JP2015082396A - 微生物燃料電池用電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極内部にまで微生物が付着することにより電荷移動密度が増加し、さらに、電極表面の微生物密度を増やすことで高効率発電能を有する微生物燃料電池用電極の提供。【解決手段】微生物燃料電池は、一対の電極(負電極3と正電極5)、隔膜4、及び電解質液2を収容した反応槽1、並びに前記一対の電極と電気的に接続された外部回路6を備え、電極基板内部又はその表面の少なくとも一部に、平均孔径(Rave)が150μm<Rave≰1.5cmである孔を有する三次元構造の導電性物質を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、電極基板内部又はその表面の少なくとも一部に、平均孔径が150μm<Rave≦1.5cmの孔を有する三次元構造の導電性物質を有することを特徴とする微生物燃料電池用電極に関する。
持続可能エネルギーとして、バイオマスを利用して発電をする微生物燃料電池が脚光を浴びている。微生物燃料電池とは、微生物を反応触媒として応用した燃料電池であり、触媒として利用する微生物によって代謝可能な多様な有機物を電力変換できる技術を利用した電池である。微生物燃料電池は、有機廃棄物処理をしながらエネルギー回収が出来るという優れたシステムではあるが、有機物分解微生物の発する電力が非常に小さく、それゆえ微生物燃料電池の出力電流密度が低いという問題があり、実用的な発電力を得るためにさらなる改良が必要とされている。
かかる問題を解決するためには、微生物から電極への電荷移動の効率化を狙い電極表面積を拡大し、電極特性を改善することが考えられる。例えば、以下の特許文献1には、導電性ポリマーにより電極表面を修飾することが開示されている。また、以下の非特許文献1には、繊維上にカーボンナノチューブを付加して微生物との表面コンタクト効率を上げる試みがなされている。また、以下の特許文献2には、6μmから20μmの細孔を持つ微生物燃料電池電極構造を特徴とする報告もなされている。
しかしながら、電極の表面においては、微生物の発電効率を高めることができたものの、微生物が存在するバイオフィルム中ではカーボンフェルトに代表される平均孔径100μm前後の細孔を持つ微生物燃料電池電極では、最表面に形成されたバイオフィルムにより細孔が埋められ、電極内部にまで微生物及び栄養物質の移動が十分に行われない。そのため電極内部には微生物が存在することができず、微生物が付着できる電極の表層のみを利用するに過ぎなかった。
しかしながら、電極の表面においては、微生物の発電効率を高めることができたものの、微生物が存在するバイオフィルム中ではカーボンフェルトに代表される平均孔径100μm前後の細孔を持つ微生物燃料電池電極では、最表面に形成されたバイオフィルムにより細孔が埋められ、電極内部にまで微生物及び栄養物質の移動が十分に行われない。そのため電極内部には微生物が存在することができず、微生物が付着できる電極の表層のみを利用するに過ぎなかった。
Xing Xie et al., Nano Lett. 2011, 11(1), p. 291-296
前記した従来技術に伴う問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、電極内部にまで微生物が付着することにより電荷移動密度が増加し、さらに、電極表面の微生物密度を増やすことで高効率発電能を有する微生物燃料電池用電極を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、電極表面に貫通孔又は閉塞孔を備えることで微生物が電極内部にまで付着することができ、その結果微生物ならびにバイオフィルムの付着面積を増やすことができ、それにより、電極単位体積あたりの微生物存在比率を増やし発電効率を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の通りものである:
