JP2015080310A - 非接触給電装置、非接触給電システム及び非接触給電方法 - Google Patents

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Katsutoshi Nakatani
克俊 中谷
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克弥 秋元
賢司 安嶋
Kenji Yasujima
賢司 安嶋
千綿 直文
Naofumi Chiwata
直文 千綿
康晴 武藤
Yasuharu Muto
康晴 武藤
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Abstract

【課題】電気機器や電気自動車等に対して非接触給電を行う際、近接効果による送電効率の低下を抑制したり、敷設コスト等を低減したりする。
【解決手段】同一平面上に並列に配置され、非接触給電用の電力を伝送する複数の電力線と、電力線に沿って配置され、電気信号を伝送する信号線と、を備える複合ケーブルに接続され、複数の電力線に対して、電気信号の周波数成分を含まない波形の電力を供給するよう構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、非接触給電装置、非接触給電システム及び非接触給電方法に関する。
例えば電気機器や電気自動車等に対して非接触給電(ワイヤレス給電)を行う際、複数の細いエナメル被覆線を撚り合わせることで得られた撚り線(以下、リッツ線ともいう)を送電ケーブルとして用い、送電を行う技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2013−080441号公報
上述の非接触給電を行うには、給電装置と受電装置との間で、給電の開始や終了等の電気信号(制御信号等)を交換する必要がある。しかしながら、送電ケーブルは電気信号を伝送するようには構成されていない。給電装置と受電装置との間に、電気信号を伝送するための信号線を別途敷設しなければならないとすると、敷設コスト等が増加してしまうことがある。
本発明の目的は、電気機器や電気自動車等に対して非接触給電を行う際、近接効果による送電効率の低下を抑制したり、敷設コスト等を低減したりすることにある。
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成されている。
本発明の第1の態様によれば、同一平面上に並列に配置され、非接触給電用の電力を伝送する複数の電力線と、前記電力線に沿って配置され、電気信号を伝送する信号線と、を備える複合ケーブルに接続され、前記複数の電力線に対して、前記電気信号の周波数成分を含まない波形の電力を供給するよう構成されている非接触給電装置が提供される。
本発明の第2の態様によれば、前記電力線に供給する電力の波形は、前記電気信号の周波数成分を含まない波形の矩形波である第1の態様の非接触給電装置が提供される。
本発明の第3の態様によれば、前記信号線は、漏洩同軸ケーブル或いは撚り対線として構成されている第1又は第2の態様の非接触給電装置が提供される。
本発明の第4の態様によれば、非接触給電用の電力を供給する給電装置と、前記給電装置から電力が供給されることで磁場を生じさせる給電コイルと、を備えた給電システムであって、前記給電コイルは、同一平面上に並列に配置され、前記電力を伝送する複数の電力線と、前記電力線に沿って配置され、電気信号を伝送する信号線と、を備える複合ケーブルを巻き回されることで形成されており、前記給電装置は、前記複数の電力線に対して、前記電気信号の周波数成分を含まない波形の電力を供給するよう構成されている非接触給電システムが提供される。
本発明の第5の態様によれば、前記給電コイルが生じさせた磁場の変化を受けて誘導起電力を生じさせる受電コイルと、前記受電コイルから得た誘導起電力を負荷に供給する受電装置と、を備え、前記受電コイルは、同一平面上に並列に配置される複数の電力線と、前記電力線に沿って配置される信号線と、を備える複合ケーブルを巻き回されることで形成されている第4の態様の非接触給電システムが提供される。
本発明の第6の態様によれば、同一平面上に並列に配置される複数の電力線に対して電力を供給する工程と、前記電力線に沿って配置される信号線に対して電気信号を送信する工程と、を同時に行う工程を有し、前記同時に行う工程では、前記複数の電力線に対して、前記電気信号の周波数成分を含まない波形の電力を供給する非接触給電方法が提供される。
本発明によれば、電気機器や電気自動車等に対して非接触給電を行う際、近接効果による送電効率の低下を抑制したり、敷設コスト等を低減したりすることができる。
本発明の一実施形態にかかる非接触受給電システムの概略構成図である。 (a)は、本発明の一実施形態にかかる複合ケーブルの一部破断概略斜視図であり、(b)はその変形例にかかる複合ケーブルの一部破断概略斜視図である。 (a)は本発明の一実施形態に係る複合ケーブルの概略断面図であり、(b)〜(i)はその変形例にかかる複合ケーブルの概略断面図である。 本発明の一実施形態にかかる給電装置及び受電装置の概略構成図である。 複合ケーブルに供給される電力の波形を例示する図である。 本発明の一実施形態にかかる複合ケーブルに供給される電力の波形を例示する図である。 本発明の一実施形態にかかる高周波信号線路の一例を示す概略図である。 本発明の一実施例にかかる複合ケーブルの電気特性を示すグラフ図である。 本発明の一実施例にかかる複合ケーブルの電気特性を示すグラフ図である。
