JP2015077599A - ナノウェブとスクリムの耐久性積層物 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルター業界では、ナノウェブ層の優れた濾過性質を保持すると共に、さらに改良しなくてもプリーツ加工が可能な、スクリムにナノウェブを加えた構造を必要としている。【解決手段】ナノ繊維層と支持体層とを含む濾過媒体であって、ナノ繊維層が、ポリマー材料を含み、かつ約0.01〜1.0ミクロンの繊維直径、約0.5〜30gsmの坪量、および少なくとも約2ミクロンの厚さを有し、ナノ繊維層が少なくとも約5kN/mの表面安定性指標をさらに有し、媒体はさらにプリーツを付けられている、濾過媒体。【選択図】なし
Description
本発明は、真空掃除機、集塵器、ガスタービン吸気口の空気フィルターシステム、暖房・換気・空調のフィルターシステムを含む濾過用途、または気体流または汚染空気流から塵、ごみ、および他の微粒子を除去するためのさまざまな他の用途に一般的に使用できる、濾過媒体およびフィルター構造に関する。
ガス流は粒状物質(particulate material)を運ぶことが多い。多くの場合、ガス流から粒状物質の一部または全部を除去するのが望ましい。例えば、発動機付き乗り物のエンジンまたは発電装置へ向かう空気取入れ口の流れ、ガスタービンへ向けられるガス流、およびさまざまな燃焼炉への空気流は、同伴粒状物質を含んでいることが多い。粒状物質は、関係するさまざまな機械の内部の仕組みに達すると、かなりの損傷を引き起こしうる。
関係するエンジン、タービン、炉、またはその他の装置の上流のガス流から粒状物質を除去することが、多くの場合に必要とされる。別の例は、商業用および住宅用の暖房、換気、および空調(HVAC)のフィルターシステムである。HVACシステムに向かう空気流は、花粉、胞子、大気粉塵、および他のサブミクロン粒子などの粒状物質を運ぶことが多い。アレルギー反応ならびに生じうる健康上のリスクを減らすために、粒状物質を除去することが望ましい。
関係するエンジン、タービン、炉、またはその他の装置の上流のガス流から粒状物質を除去することが、多くの場合に必要とされる。別の例は、商業用および住宅用の暖房、換気、および空調(HVAC)のフィルターシステムである。HVACシステムに向かう空気流は、花粉、胞子、大気粉塵、および他のサブミクロン粒子などの粒状物質を運ぶことが多い。アレルギー反応ならびに生じうる健康上のリスクを減らすために、粒状物質を除去することが望ましい。
ナノ繊維およびナノ繊維を含むウェブ組成物は、濾過用途向けの濾過媒体の形成を含めさまざまな用途に用いることができる改良された性質を有している。例えば、空気濾過用途でのナノ繊維の使用について記載している米国特許第7,008,465号明細書を参照されたい。
細繊維の濾過媒体を作る際に、ガラス繊維、金属、セラミックス、およびある種のポリマー組成物を含め、さまざまな材料が用いられてきた。さまざまな繊維形成方法または技術が、直径の小さいマイクロファイバーおよびナノ繊維の製造に用いられてきた。1つの方法では、材料を溶融物質または溶液(後で蒸発させる)のいずれかとして、細い毛細管または開口部を通過させることが関係する。繊維は、ナイロンなどの合成繊維の製造にとって普通である「紡糸口金」を用いて形成することもできる。静電紡糸(electrostatic spinning)も知られている。そのような技術は、皮下注射針、ノズル、毛細管または可動エミッターの使用が関係している。そうした構造により、ポリマー溶液が供給され、ポリマー溶液は次いで高電圧の静電場によって回収ゾーンに引き寄せられる。材料がエミッターから引っ張られ、静電気ゾーンを通過して加速するにつれ、繊維は非常にまばらになり、溶剤の蒸発によって繊維構造が形成されうる。
濾過用途では、流体が衝突するのに利用できる有効表面積を増大させるために、濾過媒体にプリーツを付けることが一般に知られている。従来の技術で作られたナノ繊維ウェブは、ナノ繊維ウェブ層の繊維表面安定性が劣るものになる。スクリムとナノ繊維ウェブ層との間の接着強度が低下すると、プリーツ付きフィルター(pleated filter)を作る際のプリーツ付け特性が許容できないものとなってしまった。ナノ繊維ウェブはプリーツ加工ロールによって擦り減り、ナノウェブ層はプリーツ加工の過程の際にスクリムから剥離される。
