JP2015087132A - 信号検出装置および信号検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スペクトラムセンシングにおける信号の検出性能を向上させること。
【解決手段】実施形態によれば信号検出装置は、N(Nは3以上の自然数)個のアンテナ素子と、受信信号に基づいて推定される到来波の到来方位を示すスペクトラム情報を出力する推定部と、スペクトラム情報に基づいて到来波を検出する検出部とを具備する。推定部は、N個のアンテナ素子から選択されたM(MはNより小さい自然数)個のアンテナ素子を含む複数のアンテナグループごとに、インターフェロメータ方式により到来方位を推定する。また推定部は、アンテナグループごとに推定された到来方位の分散が既定値を越えれば、当該到来方位の由来を雑音と判定する。また推定部は、アンテナグループごとに推定された到来方位の分散が既定値以下であれば、当該到来方位の由来を信号と判定する。検出部は、信号を由来とするスペクトラム情報に基づいて、受信信号から到来波を検出する。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、スペクトラムセンシング技術に関する。
スペクトラムセンシングは無線信号を検出するための汎用性の高い技術であり、違法無線機を捕捉するための装置や、いわゆるコグニティ無線技術などにおいて応用されている。例えば、電力スペクトラム、方位スペクトラム、仰角スペクトラム、および信号存在確率の4種類の情報を処理することで信号をグループ化し、検出するという技術が知られている。この技術は、複数のスペクトラム情報を用いて、周波数の接近する信号をそれぞれ区別して検出するものである。
近年の電波環境はLPI(low probability of intercept)信号が増加する傾向にある。また、コグニティブ無線技術も活発に運用されてきている。これらのことはスペクトラムセンシングの実施には酷な状況をもたらす。さらに、スペクトラムセンシング可能なレンジの拡大も要求されるようになってきており、技術革新を求められている。特に混信環境下におけるスペクトラムセンシング性能の向上を求められている。
一般的に、混信環境下ではスペクトラムセンシングを正しく機能させることが難しい。ましてCNR(carrier noise ratio)の低い環境下ではなおさらである。このような過酷な電波環境下においても安定して機能するスペクトラムセンシング技術が望まれている。
目的は、検出性能を向上させた信号検出装置および信号検出方法を提供することにある。
実施形態によれば、信号検出装置は、それぞれ受信信号を出力するN(Nは3以上の自然数)個のアンテナ素子と、受信信号に基づいて推定される到来波の到来方位を示すスペクトラム情報を出力する推定部と、スペクトラム情報に基づいて到来波を検出する検出部とを具備する。推定部は、N個のアンテナ素子から選択されたM(MはNより小さい自然数)個のアンテナ素子を含む複数のアンテナグループごとに、インターフェロメータ方式により到来方位を推定する。また推定部は、アンテナグループごとに推定された到来方位の分散が既定値を越えれば、当該到来方位の由来を雑音と判定する。また推定部は、アンテナグループごとに推定された到来方位の分散が既定値以下であれば、当該到来方位の由来を信号と判定する。検出部は、信号を由来とするスペクトラム情報に基づいて、受信信号から到来波を検出する。
図1は、本発明の信号検出装置を適用可能な受信装置の一例を示す図である。 図2は、方位推定処理部120による処理手順の一例を示すフローチャートである。 図3は、アンテナ素子の選択の一例を示す図である。 図4は、アンテナグループDoA1〜DoA12ごとに推定された到来方位の分布の一例を示す図である。 図5は、アンテナグループDoA1〜DoA12ごとに推定された到来方位の分布の他の例を示す図である。
図1は、本発明の信号検出装置を適用可能な受信装置の一例を示す図である。図1において、アンテナ素子101〜10Nはアンテナ面に配列されてアレイアンテナまたはマルチアンテナを形成し、無線周波数の到来波をRF(radio frequency)帯域〜IF(intermediate frequency)帯域の受信信号(あるいはベースバンド信号)に変換する。この受信信号はダイバーシチ信号処理部110および方位推定処理部120に分配入力される。
ダイバーシチ信号処理部110および方位推定処理部120はそれぞれ2種類のスペクトラムを計算する。ダイバーシチ信号処理部110は、フェージングの悪影響を軽減するために、アンテナ素子101〜10Nからの各受信信号を既知のダイバーシチ技術によりダイバーシチ合成する。その方法には固有ビーム法や選択合成法など、幾つかのアレイアンテナ信号処理方法が知られている。なおNは、3以上の自然数とする。
方位推定処理部120は、アンテナ素子101〜10Nからの各受信信号に基づいてインターフェロメータ方式により到来波の到来方向(あるいは到来方位)を推定する。信号検出処理部130は、ダイバーシチ信号処理部110から出力されるダイバーシチ合成された受信信号と、方位推定処理部120から出力されるスペクトラム情報とに基づいて、到来波の電力スペクトラムを検出する。次に、上記構成における作用を説明する。