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態について、主に図1〜図7を参照しながら説明する。
(1)非接触受給電システムの構成
図1に示すように、本実施形態に係る非接触受給電システム1は、高周波電力を供給する給電装置2と、給電装置2から高周波電力が供給されることで磁場を形成する非接触受給電用コイル3(以下、給電コイル3或いは一次コイル3ともいう)と、一次コイル3が生じさせた磁場の変化を受けて誘導起電力を生じさせる非接触受給電用コイル4(以下、受電コイル4或いは二次コイル4ともいう)と、二次コイル4から得られた誘導起電力をバッテリー等の負荷に供給する受電装置5と、を備えている。一次コイル3および二次コイル4はそれぞれ、複合ケーブル10を巻き回すことで形成されている。一次コイル3と給電装置2との間、および、二次コイル4と受電装置5との間には、それぞれ、共振用コンデンサ6,7が設けられている。
(複合ケーブル及び非接触受給電用コイル)
図2(a)に示すように、複合ケーブル10は、非接触受給電用の高周波電力を伝送する複数(ここでは一例として5本)の電力線11と、電力線11に沿って配置されて電気信号を伝送する信号線12(ここでは一例として2本)と、を備えている。後述するように、複合ケーブル10は、高周波電力の給電だけでなく、受電にも用いることができる。また、複合ケーブル10は、電気信号の送信だけでなく、受信に用いることができる。
電力線11は、中心導体13と、中心導体13の外周を被覆する外皮14と、を備えたエナメル被覆線として構成されている。中心導体13は、例えば銅やアルミニウム等を含む金属材料から構成されている。電力線11の最外周を構成する外皮14は、自己融着性を有する材料から構成されている。自己融着性を有する材料としては、例えばポリビニルブチラル系材料、ポリアミド系材料、変性ポリアミド系材料、ポリエステル系材料のうち少なくともいずれかを含む材料を用いることができる。中心導体13、外皮14の材料や外径等は、給電装置2と受電装置5との間で行われる非接触給電の仕様等に基づいて、適宜決定される。
信号線12は、中心導体15と、中心導体15の外周を被覆する絶縁層16と、絶縁層16の外周を被覆する外部導体層(シールド)17と、シールド17の外周を被覆する外皮18と、を備えた同軸ケーブルとして構成されている。中心導体15は、例えば、銅や銅合金等の金属材料を棒状に成型した銅材から構成されている。絶縁層16は、例えばエチレンプロピレン(EP)ゴム、ポリエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PAF)樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)樹脂等の樹脂で構成されている。シールド17は、例えば銅やアルミニウム等を含む複数の素線が編み組みされて(編み込まれて)形成された編組体から構成されている。信号線12の最外周を構成する外皮18は、自己融着性を有する材料から構成されている。自己融着性を有する材料としては、例えばポリビニルブチラル系材料、ポリアミド系材料、変性ポリアミド系材料、ポリエステル系材料のうち少なくともいずれかを含む材料を用いることができる。中心導体15、絶縁層16、シールド17、外皮18の材料や外径等は、給電装置2と受電装置5との間で行われる通信の仕様等に基づいて適宜決定される。
複数の電力線11は、同一平面上に並列に(フラットに)配置されている。言い換えれば、複合ケーブル10は、複合フラットケーブルとして構成されている。つまり、複合ケーブル10を構成する複数の電力線11間の平均距離は、これら複数の電力線11を撚り合わせて撚り線(リッツ線)を構成した場合における電力線11間の平均距離と比べて、大きくなるように構成されている。
信号線12は、同一平面上に並列に配置された複数の電力線11に沿って配置されている。図3(a)は、本実施形態における複合ケーブル10の概略断面図を、図3(b)〜(c)はその変形例をそれぞれ示している。
信号線12は、複数の電力線11のうち、最も外側に配置された電力線11よりも内側に配置された電力線11に沿って配置することが好ましい。つまり、複合ケーブル10の幅方向の両端には、信号線12ではなく、電力線11を配置することが好ましい。例えば図3(b)に示すように信号線12を配置するよりも、例えば図3(a)や図3(c)〜(i)に示すように信号線12を配置する方が好ましい。ここで、複ケーブル10の「幅方向」とは、「複数の電力線11を配置する方向」であって、「複合ケーブル10の長さ方向に直交する方向」を意味する。
また、信号線12は、複合ケーブル10の「幅方向中央部」により近い位置に配置することが好ましい。例えば、信号線12は、複数の電力線11のうち、最も外側に配置された電力線11よりも内側であって、最も外側に配置された電力線11から最大限離間した位置に配置することが好ましい。ここで、複合ケーブル10の「幅方向中央部」とは、「複合ケーブル10の幅方向中央の位置」、「複合ケーブル10の幅方向中央を構成する電力線11に隣接する位置」、「複合ケーブル10の幅方向中央には位置しないが、並列に配置された複数の電力線11のうち配列順序で真ん中となるように配置された電力線11に隣接する位置」のいずれかを意味する。
