JP2015082412A - 真空バルブ - Google Patents

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安部 淳一
Junichi Abe
淳一 安部
木村 俊則
Toshinori Kimura
俊則 木村
知孝 矢野
Tomotaka Yano
知孝 矢野
大樹 道念
Daiki Donen
大樹 道念
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Abstract

【課題】電極の底面の機械強度を確保し、電極開閉時の衝撃で電極が変形するのを抑制して真空バルブの遮断性能が大きく低下することを防ぐことを目的とする。
【解決手段】底面3を有する円筒状のコイル導体4、およびこの円筒状のコイル導体4の底面3と対向する端部に電気的に接続された接点6で構成された第一の電極1と、第一の電極1と接点6を対向させて接離可能に設けられた第二の電極2とが、真空容器内に収納されて構成されており、コイル導体4は、円筒側面に傾斜スリット8を有し、底面3は、傾斜スリット8に繋がった窪み9を有するものである。
【選択図】図1

Description

この発明は、電力系統における回路の開閉に用いられる真空遮断器の真空バルブに関するものである。
真空バルブには、電流遮断性能を向上させるため、縦磁界を利用する縦磁界電極が用いられている。大電流を遮断する場合や定格電圧を上げるには、より広くアークを拡散させるために、電極の接点間に発生する縦磁界強度を上げる必要がある。縦磁界を強くするために、例えば円筒状のコイル導体の側面に斜めスリットを備えた電極で構成された真空バルブが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、縦磁界をさらに強くするために、例えばコイル導体の側面に備えられた周方向の斜めスリットに連続する形で底面にもスリットを備えた電極で構成された真空バルブも開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平08−022751号公報(3頁、図2) 特開2003−086068号公報(3頁、図5)
従来の斜めスリットに連続する形で底面にもスリットを備えた構造の電極では、電極の機械強度が低下し、電極開閉時の衝撃で電極が変形する恐れがある。そのため、電極内部に設置されている補強体などによって、電極の開閉方向の機械強度はある程度補強されている。このように構成された電極においては、補強体によってコイル導体の側面の斜めスリットの変形を防ぐことができるが、底面の水平方向の機械強度は補強されていないため、底面のスリットの変形を防ぐことができず、最悪の場合、底面のスリットが接触する恐れがある。底面のスリットが接触すると縦磁界が大きく変化して、真空バルブの遮断性能が大きく低下するという問題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、電極の底面の機械強度を確保し、電極開閉時の衝撃で電極が変形するのを抑制して真空バルブの遮断性能が大きく低下することを防ぐことを目的としている。
この発明に関わる真空バルブは、底面を有する円筒状のコイル導体、およびこの円筒状のコイル導体の底面と対向する端部に電気的に接続された接点で構成された第一の電極と、第一の電極と接点を対向させて接離可能に設けられた第二の電極とが、真空容器内に収納されて構成されており、コイル導体は、円筒側面に傾斜スリットを有し、底面は、傾斜スリットに繋がった窪みを有するものである。
この発明は、コイル導体の底面にコイル導体の円筒側面に形成された傾斜スリットに繋がった窪みを有しているので、電極の底面の機械強度を確保し、電極開閉時の衝撃で電極が変形するのを抑制して真空バルブの遮断性能が大きく低下することを防ぐことができる。
この発明の実施の形態1を示す真空バルブの電極の斜視図である。 この発明の実施の形態1を示す真空バルブの電極の平面図である。 この発明の実施の形態1を示す真空バルブの模式図である。 この発明の実施の形態2を示す真空バルブの電極の平面図である。 この発明の実施の形態3を示す真空バルブの電極の斜視図である。
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1における真空バルブの第一の電極1および第二の電極2を示す斜視図である。本実施の形態における第一の電極1および第二の電極2は同じ構造である。したがって、第一の電極1を用いて電極の構造を説明する。第一の電極1は、底面3を有するカップ形の円筒形状のコイル導体4と、コイル導体4の開口側の上面に凸形状に設けられた通電面5と、この通電面5に接合される接点6とを備えている。円柱状の通電棒7は、底面3の中央に接続されている。真空バルブの第一の電極1と第二の電極2とは、接点6が互いに接触および離合するように対向して配置されている。コイル導体4の側面には、その側面を貫通する複数の斜めスリット8が形成されている。この複数の斜めスリット8は、円筒状のコイル導体4の軸線に対して傾斜させて形成されている。斜めスリット8同士の間のコイル導体4の開口側に通電面が設けられている。さらに、斜めスリット8は底面3に到達するように構成されており、この斜めスリット8と接続される形で底面3の内面に円形状の窪み9が形成されている。
