JP2015083544A - 脱水素用触媒、該触媒を用いたカルボニル化合物および水素の製造方法 - Google Patents

脱水素用触媒、該触媒を用いたカルボニル化合物および水素の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な脱水素反応用触媒、および、該触媒を用いて、アルコール類からケトン、アルデヒド、およびカルボン酸を高効率に製造できる方法およびアルコール、ギ酸またはギ酸塩から水素を効率良く製造する方法の提供。
【解決手段】式(1)、

(式中、Arは、置換基を有していてもよいベンゼン、または置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、Mは、ルテニウム、ロジウムまたはイリジウムを表す。)例えば、化合物1,2に示される有機金属化合物を含む触媒。

【選択図】なし

Description

本発明は、含窒素配位子を有する有機金属錯体を含む脱水素反応用触媒に関するものである。また、本発明は、前記有機金属錯体を触媒とする、脱水素方法、アルコール類の脱水素反応によるカルボニル化合物の製造方法、およびアルコール、ギ酸またはギ酸塩の脱水素反応による水素の製造方法に関するものである。さらに本発明は、含窒素配位子を有する新規な有機金属錯体に関する。
水素含有有機化合物の脱水素反応は、有機合成における最も重要な反応の一つで、工業的に利用価値の高い反応である。例えば、アルコールの脱水素反応(酸化反応)によるアルデヒド、ケトン、カルボン酸などのカルボニル化合物への変換反応は、医薬品、農薬、食品、香料、材料など多くの分野で用いられる有機化合物、またはその原料の製造において重要な役割を果たしている。また、アルコール、ギ酸またはギ酸塩の脱水素反応による水素の製造方法は、燃料電池の水素の供給、および貯蔵技術として注目されている技術である。
アルコールの酸化的脱水素反応によるカルボニル化合物の合成は、医薬品、農薬、香料などの中間体を得るための、有機合成における最も重要な官能基変換の一つであり、従来より数多くの優れた酸化剤や酸化反応が開発されてきた。例えば、量論酸化試剤としては重金属酸化剤(過マンガン酸カリウム、重クロム酸およびその塩、ならびに三酸化クロムなど)を用いた酸化方法やDMSO酸化法(Swern酸化など)などが知られている。これらの酸化剤や酸化方法は、多量の高毒性廃棄物の副生や悪臭の発生など安全性や環境調和性の面から工業的実施には困難が伴う。
これに対し、環境調和型のグリーンケミストリーの観点から、過酸化水素、アセトン、分子状酸素等の共酸化剤を用いたアルコールの触媒的酸化反応が開発されている。しかしながら、共酸化剤を用いた反応は、共酸化剤の種類によっては反応が複雑化したり、適用できる基質が限られるといった課題があり、また、原子効率に基づいた触媒反応の設計という観点からみると改善の余地が残されている。
これらのことから、共酸化剤を用いないアルコールの触媒的酸化反応、すなわち触媒的な酸化的脱水素反応の開発はプロセス化学的な観点から極めて重要である。近年、このような反応が相次いで報告されており、例えば、ルテニウム触媒(非特許文献1〜5)やイリジウム触媒(非特許文献6、7)を用いた酸化的脱水素反応が報告されている。しかしながら、これらの反応は比較的高温で実施されていること、塩基性条件を必要とする反応では塩基に不安定な基質に適用できないこと、触媒量が比較的多いことなど工業的に実施する上では問題点がある。
また、非特許文献8では、カチオン性イリジウム錯体を用いたアルコールの脱水素的酸化反応が報告されているが、水溶媒中、還流条件下で反応を行なっており、安全性や経済性を考慮するとより低温で実施できることが望ましい。また、この反応ではカチオン性イリジウム錯体自体が酸性を示すため、酸性状態で分解しやすい基質の反応には不向きである。さらに、非特許文献9では、中性イリジウム錯体を用いた環状アミン(2,6−ジメチルデカヒドロ−1,5−ナフチリジン)の触媒的脱水素化反応が報告されているが、アルコールの触媒的脱水素化反応への適用はなされていない。
以上のことから、低触媒量で比較的低温で実施可能なアルコールの触媒的な脱水素反応の開発が望まれていた。
また、第一級アルコールの酸化反応によりアルデヒドが生成し、さらにアルデヒドを酸化することで対応するカルボン酸が得られるが、これをワンポットで進行させる反応は、プロセス化学的な観点から極めて重要である。この目的に用いられる化学量論的酸化剤として、過マンガン酸カリウム (KMnO4)、ジョーンズ試薬、二クロム酸ピリジニウム(PDC)が知られているが、重金属の大量使用、および高毒性の化合物の副生など、経済性や安全性の面でこれらの方法を工業的に実施するのは困難である。
触媒的な手法として、四酸化ルテニウム、TEMPO(非特許文献10)を用いた酸化方法が知られているが、条件が比較的強力なために官能基を多く含む化合物への適用は困難であり、また、共酸化剤を用いる必要があることから原子効率に基づいた触媒反応の設計という観点からみると改善の余地が残されている。タングステン酸ナトリウム(非特許文献11)を触媒に用いた方法は、高濃度の過酸化水素水を用いることから危険性を伴う反応である。TEMPO酸化の欠点を改良した1-Me-AZADO酸化(特許文献1)も開発されたが、この手法も多量の共酸化剤を用いる必要があることから、環境負荷を低減できる触媒の開発が望まれていた。
以上のことから、共酸化剤を用いずに、低触媒量で進行する第一級アルコールからのアルデヒドを経たカルボン酸への酸化的脱水素反応の開発が望まれていた。
一方、水素(H)は、従来から石油精製や化学原料として産業上のあらゆる分野で利用されており、近年は、燃料電池の燃料として注目されている。しかし、水素は室温で気体であること、反応性が高く空気中で発火等を起こしやすいことなどから、水素の安定供給あるいは貯蔵は燃料電池の開発において重要な課題となっている。例えば、水素の貯蔵方法としては、圧縮ガスとして貯蔵する方法、水素ガスを液化し、液体水素の形で貯蔵する方法、水素吸蔵合金に水素を取り込ませ、貯蔵する方法が知られている。しかし、これらの方法は、貯蔵媒体の単位重量あたりの水素貯蔵量が小さいことに加え、コスト、安全性および取扱いの点で問題がある。
これらの問題を解決するため、水素をHとしてでなく別の物質の形で貯蔵する方法が考えられる。例えば、ギ酸(HCOH)は、強く加熱することにより水素(H)と二酸化炭素(CO)を発生することが知られている。これを利用して、水素を安全な物質であるギ酸の形で貯蔵し、ギ酸を適宜加熱して水素を発生させることで、安定に水素を供給することができる。しかしながら、ギ酸の熱分解反応は高温で行なう必要があるため、より穏和な条件下でギ酸から水素を高効率に発生させることができる触媒の開発が望まれている。
これまでにギ酸の分解用触媒として、金属錯体を用いた例が報告されている。例えば、特許文献2にはイリジウムとルテニウムを含む複核金属錯体が報告されているが、2種類の遷移金属を用いるために製造コストが高くなる。また、特許文献3にはロジウム錯体を用いたギ酸の分解反応が報告されているが、実施例中のロジウム錯体はビピリジル系配位子を有するカチオン性アコ錯体に限定されているに止まり、用いられている触媒量も約1mol%であることから、必ずしも効率が良いとは言えない。
以上のことから、穏和な条件下、低触媒量で高い反応性を有する、ギ酸またはギ酸塩の分解反応用触媒の開発が望まれていた。
特開2009−114143 特許第4572393号 特開2009−78200
J. Ho Choi, N. Kim, Y. J. Shin, J. H. Park and J. Park, Tetrahedron Lett.,2004, 45, 4607-4610. H. Junge and M. Beller, Tetrahedron Lett., 2005, 46, 1031-1034. J. Zhang, G. Leitus, Y. Ben-David and D. Milstein, J. Am. Chem.Soc., 2005, 127, 10840-10841. J. van Buijtenen, J. Meuldijk et al., Organometallics, 2006, 25,873-881. H. Junge, B. Loges, and M. Beller, Chem. Commun., 2007, 522-524. K. Fujita, N. Tanino and R. Yamaguchi, Org. Lett., 2007, 9(1), 109-111. K. Fujita, T. Yoshida, Y. Imori and R. Yamaguchi, Org. Lett., 2011, 13(9), 2278-2281.