電力線11の本数が偶数本である場合、例えば図3(c)に示すように信号線12を配置するよりも、例えば図3(d)に示すように配置する方が好ましく、さらには、例えば図3(e)に示すように配置する方がより好ましい。図3(e)に示す場合、信号線12は、「複合ケーブル10の幅方向中央の位置」に配置されることとなる。また、電力線11は、信号線12を挟んで、複合ケーブル10の幅方向に対称(線対称)に配置されることとなる。
電力線11の本数が奇数本である場合、例えば図3(f)に示すように信号線12を配置するよりも、例えば図3(g)に示すように配置するか、図3(h)に示すように配置する方が好ましい。図3(g)や(h)に示す場合、信号線12は、「複合ケーブル10の幅方向中央を構成する電力線11に隣接する位置」に配置されることとなる。
信号線12の本数が複数本であるときは、図3(a)に示す本実施形態のように信号線12を分散配置させてもよい。この場合、2本の信号線12はそれぞれ、「複合ケーブル10の幅方向中央を構成する電力線11に隣接する位置」に配置されることとなる。また、電力線11は、信号線12を挟んで、複合ケーブル10の幅方向に対称(線対称)に配置されることとなる。また、例えば図3(i)に示す変形例のように複数の信号線12を互いに隣接するようにまとめて(1箇所に集中させて)配置してもよい。この場合、2本の信号線12は、「複合ケーブル10の幅方向中央には位置しないが、並列に配置された複数の電力線11のうち配列順序で真ん中となるように配置された電力線11に隣接する位置」に配置されることとなる。なお、複数本の信号線12が互いに隣接して配置される場合、少なくともいずれかの信号線12が、上述の複合ケーブル10の幅方向中央部に配置されていればよい。
図2(a)に示すように、信号線12が備えるシールド17には、信号電波を漏洩させるスロット19が複数設けられ(開口され)ている。すなわち、シールド17には、中心導体15から発せられる信号電波を外部に放射させたり(信号電波を送信したり)、シールド17の外部を伝搬する信号電波を中心導体15に入射させたり(信号電波を受信したり)するスロット19が、所定の形状、所定の間隔で複数設けられている。つまり、信号線12は、単なる同軸ケーブルではなく、漏洩同軸ケーブルとして構成されている。これにより、複合ケーブル10は、電力や電気信号の伝送を行うだけでなく、信号電波の送受信を行うアンテナとしても作用することとなる。
信号電波の送受信効率を高めるには、図2(a)に示す本実施形態のように、スロット19を、複合ケーブル10の表裏面側に向けて信号電波を漏洩させる(放射させたり、入射させたりする)ように設けることが好ましい。例えば、スロット19を、複合ケーブル10の表裏面側に向けて設けるか、表裏面側から所定角度範囲内に向けて設けるとよい。言い換えると、スロット19を、少なくとも複合ケーブル10の表裏面側に位置(露出)するように設けるとよい。ここで、複合ケーブル10の「表裏面」とは、電力線11の長さ方向と電力線11の配置方向とにより決定される面を意味し、複合ケーブル10の2つの主面を意味する。つまり、複合ケーブル10の「表裏面」とは、複合ケーブル10の複数の電力線11が並列に配置される平面を意味する。また、「複合ケーブル10の表裏面側に向けて信号電波を漏洩させる」とは、少なくとも、複合ケーブル10の表裏面の法線方向に向けて信号電波を漏洩させることを意味する。
なお、スロット19は、隣接する電力線11(又は隣接する信号線12)と対向しないように設けるとよい。ここで、「隣接する電力線11(又は隣接する信号線12)と対向しないように設ける」とは、隣接する電力線11(又は隣接する信号線12)と対向しない方向、形状、大きさで設けることを意味する。すなわち、スロット19を、隣接する電力線11(又は隣接する信号線12)に向けて信号電波を放射しないように設けることを意味する。例えば、電力線11と信号線12とが同一平面上に配置され、電力線11の中心導体13と信号線12のシールド17の外径とが同じ場合、スロット19を、前記平面の法線方向のみに向けて信号電波を漏洩させるように設けるか、法線方向から±60°以内の方向のみに向けて信号電波を漏洩させるように設けるとよい。
但し、スロット19の態様は図2(a)に示す場合に限定されない。例えば図2(b)に示す変形例のように、スロット19を、シールド(外部導体層)17の外周方向の全周にわたり、均等な開口密度(スロット19の開口面積/シールド17の表面積)で設けてもよい。ここで、「シールド17の外周方向の全周にわたりスロット19を設ける」とは、信号線12の中心導体15を中心軸として、360°の全方位にわたってスロット19を設けることを意味する。また、「均等な開口密度でスロット19を設ける」とは、均等な電界強度で信号電波を漏洩(放射させたり、入射させたり)することが可能なようにスロット19を設けることを意味する。
複合ケーブル10の製造は以下のように行われる。つまり、自己融着性を有する材料により外皮14が構成された複数の電力線11を同一平面上に並列に配置すると共に、自己融着性を有する材料により外皮18が構成された信号線12を電力線11に沿って配置する。そして、複数の電力線11と信号線12とを密着させた状態で加熱するか、所定時間保持する。これにより、これらの最外周を構成する外皮14及び外皮18は、互いを融着して一体となる。その後、電力線11および信号線12の最外周(外皮14及び外皮18)を一括して被覆するように保護層(シース)20を設けることで、本実施形態に係る複合ケーブル10の製造が完了する。シース20は、耐水性や耐油性等の耐環境特性を有する絶縁材料、例えばPVC等により構成することができる。
