JP2015079843A - 電子装置、電子装置の制御方法及び電子装置の制御プログラム - Google Patents

電子装置、電子装置の制御方法及び電子装置の制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 圧力損失の増大や目詰まりの原因となる流量計を省くことができる電子装置等の提供。
【解決手段】電子装置は、液体が流れる流路と、液体により冷却される発熱体と、液体の温度を測定する液温測定器と、発熱体の温度を測定する温度測定器と、発熱体の発熱量を測定する発熱量測定器と、液体の温度と、発熱体の温度と、発熱体の発熱量と、液体の流量との関係を表す情報を記憶する記憶装置と、記憶装置内の情報に基づいて、液温測定器により測定された液体の温度と、温度測定器により測定された発熱体の温度と、発熱体の発熱量とから液体の流量を算出する処理装置とを含む。
【選択図】図9

Description

本開示は、電子装置、電子装置の制御方法及び電子装置の制御プログラムに関する。
従来から、電子部品を内蔵した複数のエレクトロニクスモジュールにより構成され、温度調整機構と流量調整機構により所定の温度及び流量に保たれた冷却液を強制循環してエレクトロニクスモジュールを冷却する電子機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。この電子機器では、冷却液のエレクトロニクスモジュールへの供給側に流量計が設けられる。
実開昭61−61893号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載の構成では、冷却液の循環経路に流量計が存在するため、流路における圧力損失が増大し、目詰まりによる流量計の故障が発生する可能性がある。
そこで、開示の技術は、圧力損失の増大や目詰まりの原因となる流量計を省くことができる電子装置、電子装置の制御方法及び電子装置の制御プログラムの提供を目的とする。
本開示の一局面によれば、液体が流れる流路と、
前記液体により冷却される発熱体と、
前記液体の温度を測定する液温測定器と、
前記発熱体の温度を測定する温度測定器と、
前記発熱体の発熱量を測定する発熱量測定器と、
前記液体の温度と、前記発熱体の温度と、前記発熱体の発熱量と、前記液体の流量との関係を表す情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置内の前記情報に基づいて、前記液温測定器により測定された前記液体の温度と、前記温度測定器により測定された前記発熱体の温度と、前記発熱体の発熱量とから前記液体の流量を算出する処理装置とを含む、電子装置が提供される。
本開示の技術によれば、圧力損失の増大や目詰まりの原因となる流量計を省くことができる電子装置、電子装置の制御方法及び電子装置の制御プログラムが得られる。
一実施例による電子装置1の全体構成を概略的に示す図である。 計算機30内の冷却態様の一例を示す図である。 一実施例による電子装置1の制御関連の構成を示す図である。 発熱部品34とは別に設けられる発熱体の一例を示す図である。 不揮発メモリ42内のテーブル情報の一例を示す表図である。 ある液温Tfにおける発熱体温度Tsと発熱量Qと流量uとの関係の例を示す図である。 試験によりテーブル情報を取得する際の電子装置1の構成の一例を示す図である。 図7に示す構成を用いたテーブル情報取得処理の一例を示すフローチャートである。 実運用時においてサービスプロセッサ40により実行されてよい流量算出処理の一例を示すフローチャートである。 計算機30内の発熱部品34とは別の発熱体70を新たに設ける構成におけるテーブル情報取得処理の一例を示すフローチャートである。 計算機30内の発熱部品34とは別の発熱体70を新たに設ける構成における実運用時の流量算出処理の一例を示すフローチャートである。 計算機30内の発熱部品34とは別の発熱体70を新たに設ける構成における発熱体70の配置例を示す図である。 サービスプロセッサ40により実行されてよい発熱量制限処理の一例を示すフローチャートである。 サービスプロセッサ40により実行されてよい発熱量上昇可否判定処理の一例を示すフローチャートである。 サービスプロセッサ40により実行されてよい発熱量下降時処理の一例を示すフローチャートである。 サービスプロセッサ40により実行されてよい異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
図1は、一実施例による電子装置1の全体構成を概略的に示す図である。電子装置1は、冷却液循環装置10と、計算機30とを含む。
冷却液循環装置10は、放熱用流路20と、冷却用流路22とを含む。また、放熱用流路20及び冷却用流路22の間には、熱交換器16が設けられる。熱交換器16は、冷却用流路22内の液体から熱を放熱用流路20内の液体(冷却用流路22内の液体よりも低温の液体)に移動させ、冷却用流路22内の液体を冷却する。放熱用流路20には、図1に示すように、バルブ19が設けられてよい。かかる構成では、熱交換器16の放熱能力は、バルブ19の開度を変化させることにより可変となる。以下では、特に言及しない限り、一例として、熱交換器16の放熱能力は可変であるとする。
冷却用流路22には、液体(冷却液)が流される。液体は、水やエチレングリコールなどの任意の液体の冷媒であってよい。冷却用流路22には、ポンプ12と、液温計14(液温測定器の一例)とが設けられる。冷却用流路22には、発熱部品34(後述)が搭載されるボード(マザーボード)32A,32B,32C及び32Dが設けられる。冷却用流路22内の液体は、ボード32A,32B,32C及び32D上の発熱部品34を冷却する。尚、図1に示す例では、4つのボード32A,32B,32C及び32Dが示されているが、ボードの数は任意である。
ポンプ12は、冷却用流路22内の液体を圧送し、冷却用流路22内の液体を循環させる。これにより、熱交換器16で冷却された冷却用流路22内の液体は、ボード32A,32B,32C及び32D上の発熱部品34の冷却に供される。ポンプ12は、出力(回転数)が一定であってもよいが、出力が可変されてもよい。ポンプ12の出力が変化されると、それに応じて冷却用流路22内を流れる液体の流量が変化する。以下では、特に言及しない限り、一例として、ポンプ12の出力は可変であるとする。
液温計14は、冷却用流路22内を流れる液体の温度を測定する。液温計14は、好ましくは、後述する発熱体の冷却に供される液体の温度を測定できる位置に配置される。即ち、液温計14は、好ましくは、後述する発熱体の上流側に設けられ、後述する発熱体と液温計14との間には他の発熱物(液温の変化をもたらす発熱物)は設けられない。尚、図1に示す例では、液温計14は、熱交換器16よりも下流側で且つポンプ12よりも上流側に設けられているが、熱交換器16及びポンプ12よりも下流側で且つボード32Aよりも上流側に設けられてもよい。
計算機30は、任意の形態の情報処理装置であってよく、例えばサーバーやスーパーコンピューター等であってよい。計算機30は、内部に発熱部品34(図2参照)を含む。発熱部品34は、計算機30の機能を実現する各種電子部品であり、例えば、CPU(中央処理装置)、ICC(インターコネクトチップ)などのLSI(大規模集積回路)や、POL(Point of Load:DC-DCコンバータ)などの高発熱部品を含んでよい。計算機30内には、発熱部品34を冷却するために冷却用流路22が通される。
図2は、冷却用流路22による計算機30内の冷却態様の一例を示す図である。図2には、一例として、ボード32Aに関する冷却態様が断面視で示されている。尚、図2においては、冷却用流路22における液体の流れ方向が模式的に矢印で示されている。
図2に示す例では、ボード32A上に、5つの発熱部品34(34a乃至34e)が実装されている。発熱部品34は、上述の如く、CPU、ICC、POL等であってよい。各発熱部品34には、それぞれ、温度計36(温度測定器の一例)が設けられる。各温度計36は、対応する発熱部品34の温度を測定する。この際、各温度計36は、対応する発熱部品34の表面(水まくら23a、23b及び23c側の表面)付近の温度を計測してよい。また、各発熱部品34は、サーマルシートやグリスなどの高熱伝導率の物質38を介して、水まくら(液冷ジャケット)23a、23b及び23cが取り付けられる。水まくら23a、23b及び23cは、冷却用流路22に接続され、内部を液体が流れる。尚、水まくら23a、23b及び23cは、冷却用流路22の一部として形成されてもよい。尚、図2に示す例では、水まくら23a及び23bは、それぞれ、2つの発熱部品34に対して形成され、水まくら23cは、単一の発熱部品34に対して形成されている。
