以下、本発明の実施形態に係る車両について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る車両であって、走行駆動源としてモータジェネレータ及びエンジンを備えるハイブリッド車両10の概略的な構成を説明するシステム図である。このようなハイブリッド車両10においては、運動エネルギーを電気エネルギーに変換することによって発生する回生制動力と、運動エネルギーを熱エネルギーに変換することによって発生する摩擦制動力との両方を制動に用いることができる。従って、本実施形態に係るハイブリッド車両10では、これらの回生制動力と摩擦制動力とを併用して(協調させて)、要求される制動力を発生させるブレーキ回生協調制御を実行することができる。
ここで、ハイブリッド車両10には、モータジェネレータ及びエンジンを備えたハイブリッド車両(HV)に加え、更に外部電源を用いて充電可能なプラグイン式ハイブリッド車両(PHV)も含まれる。尚、本実施形態においては、エンジンを搭載したハイブリッド車両10を例示して説明するが、車両としてエンジンを搭載しない電気自動車(EV)を採用して実施可能であることは言うまでもない。
ハイブリッド車両10は、図1に示すように、エンジン11と、動力分割機構12と、発電電動機としてのモータジェネレータ13,14と、伝達ギア15と、駆動軸16と、車輪17とを備えている。又、ハイブリッド車両10は、メインバッテリ18と、補機バッテリ19と、電力変換器20と、電源回路21とを備えている。
エンジン11は、図示省略の燃料タンクに貯留された炭化水素系燃料(具体的に、ガソリンや軽油、エタノール等)を燃焼により消費して駆動力を出力する。そして、ハイブリッド車両10においては、エンジン11によって出力される駆動力(運動エネルギー)は、動力分割機構12を介して、駆動軸16(車輪17)に駆動力を伝達する伝達ギア15を駆動する。
動力分割機構12は、エンジン11、モータジェネレータ13(14)及び伝達ギア15に結合されてこれらの間で動力を分配する。ここで、動力分割機構12は、例えば、サンギア、プラネタリキャリア及びリングギアの3つの回転軸を有する遊星歯車を採用することができ、この3つの回転軸がエンジン11、モータジェネレータ13(14)及び伝達ギア15の回転軸にそれぞれ接続される。
モータジェネレータ13,14は、メインバッテリ18から電力(電気エネルギー)が供給されるときは電動機として機能し、エンジン11から駆動力又は車輪17から回転力(運動エネルギー)が伝達されるときは発電機として機能する三相同期型発電電動機である。具体的に、モータジェネレータ13は、動力分割機構12によって分割されたエンジン11の駆動力(運動エネルギー)が伝達されて発電機として機能するとともに、エンジン11の始動を行い得るスタータモータとしても機能する。モータジェネレータ14は、駆動軸16(車輪17)に駆動力を伝達する伝達ギア15を駆動する電動機(動力源)として機能するとともに、後述するように車両制動時における回生制御により車輪17の回転すなわち車両の運動エネルギーを電力(電気エネルギー)に変換して回生制動力を発生するように機能する。
尚、本実施形態のおいては、モータジェネレータ13が発電機として機能し、モータジェネレータ14が電動機として機能するように実施するが、モータジェネレータ14が発電機として機能しモータジェネレータ13が電動機として機能したり、或いは、モータジェネレータ13,14が共に発電機として機能し又電動機として機能したりするように実施可能であることは言うまでもない。
メインバッテリ18は、充電可能な高圧の直流電源であり、例えば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池により構成される。メインバッテリ18は、モータジェネレータ14が所定の駆動力発生時に、電力変換器20を介して電力を供給する。又、メインバッテリ18は、モータジェネレータ13の発電による電力及びモータジェネレータ14の回生制動力の発生に伴う回生電力を電力変換器20から受けて蓄電する。尚、メインバッテリ18としては、大容量のキャパシタも採用可能であり、モータジェネレータ13,14による発電電力や外部電源からの電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力をモータジェネレータ13,14へ供給可能は電力バッファすなわち電源であればいかなるものでも良い。
補機バッテリ19は、充電可能な低圧の直流電源であり、例えば、鉛蓄電池等の二次電池により構成される。補機バッテリ19は、電源回路21を介して、後述する制御装置40及び電力変換器20へ電力を供給する。尚、補機バッテリ19は、例えば、モータジェネレータ13の発電による電力を受けて蓄電するようになっている。
電力変換器20は、図2に示すように、メインバッテリ18側の平滑コンデンサ201と、電圧変換部202と、昇圧側の平滑コンデンサ203と、インバータ回路204,205と、メインリレー206とを備えている。ここで、メインリレー206は、後述するように電源回路21に設けられるメインスイッチ22の操作状態に応じて補機バッテリ19から供給される電力により、メインバッテリ18からモータジェネレータ14に通電する通電状態と通電を遮断する非通電状態とを切り替えるようになっている。
