JP2015087133A - 信号検出装置および信号検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】混信環境への耐性を高めた信号検出装置を提供すること。【解決手段】実施形態によれば、周波数スペクトラム計算部は到来波の周波数スペクトラムを算出する。エネルギー検出部は周波数スペクトラムの時間および周波数に対するエネルギーを検出する。方位スペクトラム計算部は到来波の方位スペクトラムを算出する。クラスタリング部はエネルギー検出された時間位置および空間位置に基づいて到来波の到来方向をクラスタ化する。空間フィルタ部はクラスタ化された方位スペクトラムに空間フィルタ処理を施す。第1の2値化部は周波数スペクトラムを既定の閾値に基づいて2値化する。第2の2値化部は空間フィルタ部の出力を信号および雑音に2値化する。合成部は第1、第2の2値化部の出力を合成する。識別部は合成部の出力から信号境界を識別し信号出現情報を出力する。信号検出部は信号出現情報に基づいて到来波を検出する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、スペクトラムセンシング技術に関する。
スペクトラムセンシングは無線信号を検出する技術であり、違法無線機を捕捉するための装置や、いわゆるコグニティ無線技術などにおいて応用されている。近年ではホワイトスペースのスペクトラムセンシングが注目されている。この技術ではスペクトラムの有無を時間領域、周波数領域、および空間領域の3次元領域にわたって判定する必要がある。
例えばMME(Maximum to Minimum Eigenvalue)方式と称し、固有値問題を解くことにより電波の到来を検出する技術がある。この技術では所定の時間幅あるいは周波数幅に対応する最大固有値と最小固有値との比が閾値を超えると、信号出現が判定される。信号出現が判定されるとその結果に基づいて電波の到来方向が推定される。このように既存の信号検出方式は電波の到来方向の情報を付加するようにしている。
Jingjing Xie et al., "Spectrum Sensing Based On Estimation of Direction of Arrival," ICCP, IEEE, 2010.
時間、周波数、および空間の3次元空間にエネルギー検出を適用すると、異なる送信源からの混信の可能性が高まる。つまりエネルギー検出を適用するのであれば混信環境を前提にしなくてはならない。しかしながら既存の技術では所定の時間幅および周波数幅に対応する最大固有値と最小固有値の比に基づいてエネルギーを検出するので、混信環境下では第2固有値、あるいは第3固有値を含む評価が必要になる。そればかりか複数の独立な送信源があるにも係わらず、最大固有値のエネルギーが集約されるケースもある。つまり既存の方式は混信環境に対して脆弱であるという不具合を有しており、何らかの技術革新を求められている。
目的は、混信環境への耐性を高め、スペクトラムを確実に検出できるようにした信号検出装置および信号検出方法を提供することにある。
実施形態によれば、信号検出装置は、複数のアンテナ素子と、周波数スペクトラム計算部と、エネルギー検出部と、方位スペクトラム計算部と、クラスタリング部と、空間フィルタ部と、第1の2値化部と、第2の2値化部と、合成部と、識別部と、信号検出部とを具備する。アンテナ素子は、それぞれ受信信号を出力する。周波数スペクトラム計算部は、受信信号に基づいて到来波の周波数スペクトラムを算出する。エネルギー検出部は、算出された周波数スペクトラムの時間および周波数に対するエネルギーを検出する。方位スペクトラム計算部は、受信信号に基づいて到来波の方位スペクトラムを算出する。クラスタリング部は、エネルギー検出された時間位置および空間位置に基づいて、算出された方位スペクトラムから到来波の到来方向をクラスタ化する。空間フィルタ部は、クラスタ化された方位スペクトラムに対して空間フィルタ処理を施す。第1の2値化部は、算出された周波数スペクトラムを既定の閾値に基づいて2値化する。第2の2値化部は、空間フィルタ部の出力を信号領域および雑音領域に2値化する。合成部は、第1および第2の2値化部の出力を合成する。識別部は、合成部の出力から信号境界を識別して信号出現情報を出力する。信号検出部は、信号出現情報に基づいて到来波を検出する。