尚、発熱部品34に対する冷却方法は任意であり、図2に示す例はあくまで一例である。例えば、図2に示す例では、水まくら23a、23b及び23cは、冷却用流路22に対して直列で接続されているが、並列に接続されてもよい。例えば、冷却用流路22は、入口側で3本に分岐して、各水まくら23a、23b及び23cに接続し、出口側で3本が合流してもよい。また、図1に示す例では、冷却用流路22は、ボード32A,32B,32C及び32Dに対して直列で接続されているが、並列に接続されてもよい。例えば、冷却用流路22は、各ボード32A,32B,32C及び32Dの上流側で4本に分岐して、各ボード32A,32B,32C及び32Dを通り、各ボード32A,32B,32C及び32Dの下流側で4本が合流してもよい。
図3は、一実施例による電子装置1の制御関連の構成を示す図である。図4は、発熱部品34とは別に設けられる発熱体の一例を示す図である。
電子装置1は、サービスプロセッサ(処理装置の一例)40と、不揮発メモリ42(記憶装置の一例)とを含む。
サービスプロセッサ40は、任意の形態のコンピューターにより形成されてもよい。サービスプロセッサ40の各種機能(以下で説明する機能を含む)は、任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせにより実現されてもよい。以下で説明するサービスプロセッサ40の各種機能は、不揮発メモリ42内のプログラムをサービスプロセッサ40に実行させることで実現されてよい。また、プログラムを記録媒体に記録し、このプログラムが記録された記録媒体をサービスプロセッサ40に読み取らせて、以下で説明する各種処理を実現させることも可能である。尚、記録媒体は、CD(compact disc)−ROM(read-only memory)、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的,電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、任意であってよい。尚、記録媒体には、搬送波は含まれない。
不揮発メモリ42は、任意であるが、例えばROM、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)やハードディスクドライブ等であってよい。不揮発メモリ42は、複数の不揮発メモリにより形成されてもよい。尚、サービスプロセッサ40及び不揮発メモリ42は、発熱部品34(図2参照)とは別の素子(部品)により形成されるが、発熱部品34により形成されてもよい。
サービスプロセッサ40は、発熱体70の発熱量に関する情報(以下、発熱量情報という)及び発熱体70の温度に関する情報(以下、発熱体温度情報という)を発熱体70から取得する。サービスプロセッサ40は、発熱体70の発熱量を制限するための発熱量制御を実行してもよい。発熱量制御の例については後述する。
発熱体70は、発熱部品34(図2参照)自体であってよい。この場合、発熱体70は、複数の発熱部品34のうちの1つ(例えば、図3の発熱部品34a)であってもよいし、ある1つのボード上の複数の発熱部品34(例えば、図3のボード32A上の発熱部品34a乃至34e)全体であってもよい。また、発熱体70は、複数のボード32(例えば、ボード32A,32B,32C及び32D)上の全ての発熱部品34であってもよい。このように、発熱体70としての発熱部品の単位(発熱部品単位、ボード単位、計算機単位)は任意であってよい。以下では、特に言及しない限り、一例として、発熱体70は、図3のボード32A上の発熱部品34a乃至34eのうちの、冷却用流路22の最も上流側に位置する発熱部品34aであるとする。
或いは、発熱体70は、図4に示すように、発熱部品34とは別に設けられてもよい。即ち、発熱体70は、計算機30の処理機能には直接関連しない発熱体(流量算出のための専用の発熱体)であってよい。この場合も、発熱体70は、冷却用流路22により冷却されるように設けられる。発熱体70は、最も上流側の発熱部品34よりも上流側に設けられてもよいし、最も後流側の発熱部品34よりも後流側に設けられてもよいし、任意の2つの発熱部品34の間に設けられてもよい。発熱体70は、図4に示すように、発熱部品34と同様の態様で冷却用流路22に対して設けられてもよい。即ち、発熱体70は、図4に示すように、温度計36が設けられると共に、高熱伝導率の物質38を介して、水まくら23eが取り付けられてよい。水まくら23eは、水まくら23a等と同様に、冷却用流路22に接続され、内部を液体が流れる。また、この場合、発熱体70は、液温計14と発熱体70との間に別の発熱物(例えば発熱部品34)が存在しない態様で、液温計14の下流側に設けられる。
発熱量情報は、発熱体70に設けられる電力計72(発熱量測定器の一例)から取得されてよい。電力計72は、電流センサと電圧センサと含んでよい。この場合、サービスプロセッサ40は、電力計72から得られる発熱量情報から発熱体70に印加される電圧値と電流値の積を算出し、発熱体70の発熱量を算出する。即ち、サービスプロセッサ40は、電力計72から得られる電力を変換して発熱体70の発熱量を算出する。或いは、サービスプロセッサ40は、発熱体70に印加される電圧値と電流値のそれぞれの制御値を用いて、発熱体70の発熱量を算出してもよい。或いは、発熱体70の発熱量と発熱体70の処理内容(ジョブ)との間に相関がある場合、サービスプロセッサ40は、発熱体70の処理内容に基づいて、発熱体70の発熱量を算出してもよい。尚、発熱体70の発熱量の算出は、サービスプロセッサ40においてではなく、発熱体70において実行されてもよい。
発熱体温度情報は、発熱体70に対して設けられる温度計36(図2参照)から取得されてよい。温度計36は、熱電計(熱電対)等に形成されてよい。
サービスプロセッサ40は、図3に示すように、液温計14から液体の温度(液温)に関する情報(以下、液温情報という)を取得する。
サービスプロセッサ40は、取得した発熱量情報、発熱体温度情報及び液温情報と、不揮発メモリ42内のテーブル情報とに基づいて、冷却用流路22内の流量(体積流量)を算出する。テーブル情報、及び、流量算出方法については、以下で詳説する。サービスプロセッサ40は、算出した流量に基づいて、各種制御を行うこととしてもよい。各種制御は、例えばポンプ12の出力を変化させるポンプ出力制御や、熱交換器16の放熱能力を変化させるバルブ開度制御等を含んでよい。これらの制御例については後述する。
サービスプロセッサ40は、また、図3に示すように、発熱体70から負荷情報を取得してもよい。負荷情報は、発熱体70の発熱量の増加要求(負荷増大要求)や発熱体70の発熱量の減少報告(負荷減少報告)等を含んでよい。サービスプロセッサ40は、負荷情報に基づいて、ポンプ出力制御やバルブ開度制御を行ってもよい。これらの制御例については後述する。
図5は、不揮発メモリ42内のテーブル情報の一例を示す表図である。図6は、ある液温Tfにおける発熱体温度Tsと発熱量Qと流量uとの関係の例を示す。図6に示す関係は、図5に示すテーブル情報に基づきグラフ化されている。
図5に示すテーブル情報は、ある液温Tfに関して、発熱体70の温度(発熱体温度)Tsと、発熱体70の発熱量Qと、冷却用流路22内の流量uとの関係を表す。図5では、発熱体温度Tsは、Ts、Ts、Tsの3種類が定義され、発熱体70の発熱量Qは、Q、Q、Qの3種類が定義され、流量uは、発熱体温度Tsと発熱量Qの計9(3×3)通りの組合せに対して定義されている。例えば、流量u12は、発熱体温度TsがTsで且つ発熱体70の発熱量QがQのときの流量uを表す。尚、図5に示す流量uの具体的な数値はあくまで一例である。
ここで、一般的に、流動している冷媒と接した発熱体から放出される熱量Qは、以下の式で表すことができる。
Q=h(Ts−Tf)S 式(1)
ここで、hは対流熱伝達率、Tsは発熱体の表面温度、Tfは冷媒の温度、Sは発熱体と冷媒の接触面積である。また、Nuをヌセント数、Reをレイノルズ数、Prをプラントル数とすると、以下の関係が知られている。
Nu=f(Re,Pr) 式(2)
ここで、Nu=hl/λ、Re=vl/ν、Pr=ν/αであり、lはスケール長、λは冷媒の熱伝導率、vは冷媒の流速、νは冷媒の動粘性係数、αは温度伝導率である。
λ、ν及びαは物質固有の値であるが温度依存性を持つ。よって、レイノルズ数Reは、以下のように、流速vと冷媒の温度Tfの関数で表すことができる。
Re=f(v,Tf) 式(3)
また、プラントル数Prは、以下のように、冷媒の温度Tfの関数で表すことができる。
Pr=f(Tf) 式(4)
よって、(2)、(3)、(4)とヌセント数の定義(Nu=hl/λ)より、対流熱伝達率hは、以下のように、流速vと冷媒の温度Tfの関数として表すことができる。
h=f(v,Tf) 式(5)