川原 諒子、藤田 健一、山口 良平「新規水溶性Cp*イリジウム錯体触媒を用いた水溶媒中でのアルコールの脱水素的酸化反応」、日本化学会第91春季年会 講演予稿集、社団法人 日本化学会、2011年3月11日発行、講演番号 4C5−48 田中 結衣、藤田 健一、山口 良平「機能性ビピリジン系配位子を有する新規Cp*イリジウム錯体の合成と含窒素複素環の触媒的脱水素化反応」、日本化学会第91春季年会 講演予稿集、社団法人 日本化学会、2011年3月11日発行、講演番号 4C5−47 Anelli. P. L, Biffi. C, Montanari. F and Quici. S, J. Org. Chem., 1987, 52, 2559-2562. R. Noyori, M. Aoki and K. Sato, Chem. Commun., 2003,1977.
本発明の目的は、新規な脱水素反応用触媒を提供することにある。本発明の他の目的は、アルコール類からケトン、アルデヒド、およびカルボン酸を高効率に製造できる方法を提供すること、また、アルコール、ギ酸またはギ酸塩から水素を効率良く製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を進める中、カルボニル酸素および窒素を有する配位子を含む中性有機金属化合物を含む触媒により、アルコールおよびギ酸またはギ酸塩の脱水素反応が円滑に進行することを見出し、さらに検討を進める中で、新規の錯体により著しく触媒効率ならびに反応収率を向上できること、さらには脱水素反応だけではなく可逆的脱水素−水素化による相互変換を、水素の放出と吸収をともなって、定量的に繰り返し行えることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の触媒によれば、共酸化剤を必要とせず、アルコールの脱水素反応およびギ酸またはギ酸塩の分解反応を高収率で実現することができる。本発明の錯体は中性錯体であり、一般的な有機溶媒のほとんどについて高い溶解性を示すことから、様々な沸点を有する溶媒を任意に選択して用いることができる。また、基質を溶解しやすい溶媒を選んで用いることも可能である。さらに本発明によれば、ギ酸またはギ酸塩の分解反応を100℃以下の反応温度で実施可能であることから、安全性や経済性の面からも工業的実施に極めて有利である。
また、本発明によれば、可逆的脱水素−水素化による相互変換を同一の触媒を用いて行うことができる。すなわち、本発明の触媒は、所望なら例えば以下の反応式で表される反応の双方向に用いることも可能である。
反応式(I)
式中、
Xは、水素含有化合物または酸素含有化合物であり、
Yは、Xに対応する化合物であって、カルボニル化合物または不飽和結合含有化合物、
(i)は脱水素であり、
(ii)は水素化である。
中でも、本発明のアコ配位子を有する新規化合物(錯体)を含む触媒は極めて高い触媒効率および反応収率を示し、非常に有用な触媒である。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1] 式(1)
式中、
Arは、置換基を有していてもよいベンゼン、または置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、
Mは、ルテニウム、ロジウムまたはイリジウムであり、
〜Rは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基であり、
とRは互いに連結して、 −CH=CH− を形成してもよく、前記 −CH=CH− におけるHは、互いに独立してハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基で置換されていてもよく、
Lは、スルホキシド配位子、含窒素芳香環配位子、アミン配位子、ホスフィン配位子、エーテル配位子およびアコ配位子からなる群から選択される、
で表される有機金属化合物を含む触媒を用いる、酸素含有化合物の脱水素方法。
[2] 酸素含有化合物が、アルコールである、[1]に記載の方法。
[3] 酸素含有化合物が、ギ酸またはギ酸塩である、[1]に記載の方法。
[4] Lが、アコ配位子である、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] Arが、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、Mがイリジウムであることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の方法に用いる、式(1)で表される有機金属化合物を含む脱水素用触媒。
[7] [1]〜[5]のいずれかに記載の脱水素方法を用いて、アルコールの脱水素により対応するカルボニル化合物を生成させることを特徴とする、カルボニル化合物の製造方法。
[8] カルボニル化合物が、ケトンまたはアルデヒドである[7]に記載の方法。
[9] アルコールが第一級アルコールであり、カルボニル化合物がカルボン酸であり、水を含む溶媒を用いる、[7]に記載の方法。
[10] [1]〜[5]のいずれかに記載の脱水素方法を用いて、アルコール、アルコールと水とを含む混合物、ギ酸またはギ酸塩の脱水素により水素を生成させることを特徴とする、水素の製造方法。
[11]
式(1)
式中、
Arは、置換基を有していてもよいベンゼン、または置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、
Mは、ルテニウム、ロジウムまたはイリジウムであり、
〜Rは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基であり、
とRは互いに連結して、 −CH=CH− を形成してもよく、前記 −CH=CH− におけるHは、互いに独立してハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基で置換されていてもよく、
Lは、アコ配位子である、
で表される有機金属化合物。
[12] Arが、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、Mがイリジウムであることを特徴とする、[11]に記載の有機金属化合物。
[13]
式(2)
式中、
Arは、置換基を有していてもよいベンゼン、または置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、
Mは、ルテニウム、ロジウムまたはイリジウムであり、
〜Rは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基であり、
とRは互いに連結して、 −CH=CH− を形成してもよく、前記 −CH=CH− におけるHは、互いに独立してハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基で置換されていてもよく、
Zは、Na、Li、KまたはCsである、
で表される有機金属化合物。
[14] Arが、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、Mがイリジウムであることを特徴とする、[13]に記載の有機金属化合物。
[15] [13]または[14]に記載の有機金属化合物を含む触媒を用いる、酸素含有化合物の脱水素方法。
[16] 酸素含有化合物が、アルコール、ギ酸またはギ酸塩である、[15]に記載の方法。
[17] [13]または[14]に記載の有機金属化合物を含む脱水素用触媒。
[18] [15]または[16]に記載の脱水素方法を用いて、アルコールの脱水素により対応するカルボニル化合物を生成させることを特徴とする、カルボニル化合物の製造方法。
[19] カルボニル化合物が、ケトンまたはアルデヒドである[18]に記載の方法。
[20] アルコールが第一級アルコールであり、カルボニル化合物がカルボン酸であり、水を含む溶媒を用いる、[18]に記載の方法。
[21] [16]に記載の脱水素方法を用いて、アルコール、アルコールと水とを含む混合物、ギ酸またはギ酸塩の脱水素により水素を生成させることを特徴とする、水素の製造方法。
[22] 連続的に水素を製造する方法であって、[1]に記載の一般式(1)および/または[13]に記載の一般式(2)で表される有機金属化合物の存在下、アルコールと水とを含む混合物にアルカリ化合物を加え、脱水素反応させ、脱水素の進行過程において該混合物と該アルカリ化合物とを、1または2回以上追加することにより、連続的に水素ガスを製造する、前記方法。
[23] [22]に記載の方法を用いる連続的に水素を製造するシステムであって、脱水素反応を行う反応槽、混合物とアルカリ化合物とを供給する供給部および製造した水素を回収する回収部を含む、前記システム。
本発明の一側面は、下記式(1)で表される含窒素有機金属化合物(有機金属錯体)を含む触媒を用いる、酸素含有化合物の脱水素方法に関する。本発明に用いる有機金属錯体は、ビピリジンまたはフェナントロリン上にカルボニル酸素および窒素を含有する配位子含む金属錯体であれば特に限定されないが、典型的には、式(1)で表される。
式(1)中、Arは、典型的には、1または2以上の水素原子が置換されていてもよいベンゼンまたはシクロペンタジエニル基である。
1または2以上の水素原子が置換されていてもよい芳香族化合物の具体例としては、これに限定するものではないが、例えばベンゼン、トルエン、o−、m−およびp−キシレン、o−、m−およびp−シメン、1,2,3−、1,2,4−および1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,3,4,5−テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、ならびにヘキサメチルベンゼン等のアルキル基を有するベンゼン、ベンジル、ビニル、アリルなどの不飽和炭化水素基を有するベンゼン、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、エステル基、アミノ基等の異原子を有するベンゼンなどが挙げられる。ベンゼン環の置換基の数は1〜6の任意の数であり、置換位置は任意の位置を選ぶことができる。錯体合成の容易さという点で、p−シメン、1,3,5−トリメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼンが好ましい。