一次コイル3および二次コイル4はそれぞれ、上述の複合ケーブル10を所定の形状に所定回数巻き回すことで形成される。各コイル3,4の形状や径、複合ケーブル10の周回数等は、給電装置2と受電装置5との間で行われる非接触給電及び通信の仕様等に基づいて適宜決定される。複合ケーブル10を巻き回す際、複合ケーブル10の曲げ方向は特に限定されない。つまり、複合ケーブル10の表裏面を湾曲させるように曲げてもよいし、複合ケーブル10の幅方向端部を湾曲させるように曲げてもよい。
(給電装置)
図4に示すように、給電装置2は、上述の複合ケーブル10により形成した一次コイル3を構成する電力線11の端部に接続され、直流電源21からの出力を一次コイル(給電コイル)3に供給する給電回路22を備えている。また、給電装置2は、一次コイル3を構成する信号線12の端部に接続され、一次コイル3をアンテナとして用い、例えば非接触給電に関する制御信号等を受電装置5に送信する給電側通信制御部23を備えている。また、給電装置2は、二次コイル4から放射された信号電波を受信するアンテナ31と、アンテナ31が受信した信号電波から制御信号等を抽出する受信機32と、を備えている。
給電回路22は、トランジスタ24a〜24d、ダイオード40a〜40d、平滑用コンデンサ41、共振用コンデンサ6、インダクタンス42、給電側給電制御部33等を備えている。給電回路22は、一次コイル3に矩形波の電力を給電するように構成されている。具体的には、給電回路22は、給電側給電制御部33を制御して、4つのトランジスタ24a〜24dのON状態とOFF状態とを所定のタイミングで切り替えることで、直流電源21から供給された直流電力を、矩形波(方形波)の交流電力に変換することが可能な矩形波インバータ回路として構成されている。また、給電回路22は、これら4つのトランジスタ24a〜24dのON/OFFの切り替え回数を調整することで、一次コイル3に供給する電力の周波数を自在に制御することが可能なように構成されている。給電回路22が一次コイル3に供給する電力の周波数は、例えば10kHz〜数百MHzの高周波数帯とすることができる。さらに、給電回路22は、ダイオード40a〜40d、平滑用コンデンサ41、共振用コンデンサ6、インダクタンス42等を作動させることで、一次コイル3から得られた誘導起電力を直流電力に効率的に変換することが可能なAC/DCコンバータとしても構成されている。つまり、給電回路22は、一次コイル3から誘導起電力を受電する受電回路として機能するようにも構成されている。
給電回路22は、電力線11に対して、信号線12を流れる電気信号の周波数成分を含まない波形の電力を給電するように構成されている。例えば、給電回路22は、電力線11に対して、非接触給電に関する制御信号の周波数成分、すなわち、1GHz〜十数GHzの周波数成分を含まない波形の電力を給電するように構成されている。このため、給電回路22が供給する電力の波形は、図5に示すような、立ち上がり部分と立ち下がり部分における単位時間あたりの変化が大きな(急峻な)波形ではなく、図6に示すような、立ち上がりの部分及び立ち下がりの部分の単位時間あたりの変化が小さな(緩やかな)鈍った波形となっている。なお、給電回路22から供給する電力の波形は、その周波数成分が制御信号の周波数帯の周波数成分を含まないだけでなく、その高調波成分が制御信号の周波数帯の周波数成分を含まない波形とすることが好ましい。
給電側通信制御部23は、信号線12に接続されることで、図7に示すような高周波信号線路25を構成する。高周波信号線路25において、高周波信号源26の出力や終端抵抗27の両端に現れる電圧は、高周波信号源26が発生している電圧(起電力)を高周波信号源26の出力インピーダンスと終端抵抗27とで分圧したものである。高周波信号線路25は、高周波信号源26の起電力の1/2が信号線12(同軸ケーブル(漏洩同軸ケーブル)の中心導体15)や終端抵抗27に印加され、その電圧に見合った電流が流れるように構成されている。高周波信号線路25が送信する信号周波数、すなわち、非接触給電に関する制御信号の周波数は、上述したように例えば1GHz〜十数GHzの高周波数帯とすることができる。高周波信号線路25が送信する制御信号、すなわち高周波信号源26から信号線12に送信される電気信号の波形は、正弦波や矩形波とすることができる。
受信機32は、アンテナ31が受信した信号電波から制御信号等を抽出する同調回路を備えている。受信機32は、二次コイル4から送信された信号電波から制御信号等を抽出し、抽出した制御信号等を給電側通信制御部23等へ送信することが可能なように構成されている。
(受電装置)
受電装置5は、上述の複合ケーブル10により形成した二次コイル4を構成する電力線11の端部に接続され、二次コイル4に励起された(二次コイル4から得られた)誘導起電力をバッテリー等の負荷28に供給する受電回路29を備えている。また、受電装置5は、二次コイル4を構成する信号線12の端部に接続され、二次コイル4をアンテナとして用い、例えば非接触給電に関する制御信号等を給電装置2に送信する受電側通信制御部30を備えている。また、受電装置5は、一次コイル3から放射された信号電波を受信するアンテナ34と、アンテナ34が受信した信号電波から制御信号等を抽出する受信機35と、を備えている。
