に10分間投入した。溶媒を完全に除去した後、UV露光機で全面に紫外線を照射し、塗布した組成物を硬化させた。これにより、無色透明な第1クラッド層を得た。なお、紫外線の積算光量は500mJ/cmとした。なお、第1クラッド層の厚さCは、表1に示すように設定した。
(5)コア層の作製
離型層を軽視した基材フィルム上に、(2)で製造したコア層形成用組成物をドクターブレードにより均一に塗布した後、50℃の乾燥機に10分間投入した。溶媒を完全に除去して被膜とした後、得られた被膜上に、ライン、スペースの直線パターンが全面に描かれたフォトマスクを圧着した。そして、フォトマスク上から平行露光機により紫外線を照射した。なお、紫外線の積算光量は1300mJ/cmとした。
次いで、フォトマスクを取り去り、150℃のオーブンに30分間投入した。オーブンから取り出すと、被膜には鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。また、コア部の本数は8本とした。また、隣り合うコア部同士の離間距離S、コア部の幅Lおよびコア部の高さHは、それぞれ表1に示すように設定した。
(6)第2クラッド層の作製
離型層を形成した基材フィルム上に、(4)と同様にしてクラッド層形成用組成物を塗布し、無色透明な第2クラッド層を得た。なお、第2クラッド層の厚さは、第1クラッド層と同じになるようにした。
(7)導波部の製造
まず、第1クラッド層上にコア層を重ねた。そして、コア層に付いていた基材フィルムを剥離した。
次いで、コア層上に第2クラッド層を重ねた。そして、第2クラッド層に付いていた基材フィルムを剥離した。
その後、積層した第1クラッド層、コア層および第2クラッド層の積層体を加圧し、各層を互いに圧着した。これにより、導波部を得た。
(8)カバーフィルムの積層
次いで、厚さ25μmのポリイミドフィルム(第1カバーフィルム)上に、(3)で製造したクラッド層形成用組成物をドクターブレードにより均一に塗布した。これにより、未硬化の接着層を得た。なお、未硬化の接着層の膜厚は、硬化後の平均厚さが表1に示す値になるようにした。
次いで、未硬化の接着層上に、導波部を積層した。
同様に、ポリイミドフィルム(第2カバーフィルム)上にクラッド層形成用組成物を均一に塗布した。これにより、未硬化の接着層を得た。なお、未硬化の接着層の膜厚は、硬化後の平均厚さが表1に示す値になるようにした。
次いで、ポリイミドフィルム(第2カバーフィルム)が上になるようフィルムを反転させ、導波部の上に接着層が来るように積層し、積層体を得た。
次いで、得られた積層体を50℃の乾燥機に10分間投入した。未硬化の接着層から溶媒を完全に除去した後、UV露光機で全面に紫外線を照射し、塗布した組成物を硬化させた。これにより、第1接着層および第2接着層を得た。なお、紫外線の積算光量は500mJ/cmとした。
以上のようにして光導波路を得た。なお、第1カバーフィルムの構成を表1に示す。また、第2カバーフィルムの構成については、第1カバーフィルムと同じ構成になるようにした。
また、表1において、第1接着層の光学膜厚をDbとし、第1クラッド層の光学膜厚をDcとした。
(実施例2〜7、12、13)
導波部、第1カバーフィルム、第2カバーフィルムの構成を、表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして光導波路を得た。
(比較例1、2)
導波部、第1カバーフィルムおよび第2カバーフィルムの構成を、表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして光導波路を得た。
(実施例8〜11)
導波部、第1カバーフィルムおよび第2カバーフィルムの構成を、表1に示すように変更するとともに、導波部と第1カバーフィルムとの間および導波部と第2カバーフィルムとの間をそれぞれ下記の接着層を介して接着するようにした以外は、それぞれ実施例1と同様にして光導波路を得た。
(1)接着層形成用組成物の製造
実施例1の(3)で製造したクラッド層形成用組成物に、カーボンブラックを添加し、混練した。これにより、接着層形成用組成物を調製した。なお、カーボンブラックは、接着層形成用組成物の硬化後において、カーボンブラックの含有率が表1に示す値になるように添加した。また、使用したカーボンブラックの平均粒径は20nmであった。なお、表1中では、カーボンブラックを「CB」と表記している。
また、表1において、第1接着層の波長850nmの光の吸収率をAb[dB/25μm]とし、第1クラッド層の波長850nmの光の吸収率をAc[dB/25μm]とした。
2.光導波路の評価
2.1 クロストークの評価
各実施例および各比較例で得られた光導波路のうち、1つのコア部の入射面に対向するように、直径50μmの入射側光ファイバーを配置した。この入射側光ファイバーは、光導波路に光を入射するための発光素子に接続されており、その光軸とコア部の光軸とが一致するよう配置されている。
一方、光導波路の出射面には、これに対向するように、直径50μmの出射側光ファイバーを配置した。この出射側光ファイバーは、出射面との離間距離を一定に維持した状態で、出射面に沿って走査し得るよう構成されている。
そして、入射側光ファイバーからコア部の1つに光を入射しつつ、出射側光ファイバーを走査させた。そして、出射側光ファイバーの位置に対して受光素子で測定された出射光の強度を測定することにより、出射面の位置に対する出射光の強度分布を取得した。
次いで、前述したクロストークの定量化方法により、aの値(クロストークの波及し易さ)およびbの値(クロストークの初期値)を求めた。
そして、求めたaの値およびbの値を、それぞれ以下の評価基準にしたがって評価した。
<クロストークの波及し易さ(a)の評価基準>
A:aの値が−0.04[dB/μm]以下である
B:aの値が−0.04[dB/μm]超−0.03[dB/μm]以下である
C:aの値が−0.03[dB/μm]超−0.02[dB/μm]以下である
