JP2015077781A - 紙部材およびその製造方法とそれを用いた紙容器 - Google Patents

紙部材およびその製造方法とそれを用いた紙容器 Download PDF

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Abstract

【課題】浸透性の高いバリアコーティングの層を薄くても均一に層を形成させると共に、接着剤をコーティングしたりしないで、かつ、湿度、水分による影響が少なく、酸素ガスなどのガスバリヤ性を有する、生産性の高い紙部材を安価に得ること。
【解決手段】内容物が接する側の紙面に、溶融ポリエチレン(5)、バリアコーティング層(3)とシーラント層(4)とを設けたことを特徴とする紙部材(1)であって、バリアコーティング層として、バリア性ウレタン樹脂、バリア性アクリル樹脂、扁平状粉末とビニルアルコール樹脂、扁平状粉末とバリア性アクリル樹脂、バリア性ウレタン樹脂とバリア性アクリル樹脂とを含む混合樹脂のいずれかの皮膜を、少なくとも1層以上設けたことを特徴とする紙部材である。
【選択図】図1

Description

本発明は、紙を主体とする紙容器の製造で使用される紙部材に関する。この紙部材は、保存性のために、酸素ガス、香料などのバリア性を求められる内容物、例えば、ジュース、酒類などの食品を収納する紙容器に使用される紙部材に関するものである。
紙にガスバリア性を付与する方法としては、ガス透過性の低い合成樹脂フィルムを貼り合わせたり、金属や酸化珪素などの蒸着を施したフィルムを貼り合せるなどの方法がある。
例えば、エチレンービニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート樹脂などのフィルムを積層したものは、高いガスバリア性を有する。また、アルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム、酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムなども、高いガスバリア性を有する。
しかしながら、このような高いバリア性を有するフィルムを紙に直接貼り合わせることができない。貼り合わせる場合、紙と高いバリア性を有するフィルムとの間に溶融樹脂を挟ませたり、接着剤をコーティングしてから、積層するなどの方法が必要である。
それは、紙とバリア性を有するフィルムの合わせる面においても、また、バリア性を有するフィルムのシーラント層側の面においても、接着剤を介して、それらの溶融樹脂を塗工する必要があったので、製造工程が多く、高価にならざるを得ない問題があった。
特許文献1では、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を紙基材に塗布し、乾燥させ、さらに一定の温度で保持することで、ガスバリア性を有する紙になる旨記載されている。
この方法は、ポリビニルアルコール系樹脂が紙と一緒に廃棄処理してもかまわない成分のため、リサイクル適性に優れ、かつ、酸素透過率を低く抑えられるなど、紙容器を製造する素材として、メリットのある紙部材である。
しかしながら、ポリビニルアルコールは、水分、湿度によって、物性が著しく劣化しやすく、特に内容物に水分のある場合は、水分によって、容易に膨潤し、剥れ、溶解し、形状が維持できなくなるなどの問題が発生していた。
しかも、紙はパルプ繊維比率が大きく、バインダーはわずかなので、浸透性が高く、ポリビニルアルコールは、紙基材に深く浸透しやすい。そのため、粘度を高くする、コーティングの厚みを非常に厚くするなどの対応をしないと、パルプ繊維の密度バラツキによって、凹凸ができ易く、欠陥のない良好な層が形成されにくい。かつ、水系溶媒の為、乾燥に時間が掛かり、非常に長い乾燥ラインを持った特別な設備でないと生産できない、生産速度が著しく遅くせざるを得ない、などの問題があった。
さらに、この紙部材を紙パックや紙コップなどの容器に成形する場合、少なくとも内面同士を融着するシーラント層4を設けることになり、図3のような断面になる。
紙基材2の内側に設けたポリビニルアルコールからなるバリアコーティング層3は、前述のように、紙のパルプ繊維の密度バラツキによって、凹凸ができ易く、かつ、浸透して浸透部を形成し、欠陥のない良好な層や面が形成されにくい。しかし、紙容器は容器成形時も、使用時も、シーラント層4と紙基材2との間の強度が必要で、バリアコーティング層3をあまり厚くすると、層間での剥離が起き易い問題も発生し易い問題もあった。
特開2001−254292号公報
上記問題に鑑みて、浸透性の高いバリアコーティングの層を薄くても均一に層を形成させると共に、接着剤をコーティングしたりしないで、かつ、湿度、水分による影響が少なく、酸素ガスなどのガスバリヤ性を有する、生産性の高い紙部材を安価に得ることが本発明の課題である。
本発明の請求項1の紙部材は、内容物が接する側の紙面に、溶融ポリエチレン層、バリアコーティング層とシーラント層とを設けたことを特徴とする紙部材である。
本発明の請求項2の紙部材は、シーラント層として、溶融ポリエチレン樹脂層を用いたことを特徴とする請求項1に記載の紙部材である。
本発明の請求項3の紙部材は、バリアコーティング層として、バリア性ウレタン樹脂、バリア性アクリル樹脂、扁平状粉末とビニルアルコール樹脂の混合物、扁平状粉末とバリア性アクリル樹脂の混合物、または、バリア性ウレタン樹脂とバリア性アクリル樹脂とを含む混合物の、いずれかの皮膜を、少なくとも1層以上設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の紙部材である。
