JP2015087156A - 軸受素材の超音波探傷検査方法 - Google Patents

軸受素材の超音波探傷検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】探傷を行う被測定物素材の周方向、長手方向、径方向の各方向において、連続した領域について探傷を行える超音波探傷検査方法を提供する。
【解決手段】被測定物素材に探触子から超音波を送信し、その反射波を受信して当該被測定物素材内に存在する内部欠陥を超音波探傷検査する際に、前記被測定物素材を円錐状素材に加工し、当該円錐状素材を回転させ、且つ、前記探触子を当該円錐状素材の長手方向及び径方向に移動させて当該円錐状素材の外形面に沿った位置へと案内し、超音波探傷検査を行なう。
【選択図】図2

Description

本発明は、転がり軸受の軸受軌道輪、転動体の素材内に存在する内部欠陥を超音波により探傷検査する方法に関する。
一般に、転がり軸受の軸受軌道輪素材や転動体素材はSUJ2等の軸受鋼を円柱状に加工して製鋼されており、このような素材内に内部欠陥が存在すると、転がり軸受の寿命を低下させる原因となる。したがって、製鋼された素材を受け入れる際にはこの素材(以下「被測定物素材」)を超音波により探傷検査し、内部欠陥が無いことを確認してから、旋削などの工程に回されている。
上述した内部欠陥の検査は、最も簡易的には、図4に示すように、円柱状の被測定物素材21の外周面から軸心方向に所定範囲Sに亘って探傷検査する方法が考えられる。図4(a)は円柱状被測定物素材21の斜視図、(b)は当該円柱状被測定物素材21の長手方向断面図であり、探傷範囲Sを図4(b)にハッチング表示している。しかしながらこの方法では、もし素材の中心部に内部欠陥が偏在している場合には、これを検出することができない。従ってこの素材の中心部も例えば内輪や転動体として使用する場合には、かかる方法は必ずしも適切とは思われない。円柱状被測定物素材の外周面から軸心までを探傷できることがより望ましい。
このために、従来においては、次のような方法で被測定物素材の超音波探傷検査を行なっている。
たとえば、被測定物素材の外径が60mmであるとすると、最初に外径60mmで超音波探傷検査を行ない、次に被測定物素材の外径を40mmに削り込んで超音波探傷検査を行ない、最後に被測定物素材の外径を20mmに削り込んで超音波探傷検査を行なっている。このような方法によると、数ミリ程度の微小な内部欠陥までも検出することができるが、被測定物素材に旋削や研削等の機械加工を行い、超音波探傷検査を数回に分けて行なう必要があるため、手間がかかるという問題点を有していた。
このような問題を解決する技術として、図5に示す方法が提案されている(特許文献1)。被測定物素材31に存在する内部欠陥を超音波探傷検査する際に、被測定物素材31の外形面35を段付き形状に加工して超音波探傷検査を行なうものである。このような方法によると、複数の所定径の部分については探傷を行えるが、径方向全域についての探傷を行なおうとすると、段差の数を多くする必要がある。また、被測定物素材の長手方向両端部、及び段差部近傍(図5中ハッチング表示部)は超音波信号の送信・受信が乱れる為、必ずしもノイズの無い状態での探傷が困難であり、所定の長さ全域についての連続的な探傷が難しいという問題がある。
探傷の対象となる部分は必ずしも連続した領域である必要は無いが、探傷の信頼性の面からは、所定範囲の素材の周方向、長手方向、径方向の各方向において、連続した領域について探傷を行えるのがより望ましい。
特開2005−337991号公報
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、探傷を行う被測定物素材の周方向、長手方向、径方向の各方向において、連続した領域について探傷を行える超音波探傷検査方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る被測定物素材の超音波探傷検査方法は、
被測定物素材に探触子から超音波を送信し、その反射波を受信して当該被測定物素材内に存在する内部欠陥を超音波探傷検査する際に、前記被測定物素材を円錐状素材に加工し、当該円錐状素材を回転させ、且つ、前記探触子を当該円錐状素材の長手方向及び径方向に移動させて当該円錐状素材の外形面に沿った位置へと案内し、超音波探傷検査を行なうことを特徴とする。
