JP2015080646A - 内視鏡用レンズユニットおよびこれを備えた内視鏡 - Google Patents
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Abstract
【課題】鏡筒に同軸的に挿入された複数のレンズを固定する接着剤を加熱処理する場合に膨脹エアを逃がすとともに、小径レンズの位置決めを高精度化し得る。
【解決手段】鏡筒に同軸に挿入する複数のレンズの軸線方向端に配置される少なくとも一方のレンズに、軸線方向に貫通する貫通部を設け、レンズを固定する接着剤をレンズの外周面の少なくとも貫通部を除いた部分に塗布する。複数のレンズを鏡筒に同軸に挿入して対物レンズ系を構成する場合にレンズの偏心及び偏角による影響を受けないようにするための公差で鏡筒の内径とレンズの外径とを規定すると、レンズと鏡筒との隙間が極めて狭くなることから、レンズ間に封入されるエアの抜けが悪くなり、接着剤を加熱して硬化させる場合に、レンズ間の封入エアが膨脹するとレンズが動く虞が生じるが、貫通部によりエアを逃がすことができる。
【選択図】図7
【解決手段】鏡筒に同軸に挿入する複数のレンズの軸線方向端に配置される少なくとも一方のレンズに、軸線方向に貫通する貫通部を設け、レンズを固定する接着剤をレンズの外周面の少なくとも貫通部を除いた部分に塗布する。複数のレンズを鏡筒に同軸に挿入して対物レンズ系を構成する場合にレンズの偏心及び偏角による影響を受けないようにするための公差で鏡筒の内径とレンズの外径とを規定すると、レンズと鏡筒との隙間が極めて狭くなることから、レンズ間に封入されるエアの抜けが悪くなり、接着剤を加熱して硬化させる場合に、レンズ間の封入エアが膨脹するとレンズが動く虞が生じるが、貫通部によりエアを逃がすことができる。
【選択図】図7
Description
本発明は、外部から直接観察できない観察対象の内部を撮像するための内視鏡用レンズユニットおよびこれを備えた内視鏡に関する。
従来、医療分野や工業分野において、患者の体内や機器および構造物の内部を撮像するための内視鏡が普及している。この種の内視鏡として、観察対象の内部に挿入される挿入部において、撮像部位からの光を対物レンズ系によってイメージセンサの受光面に結像させるとともに、その結像光を電気信号に変換し、信号ケーブルを介して外部の画像処理装置等に映像信号として送信する構成が知られている。
また、近年の内視鏡には患者の負担を軽減するための挿入部をより小径化することが求められており、小径化に伴ってレンズがより一層小径化されるようになっている。そのような小径レンズ(例えば直径1mm)により内視鏡の対物レンズ系を、例えば円筒状の鏡筒内に複数のレンズを積層状態に挿入して構成することができる。レンズの鏡筒への固定は、例えば軸線方向端のレンズを接着剤で固定することで可能であるが、レンズの偏心や偏角防止のためには公差を極小(例えば1〜3μm)とする必要がある。その場合には、鏡筒の内周面とレンズの外周面との間にはほとんど隙間が無くなるため、接着固定するレンズの外周面に接着剤を塗布して鏡筒に挿入するとレンズの外周面と鏡筒の内周面との隙間に接着剤が浸透し、鏡筒内が軸線方向端レンズにより密封状態となる。加熱硬化型の接着剤を用いた場合には、軸線方向端レンズに封入された状態のエアが加熱処理時に膨脹し、その膨脹によりレンズがずれて固定される虞がある。
一方、例えば温度変化に伴う空気の膨脹収縮によるレンズでの結露などの悪影響を防止するために、光軸方向両端のレンズ間に挟まれる内部空間と外部空間とを連通する溝を鏡筒に設けるとともに、中間に配置されるレンズに溝と連通する切り欠きを設け、レンズにより挟まれた内部空間と外部空間とを連通させたものがある(例えば特許文献1参照)。
上記特許文献1では、レンズ間の内部空間を中間レンズの切り欠き及び鏡筒の溝を介して外部空間と連通させている。しかしながら、挿入部の外径をできるだけ細くした内視鏡ではそれに伴って上記したようにレンズを小径化するが、レンズを受容する鏡筒の外径もできるだけ小径化する必要があるため、鏡筒の肉厚は極めて薄くなる。そのような薄肉の鏡筒に特許文献1のような溝を設けるのは困難であるばかりでなく、溝を設けた部分の強度不足により真円度を確保できないという問題が生じる。