[1]電極基板内部又はその表面の少なくとも一部に、平均孔径(Rave)が150μm<Rave≦1.5cmである孔を有する三次元構造の導電性物質を有することを特徴とする微生物燃料電池用電極。
[1]電極基板内部又はその表面の少なくとも一部に、平均孔径(Rave)が150μm<Rave≦1.5cmである孔を有する三次元構造の導電性物質を有することを特徴とする微生物燃料電池用電極。
[2]前記孔が、貫通孔又は閉塞孔である、前記[1]に記載の微生物燃料電池用電極。
[3]前記導電性物質が、炭素、炭素繊維集合体、炭素含有物質若しくはそれらの誘導体、又はそれらの組み合わせからなる重合体、あるいは該重合体の混合物である、前記[1]又は[2]に記載の微生物燃料電池用電極。
[4]前記導電性物質が、金属、金属繊維集合体、金属含有物質若しくはそれらの誘導体、又はそれらの組み合わせからなる重合体、あるいは該重合体の混合物である、前記[1]又は[2]に記載の微生物燃料電池用電極。
[5]前記導電性物質が、直鎖共役系高分子、芳香族共役系高分子、複素環式共役系高分子、含ヘテロ原子共役系高分子、混合型共役系高分子、梯子形共役系高分子若しくはそれらの誘導体、又はそれらの組み合わせからなる重合体、あるいは該重合体の混合物である、前記[1]又は[2]に記載の微生物燃料電池用電極。
[6]前記導電性物質が、炭素、炭素繊維集合体、炭素含有物質、金属、金属繊維集合体、金属含有物質、直鎖共役系高分子、芳香族共役系高分子、複素環式共役系高分子、含ヘテロ原子共役系高分子、混合型共役系高分子、梯子形共役系高分子若しくはそれらの誘導体、又はそれらの組み合わせからなる重合体、あるいは該重合体の混合物がさらに、めっき、蒸着、スプレーコート又は粉体塗装されたものである、前記[1]又は[2]に記載の微生物燃料電池用電極。
[7]前記導電性物質が単層又は積層されている、請求項1又は2に記載の微生物燃料電池用電極。
微生物燃料電池で一般的に利用され、また本発明の比較対象で用いているカーボンフェルト電極(平均孔径約100μm)では微生物が形成するバイオフィルムのため、該微生物は内部に侵入することが困難で最表層にしか存在し得なかったが、本発明の微生物燃料電池用電極では、150μm以上の孔を備えることによりバイオフィルム形成では埋もれない空間が存在し、微生物が電極内部まで容易に到達することができ、さらに、該微生物の増殖に必要な有機物の供給を容易にして、発電効率を高めることができる。
ここに示す孔とは貫通孔及び閉塞孔を指す。貫通孔は表面に穴の空いている面から他の表面に向かい貫通している孔であり、閉塞孔は貫通していない孔である。微生物が内部まで侵入することが出来る孔であれば、貫通孔閉塞孔のいずれでも構わない。
他方、本発明の微生物燃料電池用電極は、従来のカーボンフェルト電極では微生物が利用することのできなかった電極内部を三次元的に利用することができ、単位体積あたりの微生物付着密度を高めて、発電効率を高めることができる。かかる特徴を備えることにより、本発明の微生物燃料電池用電極は、従来の微生物燃料電池用電極に比較して、その使用により高出力の電力を得ることができる。
ここに示す孔とは貫通孔及び閉塞孔を指す。貫通孔は表面に穴の空いている面から他の表面に向かい貫通している孔であり、閉塞孔は貫通していない孔である。微生物が内部まで侵入することが出来る孔であれば、貫通孔閉塞孔のいずれでも構わない。
他方、本発明の微生物燃料電池用電極は、従来のカーボンフェルト電極では微生物が利用することのできなかった電極内部を三次元的に利用することができ、単位体積あたりの微生物付着密度を高めて、発電効率を高めることができる。かかる特徴を備えることにより、本発明の微生物燃料電池用電極は、従来の微生物燃料電池用電極に比較して、その使用により高出力の電力を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(微生物燃料電池の構成)
図1を参照して、本発明の微生物燃料電池用電極を用いた具体例を説明する。
