JP2015077588A - 湿式集塵機及びその使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 建物の解体現場で使用できる集塵能力に優れかつ運転の手間が省ける集塵機が従来は存在していなかった。【解決手段】 液体を溜める密閉構造の水槽、粉塵を含む機外の空気を当該液体に吹き込む送気ノズル及び当該密閉構造の水槽内の空気を機外に排気するフィルタ付の排気口を少なくとも構成要素とする湿式集塵機にいて、前記送気ノズルの下端付近の側面に複数の孔が設けられていることを特徴とする湿式集塵機【選択図】図1

Description

本発明は建物の解体現場などでの粉塵を低減するため湿式の集塵機とその使用方法に関する。
従来の集塵機には、送風機で粉塵が舞う解体現場の空気を吸引して紙や高分子製のフィルタを介して排気するフィルタ式集塵機、放電で集塵する電気集塵機(たとえば特許文献1)、水や油などに粉塵入りの吸引空気を吹き付ける湿式集塵機及びそれらを組み合わせた集塵機がある。粉塵を水面にたたきつけて集塵するタイプの従来技術が特許文献2で紹介されている。液体として水ではなく油を用いるタイプの従来技術が特許文献3で紹介されている。
特開平11−128770号公報 特開平8−257433号公報 特開平8−187412号公報
従来の集塵機の中でフィルタ式集塵機では、粉塵が多い解体現場ではフィルタがすぐに詰まってしまう課題を抱えていた。電気集塵機では解体現場の粉塵を処理するにはかなり大型の集塵機となってしまう課題を抱えていた。このため、解体現場には湿式の集塵機が適しているがこれまでの湿式集塵機(特許文献2、特許文献3)では、吸引空気を液体に吹き付けるノズルの下端が液面から離れており粉塵を含んだ空気が液面の上で反射して液に触れずに集塵機の外にそのまま出てしまう課題を抱えていた。図3に従来の湿式集塵機の構造を模式的に示す。集塵機1は液体を溜める水槽2と吸引空気を液面に吹き付けるノズル3’と水槽からの排気口4で構成されている。排気口にはフィルタが取り付けられている。ノズルの下端が液体100の液面から離れた上方にあるため吸引空気101が液面に反射してその多くの部分が液面に触れずに排気口に向かうことになる。反射した空気102を図3では矢印で模式的に表した。このように従来の湿式の集塵機では吸引空気の多くの部分が液体に触れずに排気口に向かい、排気口のフィルタの汚れが早く、頻繁に集塵機を停止してフィルタを取り換えなければならないという課題を抱えていた。
本発明の湿式集塵機は、液体を溜める密閉構造の水槽、粉塵を含む機外の空気を当該液体に吹き込む送気ノズル及び当該密閉構造の水槽内の空気を機外に排気するフィルタ付の排気口を少なくとも構成要素とすることに加え、前記送気ノズルの下端付近の側面に複数の孔が設けられていることを第1の特徴とし、
第2の特徴として、前記第1の特徴に加えて、前記水槽の底部に排水弁を備えていることを特徴とし、
第3の特徴として、前記第1または第2の特徴に加えて、前記水槽の前記送気ノズルの下端下方の位置に水流制御板を備えていることを特徴とし、
本発明の湿式集塵機の使用方法として、第1の特徴を備える湿式集塵機の前記送気ノズル下端を液体の中に浸した状態で使用することを第4の特徴とし、
第5の特徴として、前記第4の特徴に加えて、第2の特徴を備える湿式集塵機の液体の一部のみを前記排水弁から排水し、前記排水した液体の量と等量を加えて使用することを特徴とし、
第6の特徴として、前記第5の特徴に加えて、前記水流制御板に前記粉塵を含む機外の空気を吹き付けて使用することを特徴とする。
本発明の第1の特徴を備える湿式集塵機は、液体を溜める密閉構造の水槽、粉塵を含む機外の空気を当該液体に吹き込む送気ノズル及び当該密閉構造の水槽内の空気を機外に排気するフィルタ付の排気口を少なくとも構成要素とすることに加え、前記送気ノズルの下端付近の側面に複数の孔が設けられている特徴を備える場合には、前記複数の孔から吹き出す空気により液体を泡立てて粉塵を含む空気が泡となった水の薄い水膜をいくつも通り抜けさせる状態にする。このことで、吹き込んだ空気の気流の勢いを削がずに確実に粉塵を液体中に取り込むことができる。