電源回路21は、図3に示すように、補機バッテリ19から2つの通電経路211,212を介して制御装置40(より詳しく、本実施形態では後述するブレーキECU41)に通電するとともに、通電経路212から分岐した通電経路213を介して電力変換器20のメインリレー206に通電する。そして、電源回路21には、例えば、車室内にて運転者を含む乗員によって操作されて、補機バッテリ19から制御装置40及び電力変換器20のメインリレー206に通電(供給)する通電状態から通電を遮断する非通電状態へと切り替える際に使用されるスイッチとしてのメインスイッチ22が設けられている。尚、このスイッチについては、例えば、主としてエンジン11の点火装置を作動させるイグニッションキースイッチを採用することも可能である。
メインスイッチ22は、図3に示すように、通電経路211に設けられて、補機バッテリ19から制御装置40に通電する通電状態から通電を遮断する非通電状態へと切り替えるとともに非通電状態から通電状態へと切り替える第1リレー221を備えている。更に、メインスイッチ22は、図3に示すように、通電経路212に設けられて、補機バッテリ19から制御装置40及びメインリレー206に通電する通電状態から通電を遮断する非通電状態へと切り替えるとともに非通電状態から通電状態へと切り替える第2リレー222を備えている。
ここで、本実施形態におけるメインスイッチ22は、乗員によって押下操作されるスイッチであり、図示を省略するが、押下される操作ボタン部と押下に対して操作ボタンを押し戻すバネとから構成される。そして、第1リレー221及び第2リレー222が開成状態(非通電状態)にある場合において、メインスイッチ22の操作ボタンが乗員によって押下前の初期位置から押下された押下位置を経て再び初期位置に戻ると、第1リレー221及び第2リレー222は開成状態(非通電状態)から閉成状態(通電状態)へと切り替わる。これにより、制御装置40は、補機バッテリ19から通電経路211及び通電経路212を介して通電される。又、メインリレー206は、補機バッテリ19から通電経路212及び通電経路213を介して通電されて開成状態(非通電状態)から閉成状態(通電状態)に切り替わり、メインバッテリ18とモータジェネレータ13,14との間の通電を許容する。
一方、第1リレー221及び第2リレー222が閉成状態(通電状態)である場合において、メインスイッチ22の操作ボタンが乗員によって初期位置から押下位置に押下されると第1リレー221は閉成状態(通電状態)から開成状態(非通電状態)へと切り替わる。これにより、制御装置40は、補機バッテリ19から通電経路211を介する通電が遮断される。すなわち、本実施形態では、第1リレー221及び第2リレー222が閉成状態(通電状態)である場合において、メインスイッチ22の操作ボタンが初期位置から押下位置まで押下される操作が本発明の特定操作となる。
そして、第1リレー221が開成状態(非通電状態)であり且つ第2リレー222が閉成状態(通電状態)である場合において、メインスイッチ22の操作ボタンが押下位置から初期位置に戻ると第2リレー212も閉成状態(通電状態)から開成状態(非通電状態)へと切り替わる。これにより、制御装置40は、補機バッテリ19から通電経路212を介する通電も遮断される。又、メインリレー206は、補機バッテリ19から通電経路212及び通電経路213を介する通電が遮断されて閉成状態(通電状態)から開成状態(非通電状態)に切り替わり、メインバッテリ18とモータジェネレータ13,14との間の通電を遮断する。すなわち、本実施形態では、第1リレー221が開成状態(非通電状態)であり且つ第2リレー222が閉成状態(通電状態)である場合において、言い換えれば、特定操作に引き続いて、メインスイッチ22の操作ボタンが押下位置から初期位置まで戻される操作(具体的には、操作ボタンから指を離す操作)が本発明の電源遮断操作となる。
このハイブリッド車両10には、図1に示すように、摩擦式制動装置としての摩擦ブレーキ装置30が搭載されている。摩擦ブレーキ装置30は、図4に示すように、ブレーキ操作ユニット31と、マスタシリンダユニット32と、動力液圧発生ユニット33と、ブレーキユニット34と、液圧制御弁ユニット35と、これらの各ユニット31〜35を液密的に接続する油圧流路とを含んで構成される。尚、摩擦ブレーキ装置30の構成や作動は周知の構成及び作動と同一であって本発明に直接関係しないため、以下に簡単に説明しておく。
ブレーキ操作ユニット31は、図4に示すように、運転者によってブレーキ操作である踏み込み操作がなされるブレーキペダル311を備えている。マスタシリンダユニット32は、図4に示すように、液圧ブースタ321、マスタシリンダ322、レギュレータ323及びリザーバ324を備えている。液圧ブースタ321は、ブレーキペダル311に連結されており、ブレーキペダル311に加えられたペダル踏力を増幅してマスタシリンダ322に伝達する。マスタシリンダ322は、ペダル踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧を発生する。レギュレータ323は、動力液圧発生ユニット33から供給される液圧を用いてマスタシリンダ圧とほぼ等しいレギュレータ圧を発生する。リザーバ324は、作動液を貯留する。
動力液圧発生ユニット33は、図4に示すように、ポンプ331及びアキュムレータ332を備えている。ポンプ331は、その吸入口がリザーバ324に接続され、吐出口がアキュムレータ332に接続され、モータ333を駆動することにより、作動液を加圧する。アキュムレータ332は、ポンプ331により加圧された作動液の圧力エネルギーを窒素等の封入ガスの圧力エネルギーに変換して蓄える。