受電回路29は、トランジスタ43a〜43d、ダイオード36a〜36d、平滑用コンデンサ37、共振用コンデンサ7、インダクタンス38、受電側給電制御部44を備えている。受電回路29は、二次コイル4から誘導起電力を受電するように構成されている。具体的には、受電回路29は、4つのダイオード36a〜36d、平滑用コンデンサ37、共振用コンデンサ7、インダクタンス38等を作動させることで、二次コイル4から得られた誘導起電力を直流電力に変換することが可能なAC/DCコンバータ回路として構成されている。さらに、受電回路29は、受電側給電制御部44を制御して、トランジスタ43a〜43dのON状態とOFF状態とを所定のタイミングで切り替えることで、直流電力を矩形波の交流電力に変換可能な矩形波インバータ回路としても構成されている。つまり、受電回路29は、二次コイル4に矩形波の電力を給電する給電回路として機能するようにも構成されている。
受電側通信制御部30は、上述の給電側通信制御部23と同様に構成されている。つまり、受電側通信制御部30は、高周波信号源39からの信号を信号線12に送信し、二次コイル4をアンテナとして用いて信号電波を送信することが可能なように構成されている。
受信機35は、上述の受信機32と同様に構成されている。つまり、受信機35は、一次コイル3から送信された信号電波から制御信号等を抽出し、抽出した制御信号等を受電側通信制御部30等へ送信することが可能なように構成されている。
(2)非接触受給電システムの動作
以下に、上述の非接触受給電システム1の動作について説明する。
まず、給電装置2が、一次コイル3を構成する信号線12を介して、制御信号(例えば充電開始のリクエスト信号等)を受電装置5へ送信する。アンテナ34を介して給電装置2からの制御信号を受信した受電装置5は、二次コイル4を構成する信号線12を介して、制御信号(給電装置2からの制御信号に対する返信信号、例えば充電開始可能信号、充電開始不可能信号等)を給電装置2へ送信する。
アンテナ31を介して受電装置5からの制御信号を受信した給電装置2が、一次コイル3を構成する電力線11へ、高周波電力の送電を開始する。給電装置2から高周波電力が送電されると、一次コイル3が励磁されて一次コイル3の周辺に磁場が形成される。一次コイル3が生じさせた磁場の変化を受けて、二次コイル4には誘導起電力が励起される。受電装置5は、二次コイル4を構成する電力線11を介して、二次コイル4に励起された誘導起電力を受電する。受電装置5は、受電した誘導起電力を例えばバッテリー等の負荷28(図4参照)へ供給(送電)する。
受電装置5が、二次コイル4を構成する信号線12を介して、制御信号(例えば充電完了の信号等)を給電装置2へ送信する。このとき、受電装置5と給電装置2との間での制御信号の送受信は、給電装置2から受電装置5への送電を中断させることなく、送電と同時に行われる。つまり、給電装置2から受電装置5への送電と、給電装置2と受電装置5との間の制御信号の送受信と、が同時に行われる。アンテナ31を介して受電装置5からの制御信号を受信した給電装置2は、一次コイル3を構成する電力線11への高周波電力の送電を停止する。
(3)本実施形態の効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
(a)複合ケーブル10を構成する電力線11を1本とせず、複数本としたことで、複合ケーブル10全体での送電効率を高めることができる。つまり、電力線11を複数本としたことで、電力線11全体での断面積に対する表面積の割合を大きくすることができる。その結果、リッツ線同様に、表皮効果による送電効率への影響を低減させることができ、複合ケーブル10全体での送電効率を高めることができる。
(b)複数の電力線11を同一平面上に並列に配置したことで、複合ケーブル10全体での送電効率をさらに高めることができる。つまり、複数の電力線11をフラットに配置したので、電力線11間の平均距離を、複数の電力線11を撚り合わせてリッツ線を構成した場合における電力線11間の平均距離と比べ、大きくすることができる。これにより、近接効果の影響を、リッツ線と比較して少なくすることができる。その結果、複合ケーブル10全体での実質的な電気抵抗値を低下させ、送電効率をさらに高めることが可能となる。
(c)信号線12を配置する場所を工夫したので、複合ケーブル10全体での送電効率をさらに高めることができる。
というのも、同一平面上に並列に配置された電力線11に同時に高周波電力を流すと、近接効果によって、電力線11のそれぞれを流れる電流値に差が生じることとなる。具体的には、複数の電力線11のうち最も外側に配置された電力線11では電流量が最大となり、複合ケーブル10の幅方向の中心に向かうにつれて電流量が徐々に小さくなり、中心に配置された電力線11では電流量が最小となる。ここで、電流量の大きな電力線11の近傍に信号線12を配置すると、信号線12の表面に大きな渦電流が流れるようになってしまい、複合ケーブル10全体での送電効率を低下させてしまうことがある。つまり、周辺に強い磁場を生じさせている電力線11の近傍に、送電に寄与しない導体を含む信号線12を配置すると、その導体に大きな渦電流が流れるようになって、送電エネルギーが浪費され、複合ケーブル10全体での送電効率を低下させてしまうことがある。
これに対し、本実施形態では、複数の電力線11のうち、最も外側に配置された電力線11よりも内側に配置された電力線11に沿って信号線12を配置するので、上述の課題を解消することができる。特に、信号線12を、複合ケーブル10の幅方向中央部に配置することで、複合ケーブル10全体での送電効率を最大限に高めることが可能となる。