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、鏡筒に同軸的に挿入された複数のレンズを固定する接着剤を加熱処理する場合に膨脹エアを逃がすとともに、小径化されたレンズの位置決めを高精度化し得る内視鏡用レンズユニットおよびこれを備えた内視鏡を提供することにある。
本発明の内視鏡用レンズユニットは、内視鏡の挿入部に配置される内視鏡用レンズユニットであって、前記挿入部に設けられた円筒状の鏡筒と、前記鏡筒に同軸に受容された複数のレンズとを備え、前記複数のレンズにおける前記鏡筒の軸線方向端に配置される軸線方向端レンズの外周面が、前記鏡筒の内周面に接着剤により固定され、前記軸線方向端レンズは、前記外周面の一部に前記鏡筒の内周面との間に空間を画定しかつ軸線方向に貫通する貫通部を有する構成とする。
本発明によれば、軸線方向端レンズを接着剤により鏡筒の内周面に接着して固定する場合に、その軸線方向端レンズの外周面に、鏡筒の内周面との間に空間を画定しかつ軸線方向に貫通する貫通部が設けられていることから、軸線方向端レンズの外周面が貫通部を除いた部分で接着剤により鏡筒の内周面に固着されるため、軸線方向端レンズの鏡筒内側の内部空間と鏡筒外側の外部空間とが貫通部を介して連通する。これにより、接着剤を硬化させるべく加熱した場合に、軸線方向端レンズの鏡筒内側で膨脹したエアを貫通部を介して鏡筒外側へ逃がすことができるため、軸線方向端レンズの全周を接着した場合の封入エアによる悪影響を防止し得る。
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、内視鏡の挿入部に配置される内視鏡用レンズユニットであって、前記挿入部に設けられた円筒状の鏡筒と、前記鏡筒に同軸に受容された複数のレンズとを備え、前記複数のレンズにおける前記鏡筒の軸線方向端に配置される軸線方向端レンズの外周面が、前記鏡筒の内周面に接着剤により固定され、前記軸線方向端レンズは、前記外周面の一部に前記鏡筒の内周面との間に空間を画定しかつ軸線方向に貫通する貫通部を有する構成とする。
これによると、軸線方向端レンズを接着剤により鏡筒の内周面に接着して固定する場合に、その軸線方向端レンズの外周面に、鏡筒の内周面との間に空間を画定しかつ軸線方向に貫通する貫通部が設けられていることから、軸線方向端レンズの外周面が貫通部を除いた部分で接着剤により鏡筒の内周面に固着されるため、軸線方向端レンズの鏡筒内側の内部空間と鏡筒外側の外部空間とが貫通部を介して連通する。これにより、接着剤を硬化させるべく加熱した場合に、軸線方向端レンズの鏡筒内側で膨脹したエアを貫通部を介して鏡筒外側へ逃がすことができるため、軸線方向端レンズの全周を接着した場合の封入エアによる悪影響を防止し得る。
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記複数のレンズによる結像位置に撮像素子が設けられ、前記貫通部は、前記軸線方向端レンズにおける前記撮像素子の受光範囲に対応する有効口径の外側部分に形成されている構成とする。
これによると、軸線方向端レンズの有効口径として撮像素子の受光面を基準にすると、レンズにおける有効口径の外側部分は受光面の外となることから、その部分に貫通部を設けても撮像素子の解像度に何等影響を及ぼすことがなく、有効口径の外側部分であれば貫通部を最大限に大きく設けることができるため、エアを逃がす効果が促進される。軸線方向端レンズの形状は、有効口径を確保した形状であれば良く、光軸方向から見て例えば多角形(正六角形等)に形成することにより、各頂点を鏡筒の内周面に接着することができるとともに、各辺と鏡筒の内周面との間に貫通部となる空間が画定される。
また、第3の発明は、前記第1の発明において、前記複数のレンズによる結像位置に矩形の受光面を有する撮像素子が設けられ、前記軸線方向端レンズが、前記矩形の受光面の一辺に合わせてカットした形状に形成され、前記貫通部が、前記カットされた部分である構成とする。
これによると、軸線方向端レンズを、撮像素子の矩形受光面の一辺に合わせてカットしたD字状に形成することにより、カットされた部分が貫通部となり、そのように貫通部を設けても、撮像素子の受光範囲を確保することができる。さらに、矩形受光面の一対の長辺に合わせてカットしたIカット形状にすることもでき、貫通部の空間の断面積をより広く確保して、エアの逃がしを促進し得る。