本発明の請求項4の紙部材は、扁平状粉末が無機層状鉱物で、雲母、または雲母を主体とした変成岩、および水膨潤性合成雲母であることを特徴とする請求項3に記載の紙部材である。
本発明の請求項5の紙部材は、バリア性ウレタン樹脂が、酸基を有するポリウレタン樹脂とポリアミン化合物とを含有する水性ポリウレタン樹脂(A)、水溶性高分子(B)、および扁平状粉末(C)、を主たる構成成分とした混合樹脂であることを特徴とする請求項3又は4に記載の紙部材である。
本発明の請求項6の紙部材は、水溶性高分子(B)は、鹸化度が95%以上、かつ重合度が300〜2000のポリビニルアルコール樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の紙部材である。
本発明の請求項7の紙部材は、バリア性アクリル樹脂が、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコール系ポリマーと水系媒体とを含む水系塗工液の混合樹脂であることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の紙部材である。
本発明の請求項8の紙部材は、水系塗工液が可塑剤を含むことを特徴とする請求項7に記載の紙部材である。
本発明の請求項9の紙部材の製造方法は、タンデム式溶融押出貼り合わせ機を使用し、第1の押し出しダイで紙基材の上に溶融ポリエチレン樹脂層を貼り合わせ、
溶融ポリエチレン樹脂層上にバリアコーティング層をタンデム式溶融押出貼り合わせ機のアンダーコート装置で塗工し、
第2の押し出しダイで、バリアコーティング層の上にシーラント層を貼り合わせることを特徴とする紙部材の製造方法である。
本発明の請求項10の紙部材の製造方法は、第1の押し出しダイで紙基材の上に溶融ポリエチレン樹脂層を貼り合わせる前に、紙基材の表面をコロナ放電処理することを特徴とする請求項9に記載の紙部材の製造方法である。
本発明の請求項11の紙容器は、少なくとも胴部と底板に、請求項1〜8に記載した紙部材を用いたことを特徴とする紙容器である。
本発明の請求項12の紙容器は、紙容器を形成する胴部の端部同士を貼り合わせる巻き合わせ融着部において、内側となる紙部材にバリアコーティング層を設けない非コーティング領域を設けることを特徴とする請求項11に記載の紙容器である。
本発明の請求項13の紙容器は、非バリア領域が、紙容器を形成する胴部の端部同士を貼り合わせる巻き合わせ融着部において、非コーティング領域の幅が巻き合わせ融着部の幅よりも小さくしたことを特徴とする請求項12に記載の紙容器である。
本発明の請求項14の紙容器は、紙容器を形成する胴部の端部同士を貼り合わせる巻き合わせ融着部において、内側となる紙部材の端面をエッジプロテクトすることを特徴とする請求項11〜13に記載の紙容器である。
本発明の請求項15の紙容器は、紙容器を形成する胴部の端部同士を貼り合わせる巻き合わせ融着部において、内側となる紙部材端面のエッジプロテクトとして、スカイブ・ヘミング加工することを特徴とする請求項14に記載の紙容器である。
本発明の請求項16の紙容器は、紙容器を形成する胴部の端部同士を貼り合わせる巻き合わせ融着部において、内側となる紙部材端面のエッジプロテクトとして、予め巻き合わせ融着部周囲を抜き加工し、融着可能な熱可塑性樹脂を貼り合わせ、端縁を熱可塑性樹脂層で覆ったことを特徴とする請求項14に記載の紙容器である。
本発明の紙部材は、水分を含まない内容物はもちろんのこと、水分を含む内容物であっても、水分による物性などの劣化が生じない。そして、バリアコーティング層を均一な層に形成されているので、ガスバリア性が高く、内容物が酸化劣化などを起こしにくい状態を維持でき、食品などの内容物を長期の保存することが可能である。
また、バリアコーティング層と紙、バリアコーティング層とシーラント層との間に接着剤層をコーティングしないので、製造工程が少なく、生産性が高いので、本発明の紙部材は安価に製造が可能である。
本発明の紙部材の実施例を示す断面図である。 本発明の紙部材の実施例を示す断面図である。 紙部材の従来例を示す断面図である。 本発明の紙部材における扁平状粉末の状態を示す断面の透視模式図である。 紙部材から紙容器を製造する斜視図である。 紙容器の製造工程で、巻き合わせ融着部をコーティング範囲から外す状況を示す図である。 紙容器を製造する時の融着部における拡大断面図である。 本発明の紙容器で、端面保護処理された巻き合わせ融着部の拡大断面図である。 本発明の紙容器で、巻き合わせ融着部をコーティング範囲から外した融着部の拡大断面図である。
以下、本発明の紙部材について、図を用いて詳細に説明する。
本発明の紙部材の一例を示す図を図1に示す。この紙部材1は、紙基材2の内容物が接す
る側の面bに、溶融ポリエチレン樹脂層5と、バリアコーティング層3とシーラント層4とを設けた紙部材になっている。
溶融ポリエチレン樹脂層5は、紙基材2に対し、単純に溶融押出貼り合せ機で貼り合せることができる。この溶融ポリエチレン樹脂は、高圧法低密度ポリエチレン樹脂でも良いが、線状低密度ポリエチレン樹脂であっても、中密度ポリエチレン樹脂でも、また、それらの混合樹脂であってもかまわない。
厚みは薄くても、厚くてもかまわないが、10〜40マイクロメーター、好ましくは12〜28マイクロメーターで貼り合せる。