ナノウェブ層の繊維の摩損および剥離から保護するために、通常、第2スクリムを用いて「SNS」(すなわち、スクリム−ナノウェブ−スクリム)構造を作る。第2スクリムは、接着接合または超音波接合および熱接着で接着されるが、その場合、コストおよび製造物の厚さが増大する。製造物が厚くなると、プリーツ付きフィルターのプリーツ加工密度(1インチ当たりのプリーツの数)が限定されるであろう。
例えば、先行技術の1つの商業実施形態では、プリーツ付きフィルターは超音波接合技術で接着される「SNS」構造で作られている。
2番目の商業実施形態では、プリーツ付きフィルターは「SN」構造で作られているが、ナノ繊維ウェブ層の坪量(basis weight)は典型的には1平方メートル当たり0.5グラム(gsm)未満であり、そのスクリムは湿式(wet-laid)紙およびスパンボンド不織布で作られている。
3番目の商業実施形態では、媒体は、ナノ繊維層の坪量が2gsm未満でありかつそのスクリムが130gsmのスパンボンドのポリエチレンテレフタレート(PET)である、「SN」構造である。
フィルター業界では、ナノウェブ層の優れた濾過性質を保持すると共に、さらに改良しなくてもプリーツ加工が可能な、スクリムにナノウェブを加えた構造を必要としている。
本発明者らは、スクリムにナノウェブを加えた単純な構造のプリーツ加工に関連した問題を回避する方法を見出した。
本発明は、ナノ繊維層と支持体層とを含む濾過媒体であって、ナノ繊維層が、ポリマー材料を含み、かつ約0.01〜1.0ミクロンの繊維直径、約0.5〜30gsmの坪量、および少なくとも約2ミクロンの厚さを有し、ナノ繊維層が少なくとも約5kN/mの表面安定性指標(surface stability index)をさらに有し、媒体はさらにプリーツが付けられている、濾過媒体に関する。
本明細書で使用される「ナノウェブ」および「ナノ繊維ウェブ」は同義語である。同様に、「スクリム」および「支持体」も同義語である。
本明細書で使用される「不織ウェブ」または「不織材(nonwoven material)」という用語は、フィブリル化された薄膜または編地におけるものなど、(規則的でも識別可能でもない仕方で)間に入れられた個別の繊維、フィラメント、または糸の構造を有するウェブを意味する。不織ウェブまたは不織材は、多くの方法、例えば、メルトブローイング(meltblowing)法、スパンボンディング法、および接着カードウェブ法(bonded carded web processes)などによって形成されてきた。不織ウェブまたは不織材の坪量は、普通は、1平方ヤード当たりの材料のオンス(osy)または1平方メートル当たりのグラム(gsm)で表わされ、用いられる繊維直径は、普通はミクロンで表わされる。
「スクリム」は支持層であり、ナノウェブを接着、付着、または積層することができる任意の平面構造であってよい。有利には、本発明に有用なスクリム層はスパンボンド不織層であるが、カーディングされた不織繊維ウェブなどから作ることができる。一部のフィルター用途に有用なスクリム層では、プリーツおよび永久折り目を保持するのに十分なこわさが必要である。
本明細書で使用される「ナノ繊維」という用語は、数平均直径(number average diameter)または断面が、約1000nm未満、さらには約800nm未満、さらには約50nmから500nmまでの間、さらには約100から400nmまでの間である繊維を指す。本明細書で使用される直径という用語は、丸くない形状の最大断面を含む。
紡糸されたままの状態の不織ウェブは、伝統的な電気紡糸(electrospinning)または電気ブロー加工(electroblowing)などの電気紡糸法で、またある特定の状況ではメルトブローイング法で製造されるナノ繊維を主に含むか、またはそのナノ繊維のみを含む。伝統的な電気紡糸は、高電圧を溶液中のポリマーに加えてナノ繊維と不織マットを作り出す、米国特許第4,127,706号明細書(その全体を本明細書に援用する)に示されている技術である。しかし、電気紡糸法における全押出量は、もっと重い坪量のウェブを形成する際に商業的に実現可能であるためには、あまりに少なすぎる。