また、第4の発明は、前記第1の発明において、前記軸線方向レンズの外周面が所定の表面粗さに形成され、前記貫通部が、前記表面粗さによる凹凸形状により形成されている構成とする。
これによると、表面粗さの加工を行うだけでエアを逃がすための貫通部を設けることができ、例えばガラスモールドレンズの場合にはモールド成形によりレンズ外周面に所定の表面粗さ加工を行うことができ、軸線方向端レンズに貫通部を設ける加工を容易に行うことができる。また、表面粗さ加工による凸部が全周に亘って配設されることから、鏡筒の内周面にレンズの外周面の全周が当接することになり、芯出し精度を高精度化でき、接着剤の加熱硬化処理時のレンズの径方向に対する位置ずれも防止し得る。
また、第5の発明は、上記第1から第4の発明のいずれかに係る内視鏡用レンズユニットを備えた内視鏡である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、内視鏡1は、医療用として用いられる極細の軟性鏡であり、特に血管等の狭い空間の観察に用いられるものである。内視鏡1は、照明用の光源等(図示せず)が内蔵された本体部2と、この本体部2から前方に延設された挿入部3とから主として構成される。ユーザは、本体部2の後部2aをビデオプロセッサ4の接続口5に挿入することにより、図示しない本体部2側の端子とビデオプロセッサ4側の端子とを電気的に接続することができる。これにより、内視鏡1は、ビデオプロセッサ4との間で電力受給や各種信号(映像信号、制御信号など)の送受信が可能となる。なお、ビデオプロセッサ4は周知の機能を有しており、ユーザは、ビデオプロセッサ4を図示しない映像表示用のモニタやプリンタに接続することにより、内視鏡1からの映像信号に基づく映像を表示したり、画像を印刷したりすることができる。
挿入部3は、観察対象(ここでは、人体)の内部に挿入される部位であり、小径(例えば約1.8mm)の円形断面を有するとともに、観察対象に応じて必要な長さ(例えば4m)に設定されている。挿入部3は、本体部2に後端が接続された可撓性の軟性部11と、この軟性部11の前端に連なり先端部を形成する高剛性の硬性部12とを有している。
図2に示すように、軟性部11の外周部は、可撓性の材料(ここでは、合成樹脂材料)からなる円筒状の軟性外筒13により形成されており、また、硬性部12の外周部は、剛性の高い部材(ここでは、金属)からなる円筒状の硬性外筒14により形成されている。軟性外筒13の外径は硬性外筒14の内径と略同一に設定されており、軟性外筒13の先端は硬性外筒14の後部開口に嵌め込まれている。また、硬性外筒14の前部開口には撮像ユニットホルダ21が取り付けられており、撮像ユニットホルダ21の前側には、後述するレンズユニット31を介して透光性の材料(光学材料)からなる円環状の先端カバー22が取り付けられている。
撮像ユニットホルダ21は、硬性外筒14の内径よりも僅かに小さい外径を有し、撮像ユニット28を保持した状態で前部開口から硬性外筒14内に挿入されている。撮像ユニットホルダ21の前側は、硬性外筒14から前方に突出しており、この突出部位の外周には固定リング26が嵌め込まれている。固定リング26は、撮像ユニットホルダ21と略同一の内径および硬性外筒14と略同一の外径を有し、撮像ユニットホルダ21に嵌め込まれた状態で硬性外筒14の前側の端面に固着される。 撮像ユニット28は、観察部位の撮像に供されるものであり、対物光学系をなすレンズユニット31と、このレンズユニット31の後側の結像位置に配置され、レンズユニット31からの光が矩形の受光面に結像される固体撮像素子(ここでは、CMOS)32と、この固体撮像素子32の後面側に折り畳まれた状態で接続された平型のフレキシブルケーブル33とを有している。
図3はレンズユニットの詳細構成を示す挿入部先端の断面図である。レンズユニット31は、複数(図示例では4枚)の光学レンズL1〜L4と、これらのレンズL1〜L4を収納する鏡筒34を有している。鏡筒34は、所定の内径を有する円筒形状である。複数の光学レンズL1〜L4は、鏡筒34の所定内径に対応する内径を有し、例えば直径1mmの場合、鏡筒34の内径に対して小径とする公差は1〜3μmに設定されている。