バリアコーティング層3は、バリア性ウレタン樹脂、バリア性アクリル樹脂、扁平状粉末とビニルアルコール樹脂の混合物、扁平状粉末とバリア性アクリル樹脂の混合物、または、バリア性ウレタン樹脂とバリア性アクリル樹脂とを含む混合樹脂のいずれかの皮膜を、少なくとも1層以上設けたものである。
ここで、バリア性ウレタン樹脂としては、酸基を有するポリウレタン樹脂とポリアミン化合物とを含有する水性ポリウレタン樹脂(A)、水溶性高分子(B)、および無機層状鉱物(C)を主たる構成成分としてなる混合樹脂が使用できる。
そして、このバリアウレタン樹脂において、混合樹脂中に占める水性ポリウレタン樹脂(A)、水溶性高分子(B)および無機層状鉱物(C)の配合比率は、
水性ポリウレタン樹脂(A)5〜80質量%好ましくは50〜80質量%、
水溶性高分子(B)5〜80質量%好ましくは5〜20質量%、
無機層状鉱物(C)8〜30質量%好ましくは10〜30質量%
の範囲であることが好ましい。
また、水溶性高分子(B)は、鹸化度が95%以上、かつ重合度が300〜2000のポリビニルアルコール樹脂であることが好ましい。
ポリビニルアルコール樹脂は、鹸化度や重合度が高いほど、吸湿膨潤性が低くなる。
ポリビニルアルコール樹脂の鹸化度は、95%より低いと、充分なガスバリア性が得られ難い問題が発生する。そのため、鹸化度を95%以上とする。
ポリビニルアルコール樹脂の重合度は300より低いと、ガスバリア性の低下を招く。一方、ポリビニルアルコール樹脂の重合度が2000を超えると、水系コーティング剤の粘度が上昇し、他の成分と均一に混合することが難しく、ガスバリア性や密着性の低下といった不具合を招いたりするので、重合度が2000以上にすることは好ましくない。そのため、ポリビニルアルコール樹脂の重合度が300〜2000のポリビニルアルコール樹脂を使用する。
さらに、扁平状粉末としては、特に無機層状鉱物が好ましい。無機層状鉱物は、結晶が層状に薄く剥れるへき開性を有するもので、高圧cis型の単鎖状、あるいは複鎖状のSiOチェーンが横方向に無限に連結し、SiO六角環が蜂の巣状にびっしり並んだ平面状のSiOシートを形作った鉱物で、4面体シートと8面体シートが重なった層状になっていて、その境目の接着はファンデルワールス力で繋がっている。
白雲母などは4面体シートと8面体シートが重なった層状の間に交換性陽イオンだけを挟んでいるが、水膨潤性合成雲母の「スメクタイト」などでは、さらに水の層をはさんでいて、水分子を出し入れし、体積が大きく変化する性質がある。
本発明に使用する無機層状鉱物は、このような、白雲母や黒雲母、金雲母などの鉱物、または雲母を主体とした変成岩、および水膨潤性合成雲母、カオリナイト、タルク、緑泥岩などが使用される。
これらの無機層状鉱物は、層の面状方向は、水分や酸素ガス、香り、などの透過を阻止する高密度の結晶になっている。
そのため、このコーティングでは、粘度をできるだけ低くしてコーティングを行い、水平にコーティング基材を保った状態で乾燥させ、水などの媒体系を速く蒸発させることが必要になる。
バリア性アクリル樹脂は、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコール系ポリマーと水系媒体とを含む水系塗工液の混合樹脂が利用できる。そして、この混合樹脂は、水溶液、あるいは水系分散液で、溶液、懸濁液、コロイドあるいはラテックスの状態で使用できる。
ここで、ポリアルコール系ポリマーは、1分子中に2個以上の水酸基を持つポリマーである。例えば、ポリビニルアルコール樹脂や糖類などである。
特にポリビニルアルコールの場合、鹸化度が95%以上、かつ重合度が300〜2500好ましくは300〜1500の範囲のものがガスバリア性を特に発揮するので好ましい。この場合もバリアウレタンと同じように、鹸化度が95%以下ではガスバリア性の低下を招く。一方、ポリビニルアルコール樹脂の重合度が2500を超えると、水系コーティング剤の粘度が上昇し、他の成分と均一に混合することが難しく、ガスバリア性や密着性の低下といった不具合を招いたりする為好ましくない。
糖類の場合は、単糖類、オリゴ糖類、多糖類やそれらの還元性末端をアルコールにして得られる糖アルコール類、さらに、それらを化学修飾したものが挙げられる。その中でも、マルトオリゴ糖、水溶性でんぷん、それらの糖アルコール、ソルビトール、デキストリン、プルランなどが、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとの組み合わせで、良好な結果を生んでいる。
ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーは、カルボキシル基を1分子中に2個以上含有するポリマーである。例えばポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリアクリル酸とポリメタアクリル酸の共重合体、あるいはこれらの混合物が考えられる。特にアクリル酸とポリメタアクリル酸の共重合体で、ポリアクリル酸モノマーが、ポリメタアクリル酸モノマーより多い共重合体がより好ましいガスバリア性を発揮する。
ポリアルコール系ポリマーは、極性があり、水溶性で、ガスバリア性は高いが、水などの吸湿や透過が大きい。
しかし、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーの樹脂と混合すると、水分子の動きが制御され、水分子の影響が抑えられるので、酸素や香りなどのガスバリア性が向上する。