D:aの値が−0.02[dB/μm]超−0.01[dB/μm]以下である
E:aの値が−0.01[dB/μm]超−0.005[dB/μm]以下である
F:aの値が−0.005[dB/μm]超である
<クロストークの初期値(b)の評価基準>
A:bの値が−30[dB]以下である
B:bの値が−30[dB]超−25[dB]以下である
C:bの値が−25[dB]超−20[dB]以下である
D:bの値が−20[dB]超−15[dB]以下である
E:bの値が−15[dB]超−10[dB]以下である
F:bの値が−10[dB]超である
2.2 コア層の視認性の評価
各実施例および各比較例で得られた光導波路について、第1カバーフィルム側からコア層を観察し、観察画像を撮影した。そして、得られた観察画像上から、コア層中に形成されたコア部の幅を読み取り、これを目視幅とした。
一方、この光導波路のコア層と上側クラッド層との界面を剥離し、再びコア層の観察画像を撮影した。そして、得られた観察画像上から、コア層中に形成されたコア部の幅を読み取り、これを実測幅とした。
次いで、目視幅と実測幅との差の絶対値、すなわち読み取り誤差を算出した。そして、算出した読み取り誤差を、以下の評価基準にしたがって評価した。
<読み取り誤差の評価基準>
A:読み取り誤差が0.5μm未満である
B:読み取り誤差が0.5μm以上1μm未満である
C:読み取り誤差が1μm以上1.5μm未満である
D:読み取り誤差が1.5μm以上2μm未満である
E:読み取り誤差が2μm以上2.5μm未満である
F:読み取り誤差が2.5μm以上である
2.3 曲げ損失の評価
各実施例および各比較例で得られた光導波路について、社団法人 日本電子回路工業会が規定した「高分子光導波路の試験方法(JPCA−PE02−05−01S−2008)」の4.6.4曲げ損失の測定方法の測定2に準拠して360度湾曲させた。このとき、曲げ半径を5mmとした。
次いで、この状態を維持しながら、コア部の一端と、傾斜面(ミラー)を介してコア部と結合される光導波路表面との間について、挿入損失を測定した。その後、光導波路を曲げ、その状態で再び挿入損失を測定した。そして、これらの挿入損失の差を曲げ損失とし、算出した曲げ損失を以下の評価基準にしたがって評価した。また、測定には、波長850nmの光を用いた。
<曲げ損失の評価基準>
A:曲げ損失が非常に小さい(0.2dB未満)
B:曲げ損失が小さい(0.2dB以上0.5dB未満)
C:曲げ損失がやや小さい(0.5dB以上1.0dB未満)
D:曲げ損失がやや大きい(1.0dB以上1.5dB未満)
E:曲げ損失が大きい(1.5dB以上2dB未満)
F:曲げ損失が非常に大きい(2dB以上)
2.4 耐折性の評価
各実施例および各比較例で得られた光導波路について、社団法人 日本電子回路工業会が規定した「高分子光導波路の試験方法(JPCA−PE02−05−01S−2008)」の6.1.2耐折試験に準拠して引張力をかけながら屈曲させる試験を行った。そして、試験前の挿入損失に対する試験後の挿入損失の増分を算出し、これを以下の評価基準に照らして評価した。なお、測定には、波長850nmの光を用いた。また、引張荷重は5N、回転速さは毎分90回、屈曲角度を135°、屈曲回数を1000回、曲げ半径を2mmとした。
<耐折試験による挿入損失の増分の評価基準>
A:増分が非常に小さい(0.2dB未満)
B:増分が小さい(0.2dB以上0.5dB未満)
C:増分がやや小さい(0.5dB以上1.0dB未満)
D:増分がやや大きい(1.0dB以上1.5dB未満)
E:増分が大きい(1.5dB以上2dB未満)
F:増分が非常に大きい(2dB以上)
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2015087660
表1から明らかなように、各実施例で得られた光導波路は、いずれも各比較例で得られた光導波路に比べて、クロストークが小さく、コア層の視認性が比較的高いことが認められた。
1 光導波路
10 導波部
11 第1クラッド層
12 第2クラッド層
13 コア層
14 コア部
141 第1のコア部
142 第2のコア部
143 第3のコア部
144 第4のコア部
145 第5のコア部
146 第6のコア部
147 第7のコア部
15 側面クラッド部
2 第1カバーフィルム
21 上面
3 第2カバーフィルム
4 第1接着層
5 第2接着層

Claims (6)

  1. 複数のコア部が形成されているコア層と、
    前記コア層の一方の面に積層されている第1クラッド層と、
    前記コア層の他方の面に積層されている第2クラッド層と、
    を有し、
    隣り合う前記コア部同士の離間距離をSとし、前記第1クラッド層の厚さをCとしたとき、0.1<S/C<10の関係を満足することを特徴とする光導波路。
  2. 前記コア部の幅をLとし、前記コア部の高さをHとしたとき、0.8<L/H<1.2の関係を満足する請求項1に記載の光導波路。
  3. 前記離間距離Sは、5〜100μmであり、前記第1クラッド層の厚さCは、2〜20μmである請求項1または2に記載の光導波路。
  4. さらに、前記第1クラッド層の前記コア層とは反対側に設けられた第1保護層と、
    前記第2クラッド層の前記コア層とは反対側に設けられた第2保護層と、
    を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光導波路。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光導波路を備えることを特徴とする光電気混載基板。
  6. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光導波路を備えることを特徴とする電子機器。
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