図2は、方位推定処理部120による処理手順の一例を示すフローチャートである。図2において方位推定処理部120は、先ず、N個のアンテナ素子から例えば3個のアンテナ素子を選択して一つのアンテナグループとする(ステップS1)。例えば図3に示されるように、12本のアンテナ素子(N=3)から隣り合う3本のアンテナ素子を選択することができる。このケースでは12通りのアンテナ素子の組み合わせ(アンテナグループ)が得られる。
図3においては最初のアンテナグループをDoA(direction of arrival)1とし、DoA1から順次時計回りに選択されたアンテナグループをそれぞれDoA2〜DoA12として区別する。図3に示されるようにアンテナ素子の選択に際して対称性を考慮することで、インターフェロメータ方式におけるアンギュビリティを解消することができる。
図2に戻り、方位推定処理部120はアンテナグループDoA1〜DoA12ごとに3本のアンテナ素子を用いたインターフェロメータ処理を行い、到来波の到来方位を算出する(ステップS2)。全てのアンテナグループDoA1〜DoA12に対して到来方位が算出されると、方位推定処理部120は算出された各値の分散、つまり、各アンテナグループごとに算出された方位推定結果の分散を計算する(ステップS3)。
図4は、アンテナグループDoA1〜DoA12ごとに推定された到来方位の分布の一例を示す図である。図4に示される到来方位は比較的一定の値をとっており、従って分散は小さな値になる。信号部分により算出される到来方位は比較的安定した値を取ることが期待されるので、図4に示されるような分布を示す。
一方、図5に示される他の例においては、到来方位の値にばらつきが大きく、従って分散は図4よりも大きな値になる。雑音部分により算出される到来方位は不安定な値になることから、図5に示されるような分布を示す。つまり図4は信号部分を反映する分布を示しており、図5は雑音部分を反映する分布を示している。
図4および図5に示されるように、雑音部分の方位は一様に分布することが期待される。これに対し信号部分の方位は、信号部分に含まれる送信源が1つであれば、信号の到来方向を向く。この性質を用いることで、インターフェロメータ方式によって信号部分の方位を安定的かつ選択的に得ることができる。
再び図2に戻り、方位推定処理部120はステップS3で算出された分散に対する閾値判定を行う(ステップS4)。例えば、インターフェロメータの方位推定精度の程度の値を閾値に設定することができる。あるいは、想定される検出限界のCNRに対する方位推定結果を閾値に設定することができる。
ステップS4において分散が既定の閾値を越えていれば(Yes)、方位推定処理部120は算出された到来方向が雑音に由来するものと判定し、方位なしを内部メモリなどにセットする(ステップS5)。
一方、分散が閾値以下であれば(No)、方位推定処理部120は算出された到来方向が実際に存在する信号に由来するものと判定し、アンテナグループDoA1〜DoA12ごとに推定された到来方位の平均値を計算する(ステップS6)。
以上の処理により、電力スペクトラムと方位スペクトラムとが、いずれも周波数と時間との関数として算出される。これらの電力スペクトラムおよび方位スペクトラムは、スペクトラム情報として方位推定処理部120から信号検出処理部130に渡される。信号検出処理部130はこれらのスペクトラム情報(電力スペクトラムおよび方位スペクトラム)に基づいて信号検出処理を行う。
信号検出処理において、信号検出処理部130は電力スペクトラムのレベルが閾値を超える部分を1とし、検出閾値を下回る部分を0とすることで電力スペクトラムを二値化する。なお、この二値化処理に用いられる閾値は信号部分と雑音部分とを区別するための閾値(図5のステップS4で用いられる値)とは異なる値である。
方位スペクトラムについては、信号検出処理部130は方位スペクトラムの雑音領域を0とし、信号領域を1とする二値化処理を行う。雑音領域と信号領域とを区別するには、インターフェロメータによる方位の推定結果を利用可能である。次に信号検出処理部130は、二値化された電力スペクトラムと方位スペクトラムに対して論理和演算を実行する。論理輪演算は、周波数方向と時間方向との双方について実施される。
次に信号検出処理部130は、論理和の結果に対応する領域の境界を判定する。この判定には画像処理などの既知の技術を用いればよい。次に信号検出処理部130は、領域の境界に複数の方位含まれるか否かを確認し、複数の方位が含まれていれば混信が発生していると判断する。複数の方位が含まれていなければ混信が発生していないと判断する。
さらに信号検出処理部130は、混信が発生していた場合は、電力スペクトラムの変化がある領域と方位スペクトラムの変化がある領域とを検出する。以上の処理手順に基づいて得られる情報から、信号検出処理部130は信号の中心周波数、信号帯域幅、信号出現時間、信号消滅時間などを算出する。
以上説明したようにこの実施形態では、複数のアンテナ素子を含む複数のアンテナグループごとにインターフェロメータ処理を実行し、アンテナグループごとに信号の到来方位を推定する。