(1)式と(5)式より、ある一定の接触面積Sにおける環境下では、以下の通りとなる。
v=f(Q,Ts,Tf) 式(6)
従って、冷媒の流速vは、発熱量Q、表面温度Ts、冷媒の温度Tfで表せることがわかる。尚、温度が均一の平板上を流れる層流の場合には、ヌセント数Nuは、以下となることが知られている。
Nu=0.664Re1/2Pr1/3 (Re<3×10) 式(7)
となることが知られており、式(7)を変形すると以下の通りとなる。
Q=0.664Re1/2Pr1/3(λ/l)(Ts−Tf)S 式(8)
このように、冷却用流路22内の液体の流量uは、発熱体70の発熱量Qと、発熱体温度Tsと、冷却用流路22内の液体の温度(液温)Tfの関数として表すことができる。従って、図5に示すようなテーブル情報を複数の液温Tfに対して、液温Tf毎に用意しておくことで、発熱量情報、発熱体温度情報及び液温情報から液体の流量uを算出することができる。尚、図5に示す例では、ある液温Tfに対して、発熱体温度Tsと発熱量Qの計9通りに対する流量uが定義されているが、発熱体温度Tsと発熱量Qの組み合わせの数は任意である。一般的に、組み合わせの数が多いほど精度が高くなるが、テーブル情報にない発熱体温度Tsと発熱量Qの組み合わせに対しては、補間により液体の流量uを算出することができる。
尚、図6に示すように、ある一定の流量に対する発熱量Qと発熱体温度Tsとの関係は、式(8)から分かるように線形的に近似することができる。例えば、図5及び図6に示す例では、流量u=0.16l/minについては、Ts=0.5Q+20と近似することができる。従って、テーブル情報として、流量u毎と液温Tf毎に、発熱量Qと発熱体温度Tsとの関係式(近似式)を保持することとしてもよい。
ここで、図5に示すようなテーブル情報は、事前に(設計段階にて)計算(シミュレーション)により導出されてもよいが、好ましくは、試験データに基づいて事前に取得される。
図7は、試験によりテーブル情報を取得する際の電子装置1の構成の一例を示す図である。
試験によりテーブル情報を取得する際は、図7に示すように、流量計18が冷却用流路22に設けられる。流量計18は、冷却用流路22を流れる液体の流量を測定する。流量計18の設置位置は任意である。例えば、流量計18は、測定する流量が、発熱体70(発熱部品34a)の冷却に供される液体の流速(水まくら23aにおける流速)と一対一の関係を有するような位置に設置されてよい。尚、流量計18は、あくまでテーブル情報を取得するための構成(設計段階の構成)であり、実運用時には、電子装置1は流量計18を必要としない。尚、テーブル情報取得処理は、電子装置1の固体毎に実行されてもよいが、同一のモデルの電子装置1に対しては任意の1つの電子装置1(又は試作用の電子装置1)に対して実行されてもよい。後者の場合、取得されたテーブル情報は、同一モデルの他の電子装置1で使用されてよい。
図8は、図7に示す構成を用いたテーブル情報取得処理の一例を示すフローチャートである。図8に示すテーブル情報取得処理は、サービスプロセッサ40(図3参照)により実行されてよい。尚、ここでは、発熱体70の発熱量は、所定の可変範囲で可変であり、ポンプ12の出力は、所定の可変範囲で可変であり、液温は、所定の可変範囲で可変であるとする。それぞれの所定の可変範囲は、実運用時の可変範囲に対応してよい。
ステップ800では、発熱体70の発熱量と、ポンプ12の出力及び液温を、それぞれの所定の可変範囲内の最低にする。
ステップ802では、バルブ開度制御により液温を一定に維持する。尚、後述のステップ830で液温を上昇させる場合は、上昇後の液温を一定に維持する。
ステップ804では、ポンプ出力制御によりポンプ12の出力を一定に維持する。尚、後述のステップ824でポンプ12の出力を増加させる場合は、増加後のポンプ12の出力を一定に維持する。
ステップ806では、発熱体70の発熱量を一定に維持する。尚、後述のステップ818で発熱体70の発熱量を増加させる場合は、増加後の発熱体70の発熱量を一定に維持する。尚、発熱体70の発熱量を一定に維持することは、発熱体70に印加(供給)する電圧及び電流を一定に維持することで実現されてもよい。或いは、例えば発熱体70がCPUの場合、CPUの発熱量が所定の一定値になるような所定のジョブをCPUに継続的に実行させることとしてもよい。
ステップ808では、流量計18から流量の測定値を取得すると共に、液温情報、発熱量情報及び発熱体温度情報を取得し、現在の流量u、発熱量Q、発熱体温度Ts及び液温Tfを測定結果1とする。
ステップ810では、測定結果1と測定結果2が等しいか否かを判定する。尚、後述のステップ818、ステップ824又はステップ830によるパラメータ変更後の初回の処理周期では、測定結果2は存在しないため、この場合、否定判定となる。測定結果1と測定結果2が等しい場合は、ステップ814に進み、それ以外の場合は、ステップ812に進む。
ステップ812では、測定結果1を測定結果2として保持し、一定時間待機し、ステップ808に戻る。このようにして、流量u、発熱量Q、発熱体温度Ts及び液温Tfが安定(収束)するのを待機する。流量u、発熱量Q、発熱体温度Ts及び液温Tfが安定すると、ステップ810が肯定判定となり、ステップ814に進む。
ステップ814では、今回の測定結果(安定後の測定結果)をテーブル情報としてテーブル(不揮発メモリ42内の所定領域)に記憶する。
ステップ816では、発熱体70の発熱量が所定の可変範囲内の最大であるか否かを判定する。発熱体70の発熱量が最大である場合は、ステップ820に進み、それ以外の場合は、ステップ818に進む。
ステップ818では、発熱体70の発熱量を所定量だけ増加し、ステップ806に戻る。所定量は、テーブル情報における発熱体70の発熱量の変化幅に対応し、任意である。所定量は、必要とされる流量算出精度やテーブル情報取得処理の許容時間等に応じて決定されてよい。このようにして、発熱体70の発熱量を所定量ずつ増加させながら、発熱量毎のテーブル情報が取得されていく。
ステップ820では、発熱体70の発熱量を所定の可変範囲内の最低にする。
ステップ822では、ポンプ12の出力が所定の可変範囲内の最大であるか否かを判定する。ポンプ12の出力が最大である場合は、ステップ824に進み、それ以外の場合は、ステップ826に進む。
ステップ824では、ポンプ12の出力を所定量だけ増加し、ステップ804に戻る。所定量は、テーブル情報における流量の変化幅に実質的に対応し、任意である。所定量は、必要とされる流量算出精度やテーブル情報取得処理の許容時間等に応じて決定されてよい。このようにして、ポンプ12の出力を所定量ずつ増加させながら、ポンプ12の出力の変化により変化する流量毎のテーブル情報が取得されていく。
ステップ826では、ポンプ12の出力を所定の可変範囲内の最低にする。
ステップ828では、液温が所定の可変範囲内の最大であるか否かを判定する。即ち、バルブ19の開度が最小であるか否かを判定する。液温が所定の可変範囲内の最大である場合は、そのまま終了し、それ以外の場合は、ステップ830に進む。
ステップ830では、液温を所定量だけ増加し(即ち、バルブ19の開度を所定開度だけ低減し)、ステップ802に戻る。所定量は、テーブル情報における液温の変化幅に実質的に対応し、任意である。所定量は、必要とされる流量算出精度やテーブル情報取得処理の許容時間等に応じて決定されてよい。このようにして、液温を所定量ずつ増加させながら、液温毎のテーブル情報が取得されていく。
図8に示す処理によれば、発熱量、流量及び液温をパラメータとして変化させながら、様々な条件(発熱量、流量及び液温の組み合わせ)下で、流量u、発熱量Q、発熱体温度Ts及び液温Tfの計測値を得ることができる。得られた各計測値は、テーブル情報としてテーブル(不揮発メモリ42内の所定領域)に記憶される。これにより、実運用時において、不揮発メモリ42内のテーブル情報に基づいて、様々な条件(発熱量、発熱体温度及び液温の組み合わせ)下で、流量を算出することが可能となる。
図9は、実運用時においてサービスプロセッサ40(図3参照)により実行されてよい流量算出処理の一例を示すフローチャートである。尚、実運用時においては、上述の如く、図7に示した構成における流量計18は不要である。図9に示す流量算出処理は、任意のタイミングで実行されてよく、例えば定期的に実行されてもよいし、不定期的に(必要な場合に)実行されてもよい。
ステップ900では、液温情報、発熱量情報及び発熱体温度情報を取得し、現在の発熱量Q、発熱体温度Ts及び液温Tfを測定結果1とする。
ステップ902では、測定結果1と測定結果2が等しいか否かを判定する。尚、初回の処理周期では、測定結果2は存在しないため、この場合、否定判定となる。測定結果1と測定結果2が等しい場合は、ステップ906に進み、それ以外の場合は、ステップ904に進む。