水系媒体は、水、または含水媒体で、含水媒体の場合、水を30パーセント以上、好ましくは50パーセント以上含有しているもので、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンなどが挙げられる。
水系媒体の含有量は、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコール系ポリマーの合計重量の0.1〜99パーセント、できれば5〜95パーセントの含有量が好ましい。
0.1パーセント以下の場合、コーティング面にひび割れなどが発生する問題が生じ、99パーセント以上の場合、乾燥が著しく低下し、生産性がなくなる問題が発生する。このため、合計重量は0.1〜99パーセント、好ましくは5〜95パーセントの含有量で塗工するのが良い。
また、水系塗工液に、可塑剤を含ませることによって、それらポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーやポリアルコール系ポリマーなどの充填隙間をさらに埋める働きが発生し、より、ガスバリア性が向上する。
この可塑剤の具体例としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1、3−ブタンジオール、2、3−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレンングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、エリトリトール、グリセリンなどであって、これらの単体、またはそれら
を複数含む混合物を可塑剤として使用することができる。
ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーの樹脂とポリアルコール系ポリマーとの組成比は、重量比で、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマー:ポリアルコール系ポリマー=95:5〜10:90が好ましい。特に、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマー:ポリアルコール系ポリマー=90:10〜40:60がさらに好ましい。
最終製品での塗工厚みは、0.1〜100ミクロンメーター、特に0.5〜5ミクロンメーターが好ましい。
ところで、紙基材2は、パルプ繊維をバインダーで接着したものである。紙の表面は繊維が平面状に漉いてあるが、ランダムな方向に向いて重なり、かつ絡み合っており、パルプ繊維の密度が高い所もあるが、密度が低い所もある。しかも、パルプ繊維よりもバインダーの密度は低い。その為、バリアコーティング層6を紙基材2に薄くコーティングしても、紙の表面における凹凸は解消されない。その為、薄い一層のバリアコーティング層6は、溜まって厚くなる所も生じるが、非常に薄くて、孔が開いている所も生じやすい問題がある。
そこで、図2で示すように、本発明では、紙の内容物が接する側の面bに溶融ポリエチレン樹脂を貼り合せて、平面性を確保している。そして、その平面が確保された溶融ポリエチレン樹脂層5の内表面c上に、バリアコーティング層6を塗工する。
そのため、バリアコーティング層6は、薄くても欠格の少ない平面が確保され、高いバリア性を持つ層を構築できる。従って、複数回コーティングしなくても、充分効果の高いバリア性が得られ易い。
バリアコーティング層の上には、シーラント層4を設ける。シーラント層4としては、溶融ポリエチレン樹脂として、高圧法低密度ポリエチレン樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のほか、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、または、それらの混合樹脂などを用い、溶融押出ラミネーション機で貼り合わせる。もちろん、接着剤で特殊なシーラントフィルムを貼り合わせてもかまわないが、特に高圧法低密度ポリエチレン樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などの溶融ポリエチレン樹脂が、密着性、保存性、落下強度、積載強度などから好ましい。
このシーラント層は、容器の内面同士を融着させ形状を形作る役目と、内容物と接するので、内容物が紙側に滲み込むことを防止する役目を持っている。これらの樹脂は、低い温度で溶融して、強固に固着しやすい樹脂で、急速冷却させて結晶化させず、ランダムな状態で固化すると共に、油分や酸素ガスなどの透過率は高く、また、湿気の透過もある程度有していることが好ましい。
図4は、本発明の紙部材の断面を斜視で見た透視模式図で、扁平状粉末によるバリア性の仕組みを示す図である。
紙基材2は、紙繊維の間に空間がるので、酸素ガスや匂い物質などは容易に透過して来る。
紙基材2の内容物接面側は、溶融ポリエチレン樹脂層5が貼り合わされている。溶融ポリエチレン樹脂層5も、紙基材2に比べれば、酸素ガスや匂い物質などの透過はスムースではなく、透過速度は遅いが、酸素ガスや匂い物質などが容易に透過してしまう。
そして、溶融ポリエチレン樹脂層5のさらに内容物接面側には、扁平状粉末6を含んだバリアコーティング層3が設けられている。さらに内容物接面側にシーラント層4が設けられている。