インターフェロメータ方式は、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法やESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotation Invariance Techniques)法などの処理方式に比べて精度は高くなく、同時に推定可能な到来方位が1つであるという制限を伴う。しかしながら演算コストは他の方式に比べて格段に低く、また非常に高速に結果を得ることができる。よって信号検出などの、フロントエンドに近い部分での処理には非常に有利である。殊に対称性を有するアンテナ配置(例えば図2に示される円形の配置など)を想定すると、インターフェロメータ方式には例えば次の3つの利点がある。
(1) アンテナ素子間の結合が等しい。
(2) アンテナマストの結合が最小である。
(3) 対称性により方向の独立な特性が、異なる位置で有利に機能する。
すなわちインターフェロメータ方式は、対称性を持つアンテナ配置と親和性がよい。対称性を有するアンテナシステムには例えばUCAが有る。
インターフェロメータ方式にはこのような利点があるものの、検出した信号の到来方位が雑音に由来するのか、それとも実際に存在する信号に由来するのかを区別することは容易でない。そこで実施形態では、複数のアンテナグループに対して独立に計算された到来方位の分散を算出し、その大小に基づいて、到来方位の由来を判定するようにしている。いわばスペクトラムセンシングを多次元で実行し検出方位を統計処理することで、既存の技術では検出不可能であったスペクトラムを検出できるようにしている。
既存の技術では、混信環境下でのスペクトラムセンシングには、信号の有無の判断を誤る場合(見逃し確率の増加、あるいは、誤り検出確率の増加)が生じることがある。あるいは、見逃し確率を軽減するために検出閾値を低く設定すると多重検出が増加する課題がある。特にCNRの低い環境下では、混信信号の検出が困難であった。
これに対し実施形態によれば、複数のアンテナ素子から選択されたアンテナグループのそれぞれについて周波数スペクトラムを適用し、方位計算において複数のインターフェロメータの結果を適用しているので、低CNR環境下においても信号と雑音とを区別することができるようになる。従って検出性能を向上させた信号検出装置および信号検出方法を提供することが可能になる。
なお本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えばアンテナグループを形成するアンテナ素子の個数は3に限定されるものではなく、任意の数でよい。一般にはM(MはNより小さい自然数)個のアンテナ素子を選択してアンテナグループとすればよい。アンテナグループ間でアンテナ素子の数が異なっていても良い。
実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
101〜10N…アンテナ素子、110…ダイバーシチ信号処理部、120…方位推定処理部、130…信号検出処理部

Claims (4)

  1. それぞれ受信信号を出力するN(Nは3以上の自然数)個のアンテナ素子と、
    前記受信信号に基づいて推定される到来波の到来方位を示すスペクトラム情報を出力する推定部と、
    前記スペクトラム情報に基づいて前記到来波を検出する検出部とを具備し、
    前記推定部は、
    前記N個のアンテナ素子から選択されたM(MはNより小さい自然数)個のアンテナ素子を含む複数のアンテナグループごとに、インターフェロメータ方式により前記到来方位を推定し、
    前記アンテナグループごとに推定された到来方位の分散が既定値を越えれば、当該到来方位の由来を雑音と判定し、
    前記アンテナグループごとに推定された到来方位の分散が前記既定値以下であれば、当該到来方位の由来を信号と判定し、
    前記検出部は、
    前記信号を由来とするスペクトラム情報に基づいて、前記受信信号から前記到来波を検出することを特徴とする、信号検出装置。
  2. さらに、前記アンテナ素子からの各受信信号をダイバーシチ合成するダイバーシチ処理部を具備し、
    前記検出部は、前記ダイバーシチ合成された受信信号から前記到来波を検出することを特徴とする、請求項1に記載の信号検出装置。
  3. それぞれ受信信号を出力するN(Nは3以上の自然数)個のアンテナ素子と、前記受信信号に基づいて推定される到来波の到来方位を示すスペクトラム情報を出力する推定部と、前記スペクトラム情報に基づいて前記到来波を検出する検出部とを具備する信号検出装置に適用可能な信号検出方法であって、
    前記推定部が、前記N個のアンテナ素子からM(MはNより小さい自然数)個のアンテナ素子を選択して複数のアンテナグループを生成し、
    前記推定部が、前記アンテナグループごとに、インターフェロメータ方式により前記到来方位を推定し、
    前記推定部が、前記アンテナグループごとに推定された到来方位の分散が既定値を越えれば当該到来方位の由来を雑音と判定し、
    前記推定部が、前記アンテナグループごとに推定された到来方位の分散が前記既定値以下であれば、当該到来方位の由来を信号と判定し、
    前記検出部が、前記信号を由来とするスペクトラム情報に基づいて前記到来波を検出することを特徴とする、信号検出方法。
  4. 前記検出部は、前記アンテナ素子からの各受信信号をダイバーシチ合成するダイバーシチ処理部によりダイバーシチ合成された受信信号から前記到来波を検出することを特徴とする、請求項3に記載の信号検出方法。
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