ステップ904では、測定結果1を測定結果2として保持し、一定時間待機し、ステップ900に戻る。このようにして、発熱量Q、発熱体温度Ts及び液温Tfが安定(収束)するのを待機する。発熱量Q、発熱体温度Ts及び液温Tfが安定すると、ステップ902が肯定判定となり、ステップ906に進む。
ステップ906では、今回の測定結果の発熱量Q、発熱体温度Ts及び液温Tfに対する流量uを、テーブル情報を参照して算出する。例えば、図5に示すテーブル情報がTf=20℃のテーブル情報とした場合、今回の測定結果がQ=60W、Ts=50℃及びTf=20℃であるとき、流量u=0.16l/minと算出することができる。尚、この際、今回の測定結果の発熱量Q、発熱体温度Ts及び液温Tfに対応するテーブル情報が存在しない場合は、今回の測定結果に近似するテーブル情報を用いて、補間により流量uを算出すればよい。
図9に示す処理によれば、液温情報、発熱量情報及び発熱体温度情報に基づいて、テーブル情報を参照して流量uを算出することができる。従って、実運用時において、流量計18を必要とせずに、流量uを算出することができる。これにより、部品点数を低減して比較的簡易な構成で液体の流量uを算出することが可能となる。また、流量計18に起因した圧力損失の増大や流量計18に関連する保守費の上昇などを抑制することができる。また、発熱体70として、計算機30内の発熱部品34を使用するので、特別な発熱体70を必要とせず、比較的簡易な構成で流量uを算出することができる。
尚、図9に示す処理で算出される流量uは、テーブル情報取得時の冷却用流路22における流量計18の設置位置での流量である。従って、冷却用流路22における他の位置での流速を算出したい場合は、当該他の位置での断面積と、テーブル情報取得時の冷却用流路22における流量計18の設置位置での断面積との比を用いて換算すればよい。或いは、テーブル情報の生成時に、かかる換算が実施されていてもよい。このように流量を算出することと流速を算出することは実質的に等価である。
図10は、計算機30内の発熱部品34とは別の発熱体70(図4参照)を新たに設ける構成におけるテーブル情報取得処理の一例を示すフローチャートである。尚、この構成の場合も、テーブル情報の取得のために図7に示した流量計18が設けられる。図10に示すテーブル情報取得処理は、図8に示したテーブル情報取得処理に対して、発熱体70の発熱量は所定値に維持する点のみが実質的に異なる。これは、計算機30内の発熱部品34とは別の発熱体70を使用する場合は、発熱体70は、計算機30の処理内容に無関係に常に所定値(>0)に維持することができるためである。尚、テーブル情報取得処理が実行されていないときは、発熱体70の発熱量は0に維持されていてよい。
ステップ1000では、ポンプ12の出力及び液温を、それぞれの所定の可変範囲内の最低にする。
ステップ1002では、発熱体70の発熱量を一定(所定値)にする。所定値は、0より有意に大きい任意の値であってよい。尚、図6に示すように、発熱体70の発熱量が大きいほど、流量の相違に応じた発熱体温度の差異が大きくなるので、その分だけ流量の算出精度が向上する。他方、発熱体70の発熱量が大きいほど、熱効率は悪くなる。所定値は、これらの背反事項を考慮して適切に設定されればよい。尚、発熱体70の発熱量を所定値に維持することは、印加する電圧及び電流を所定値に維持することで実現されてもよい。或いは、例えば発熱体70がCPUの場合、CPUの発熱量が所定値になるような所定のジョブをCPUに継続的に実行させることとしてもよい。
ステップ1004では、バルブ開度制御により液温を一定に維持する。
ステップ1006では、ポンプ出力制御によりポンプ12の出力を一定に維持する。
ステップ1008では、流量計18から流量の測定値を取得すると共に、液温情報、発熱量情報及び発熱体温度情報を取得し、現在の流量u、発熱量Q、発熱体温度Ts及び液温Tfを測定結果1とする。尚、発熱量Qとしては、上記ステップ1002で維持される所定値が使用されてよいし、制御値や測定値が使用されてもよい。
ステップ1010では、測定結果1と測定結果2が等しいか否かを判定する。尚、パラメータ変更後の初回の処理周期では、測定結果2は存在しないため、この場合、否定判定となる。測定結果1と測定結果2が等しい場合は、ステップ1014に進み、それ以外の場合は、ステップ1012に進む。
ステップ1012では、測定結果1を測定結果2として保持し、一定時間待機し、ステップ1008に戻る。このようにして、流量u、発熱体温度Ts及び液温Tfが安定(収束)するのを待機する。流量u、発熱体温度Ts及び液温Tfが安定すると、ステップ1010が肯定判定となり、ステップ1014に進む。
ステップ1014では、今回の測定結果をテーブル情報としてテーブル(不揮発メモリ42内の所定領域)に記憶する。
ステップ1016では、ポンプ12の出力が所定の可変範囲内の最大であるか否かを判定する。ポンプ12の出力が最大である場合は、ステップ1020に進み、それ以外の場合は、ステップ1018に進む。
ステップ1018では、ポンプ12の出力を所定量だけ増加し、ステップ1006に戻る。
ステップ1020では、ポンプ12の出力を所定の可変範囲内の最低にする。
ステップ1022では、液温が所定の可変範囲内の最大であるか否かを判定する。液温が所定の可変範囲内の最大である場合は、そのまま終了し、それ以外の場合は、ステップ1024に進む。
ステップ1024では、液温を所定量だけ増加し(即ち、バルブ19の開度を所定開度だけ低減し)、ステップ1004に戻る。
図8に示す処理によれば、発熱量を一定に維持しつつ流量及び液温をパラメータとして変化させながら、発熱量が所定値であるときの様々な条件(流量及び液温の組み合わせ)下で、流量u、発熱体温度Ts及び液温Tfの計測値を得ることができる。得られた各計測値は、テーブル情報としてテーブル(不揮発メモリ42内の所定領域)に記憶される。このテーブル情報は、所定値の発熱量と、流量uと、発熱体温度Tsと、液温Tfとの関係を示す情報である。これにより、実運用時において、発熱量が所定値であるとき、不揮発メモリ42内のテーブル情報に基づいて、様々な条件(発熱体温度及び液温の組み合わせ)下で、流量を算出することが可能となる。
図11は、計算機30内の発熱部品34とは別の発熱体70を新たに設ける構成における実運用時の流量算出処理の一例を示すフローチャートである。図11に示す流量算出処理は、サービスプロセッサ40(図3参照)により実行されてよい。図11に示す流量算出処理は、任意のタイミングで実行されてよく、例えば定期的に実行されてもよいし、不定期的に実行されてもよい。
ステップ1100では、発熱体70の発熱量を一定(所定値)にする。所定値は、テーブル情報取得処理のステップ1002で使用される所定値と同一である。
ステップ1102では、液温情報及び発熱体温度情報を取得し、現在の発熱体温度Ts及び液温Tfを測定結果1とする。
ステップ1104では、測定結果1と測定結果2が等しいか否かを判定する。尚、初回の処理周期では、測定結果2は存在しないため、この場合、否定判定となる。測定結果1と測定結果2が等しい場合は、ステップ1108に進み、それ以外の場合は、ステップ1106に進む。
ステップ1106では、測定結果1を測定結果2として保持し、一定時間待機し、ステップ1102に戻る。このようにして、発熱体温度Ts及び液温Tfが安定(収束)するのを待機する。発熱体温度Ts及び液温Tfが安定すると、ステップ1104が肯定判定となり、ステップ1108に進む。
ステップ1108では、今回の測定結果の発熱体温度Ts及び液温Tfに対する流量uを、テーブル情報を参照して算出する。
図11に示す処理によれば、液温情報及び発熱体温度情報に基づいて、テーブル情報を参照して流量uを算出することができる。従って、実運用時において、流量計18を必要とせずに、流量uを算出することができる。これにより、部品点数を低減すると共に、流量計18に起因した圧力損失の増大や流量計18に関連する保守費の上昇などを抑制することができる。また、計算機30内の発熱部品34とは別の発熱体70を設ける構成においては、発熱体70の発熱量を所定値に維持することができるので、複数の発熱体70の発熱量に関するテーブル情報を持つ必要がなく、テーブル情報の情報量を低減することができる。
図12は、計算機30内の発熱部品34とは別の発熱体70を新たに設ける構成における発熱体70の配置例を示す図である。