「電気ブロー加工」法は、国際公開第03/080905号パンフレット(その全体を本明細書に援用する)に開示されている。ポリマーと溶剤とを含むポリマー溶液の流れを、貯蔵タンクから紡糸口金内の一連の紡糸ノズルに供給し、そこに高電圧を加え、そこを通じてポリマー溶液が放出される。その間に、任意選択的に加熱された圧縮空気が、紡糸ノズルの各側または周囲に配置された空気ノズルから出される。空気は、新たに出されるポリマー溶液を包み込んで送り出しかつ繊維性ウェブの形成を助長する吹き出しガス流として、一般には下方に向けられる。繊維性ウェブは、真空室の上にある接地された多孔質回収ベルト(porous collection belt)上に回収される。電気ブロー加工法では、比較的短時間の間に、約1gsmを超える、さらには約40gsm以上もの坪量の、商業用サイズおよび量のナノウェブを形成できる。
支持体またはスクリムは、コレクター上に配置して、支持体上に紡糸されるナノ繊維ウェブを回収しかつ一緒にすることができ、一緒にされた繊維ウェブは高性能のフィルター、ふき取り布(wiper)などに使用される。支持体の例としては、さまざまな不織布(メルトブローン不織布、ニードルパンチまたは紡糸編上げ(spunlaced)不織布など)、織布、メリヤス生地、紙などを挙げることができ、またそれらはナノ繊維層を支持体上に設けることができる限り、限定されずに使用できる。不織布は、スパンボンド繊維、乾式(dry-laid)または湿式繊維、セルロース繊維、メルトブローン繊維、ガラス繊維、またはそれらのブレンドを含むことができる。
以下の電気ブロー加工法の条件を用いて本発明のウェブを製造することができる。
紡糸口金に加える電圧は、好ましくは約1〜300kV、より好ましくは約10〜100kVの範囲である。ポリマー溶液は、約0.01〜200kg/cm2、好ましくは約0.1〜20kg/cm2の範囲の圧力で放出することができる。これにより、大量生産に適した仕方で多量のポリマー溶液を放出することができる。本発明の方法は、約0.1〜5cc/分−孔の放出速度(discharge rate)でポリマー溶液を放出できる。
空気ノズルを介して注入される圧縮空気は、流量が約10〜10,000m/分、好ましくは約100〜3,000m/分である。空気の温度は、好ましくは約300℃の範囲、より好ましくは約100℃の範囲である。金型からコレクターまでの距離(DCD)、すなわち紡糸ノズルの下端と吸引コレクターとの間の距離は、好ましくは約1〜200cm、より好ましくは10〜50cmである。
本発明のナノウェブを形成するのに使用できるポリマー材料は、特に限定されず、付加重合体材料および縮合重合体材料の両方が含まれ、それには、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、変性ポリスルホンポリマー、およびそれらの混合物がある。こうした一般的種類に含まれる好ましい材料として、ポリ(塩化ビニル)、ポリメタクリル酸メチル(および他のアクリル樹脂)、ポリスチレン、およびそれらのコポリマー(ABA型ブロックコポリマーを含む)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリビニルアルコール(さまざまな加水分解度(87%〜99.5%)のもの)で架橋形態および非架橋形態のものがある。好ましい付加重合体はガラス質(室温より高いTg)である傾向がある。ポリ塩化ビニルおよびポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンポリマーの組成物または合金の場合にそうであり、あるいはポリフッ化ビニリデンおよびポリビニルアルコール材料の場合には結晶性が低い。ポリアミド縮合重合体の1つの好ましい種類は、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン6,6−6,10などのナイロン材料である。本発明のポリマーナノウェブをメルトブローイングで形成する場合、メルトブローしてナノ繊維にすることが可能な任意の熱可塑性ポリマーを使用でき、それには、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブチレンなど)、ポリエステル(ポリ(エチレンテレフタレート)など)およびポリアミド(上に挙げたナイロンポリマーなど)が含まれる。