第2の特徴として、前記第1の特徴に加えて、前記水槽の底部に排水弁を備えている場合には、液体中に取り込まれて水槽の底部に沈澱した粉塵及び粉塵の含有率が高い濃い懸濁液を底部の排水弁を通して選択的に排出することができる。
第3の特徴として、前記第1または第2の特徴に加えて、前記水槽の前記送気ノズルの下端下方の位置に水流制御板を備えている場合には水流制御板によって、液体の上部は水流が激しく泡が発生しやすい状態となり、液体の下部は水流が緩やかで懸濁液中の粉塵が底部に沈澱しやすくなる。
第4の特徴として、第1の特徴を備える湿式集塵機の前記送気ノズル下端を液体の中に浸した状態で使用する場合には、前記ノズルによって吸入空気を液体中に勢いよく吹き込むことができ、泡の原因となる激しい水流を発生しやすくできる。加えて、ノズルの下端が液体中に浸っていることでノズル下端近傍の孔から勢いよく空気を噴出することができ、液体の泡を効果的に作りだすことができる。
第5の特徴として、前記第4の特徴に加えて、第2の特徴を備える湿式集塵機の液体の一部のみを前記排水弁から排水し、前記排水した液体の量と等量を加えて使用する特徴を備える場合には、粉塵を多く含む液体を選択的に排水し等量の清浄水を追加することで交換する水の量を少なくできる。
第6の特徴として、前記第5の特徴に加えて、前記水流制御板に前記粉塵を含む機外の空気を吹き付けて使用する場合には、粉塵を多く含む液体は下方に溜まるので、激しく泡立てられている液体は比較的粉塵の含有量が少ない液体とすることができ、集塵運転中の液体の交換作業の回数を減らすことができる。
本発明の第1の実施例を示した断面図である。 本発明の第2の実施例を示した断面図である。 従来の湿式集塵機を示した断面図である。
吸引した粉塵を含む空気で集塵機内の水をバブリングして(泡立てて)粉塵を水中に取り込む本発明の集塵機の実施例を図1に示す。図1において、集塵機1は、水槽2、粉塵を含んだ空気を水に吹き込むためのノズル3、排気口4、前記ノズルに設けた側面吹き出し孔5、傘形状の水流制御板である水流制御傘6及び懸濁液排出バルブ7で構成されている。水槽には液体100がちょうど前記側面吹き出し孔の孔の一部分が水中になるように溜められている。粉塵を含んだ吸引空気101は集塵機の外部に取り付けられたファンの送気によって前記ノズルを通って紙面の上方から下方に向かって吹き付けられ、その多くが突き当りにある水面で曲げられて前記側面吹き出し孔から勢いよく吹き出す。この空気を側面吹き出し空気103と呼ぶ。側面吹き出し空気は、狭い孔の部分を通過する際に液体を巻き込んで乱気流を発生させて液体をよく泡立たせることができる。前記吸引空気の一部は水面を通り抜けて水中に入り込む。これを水中吹き出し空気104と呼ぶ。吸引空気の勢いが強ければ水中吹き出し空気の割合が増えるが勢いが弱ければ少なくなる。前記水中吹き出し空気の量はノズルがどの程度水中に伸びているかにも依存する。ノズル先端が水中の浅いところまでしか伸びていなければ前記水中吹き出し空気の割合は多くなる。
前記側面吹き出し空気の挙動について詳細に説明する。前記側面吹き出し空気はノズルから吹き出す際に水面を波立たせて泡を立てる。前記側面吹き出し空気は泡を立てながら更に進みその先にも泡を立てて、勢いをなくしていく。この間、前記側面吹き出し空気中に混入していた粉塵は泡の薄い水膜を通過して行くが、その際に水膜に取り込まれて懸濁液を作り出していく。空気が泡の薄い水膜を通過する際に泡がはじけて水膜が消滅するが、その消滅の勢いで粉塵が効果的に水中に取り込まれていく。泡は次々に作られて、いくつもの泡を通過した前記側面吹き出し空気は含有していた粉塵を水に取られて清浄な空気となる。つまり、泡状になった水が粉塵空気を清浄化するフィルタの役目を果たしたことになる。なお、排気口には布製もしくは紙製のエアーフィルタを取り付けておき、集塵機から吹き出す空気の粉塵を確実に除去する。このエアーフィルタは水槽の水が蒸発して減ることを抑制する効果も期待して取り付けてある。