計算機30内の発熱部品34とは別の発熱体70を新たに設ける構成では、発熱体70は、冷却用流路22に対して任意の態様で設けられてよいが、好ましくは、図12に示すように、断面積が大きい第2流路22bに設けられる。具体的には、冷却用流路22は、図12に示すように、第1流路22aと第2流路22bとに分岐する。第1流路22aは、分岐前の冷却用流路22と同一の断面積であってよく、第2流路22bは、第1流路22a(分岐前の冷却用流路22)よりも断面積が大きい。第1流路22aと第2流路22bは、最終的に合流する。第1流路22aと第2流路22bの分岐部には、第1流路22aと第2流路22bとの間を切り替えるバルブ26が設けられる。バルブ26の開閉は、サービスプロセッサ40(図3参照)により制御されてよい。
発熱体70は、図12に模式的に示すように、第2流路22bに対して設けられる。即ち、発熱体70は、第2流路22bを流れる液体により冷却されるように設けられる。例えば、発熱体70は、図4に示した態様で第2流路22bに対して設けられてよい。尚、上述の如く、発熱体70は、最も上流側の発熱部品34よりも上流側に設けられてもよいし、最も後流側の発熱部品34よりも後流側に設けられてもよいし、任意の2つの発熱部品34の間に設けられてもよい。また、発熱体70には、発熱体70の温度を測定する温度計36(図12には図示せず)が設けられる。
サービスプロセッサ40は、実運用時において、流量算出処理を行う際に、第1流路22aに液体が流れず第2流路22bに液体が流れるように、バルブ26を制御する。この場合、例えば図11に示す流量算出処理においては、ステップ1100において、追加の処理として、第1流路22aに液体が流れず第2流路22bに液体が流れるように、バルブ26により流路を切り替えることとしてよい。尚、サービスプロセッサ40は、実運用時において、流量算出処理を行うとき以外は、第2流路22bに液体が流れず第1流路22aに液体が流れるように、バルブ26を制御してよい。
図12に示す配置例によれば、第2流路22bは第1流路22aよりも断面積が大きいので、第2流路22bを流れる液体の流速は、第1流路22aを流れる液体の流速よりも小さい。上記の式(8)からも分かるように、流速が小さいときは、温度差(Ts−Tf)が大きくなる。従って、温度差(Ts−Tf)の測定誤差の影響は、流速が小さいほど小さくなり、流速が小さいほど流量uの算出精度が向上する。また、図6からも分かるように、流量が小さいほど発熱量の変化に対する発熱体温度の変化量が大きくなるので、発熱体温度の測定誤差の影響は流量が小さいほど小さくなる。従って、図12に示す配置例によれば、第2流路22bにおける流量uの算出精度を高めることができる。
尚、図12に示す配置例においては、第1流路22aと第2流路22bの断面積を予め測定しておくことで(又は設計情報として予め既知であるので)、第2流路22bの流速から第1流路22aの流速は算出可能である。例えば第1流路22aと第2流路22bの断面積の比が1:4の場合には、第2流路22bでの流速を4倍することで第1流路22aの流速を算出することができる。
次に、実運用時のサービスプロセッサ40の各種制御例について説明する。
図13は、サービスプロセッサ40により実行されてよい発熱量制御(発熱量制限処理)の一例を示すフローチャートである。ここでは、一例として、発熱体70は、発熱部品34a(図2参照)であるとする。
ステップ1300では、発熱量情報、発熱体温度情報及び液温情報を取得する。尚、発熱量情報及び発熱体温度情報は、それぞれ、発熱部品34aの発熱量及び温度に関する情報である。
ステップ1302では、上記ステップ1300で取得した発熱体温度情報に基づいて、現在の発熱体70(発熱部品34a)の温度が所定閾値Th1以下であるか否かを判定する。所定閾値Th1は、発熱体70の故障・異常を防止する観点から定められる閾値であってよい。例えば、所定閾値Th1は、発熱体70の故障・異常が発生しない温度範囲の上限値に対応してよく、試験等により適合されてよい。尚、所定閾値Th1は、発熱体70の特性に応じて設定されてよい。発熱体温度が所定閾値Th1以下である場合は、そのまま終了し、それ以外の場合は、ステップ1304に進む。
ステップ1304では、ポンプ12の出力を上昇可能であるか否かを判定する。ポンプ12の出力を上昇可能である場合(即ち、ポンプ12の出力が所定の可変範囲内の最大でない場合)、ステップ1306に進み、それ以外の場合、ステップ1308に進む。
ステップ1306では、ポンプ12の出力を所定量ΔPoutだけ増加し、ステップ1300に戻る。所定量ΔPoutは、任意であるが、発熱体温度と所定閾値Th1との差の絶対値が大きいほど大きくなる態様で可変されてもよい。また、所定量ΔPoutは、所定量ΔPout増加後の発熱体温度が所定閾値Th1(または所定閾値Th1より僅かに小さい温度)となるようにテーブル情報を参照して決定されてもよい。例えば、現在の発熱量と、現在の液温と、所定閾値Th1(または所定閾値Th1より僅かに小さい温度)とに対応する流量uをテーブル情報を参照して算出し、算出した流量u(目標流量)が実現されるように所定量ΔPoutを決定してもよい。
ステップ1308では、バルブ19の開度を上昇可能であるか否かを判定する。バルブ19の開度を上昇可能である場合(即ち、バルブ19の開度が所定の可変範囲内の最大でない場合)、ステップ1310に進み、それ以外の場合、ステップ1312に進む。
ステップ1310では、バルブ19の開度を所定開度だけ増加し、ステップ1300に戻る。所定開度は、任意であるが、発熱体温度と所定閾値Th1との差の絶対値が大きいほど大きくなる態様で可変されてもよい。また、所定開度は、所定開度増加後の発熱体温度が所定閾値Th1(または所定閾値Th1より僅かに小さい温度)となるようにテーブル情報を参照して決定されてもよい。例えば、現在の発熱量と、現在の流量uと、所定閾値Th1(または所定閾値Th1より僅かに小さい温度)とに対応する液温をテーブル情報を参照して算出し、算出した液温が実現されるように所定開度を決定してもよい。この場合、現在の流量uは、図9に示した流量算出処理を実行することで算出されてよい。
ステップ1312では、発熱体70(発熱部品34a)に対して発熱量を低下するように指示を出力する。発熱体70(発熱部品34a)は、かかる指示に応答して、発熱量を低下することとしてよい。例えば、発熱部品34aがCPUであれば、周波数を下げる、電圧を下げる、または、電源を切断することとしてもよい。また、このとき、サービスプロセッサ40はシステム管理者に異常を通知してもよい。尚、サービスプロセッサ40が発熱体70の発熱量を直接制御できる場合は、かかる指示に代えて、発熱体70の発熱量を低下させることとしてもよい。
図13に示す発熱量制御によれば、発熱体70の発熱体温度が所定閾値Th1以下となるように、ポンプ12及びバルブ19を制御することができる。また、ポンプ12及びバルブ19により流量及び熱交換能力を最大化してもなお発熱体70の発熱体温度が所定閾値Th1以下とならない場合には、発熱体70の発熱量を低下させて、発熱体70を保護することができる。
尚、図13に示す処理は、特定の1つの発熱体70(本例では発熱部品34a)を対象として実行されている。しかしながら、2つ以上の発熱体70(例えば、発熱部品34b等や、他のボード32B,32C及び32D上の発熱部品)をそれぞれ対象として実行されてもよい。
また、図13に示す処理では、可能な限り発熱体70の動作を制限しないようにするために、ポンプ12の出力及びバルブ19の開度の上昇の可能性を判断している。しかしながら、ポンプ12の出力の上昇の可能性及びバルブ19の開度の上昇の可能性の一方又は双方について判断されなくてもよい。例えば、熱交換器16の放熱能力が可変でない構成の場合は、ポンプ12の出力の上昇の可能性のみが判断されてもよい(図13のステップ1308及びステップ1310の処理は省略されてもよい)。
図14は、サービスプロセッサ40により実行されてよい発熱量上昇可否判定処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、一例として、発熱体70は、発熱部品34a(図2参照)であるとする。
ステップ1400では、発熱体70から負荷増大要求(負荷情報)を受信する。尚、発熱体70は、現時点よりも負荷(発熱量)が増大する処理を行う際には、負荷増大要求をサービスプロセッサ40に送信するものとする。その後、発熱体70は、サービスプロセッサ40から状態遷移可通知を受信した場合に、負荷が増大する処理を開始するものとする。負荷増大要求は、増大後の発熱量(又は増大量)を示す情報を含んでよい。
ステップ1402では、流量算出処理を行う。流量算出処理は、図9に示した通りであってよい。
ステップ1404では、上記ステップ1402にて算出した流量uに基づいて、状態遷移後の発熱量に対する発熱体温度(状態遷移後の発熱体温度)を算出する。即ち、上記ステップ1402にて算出した流量uと、現在の液温(状態遷移後にも維持されると仮定)と、状態遷移後の発熱量とに対応する発熱体温度Tsを、テーブル情報を参照して算出する。例えば図6に示す例において、現在の発熱量がQであり、Qへの発熱量の増大が要求された場合、状態遷移後の発熱量はQである。このとき、上記ステップ1402にて算出した流量uが例えば0.64l/minのとき、状態遷移後の発熱量Qに対する発熱体温度Tsは、Tsとなる。