本実施の形態のレンズユニット31では、ガラス素材からなる同一径の4枚の光学レンズL1〜L4が、金属製であって単一の内径を有する円筒状の鏡筒34に同軸にかつ互いに軸線方向に密接した状態で組み込まれている。なお、観察側(固体撮像素子32側とは反対側)の軸線方向端に配置された軸線方向端レンズとしてのレンズL1と、そのレンズL1に隣接するレンズL2との間には絞り45が挟持状態に配置されている。レンズユニット31(鏡筒34)の前側は、撮像ユニットホルダ21から前方に突出しており、この突出部位の外周には先端カバー22が嵌め込まれている。また、レンズユニット31の後側は撮像ユニットホルダ21に嵌め込まれている。
上述したように、複数の光学レンズを単一の内径を有する鏡筒34に組み込む場合、それぞれの径は、設計寸法として同一である必要があるが、製造誤差(公差)の範囲で同一であればよく、実質的に同一であればよい。また、鏡筒が、複数の径を有する、いわゆる「段付き円筒」の形状を有する場合、全ての光学レンズの径が同一である必要はない。例えば、鏡筒が2つの内径(大径と小径)を有し、一部の光学レンズが大径に対応し(つまり密接した状態で組み込まれ)、残りの光学レンズが小径に対応すればよい(つまり密接した状態で組み込まれればよい)。
また、鏡筒の材料として、金属の場合について説明したが、化学的に安定し、レンズを保護するための機械的強度を有し、かつ製造上の寸法精度が得られるものであれば、必ずしも金属である必要はなく、プラスチックやセラミックスなどどのような材料であってもよい。また、鏡筒の形状として円筒の場合について説明したが、レンズ形状が円形以外の形状であれば、必ずしも円筒である必要はない。また、光学レンズの材料として、ガラスの場合について説明したが、化学的に安定し、所定の屈折率が得られ、かつ製造上の寸法精度が得られるものであれば、必ずしもガラスである必要はなく、プラスチックであってもよい。
フレキシブルケーブル33の後部には、撮像ユニット28と本体部2(図1参照)との間の電力および各種信号の伝送に供される電力・信号用ケーブル35(ここでは、4芯同軸ケーブル)の先端側が接続されている。電力・信号用ケーブル35は、軟性部11内に配置されており、その後端側は、軟性部11の軸に沿って本体部2まで延在する。
また、内視鏡1には、上述の本体部2内の光源(ここでは、白色LED)と、この光源からの光を挿入部3の先端に導く複数(ここでは、4本)の光伝送用ケーブル37とを有する照明装置が設けられている。各光伝送用ケーブル37は、複数(ここでは、16本)の小径(ここでは、30μm)の光ファイバが束ねられた構成を有しており、軟性部11内において電力・信号用ケーブル35の周囲に等間隔で配置されており、その後端側は、軟性部11の軸に沿って本体部2内の光源まで延在している。
各光伝送用ケーブル37の先端部は金属管38によって被覆されている。金属管38は、所定の湾曲形状に曲げ加工されており、これにより、各光伝送用ケーブル37の先端部は、撮像ユニット28を迂回するように外側に湾曲し、撮像ユニットホルダ21の外周に設けられた保持溝41によって保持される。各光伝送用ケーブル37の出射端は、先端カバー22の後面22aに向けて配置されており、出射光は先端カバー22内を通ってR面取りされた前面22bから挿入部3の前方に照射される。なお、各光伝送用ケーブル37の出射端は、光学用接着剤により保持溝41に接着されている。
図3に示されるように、レンズユニット31において、鏡筒34内には、凹面L1aを入射側(観察側)に向けた平凹レンズL1(軸線方向端レンズ)と、凸面L2aを出射側に向けた平凸レンズL2(中間レンズ)と、凸面L3aを入射側に向けた平凸レンズL3(中間レンズ)と、凹面L4aを出射側に向けた平凹レンズL4(軸線方向端レンズ)とが前側(入射側)から順に配置されている。鏡筒34の内周面34aには各レンズL1〜L4を位置決めするための構造(突起、段差等)は設けられておらず、各レンズL1〜L4を、平凹レンズL1と平凸レンズL2との間に配置されている絞り45とともに、鏡筒34に同軸に積層した状態で、軸線方向両端の両軸線方向端レンズL1・L4の外周縁(外周面)が内周面34aに接着剤により接着されて固定されている。なお、絞り45は、中央に絞り孔45aを有する反射防止処理された円形の薄い(ここでは、50μmの厚さ)金属板からなる。