(d)電力線11の本数を奇数本とした場合であっても、図3(a)に示す本実施形態にように、信号線12を挟んで複合ケーブル10の幅方向に対称となるように電力線11を配置することで、複合ケーブル10に高周波電力を送電した際に、複合ケーブル10の周囲に、つまり、複合ケーブル10の幅方向にわたり、対称な磁場を形成することができる。結果として、この複合ケーブル10により形成される非接触受給電用コイルにより生成される磁場の強度分布特性、つまり受給電効率を、コイルの表裏面等で揃えることが容易となる。電力線11の本数を偶数本とした場合であっても、例えば図3(e)に示す変形例のように信号線12を配置することで、同様の作用効果を得ることができる。
(e)信号線12の本数を複数本とした場合、図3(i)に示す変形例のように、これらの信号線12を互いに隣接するようにまとめて(1箇所に集中させて)配置することで、各線の引き回しが容易となり、信頼性を向上させることができる。つまり、複合ケーブル10から電力線11や信号線12をそれぞれ引き出して給電装置2や受電装置5等に接続する際、一部の電力線11と信号線12とが立体交差する回数を低減させることができ、上述の作用効果が得られる。
(f)電力線11と信号線12とが一体化されていることから、給電装置2と受電装置5との間で電力線11と信号線12とを別々に配設する必要がない。これにより、ケーブルの敷設コスト等を低減することが可能となる。また、電力線11と信号線12とを一体化することで、給電装置2内や受電装置5内における実装スペースに余裕を作ることができ、これらの装置の設計自由度等を高めることも可能となる。
(g)信号線12を漏洩同軸ケーブルで構成したことで、複合ケーブル10を、電力や電気信号の伝送だけでなく、信号電波の送受信を行うアンテナとしても利用することが可能となる。
(h)電力線11を伝送する電力の周波数成分が、信号線12を伝送する電気信号(例えば非接触給電に関する制御信号)の周波数成分を含まないことから、電力と電気信号とが干渉することを回避でき、電力の伝送と電気信号の送受信とを同時に行うことが可能となる。また、通信品質を向上させ、信頼性を高めることも可能となる。これは、本実施形態のように信号線12を漏洩同軸ケーブルで構成した場合、つまり、信号線12がアンテナとしても機能する場合に、特に有効となる。また、本実施形態では、給電と通信とを同時に行うことができることから、受電装置5と給電装置2との間での制御信号の送受信を行う際、給電装置2から受電装置5への送電を中断させる必要がなくなり、給電効率と通信効率とをそれぞれ高めることが可能となる。また、給電装置2や受電装置5には、例えば受給電と通信とを時分割で切り替えるスイッチング等の機能も不要となることから、装置コストを低減させることも可能である。
(i)図2(a)に示すように、スロット19を、複合ケーブル10の表裏面側に向けて信号電波を漏洩させるように設けたことから、複合ケーブル10からの信号電波の送受信を効率的に行えるようになる。特に、複合ケーブル10の表裏面側に向けてスロット19を設けることで、信号電波の送受信の効率を最大限に高めることができる。その結果、複合ケーブル10をアンテナとして用いたときの通信の品質や信頼性等を向上させることが可能となる。
また、図2(a)に示すように、スロット19を、隣接する電力線11(又は隣接する信号線12)と対向しないように設けたことから、信号線12は、隣接する電力線11(の中心導体13)等により吸収されたり、散乱される恐れのある方向に、信号電波を放射しなくなる。つまり、無駄な方位に(例えば隣接する電力線11等に向けて)信号電波が放射されなくなる。これにより、信号線12(中心導体15)を流れる制御信号の減衰を抑制することができ、有線通信の伝送距離(電気信号の伝送距離、つまり通信距離)をより拡大させ、通信品質、信頼性をより向上させることもできる。また、信号線12の中心導体15には、隣接する電力線11が放射する電磁波、ないし、隣接する信号線12が放射する信号電波が入射しにくくなる。これにより、信号線12の中心導体15を流れるノイズを減らす(S/N比を高める)ことができ、通信品質を向上させ、信頼性を向上させることも可能となる。
(j)また、図2(b)に示す変形例のように、スロット19を、シールド(外部導体層)17の外周方向の全周にわたり均等な開口密度で設けた場合、複合ケーブル10を製造する際に、複数の電力線11が複合ケーブル10の表裏面側に向けて信号電波を漏洩させるようにスロット19を位置決めすることが容易となる。つまり、信号線12を電力線11に沿って配置する際、中心導体15を中心軸(回転軸)とした時の信号線12の角度を調整することなく、複合ケーブル10の表裏面側にスロット19が常に位置するように位置決めさせることが容易に行えるようになる。また、電力線11に沿って配置された信号線12が途中で捻れてしまった場合でも、複合ケーブル10の表裏面側にはスロット19が常に安定して配置されることになる。すなわち、信号電波の放射特性や受信特性を、複合ケーブル10の長手方向にわたり、均一化させることが容易となる。また、複合ケーブル10の製造歩留まりを高めることも可能となる。