本発明において、「置換されていてもよい」は、任意の置換基を有していてもよいことをいい、置換基はこれに限定されるものではないが、典型的には、C1〜10の飽和もしくは不飽和炭化水素基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基、アシル基、エステル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、スルホニル基、ニトロ基、シアノ基、スルフェニル基、スルホ基、メルカプト基、シリル基またはハロゲン基であり、特に、C1〜10の飽和もしくは不飽和炭化水素基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アシル基、エステル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホニル基、シリル基またはハロゲン基である。
置換基の具体例としては、これに限定するものではないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシレン基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、フェニル基、トルイル基、ナフチル基、ピリジル基、フラニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、アセチル基、プロパノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ヒドロキシル基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、メチルシリル基、ジメチルシリル基、フルオロ基、クロロ基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。錯体合成の容易さという点で、好ましくは飽和または不飽和炭化水素基、さらに好ましくはメチル基、i−プロピル基である。
1または2以上の水素原子が置換されていてもよいシクロペンタジエニル基の具体例としては、これに限定するものではないが、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、イソプロピルシクロペンタジエニル基、フェニルシクロペンタジエニル基、ベンジルシクロペンタジエニル基、1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル基(Cp)などが挙げられる。錯体合成の容易さという点で、1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル基(Cp)が好ましい。
式(1)中のMは、ルテニウム、ロジウム、およびイリジウムのいずれかである。触媒活性の高さという点で、イリジウムが好ましい。
式(1)中のR〜Rは、典型的には、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基であり、RとRは互いに連結して、 −CH=CH− を形成してもよく、前記 −CH=CH− におけるHは、互いに独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基で置換されていてもよい。
〜Rの具体例としては、これに限定するものではないが、例えば水素原子、フッ素基、クロロ基、臭素基、ヨウ素基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、tert−ブトキシ基、ジメチルアミノ基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基、ピリジル基、エチニル基、エステル結合を有する基、アセチル基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基などが挙げられる。触媒活性や反応収率の高さという点で、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基、ベンジル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−(ジメチルアミノ)フェニル基が好ましい。
式(1)中のLは、典型的には、スルホキシド配位子、含窒素芳香環配位子、アミン配位子、ホスフィン配位子、エーテル配位子およびアコ配位子からなる群から選択される。
具体例としては、これに限定するものではないが、例えばスルホキシド配位子としてDMSO、ジフェニルスルホキシド、メチルフェニルスルホキシドが、含窒素芳香環配位子としてピリジン、ピコリン、ルチジン、3−クロロピリジン、4−クロロピリジンが、アミン配位子としてアニリン、トルイジン、アニシジンが、ホスフィン配位子としてトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ―tert−ブチルホスフィン、トリシクロへキシルホスフィン、トリエトキシホスフィンが、エーテル配位子としてジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、アニソールなどが挙げられる。
Lは、ジメチルスルホキシド配位子(dmso)、ピリジン配位子(pyridine)、アニリン配位子(aniline)またはアコ配位子が好ましく、極めて高い触媒効率および反応収率を示すという点から、アコ配位子が特に好ましい。
本発明において、好ましい有機金属錯体は、式(1)、式中Arが、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、Mがイリジウムであり、Lがジメチルスルホキシド配位子(dmso)、ピリジン配位子(pyridine)、アニリン配位子(aniline)またはアコ配位子である、で表される錯体である。本発明の有機金属錯体は中性錯体であるため、一般的な有機溶媒のほとんどについて高い溶解性を示し、様々な沸点を有する溶媒を任意に選択して用いることができる。また、基質を溶解しやすい溶媒を選んで用いることも可能である。
触媒効率および反応収率の観点から、特に式(1)、式中Arが、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、Mがイリジウムであり、Lがアコ配位子である、で表される有機金属錯体、すなわちアコ錯体が好ましい。このアコ錯体が極めて高い触媒効率および反応収率を示す理由は必ずしも明らかではないが、アコ配位子の解離が起こりやすく、配位不飽和活性種を生じやすいためと考えられる。
本発明において、酸素含有化合物としては、酸素および水素を含有する化合物であればよく、これに限定するものではないが、例えばアルコール、ギ酸およびギ酸塩などが挙げられる。
アルコールは、これに限定するものではないが、第一級アルコール、第二級アルコールであってもよい。
第一級アルコールは、典型的には式(3)
式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい、C5〜C15の芳香族単環または多環式炭化水素基、C1〜C15の異種原子を含む複素単環または多環式基、もしくはC1〜C25の飽和または不飽和の鎖状または環状の炭化水素基を示す、で表される化合物である。
この場合の置換基としては、たとえば水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C5〜15のアリール基、C1〜15のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基等の適宜なものとすることができる。
については、具体的には水素原子、フェニル基、2−メチルフェニル、2−エチルフェニル、2−イソプロピルフェニル、2−tert−ブチルフェニル、2−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、2−ビニルフェニル、3−メチルフェニル、3−エチルフェニル、3−イソプロピルフェニル、3−メトキシフェニル、3−クロロフェニル、3−ビニルフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、4−ビニルフェニル、クメニル、メシチル、キシリル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントリル、フェナントリル、インデニル基等の芳香族単環や多環式基、チエニル、フリル、ピラニル、キサンテニル、ピリジル、ピロリル、イミダゾリニル、インドリル、カルバゾイル、フェナントロニリル等のヘテロ単環や多環式基、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル等のアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−アダマンチル等のシクロアルキル基、ベンジル、ビニル、アリールなどの不飽和炭化水素基、フェロセニル基等を例示することができる。
第二級アルコールは、典型的には、式(4)
式中、R、Rは、同一または別異の、置換基を有していてもよい、C5〜C15の芳香族単環または多環式炭化水素基、C1〜C15の異種原子を含む複素単環または多環式基、もしくはC1〜C25の飽和または不飽和の鎖状または環状の炭化水素基を示す。なお、RとRが互いに結合して環を形成してもよい、で表される化合物である。
この場合の置換基としては、たとえば水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C5〜15のアリール基、C1〜15のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基等の適宜なものとすることができる。