ブレーキユニット34は、各車輪17に摩擦制動力を発生するものであり、図4に示すように、ディスクブレーキユニット341FR,341FL,341RR,341RLから構成される。各ディスクブレーキユニット341FR,341FL,341RR,341RLは、ブレーキロータ342FR,342FL,342RR,342RLとブレーキキャリバに内蔵されたホイールシリンダ343FR,343FL,343RR,343RLとを備える。尚、ブレーキユニット34は、4輪ともディスクブレーキ式に限るものではなく、例えば、4輪ともドラムブレーキ式であっても良いし、前輪がディスクブレーキ式、後輪がドラムブレーキ式等任意に組み合わせたものでも良い。
ホイールシリンダ343FR,343FL,343RR,343RLは、液圧制御弁ユニット35に接続されて同ユニット35から供給される作動液の液圧が伝達されるようになっている。そして、液圧制御弁ユニット35から供給される液圧により、車輪17と共に回転するブレーキロータ342FR,342FL,342RR,342RLに摩擦部材であるブレーキパッドを押し付け、ハイブリッド車両10の運動エネルギーを熱エネルギーに変換して摩擦制動力を発生させるようになっている。
このように、摩擦ブレーキ装置30は、ホイールシリンダ343に作動液の液圧を付与する液圧源として、運転者のブレーキ踏力(ブレーキペダル311を踏み込む力)を利用したマスタシリンダ322及びレギュレータ323と、運転者のブレーキ踏力とは無関係に液圧を付与する動力液圧発生ユニット33とを備えている。そして、マスタシリンダ322,レギュレータ323及び動力液圧発生ユニット33は、それぞれ、油圧流路を介して液圧制御弁ユニット35に接続される。
液圧制御弁ユニット35は、図4に示すように、ホイールシリンダ343FR,343FL,343RR,343RLに接続される4つの個別流路351FR,351FL,351RR,351RLと、各個別流路351を連通する主流路352と、主流路352とマスタシリンダ322とを接続するマスタ流路353と、主流路352とレギュレータ323とを接続するレギュレータ流路354と、主流路352とアキュムレータ322とを接続するアキュムレータ流路355とを備えている。そして、各個別流路351には、図4に示すように、その途中部分に、それぞれ、電磁開閉弁であるABS保持弁361が設けられる。各ABS保持弁361は、開弁状態において作動液(液圧)を主流路352から各ホイールシリンダ343に流すことにより、ホイールシリンダ343の液圧(以下、ホイールシリンダ圧と称呼する。)を増圧する。
各個別流路351には、それぞれ、減圧用個別流路356FR,356FL,356RR,356RLが接続される。各減圧用個別流路356は、リザーバ324と連通しているリザーバ流路357に接続される。そして、各減圧用個別流路356には、図4に示すように、その途中部分に、それぞれ、電磁開閉弁であるABS減圧弁362が設けられている。各ABS減圧弁362は、開弁状態において作動液(液圧)をホイールシリンダ343から減圧用個別流路356を介してリザーバ流路357に流すことにより、ホイールシリンダ圧を低下させる。
マスタ流路353には、その途中部分に電磁開閉弁であるマスタカット弁363が設けられる。マスタカット弁363は、閉弁状態においてマスタシリンダ322と主流路352との間の作動液の流通を禁止し、開弁状態においてマスタシリンダ322と主流路352との間の作動液の流通を許可する。レギュレータ流路354には、その途中部分に電磁開閉弁であるレギュレータカット弁364が設けられる。レギュレータカット弁364は、閉弁状態においてレギュレータ323と主流路352との間の作動液の流通を禁止し、開弁状態においてレギュレータ323と主流路352との間の作動液の流通を許可する。アキュムレータ流路355には、その途中部分に電磁リニア制御弁である増圧リニア制御弁365Aが設けられ、主流路352とリザーバ流路357と間には電磁リニア制御弁である減圧リニア制御弁365Bが設けられる。増圧リニア制御弁365A及び減圧リニア制御弁365Bの弁開度をリニア制御することにより、アキュムレータ332から主流路352に伝達される液圧(アキュムレータ圧と称呼する。)を調整する。
ハイブリッド車両10には、図1に示すように、制御部としての制御装置40が搭載されている。制御装置40は、図1に示すように、ブレーキECU41を含んで構成される。ブレーキECU41は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするものであり、摩擦ブレーキ装置30を駆動させる駆動回路、各種信号を入力するインターフェース、通信インターフェース等を備えている。そして、ブレーキECU41は、電源回路21を形成する2つの通電経路211,212を介して補機バッテリ19から電力が供給されるようになっている。尚、ブレーキECU41は、ハイブリッド車両10に搭載された電力変換器20と通信インターフェースを介して接続されるようになっており、電力変換器20を介してモータジェネレータ14による回生制動力を直接的に制御するようにもなっている。