図1は、本発明の信号検出装置を適用可能な受信装置の一例を示す図である。図1においてアンテナ部101は、例えば複数のアンテナ素子(図示せず)を備える、アレイアンテナまたはマルチアンテナである。アンテナ部101は無線周波数の到来波をRF(radio frequency)帯域〜IF(intermediate frequency)帯域の受信信号に変換する。この受信信号は周波数スペクトラム計算部102および方位スペクトラム計算部104に入力される。
周波数スペクトラム計算部102は、受信信号から周波数スペクトラムを計算する。算出された周波数スペクトラムはエネルギー検出部103および2値化部107−1に入力される。このうちエネルギー検出部103は、周波数スペクトラムから時間軸方向、および周波数軸方向のそれぞれにつき信号検出処理を行い、その結果をクラスタリング部105に渡す。2値化部107−1は、周波数スペクトラム計算部102から出力された周波数スペクトラムを既定の閾値に基づいて2値化する。
方位スペクトラム計算部104は、アンテナ部101から入力される受信信号から到来波の到来方向を計算し、方位スペクトラムをクラスタリング部105に渡す。クラスタリング部105は、時間軸および周波数軸におけるエネルギー検出の結果に基づいて、方位スペクトラムから電波の到来方向をクラスタ化する。
空間フィルタ部106は、クラスタリング部105から出力されるクラスタリングの結果(方位スペクトラム)に対して空間フィルタ処理を施し、その結果を2値化部107−2〜107−Kに渡す。2値化部107−2〜107−Kは空間フィルタ部の各出力に対して2値化処理を施し、信号領域と雑音領域とに分類する。
2値化部107−1の出力は、2値化部107−2〜107−Kのそれぞれの出力と組み合わされて合成部108−1〜108−Lに入力される。合成部108−1〜108−Lは2値化部107−2〜107−Kのそれぞれの出力を2値化部107−1の出力と合成し、その出力を境界識別部109−1〜109−Lに渡す。
境界識別部109−1〜109−Lは合成部108−1〜108−Lの各出力から信号境界を識別し、その結果を検出状態管理部110に通知する。検出状態管理部110は境界識別部109−1〜109−Lの各出力における信号出現情報に基づいて信号の情報を抽出し、得られた検出情報を出力するとともに管理する。信号の検出情報は空間フィルタ部106にフィードバックされ、空間フィルタ処理に利用される。空間フィルタ処理とは、端的に言えばクラス間の境界に基づいて方位情報を分類する操作である。
次に、上記構成における作用を説明する。図1に示される周波数スペクトラム計算部102は、例えば任意の1つのアンテナ素子からの受信信号を選択し、この選択した受信信号の周波数スペクトラムを計算する。あるいは、選択ダイバーシチに基づいて最大レベルの受信信号の周波数スペクトラムを計算してもよい。さらには各アンテナ素子からの受信信号をダイバーシチ合成してフェージングを軽減した信号に対する周波数スペクトラムを計算してもよい。このほか周波数スペクトラム計算の前処理として、如何なる処理を適用しても構わない。
図2は、エネルギー検出部103における処理を説明するための図である。エネルギー検出部103は、図2に示されるように時間−周波数空間をラスタスキャンしつつ、時間方向に対して検出閾値を超える時間位置(時間スロット番号)と、周波数位置(周波数スロット番号)を捜索する。図中星印は時間−周波数空間上で最初に信号が検出されたポイントを示す。
一方、方位情報(方位スペクトラム)は、クラスタリング部105によりクラスタ化される。なおクラスタリングの方法は既知であるので詳細な説明を省略する。すなわちクラスタリング部105は、信号検出された周波数位置および時間位置を基準として周波数方向に対する方位情報をクラスタリング処理する。