ステップ1406では、上記ステップ1404で算出した状態遷移後の発熱体温度が所定閾値Th1以下であるか否かを判定する。所定閾値Th1は、図13のステップ1302の処理で説明したように、発熱体70の故障・異常を防止する観点から定められる閾値であり、例えば、発熱体70の故障・異常が発生しない温度範囲の上限値に対応してよい。状態遷移後の発熱体温度が所定閾値Th1以下である場合は、ステップ1408に進み、それ以外の場合は、ステップ1410に進む。
ステップ1408では、発熱体70(発熱部品34a)に対して、要求に係る状態遷移が可能であることを表す通知(状態遷移可通知)を送信する。これに応じて、発熱部品34aは、負荷が増大する処理を開始してよい。
ステップ1410では、ポンプ12の出力を上昇可能であるか否かを判定する。ポンプ12の出力を上昇可能である場合(即ち、ポンプ12の出力が所定の可変範囲内の最大でない場合)、ステップ1412に進み、それ以外の場合、ステップ1414に進む。
ステップ1412では、ポンプ12の出力を所定量ΔPoutだけ増加し、ステップ1402に戻る。この場合、ステップ1402では、ポンプ12の出力が所定量ΔPout増加した後の流量uが算出されることになる。所定量ΔPoutは、任意であるが、状態遷移後の発熱体温度と所定閾値Th1との差の絶対値が大きいほど大きくなる態様で可変されてもよい。また、所定量ΔPoutは、所定量ΔPout増加後における状態遷移後の発熱体温度が所定閾値Th1(または所定閾値Th1より僅かに小さい温度)となるようにテーブル情報を参照して決定されてもよい。例えば、状態遷移後の発熱量と、現在の液温と、所定閾値Th1(または所定閾値Th1より僅かに小さい温度)とに対応する流量uをテーブル情報を参照して算出し、算出した流量u(目標流量)が実現されるように所定量ΔPoutを決定してもよい。このとき、所定量ΔPoutは、算出した流量u(目標流量)と、現在の流量u(ステップ1402で算出)との差に応じて決定されてよい。また、テーブル情報を参照して流量uを算出し、算出した流量uが目標流量になるようにポンプ12の出力をフィードバック制御してもよい。
ステップ1414では、バルブ19の開度を上昇可能であるか否かを判定する。バルブ19の開度を上昇可能である場合(即ち、バルブ19の開度が所定の可変範囲内の最大でない場合)、ステップ1416に進み、それ以外の場合、ステップ1418に進む。
ステップ1416では、バルブ19の開度を所定開度だけ増加し、ステップ1402に戻る。この場合、ステップ1402では、バルブ19の開度が所定開度増加した後の流量uが算出されることになる(但し、流量uは変化しないとみなし、バルブ19の開度変化後の液温情報等を取得するだけでもよい)。所定開度は、任意であるが、状態遷移後の発熱体温度と所定閾値Th1との差の絶対値が大きいほど大きくなる態様で可変されてもよい。また、所定開度は、所定開度増加後における状態遷移後の発熱体温度が所定閾値Th1(または所定閾値Th1より僅かに小さい温度)となるようにテーブル情報を参照して決定されてもよい。例えば、状態遷移後の発熱量と、現在の流量u(ステップ1402で算出)と、所定閾値Th1(または所定閾値Th1より僅かに小さい温度)とに対応する液温をテーブル情報を参照して算出し、算出した液温が実現されるように所定開度を決定してもよい。
ステップ1418では、発熱体70(発熱部品34a)に対して、要求に係る状態遷移が不可であることを表す通知(状態遷移不可通知)を送信する。これに応じて、発熱部品34aは、負荷が増大する処理を禁止又は抑制してよい。
図14に示す処理によれば、テーブル情報を参照して算出した流量uに基づいて、テーブル情報を参照して、状態遷移後の発熱体温度を算出することができる。これにより、算出した状態遷移後の発熱体温度と所定閾値Th1との関係に基づいて、状態遷移の可否を判断することができる。
尚、図14に示す処理では、可能な限り発熱体70から負荷増大要求に応えるべく、ポンプ12の出力及びバルブ19の開度の上昇の可能性を判断している。しかしながら、ポンプ12の出力の上昇の可能性及びバルブ19の開度の上昇の可能性の一方又は双方について判断されなくてもよい。例えば、熱交換器16の放熱能力が可変でない構成の場合は、ポンプ12の出力の上昇の可能性のみが判断されてもよい(図14のステップ1414及びステップ1416の処理は省略されてもよい)。
また、図14に示す発熱量上昇可否判定処理(後述の図15に示す発熱量下降時処理についても同様)は、特定の1つの発熱体70(本例では発熱部品34a)を対象として実行されている。しかしながら、2つ以上の発熱体70(例えば、発熱部品34b等や、他のボード32B,32C及び32D上の発熱部品)をそれぞれ対象として実行されてもよい。但し、この場合、発熱体70毎にテーブル情報を生成する必要がある。発熱体70毎にテーブル情報を生成するために、各発熱体70に係る液温を測定する液温計14は、各発熱体70の上流側に、対応する発熱体70と対応する液温計14との間の他の発熱物が存在しない態様で設けられてよい。この場合、対象となる発熱体70の数に応じた数の液温計14が必要となる。或いは、液温計14は、対象となる発熱体70との間に、他の発熱物が存在する態様で設けられてもよい。この場合、液温計14は1つだけで済む。例えば、発熱部品34aに加えて、ボード32B上の特定の発熱部品34を対象とする場合、図1に示すように、液温計14とボード32B上の発熱部品34との間には、他の発熱物としてボード32A上の発熱部品34が存在することになる。この場合、ボード32B上の発熱部品34を発熱体70としてテーブル情報を生成する際、ボード32A上の発熱部品34の発熱量が新たなパラメータとして付加されてよい。即ち、テーブル情報は、液温と、ボード32A上の発熱部品34の発熱量と、発熱体70(ボード32B上の発熱部品34)の発熱量と、発熱体70の温度(発熱体温度)と、流量uとの関係を表すことになる。或いは、ボード32A上の発熱部品34の発熱量に応じた液温上昇量を算出し、算出した液温上昇量を液温計14の測定値に付加して使用してもよい。
図15は、サービスプロセッサ40により実行されてよい発熱量下降時処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、一例として、発熱体70は、発熱部品34a(図2参照)であるとする。
ステップ1500では、発熱体70から負荷減少報告(負荷情報)を受信する。尚、発熱体70は、現時点よりも負荷(発熱量)が減少した場合には、負荷減少報告をサービスプロセッサ40に送信するものとする。尚、負荷減少報告は、負荷(発熱量)が減少したことをサービスプロセッサ40に連絡する事後報告である。負荷減少報告は、減少後の発熱量(又は減少量)を示す情報を含んでよい。
ステップ1502では、流量算出処理を行う。流量算出処理は、図9に示した通りであってよい。尚、流量算出処理は、上述の如く、液温情報、発熱量情報及び発熱体温度情報の取得を伴い、従って、負荷減少後の発熱量等の情報についても取得される。
ステップ1504では、ポンプ12の出力を低下可能であるか否かを判定する。ポンプ12の出力を低下可能である場合(即ち、ポンプ12の出力が所定の可変範囲内の最低でない場合)、ステップ1506に進み、それ以外の場合、ステップ1508に進む。
ステップ1506では、ポンプ12の出力を所定量ΔPoutだけ低下し、ステップ1502に戻る。この場合、ステップ1502では、ポンプ12の出力が所定量ΔPout低下した後の流量uが算出されることになる。所定量ΔPoutは、任意であるが、上記のステップ1306と同様、発熱体温度と所定閾値Th1との差の絶対値が大きいほど大きくなる態様で可変されてもよい。この場合は、上記ステップ1502において、流量算出は不要であり、液温情報、発熱量情報及び発熱体温度情報を取得するだけでもよい。また、所定量ΔPoutは、所定量ΔPout低下後の発熱体温度が所定閾値Th1(または所定閾値Th1より僅かに小さい温度)となるようにテーブル情報を参照して決定されてもよい。例えば、負荷減少後の発熱量と、液温(現在の液温)と、所定閾値Th1(または所定閾値Th1より僅かに小さい温度)とに対応する流量uをテーブル情報を参照して算出し、算出した流量u(目標流量)が実現されるように所定量ΔPoutを決定してもよい。このとき、所定量ΔPoutは、算出した流量u(目標流量)と、現在の流量u(ステップ1402で算出)との差に応じて決定されてよい。