微生物燃料電池は、通常一対の電極(負電極(3)と正電極(5))、隔膜(4)、及び電解質液(2)を収容した反応槽(1)、並びに前記一対の電極と電気的に接続された外部回路(例えば、データロガー、ポテンショスタット等)(6)を備える。以下、前記構成に基き本発明を説明するが、本発明の微生物燃料電池の構成は、かかる構成を有するものには限定されない。
(微生物燃料電池の構成)
図1を参照して、本発明の微生物燃料電池用電極を用いた具体例を説明する。
微生物燃料電池は、通常一対の電極(負電極(3)と正電極(5))、隔膜(4)、及び電解質液(2)を収容した反応槽(1)、並びに前記一対の電極と電気的に接続された外部回路(例えば、データロガー、ポテンショスタット等)(6)を備える。以下、前記構成に基き本発明を説明するが、本発明の微生物燃料電池の構成は、かかる構成を有するものには限定されない。
[微生物燃料電池用電極の作製]
(電極基板)
電極基板としては、導電性物質及び/又は非導電性物質をめっき、蒸着、スプレーコート又は粉体塗装で導電性加工したものであることができる。
導電性物質及び/又は非導電性物質としては、例えば、セルロース繊維不織布、ガラス不織布、ビニロン不織布、アラミド不織布などを挙げることができるが、なかでも、セルロース不織布が好ましい。
上記の導電性物質及び/又は非導電性物質は、電極基板内部又はその表面の少なくとも一部に、平均孔径(Rave)が150μm<Rave≦1.5cmである孔を有する三次元構造を有する必要がある。孔の平均孔径は、好ましくは200μm<Rave≦5mmであり、より好ましくは250μm<Rave≦3mmである。更に好ましくは500μm<Rave≦3mmである。
かかる孔径とすることにより、電極内部にまでバイオフィルム接着に寄与することが出来、それによりバイオフィルム付着可能表面積を増やすことができ、ひいては電極単位体積あたりの微生物存在比率を増やし発電効率を高めることができる。
(電極基板)
電極基板としては、導電性物質及び/又は非導電性物質をめっき、蒸着、スプレーコート又は粉体塗装で導電性加工したものであることができる。
導電性物質及び/又は非導電性物質としては、例えば、セルロース繊維不織布、ガラス不織布、ビニロン不織布、アラミド不織布などを挙げることができるが、なかでも、セルロース不織布が好ましい。
上記の導電性物質及び/又は非導電性物質は、電極基板内部又はその表面の少なくとも一部に、平均孔径(Rave)が150μm<Rave≦1.5cmである孔を有する三次元構造を有する必要がある。孔の平均孔径は、好ましくは200μm<Rave≦5mmであり、より好ましくは250μm<Rave≦3mmである。更に好ましくは500μm<Rave≦3mmである。
かかる孔径とすることにより、電極内部にまでバイオフィルム接着に寄与することが出来、それによりバイオフィルム付着可能表面積を増やすことができ、ひいては電極単位体積あたりの微生物存在比率を増やし発電効率を高めることができる。
かかる孔径に関する特徴を有する電極材料として、以下、セルロース繊維不織布について詳細に説明する。
セルロース不織布としては、旭化成せんい株式会社のベンリーゼ(登録商標)を挙げることができる。ベンリーゼ(登録商標)は、前記した平均孔径の孔を有しており表面はエンボス加工がされている。ベンリーゼ(登録商標)としては、数層〜数十層積層したものが好ましい。積層量は使用する微生物燃料電池の反応槽に応じ決めることができるが、10層〜200層が基準であり、好ましくは15〜150層であり、より好ましくは20〜120層である。
セルロース不織布としては、旭化成せんい株式会社のベンリーゼ(登録商標)を挙げることができる。ベンリーゼ(登録商標)は、前記した平均孔径の孔を有しており表面はエンボス加工がされている。ベンリーゼ(登録商標)としては、数層〜数十層積層したものが好ましい。積層量は使用する微生物燃料電池の反応槽に応じ決めることができるが、10層〜200層が基準であり、好ましくは15〜150層であり、より好ましくは20〜120層である。