(k)電力線11及び信号線12の最外周をそれぞれ自己融着性を有する材料で構成したことにより、複合ケーブル10の製造コストを低減させることが可能となる。つまり、複合ケーブル10を製造する際に、電力線11と信号線12とを固定するための粘着性テープ等を用いる必要がない。これにより、複合ケーブル10の部品点数や製造工程を減らすことができ、製造コストを低減させることが可能となる。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。但し、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、信号線12を電力線11と同一平面上に配置する場合に限らない。例えば、図3(h)に示すように電力線11のみを同一平面上に配置し、信号線12を複合ケーブル10の幅方向中央を構成する電力線11に近接させてもよい。つまり、上述の作用効果は、少なくとも複数の電力線11を同一平面上に配置することで得ることができる。
また例えば、電力線11や信号線12の本数も、上述の実施形態に限定されない。これらの本数は、給電装置2や受電装置5との間で行われる非接触給電や通信の仕様、更には、給電装置2や受電装置5内における実装条件等に基づいて、適宜決定される。
また、上述の実施形態では、電力線11をエナメル被覆線により構成したが、本発明は係る形態に限定されない。例えば、各電力線11を、外皮14を有さない(中心導体13の表面が露出した)裸線として構成してもよい。また例えば、各電力線11を、裸線を撚り合わせた撚線で構成してもよい。また例えば、各電力線11を、複数のエナメル被覆線を撚り合わせることで形成したリッツ線として構成してもよい。各電力線11をリッツ線として構成した場合、電力線11全体での断面積に対する表面積の割合を更に増やすことができ、表皮効果による送電効率の低下をさらに抑制することが可能となる。また、各電力線11をそれぞれリッツ線のような撚り線として構成した場合、複合ケーブル10の可撓性を高めることも可能となる。
また、上述の実施形態では、信号線12を漏洩同軸ケーブルにより構成したが、本発明は係る形態に限定されない。例えば、信号線12を非漏洩同軸ケーブルとして構成してもよい。また、信号線12を、中心導体15と外皮18とで構成される被覆電線や、これらを撚り合わせたより対線等として構成してもよい。つまり、本発明は、信号線12が非接触給電用の高周波電力の送電に寄与しない導体を含む場合に、好適に適用可能であり、これらの場合でも、上述の実施形態と同様の作用効果が得られる。また、中心導体15を、銅や銅合金等の金属材料を中空パイプ状に成型した銅材から構成してもよい。
また、上述の実施形態では、非接触給電用電力の波形を矩形波としたが、本発明は係る形態に限定されない。例えば、非接触給電用電力の波形を正弦波としてもよい。つまり、非接触給電用電力の周波数が電気信号の周波数成分を含まない場合には、通信品質の向上や信頼性向上等といった上述の実施形態と同様の作用効果が得られることとなる。
また、上述の実施形態では、複数の電力線11のそれぞれの最外周及び信号線12の最外周、すなわち電力線11の外皮14及び信号線12の外皮18を自己融着性を有する材料で構成したが、本発明は係る形態に限定されない。少なくとも信号線12の最外周を自己融着性を有する材料で構成していればよい。つまり、信号線12と信号線12に隣接する電力線11とを密着させた状態で加熱するか、所定時間保持することにより、少なくとも信号線12の最外周と信号線12に隣接する電力線11の最外周とを融着させることができ、複合ケーブル10の製造コストを低減させることが可能となる。また、電力線11の外皮14及び信号線12の外皮18をそれぞれ、自己融着性を有さない材料で構成してもよい。例えば、電力線11の外皮14及び信号線12の外皮18をそれぞれ、エチレンプロピレン(EP)ゴム、ポリエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PAF)樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)樹脂等の樹脂で構成してもよい。
また、上述の実施形態では、一次コイル3及び二次コイル4をそれぞれ複合ケーブル10により構成したが、本発明は係る形態に限定されない。例えば、一次コイル3のみを複合ケーブル10により構成する場合も、二次コイル4のみを複合ケーブル10により構成する場合も、本発明は好適に適用できる。
また、信号線12が伝送する電気信号は、非接触給電の制御信号に限らない。非接触給電の制御信号以外の他の電気信号を伝送する場合にも、また、非接触給電の制御信号を伝送せずに他の電気信号のみを伝送する場合にも、本発明は好適に適用可能である。
上述の実施形態では、シールド(外部導体層)17として編組体を用いたが、本発明は係る形態に限定されない。例えば、シールド17は銅等の金属を含む金属テープにより構成してもよい。つまり、シールド17は、金属テープを絶縁層16の周囲に巻き付けて構成してもよい。このとき、所定形状の開口が設けられた金属テープを用いると、金属テープを絶縁層の周囲に巻きつけることでスロット19を設けることができる。
また、例えば、給電回路22は、少なくとも電力の給電と電気信号の送信とを同時に行うときに、電気信号の周波数成分を含まない波形の電力を給電するように構成されていればよい。つまり、一次コイル3に電気信号の送受信を行わないときは、給電回路22から一次コイル3に供給される電力の波形は、図6に示すような鈍った矩形波とせずに、図5に示すような矩形波としてもよい。