この図のバリアコーティング層3に使用されている扁平状粉末6は無機層状鉱物の黒雲母などで、扁平状粉末6に当たってはじかれ、透過しない酸素ガス7がみられる。しかし、扁平状粉末6の隙間だけを通って透過する酸素ガス8もわずかにあるが、透過可能な通路は狭いので、少量しか通過できない。
この無機層状鉱物は、層状になって一定の面を持っているので、層をなす面が互いに重な
り合うようにコーティングして、バリアコーティング層を無機層状鉱物で覆うように配置できると、全体としてガスバリア性の高いバリアコーティング層にすることができる。
このようにして、紙基材2という、通気性の高い素材に対し、バリア性を持たせることができる。
本発明の紙部材を製造するには、タンデム式溶融押出貼り合わせ機を使用し、第1の押し出しダイで紙基材の上に溶融ポリエチレン樹脂層を貼り合わせ、
溶融ポリエチレン樹脂層上にバリアコーティング層をタンデム式溶融押出貼り合わせ機のアンダーコート装置で塗工し、
第2の押し出しダイで、バリアコーティング層の上にシーラント層を貼り合わせて製造できる。
また、第1の押し出しダイで紙基材の上に溶融ポリエチレン樹脂層を貼り合わせる前に、紙基材の表面をコロナ放電処理するとよい。
さらに、容器を製造し易くする為に、紙基材2の容器外側aにも、表融着層40を貼り合せることが望ましい。
この表融着層40溶融ポリエチレン樹脂は、高圧法低密度ポリエチレン樹脂でも良いが、線状低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、または、それらの混合樹脂であってもかまわない。
厚みは薄くても、厚くてもかまわないが、12〜60マイクロメーター、好ましくは18〜40マイクロメーターで貼り合せる。
ところで、本発明の紙部材は、単独ではバリア性を確保する構成であるが、この紙部材をそのまま紙容器として使用する場合、例えば、カップ容器などでは、巻き合わせ融着部9において、紙部材の端面21が露出する問題がある。
すなわち、紙容器を製造する場合、図5で示されるように巻き合わせ融着部9が生じる。紙容器を製造するには、巻き合わせ融着部を形成できるように、紙基材外面側には表融着層40を設ける。
しかし、巻き合わせ融着部9は、紙部材をそのまま巻き合わせると、図7−1のように紙部材の端面21が露出する。
このような端面が露出した状態で、内容物が液体であって、それが端面を浸漬した場合、バリアコーティング層3が水溶性樹脂を用いているので、内容物がバリアコーティング層3を破壊し、表裏が分離してしまう恐れがある。特に水溶性の塗工樹脂を使用しているので、端面であっても浸透し、端面から溶出し、紙容器そのものが破壊されてしまう問題が発生する。たとえコーティング層を破壊しない内容物であっても、通気性の高い紙の端面から内容物が浸透し、バリア性が確保できなくなってしまう問題がある。
そこで、紙部材端面には、バリアコーティング層や基材の紙が容器内面に露出しないようにする必要がある。
その為には図6のように、巻き合わせ融着部9をバリアコーティング層3の塗工範囲から外すようにコーティングする。コーティングにはグラビア印刷機を用い、紙部材に対する胴部の配置を工夫すると、図6のごとく部分的にコーティング範囲300から外すことができる。
ただ、この非コーティング範囲301をあまり大きくしてしまうと、巻き合わせ融着部9近傍のバリア層がなくなってしまい、酸素などの透過が大きくなってしまう恐れがある。その為、非コーティング範囲301の非コーティング融着部91の幅を、巻き合わせ融着部9の幅に対し、小さな幅にしておく必要がある。
また、図7−2のように、非コーティング融着部91の幅を、巻き合わせ融着部9の幅に対し、小さな幅にして融着しても、紙部材の端面21が露出すると、紙の端面から内容物が浸透し、バリアコーティング層3を破壊し、バリアコーティング層が溶出する問題があ
る。
以上に対し、図8−1のように、容器内側になる端面近傍に折り返し部分を作ることによって、巻き合わせ融着部9は紙部材の端面21は、バリアコーティング層3の端面が出ない形状にできる。紙基材2の外側に表融着層がない場合、このような方法で貼り合わせれば、端面が出ず、バリア性も確保できるが、紙部材全体が大きく折り返されるので、融着面の厚みが厚くなり、段差が大きいので、底板の融着強度が出にくいなどの問題があった。
図8−2は、紙基材の外形を一部抜いておいてからシーラント層を貼り合せて製造することで、シーラント層4を紙基材2よりも伸ばしたシーラント層単体融着部41を形成させ、それを利用した方法の例である。この方法は、巻き合わせ融着部9を形成する時に、紙端面21も覆いながら、シーラント層単体融着部41を巻き合わせる他端のシーラント層4に融着してシーラント端面巻き込み部42を形成する端面露出防止処理である。
又、図8−3では、同じように紙基材の外形を一部抜いておいてからシーラント層を貼り合せて製造することで、シーラント層を紙基材2よりも伸ばしたシーラント層単体融着部41を形成させる。そのシーラント層単体融着部41で紙端面21を覆って、シーラント端面巻き込み部42を形成する。そのシーラント端面巻き込み部42を含んだ巻き合わせ融着部9を他端のシーラント層4に融着する端面露出防止処理の例である。
さらに、巻き合わせ融着部9の紙部材端縁をスカイブ・へミング加工しておく方法でもよい。図8−4は巻き合わせ融着部9の紙部材端縁において、紙部材の端縁を先端から所定の幅だけ、紙部材1の厚みの一部分を、外側からを削除(スカイブ)し、削り取った残りの部分を削除面が内側になるように折り返し(ヘミング)、紙端面保護を行うスカイブ・ヘミング加工方法を取り入れたスカイブ・ヘミング加工融着部43の断面図である。この方法でも端面の露出を防止して、バリアコーティング層3の低下を防ぐことが出来る