繊維ポリマーのTgを下げるために、上述のさまざまなポリマーに当該技術分野において周知の可塑剤を添加するのが有利でありうる。好適な可塑剤は、電気紡糸または電気ブローされるポリマー、ならびにナノウェブを採用する特定の最終用途によって異なるであろう。例えば、ナイロンポリマーは、水で可塑化するか、または電気紡糸または電気ブロー加工の工程で残る残留溶剤で可塑化することさえもできる。ポリマーのTgを下げるのに有用でありうる当該技術分野において周知の他の可塑剤として、脂肪族グリコール類、芳香族のスルファノミド(sulphanomides)、フタル酸エステル(限定されないが、フタル酸ジブチル、ジヘキシル(dihexl)フタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジドデカニルフタレート(didodecanyl phthalate)、およびジフェニルフタレートよりなる群から選択されるものを含む)などが含まれるが、これらに限定されない。Handbook of Plasticizers,edited by George Wypych,2004 Chemtec Publishing(本明細書に援用する)は、本発明に使用できる他のポリマー/可塑剤の組合わせを開示している。
電気ブロー加工法では、スピニングビームの下のコレクター真空度での吸込圧力および乾燥機セクションの真空圧は、ナノ繊維表面の安定性およびナノウェブ層とスクリムとの間の接着強度を制御する非常に重要なプロセスパラメーターである。スピニングビームの下のナノウェブ層は粘着性が大きくなり、紡糸剤で溶媒和される。吸込圧力が大きいと、ナノウェブはスクリム層と一体になることができ、紡糸剤との粘着性によって「繊維と繊維」の接着を促進できる。スクリム中へのナノウェブの機械的固着は、大きな吸込圧力によって増大する。
本発明は、濾過媒体の形態(フラットパネルまたは円筒装置(cylindrical unit)の形態のフィルターカートリッジ)で使用でき、さまざまな濾過方法用途に使用できる。そのような用途としては、気体と液体の両方の流れの濾過、真空掃除機、除塵、自動車、および他の輸送手段用途(車両および航空機装置の濾過用途の両方を含む)、ドナルドソン・カンパニー社(Donaldson Company,Inc.)のPowercore(Z媒体)の利用におけるこれらの物質の使用、発電所のガスタービン吸気流の濾過、軍事、住宅、工業、および健康管理のための室内空気の濾過、健康、効率的製造、清浄度、安全性、または他の重要な目的のために小粒子の低減が重要である半導体製造および他の用途、生物学的災害物質または化学災害(chemhazard)物質を局所環境から除去する目的のための軍事利用における空気流の濾過、例えば、スペースシャトル、航空機の空気再循環、潜水艦、クリーンルーム、ならびに、公務員/安全要員(safety personnel)(警察官や消防隊員(fire)など)、軍関係者、一般市民、入院患者、産業労働者、および吸入する空気から小粒子を除去する点で高度の効率を求める他の人々が使用する呼吸装置(respirator devices)における高効率フィルターのような他の閉鎖用途で使用される閉鎖換気装置の濾過などがある。