およびRについては、具体的にはフェニル基、2−メチルフェニル、2−エチルフェニル、2−イソプロピルフェニル、2−tert−ブチルフェニル、2−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、2−ビニルフェニル、3−メチルフェニル、3−エチルフェニル、3−イソプロピルフェニル、3−メトキシフェニル、3−クロロフェニル、3−ビニルフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、4−ビニルフェニル、クメニル、メシチル、キシリル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントリル、フェナントリル、インデニル基等の芳香族単環や多環式基、チエニル、フリル、ピラニル、キサンテニル、ピリジル、ピロリル、イミダゾリニル、インドリル、カルバゾイル、フェナントロニリル等のヘテロ単環や多環式基、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル等のアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−アダマンチル等のシクロアルキル基、ベンジル、ビニル、アリールなどの不飽和炭化水素基、フェロセニル基等を例示することができる。
とRが結合して環を形成する場合、たとえばシクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロペンテノール、シクロヘキセノール、シクロヘプテノール等のごとき環状アルコールを与える飽和および不飽和脂環式基、およびそれぞれの各炭素にアルキル基、アリール基、不飽和アルキル基、ヘテロ元素を含む鎖状または環状炭化水素基を有する置換基をもつ飽和および不飽和脂環式基を例示することができる。
ギ酸塩としては、これに限定するものではないが、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウムなどのギ酸金属塩、ギ酸アンモニウム塩などのギ酸塩が挙げられる。
本明細書において、脱水素反応とは、水素分子が脱離する反応のことを意味し、例えば酸化的脱水素反応および分解反応などが挙げられる。本明細書の脱水素方法は、脱水素反応をさせることにより行う。
本発明の一側面は、本発明の脱水素方法によって、前記アルコールから対応するカルボニル化合物を製造する方法に関する。例えばアルコールが第一級アルコールである場合には、対応するカルボニル化合物としてアルデヒドが得られ、例えば以下の反応式で示される。
は、上述したとおりである。
第二級アルコールである場合にはケトンが得られ、例えば以下の反応式で示される。
およびRは、上述したとおりである。
本発明の一側面は、本発明の脱水素方法を用いて、第一級アルコールからアルデヒドを経て、カルボン酸を製造する方法に関する。このアルコールからカルボン酸への変換は、1)アルコールの脱水素によるアルデヒドの生成、2)アルデヒドの水和によるヘミアセタールの生成、3)ヘミアセタールの脱水素によるカルボン酸の生成、の三段階を経て進行していると考えられる。したがって、カルボン酸を製造する際には、アルデヒドを水和し、ヘミアセタールを生成するために、水を含む溶媒を用いるのが好ましい。具体的な製造例として、これに限定されるものではないが、例えばエタノールからの酢酸の製造が挙げられる。
本発明の一側面は、本発明の脱水素方法を用いて、アルコール、好ましくは第一級アルコールから水素を製造する方法に関する。アルコールは特に限定されないが、水素発生効率の観点から第一級アルコールが好ましく、水との混合溶液の脱水素により製造するのが好ましい。例えば第一級アルコールがメタノールの場合には、1モルのメタノール:水=1:1の混合溶液の脱水素により、3モルの水素分子が生じることになるため、形式的にはメタノール分子中の水素原子と水分子中の水素原子のすべてが水素分子へと変換されることになり、水素製造法として極めて効率的である。
水素の製造において、脱水素反応をpH1〜14で進行させることができる。水素発生効率の観点から、pH5〜14が好ましく、pH10〜14が特に好ましい。反応の進行にともなって二酸化炭素が発生し、反応系が徐々に酸性化していくため、反応開始時のpHを13以上にしておくことで効率的な水素化が長時間にわたって継続できる。
本発明によれば、第一級アルコールから、カルボン酸と水素を同時に得ることができる。これにより、バイオマス資源から発酵により得られるアルコールを原料に用い、有機工業化学において重要なカルボン酸と、クリーンエネルギーとして有用な水素を同時に得ることが可能である。
本発明の一側面は、本発明の脱水素方法を用いて、ギ酸またはギ酸塩から分解反応により、水素を製造する方法に関する。本発明によれば、反応温度60から90℃程度で実施することができるため、安全性および経済性に優れ、工業化にも極めて有利である。
本発明の脱水素方法において、使用する触媒の量は、ルテニウム、ロジウム、またはイリジウム錯体に対するアルコール、ギ酸またはギ酸塩のモル比をS/C(Sはアルコール、ギ酸またはギ酸塩のモル数、Cは触媒のモル数を表す)として表記することができる。その場合、S/Cをどの程度まで高められるかは基質の構造、触媒の種類、濃度、反応温度、反応溶媒の種類等によって大きく変動するが、実用上はS/C=50〜500000程度に設定することが望ましい。
本発明の脱水素反応は、無溶媒または溶媒の存在下で行なわれる。溶媒を用いる場合は、触媒、基質、および生成物の物理的性質や化学的性質を考慮し、適時反応溶媒を選択することができる。プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、イオン性液体、水および緩衝液を単独で、もしくは複数組み合わせて用いることができる。
具体的な溶媒としては、これに限定されるものではないが、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、t−ブタノール、水などが挙げられる。
反応温度は、触媒、基質および生成物の溶解度、反応性、および経済性を考慮して、好ましくは−20℃〜200℃程度で実施することができるが、さらに好ましくは20℃〜150℃である。
反応時間は、基質濃度や反応温度等の反応条件によって異なるが、数分から100時間で反応が完結する。
脱水素反応により生成したカルボニル化合物の精製は、酸−塩基抽出、カラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶等の公知の方法により、または適時それらの組み合わせにより行うことができる。
本発明の脱水素方法によれば、広範囲のpH領域で反応が可能である。アルコールの脱水素反応において、pHは1〜14でよく、好ましくはpH4〜10であり、合成化学的観点からpH6〜8が好ましい。
カルボン酸の製造においては、カルボン酸の生成とともに、pHは酸性側へと変化し得るが、pH1〜14の領域において反応が進行する。中性領域であるpH6〜8で開始するのが合成化学的観点からみて好ましく、カルボン酸の生成効率の観点から、全体を通して反応系のpHが1〜10の範囲内にあるのが好ましく、特にpH1〜8の範囲内にあるのが好ましい。
本発明の一側面は、以下の式(1)
式(1)
式中、
Arは、置換基を有していてもよいベンゼン、または置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、
Mは、ルテニウム、ロジウムまたはイリジウムであり、
〜Rは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基であり、
とRは互いに連結して、 −CH=CH− を形成してもよく、前記 −CH=CH− におけるHは、互いに独立してハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基で置換されていてもよく、
Lは、アコ配位子である、
で表される有機金属化合物に関する。
本発明の一側面は、以下の式(2)
式中、
Arは、置換基を有していてもよいベンゼン、または置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、
Mは、ルテニウム、ロジウムまたはイリジウムであり、
〜Rは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基であり、
とRは互いに連結して、 −CH=CH− を形成してもよく、前記 −CH=CH− におけるHは、互いに独立してハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基で置換されていてもよく、
Zは、Na、Li、KまたはCsである、
で表される有機金属化合物に関する。
式(2)で表される化合物は、式(1)中、Lがアコ配位子である有機金属化合物とアルカリ化合物とを反応させることにより製造することができる。アルカリ化合物としては、これに限定するものではないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムおよび水酸化セシウムなどが挙げられる。したがって、式(2)で表される化合物は、Lがアコ配位子である式(1)で表される有機金属化合物を触媒として用いる脱水素反応において、アルカリ化合物を添加することにより、反応系中で生成されてもよい。
式(2)で表される化合物は、式(1)で表される化合物において上述した脱水素方法、カルボニル化合物の製造方法、水素の製造方法などにおいて、式(1)で表される化合物と同様に使用することができる。よって、本発明は式(2)で表される化合物を含む脱水素用触媒に関する。
本発明による水素の製造方法は、アルコールと水との混合物から連続的に水素を製造することを含む。特に効率性の観点から、式(2)で表される化合物を使用するのが好ましい。