孔の存在比率は、微生物燃料電池に用いる菌種、槽サイズ、使用有機物より変化させることができる。さらに、先の孔以外に150μm以下の小さい平均孔径(Rave2)を持つ孔が同時に存在すると、微生物及びバイオフィルムが接着する表面積を増大することができ、さらに発電効率を向上することができる。かかる小さい孔の平均孔径は10μm<Rave2≦150μmであることができる。
(電極基板の導電化)
(炭素化)
積層したベンリーゼ(登録商標)を焼成炉で炭化焼成する。電気炉ガス炉など焼成炉の方式は問わないが、酸化防止のため除酸素が必要である。そのため窒素などの不活性ガス雰囲気下又は真空下で焼成を行うが、真空下での焼成が好ましい。焼成温度は導電性を持たせるために分子内結晶水を完全に飛ばさなければならない。そのため焼成温度は、少なくても600℃以上であることが必要であるが、分子内結合を強化するため900℃以上であることが好ましい。焼成時間は焼成温度によるが、900℃での焼成の場合2時間であることができる。
(炭素化)
積層したベンリーゼ(登録商標)を焼成炉で炭化焼成する。電気炉ガス炉など焼成炉の方式は問わないが、酸化防止のため除酸素が必要である。そのため窒素などの不活性ガス雰囲気下又は真空下で焼成を行うが、真空下での焼成が好ましい。焼成温度は導電性を持たせるために分子内結晶水を完全に飛ばさなければならない。そのため焼成温度は、少なくても600℃以上であることが必要であるが、分子内結合を強化するため900℃以上であることが好ましい。焼成時間は焼成温度によるが、900℃での焼成の場合2時間であることができる。
(表面導電化)
上記したベンリーゼのように焼成して炭素化することが困難な電極材料(例えば、フュージョン(登録商標 ; 旭化成せんい株式会社))の場合には、例えば、ニッケル:りん=90:10の無電解ニッケルめっきすることで表面導電化を行えば微生物燃料電池用電極として使用できる。また、カーボンナノチューブの様な導電性を有する物質で電極材料を表面をコートすることにより微生物燃料電池用電極として使用することもできる。もちろん、一旦、炭素化したベンリーゼのような電極材料であっても、平均孔径を制御するために、上記しためっき法や、表面コート法を利用することも可能である。以上の条件で製造した電極は、その比表面積が大きいことが特徴であり、BET法による比表面積が0.4m2/cm2以上、好ましくは0.5 m2/cm2以上、より好ましくは0.6 m2/cm2以上である。一方、上限は1m2/cm2以下、好ましくは0.8m2/cm2以下、より好ましくは0.7m2/cm2以下である。
尚、上記電極は主に負極電極について説明した。
上記したベンリーゼのように焼成して炭素化することが困難な電極材料(例えば、フュージョン(登録商標 ; 旭化成せんい株式会社))の場合には、例えば、ニッケル:りん=90:10の無電解ニッケルめっきすることで表面導電化を行えば微生物燃料電池用電極として使用できる。また、カーボンナノチューブの様な導電性を有する物質で電極材料を表面をコートすることにより微生物燃料電池用電極として使用することもできる。もちろん、一旦、炭素化したベンリーゼのような電極材料であっても、平均孔径を制御するために、上記しためっき法や、表面コート法を利用することも可能である。以上の条件で製造した電極は、その比表面積が大きいことが特徴であり、BET法による比表面積が0.4m2/cm2以上、好ましくは0.5 m2/cm2以上、より好ましくは0.6 m2/cm2以上である。一方、上限は1m2/cm2以下、好ましくは0.8m2/cm2以下、より好ましくは0.7m2/cm2以下である。
尚、上記電極は主に負極電極について説明した。
(導電化電極基板の電極化)
焼成した積層ベンリーゼ(登録商標)や焼成困難な電極材料を表面導電化処理したものを電極化する場合、直接配線を結んで使用することができるが、好ましくは正極との電極間距離を一定に保ちたいので薄い炭素板又は金属プレートのような導電性支持体に該積層ベンリーゼ(登録商標)を固定化した方がよい。
焼成した積層ベンリーゼ(登録商標)や焼成困難な電極材料を表面導電化処理したものを電極化する場合、直接配線を結んで使用することができるが、好ましくは正極との電極間距離を一定に保ちたいので薄い炭素板又は金属プレートのような導電性支持体に該積層ベンリーゼ(登録商標)を固定化した方がよい。