制御装置40には、図4に示すように、アキュムレータ圧センサ42、レギュレータあるセンサ43、制御圧センサ44及びペダルストロークセンサ45が含まれる。アキュムレータ圧センサ42は、増圧リニア制御弁365Aよりも動力液圧発生ユニット33側(上流側)のアキュムレータ流路355におけるアキュムレータ圧Paccを検出する。アキュムレータ圧センサ42は、検出したアキュムレータ圧Paccを表す信号をブレーキECU41に出力する。レギュレータ圧センサ43は、レギュレータカット弁364よりもレギュレータ323側(上流側)のレギュレータ流路354におけるレギュレータ圧Pregを検出する。レギュレータ圧センサ43は、検出したレギュレータ圧Pregを表す信号をブレーキECU41に出力する。制御圧センサ44は、主流路352における作動液の圧力である制御圧Pxを検出する。制御圧センサ44は、検出した制御圧Pxを表す信号をブレーキECU41に出力する。ペダルストロークセンサ45は、運転者のブレーキ操作におけるブレーキペダル311の踏み込み量(操作量)であるペダルストロークSpを検出する。ペダルストロークセンサ45は、検出したペダルストロークSpを表す信号をブレーキECU41に出力する。
更に、制御部としての制御装置40は、図1に示すように、ハイブリッドECU46を含んで構成される。ハイブリッドECU46も、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするものである。ハイブリッドECU46は、後述するように、電力変換器20の作動を制御してハイブリッド車両10の走行状態を統括的に制御する。尚、ハイブリッドECU46によるハイブリッド車両10の詳細な制御内容及び同制御に伴うハイブリッドECU46の作動自体は本発明に直接関係しないため、その説明を省略する。
次に、本実施形態における制御装置40、より詳しくは、ブレーキECU41及びハイブリッドECU46が実行するブレーキ協調制御について説明する。ブレーキECU41は、モータジェネレータ14が回生制御(通電制御)されることによって生じる回生制動力と、摩擦ブレーキ装置30がホイールシリンダ343の液圧を調整することによって生じる摩擦制動力とを互いに協調させるブレーキ回生協調制御(以下、単に、協調制御とも称呼する。)を実行する。
協調制御においては、ブレーキECU41は、摩擦ブレーキ装置30のマスタカット弁363及びレギュレータカット弁364を閉弁状態に維持し、主流路352に設けられた連通弁を開弁状態に維持する。又、ブレーキECU41は、増圧リニア制御弁365A及び減圧リニア制御弁365Bへの通電制御により通電量に応じた開度に制御する。更に、ブレーキECU41は、ABS保持弁361及びABS減圧弁362については、通常時において、ABS保持弁361は開弁状態に維持し、ABS減圧弁362は閉弁状態に維持する。尚、ブレーキECU41は、必要に応じて、周知のアンチロックブレーキ制御等に従ってABS保持弁361及びABS減圧弁362を開閉制御する。
ここで、協調制御においては、マスタカット弁363及びレギュレータカット弁364が共に閉弁状態に維持されるため、マスタシリンダユニット32から出力される液圧は、ホイールシリンダ343に伝達されない。又、協調制御においては、増圧リニア制御弁365A及び減圧リニア制御弁365Bが通電制御状態におかれる。このため、動力液圧発生ユニット33から出力されるアキュムレータ圧が増圧リニア制御弁365A及び減圧リニア制御弁365Bによって調圧され、主流路352及び各個別流路351を介して4輪のホイールシリンダ343に伝達される。この場合、各ホイールシリンダ343は、主流路352により連通されているため、ホイールシリンダ圧が4輪で全て同じ値となる。このホイールシリンダ圧は、制御圧センサ44により検出することができる。
そして、ブレーキECU41は、制動要求を受けて、ハイブリッド車両10のモータジェネレータ14による回生制動力と摩擦ブレーキ装置30による摩擦制動力とを協調させて車輪17に制動力を付与し、ハイブリッド車両10の制動を制御する。尚、制動要求は、例えば、運転者によってブレーキ操作がなされた場合等、車両に制動力を付与すべきときに発生する。ブレーキECU41は、制動要求を受けると、運転者によるブレーキ操作に伴ってペダルストロークセンサ45により検出されるブレーキペダル311のペダルストロークSpを取得し、このペダルストロークSpに基づいてハイブリッド車両10に要求される目標制動力を演算する。目標制動力は、ペダルストロークSpが大きいほど大きな値に設定され、回生制動力と摩擦制動力とを合算することにより達成される。
尚、運転者によるブレーキ操作に伴ってペダルストロークセンサ45により検出されるペダルストロークSpを用いることに代えて、ブレーキ操作に伴ってレギュレータ圧センサ43により検出されるレギュレータ圧Pregを検出するように実施することも可能である。又、他にもブレーキ操作に伴ってブレーキペダル311の踏み込み力を検出する踏力センサを設けて、踏力を検出するように実施することも可能である。
本実施形態におけるブレーキECU41は、演算した目標制動力を表す情報をハイブリッドECU46に送信する。ハイブリッドECU46は、目標制動力のうち、モータジェネレータ14の通電制御により、より詳しくは、電力回生により発生させる回生制動力を表す情報をブレーキECU41に送信する。これにより、ブレーキECU41は、目標制動力から回生制動力を減算することにより、摩擦ブレーキ装置30で発生させるべき摩擦制動力である目標摩擦制動力を演算する。ここで、協調制御において電力回生により(通電制御により)発生させる回生制動力は、モータジェネレータ4の回転速度により変化するだけではなく、メインバッテリ18の充電状態(SOC)等によっても変化する。従って、運転者によるブレーキ操作に対応して決定される目標制動力から回生制動力を減算することにより、適切な目標摩擦制動力を演算することができる。