連続的に水素を製造する方法としては、例えば逐次添加方式および連続添加方式が挙げられる。逐次添加方式は、アルコールと水との混合物に、式(1)および/または式(2)で表される化合物とアルカリ化合物を加え、加熱して還流下で反応させることにより水素を発生させた後、消費分に相当するアルコールおよび水を加え、さらにアルカリ化合物を加える。それぞれ追加した後のpHは反応開始時のpHと同等であることが好ましい。このように消費分を逐次添加することにより、連続的に水素を製造することができる。
連続添加方式は、アルコールと水との混合物に、式(1)および/または式(2)で表される化合物とアルカリ化合物を加え、加熱して還流下で反応系を開始させ、例えばシリンジポンプ、マイクロフィーダなどを用いて、予め混合したアルコール、水およびアルカリ化合物の混合物を、還流を継続させた状態で、一定の速度で添加し続ける。このように、連続的に一定の速度で消費される原料(アルコールおよび水)ならびに水酸化ナトリウムを消費速度に相当する量補いながら、連続的に反応させることにより、ほぼ一定のペースで水素ガスを長時間製造することができる。
本発明による連続的に水素を製造する水素の製造方法によれば、触媒回転数は2回以上であって、100回以上、好ましくは1000回以上、さらに好ましくは3500回以上とすることも可能であり、極めて効率がよく、実用性の高い新しいシステムを構築することができる。
連続的に水素を製造するシステムとしては、これに限定されるものではないが、反応槽、供給部および回収部を含むシステムが挙げられる。反応槽は、原料を触媒下で脱水素反応させ得るものであれば特に限定されないが、反応を継続させることができるものが好ましく、典型的には加熱および還流が可能な装置を具備する。また、供給部は、典型的には追加するための原料およびアルカリ化合物を貯蔵する貯蔵槽、シリンジポンプおよびマイクロフィーダなどの供給手段を含む。回収部は、発生する水素を回収するものであれば特に限定されないが、例えばガスビュレット、ガスバッグ、ガスタンク等が挙げられる。
本発明の一側面は、脱水素反応だけではなく、水素化および可逆的脱水素−水素化による相互変換に関する。例えば、
反応式(II)
式中、
およびRは、前述のとおりであり、
(i)は脱水素反応であり、(ii)は水素化である、
で表される触媒反応において、本発明の触媒は、(i)および(ii)の双方向の触媒反応を、水素の放出と吸収をともなって、定量的に相互変換を繰り返し行うことができる。
同じ触媒を用いて、脱水素反応と水素化を可逆的かつ連続的に行うことにより、水素貯蔵システムとして発展させることが可能と考えられる。
以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発明について説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
下記の例に記載した反応は、アルゴンガスまたは窒素ガスの不活性ガス雰囲気下で行なった。使用したアルコールは、市販試薬をそのまま用いた。錯体および反応物の同定には核磁気共鳴装置(NMR)を用い、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準物質とし、そのシグナルをδ=0(δは化学シフト)とした。カルボニル化合物や水素への転化率および収率はガスクロマトグラフィー(GC)により決定した。NMR装置はJOEL ECX-500およびJOEL ECS-400(日本電子株式会社製)を用い、GC装置はGL-Sciences GC353B(株式会社ジーエルサイエンス製)を用いた。
<新規中性イリジウム錯体触媒の合成>
[製造例1]
中性イリジウム錯体1は、製造例1−aまたは1−bに示すいずれかの方法で製造した。
[製造例1−a]
合成スキーム1−aに示すように、ジカチオン性Cpイリジウム―アコ錯体(407.8mg,0.60mmol)に6,6’−ジヒドロキシ−2,2’−ビピリジン配位子(113.8mg,0.60mmol)を水溶媒(12mL)中で作用させることにより、錯体Aを得た(収率93%)。続いて、錯体A(915.0mg,1.1mmol)に対してナトリウムt−ブトキシド(211.4mg,2.2mmol)を水溶媒(30mL)中で作用させることにより、中性イリジウム錯体1を得た(収率84%)。
[製造例1−b]
スキーム1−bに示すように、[CpIrCl(458.4mg,0.570mmol)に6,6’−ジヒドロキシ−2,2’−ビピリジン配位子(250.0mg,1.33mmol)をメタノール溶媒(8mL)中で作用させ、60℃で3時間反応させたのち、ガラスフィルターでろ過することによりカチオン性錯体A’を得た(収率74%)。続いて、カチオン性錯体A’(100.0mg,0.170mmol)とカリウムt−ブトキシド(38.3mg,0.340mmol)を水(5mL)中、室温で30分撹拌して反応させ、析出した固体をろ過することにより錯体1を得た(収率64%)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.43 (t, J = 8 Hz, 2H), 6.92 (d, J = 8 Hz, 2H), 6.43 (d, J = 8 Hz, 2H), 1.59 (s, 15H). 13C{1H} NMR (125.8 MHz, CD3OD) δ 170.9, 157.3, 139.9, 118.1, 106.9, 88.0, 9.83. Anal. Calcd for C20H23O3N2Ir: C, 45.18; H, 4.36; N, 5.27. Found: C, 45.47; H, 4.01; N, 5.62.
[製造例2]中性イリジウム錯体2の合成
スキーム2に示すように、[CpIrCl(240.0mg,0.301mmol)に2,9−ジヒドロキシ−1,10−フェナントロリン配位子(150.1mg,0.707mmol)をメタノール溶媒(5.4mL)中で作用させ、60℃で4時間反応させたのち、ガラスフィルターでろ過することによりカチオン性錯体Tを得た(収率60%)。続いて、カチオン性錯体T(150mg,0.229mmol)とカリウムt−ブトキシド(51.4mg,0.421mmol)を水(6.8mL)中、室温で30分撹拌して反応させ、真空下で溶媒を留去した。残渣にトルエン(15mL)を加えて抽出し、溶媒留去後にエタノール(2mL)と水(18mL)を用いて再結晶することによって錯体2を得た(収率73%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.78 (d, J = 9 Hz, 2H), 7.16 (s, 2H), 6.81 (d, J = 9 Hz, 2H), 1.86 (s, 15H). 13C{1H} NMR (125.8 MHz, CDCl3) δ168.7, 146.1, 139.1, 123.5, 119.2, 118.8, 91.7, 10.8.
[製造例3]中性イリジウム錯体Bの合成
カチオン性錯体A’(150.6mg,0.240mmol)、カリウムt−ブトキシド(80.5mg,0.718mmol)とピリジン(101.1mg,1.278mmol)をジクロロメタン(10mL)中、室温で一晩撹拌して反応させ、真空下で溶媒を留去した。残渣にトルエン(15mL)を加えて抽出したのち、溶媒留去することによって錯体Bを得た(収率75%)。
1H NMR (500 MHz, CD2Cl2) δ9.87 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.58 (t, J = 8 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 8 Hz, 2H), 6.22 (d, J = 8 Hz, 2H) δ1.50 (s, 15H). 13C{1H} NMR (125.8 MHz, CD2Cl2) δ168.8, 158.4, 157.4, 136.9, 136.7, 125.7, 117.6, 103.4, 88.2, 9.4.
[製造例4]中性イリジウム錯体Cの合成
カチオン性錯体A’(150.6mg,0.240mmol)、カリウムt−ブトキシド(80.5mg,0.718mmol)とアニリン(35.7mg,0.360mmol)をジクロロメタン(10mL)中、室温で一晩撹拌して反応させ、真空下で溶媒を留去した。残渣にトルエン(15mL)を加えて抽出したのち、溶媒留去することによって錯体Cを得た(収率70%)。
1H NMR (500 MHz, CD2Cl2) δ7.49 (bs, 1H), 7.27 (bs, 2H), 7.23 (t, J = 8 Hz, 2H), 7.06 (bs, 1H), 6.52 (d, J = 7 Hz, 2H), 6.22 (d, J = 8 Hz, 2H), 5.79 (bs, 1H), 1.28 (s, 15H). 13C{1H} NMR (125.8 MHz, CD2Cl2) δ169.1, 156.1, 141.5, 137.5, 128.6, 125.2, 122.5, 117.0, 103.4, 86.6, 8.4.
[製造例5]中性イリジウム錯体Dの合成
カチオン性錯体A’(150.6mg,0.240mmol)、カリウムt−ブトキシド(80.5mg,0.718mmol)とジメチルスルホキシド(18.3mg,0.234mmol)をジクロロメタン(10mL)中、室温で一晩撹拌して反応させ、真空下で溶媒を留去した。残渣にトルエン(15mL)を加えて抽出したのち、溶媒留去することによって錯体Dを得た(収率61%)。
1H NMR (500 MHz, CD2Cl2) δ7.15 (t, J = 8 Hz, 2H), 6.46 (d, J = 8 Hz, 2H), 6.13 (d, J = 8 Hz, 2H), 2.89 (bs, 6H), 1.56 (s, 15H). 13C{1H} NMR (100.5 MHz, CD2Cl2) δ168.2, 156.6, 137.2, 117.2, 103.9, 95.1, 46.1, 9.0.