以下、本発明の実施形態を、実施例を挙げて具体的に説明する。
[微生物燃料電池用電極の作製]
先ず、負極電極として、ベンリーゼ(登録商標)(SC282、旭化成せんい株式会社)を70mm×30mmの大きさになる様に成形し積層数15層の電極基材を2種類作製した。まず、130mm×130mmにSC282原反より切り出し、一方をそのまま(本発明、実施例1)、他方にはさらに直径5mmの孔を規則的に開け(本発明、実施例2)電極サンプルとした。その後真空・不活性ガス焼成炉(VMF−165−P、山田電機株式会社)の中に入れ、窒素雰囲気下900℃×2hrs焼成を行った。セルロース由来のベンリーゼは焼成後、約40%の寸法収縮が発生するので大きさに余裕を見る必要があった。
[微生物燃料電池用電極の作製]
先ず、負極電極として、ベンリーゼ(登録商標)(SC282、旭化成せんい株式会社)を70mm×30mmの大きさになる様に成形し積層数15層の電極基材を2種類作製した。まず、130mm×130mmにSC282原反より切り出し、一方をそのまま(本発明、実施例1)、他方にはさらに直径5mmの孔を規則的に開け(本発明、実施例2)電極サンプルとした。その後真空・不活性ガス焼成炉(VMF−165−P、山田電機株式会社)の中に入れ、窒素雰囲気下900℃×2hrs焼成を行った。セルロース由来のベンリーゼは焼成後、約40%の寸法収縮が発生するので大きさに余裕を見る必要があった。
焼成後のベンリーゼを70mm×30mmに切り出し15枚を積層した。その後70mm×30mm×2mm(内寸66mm×26mm×2mm)のカーボンプレート枠(TT−315、東京炭素工業株式会社)に導電性接着剤(LS−109、株式会社アサヒ化学研究所)で接着、硬化するためオーブンで150℃×10min加熱し、貫通孔を有するベンリーゼ負極電極を得た。上記電極と比較するための比較用電極としてカーボンフェルト(比較例)(S−224、東京炭素工業株式会社)を同様の寸法に切断し、同様にカーボンプレート枠に固定化した。
対極(正極)として、負極と同じ大きさの炭素繊維(E−TEK社製30%wet-proofed、又はその類似品)の片面に60%4−ポリテトラフルオ口エチレン(PTFE)溶液を塗布し、加温・乾燥を4回繰り返してPTFE層を4層積層させ、その反対面には20%白金/炭素粉末(田中貴金属販売株式会社)を5%Nafion溶液(シグマ社製)に懸濁したものを塗布し、風乾したものから成るエアー・カソード(正極)を用いた。
対極(正極)として、負極と同じ大きさの炭素繊維(E−TEK社製30%wet-proofed、又はその類似品)の片面に60%4−ポリテトラフルオ口エチレン(PTFE)溶液を塗布し、加温・乾燥を4回繰り返してPTFE層を4層積層させ、その反対面には20%白金/炭素粉末(田中貴金属販売株式会社)を5%Nafion溶液(シグマ社製)に懸濁したものを塗布し、風乾したものから成るエアー・カソード(正極)を用いた。
[電極の孔径測定]
孔径の測定においては、まず、光学顕微鏡(SZX16、オリンパス株式会社)、電子顕微鏡(S−3000N、日立製作所)で任意の表面1cm四方を撮影した。その画像データから二次元画像解析ソフト(A像くん、旭化成エンジニアリング株式会社)により各開孔部の面積を算出した。求めた面積を真円とした場合の直径をそれぞれの孔径とした。
その求めた孔径とその孔径度数に先の面積をかけた面積総和との分布図から150μm以上の範囲に最大面積値を示す孔径を中心に、その前後±2μmの範囲における孔径を平均孔径(Rave)とした。一方、150μm未満の電極表面の孔および凹凸を上記画像処理にて孔として近似化した。それを上記の分布図で150μm未満の範囲に最大面積を示す孔径を中心にその前後±2μmの範囲における孔径を小さい孔の平均孔径(Rave2)とした。
この方法により、本実施例で用いた上記ベンリーゼ負極の孔の平均孔径(Rave)は2850μm(本発明、実施例2)及び530μm(本発明、実施例1)、小さい孔の平均孔径(Rave2)が30μm(本発明、実施例1及び2)であることを確認した。また、比較例の平均孔径(Rave)は単一分布で98μmであった。