本発明に係る被測定物素材の超音波探傷検査方法によれば、円錐状素材に加工した被測定物素材を回転させ、且つ、この円錐状素材の外形面に沿った位置に探触子を案内することで、被測定物素材の内部における内部欠陥を、被測定物素材の周方向、長手方向、径方向において連続的に探傷することが可能となる。このために、被測定物素材のよりきめ細かな探傷を行なうことが可能となり、被測定物素材品質をより確実に保証することが可能となる。
(a)は本発明に係る超音波探傷検査方法に使用される被測定物素材の斜視図、(b)は長手方向断面図、 本発明に係る超音波探傷検査方法を説明するための説明図、 本発明に係る超音波探傷検査方法を示すフローチャート、 (a)は従来の超音波探傷検査方法に使用される被測定物素材の斜視図、(b)は長手方向断面図、 さらに別の従来の超音波探傷検査方法の説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)は、本発明に係る被測定物素材の超音波探傷検査方法に使用される被測定物素材1の斜視図、(b)は長手方向断面図、図2は本発明に係る超音波探傷検査方法を説明するための説明図である。図において、符号1は検査対象物である被測定物素材である。この被測定物素材1は全体として円錐状素材に形成されており、上部の測定対象部1aは円錐台状に、測定時に三つ爪チャック13にて保持される下部の保持部1bは円柱状に形成されている。
図2に示すように、円錐状素材1の超音波探傷検査装置は、水等の超音波伝質媒体2が充満された媒体槽(水槽)3内に配置された回転テーブル4上に、検査対象物である円錐状素材1が、その軸心を回転テーブル4の中心軸に一致させて縦置きされている。
円錐状素材1の外形面5に対して一定の距離をもって超音波探触子8が配置されている。超音波伝質媒体2中に円錐状素材1を浸漬した状態で円錐状素材1を軸心回りに回転させながら超音波探傷することによって円錐状素材1の表面及び内部の内部欠陥の検査が行われる。超音波探触子8の検出信号は、媒体槽3の外部に配置された探傷器10に送られるようになっている。
超音波探傷が行われる円錐状素材1は、例えば軸受の転動体のコロに使用されるものであり、その大きさは、例えば直径100〜200mmで、全長300〜500mm程度であるが、これに限定されるものではない。
媒体槽3は、その底面に回転テーブル4を配置できる大きさで、回転テーブル4の上に円錐状素材1を縦置きしたとき、円錐状素材1の全長を超音波伝質媒体2中に沈めることができる深さを備えていればよい。
回転テーブル4は、円錐状素材1が縦置きされる上面が水平になるように媒体槽3の底面に配置され、図示を省略したモータによって図中矢印C方向に回転するようになっている。円錐状素材1は、その軸心を回転テーブル4の中心軸(回転軸)に一致させるようにしてセンタリングされて固定される。
回転テーブル4上には、円錐状素材1を縦置きに固定するための保持部材12が配置されている。保持部材12は、例えば、円錐状素材1の下部1bを支持するために、円錐状素材1の外周に沿って周方向に等間隔に3つの爪が配置された三つ爪チャック13を備えている。
このように、円錐状素材1を保持部材12の三つ爪チャック13によって保持し、回転テーブル4上に縦置きするようにすると、回転テーブル4に対するセンタリングが容易となり、作業効率が向上する。さらに、保持部材12で円錐状素材1を固定することにより、回転中も円錐状素材1の転倒が抑制される。
超音波探触子8は、円錐状素材1とともに、水等の超音波伝質媒体2が充満された媒体槽3中に浸漬され、円錐状素材1に対して超音波を送信し、送信された超音波によって円錐状素材1内で生起された反射波を受信し、受信された信号を波形信号に変換し、この波形信号を検出信号として、媒体槽3の外部に設置された探傷器10に送信する。
超音波探触子8は、特に限定されるものではないが、例えば、周波数20MHzの焦点型のものが用いられ、これを円錐状素材1の外形面より一定の距離を保った位置に配置する。そして、円錐状素材1が1回転する毎に、図中の矢印Y方向(円錐状素材1の長手方向)及び、矢印X方向(円錐状素材1の径方向)に、円錐状素材1の外形面5に沿った位置に案内され、引き続き探傷することで円錐状素材1内部の内部欠陥の検査が行われる。