ブレーキECU41は、上記回生制動力を発生させるために、ハイブリッドECU46と協働してモータジェネレータ14を通電制御したり、或いは、直接的に電力変換器20を介して通電制御する。又、ブレーキECU41は、摩擦ブレーキ装置30の作動を制御し、演算した目標摩擦制動力に対応するようにホイールシリンダ343のホイールシリンダ圧を制御する。これらにより、通常時においては、ブレーキECU41は、協調制御により、運転者によるブレーキ操作に対応した制動力を車輪17に付与することができ、ハイブリッド車両10を適切に制動することができる。
ハイブリッド車両10においては、運転者を含む乗員は、必要に応じて、走行中にメインスイッチ22の操作ボタンを押下することにより電源遮断操作を完了させ、少なくともモータジェネレータ14及び制御装置40への通電状態を非通電状態に切り替えることができる。すなわち、乗員による電源遮断操作が完了すると、メインスイッチ22における第1リレー221及び第2リレー222が共に開成状態(非通電状態)になる。これにより、補機バッテリ19から電源回路21の通電経路211及び通電経路212を介した制御装置40への通電が遮断される。又、電源回路21の通電経路213(通電経路212)を介した電力変換器20のメインリレー206への通電が遮断されることにより、メインバッテリ18とモータジェネレータ13,14との通電が遮断される。
ところで、上述した協調制御の実行によりハイブリッド車両10を制動しているときに、乗員によるメインスイッチ22に対する電源遮断操作が完了した場合、少なくともメインバッテリ18とモータジェネレータ14との通電が遮断されるため、モータジェネレータ14が発生する回生制動力が急減する。このため、車輪17に付与される制動力が一時的に低下する方向に変動する可能性があり、乗員は、ハイブリッド車両10における減速度の急峻な変動を知覚して、不快な違和感を覚える可能性がある。
そこで、本実施形態に係るハイブリッド車両10においては、乗員がメインスイッチ22の操作ボタンに特定操作を行ったときに、モータジェネレータ14が回生制動力を発生させて制動している場合、ブレーキECU41がこの特定操作に起因して生じる通電の遮断を検出した時点(遮断検出時点)からモータジェネレータ14による回生制動力を徐々に減少させる。この場合、ブレーキECU41は、特定操作に引き続いて、操作ボタンが操作される電源遮断操作が完了した時点以降の所定時点までモータジェネレータ14による回生制動力を減少させる。以下、具体的に図5を用いて説明する。
本実施形態に係るハイブリッド車両10においては、走行中、すなわち、メインスイッチ22の第1リレー221及び第2リレー222が閉成状態(通電状態)であるときに、メインスイッチ22に対する乗員の特定操作が完了した場合には、第1リレー221のみが開成状態(非通電状態)となる。これにより、補機バッテリ19から電源回路21の通電経路211を介した通電が遮断され、補機バッテリ19から電源回路21の通電経路212のみを介して通電される。従って、ブレーキECU41は、通電の有無に基づいて、第1リレー221が開成状態(非通電状態)になり、通電経路211を介した補機バッテリ19からの通電が遮断されたこと(以下、通電経路211が遮断されたことを「IG1_OFF」と称呼する。)を検出することができる。
更に、メインスイッチ22に対する特定操作が完了した状態、言い換えれば、第1リレー221が開成状態(非通電状態)であり且つ第2リレー222が閉成状態(通電状態)である状態から、乗員によってメインスイッチ22の操作ボタンが初期位置に戻されて電源遮断操作が完了した場合には、第1リレー221及び第2リレー222が共に開成状態(非通電状態)となる。これにより、補機バッテリ19から通電経路211及び通電経路212を介した通電、すなわち、全ての通電経路を介した通電が遮断される。従って、ブレーキECU41は、通電の有無に基づいて、第2リレー222も開成状態(非通電状態)になり、通電経路212を介した補機バッテリ19からの通電が遮断されたこと(以下、通電経路212が遮断されたことを「IG2_OFF」と称呼する。)を検出することができる。
ここで、ブレーキECU41がIG2_OFFを検出する状況は、通電経路213を介した電力変換器20への通電も遮断され、電力変換器20におけるメインリレー206が開成状態(非通電状態)になる状況である。このため、ハイブリッドECU46も、このIG2_OFFを検出するようになっている。尚、IG2_OFFの検出タイミングについて、ハイブリッドECU46は、ブレーキECU41に比して制御周期が早く、早期のタイミングによりIG2_OFFを検出(判定)するようになっている。すなわち、図5にて矢印により示すように、乗員によってメインスイッチ22に対する電源遮断操作が完了された時点以降において、ハイブリッドECU46が時点T1(所定時点T1)にてIG2_OFFを検出(判定)し、時点T1よりも遅い時点T2にてブレーキECU41がIG2_OFFを検出(判定)する。
走行中のハイブリッド車両10において運転者がブレーキ操作を行うと、ブレーキECU41は、例えば、ハイブリッドECU46と協働し、協調制御に従ってモータジェネレータ14に回生制動力を優先的に発生させる。これにより、ハイブリッド車両10においては、図5に示すように、運転者によってブレーキペダル311が踏み込まれてブレーキ操作がなされると、先ずは回生制動力が優先的に車輪17に付与されて車速が一様に減少していく。ここで、ブレーキECU41及びハイブリッドECU46は、回生電力を効率よく回収する(メインバッテリ18に蓄電する)ために、モータジェネレータ14による回生制動力を優先的に車輪17に付与する。