また例えば、複合ケーブル10が電力線11、信号線12以外の導体線材(例えば補強用の金属ワイヤなど)をさらに含む場合にも、本発明は好適に適用可能である。つまり、高周波電力の送電に寄与しない導体を、信号線12と同様の位置に配置することで、上述の作用効果が得られることとなる。
上述の実施形態では、一次コイル3および二次コイル4を、信号電波の送信用アンテナとして用いる例について説明したが、本発明は係る形態に限定されない。例えば、一次コイル3および二次コイル4のうち少なくともいずれかを、信号電波の受信用アンテナとして用いることも可能である。つまり、上述の実施形態にかかる複合ケーブル10は、信号電波の送信だけでなく、受信にも好適に用いることができる。この場合、アンテナ31,34や受信機32,35等を省略することができ、非接触受給電システム1の構造を簡略化させ、その製造コストを低減させることが可能となる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(試料の作製)
7本の電力線を同一平面上に並列に配置し、1本の信号線を7本の電力線のいずれかに沿って配置して4種類の複合ケーブルを作製した。これをそれぞれ試料1〜4とした。また、7本の電力線を同一平面上に並列に配置してフラットケーブルを作製し、これを参考試料1とした。また、8本の電力線を同一平面上に並列に配置し、1本の信号線を8本の電力線のいずれかに沿って配置して5種類の複合ケーブルを作製した。これをそれぞれ試料5〜9とした。また、8本の電力線を同一平面上に並列に配置してフラットケーブルを作製し、これを参考試料2とした。
(複合ケーブルの電気特性の評価)
試料1〜9及び参考試料1〜2の各試料について、各試料に10kHz〜10000kHzの範囲の種々の周波数の電力を、各試料が備える各電力線に伝送した。そして、各周波数での各試料全体(複合ケーブル全体又はフラットケーブル全体)の抵抗率(電気抵抗値)を測定した。その結果を、試料1〜4及び参考試料1については図8に、試料5〜9及び参考試料2については図9にそれぞれグラフ図で示す。図8及び図9の横軸は、電力の周波数(kHz)を、縦軸は測定した抵抗値(電気抵抗値)(mΩ/m)を示す。また、図8中の□、△、×、+はそれぞれ試料1〜4を示し、◇は参考試料1を示す。図9中の□、△、×、+、●はそれぞれ試料5〜9を示し、◇は参考試料2を示す。なお、図8及び図9中の○印は電力線を示し、◎印は信号線を示す。
図8及び図9から、信号線が複合ケーブルの幅方向中央部により近い位置に配置されるほど、抵抗値が低くなることを確認した。つまり、信号線を複合ケーブルの幅方向中央部により近い位置に配置するほど、複合ケーブル全体の抵抗値は、信号線を備えないフラットケーブルである参考試料1又は参考試料2の抵抗値に近づき、送電効率を最大限に高めることができることを確認した。言い換えると、電流量の大きな電力線の近傍に信号線を配置すると、信号線の表面に大きな渦電流が流れるようになってしまい、複合ケーブル全体での送電効率を低下させてしまうことがあることを確認した。
1 非接触給電システム
2 給電装置
10 複合ケーブル
11 電力線
12 信号線

Claims (6)

  1. 同一平面上に並列に配置され、非接触給電用の電力を伝送する複数の電力線と、前記電力線に沿って配置され、電気信号を伝送する信号線と、を備える複合ケーブルに接続され、
    前記複数の電力線に対して、前記電気信号の周波数成分を含まない波形の電力を供給するよう構成されている
    ことを特徴とする非接触給電装置。
  2. 前記電力線に供給する電力の波形は、前記電気信号の周波数成分を含まない波形の矩形波である
    ことを特徴とする請求項1に記載の非接触給電装置。
  3. 前記信号線は、漏洩同軸ケーブル或いは撚り対線として構成されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の非接触給電装置。
  4. 非接触給電用の電力を供給する給電装置と、前記給電装置から電力が供給されることで磁場を生じさせる給電コイルと、を備えた給電システムであって、
    前記給電コイルは、同一平面上に並列に配置され、前記電力を伝送する複数の電力線と、前記電力線に沿って配置され、電気信号を伝送する信号線と、を備える複合ケーブルを巻き回されることで形成されており、
    前記給電装置は、
    前記複数の電力線に対して、前記電気信号の周波数成分を含まない波形の電力を供給するよう構成されている
    ことを特徴とする非接触給電システム。
  5. 前記給電コイルが生じさせた磁場の変化を受けて誘導起電力を生じさせる受電コイルと、
    前記受電コイルから得た誘導起電力を負荷に供給する受電装置と、を備え、
    前記受電コイルは、同一平面上に並列に配置される複数の電力線と、前記電力線に沿って配置される信号線と、を備える複合ケーブルを巻き回されることで形成されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の非接触給電システム。
  6. 同一平面上に並列に配置される複数の電力線に対して電力を供給する工程と、前記電力線に沿って配置される信号線に対して電気信号を送信する工程と、を同時に行う工程を有し、
    前記同時に行う工程では、前記複数の電力線に対して、前記電気信号の周波数成分を含まない波形の電力を供給する
    ことを特徴とする非接触給電方法。
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