ステップ1508では、バルブ19の開度を低下可能であるか否かを判定する。バルブ19の開度を低下可能である場合(即ち、バルブ19の開度が所定の可変範囲内の最小でない場合)、ステップ1510に進み、それ以外の場合、そのまま終了とする。
ステップ1510では、バルブ19の開度を所定開度だけ低下し、ステップ1502に戻る。この場合、ステップ1502では、バルブ19の開度が所定開度低下した後の流量uが算出されることになる(但し、流量uは変化しないとみなし、バルブ19の開度変化後の液温情報等を取得するだけでもよい)。所定開度は、任意であるが、発熱体温度と所定閾値Th1との差の絶対値が大きいほど大きくなる態様で可変されてもよい。また、所定開度は、所定開度低下後の発熱体温度が所定閾値Th1(または所定閾値Th1より僅かに小さい温度)となるようにテーブル情報を参照して決定されてもよい。例えば、減少後の発熱量と、現在の流量u(ステップ1402で算出)と、所定閾値Th1(または所定閾値Th1より僅かに小さい温度)とに対応する液温をテーブル情報を参照して算出し、算出した液温が実現されるように所定開度を決定してもよい。
図15に示す処理によれば、発熱部品34の発熱量が低減した場合に、それに応じてポンプ12の出力等を低下して、エネルギ効率を高めることができる。また、テーブル情報を参照してポンプ12の出力の低減量(所定量ΔPout)を算出することで、ポンプ12の出力を迅速に適切な出力(熱効率の良いポイント)に変化させることができる。また、テーブル情報を参照してバルブ19の開度の低減量を算出することで、熱交換器16の放熱能力を迅速に適切な値に変化させることができる。
尚、図15に示す処理では、エネルギ効率の観点から、ポンプ12の出力及びバルブ19の開度の低下の可能性を判断している。しかしながら、ポンプ12の出力の低下の可能性及びバルブ19の開度の低下の可能性の一方又は双方について判断されなくてもよい。例えば、熱交換器16の放熱能力が可変でない構成の場合は、ポンプ12の出力の低下の可能性のみが判断されてもよい(図15のステップ1508及びステップ1510の処理は省略されてもよい)。
図16は、サービスプロセッサ40により実行されてよい異常判定処理の一例を示すフローチャートである。図16に示す例では、前提として、正常時における冷却用流路22内の流量uとポンプ12の出力(回転数)との関係を示す情報(以下、ポンプ出力設計情報という)が試験等により予め取得され、不揮発メモリ42に記憶されているものとする。かかるポンプ出力設計情報は、上述のテーブル情報の取得時に同時に取得(生成)されてもよい。
ステップ1600では、流量算出処理を行う。流量算出処理は、図9に示した通りであってよい。
ステップ1602では、現在のポンプ12の回転数を表す情報を取得する。尚、この情報は、ポンプ12の回転数に応じた電気信号を発生するセンサ(図示せず)の測定結果に基づくものであってよい。或いは、ポンプ12の回転数を表す情報は、ポンプ12に供給される電流値等に基づいて生成されてもよい。
ステップ1604では、ポンプ出力設計情報に基づいて、上記ステップ1600で算出した流量uが現在のポンプ12の回転数に対して十分であるか否かを判定する。例えば、ポンプ出力設計情報に基づいて、現在のポンプ12の回転数に対応する流量(正常時の流量)を算出し、算出した正常時の流量と、上記ステップ1600で算出した流量uとの差(乖離)が所定閾値以上か否かを判定してもよい。所定閾値は、検出すべき異常時において流量低下量の取りうる範囲の下限値に対応し、試験等により適合されてよい。尚、検出すべき異常は、目詰まりなどの異常であってよい。現在の流量uが現在のポンプ12の回転数に対して十分である場合は、そのまま終了し、それ以外の場合は、ステップ1606に進む。
ステップ1606では、異常を示す情報を外部に出力(通知)する。即ち、サービスプロセッサ40はシステム管理者に異常(流量低下)を通知してもよい。この通知は、任意の方法で実現されてもよい。例えば、音声や画像等により実現されてもよい。
図16に示す処理によれば、目詰まりなどの異常が発生により流量が減少した場合に、流量計を用いずに、かかる異常を検出することができる。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
例えば、上述した実施例では、液温計14は冷却液循環装置10内に設けられているが、計算機30内に設けられてもよい。また、上述した実施例では、計算機30内の発熱部品34とは別の発熱体70は、計算機30内に設けられているが、冷却液循環装置10内又はその他の場所(但し、冷却用流路22に熱的に接続される場所)に設けられてもよい。
また、上述した実施例において、熱交換器16の構成は、任意であり、スパイラル式やプレート式等であってよい。また、熱交換器16は、液体と液体間で熱交換を行うタイプ(液-液熱交換の方式)に限らず、液体と気体間で熱交換を行うタイプ等であってよい。例えば、熱交換器16は、空冷式やフィンチューブ式であってよい。この場合も同様に、冷却用流路22内の液体が熱交換器16により冷却される。
また、上述した実施例では、液温計14は、発熱体70との間の他の発熱物が存在しない態様で設けられているが、液温計14は、発熱体70との間の他の発熱物が存在する態様で設けられてもよい。例えば、図1に示す例において、発熱体70を発熱部品34aとしたとき、液温計14は、冷却用流路22におけるボード32Aとボード32Bの間に設けられてもよいし、ボード32Dよりも下流側に設けられてもよいし、設置位置は任意である。この場合、液体の流れ方向で発熱体70と液温計14との間に存在する他の発熱物の発熱量を新たなパラメータとして、テーブル情報を生成すればよい。即ち、テーブル情報は、液温と、他の発熱物(液体の流れ方向で発熱体70と液温計14との間に存在する他の発熱物)の発熱量と、発熱体70の発熱量と、発熱体70の温度(発熱体温度)と、流量uとの関係を表すことになる。或いは、他の発熱物の発熱量に応じた液温上昇量を算出し、算出した液温上昇量を液温計14の測定値に付加して使用してもよい。
また、上述では、サービスプロセッサ40は、図9等に示した流量算出処理に加えて、図13、図14、図15及び図16に示す処理を実行しているが、図13、図14、図15及び図16に示す処理は任意である。例えば、サービスプロセッサ40は、流量算出処理を実行するが、図13、図14、図15及び図16に示す処理は実行しなくてもよい。また、サービスプロセッサ40は、図9等に示した流量算出処理に加えて、図13、図14、図15及び図16に示す4つの処理のいずれか1つ又は2つの任意の組合せ若しくは3つの任意の組合せを実行するものであってもよい。
なお、以上の実施例に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
液体が流れる流路と、
前記液体により冷却される発熱体と、
前記液体の温度を測定する液温測定器と、
前記発熱体の温度を測定する温度測定器と、
前記発熱体の発熱量を測定する発熱量測定器と、
前記液体の温度と、前記発熱体の温度と、前記発熱体の発熱量と、前記液体の流量との関係を表す情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置内の情報に基づいて、前記液温測定器により測定された前記液体の温度と、前記温度測定器により測定された前記発熱体の温度と、前記発熱体の発熱量とから前記液体の流量を算出する処理装置とを含む、電子装置。
(付記2)
前記発熱体は、実運用中に発熱量が変化する電子部品である、付記1に記載の電子装置。
(付記3)
前記流路に設けられ、出力が可変なポンプを含み、
前記処理装置は、前記算出した前記液体の流量に基づいて、前記ポンプの出力を変更する、付記1又は2に記載の電子装置。
(付記4)
前記流路に設けられ、熱交換能力が可変な熱交換器を含み、
前記処理装置は、前記算出した前記液体の流量に基づいて、前記熱交換器の熱交換能力を変更する、付記1〜3のうちのいずれか1項に記載の電子装置。
(付記5)
前記流路に設けられる熱交換器を含み、
前記液温測定器は、前記熱交換器よりも下流側且つ前記発熱体よりも上流側で前記液体の温度を測定する、付記1〜4のうちのいずれか1項に記載の電子装置。
(付記6)
前記発熱体は、現状から発熱量を増大する際に、発熱量の増大要求を前記処理装置に送信し、
前記処理装置は、前記発熱体から前記発熱量の増大要求を受信した場合に、算出した前記液体の流量と、前記記憶装置内の情報とに基づいて、発熱量の増大後の前記発熱体の温度を算出し、算出した発熱量の増大後の前記発熱体の温度と、所定閾値との関係に基づいて、前記発熱量の増大の可否を判断する、付記2に記載の電子装置。
(付記7)
前記流路に設けられ、出力が可変なポンプを含み、