このように、協調制御に従って優先的に回生制動力が車輪17に付与されてハイブリッド車両10が制動されているときに、乗員が時点T0にてメインスイッチ22に対する特定操作を完了させると、上述したようにブレーキECU41はIG1_OFFを検出する。具体的に、ブレーキECU41は、図5に示すように、電力変換器20のメインリレー206が開成状態(非通電状態)になって実際にモータジェネレータ14への通電が遮断される所定時点T1よりも前の時点T3にてIG1_OFFを検出するようになっている。従って、ブレーキECU41は、時点T3にて、電源回路21における通電経路211及び通電経路212のうち、特定操作に応じた通電経路211の遮断を検出するため、時点T3が遮断検出時点T3となる。尚、ブレーキECU41は、自身の制御周期により、IG1_OFFを検出(判定)するようになっているため、遮断検出時点T3が特定操作の完了時点T0よりも遅くなる。
このように、ブレーキECU41は、遮断検出時点T3にてメインスイッチ22に対する特定操作に起因するIG1_OFFを検出することにより、今後、メインスイッチ22に対して電源遮断操作がなされて、所定時点T1にて電力変換器20のメインリレー206が開成状態(非通電状態)になってモータジェネレータ14とメインバッテリ18との通電が遮断される可能性が高いことを事前に判定することができる。これにより、本実施形態におけるハイブリッド車両10においては、図5に示すように、ブレーキECU41が遮断検出時点T3からモータジェネレータ14への通電が遮断される所定時点T1までに、回生制動力を徐々に減少させる一方で、摩擦ブレーキ装置30による摩擦制動力を徐々に増大させる。
具体的に、ブレーキECU41は、遮断検出時点T3から所定時点T1すなわち特定期間Jにおいて、モータジェネレータ14による回生制動力を上述した目標制動力から所定値まで徐々に減少させる。ここで、所定値としては、例えば、電力変換器20のメインリレー206が開成状態(非通電状態)とされてモータジェネレータ14への通電が遮断されることに伴って回生制動力が急減しても、乗員が違和感を覚えない程度の制動力の大きさに設定されるものであり、ゼロを含むように設定される。従って、本実施形態においては、図5に示すように、ブレーキECU41は、特定期間Jにおいて回生制動力をゼロまで低下させる。
この場合、ブレーキECU41は、例えば、ハイブリッドECU46と協働して、或いは、単独により直接的に、電力変換器20を構成するインバータ205等の作動を制御する。これにより、例えば、ハイブリッドECU46が、メインバッテリ18からモータジェネレータ14に対する電力の供給を漸減させ、メインリレー206が開成状態(非通電状態)とされる所定時点T1までに、回生制動力をゼロまで低下させる。このため、実際にメインリレー206が開成状態(非通電状態)とされてモータジェネレータ14への通電が遮断されても、回生制動力の急減が生じない。従って、乗員が、制動力の低下に伴う減速度の変動を知覚することなく、不快感及び不安感を覚えることを防止することができる。
ここで、特定期間Jにおいては、ブレーキECU41は、例えば、ペダルストロークSp等に応じて、すなわち、速やかな制動や緩やかな制動等に応じて、回生制動力を減少させる減少速度を変化させることができる。尚、特定期間Jにおいて、回生制動力を減少させる減少速度を変化させる範囲としては、例えば、ABS制御時や故障時制御のように、極めて短時間の間に回生制動力を減少させてハイブリッド車両10の挙動を安定させて制動する等の状況を除外するために、極端に大きくなる減少速度の範囲を除外することが好ましい。このような状況を積極的に除外することにより、ハイブリッド車両10を制動する際に乗員が違和感を覚える機会を適切に低減することができる。
一方で、本実施形態におけるブレーキECU41は、図5に示すように、特定期間J内において、摩擦ブレーキ装置30による摩擦制動力をゼロから目標制動力まで徐々に増加させる。すなわち、ブレーキECU41は、回生制動力の減少量に応じて摩擦制動力を増加させて、運転者によるブレーキ操作に対応して決定された目標制動力を維持する。これにより、ブレーキECU41は、車輪17に付与される制動力の変動を良好に抑制することができる。
具体的に、ブレーキECU41は、上述したように回生制動力をゼロまで減少させることに合わせて、図5に示すように、特定期間J内において摩擦ブレーキ装置30による摩擦制動力を目標制動力まで徐々に増加させる。すなわち、ブレーキECU41は、回生制動力が減少する状況において目標制動力を維持するために、特定期間Jの起点である遮断検出時点T3にてゼロとされている摩擦制動力を特定期間Jの終点である所定時点T1、言い換えれば、回生制動力がゼロまで低下する所定時点T1にて目標制動力となるように、回生制動力の減少量に応じて摩擦制動力を徐々に増加させる。
このように、特定期間J内においては、ブレーキECU41は、起点である遮断検出時点T3では回生制動力を目標制動力に一致させており、終点である所定時点T1では摩擦制動力を目標制動力に一致させる。すなわち、ブレーキECU41は、特定期間Jの経過に伴って、回生制動力から摩擦制動力に順次すり替えて目標制動力を発生するように、回生制動力を徐々に減少させるとともに摩擦制動力を徐々に増加させることができる。
尚、上述したように、ブレーキECU41は、特定期間J内における回生制動力の減少速度の大きさを適宜変更することができる。これに合わせて、ブレーキECU41は、回生制動力の減少量に応じて摩擦制動力を増加させることができる。これにより、ブレーキECU41は、回生制動力から摩擦制動力にすり替えるときの態様、言い換えれば、回生制動力を徐々に減少させ摩擦制動力を徐々に上昇させるときのすり替えるレートを適宜変更することができる。これにより、特定期間Jにおいて回生制動力から摩擦制動力へのすり替えを極めてスムーズに行うことができる。