クラスタリングの結果は例えば図3、図4に示されるようになる。クラスタの数に基づいて混信波数と混信の状況とを把握することができる。ただし雑音領域の方位情報としては0°〜360°以外の値が設定されるものとする。
図3は、混信の無い状況下でのクラスタリングの結果と電波環境との関係を示す概念図である。一方、図4は、混信の有る状況下でのクラスタリングの結果と電波環境との関係を示す概念図である。図4は2波の信号が存在し、混信していることを示す。つまりクラスタ数から混信波の数を推定することができる。
実施形態では、クラスタリングされたクラスタ数が1を超えると混信有りと判断し、クラスタ数が1以下であれば混信無しとして判断する。図3、図4に示されるように周波数方向の両側に雑音領域が存在すれば、非雑音領域の幅を概略の信号帯域幅として定義することができる(混信無しの場合)。なお図3および図4において、既知の手法によりクラス間の境界を定めることができる。
図5は、図1に示される空間フィルタ部106の処理手順の一例を示すフローチャートである。図5において空間フィルタ部106は、まず、混信の有無を判断する(ステップS1)。混信があれば、空間フィルタ部106はクラスタ数から混信波の数を推定し(ステップS2)、クラスタ間の境界を決定する(ステップS3)。次に、空間フィルタ部106は、クラスタリングの結果を示すグラフ(図3、図4)の周波数方向の両端における雑音領域の有無を判定する(ステップS4)。雑音領域があれば、非雑音領域の幅に基づいて概略の信号帯域幅を推定する(ステップS5)。
一方、ステップS1で混信があれば、空間フィルタ部106はクラスタリングの結果を示すグラフ(図3、図4)の周波数方向の両端における雑音領域の有無を判定し(ステップS6)、雑音領域があれば、非雑音領域の幅に基づいて概略の信号帯域幅を推定する(ステップS7)。以上の処理手順によれば、空間フィルタ処理のために要するパラメータが算出される。
空間フィルタ部106の出力は2値化部107−2〜107−Kに渡される。ここで、(クラスタ数−1)がKに対応する。2値化部107−2〜107−Kは、クラスタ化された方位スペクトラム情報に対して2値化処理を施す。一方、2値化部107−1は周波数スペクトラムを2値化する。
既知の2値化処理により電力スペクトラムの2値化処理を実施できる。例えば、エネルギー検出において閾値を超える場合を1とし、閾値を下回る場合を0とする2値化方法がある。また、既知の手法により、クラスタ化された方位情報を2値化することができる。例えば、任意のクラスタ化された1つのクラスに対して、方位情報の有る領域を1とし、方位情報の無い雑音領域を0とする2値化方法がある。
2値化処理により得られた情報は合成処理部108−1〜108−Lに入力される。クラスタ数がLに対応する。合成処理部108−1〜108−Lには、周波数スペクトラムの2値化結果と、任意のクラスタ化された1つのクラスに対する方位情報の2値化結果とが入力される。
入力された2値化情報は所定のウェイトを用いて合成される。すなわち、周波数スペクトラムの任意の時間、周波数における周波数ウェイト、および、任意のクラスタ化された1つのクラスに対する方位情報の任意の時間、周波数における方位ウェイトを用いて各2値化情報が合成される。
周波数ウェイトおよび方位ウェイトの与え方としては、例えば、周波数スペクトラムの時間方向に、分散の逆数に比例する量の周波数ウェイトを与えることができる。この方法を適用した場合、受信信号のCNR(carrier noise ratio)が高く、フェージングの影響を受けていなければ、分散は小さくなる。逆に、CNRが低い場合や、フェージングの影響を受けていれば分散は大きくなる。同様に、方位ウェイトも時間方向の分散の逆数に比例する量を与えて計算することができる。以上の処理により、信号検出のための、周波数および時間の次元を持つ情報が得られる。