レンズユニット31では、観察対象からの光は、平凹レンズL1に入射し、平凸レンズL2、平凸レンズL3、平凹レンズL4を順次通過した後、凹面L4aに対向しかつ結像位置に配置された固体撮像素子32の受光面に結像される。
鏡筒34は、電気鋳造によって精度良く形成されたもの(ここでは、ニッケル電鋳品)であり、その内周面34aは、迷光を防止するための反射防止処理(例えば、化学的または物理的に凹凸を形成する表面処理)がなされている。このような構成により、レンズユニット31では、鏡筒34の内周面34aをアライメントの基準とし、かつ各レンズL1〜L4の外周面を円筒面を有する形状に形成することにより、鏡筒34にレンズL1〜L4を同軸に組み込むことで光軸を精度良く設定することができる。
図4および図5は鏡筒34へのレンズL1〜L4の組み付け要領を示す図である。レンズL1〜L4を鏡筒34に組み付けるには、図4(a)に示されるように、治具51を用いる。治具51には、鏡筒34の外径と略同一径の有底円筒孔51aが設けられている。有底円筒孔51aの軸線方向深さは鏡筒34の軸線方向長さの半分程度であってよい。
上記治具51の有底円筒孔51aに鏡筒34を挿入することにより、鏡筒34は治具51により保持された状態になる。その鏡筒34に、先ず観察側の軸線方向端レンズL1を挿入する。レンズL1の挿入においては、例えば図に示されるように一対のアーム52により把持し、鏡筒34に対して芯出し状態で挿入するものであってよい(以下、同様)。なお、レンズL1は、光軸方向から見て円形の外周を有する円形レンズであってよく、その外周は、厚さ方向に所定の幅を有する外周面53からなる。
図4(a)に示されるように、レンズL1を鏡筒34に半分程度挿入したら、アーム52を離し、レンズL1の鏡筒34から露出している外周面53に接着剤54を塗布する。レンズL1の外径と鏡筒34の内径との公差は極めて小さく、隙間が小さいためレンズL1は直ぐには鏡筒34内に入らず、接着剤54を塗布する作業を問題無く行うことができる。なお、接着剤54は、熱硬化型の接着剤であってよく、加熱処理するまでは液状である。
次に、鏡筒34を治具51から一旦引き抜き、接着剤54が塗布された状態のレンズL1を図における下側にして、鏡筒34を有底円筒孔51aに挿入し直す。鏡筒34を有底円筒孔51aの底面に突き当たるまで挿入することにより、図4(b)に示されるようにレンズL1が鏡筒34に没入する。さらに、絞り45を鏡筒34内に挿入し、レンズL1に絞り45が積層される。
次に、図5(a)に示されるように、2枚の中間レンズL2・L3を配置順に鏡筒34内に挿入する。上記絞り45およびレンズL2・L3の各外径は鏡筒34の内径に対して所定の公差(上記した1〜3μmであってよい)をもって小径に形成されており、それにより生じる隙間からエアが逃げることにより自然落下し、何等問題無く図に示されるように積層状態となる。
そして、図5(b)に示されるように、軸線方向端レンズL1とは反対側(固体撮像素子32側)の軸線方向端レンズL4を、上記した軸線方向端レンズL1と同様に鏡筒34に半分程度挿入し、鏡筒34から露出している部分の外周面55に接着剤54を塗布する。
レンズL4は、例えば光軸方向から見て図6(a)に示されるように、鏡筒34に対して他のレンズL1〜L3と同様に所定の公差をもって小径に形成された円形レンズに形成された部分と、その円形レンズの円における1つの弦でカットされた部分とによりD字型に形成されてよい。なお、レンズL4の円形に対するカット位置(弦の位置)は、固体撮像素子32における撮像範囲を確保するための有効口径部分56の外側であればよい。また、固体撮像素子32の矩形受光面の一辺である長辺に合わせてカットするとよい。このようにカットされた部分を通過する光は受光面に結像する光として用いられないため、固定撮像素子の32の受光面が汎用の矩形に形成されている場合に有効である。接着剤54は、レンズL4の外周面55における円形レンズ部分を形成する範囲に塗布され、カットされた部分(カット面55a)には塗布しない。