[製造例6]中性イリジウム錯体Eの合成
カチオン性錯体T(150.6mg,0.230mmol)、カリウムt−ブトキシド(79.2mg,0.706mmol)とピリジン(90.5mg,1.144mmol)をジクロロメタン(10mL)中、室温で一晩撹拌して反応させ、真空下で溶媒を留去した。残渣にトルエン(15mL)を加えて抽出したのち、溶媒留去することによって錯体Eを得た(収率82%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ9.65 (d, J = 5 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.53 (t, J = 8 Hz, 2H), 7.19 (t, J = 7 Hz, 2H), 6.68 (d, J = 8 Hz, 2H), 1.59 (s, 15H). 13C{1H} NMR (125.8 MHz, CD2Cl2) δ168.2, 158.2, 147.4, 136.9, 136.8, 125.9, 122.6, 120.8, 118.7, 88.2, 10.0.
次に、合成した錯体を触媒に用いた脱水素反応を例示する。例中で用いた錯体の構造式を以下に示す。
例中で用いた錯体
[実施例1]
<ラセミ体1−フェニルエタノールの脱水素反応によるアセトフェノンの合成>
不活性ガス雰囲気下、50mLの2つ口ナスフラスコに脱水ペンタン3mL、ラセミ体1−フェニルエタノール122.2mg(1.0mmol)、および錯体1を2.7mg(0.005mmol、0.5mol%)加え、還流条件下で5時間撹拌した。トルエン10mLを加えて均一にした後、反応液をGCにて分析したところ、表1に示すように転化率100%、収率100%で対応するアセトフェノンが生成することを確認した。
[実施例2]
<ラセミ体1−フェニルエタノールの脱水素反応によるアセトフェノンの合成>
触媒として錯体2を2.8mg(0.005mmol、0.5mol%)用いた以外は、実施例1と同条件で反応を実施した。GCによる分析の結果、表1に示すように転化率37%、収率36%でアセトフェノンが生成することを確認した。
[実施例3〜6]
<ラセミ体1−フェニルエタノールの脱水素反応によるアセトフェノンの合成>
触媒として表1に示した各種錯体触媒B〜E(0.005mmol)を用いた以外は、実施例1と同条件で反応を実施した。GCによる分析結果を表1にまとめて示した。アセトフェノンが生成することを確認した。
[実施例7]
<ラセミ体1−フェニルエタノールの脱水素的酸化反応によるアセトフェノンの合成>
不活性ガス雰囲気下、50mLの2つ口ナスフラスコに脱水ペンタン3mL、ラセミ体1−フェニルエタノール122.2mg(1.0mmol)、および錯体1を2.7mg(0.005mmol、0.5mol%)加え、還流条件下で5時間撹拌した。トルエン10mLを加えて均一にした後、反応液をGCにて分析したところ、表2に示すように転化率100%、収率100%で対応するアセトフェノンが生成することを確認した。
[比較例1]
<ラセミ体1−フェニルエタノールの脱水素的酸化反応によるアセトフェノンの合成>
触媒として錯体A(0.005mmol)を用いた以外は、実施例7と同条件で反応を実施した。GCによる分析の結果、表2に示すように変換率19%、収率18%でアセトフェノンが生成した。実施例7と比較すると、収率が明らかに低値を示していることから、本発明の有用性が示された。
[比較例2]
<ラセミ体1−フェニルエタノールの脱水素的酸化反応によるアセトフェノンの合成>
触媒として錯体A(0.005mmol)を用い、反応溶媒として水を用いた以外は、実施例7と同条件で反応を実施した。GCによる分析の結果、表2に示すように転化率6%、収率4%でアセトフェノンが生成した。実施例7と比較すると、収率が明らかに低値を示していることから、本発明の有用性が示された。
[比較例3]
<ラセミ体1−フェニルエタノールの脱水素的酸化反応によるアセトフェノンの合成>
触媒として錯体A(0.005mmol)、反応溶媒として水を用い、80℃で反応を実施した以外は、実施例7と同条件で反応を実施した。GCによる分析の結果、表2に示すように転化率12%、収率11%でアセトフェノンが生成した。実施例7と比較すると、収率が明らかに低値を示していることから、本発明の有用性が示された。
[実施例8〜14]
<第二級アルコールの脱水素的酸化反応によるケトンの合成>
錯体1を触媒に用い、表3に示すような反応条件で種々の第二級アルコールの脱水素的酸化反応を行なった。反応終了後、反応液をGCにて分析したところ、いずれも高転化率、高収率で対応するケトンが生成することを確認した。
[実施例15]
<ラセミ体1−フェニルエタノールの脱水素的酸化反応によるアセトフェノンの合成>
1000mLのナスフラスコに脱水p−キシレン500mL、ラセミ体1−フェニルエタノール61.06g(500mmol)、および錯体1を0.53mg(0.001mmol、0.0002mol%)加え、還流条件下で48時間撹拌した。ジクロロメタンを加えて均一にした後、反応液をGCにて分析したところ、収率55%で対応するアセトフェノンが生成することを確認した。この反応では高い触媒回転数(TON=275,000)を示したことから、本発明の有用性が示された。
[実施例16]
<β−エストラジオールの脱水素的酸化反応によるエストロンの合成>
50mLの一口ナスフラスコにtert−ブチルアルコール3mL、β−エストラジオール272.4mg(1.0mmol)および錯体1を2.7mg(0.005mmol,0.5mol%)を加え、還流条件下で20時間撹拌した。反応液の溶媒を留去し、NMRにて分析したところ、収率100%で対応するエストロンが生成することを確認した。
[実施例17]
<ベンジルアルコールの脱水素的酸化反応によるベンズアルデヒドの合成>
50mLのナスフラスコにtert−ブチルアルコール10mL、ベンジルアルコール54.0mg(0.5mmol)、および錯体1を4.0mg(0.0075mmol、1.5mol%)加え、還流条件下で20時間撹拌した。ジクロロメタン10mLを加えて均一にした後、反応液をGCにて分析したところ、表4に示すように転化率92%、収率92%で対応するベンズアルデヒドが生成することを確認した。
[実施例18〜20]
<第一級アルコールの脱水素的酸化反応によるアルデヒドの合成>
基質として表4に示した各種第一級アルコール(0.5mmol)を用いた以外は、実施例17と同条件で反応を実施した。GCによる分析結果を表4にまとめて示した。
[実施例21]
<4−(トリフルオロメチル)ベンジルアルコールの脱水素的酸化反応による4−(トリ フルオロメチル)ベンズアルデヒドの合成>
50mLのナスフラスコに脱水ヘプタン10mL、4−(トリフルオロメチル)ベンジルアルコール88.5mg(0.5mmol)、および錯体1を7.9mg(0.015mmol、3.0mol%)加え、還流条件下で20時間撹拌した。ジクロロメタン10mLを加えて均一にした後、反応液をGCにて分析したところ、表4に示すように転化率89%、収率88%で対応する4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドが生成することを確認した。
[実施例22]
<シクロヘキサンメタノールの脱水素的酸化反応によるシクロヘキサンカルボキシアルデヒドの合成>
50mLのナスフラスコに脱水トルエン10mL、シクロヘキサンメタノール56.2mg(0.5mmol)、および錯体1を6.5mg(0.012mmol、2.5mol%)加え、還流条件下で20時間撹拌した。トルエン10mLを加えて均一にした後、反応液をGCにて分析したところ、表4に示すように転化率82%、収率81%で対応するシクロヘキサンカルボキシアルデヒドが生成することを確認した。
[実施例23]
<1−オクタノールの脱水素的酸化反応によるn−オクタナールの合成>
50mLのナスフラスコに脱水トルエン10mL、1−オクタノール65.2mg(0.5mmol)、および錯体1を13.2mg(0.025mmol、5.0mol%)加え、還流条件下で20時間撹拌した。トルエン10mLを加えて均一にした後、反応液をGCにて分析したところ、表4に示すように転化率89%、収率87%で対応するn−オクタナールが生成することを確認した。
[実施例24]
<ベンジルアルコールの脱水素的酸化反応によるベンズアルデヒドの合成>
500mLのナスフラスコに脱水トルエン270mL、ベンジルアルコール8.648g(80mmol)、および錯体1を0.85mg(0.0016mmol、0.002mol%)加え、還流条件下で48時間撹拌した。トルエンを加えて均一とした後、反応液をGCにて分析したところ、収率95%で対応するベンズアルデヒドが生成することを確認した。この反応では高い触媒回転数(TON=47,500)を示したことから、本発明の有用性が示された。
[実施例25]
<ラセミ体1−フェニルエタノールの脱水素的酸化反応によるアセトフェノンの合成(無溶媒条件下)>