孔径の測定においては、まず、光学顕微鏡(SZX16、オリンパス株式会社)、電子顕微鏡(S−3000N、日立製作所)で任意の表面1cm四方を撮影した。その画像データから二次元画像解析ソフト(A像くん、旭化成エンジニアリング株式会社)により各開孔部の面積を算出した。求めた面積を真円とした場合の直径をそれぞれの孔径とした。
その求めた孔径とその孔径度数に先の面積をかけた面積総和との分布図から150μm以上の範囲に最大面積値を示す孔径を中心に、その前後±2μmの範囲における孔径を平均孔径(Rave)とした。一方、150μm未満の電極表面の孔および凹凸を上記画像処理にて孔として近似化した。それを上記の分布図で150μm未満の範囲に最大面積を示す孔径を中心にその前後±2μmの範囲における孔径を小さい孔の平均孔径(Rave2)とした。
この方法により、本実施例で用いた上記ベンリーゼ負極の孔の平均孔径(Rave)は2850μm(本発明、実施例2)及び530μm(本発明、実施例1)、小さい孔の平均孔径(Rave2)が30μm(本発明、実施例1及び2)であることを確認した。また、比較例の平均孔径(Rave)は単一分布で98μmであった。
[電極表面積測定]
電極の表面積はまずそれぞれの電極サンプルの比表面積を求め、使用した電極重量より算出された値を電極表面積とした。比表面積測定はクリプトンガス吸着−BET法により測定し、比表面積測定装置(BELSORP36、日本ベル社)にて行った。吸湿ガスはクリプトンガスで死容積測定にはヘリウムガスを用いた。測定サンプルの前処理として150℃5hrsの減圧脱気を行った。その結果BET法による比表面積は、実施例1では0.67m2/g、実施例2では0.58m2/g、比較例では0.32m2/gであった。
電極の表面積はまずそれぞれの電極サンプルの比表面積を求め、使用した電極重量より算出された値を電極表面積とした。比表面積測定はクリプトンガス吸着−BET法により測定し、比表面積測定装置(BELSORP36、日本ベル社)にて行った。吸湿ガスはクリプトンガスで死容積測定にはヘリウムガスを用いた。測定サンプルの前処理として150℃5hrsの減圧脱気を行った。その結果BET法による比表面積は、実施例1では0.67m2/g、実施例2では0.58m2/g、比較例では0.32m2/gであった。
[反応槽]
アクリルで、内径100mm×60mm×30mmの反応槽を作製した。100mm×60mmの片面に66mm×26mmの貫通孔を設け、この位置の槽内側に作製した微生物燃料電池用電極、外側にエアー・カソードを設置した。
アクリルで、内径100mm×60mm×30mmの反応槽を作製した。100mm×60mmの片面に66mm×26mmの貫通孔を設け、この位置の槽内側に作製した微生物燃料電池用電極、外側にエアー・カソードを設置した。
[発電微生物]
発電微生物として、Geobacter sulfurreducens(ジオバクター・サルフレドゥセンス)(ATCC寄託No.51573)を用いた。
発電微生物として、Geobacter sulfurreducens(ジオバクター・サルフレドゥセンス)(ATCC寄託No.51573)を用いた。
[電解質液の調製]
以下の組成の電解質液を、最終容量1.0Lになる様に蒸留水で調製した。
NH4Cl 1.5g
NaH2PO4 0.6g
KCl 0.1g
NaHCO3 2.5g
CH3COONa 0.82g
HOOCHC=CHCOONa 8.0g
調製した電解質液に、スターチ:ペプトン:フィッシュミールを3:1:1(289gCOD/L、COD=化学的酸素要求量)の割合の栄養基質を、該電解質液に対し1/100容量添加し、反応槽溶液とした。
以下の組成の電解質液を、最終容量1.0Lになる様に蒸留水で調製した。
NH4Cl 1.5g
NaH2PO4 0.6g
KCl 0.1g
NaHCO3 2.5g
CH3COONa 0.82g
HOOCHC=CHCOONa 8.0g