このように形成されたレンズL4を鏡筒34内に没入させることにより、図7に示されるように鏡筒34内に全レンズL1〜L4が収容された状態になる。その状態で加熱炉57により鏡筒34全体を加熱することにより加熱硬化型の接着剤54が硬化し、レンズL1・L4が鏡筒34に固着される。軸線方向両端のレンズL1・L4が鏡筒34に固着されることにより、積層かつ挟持状態の中間のレンズL2・L3が絞り45とともに固定される。
この加熱処理において、軸線方向端の両レンズL1・L4間に存在するエアが膨脹する。両レンズL1・L4の各外周面53・55と鏡筒34の内周面34aとの間の隙間は偏心や偏角防止のために極めて狭く、隙間に浸透した接着剤54により隙間が埋まった場合には、両レンズL1・L4間が密封状態になり、中間の各レンズL2・L3間のエアが膨脹すると、その膨脹圧力によりレンズL4が変位する虞がある。また、レンズL2・L3の外周面と鏡筒34の内周面34aとの公差による隙間を介してレンズL4に至る膨脹エアにより接着剤54が押し出されるようになると、それに伴ってレンズL4が変位する虞もある。
それに対して、レンズL4が上記したようにD字型に形成されていることから、そのカット面55aにより鏡筒34の内周面34aとの間に貫通部58が形成される。この貫通部58により、カット面55aと内周面34aとの間にレンズL4を鏡筒34の軸線方向に貫通する空間が画定され、鏡筒34の内側となる内部空間と外側となる外部空間とが貫通部58を介して連通する。これにより、加熱処理時に膨脹したエアが鏡筒34内から外部空間に図の矢印に示されるように逃げることができ、膨脹エアの圧力を逃がすことができるため、レンズL4の変位が防止され、接着剤54の硬化により鏡筒34に対して所定の位置に固定される。
なお、貫通部58を形成するカット面55aには接着剤54を塗布しないようにすることができ、それにより、貫通部58が接着剤54により塞がれることが回避される。なお、貫通部58の空間の広さが大きい場合には、カット面55aを含めて外周面55に接着剤54を塗布しても、貫通部58が接着剤54により塞がれることがなく、その場合には接着剤54の塗布作業を容易に行うことができる。また、上記図示例ではレンズL4のみにより貫通部58を設けるようにしたが、もう一方の軸線方向端レンズであるレンズL1も同じ形状または何等かの切り込みによる貫通部を設けるようにしてもよい。
また、レンズL4の形状としては上記D字型に限られるものではなく、他の形状の例について図6(b)〜(d)を参照して説明する。なお、レンズL4について示しているが、レンズL1にも適用してよい。
図6(b)は、レンズL4に、上記図6(a)におけるカット面55aを光軸について対称かつ平行となる2面分設けている。この場合も、図6(a)と同様に、固体撮像素子32の矩形受光面の一対の平行な長辺に合わせてカットすることになり、レンズL4は、いわゆるIカット形状のレンズとして形成されている。このIカット形状のレンズL4においても、上記D字型レンズと同様に接着剤54を塗布することができ、同じ作用効果を奏し得る。さらに、図6(a)のものに対して2倍の大きさの貫通部58が設けられことから、エアの抜けがより一層円滑になる。
図6(c)は、レンズL4を光軸方向から見て正六角形に形成した例である。この場合には、レンズL4の外周面が6面のカット面55aからなり、6個の貫通部58が形成されることになる。なお、このレンズL4においては、正六角形の頂点となる6箇所の稜線55bに適量の接着剤54が塗布される。上記形状のものに比べて接着面積が狭いが、極小径のレンズL4であり、十分な接着力が得られるため何等問題を生じることはない。この場合も、上記D字型レンズと同じ作用効果を奏し得る。また、図示例では正六角形としたが、正多角形に限られるものではなく、多角形形状であればよい、なお、三〜五角形も考えられるが、それらの場合には有効口径部分56の外側にカット面55aを設けることができる場合に適用できる。