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、メインスイッチ22に対する電源遮断操作が完了する時点までに必然的に行われる特定操作によって電源回路21の通電経路211及び通電経路212のうちの通電経路211が遮断されており、遮断検出時点T3にてモータジェネレータ14が回生制動力を発生させている場合、ブレーキECU41は、特定期間J内において回生制動力を徐々に減少させることができる。これにより、ブレーキECU41は、ハイブリッド車両10を制動しているときに、乗員によるメインスイッチ22に対する電源遮断操作に応じてモータジェネレータ14への通電が遮断されることによって回生制動力が急減する、すなわち、ハイブリッド車両10に要求される制動力が急減することを防止することができる。その結果、ハイブリッド車両10の減速度に急峻な変動が生じることを確実に抑制することができて、乗員が違和感を覚えることを防止することができる。
ここで、上記実施形態においては、電源回路21の通電経路211及び通電経路212は、乗員によるメインスイッチ22に対する特定操作及び電源遮断操作に応じて第1リレー221及び第2リレー222が開成状態(非通電状態)になることにより、通電が遮断される。そして、ブレーキECU41は、通電経路211が遮断されると通電の有無に基づいてIG1_OFFを検出する。この場合、例えば、故障によって電源回路21の通電経路211に断線が生じても、ブレーキECU41はIG1_OFFを検出する。すなわち、IG1_OFFを検出したブレーキECU41においては、通電経路211を介した通電が特定操作に起因する遮断であるか、断線による遮断であるかを区別することが難しい。
しかしながら、ブレーキECU41は、特定操作或いは断線に拘わらず、上述したようにIG1_OFFを検出し、遮断検出時点T3にてモータジェネレータ14が回生制動力を発生している場合には、回生制動力を徐々に減少させるとともに摩擦制動力を徐々に増加させることができる。従って、仮に断線によって通電回路211の通電が遮断されてIG1_OFFを検出している状況下で、乗員がメインスイッチ22に対して特定操作から電源遮断操作までを行った場合であっても、ブレーキECU41はハイブリッド車両10の制動時において断線に伴うIG1_OFFの検出により回生制動力を徐々に減少させることができる。これにより、上記実施形態と同様に、電源遮断操作の完了に伴ってモータジェネレータ14への通電が遮断される所定時点T1において制動力が急減することを防止することができる。その結果、上記実施形態と同様に、ハイブリッド車両10の減速度に急峻な変動が生じることを良好に抑制することができて、乗員が違和感を覚えることを防止することができる。尚、電源回路21の通電経路211に断線が生じた場合には、別途実行される車両診断プログラムによって乗員に対して故障の発生が報知されるため、乗員(運転者)は通電経路211に発生した断線を速やかに把握することができる。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、ブレーキECU41は、IG1_OFFを検出したときに、回生制動力によってハイブリッド車両10を制動している場合、所定期間Jにてモータジェネレータ14による回生制動力を所定値(ゼロ)まで徐々に減少させるとともに、摩擦ブレーキ装置30による摩擦制動力を目標制動力まで徐々に増加させるように実施した。これにより、目標制動力を維持することによって車輪17に付与される制動力の変動を良好に抑制することができて、乗員が減速度の変動に伴う違和感を覚えることがないように実施した。
この場合、ブレーキECU41が、IG1_OFFを検出した場合において、所定時点T1までに回生制動力のみを所定値まで徐々に減少させるように実施することも可能である。この場合には、所定時点T1において少なくとも乗員が違和感を覚えない程度の制動力として設定された所定値まで回生制動力を減少させておくことができる。従って、モータジェネレータ14への通電が遮断されて車輪17に回生制動力が付与されなくなっても、減速度の急減を抑制することができて、乗員が違和感を覚えることがない。
尚、この場合には、ブレーキECU41は、上述した実施形態のように、回生制動力の低下に対して積極的に摩擦制動力を増加させない。このため、運転者は、ハイブリッド車両10を制動しているときに、車輪17に付与される制動力が徐々に減少していることを知覚すると、例えば、ブレーキペダル311を更に踏み込んでブレーキ操作することができる。従って、この場合においても、運転者によるブレーキ操作に対応して、ハイブリッド車両10を確実に停車させることができ、乗員が不安感を覚えることを良好に防止することができる。
上記実施形態においては、図5に示したように、ブレーキECU41が、IG1_OFFを検出した遮断検出時点T3から回生制動力を徐々に減少させるとともに摩擦制動力を徐々に増加させるように実施した。この場合、ブレーキECU41は、遮断検出時点T3から所定時点T1までの間、すなわち、特定期間J内であれば、回生制動力の減少を開始する時点(タイミング)と摩擦制動力の増加を開始する時点(タイミング)とを必ずしも一致させる必要はない。更には、例えば、上述したように、回生制動力のみを所定値まで徐々に減少させる場合にも、特定期間J内であれば、回生制動力の減少を開始する時点(タイミング)は遮断検出時点T3に限定されるものではない。