このように端面露出防止処理を行うと、内容物の浸透がないので、バリアコーティング層4の劣化がなく、容器に加工した後にも、高い性能が維持できるようになる。本発明の場合、腰の強いバリア性樹脂フィルムと違って、コーティングによりできているので、このような処理の加工がし易いメリットがある。
さらに、巻き合わせ融着部9に、非コーティング融着部91を設けていると、端面処理が加工しやすくなる。たとえば、バリアコーティング層3が巻き合わせ融着部9に存在すると、バリアコーティング層3内部で剥離を起こし易く、安定した容器の製造がしにくい問題がある。その対策として、非コーティング融着部91を設けることで、解決できる。特に巻き込ませる端面近傍を非コーティング融着部91とすることが望ましい。
図9−1では、紙基材の外形を一部抜いておいてからシーラント層を貼り合せて製造することで、シーラント層4を紙基材2よりも伸ばしたシーラント層単体融着部41を形成させ、それを利用した方法の例である。外形の一部を抜く時、切断する所にバリアコーティング層があると、刃の切れが悪くなり易い。その為、切断近傍におけるバリアコーティング層内部で剥離が生じ易いが、非コーティング範囲で切れば、その弊害がなくなり、生産性が向上する。この方法は、巻き合わせ融着部9を形成する時に、紙端面21も覆いながら、シーラント層単体融着部41を巻き合わせる他端のシーラント層4に融着してシーラント端面巻き込み部42を形成する端面露出防止処理である。
ただ、このような非コーティング融着部91である非バリア領域を設けるにあたって、非バリア領域の幅が、紙容器を形成する胴部の端部同士を貼り合わせる巻き合わせ融着部9の幅よりも小さくしておく。これは、非バリア領域の幅が、紙容器を形成する胴部の端部同士を貼り合わせる巻き合わせ融着部9の幅よりも大きいと、バリア性コーティング層の
ない部分が発生し、バリア性が低下してしまう為である。
図9−2では、同じように紙基材の外形を一部抜いておいてからシーラント層4を貼り合せて製造することで、シーラント層を紙基材2よりも伸ばしたシーラント層単体融着部41を形成させる。外形の一部を抜く時の切断の問題など、図9−1と同じように、非コーティング範囲で切れば切断性が向上し、シーラント層4を紙基材2よりも伸ばしたシーラント層単体融着部41が形成し易くなる。そして、シーラント層単体融着部41で紙端面21を覆って、シーラント端面巻き込み部42を形成する。そのシーラント端面巻き込み部42を含んだ巻き合わせ融着部9を他端のシーラント層4に融着する端面露出防止処理となる。
さらに、図9−1と同じように、バリア性の低下を抑える為、非コーティング融着部91である非バリア領域の幅が、紙容器を形成する胴部の端部同士を貼り合わせる巻き合わせ融着部9の幅よりも小さくしておく。
図9−3では、巻き合わせ融着部9の紙部材端縁において、紙部材の端縁を先端から所定の幅だけ、紙部材1の厚みの一部分を、外側からを削除(スカイブ)し、削り取った残りの部分を削除面が内側になるように折り返し(ヘミング)、紙端面保護を行うスカイブヘミング加工方法を取り入れたスカイブ・ヘミング加工融着部43の断面図である。
この紙部材1の厚みの一部分を、外側からを削除(スカイブ)する時に、層の内部で剥離し易いバリアコーティング層3があると、削除する削り刃が滑り易く、良好な断面を形成しにくい問題があった。しかし、紙部材1の厚みの一部分を外側から削除(スカイブ)する範囲に非コーティング範囲に設定しておくことで、解決できる。この方法でも端面の露出を防止して、バリアコーティング層3の低下を防ぐことが出来る。
さらに、図9−1と同じように、バリア性の低下を抑える為、非コーティング融着部91である非バリア領域の幅が、紙容器を形成する胴部の端部同士を貼り合わせる巻き合わせ融着部9の幅よりも小さくしておく。
このように巻き合わせ融着部の一部を非コーティング融着部91とし、そこに端面露出防止処理を行うと、内容物の浸透がなく、バリアコーティング層4の劣化や生産性の低下がなくなり、容器に加工した後にも、高い性能が維持できるようになる。本発明の場合、腰の強いバリア性樹脂フィルムと違って、コーティングによりできているので、このような処理の加工がし易いメリットがある。
本発明は以上のようなものであるが、以下に本発明の具体的な実施例について説明する。
<実施例1>
紙基材:日本大昭和板紙株式会社製のカップ原紙、坪量250g/m
<工程1>押し出しダイが2台持っているタンデム式溶融押出貼り合わせ機を使用し、溶融ポリエチレン樹脂を紙基材の外面側に20ミクロンメーター、内容物接面側に17マイクロメーターと、一度に紙基材2の両面に溶融ポリエチレン樹脂を貼り合わせた。
<工程2>溶融押出貼り合わせ機を使用し、内容物接面側の溶融ポリエチレン(17マイクロメーター)表面にコロナ放電処理をしながら、水系ウレタン樹脂の固形分30%を含むバリア性ウレタン樹脂である三井化学株式会社製接着剤WPB−341を塗工。塗工坪量1g/m。さらに、最内層の溶融ポリエチレン樹脂(高圧法低密度ポリエチレン)を30マイクロメーター貼り合わせた。
試作容器は、内容量100グラムのヨーグルト用紙カップを作成。
ボトム部、サイド部共に上記紙部材を使用。端面はスカイブ・ヘミング方式により保証。評価は、酸素ガスバリア性を株式会社日立ハイテクノロジーズ社製MOCON酸素透過率