さまざまなフィルター設計が、濾過材料と一緒に使用される1つおよび複数のフィルター構造のさまざまな態様を開示および特許請求している特許に示されている。Engelら(米国特許第4,720,292号明細書)は、略円筒形のフィルターエレメント設計を有するフィルターアセンブリ用のラジアル・シール設計を開示しており、そのフィルターエレメントは、円筒形の放射状に内側に面した表面を有する比較的軟らかいゴム状のエンドキャップで密封されている。Kahlbaughら(米国特許第5,082,476号明細書)は、本発明のマイクロファイバー材料と組み合わせるプリーツ付き構成要素を有するフォーム支持体を含む縦型媒体(depth media)を使用したフィルター設計を開示している。Stifelmanら(米国特許第5,104,537号明細書)は、液体媒体を濾過するのに有用なフィルター構造に関するものである。液体は、フィルターハウジング中に運び込まれ、フィルターの外面を通過して内部の環状コアに入り、その後戻って構造の中で積極的に使用される。そのようなフィルターは、油圧油の濾過に非常に役立つ。Engelら(米国特許第5,613,992号明細書)は、典型的なディーゼルエンジンの空気取入口フィルター構造を示している。この構造は、含有液状水分を含むこともあればそうでない場合もある空気を、ハウジングの外面から得る。空気はフィルターを通過するが、水分はハウジングの底部まで移動でき、ハウジングから排出されうる。Gillinghamら(米国特許第5,820,646号明細書)は、適度な濾過性能を得るために、流体の流れが「Z」形状経路内の濾過媒体の少なくとも1つの層を通過することが必要なふさがれた通路を含んでいる特定のプリーツ付きフィルター設計を使用している、Zフィルター構造を開示している。プリーツが付けられたZ形状構成に形成された濾過媒体は、本発明の細繊維媒体を含むことができる。Glenら(米国特許第5,853,442号明細書)は、本発明の細繊維構造を含むことができるフィルターエレメントを有するバグハウス構造を開示している。Berkhoelら(米国特許第5,954,849号明細書)は、工作物の加工によって環境大気中にかなりの粉塵負荷が発生した後、空気流から粉塵を濾過するために、典型的には大きな粉塵負荷を有する空気を処理するのに役立つ粉塵コレクター構造を示している。最後に、Gillingham(米国意匠特許第425,189号明細書)は、Zフィルター設計を用いたパネルフィルターを開示している。
プリーツ加工は、当業者に知られている任意の方法で実施できる。例えば、型打ち隆起部を有するプリーツ付き濾過媒体を製造する方法が米国特許第3,531,920号明細書に記載されている。この方法によれば、ロールから、反対方向に回転する2つの加熱シリンダーを含むプレスへ濾過材料が渡される。シリンダーには、かみ合い隆起部とそれに対応する溝が備わっており、シリンダー間を通過する濾過材料は、深絞りによって耐久的に成形される。成形過程は濾過材料の構造の深絞り部分に影響を及ぼし、それによって濾過にとって重要な部分の元の濾過特性が変化する。
上述の方法の改良が、欧州特許出願公開第0429805号明細書に記載の方法によって成し遂げられている。この方法では、平らな濾過媒体が、ロールによって進行方向に対して横方向に集められ、その後、集められた材料に、成形装置の金型によって細長い隆起部が型押しされる。こうして集めることにより、型押し隆起部が必要とする追加の材料は、材料の張力が生じないようにされ、構造は濾過媒体の深絞り部分の変化が起きないようにされる。
独国特許出願公開第19630522号明細書は、延伸および未延伸合成繊維で作られた形成布帛をプロファイルカレンダーロール(profiled calender rolls)間で刻みを付けて接着することを記載している。この方法により、不織布の外観の一様性が変化することなく、不織布から濾過材料を製造できるであろう。
プリーツ形成装置(pleaters)には、ブレードとロータリーの2つ型がある。ブレード型プリーツ形成装置の操作は、ウェブを予熱し、その後、2つのブレードの上下動によりプリーツを作ることを伴う。プリーツを安定化するために、圧力下での後熱ゾーンが使用される。加熱ロータリー型プリーツ形成装置の操作は、加熱回転ナイフで媒体に刻みを付けること、および刻み線を折り、圧力をかけてプリーツを形成することを伴う。
試験方法