この情報に基づいて境界識別部109−1〜109−Lは、既知の手法に基づいて信号の境界を識別する。例えば画像処理技術分野で広く知られている輪郭追従、あるいは輪郭線検出などの方法が挙げられる。これらの手法により、信号境界である輪郭が抽出される。このようにして、各クラスに対応する信号境界の情報を得ることができる。この各クラスの信号境界情報は検出状態管理部110に渡され、統合されて管理される。
検出状態管理部110は、信号境界情報から信号の中心周波数、信号帯域幅、信号出現位置などの情報を得る。さらに、信号帯域幅、信号出現位置の情報を空間フィルタ部106にフィードバック入力することにより、既に検出されている領域に関して信号消滅するまでの間に渡って信号検出の抑制を図ることができ、これにより多重検出を抑制することができる。
本実施形態によれば、混信環境下においても、信号見逃しすることなく、スペクトラムセンシングを実施することができる。従って、混信環境への耐性を高め、スペクトラムを確実に検出できるようにした信号検出装置および信号検出方法を提供することが可能となる。
実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
101…アンテナ部、102…周波数スペクトラム計算部、103…エネルギー検出部、104…方位スペクトラム計算部、105…クラスタリング部、106…空間フィルタ部、107−1〜107−K…2値化部、108−1〜108−L…合成部、109−1〜109−L…境界識別部、110…検出状態管理部
Claims (4)
- それぞれ受信信号を出力する複数のアンテナ素子と、
前記受信信号に基づいて到来波の周波数スペクトラムを算出する周波数スペクトラム計算部と、
前記算出された周波数スペクトラムの時間および周波数に対するエネルギーを検出するエネルギー検出部と、
前記受信信号に基づいて前記到来波の方位スペクトラムを算出する方位スペクトラム計算部と、
前記エネルギー検出された時間位置および空間位置に基づいて、前記算出された方位スペクトラムから前記到来波の到来方向をクラスタ化するクラスタリング部と、
前記クラスタ化された方位スペクトラムに対して空間フィルタ処理を施す空間フィルタ部と、
前記算出された周波数スペクトラムを既定の閾値に基づいて2値化する第1の2値化部と、
前記空間フィルタ部の出力を信号領域および雑音領域に2値化する第2の2値化部と、
前記第1および第2の2値化部の出力を合成する合成部と、
前記合成部の出力から信号境界を識別して信号出現情報を出力する識別部と、
前記信号出現情報に基づいて前記到来波を検出する検出部とを具備することを特徴とする、信号検出装置。 - 前記空間フィルタ部は、フィードバック入力される前記検出部の出力に基づいて前記空間フィルタ処理を施すことを特徴とする、請求項1に記載の信号検出装置。
- 複数のアンテナ素子からそれぞれ出力される受信信号に基づいて到来波の周波数スペクトラムを算出し、
前記算出された周波数スペクトラムの時間および周波数に対するエネルギーを検出し、
前記受信信号に基づいて前記到来波の方位スペクトラムを算出し、
前記エネルギー検出された時間位置および空間位置に基づいて、前記算出された方位スペクトラムから前記到来波の到来方向をクラスタ化し、
前記クラスタ化された方位スペクトラムに対して空間フィルタにより空間フィルタ処理を施し、
前記算出された周波数スペクトラムを既定の閾値に基づいて2値化し、
前記空間フィルタの出力を信号領域および雑音領域に2値化し、
前記2値化された周波数スペクトラムと前記2値化された前記空間フィルタの出力とを合成部により合成し、
前記合成部の出力から信号境界を識別して信号出現情報を出力し、
前記信号出現情報に基づいて前記到来波を検出することを特徴とする、信号検出方法。 - 前記空間フィルタは、前記検出された到来波の検出状態に基づいて前記空間フィルタ処理を施すことを特徴とする、請求項3に記載の信号検出方法。
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