測定装置OX−TRAN(登録商標)2/61で測定。
測定結果は、0.7cc/Package・dayで、バリア性が確認できた。
<実施例2>
紙基材は、日本大昭和板紙株式会社製のカップ原紙、坪量250g/m
<工程1>タンデム式溶融押出貼り合わせ機を使用し、溶融ポリエチレン樹脂を紙基材の内容物接面側に17マイクロメーター押し出して貼り合わせた。さらに、その内容物接面側の溶融ポリエチレン樹脂層17マイクロメーター面に、扁平状粉末とビニルアルコール樹脂の混合物からなるバリアコーティング剤を塗工した。塗工坪量1g/m
さらに、最内層の溶融ポリエチレン樹脂(高圧法低密度ポリエチレン)を30マイクロメーター貼り合せた。
<工程2>溶融押出貼り合わせ機を使用し、溶融ポリエチレン樹脂を紙基材の外面側(内容物接面側とは反対側)に、厚み20マイクロメーター押し出して貼り合わせた。
試作容器は、内容量100グラムのヨーグルト用紙カップを作成。ボトム部、サイド部共に上記紙部材を使用。端面はスカイブ・ヘミング方式により保証。
評価は、酸素ガスバリア性を株式会社日立ハイテクノロジーズ社製MOCON酸素透過率測定装置OX−TRAN(登録商標)2/61で測定。測定結果は、0.5cc/Package・dayで、バリア性が確認できた。
<実施例3>
紙基材は、日本大昭和板紙株式会社製のカップ原紙、坪量250g/m
<工程1>タンデム式溶融押出貼り合わせ機を使用し、溶融ポリエチレン樹脂を紙基材の内容物接面側に17マイクロメーター押し出して貼り合わせた。
バリアコーティング層は、株式会社クラレ製で、ポリメタクリ酸とアクリル酸混液30:70の割合で混合。塗工坪量は、1g/m
最内層は、溶融ポリエチレン(低密度ポリエチレン)を30マイクロメーター貼り合せ。<工程2>最外層は、溶融ポリエチレン(高圧法低密度ポリエチレン)を20マイクロメーター貼り合せ。
試作容器は、内容量100グラムのヨーグルト用紙カップを作成。ボトム部、サイド部共に上記紙部材を使用。端面はスカイブ・ヘミング方式により保証。
評価は、酸素ガスバリア性を株式会社日立ハイテクノロジーズ社製MOCON酸素透過率測定装置OX−TRAN(登録商標)2/61で測定。
測定結果は、0.3cc/Package・dayで、バリア性が確認できた。
<実施例4>
紙基材は、日本大昭和板紙株式会社製のカップ原紙、坪量250g/m
<工程1>タンデム式溶融押出貼り合わせ機を使用し、溶融ポリエチレン樹脂を紙基材の外側に20マイクロメーター押し出し、内容物接面側に17マイクロメーター押し出して貼り合わせた。
<工程2>バリアコーティング層は、雲母とポリビニルアルコールからなるバリアコーティングを使用し、成形における巻き込み融着部で内側になる貼り合せ部に非コーティング領域を設けた180線/インチ、深さ35マイクロメーターの版を用い、グラビア印刷機を利用して塗工した。塗工坪量は、1g/m
<工程3>内容物接面側最内層は、溶融ポリエチレン(高圧法低密度ポリエチレン)を30マイクロメーター貼り合せ。
試作容器は、内容量100グラムのヨーグルト用紙カップを作成。ボトム部、サイド部共に上記紙部材を使用。端面はスカイブ・ヘミング方式により保証。
評価は、酸素ガスバリア性を株式会社日立ハイテクノロジーズ社製MOCON酸素透過率測定装置OX−TRAN(登録商標)2/61で測定。
測定結果は、0.5cc/Package・dayで、バリア性が確認できた。
実際にヨーグルトを入れて10日間保管してみたが、酸味の変化はなく、バリアコーティング剤の溶出もなかった。
<比較例1>
紙基材は、日本大昭和板紙株式会社製のカップ原紙、坪量250g/m
<工程1>タンデム式溶融押出貼り合わせ機を使用し、紙基材2の内容物接面側に、水系ウレタン樹脂の固形分30%を含むバリア性ウレタン樹脂である三井化学株式会社製接着剤WPB−341を塗工。塗工坪量は1g/m
外側(紙基材側)にコロナ放電処理を行い、溶融ポリエチレンを外側(紙基材側)に厚み20マイクロメーター貼り合わせ、内容物接面側のバリアウレタン樹脂表面に厚み30マイクロメーターそれぞれ押し出して貼り合せた。
試作容器は、内容量100グラムのヨーグルト用紙カップを作成。ボトム部、サイド部共に上記紙部材を使用。端面はスカイブ・ヘミング方式により保証。
評価は、酸素ガスバリア性を株式会社日立ハイテクノロジーズ社製MOCON酸素透過率測定装置OX−TRAN(登録商標)2/61で測定。
測定結果は、1cc/Package・day以上で、測定限界を超えて透過が大きく、バリア性が悪いと判断した。
<比較例2>
紙基材は、日本大昭和板紙株式会社製のカップ原紙、坪量250g/m
<工程1>タンデム式溶融押出貼り合わせ機を使用し、溶融ポリエチレン樹脂を紙基材の外側に20マイクロメーター押し出し、内容物接面側に17マイクロメーター押し出して貼り合わせた。
<工程2>バリアコーティング層は設けなかった。
<工程3>内容物接面側最内層としてさらに、溶融ポリエチレン(高圧法低密度ポリエチレン)を30マイクロメーター貼り合せた。
試作容器は、内容量100グラムのヨーグルト用紙カップを作成。ボトム部、サイド部共に上記紙部材を使用。端面はスカイブ・ヘミング方式により保証。
評価は、酸素ガスバリア性を株式会社日立ハイテクノロジーズ社製MOCON酸素透過率測定装置OX−TRAN(登録商標)2/61で測定。
測定結果は、1cc/Package・day以上で、測定限界を超えて透過が大きく、バリア性が悪いと判断した。