表面安定性指標(SSI)は、引っ張ったときにウェブの表面で繊維が剥がれる傾向を示す尺度である。ウェブの表面安定性指標は、以下の手法で測定した。磁石棒(magnetic bar)を伸び計(MTS QUEST(商標)5)の下側取り付け箇所に挿入した。およそ10.2cm×15.2cmの鋼板を、その磁石の上部に置いた。鋼板上に1本の両面テープをしっかり取り付けた。テープは幅が約6.4cm、長さが約7.6cmであった。一枚の試験材料(少なくとも5.1cm×5.1cm)を静かに両面テープ上に置いたが、平らになるようにした。試験材料の表面が乱されないように注意を払い、しわや折り目がつかないようにした。
表面安定性指標(SSI)は、引っ張ったときにウェブの表面で繊維が剥がれる傾向を示す尺度である。ウェブの表面安定性指標は、以下の手法で測定した。磁石棒(magnetic bar)を伸び計(MTS QUEST(商標)5)の下側取り付け箇所に挿入した。およそ10.2cm×15.2cmの鋼板を、その磁石の上部に置いた。鋼板上に1本の両面テープをしっかり取り付けた。テープは幅が約6.4cm、長さが約7.6cmであった。一枚の試験材料(少なくとも5.1cm×5.1cm)を静かに両面テープ上に置いたが、平らになるようにした。試験材料の表面が乱されないように注意を払い、しわや折り目がつかないようにした。
試験プローブは、末端直径(end diameter)が1.59cm(0.625インチ)(面積=1.98cm2)の鋼製円柱であった。このプローブの末端を1本の同じ両面テープで覆い、そのテープを切断してプローブにぴったり合わせた。そのプローブを、伸び計のクロスヘッドの50Nロードセル中に取り付けた。クロスヘッドを下げて、試料の表面より500μm〜1000μmだけ上にプローブがくるようにした。この開始点を、伸びがゼロであるとした。
0.127cm/分(0.050インチ/分)の連続速度(continuous rate)でプローブが下方向に(試料に向かって)移動するままにさせた。試料とプローブとの間で垂直抗力が2.2N(0.5lbf)になるまで、プローブは下がり続けた。プローブはこの位置に10秒間とどまった。この後、プローブの方向は逆になり、0.254cm/分(0.10インチ/分)の連続速度で試料から離れていった。この動きは、クロスヘッドがその開始点に達するまで続いた。
試験の除荷部分についての荷重=0軸の近くの荷重と伸びのグラフの傾斜を、そのデータから得た。傾斜の計算の開始点は、できるだけ荷重=0軸の近くに割り当てたが、正の荷重値を有するポイントが好ましい。終点は、除荷曲線の直線部分に沿って、開始点から10μmを超えるポイント(伸び)を選択した。試験ソフトウェアが、最小自乗法の直線傾向線を開始点と終点との間のデータに自動的にあてはめた。傾向線の傾斜はlb/インチまたはN/mで報告した。傾斜の絶対値を表面安定性指標(SSI)として報告した。
測定は、所与の試料のナノウェブ側で5回行ったが、試験片は再使用しなかった(すなわち、試験は破壊試験であった)。テープの2つの部分(試料板とプローブの側)を毎回の測定後に交換した。5つの試験片の値を平均して、試料の1つの表面安定性値を得る。
坪量(BW)はASTM D−3776(本明細書に援用する)で測定した。これはg/m2(gsm)で報告してある。
繊維直径は以下のようにして測定した。それぞれの細繊維層の試料について、5,000×の倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)の画像を10枚撮った。11本の明確に区別できる細繊維の直径を写真から測定し、記録した。欠陥(すなわち、細繊維の塊、ポリマー滴、細繊維の交差部分)は含めなかった。それぞれの試料の平均(average)(平均(mean))繊維直径を計算した。
厚さは、走査型電子顕微鏡法を用いて測定した。厚さはミクロンで報告してある。
本発明を示すために、以下の実施例を用意した。
実施例1