一般に、コイル導体4、通電面5および通電棒7は銅で構成されており、接点6は、銀を主成分とする合金、例えばAg−W−C系の合金、もしくは銅を主成分とする合金、例えばCu−Cr系の合金などで構成されている。
図2は、本実施の形態における第一の電極のコイル導体4を開口側から見た平面図である。コイル導体4の側面に形成された6本の斜めスリット8は、底面3に達するように切り込まれている。底面3の内面に形成された窪み9は、この斜めスリット8に接続される形で6個離散して形成されている。円形状の窪み9の直径は、例えば円筒形状のコイル導体4の直径に対して1/4〜1/6であり、円形状の窪み9の深さは、例えば底面3の厚さに対して3/4〜4/5である。したがって、例えば底面3の厚みが10mmの場合、窪み9の深さは、7.5〜8mmである。
図3は、本実施の形態における真空バルブ10の全体を示す模式図である。真空バルブ10の容器は、セラミックあるいはガラスなどで構成された絶縁円筒11の両端を金属で構成された固定側フランジ12aと可動側フランジ12bとで塞がれた真空容器で構成されている。この絶縁円筒11の内部は、例えば10-7Pa程度の真空に保たれている。固定側フランジ12aに固定して接続される固定側通電棒7aの先端に第一の電極が固定電極13aとして接続されている。また、可動側フランジ12bにベローズ14を介して接続される可動側通電棒7bの先端に第二の電極が可動電極13bとして接続されている。電流通電時には固定電極13aと可動電極13bとは接触している。電流遮断時にはベローズ14を介して可動側フランジ12bに接続されている可動通電棒7bが下方向に動いて、固定電極13aと可動電極13bとが離合される。さらに、固定電極13aおよび可動電極13bの周囲には導電性のシールド15が設けられている。このシールド15は、電流遮断時に発生するアークが絶縁円筒11の内側表面に付着するのを防止するために設けられている。
このような真空バルブにおいては、電流遮断時に固定電極13aの接点と可動電極13bの接点との間にアークが発生する。このアークを発生させる電流は、それぞれの電極のコイル導体の斜めスリット間が通電経路となる。このとき、コイル導体の斜めスリット間の通電経路を流れる電流によって固定電極13aの接点と可動電極13bの接点との間の空間において広範囲に縦方向の磁界が発生する。この縦方向の磁界によって、接点間に発生したアークは、そのアークの発生箇所に留まることができずに広範囲に拡散する。その結果、接点間での局所的な温度上昇が抑制されるので、より大電流の遮断が可能となる。
本実施の形態の真空バルブでは、図2に示したように、コイル導体の側面の5本のスリットに接続される形で底面に窪み9が6個形成されている。上述の縦方向の磁界を発生する電流は、図2において太い矢印で示したように、底面の窪み9の間を通ってコイル導体のスリット間の通電経路に流れる。なぜなら、底面の窪み9の部分の断面積に比べて窪み9同士間の部分の断面積の方が大きいので、電気抵抗は窪み9同士間の方が小さくなり、アークを発生させる電流は、通電棒7から窪み9同士間を通ってスリット間の通電経路に流れる。例えば、上述のように窪み9の深さを、底面3の厚さに対して3/4〜4/5とした場合、窪み部分の電気抵抗は、窪み同士間の部分の電気抵抗の4〜5倍となる。その結果、底面3での電流経路は、窪み同士間の部分が支配的となる。
このように構成された真空バルブにおいては、通電棒からコイル導体を経由して接点まで流れる電流の通電経路が長くなるため、接点間に発生する縦方向の磁界が強くなり、アークを拡散させる効果が向上する。さらに、底面にスリットを形成していないので、底面の機械強度を確保することができ、電極開閉時の衝撃で電極が変形するのを抑制して真空バルブの遮断性能が大きく低下することを防ぐことができる。
また、底面にスリットを形成するには切削加工が必要となるが、本実施の形態のように底面に窪みを形成するにはプレス加工でよいので、電極の加工も容易となる。
なお、本実施の形態においては、コイル導体の側面と底面とは一体の構成で説明したが、コイル導体の側面と底面とは別構成としてもよい。また、コイル導体と接点との間に通電面を備える構成で説明したが、通電面を備えずにコイル導体に直接接点が接続されてもよい。さらに、窪みの形状を円形の形状としたが、円形以外の例えば四角形の形状などでもよい。
実施の形態2.