50mLの2つ口ナスフラスコにラセミ体1−フェニルエタノール610.4mg(5.0mmol)、および錯体1を79.7mg(0.15mmol、3.0mol%)加え、60℃で20時間撹拌した。ジクロロメタン100mLを加えて均一にした後、反応液をGCにて分析したところ、表5に示すように転化率95%、収率93%で対応するアセトフェノンが生成することを確認した。
[実施例26〜28]
<アルコールの脱水素的酸化反応によるアルデヒドの合成(無溶媒条件下)>
基質として表5に示した各種アルコール(5.0mmol)を用い、反応温度を90℃とした以外は、実施例25と同条件で反応を実施した。GCによる分析結果を表5にまとめて示した。
[比較例4]
<ラセミ体1−フェニルエタノールの脱水素的酸化反応によるアセトフェノンの合成(無溶媒条件下)>
触媒として錯体A(0.15mmol)を用いた以外は、実施例25と同条件で反応を実施した。GCによる分析の結果、表5に示すように転化率は93%であったが、アセトフェノンの収率は5%であった。実施例25と比較すると、収率が明らかに低値を示していることから、本発明の有用性が示された。
[実施例29]
<エタノールの脱水素的酸化反応を経由する酢酸の合成>
10mLの試験管にエタノール460.7mg(10mmol)、水360.4mg(20mmol)、および錯体1を159.7mg(0.3mmol、3.0mol%)加え、還流条件下で20時間撹拌した。反応液をNMRにて分析したところ、酢酸が収率75%で生成することを確認した。また、発生したガスを分析したところ、水素が収率84%で生成することを確認した。バイオマス資源から発酵により得られるエタノールを原料に用い、有機工業化学において重要な酢酸と、クリーンエネルギーとして有用な水素を同時に得られることから、本発明の有用性が示された。
[実施例30]
<2−プロパノールの脱水素的酸化反応による水素の製造>
10mLの試験管に2−プロパノール901.6mg(15mmol)、および錯体1を159.5mg(0.3mmol、2.0mol%)加え、還流条件下で4時間撹拌した。反応液をGCにて分析したところ、アセトンが収率98%で生成することを確認した。また、発生したガスを分析したところ、水素が収率91%で生成することを確認した。
[実施例31]
<アセトンの水素化>
不活性ガス雰囲気下、30mLの2ツ口ナスフラスコに錯体1を79.6mg(0.15mmol,0.5mol%)とり、水素置換をした後、アセトン1.7418g(30.0mmol)を加え、水素で満たした風船をつけ40℃で4時間撹拌した。反応液をGCにて分析したところ、2−プロパノールが収率95%で生成することを確認した。
[実施例32]
<メタノールの脱水素的酸化反応による水素の製造>
10mLの試験管にメタノール320.4mg(10mmol)、水180.2mg(10mmol)、および錯体1を159.5mg(0.3mmol、3.0mol%)加え、pHメーターを用いてpH>13となるまで水酸化ナトリウム水溶液を添加した後、還流条件下で20時間撹拌した。発生したガスを分析したところ、水素が収率99%で生成することを確認した。
[実施例33]
<ギ酸の脱水素的酸化反応による水素の製造>
10mLの試験管にギ酸460.6mg(10mmol)、および錯体1を2.6mg(0.005mmol、0.05mol%)加え、60℃で21分間撹拌した。発生したガスを分析したところ、水素が収率94%で生成することを確認した。少ない触媒量で短時間にギ酸を分解し、水素を製造できることから、本発明の有用性が示された。
[製造例7]
<機能性ビピリドナート配位子を有するアニオン性イリジウム錯体の合成>
中性イリジウム錯体1(1.0630g、2.0mmol)をフラスコに取り、1.0 M水酸化ナトリウム水溶液(3.0mL、3.0mmol)を加えて室温で反応させると、黒緑色均一溶液となった。その後、溶液をマイクロチューブに移し、空気下で開放した状態で静置して結晶化させることにより、対イオンとしてナトリウムイオンを有する新規アニオン性錯体3を収率72%(796.5mg、1.4mmol)で得た。
1H NMR (500 MHz, D2O) δ 7.46 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 7.03 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 6.42 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 1.49 (s, 15H). 13C{1H} NMR (125.8 MHz, D2O) δ 170.6, 156.9, 139.3, 116.8, 107.4, 85.6, 9.39. Anal. Calcd for C20H22O3N2NaIr・H2O: C, 42.02; H, 4.23; N, 4.90. Found: C, 42.07; H, 4.64; N, 4.93.
錯体3、およびジカチオン性錯体Aならびに中性イリジウム錯体1を触媒として用いた触媒反応を、以下検討した。
[実施例34]
<メタノールと水の混合物からの水素発生反応>
前述の錯体A、1および3を触媒として用いて、メタノールと水の混合物からの脱水素化反応を行った。反応は、メタノールと水を原料に用い、触媒の存在下で加熱還流を行い、発生した気体をガスビュレットに捕集して定量した。なお、気体の容積のうち75%を水素とみなし、水素の容積とその収率を計算して表に掲載した。最初に、等量のメタノール(20mmol)と水(20mmol)を原料とし、触媒A、1および3(0.5mol%)の存在下で20時間加熱還流することによって各触媒の活性を比較した(entry 1−3)。ジカチオン性の触媒Aや中性の触媒1を用いた場合は、ほとんど反応が進行せず、ごく微量の水素の発生しか観測されなかったが(entry 1と2)、アニオン性の触媒3を用いることによって反応が進行するようになり、120mL(収率8%)の水素を得ることができた(entry 3)。次に、メタノールに対する水の当量を変化させてみると(entry 3−5)、水を4当量用いたときに水素の発生量が最大となった(150mL、収率10%、entry 4)。続いて、本触媒系では反応の進行に伴って二酸化炭素が生じるため、系が徐々に酸性化し、触媒分子がアニオン性錯体3から中性錯体1へ、さらにはジカチオン性錯体Aへと転化している可能性が考えられるため、これを防ぐために添加物として塩基(水酸化ナトリウム)を加えることを検討した(entry 6−9)。これによって水素の収率は大幅に向上し、0.5mol%の水酸化ナトリウムを添加したときに最適条件となり、1223mL(収率84%)の水素を得ることができた(entry 7)。
[実施例35]
<メタノールと水からの水素発生法(逐次添加方式)>
メタノールと水の混合物から連続的に水素を発生する触媒系の構築を検討した。
最初に、メタノール(20mmol)と水(80mmol)の混合物に対し触媒3(0.1mol%)と水酸化ナトリウム(0.5mol%)を加えた。この時点での系のpHは11.2であった。この混合物を還流条件下で20時間反応させると、607.5mL(収率41%)の水素が発生した。ここで、消費量に相当するメタノール(8.2mmol)と水(8.2mmol)を反応系に加え、さらに水酸化ナトリウム(0.5mol%)を再度加えて系内のpHを11.3に調整した後、還流条件下で20時間反応させると、611.3mL(収率41%)の水素が発生した。同様の操作を再び繰り返すことで、562.5mL(収率38%)の水素を得ることができた。
このような連続的な水素発生法によって、合計1781.3mL(71.5mmol)の水素を得ることができ、触媒回転数としては1191回が達成された。触媒に対し安全で取り扱いやすい原料(メタノールと水の混合物)ならびに水酸化ナトリウムを連続的に加えて加熱する手順によって、水素ガスを連続的に発生できる新しいシステムへと発展させることが可能である。
[実施例36]
<メタノールと水からの水素発生法(連続添加方式 その1)>
触媒的な水素発生に伴って消費するメタノールと水を補うため、シリンジポンプを用いて一定のペースで添加する実験を行った。
最初に、メタノール(20mmol)と水(80mmol)の混合物に対し触媒3(0.1mol%)と水酸化ナトリウム(0.5mol%)を加えた。この時点での系のpHは11.2であった。反応系を加熱して還流を開始するとともに、シリンジポンプを用いて[メタノール(0.6mmol/h)、水(0.6mmol/h)、水酸 化ナトリウム(0.001mmol/h)]を予めこれらを混合した溶液として加えた。還流を継続することで、ほぼ一定のペースでガスの発生が観測され、50時間後には2385mLの水素(99.61mmol)を得ることができ、触媒回転数としては1660回が達成された。
このように、消費される原料(メタノールおよび水)ならびに水酸化ナトリウムを消費速度に相当する量補いながら連続的に反応させることにより、ほぼ一定のペースで水素ガスを長時間(50時間)にわたって持続的に発生させることができる。