実施例1では、国際公開第03/080905号パンフレットに記載されているように、24%のポリアミド−6,6のギ酸溶液を電気ブロー加工によって紡糸した。紡糸口金に加えた電圧は85kVであり、1cm間隔に配置されたノズルの孔を用いて、2.0cc/孔/分の押出量でポリマー溶液を紡糸した。実施例1は、コレクターの真空度が80mm水柱、乾燥機の真空度が40mm水柱において、70gsmのポリエステルスクリムまたは支持体層上に回収した。ライン・スピードは14.5m/分であった。また坪量が4.2gsmのウェブを製造した。紡糸における室温はおよそ27℃であり、室内湿度は88%であった。金型からコレクターまでの距離は400mmに設定した。プロセスガス温度は、ノズル幅1メートル当たり4m3/分のそれぞれの流量で38℃であった。繊維は、0.3ミクロンの繊維直径を有していた。表面安定性試験を実施し、得られた表面安定性指標は14.3kN/m(81.5lbf/インチ)であった。
実施例1では、国際公開第03/080905号パンフレットに記載されているように、24%のポリアミド−6,6のギ酸溶液を電気ブロー加工によって紡糸した。紡糸口金に加えた電圧は85kVであり、1cm間隔に配置されたノズルの孔を用いて、2.0cc/孔/分の押出量でポリマー溶液を紡糸した。実施例1は、コレクターの真空度が80mm水柱、乾燥機の真空度が40mm水柱において、70gsmのポリエステルスクリムまたは支持体層上に回収した。ライン・スピードは14.5m/分であった。また坪量が4.2gsmのウェブを製造した。紡糸における室温はおよそ27℃であり、室内湿度は88%であった。金型からコレクターまでの距離は400mmに設定した。プロセスガス温度は、ノズル幅1メートル当たり4m3/分のそれぞれの流量で38℃であった。繊維は、0.3ミクロンの繊維直径を有していた。表面安定性試験を実施し、得られた表面安定性指標は14.3kN/m(81.5lbf/インチ)であった。
以下の手順に従ってウェブにプリーツを付けた。プリーツ加工の試みは、二重ブレードと(温度および圧力を加えてプリーツを安定化させる)加熱ゾーンとからなるブレード型プリーツ加工機を用いて実施した。プリーツの深さは30mmに設定し、プリーツ付けの速度は75プリーツ/分であった。プリーツ性能は、プリーツの形成および均一性、プリーツ加工後の媒体の完全な状態、ならびに目視観測に基づく媒体の損傷に基づいて評価した。プリーツ性能は優れており、プリーツの明確な形成性(definition)および均一性が良好であった。剥離も層分離も損傷も、観察されなかった。
実施例2
実施例2では、国際公開第03/080905号パンフレットに記載されているように、24%のポリアミド−6,6のギ酸溶液を電気ブロー加工によって紡糸した。紡糸口金に加えた電圧は85kVであり、1cm間隔に配置されたノズルの孔を用いて、1.0cc/孔/分の押出量でポリマー溶液を紡糸した。実施例2は、コレクターの真空度が80mm水柱、乾燥機の真空度が20mm水柱において、70gsmのポリエステルスクリムまたは支持体層上に回収した。ライン・スピードは25m/分であった。また坪量が1.2gsmのウェブを製造した。紡糸における室温はおよそ27℃であり、室内湿度は80%であった。金型からコレクターまでの距離は420mmに設定した。プロセスガス温度は、ノズル幅1メートル当たり4m3/分のそれぞれの流量で38℃であった。繊維は、0.3ミクロンの繊維直径を有していた。表面安定性指標を検査すると、7.97kN/m(45.5lbf/インチ)であった。
実施例2では、国際公開第03/080905号パンフレットに記載されているように、24%のポリアミド−6,6のギ酸溶液を電気ブロー加工によって紡糸した。紡糸口金に加えた電圧は85kVであり、1cm間隔に配置されたノズルの孔を用いて、1.0cc/孔/分の押出量でポリマー溶液を紡糸した。実施例2は、コレクターの真空度が80mm水柱、乾燥機の真空度が20mm水柱において、70gsmのポリエステルスクリムまたは支持体層上に回収した。ライン・スピードは25m/分であった。また坪量が1.2gsmのウェブを製造した。紡糸における室温はおよそ27℃であり、室内湿度は80%であった。金型からコレクターまでの距離は420mmに設定した。プロセスガス温度は、ノズル幅1メートル当たり4m3/分のそれぞれの流量で38℃であった。繊維は、0.3ミクロンの繊維直径を有していた。表面安定性指標を検査すると、7.97kN/m(45.5lbf/インチ)であった。