前記処理装置は、前記発熱体から前記発熱量の増大要求を受信した場合に、前記ポンプの出力を増加し、前記ポンプの出力の増加後に前記液体の流量を算出する、付記6に記載の電子装置。
(付記8)
前記流路に設けられ、熱交換能力が可変な熱交換器を含み、
前記処理装置は、前記発熱体から前記発熱量の増大要求を受信した場合に、前記熱交換器の熱交換能力を増加し、前記熱交換器の熱交換能力の増加後に、前記発熱量の増大後の前記発熱体の温度を算出する、付記6に記載の電子装置。
(付記9)
前記流路に設けられ、出力が可変なポンプを含み、
前記発熱体は、現状から発熱量を低減した際に、発熱量を低減した旨を表す報告を前記処理装置に送信し、
前記処理装置は、前記発熱体から前記報告を受信した場合に、算出した前記液体の流量と、前記記憶装置内の情報とに基づいて、前記ポンプの出力の低減量を決定する、付記2に記載の電子装置。
(付記10)
前記流路に設けられ、熱交換能力が可変な熱交換器を含み、
前記発熱体は、現状から発熱量を低減した際に、発熱量を低減した旨を表す報告を前記処理装置に送信し、
前記処理装置は、前記発熱体から前記報告を受信した場合に、算出した前記液体の流量と、前記記憶装置内の情報とに基づいて、前記熱交換器の熱交換能力の低減量を決定する、付記2に記載の電子装置。
(付記11)
前記流路に設けられ、出力が可変なポンプを含み、
前記記憶装置は、前記ポンプの出力と、前記液体の流量との関係を表す設計情報を記憶し、
前記処理装置は、前記設計情報に基づいて、算出した前記液体の流量と、前記ポンプの出力を表す測定値との関係から、異常による流量低下の有無を判定する、付記1に記載の電子装置。
(付記12)
電子装置を通る流路内を流れる液体の温度を液温測定器により測定し、
前記液体により冷却される発熱体の温度を温度測定器により測定し、
前記発熱体の発熱量を発熱量測定器により測定し、
前記液体の温度と、前記発熱体の温度と、前記発熱体の発熱量と、前記液体の流量との関係を表す情報を記憶する記憶装置内の前記情報に基づいて、測定した前記液体の温度と、測定した前記発熱体の温度と、前記発熱体の発熱量とから前記液体の流量を算出し、
算出した前記液体の流量に基づいて、電子装置を制御する、電子装置の制御方法。
(付記13)
電子装置を通る流路内を流れる液体の温度情報を取得し、
前記液体により冷却される発熱体の温度情報を取得し、
前記発熱体の発熱量情報を取得し、
前記液体の温度と、前記発熱体の温度と、前記発熱体の発熱量と、前記液体の流量との関係を表す情報を記憶する記憶装置内の前記情報に基づいて、取得した前記液体の温度情報と、取得した前記発熱体の温度情報と、取得した前記発熱体の発熱量情報とから前記液体の流量を算出し、
算出した前記液体の流量に基づいて、電子装置を制御する、
処理をコンピューターに実行させる電子装置の制御プログラム。
(付記14)
付記1〜13のうちのいずれか1項において、前記関係を表す情報は、テーブル情報である。
(付記15)
付記1〜14のうちのいずれか1項において、前記関係は、前記液体の流量が第1の流量であるときの同関係と、前記液体の流量が前記第1の流量とは異なる第2の流量であるときの同関係とを含む。
(付記16)
付記2において、前記関係は、前記発熱体の発熱量が第1の発熱量であるときの同関係と、前記発熱体の発熱量が前記第1の発熱量とは異なる第2の発熱量であるときの同関係とを含む。
(付記17)
付記1〜16のうちのいずれか1項において、前記関係は、前記液体の温度が第1の温度であるときの同関係と、前記液体の温度が前記第1の温度とは異なる第2の温度であるときの同関係とを含む。
(付記18)
付記1〜17のうちのいずれか1項において、前記関係は、前記発熱体の温度が第1の温度であるときの同関係と、前記発熱体の温度が前記第1の温度とは異なる第2の温度であるときの同関係とを含む。
1 電子装置
10 冷却液循環装置
12 ポンプ
14 液温計
16 熱交換器
19 バルブ
22 冷却用流路
22a 第1流路
22b 第2流路
30 計算機
34 発熱部品
36 温度計
40 サービスプロセッサ
42 不揮発メモリ
70 発熱体

Claims (11)

  1. 液体が流れる流路と、
    前記液体により冷却される発熱体と、
    前記液体の温度を測定する液温測定器と、
    前記発熱体の温度を測定する温度測定器と、
    前記発熱体の発熱量を測定する発熱量測定器と、
    前記液体の温度と、前記発熱体の温度と、前記発熱体の発熱量と、前記液体の流量との関係を表す情報を記憶する記憶装置と、
    前記記憶装置内の前記情報に基づいて、前記液温測定器により測定された前記液体の温度と、前記温度測定器により測定された前記発熱体の温度と、前記発熱体の発熱量とから前記液体の流量を算出する処理装置とを含む、電子装置。
  2. 前記発熱体は、実運用中に発熱量が変化する電子部品である、請求項1に記載の電子装置。
  3. 前記流路に設けられ、出力が可変なポンプを含み、
    前記処理装置は、前記算出した前記液体の流量に基づいて、前記ポンプの出力を変更する、請求項1又は2に記載の電子装置。
  4. 前記流路に設けられ、熱交換能力が可変な熱交換器を含み、
    前記処理装置は、前記算出した前記液体の流量に基づいて、前記熱交換器の熱交換能力を変更する、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の電子装置。
  5. 前記流路に設けられる熱交換器を含み、
    前記液温測定器は、前記熱交換器よりも下流側且つ前記発熱体よりも上流側で前記液体の温度を測定する、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の電子装置。
  6. 前記発熱体は、現状から発熱量を増大する際に、発熱量の増大要求を前記処理装置に送信し、
    前記処理装置は、前記発熱体から前記発熱量の増大要求を受信した場合に、算出した前記液体の流量と、前記記憶装置内の前記情報とに基づいて、発熱量の増大後の前記発熱体の温度を算出し、算出した発熱量の増大後の前記発熱体の温度と、所定閾値との関係に基づいて、前記発熱量の増大の可否を判断する、請求項2に記載の電子装置。
  7. 前記流路に設けられ、出力が可変なポンプを含み、
    前記発熱体は、現状から発熱量を低減した際に、発熱量を低減した旨を表す報告を前記処理装置に送信し、
    前記処理装置は、前記発熱体から前記報告を受信した場合に、算出した前記液体の流量と、前記記憶装置内の前記情報とに基づいて、前記ポンプの出力の低減量を決定する、請求項2に記載の電子装置。
  8. 前記流路に設けられ、熱交換能力が可変な熱交換器を含み、
    前記発熱体は、現状から発熱量を低減した際に、発熱量を低減した旨を表す報告を前記処理装置に送信し、
    前記処理装置は、前記発熱体から前記報告を受信した場合に、算出した前記液体の流量と、前記記憶装置内の前記情報とに基づいて、前記熱交換器の熱交換能力の低減量を決定する、請求項2に記載の電子装置。
  9. 前記流路に設けられ、出力が可変なポンプを含み、
    前記記憶装置は、前記ポンプの出力と、前記液体の流量との関係を表す設計情報を記憶し、
    前記処理装置は、前記設計情報に基づいて、算出した前記液体の流量と、前記ポンプの出力を表す測定値との関係から、異常による流量低下の有無を判定する、請求項1に記載の電子装置。
  10. 電子装置を通る流路内を流れる液体の温度を液温測定器により測定し、
    前記液体により冷却される発熱体の温度を温度測定器により測定し、
    前記発熱体の発熱量を発熱量測定器により測定し、
    前記液体の温度と、前記発熱体の温度と、前記発熱体の発熱量と、前記液体の流量との関係を表す情報を記憶する記憶装置内の前記情報に基づいて、測定した前記液体の温度と、測定した前記発熱体の温度と、前記発熱体の発熱量とから前記液体の流量を算出し、
    算出した前記液体の流量に基づいて、電子装置を制御する、電子装置の制御方法。
  11. 電子装置を通る流路内を流れる液体の温度情報を取得し、
    前記液体により冷却される発熱体の温度情報を取得し、
    前記発熱体の発熱量情報を取得し、
    前記液体の温度と、前記発熱体の温度と、前記発熱体の発熱量と、前記液体の流量との関係を表す情報を記憶する記憶装置内の前記情報に基づいて、取得した前記液体の温度情報と、取得した前記発熱体の温度情報と、取得した前記発熱体の発熱量情報とから前記液体の流量を算出し、
    算出した前記液体の流量に基づいて、電子装置を制御する、
    処理をコンピューターに実行させる電子装置の制御プログラム。
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