図6(d)は、レンズL4の斜視図である。この例では、レンズL4の外周面55に所定の公差の表面粗さ加工を行って、多数の微細な凹凸からなる凹凸面59が形成されている。表面粗さ加工としては、例えばRa=1〜3μmであってよい。接着剤54は凹凸面59の凸部に付着する程度に外周面55の全体または上記のように光軸方向に略半分の幅に塗布する。これにより、凹凸面59の凸部と鏡筒34の内周面34aとが接着剤54により接着されるとともに、凹凸面59の凹部と内周面34aとの間に空間が生じ、凸部を迂回して各凹部が連通することにより上記貫通部58と同様に作用し得る貫通部が構成され、その連通部を介してエアを逃がすことができる。この場合も、上記D字型レンズと同じ作用効果を奏し得る。
以上、本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。例えば、本発明に係る内視鏡は、医療用としては人に限らず小動物(愛玩動物や実験動物など)の体内の観察・診断のために用いてもよい。また、医療用のみならず他の用途(工業用等)に用いることが可能である。例えば、各種機械やダクト・水道管の内部など狭い空間の探索・調査のための内視鏡であってもよい。また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。例えば、4枚のレンズL1〜L4による構成例について説明したが、4枚構成に限られるものではなく、少なくとも2枚のレンズ構成から適用可能である。
本発明にかかる内視鏡用レンズユニットおよびこれを備えた内視鏡は、複数のレンズを鏡筒に同軸に挿入して接着剤で固定するものにおいて、簡単な構造により接着剤を加熱硬化する場合のレンズ間の封入エアを逃がすことができ、小径化が要望される内視鏡の挿入部に配置される内視鏡用レンズユニットおよびこれを備えた内視鏡などとして有用である。
1 内視鏡
3 挿入部
21 撮像ユニットホルダ
31 レンズユニット
34 鏡筒
34a 内周面
54 接着剤
55 外周面
55a カット面
56 有効口径部分
58 貫通部
59 凹凸面
L1〜L4 レンズ
3 挿入部
21 撮像ユニットホルダ
31 レンズユニット
34 鏡筒
34a 内周面
54 接着剤
55 外周面
55a カット面
56 有効口径部分
58 貫通部
59 凹凸面
L1〜L4 レンズ
Claims (5)
- 内視鏡の挿入部に配置される内視鏡用レンズユニットであって、
前記挿入部に設けられた円筒状の鏡筒と、
前記鏡筒に同軸に受容された複数のレンズと
を備え、
前記複数のレンズにおける前記鏡筒の軸線方向端に配置される軸線方向端レンズの外周面が、前記鏡筒の内周面に接着剤により固定され、
前記軸線方向端レンズは、前記外周面の一部に前記鏡筒の内周面との間に空間を画定しかつ軸線方向に貫通する貫通部を有することを特徴とする内視鏡用レンズユニット。 - 前記複数のレンズによる結像位置に撮像素子が設けられ、
前記貫通部は、前記軸線方向端レンズにおける前記撮像素子の受光範囲に対応する有効口径の外側部分に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用レンズユニット。 - 前記複数のレンズによる結像位置に矩形の受光面を有する撮像素子が設けられ、
前記軸線方向端レンズが、前記矩形の受光面の一辺に合わせてカットした形状に形成され、
前記貫通部が、前記カットされた部分であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用レンズユニット。 - 前記軸線方向端レンズの外周面が所定の表面粗さに形成され、
前記貫通部が、前記表面粗さによる凹凸形状により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用レンズユニット。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の内視鏡用レンズユニットを備えた内視鏡。
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2013
- 2013-10-23 JP JP2013220509A patent/JP2015080646A/ja active Pending
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