ウェブは、実施例1と同じ手順に従ってプリーツを付けた。プリーツ性能はかろうじて許容できるものであった。
比較例A
比較例Aでは、国際公開第03/080905号パンフレットに記載されているようにして、24%のポリアミド−6,6のギ酸溶液を電気ブロー加工によって紡糸した。紡糸口金に加えた電圧は85kVであり、1cm間隔に配置されたノズルの孔を用いて、1.0cc/孔/分の押出量でポリマー溶液を紡糸した。繊維は、コレクターの真空度が80mm水柱、乾燥機の真空度が20mm水柱において、75gsmのポリエステルスクリムまたは支持体層上に回収した。ライン・スピードは15m/分であった。また坪量が2gsmのウェブを製造した。紡糸における室温はおよそ31℃であり、室内湿度は50%であった。金型からコレクターまでの距離は400mmに設定した。プロセスガス温度は、ノズル幅1メートル当たり4m3/分のそれぞれの流量で58℃であった。繊維は、0.6ミクロンの繊維直径を有していた。表面安定性指標を検査すると、4.25kN/m(24.3lbf/インチ)であった。
比較例Aでは、国際公開第03/080905号パンフレットに記載されているようにして、24%のポリアミド−6,6のギ酸溶液を電気ブロー加工によって紡糸した。紡糸口金に加えた電圧は85kVであり、1cm間隔に配置されたノズルの孔を用いて、1.0cc/孔/分の押出量でポリマー溶液を紡糸した。繊維は、コレクターの真空度が80mm水柱、乾燥機の真空度が20mm水柱において、75gsmのポリエステルスクリムまたは支持体層上に回収した。ライン・スピードは15m/分であった。また坪量が2gsmのウェブを製造した。紡糸における室温はおよそ31℃であり、室内湿度は50%であった。金型からコレクターまでの距離は400mmに設定した。プロセスガス温度は、ノズル幅1メートル当たり4m3/分のそれぞれの流量で58℃であった。繊維は、0.6ミクロンの繊維直径を有していた。表面安定性指標を検査すると、4.25kN/m(24.3lbf/インチ)であった。
ウェブは、実施例1と同じ手順に従ってプリーツを付けた。プリーツ性能は不合格であった。スクリムからのナノウェブの剥離および分離が生じた。それにより、ナノウェブの損傷が起き、プリーツ形成が不良であった。
以下に、本発明の態様を示す。
1.ナノ繊維層と支持体層とを含む濾過媒体であって、前記ナノ繊維層が、ポリマー材料を含み、かつ約0.01〜1.0ミクロンの繊維直径、約0.5〜30gsmの坪量、および少なくとも約2ミクロンの厚さを有し、前記ナノ繊維層が少なくとも約5kN/mの表面安定性指標をさらに有し、前記媒体はさらにプリーツを付けられている、濾過媒体。
2.上記1に記載の濾過媒体を含む、フィルター。
3.前記支持体層が、スパンボンド繊維、乾式または湿式繊維、セルロース繊維、メルトブローン繊維、ガラス繊維、またはそれらのブレンドを含んでいる不織布を含む、上記1に記載の濾過媒体。
1.ナノ繊維層と支持体層とを含む濾過媒体であって、前記ナノ繊維層が、ポリマー材料を含み、かつ約0.01〜1.0ミクロンの繊維直径、約0.5〜30gsmの坪量、および少なくとも約2ミクロンの厚さを有し、前記ナノ繊維層が少なくとも約5kN/mの表面安定性指標をさらに有し、前記媒体はさらにプリーツを付けられている、濾過媒体。
2.上記1に記載の濾過媒体を含む、フィルター。
3.前記支持体層が、スパンボンド繊維、乾式または湿式繊維、セルロース繊維、メルトブローン繊維、ガラス繊維、またはそれらのブレンドを含んでいる不織布を含む、上記1に記載の濾過媒体。
Claims (1)
- ナノ繊維層と支持体層とを含む濾過媒体であって、前記ナノ繊維層が、ポリマー材料を含み、かつ約0.01〜1.0ミクロンの繊維直径、約0.5〜30gsmの坪量、および少なくとも約2ミクロンの厚さを有し、前記ナノ繊維層が少なくとも約5kN/mの表面安定性指標をさらに有し、前記媒体はさらにプリーツを付けられている、濾過媒体。
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