調製した電解質液に、スターチ:ペプトン:フィッシュミールを3:1:1(289gCOD/L、COD=化学的酸素要求量)の割合の栄養基質を、該電解質液に対し1/100容量添加し、反応槽溶液とした。
[電力測定]
一対の電極間にポテンショスタット(G300、Gamry社)とマルチプレクサ(ECM8、Gamry社)を結線し、発生電力をモニタリングした。
出力カーブは培養開始後菌数とともに上昇し、約一週間後に菌数が飽和状態に達し出力が安定した時点をそのサンプルの出力とした。出力測定時は外部抵抗を75Ωとし、電流値で示した。
結果を以下の表1に示す。
一対の電極間にポテンショスタット(G300、Gamry社)とマルチプレクサ(ECM8、Gamry社)を結線し、発生電力をモニタリングした。
出力カーブは培養開始後菌数とともに上昇し、約一週間後に菌数が飽和状態に達し出力が安定した時点をそのサンプルの出力とした。出力測定時は外部抵抗を75Ωとし、電流値で示した。
結果を以下の表1に示す。
標準的に使われているカーボンフェルト電極に比べ、焼成した積層ベンリーゼ(登録商標)を電極として用いた場合の発生電力は、実施例1と2において、ぞれぞれ、電極単位面積あたり約3.8倍と11倍に高まった。
測定後の電極表面を観測したところ、カーボンフェルトは表面にのみバイオフィルム形成が起こり、内部には確認できなかった。しかしながら、本発明のベンリーゼ電極では、積層された内部までバイオフィルムの存在が認められ、電流値上昇の結果と一致していた。特に、5mm(焼成後は約3mmに収縮)の孔を開けたベンリーゼ電極(本発明、実施例2)においては、その孔を持たないベンリーゼ電極(本発明、実施例1)よりも、さらに内部までバイオフィルム形成が確認され、その電流値もその孔を持たないベンリーゼより高出力であった結果とも一致した。
測定後の電極表面を観測したところ、カーボンフェルトは表面にのみバイオフィルム形成が起こり、内部には確認できなかった。しかしながら、本発明のベンリーゼ電極では、積層された内部までバイオフィルムの存在が認められ、電流値上昇の結果と一致していた。特に、5mm(焼成後は約3mmに収縮)の孔を開けたベンリーゼ電極(本発明、実施例2)においては、その孔を持たないベンリーゼ電極(本発明、実施例1)よりも、さらに内部までバイオフィルム形成が確認され、その電流値もその孔を持たないベンリーゼより高出力であった結果とも一致した。
本発明の微生物燃料電池用電極は、150μm以上の孔を備えることにより微生物が電極内部まで到達することができ、さらに、該微生物の増殖に必要な有機物の供給を容易にして、発電効率を高めることができる。他方、本発明の微生物燃料電池用電極は、小孔を備えることにより電極表面上の比表面積を増大することができ、単位体積あたりの微生物付着密度を高めて、さらに発電効率を高めることができる。よって、本発明の微生物燃料電池用電極は、微生物燃料電池の電極として好適に利用可能である。
1 反応槽
2 電解質液
3 負電極
4 隔膜
5 正電極
6 外部回路(データロガー、ポテンショスタット等)
2 電解質液
3 負電極
4 隔膜
5 正電極
6 外部回路(データロガー、ポテンショスタット等)
Claims (7)
- 電極基板内部又はその表面の少なくとも一部に、平均孔径(Rave)が150μm<Rave≦1.5cmである孔を有する三次元構造の導電性物質を有することを特徴とする微生物燃料電池用電極。
- 前記孔が、貫通孔又は閉塞孔である、請求項1に記載の微生物燃料電池用電極。
- 前記導電性物質が、炭素、炭素繊維集合体、炭素含有物質若しくはそれらの誘導体、又はそれらの組み合わせからなる重合体、あるいは該重合体の混合物である、請求項1又は2に記載の微生物燃料電池用電極。
- 前記導電性物質が、金属、金属繊維集合体、金属含有物質若しくはそれらの誘導体、又はそれらの組み合わせからなる重合体、あるいは該重合体の混合物である、請求項1又は2に記載の微生物燃料電池用電極。