[実施例37]
<メタノールと水からの水素発生法(連続添加方式 その2)>
触媒的な水素発生に伴って消費するメタノールと水を補うため、同様にシリンジポンプを用いて一定のペースで添加する実験を150時間に延長して行った。
最初に、メタノール(20mmol)と水(80mmol)の混合物に対し触媒3(0.1mol%)と水酸化ナトリウム(0.5mol%)を加えた。この時点での系のpHは11.2であった。反応系を加熱して還流を開始するとともに、シリンジポンプを用いて[メタノール(0.6mmol/h)、水(0.6mmol/h)、水酸化ナトリウム(0.001mmol/h)]を予めこれらを混合した溶液として加えた。還流を継続することで、ほぼ一定のペースでガスの発生が観測され、150時間後には4946mLの水素(210.2mmol)を得ることができ、触媒回転数としては3502回が達成された。
このように、消費される原料(メタノールおよび水)ならびに水酸化ナトリウムを消費速度に相当する量補いながら連続的に反応させることにより、ほぼ一定のペースで水素ガスを長時間(150時間)にわたって持続的に発生させることができる。
[実施例38]
<低級アルコールと水を原料とする脱水素的カルボン酸合成反応>
低級アルコール(エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール)と水との混合物を原料に用いて、水素を得ると同時に対応する炭素数のカルボン酸を得る触媒反応について検討した。まず、エタノール(10mmol)と水(20mmol)の混合物に対し、アニオン性触媒3(3.0mol%)と水酸化ナトリウム(3.0mol%)を加え、還流条件下で20時間反応させると、酢酸が収率85%で生成するとともに、水素が445mL(収率92%)得られた(entry 1)。また、1−プロパノールと水の混合物を原料とする同様の反応を40時間かけて行うと、プロピオン酸が収率68%で得られるとともに、水素が411mL(収率85%)発生した。なお、この反応では、少量(18%)のエステル生成物(プロピオン酸プロピル)も観測された(entry 2)。さらに、1−ブタノールと水の混合物を原料とする反応によっても同様のカルボン酸生成反応が進行し、水素の発生を伴って酪酸を得ることができた(entry 3と4)。

Claims (23)

  1. 式(1)
    式中、
    Arは、置換基を有していてもよいベンゼン、または置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、
    Mは、ルテニウム、ロジウムまたはイリジウムであり、
    〜Rは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基であり、
    とRは互いに連結して、 −CH=CH− を形成してもよく、前記 −CH=CH− におけるHは、互いに独立してハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基で置換されていてもよく、
    Lは、スルホキシド配位子、含窒素芳香環配位子、アミン配位子、ホスフィン配位子、エーテル配位子およびアコ配位子からなる群から選択される、
    で表される有機金属化合物を含む触媒を用いる、酸素含有化合物の脱水素方法。
  2. 酸素含有化合物が、アルコールである、請求項1に記載の方法。
  3. 酸素含有化合物が、ギ酸またはギ酸塩である、請求項1に記載の方法。
  4. Lが、アコ配位子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. Arが、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、Mがイリジウムであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法に用いる、式(1)で表される有機金属化合物を含む脱水素用触媒。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の脱水素方法を用いて、アルコールの脱水素により対応するカルボニル化合物を生成させることを特徴とする、カルボニル化合物の製造方法。
  8. カルボニル化合物が、ケトンまたはアルデヒドである請求項7に記載の方法。
  9. アルコールが第一級アルコールであり、カルボニル化合物がカルボン酸であり、水を含む溶媒を用いる、請求項7に記載の方法。
  10. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の脱水素方法を用いて、アルコール、アルコールと水とを含む混合物、ギ酸またはギ酸塩の脱水素により水素を生成させることを特徴とする、水素の製造方法。
  11. 式(1)
    式中、
    Arは、置換基を有していてもよいベンゼン、または置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、
    Mは、ルテニウム、ロジウムまたはイリジウムであり、
    〜Rは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基であり、
    とRは互いに連結して、 −CH=CH− を形成してもよく、前記 −CH=CH− におけるHは、互いに独立してハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基で置換されていてもよく、
    Lは、アコ配位子である、
    で表される有機金属化合物。
  12. Arが、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、Mがイリジウムであることを特徴とする、請求項11に記載の有機金属化合物。
  13. 式(2)
    式中、
    Arは、置換基を有していてもよいベンゼン、または置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、
    Mは、ルテニウム、ロジウムまたはイリジウムであり、
    〜Rは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基であり、
    とRは互いに連結して、 −CH=CH− を形成してもよく、前記 −CH=CH− におけるHは、互いに独立してハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、カルボキシル基、1もしくは2以上の水素原子が置換されていてもよい、C1〜10のアルキル基、C3〜15のシクロアルキル基、C6〜15のアリール基、C1〜10のヘテロシクリル基、C2〜10のアルケニル基、C2〜10のアルキニル基、C1〜10のアルコキシ基、C1〜10のエステル基、C1〜10のフルオロアルキル基、C1〜10のアシル基、C1〜10のスルホニル基、C1〜10のアミノ基、C1〜10のアミド基、C1〜10のスルフェニル基またはC1〜10のシリル基で置換されていてもよく、
    Zは、Na、Li、KまたはCsである、
    で表される有機金属化合物。
  14. Arが、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、Mがイリジウムであることを特徴とする、請求項13に記載の有機金属化合物。
  15. 請求項13または14に記載の有機金属化合物を含む触媒を用いる、酸素含有化合物の脱水素方法。
  16. 酸素含有化合物が、アルコール、ギ酸またはギ酸塩である、請求項15に記載の方法。
  17. 請求項13または14に記載の有機金属化合物を含む脱水素用触媒。
  18. 請求項15または16に記載の脱水素方法を用いて、アルコールの脱水素により対応するカルボニル化合物を生成させることを特徴とする、カルボニル化合物の製造方法。
  19. カルボニル化合物が、ケトンまたはアルデヒドである請求項18に記載の方法。
  20. アルコールが第一級アルコールであり、カルボニル化合物がカルボン酸であり、水を含む溶媒を用いる、請求項18に記載の方法。
  21. 請求項16に記載の脱水素方法を用いて、アルコール、アルコールと水とを含む混合物、ギ酸またはギ酸塩の脱水素により水素を生成させることを特徴とする、水素の製造方法。
  22. 連続的に水素を製造する方法であって、アルコールと水とを含む混合物にアルカリ化合物を加え、[1]に記載の一般式(1)および/または[13]に記載の一般式(2)で表される有機金属化合物の存在下、脱水素反応させ、脱水素の進行過程において該混合物および該アルカリ化合物を1または2回以上追加する、前記方法。
  23. 請求項22に記載の方法を用いる連続的に水素を製造するシステムであって、脱水素反応を行う反応槽、混合物とアルカリ化合物とを供給する供給部および製造した水素を回収する回収部を含む、前記システム。
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