具体的に、ブレーキECU41は、特定期間J内において、例えば、遮断検出時点T3から回生制動力を減少させる一方で、所定時点T1よりも前の時点で且つ遮断検出時点T3よりも時間的に遅れた時点から摩擦制動力を徐々に増加させるように実施することができる。或いは、ブレーキECU41は、特定期間J内において、例えば、遮断検出時点T3から摩擦ブレーキ装置30を作動させて摩擦制動力を増加させる準備を開始しておき、遮断検出時点T3よりも時間的に遅れた時点から回生制動力を所定値(ゼロ)まで徐々に減少させるように実施することも可能である。
この場合においても、ブレーキECU41は、特定期間J内において、遅くとも電力変換器20のメインリレー206が開成状態(非通電状態)になってモータジェネレータ14への通電が遮断される所定時点T1までに、回生制動力を所定値(ゼロ)まで徐々に減少させることができる。一方で、ブレーキECU41は、特定期間J内において、遅くとも所定時点T1までに、摩擦制動力を目標制動力まで徐々に増加させることができる。従って、この場合においても、減速度の急減を抑制することができて、乗員が違和感を覚えることがない。
上記実施形態においては、制御部を構成するブレーキECU41が回生制動力の減少及び摩擦制動力の増加を制御するように実施した。この場合、制御部を構成するハイブリッドECU46が回生制動力の減少及び摩擦制動力の増加を制御するように実施することも可能である。この場合には、ハイブリッドECU46は、通電の有無に基づいて、電源回路21の通電経路211が遮断されているか否かを判定する、すなわち、IG1_OFFを検出することにより、上記実施形態と同等の効果が得られる。或いは、制御部として、ブレーキECU41の機能及びハイブリッドECU46の機能を統合した新たな電子制御ユニット(ECU)を採用して実施することも可能である。
上記実施形態においては、押下操作される操作ボタンを有するメインスイッチ22を採用し、乗員によって操作ボタンが初期位置から押下位置まで押下される操作を特定操作とし、乗員によって押下位置から初期位置に戻される操作を電源遮断操作とするように実施した。この場合、特定操作と電源遮断操作に関しては、例えば、初期位置と押下位置との間で初期位置から所定の押下量まで操作ボタンを押下する操作を特定操作とし、押下位置まで操作ボタンを押下する操作を電源遮断操作とするように実施することも可能である。或いは、この場合、例えば、初期位置から押下位置を経由して再び初期位置まで戻される操作を特定操作とし、この特定操作の完了時点から所定時間が経過した時点で電源遮断操作が完了するように、実施することも可能である。このように同一操作であっても、特定操作と電源遮断操作との間に時間差(ディレイ)を設けることにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
又、押下操作される操作ボタンを有するメインスイッチ22を採用することに代えて、例えば、イグニッションキースイッチのように回動操作されるメインスイッチ22を採用して実施することも可能である。このように、回動操作されるメインスイッチ22を採用する場合には、回動操作の途中、具体的には、所定の回動操作角まで回動操作部(イグニッションキー)を回動させる操作を特定操作として第1リレー221を開成状態(非通電状態)とし、初期位置まで更に回動操作部(イグニッションキー)を回動させる操作を電源遮断操作として第1リレー221及び第2リレー222を開成状態(非通電状態)とするように実施することができる。このようなメインスイッチ22を採用する場合であっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
上記実施形態においては、ハイブリッド車両10に1つの補機バッテリ19が搭載されており、この補機バッテリ19に接続される電源回路21が通電経路211及び通電経路212を有し、メインスイッチ22が通電経路211に設けられた第1リレー221と通電経路212に設けられた第2リレー222とから構成されるように実施した。この場合、ハイブリッド車両10が複数(例えば、2つ)の補機バッテリ19を搭載している場合には、電源回路21を構成する通電経路211が一の補機バッテリ19に接続され、通電経路212が他の補機バッテリ19に接続されるように実施することも可能である。この場合においては、制御装置40(例えば、ブレーキECU41)は、複数の補機バッテリ19から通電経路211及び通電経路212の複数の通電経路を介して通電される。これにより、制御装置40(ブレーキECU41)は、メインスイッチ22に対する特定操作の完了によって通電経路211を介した通電が遮断されるとIG1_OFFを検出し、メインスイッチ22に対する電源遮断操作の完了によって通電経路211及び通電経路212を介した通電が遮断されるとIG2_OFFを検出することができる。従って、この場合においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
更に、上記実施形態においては、摩擦式制動装置として、作動液の液圧をホイールシリンダ343に供給する油圧を用いた摩擦ブレーキ装置30を採用して実施した。この場合、摩擦式制動装置として、例えば、ブレーキパッド(摩擦部材)を電動モータによってディスクロータ(回転部材)に対して押圧するようなディスクブレーキユニット(ブレーキ装置)を採用して実施することも可能である。