一方、前記水中吹き出し空気も水中に侵入して泡となり再びノズル外の水面に出てくるまでの過程で含有していた粉塵が水中に取り込まれて清浄化される。この前記水中吹き出し空気は、水面が波打ち、泡が発生していることでより水中に吹き込まれやすくなるので、前記側面吹き出し空気が存在している場合には存在していない場合に比べてより多く水中に吹き込まれ、清浄化される。このように、本発明の構造では、前記側面吹き出し空気が自身の含有粉塵を水中に取り込ませることに加えて、水中吹き出し空気が水中を通過することにより集塵能力も高めている。
前記水流制御傘と前記懸濁液排出バルブについて詳細に説明する。前記水流制御傘は、円筒形状の前記ノズルの軸中心と軸を同じくする円錐形上の部品である。図で示す通り、この水流制御傘が備えられていることにより前記吸引空気が水中で放射状に広がり、水中吹き出し空気が外側に向かって流れる。この流れに巻き込まれるように水槽中の液体、この場合は水が、前記水流制御傘よりも上部で水流を作ることになる。この結果、液面付近は大きく波打って泡の発生も多くなる。一方、前記水流制御傘よりも下部は対流に巻き込まれず流れが起きない。このため、この部分の懸濁液からは含有している固形成分が汚泥として水槽の底部に溜まっていく。汚泥は水槽の最も深い部分である懸濁液排出バルブに向けて流れていく。このバルブを開けて懸濁液を排出すると水槽の平均の濃度よりも濃い懸濁液、すなわち汚泥を多く含んだ懸濁液が排出される。
以上説明した通り、第一の実施例の集塵機では、粉塵を含んだ空気自身で水槽を波立たせ又泡立たせて粉塵を水中に取り込ませる。また、水中に取り込んだ粉塵は容器底部の懸濁液排出バルブの上部に汚泥として堆積しやすくなっている。この集塵機は解体現場など粉塵が多く発生する場所でよく使用される。
本発明の第2の実施例を図2を用いて説明する。水槽2の底部に汚泥堆積室8を設けて、水槽の底部と汚泥堆積室との間にはメッシュ製の水流分離板9を取り付けてある。前記水槽の中の液体100はこの実施例では水であり、吸引空気101の勢いのよい気流によって激しい水流が生じている。前記汚泥堆積室は前記水流分離板があることによって水流は抑制されているため、懸濁液中から粉塵が底部に向けて沈澱していく。この汚泥堆積室に溜まった汚泥や粉塵を多めに含んだ懸濁液は懸濁液排出バルブを通して定期的に排出し、排出した分の清浄水を水槽に追加して水面を泡立たせる水位を保って集塵運転をする。なお、図1と同様の説明となる場合には図2の説明は省略している。
本発明は建物の解体現場での作業環境を向上させるための集塵機として使用するとともに、その他粉塵が大量に発生する現場での空気清浄化のための集塵機として使用される。
1 集塵機
2 水槽
3 ノズル
4 排気口
5 側面吹き出し孔
6 水流制御傘
7 懸濁液排出バルブ
8 汚泥堆積室
9 水流分離板9
100 液体
101 吸引空気
102 反射した空気
103 側面吹き出し空気
104 水中吹き出し空気

Claims (6)

  1. 液体を溜める密閉構造の水槽、粉塵を含む機外の空気を当該液体に吹き込む送気ノズル及び当該密閉構造の水槽内の空気を機外に排気するフィルタ付の排気口を少なくとも構成要素とする湿式集塵機において、前記送気ノズルの下端付近の側面に複数の吹き出し孔が設けられていることを特徴とする湿式集塵機
  2. 請求項1の湿式集塵機において、前記水槽の底部に排水弁を備えていることを特徴とする湿式集塵機
  3. 請求項1又は請求項2の湿式集塵機において、前記水槽の前記送気ノズル下端下方の位置に水流制御板を備えていることを特徴とする
    湿式集塵機
  4. 請求項1の湿式集塵機の使用方法において、前記送気ノズル下端を液体の中に浸した状態で使用することを特徴とする湿式集塵機の使用方法
  5. 請求項2の湿式集塵機の使用方法において、請求項2の特徴を備える湿式集塵機の液体の一部のみを前記排水弁から排水し、前記排水した液体の量と等量を加えて使用することを特徴とする湿式集塵機の使用方法
  6. 請求項3の湿式集塵機の使用方法において、前記水流制御板に前記粉塵を含む機外の空気を吹き付けて、前記水槽中の水流を前記液体の上層では激しいままにして下層では水流を緩やかにすることを特徴とする湿式集塵機の使用方法
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