- 前記導電性物質が、直鎖共役系高分子、芳香族共役系高分子、複素環式共役系高分子、含ヘテロ原子共役系高分子、混合型共役系高分子、梯子形共役系高分子若しくはそれらの誘導体、又はそれらの組み合わせからなる重合体、あるいは該重合体の混合物である、請求項1又は2に記載の微生物燃料電池用電極。
- 前記導電性物質は、炭素、炭素繊維集合体、炭素含有物質、金属、金属繊維集合体、金属含有物質、直鎖共役系高分子、芳香族共役系高分子、複素環式共役系高分子、含ヘテロ原子共役系高分子、混合型共役系高分子、梯子形共役系高分子若しくはそれらの誘導体、又はそれらの組み合わせからなる重合体、あるいは該重合体の混合物がさらに、めっき、蒸着、スプレーコート又は粉体塗装されたものである、請求項1又は2に記載の微生物燃料電池用電極。
- 前記導電性物質が単層又は積層されている、請求項1又は2に記載の微生物燃料電池用電極。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013219604A JP2015082396A (ja) | 2013-10-22 | 2013-10-22 | 微生物燃料電池用電極 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013219604A JP2015082396A (ja) | 2013-10-22 | 2013-10-22 | 微生物燃料電池用電極 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2015082396A true JP2015082396A (ja) | 2015-04-27 |
Family
ID=53012895
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JP2013219604A Pending JP2015082396A (ja) | 2013-10-22 | 2013-10-22 | 微生物燃料電池用電極 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2015082396A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017041372A (ja) * | 2015-08-20 | 2017-02-23 | パナソニック株式会社 | 微生物燃料電池及び廃液処理装置 |
WO2017195406A1 (ja) * | 2016-05-12 | 2017-11-16 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 微生物燃料電池及びそれを用いた液体処理ユニット |
JP2019160454A (ja) * | 2018-03-08 | 2019-09-19 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 生物電気化学システム用電極、生物電気化学システムおよび生物電気化学システム用電極の製造方法 |
-
2013
- 2013-10-22 JP JP2013219604A patent/JP2015082396A/ja active Pending
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JP2019160454A (ja) * | 2018-03-08 | 2019-09-19 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 生物電気化学システム用電極、生物電気化学システムおよび生物電気化学システム用電極の製造方法 |
JP6989923B2 (ja) | 2018-03-08 | 2022-02-03 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 生物電気化学システム用電極、生物電気化学システムおよび生物電気化学システム用電極の製造方法 |
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