このとき超音波探触子8は、円錐状素材1の円錐の頂角2θ(図1(b)参照)の1/2の角度θだけ水平方向に対して傾けられている。これにより、円錐状素材1の外形面5に対して垂直探傷し、円錐状素材1の表面及び材料内部(例えば、外形面5の表面直下1mmから15mmの深さ位置程度)の内部欠陥の検査が行われる。図1(b)には探傷範囲Aをハッチングで示している。
探傷器10は、記録計を備え、受信した検出信号を記録する。また、探傷器10は、探傷時に、超音波探触子8と信号授受を行いながら、図示を省略した超音波探触子移動機構を制御して、上述したように超音波探触子8を円錐状素材1の外形面5に沿った位置に案内する。
図3は、円錐状素材の超音波検査方法を示すフローチャートである。以下、図3のフローチャートを用いて、上実施形態に係る円錐状素材の超音波検査の方法を説明する。
まず、図3のステップS100において、水等の超音波伝質媒体2が充満された媒体槽3内に配置された回転テーブル4上に円錐状素材1を縦置きにセットする。回転テーブル4の上面は水平に配置されており、その中心軸に円錐状素材1の軸心を一致させて円錐状素材1の一端面を回転テーブル4の上面に載せる。回転テーブル4は保持部材12を備えており、円錐状素材1の一端を三つ爪チャック13で挟むようにして固定する。これにより、円錐状素材1のセンタリングが容易となるとともに、その後の探傷において円錐状素材1の転倒防止にもなる。
次に、ステップS110において、縦置きされた円錐状素材1の軸方向一端部近傍に、外形面から一定の距離を置いて、超音波探触子8をセットする。上述したように、この距離は超音波探触子8の焦点距離に依るが、円錐状素材1の外形面から大体5〜20mm程度離して超音波探触子8を配置する。
次に、ステップS120において、図示を省略したモータによって回転テーブル4を回転させることによって、図2矢印C方向に、円錐状素材1をその軸心の回りに一定の速度で回転させ探傷を行なう。
次に、ステップS130において、超音波探触子8を、図2矢印Y方向(円錐状素材1の長手方向)及び、矢印X方向(円錐状素材1の径方向)に移動させて、円錐状素材1の外形面5に沿った位置に案内し、引続いて探傷を行う。このとき、円錐状素材1が1回転する毎に、超音波探触子8を円錐状素材1の外形面5に沿った位置に移動させ、探傷するようにする。なお、探傷は、このように円錐状素材1が1回転する毎に、超音波探触子8を移動させるのではなく、円錐状素材1の回転とともに、超音波探触子8を円錐状素材1の外形面5に沿って一定の速度で移動させ、結果的に円錐状素材1の外形面を渦巻き螺旋状に走査するようにしてもよい。
ステップS140において、このように超音波探触子8によって検出された検出信号は、探傷器10に送信され、探傷器10の記録計に記録される。このようにして、円錐状素材1の表面及び内部の内部欠陥の検査が行われる。
そして、ステップS150において、超音波探触子8が円錐状素材1の軸方向の他端部に到達したら探傷を終了し、回転テーブル4の回転を停止する。なお、一つの円錐状素材1の探傷は、このように一回の走査で終了するのではなく、再度超音波探触子8を円錐状素材1の一端に移動して同様に探傷を行い、複数回超音波探傷を行った結果を同期加算することにより、内部欠陥の検査の精度向上を図るようにしてもよい。
最後に、ステップS160において、回転テーブル4から円錐状素材1を取り外す。
このように、円錐状素材に加工した被測定物素材を回転させ、且つ、この円錐状素材の外形面に沿った位置に探触子を案内することで、被測定物素材の内部における内部欠陥の検査を、被測定物素材の周方向、長手方向及び径方向において連続的に探傷することが可能となる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。たとえば、探触子は、円錐状素材の大径側から小径側に移動させるようにしてもよい。
1 円錐状素材(被測定物素材)
2 水
3 水槽
5 外形面
8 超音波探傷用探触子

Claims (1)

  1. 被測定物素材に探触子から超音波を送信し、その反射波を受信して当該被測定物素材内に存在する内部欠陥を超音波探傷検査する際に、前記被測定物素材を円錐状素材に加工し、当該円錐状素材を回転させ、且つ、前記探触子を当該円錐状素材の長手方向及び径方向に移動させて当該円錐状素材の外形面に沿った位置へと案内し、超音波探傷検査を行なうことを特徴とする被測定物素材の超音波探傷検査方法。

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