実施の形態2においては、第一の電極および第二の電極の構成は実施の形態1と同様であり、底面3に形成された窪みの形状が異なっている。図4は、本実施の形態における電極を底面側から見た平面図である。本実施の形態においては、図4に示したように、斜めスリット8に繋がって底面に形成された窪み9は、円形の小さな窪みが連結された構成されている。本実施の形態では、円形の小さな窪みを5つ連結してひとつの溝状の窪み9を形成している。それぞれの円形の小さな窪みの直径は、例えば円筒形状のコイル導体4の直径に対して1/20〜1/30であり、それぞれの円形の小さな窪みの深さは、例えば底面3の厚さに対して3/4〜4/5である。
本実施の形態の電極を備えた真空バルブでは、図4において太い矢印で示したように、実施の形態1と同様に縦方向の磁界を発生する電流は底面の溝状の窪み9同士間を通ってスリット間の通電経路に流れる。
このように構成された電極を備えた真空バルブにおいては、通電棒からコイル導体を経由して接点まで流れる電流の通電経路が長くなるため、接点間に発生する縦方向の磁界が強くなり、アークの拡散させる効果が向上する。さらに、底面にスリットを形成していないので、底面の機械強度が確保され、電極開閉時の衝撃で電極が変形するのを抑制して真空バルブの遮断性能が大きく低下することを防ぐことができる。
また、円形の小さな窪みを連結して1つの溝状の窪みを形成しているので、加工が容易であるとともに、窪みの形状を変更する自由度が大きくなる。
なお、本実施の形態においては、円形の小さな窪みを連結して1つの溝状の窪みを形成している。その形成方法としては、例えば1つの円形の窪みをドリルで形成し、その円形の窪みを連結して1つの溝状の窪みを形成する方法がある。それ以外の方法として、円形のフライスを用いて連続して1つの横長の溝状の窪みを形成してもよい。
実施の形態3.
図5は、実施の形態3における第二の電極2を示す斜視図である。本実施の形態においては、実施の形態1と同様に第一の電極と第二の電極とは同じ構造である。本実施の形態の電極は、底面3を有するカップ形の円筒形状のコイル導体4と、コイル導体4の開口側の上面に凸形状に設けられた通電面5と、この通電面5に接合される接点6とを備えている。円柱状の通電棒7は、底面3の中央に接続されている。コイル導体4の側面には、その側面を貫通する複数の斜めスリット8が形成されている。斜めスリット8は底面に到達するように構成されており、この斜めスリット8と接続される形でコイル導体4の底面と接する部分に水平スリット18が形成されている。
本実施の形態の電極を備えた真空バルブでは、図5において太い矢印で示したように、縦方向の磁界を発生する電流は底面から斜めスリット8と水平スリット18との間の通電経路に流れる。
このように構成された電極を備えた真空バルブにおいては、通電棒からコイル導体を経由して接点まで流れる電流の通電経路が長くなるため、接点間に発生する縦方向の磁界が強くなり、アークの拡散させる効果が向上する。さらに、底面にスリットや窪みを形成していないので、底面の機械強度が確保され、電極開閉時の衝撃で電極が変形するのを抑制して真空バルブの遮断性能が大きく低下することを防ぐことができる。
なお、本実施の形態においては、コイル導体の側面と底面とは一体の構成で説明したが、コイル導体の側面と底面とは別構成としてもよい。また、コイル導体と接点との間に通電面を備える構成で説明したが、通電面を備えずにコイル導体に直接接点が接続されてもよい。
1 第一の電極、 2 第二の電極、 3 底面、 4 コイル導体、 5 通電面、 6接点、 7 通電棒、 8斜めスリット、9 窪み、 10 真空バルブ、 11 絶縁円筒、 12a 固定側フランジ、 12b 可動側フランジ、 13a 固定電極、 13b 可動電極、 14 ベローズ、 15 シールド、 18 水平スリット

Claims (3)

  1. 底面を有する円筒状のコイル導体、
    およびこの円筒状のコイル導体の前記底面と対向する端部に電気的に接続された接点
    で構成された第一の電極と、
    前記第一の電極と前記接点を対向させて接離可能に設けられた第二の電極とが、
    真空容器内に収納された真空バルブにおいて、
    前記コイル導体は、円筒側面に傾斜スリットを有し、
    前記底面は、前記傾斜スリットに繋がった窪みを有することを特徴とする真空バルブ。
  2. 前記窪みは、前記コイル導体が発生する縦磁界の磁界方向に溝状に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の真空バルブ。
  3. 底面を有する円筒状のコイル導体、
    およびこの円筒状のコイル導体の一方の端部に電気的に接続された接点
    で構成された第一の電極と、
    前記第一の電極と前記接点を対向させて接離可能に設けられた第二の電極とが、
    真空容器内に収納された真空バルブにおいて、
    前記コイル導体は、円筒側面に傾斜スリットとこの傾斜スリットに連続して前記底面と接する面の一部に円周側に延在する円周スリットとを有することを特徴とする真空バルブ。
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