実際にヨーグルトを入れて10日間保管してみたが、酸味が強く変化していた。
本発明の紙部材は、以上の様に、紙に直接バリア性コーティングするのではなく、溶融ポリエチレンを貼り合わせて紙基材表面の平滑性を確保することで、薄くても欠点の少ないバリアコーティング層を作ることができる。その為、紙部材に高いバリア性を付与し、生産性が高く、かつ、バリア性コーティング剤の使用量を最小にしていくことができる。しかも、本発明の製造方法は不良を低減させた高い生産性を有し、かつ、保存性能の高い紙容器を得ることが出来るなど、本発明のメリットは大きい。
1・・・・・・・・・紙部材
2・・・・・・・・・紙基材
21・・・・・・・・紙部材の端面
3・・・・・・・・・バリアコーティング層
30・・・・・・・・ポリビニルアルコール層
31・・・・・・・・浸透部(ポリビニルアルコール樹脂の浸透部)
300・・・・・・・コーティング範囲
301・・・・・・・非コーティング範囲
4・・・・・・・・・シーラント層
40・・・・・・・・表融着層
41・・・・・・・・シーラント層単体融着部
42・・・・・・・・シーラント端面巻き込み部
43・・・・・・・・スカイブ・ヘミング加工融着部
5・・・・・・・・・溶融ポリエチレン層
6・・・・・・・・・扁平状粉末
7・・・・・・・・・透過しない酸素ガス
8・・・・・・・・・透過する酸素ガス
9・・・・・・・・・巻き合わせ融着部
91・・・・・・・・非コーティング融着部
a・・・・・・・・・容器外側
b・・・・・・・・・内容物が接する側の面
c・・・・・・・・・溶融ポリエチレン層の内表面

Claims (16)

  1. 内容物が接する側の紙面に、溶融ポリエチレン層、バリアコーティング層とシーラント層とを設けたことを特徴とする紙部材。
  2. シーラント層として、溶融ポリエチレン樹脂層を用いたことを特徴とする請求項1に記載の紙部材。
  3. バリアコーティング層として、バリア性ウレタン樹脂、バリア性アクリル樹脂、扁平状粉末とビニルアルコール樹脂の混合物、扁平状粉末とバリア性アクリル樹脂の混合物、または、バリア性ウレタン樹脂とバリア性アクリル樹脂とを含む混合物の、いずれかの皮膜を、少なくとも1層以上設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の紙部材。
  4. 扁平状粉末が無機層状鉱物で、雲母、または雲母を主体とした変成岩、および水膨潤性合成雲母であることを特徴とする請求項3に記載の紙部材。
  5. バリア性ウレタン樹脂が、酸基を有するポリウレタン樹脂とポリアミン化合物とを含有する水性ポリウレタン樹脂(A)、水溶性高分子(B)、および扁平状粉末(C)、を主たる構成成分とした混合樹脂であることを特徴とする請求項3又は4に記載の紙部材。
  6. 水溶性高分子(B)は、鹸化度が95%以上、かつ重合度が300〜2000のポリビニルアルコール樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の紙部材。
  7. バリア性アクリル樹脂が、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコール系ポリマーと水系媒体とを含む水系塗工液の混合樹脂であることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の紙部材。
  8. 水系塗工液が可塑剤を含むことを特徴とする請求項7に記載の紙部材。
  9. タンデム式溶融押出貼り合わせ機を使用し、第1の押し出しダイで紙基材の上に溶融ポリエチレン樹脂層を貼り合わせ、
    溶融ポリエチレン樹脂層上にバリアコーティング層をタンデム式溶融押出貼り合わせ機のアンダーコート装置で塗工し、
    第2の押し出しダイで、バリアコーティング層の上にシーラント層を貼り合わせることを特徴とする紙部材の製造方法。
  10. 第1の押し出しダイで紙基材の上に溶融ポリエチレン樹脂層を貼り合わせる前に、紙基材の表面をコロナ放電処理することを特徴とする請求項9に記載の紙部材の製造方法。
  11. 少なくとも胴部と底板に、請求項1〜8に記載した紙部材を用いたことを特徴とする紙容器。
  12. 紙容器を形成する胴部の端部同士を貼り合わせる巻き合わせ融着部において、内側となる紙部材にバリアコーティング層を設けない非コーティング領域を設けることを特徴とする請求項11に記載の紙容器。
  13. 紙容器を形成する胴部の端部同士を貼り合わせる巻き合わせ融着部において、非コーティング領域の幅が、巻き合わせ融着部幅よりも小さいことを特徴とする請求項12に記載の紙容器。
  14. 紙容器を形成する胴部の端部同士を貼り合わせる巻き合わせ融着部において、内側となる紙部材の端面をエッジプロテクトすることを特徴とする請求項11〜13に記載の紙容器。
  15. 紙容器を形成する胴部の端部同士を貼り合わせる貼り合せ部において、内側となる紙部材端面のエッジプロテクトとして、スカイブ・ヘミング加工することを特徴とする請求項14に記載の紙容器。
  16. 紙容器を形成する胴部の端部同士を貼り合わせる貼り合せ部において、内側となる紙部材端面のエッジプロテクトとして、予め巻き合わせ融着部周囲を抜き加工し、融着可能な熱可塑性樹脂を貼り合わせ、端縁を熱可塑性樹脂層で覆ったことを特徴とする請求項14に記載の紙容器。
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