JP2015075470A - 絶縁状態判定装置及び絶縁状態判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁被膜の湿度や温度を管理する必要がない絶縁状態判定装置及び絶縁状態判定方法を提供する。
【解決手段】第1電圧V1と第2電圧V2とをコイルに印加し、第1放電電荷量P1と第2放電電荷量P2とを検出し、第1電圧V1と第1放電電荷量P1と第2電圧V2と第2放電電荷量P2との関係に基づいて絶縁被膜の吸湿度を判定する吸湿度判定処理と、試験電圧Vtをコイルに印加し、当該試験電圧Vtを印加した場合の放電電荷量である試験放電電荷量Ptを検出し、試験電圧Vtと試験放電電荷量Poとの関係に基づいて絶縁被膜の絶縁良否を判定する良否判定処理と、吸湿度判定処理により判定された吸湿度に応じて、良否判定処理における試験電圧Vtと試験放電電荷量Ptとの関係を調整する調整処理と、を実行する。
【選択図】図7

Description

本発明は、導体線の表面に形成された絶縁被膜の絶縁性能を判定する絶縁状態判定装置及び絶縁状態判定方法に関する。
上記のような絶縁状態判定装置として、特開2013−120096号公報(特許文献1)に記載された装置が知られている。この絶縁状態判定装置は、導体線により構成されたコイルに電圧を印加する電源部(交流電源3)と、電源部からの電圧の印加によって互いに隣接する導体線の間に生じる放電による放電電荷量(以下、単に放電電荷量と称する)を検出する検出部(放電電荷量検出部6)と、絶縁被膜を加熱するための温度上昇手段と、電源部及び温度上昇手段を制御して、検出部により検出された放電電荷量に基づいて絶縁被膜の絶縁性能を判定するための処理を実行する制御部(制御部8、絶縁判定部7)と、を備えている。
説明を加えると、絶縁被膜の絶縁性能の判定は、コイルに試験電圧を印加し、その試験電圧の印加により生じる放電電荷量を検出部にて検出し、その検出された放電電荷量が良否判定しきい値未満であれば「良」と判定し、検出された放電電荷量が良否判定しきい値以上であれば「不良」と判定している。
しかし、特許文献1の図3及び図4に示すように、試験電圧(例えば電圧Vs)を印加したときに生じる放電電荷量は絶縁被膜の吸湿度により異なるため、絶縁被膜の絶縁性能が良いコイルであったとしても、絶縁被膜の吸湿度が高いことにより「不良」と判定されるおそれがある。
そこで、特許文献1の絶縁状態判定装置では、温度上昇手段にて絶縁被膜の温度を上昇させて、絶縁被膜の吸湿度を抑えた状態で絶縁被膜の絶縁性能の判定を行うことで、コイルの絶縁被膜の吸湿度に起因する判定のばらつきを抑制している。
しかし、特許文献1の絶縁状態判定装置は、絶縁被膜を加熱するための温度上昇手段を備えるとともに、当該温度上昇手段にて絶縁被膜を加熱して絶縁被膜の温度管理を行う必要がある。そのため、検査に時間がかかることや、装置のコストが高くなり易いという課題があった。
特開2013−120096号公報
そこで、絶縁被膜の湿度や温度を管理する必要がないものでありながら、コイルの絶縁被膜の吸湿度に起因する判定のばらつきを抑制することができる絶縁状態判定装置及び絶縁状態判定方法の実現が望まれる。
本発明に係る絶縁状態判定装置の特徴構成は、表面に絶縁被膜が形成された導体線により構成されたコイルに電圧を印加する電源部と、前記電源部からの電圧の印加によって互いに隣接する前記導体線の間に生じる放電による放電電荷量を検出する検出部と、前記電源部を制御して、前記検出部により検出された放電電荷量に基づいて前記絶縁被膜の絶縁性能を判定するための処理を実行する制御部と、を備える絶縁状態判定装置において、
前記制御部が、前記電源部を制御して、少なくとも第1電圧と、当該第1電圧より高い第2電圧とを前記コイルに印加し、前記第1電圧を印加した場合の前記放電電荷量である第1放電電荷量と、前記第2電圧を印加した場合の前記放電電荷量である第2放電電荷量とを、前記検出部により検出し、前記第1電圧と前記第1放電電荷量と前記第2電圧と前記第2放電電荷量との関係に基づいて前記絶縁被膜の吸湿度を判定する吸湿度判定処理と、前記電源部を制御して試験電圧を前記コイルに印加し、当該試験電圧を印加した場合の前記放電電荷量である試験放電電荷量を前記検出部により検出し、前記試験電圧と前記試験放電電荷量との関係に基づいて前記絶縁被膜の絶縁良否を判定する良否判定処理と、前記吸湿度判定処理により判定された吸湿度に応じて、前記良否判定処理における前記試験電圧と前記試験放電電荷量との関係を調整する調整処理と、を実行する点にある。
この特徴構成によれば、吸湿度判定処理により、コイルに印加する電圧の変化に対する放電電荷量の変化が絶縁被膜の吸湿度に応じて異なることを利用して、絶縁被膜の吸湿度を適切に推測することができる。この際、少なくとも2つの異なる電圧をコイルに印加して各電圧での放電電荷量を測定し、これらの電圧と放電電荷量との関係に基づいて吸湿度を判定するので、コイルに印加する電圧に対する放電電荷量の絶対的な値に基づいて判定する場合に比べて、判定対象となるコイルの絶縁被膜のそれぞれに固有の絶縁状態の差による影響を抑制し、吸湿度の判定精度を高めることができる。
そして、良否判定処理では、試験電圧とその試験電圧を印加した場合の放電電荷量との関係に基づいて絶縁被膜の絶縁良否を判定する。この良否判定処理での試験電圧と試験放電電荷量との関係は、調整処理により、吸湿度判定処理により判定された吸湿度に応じた関係に調整される。これにより、絶縁被膜の吸湿度による影響を補正して、絶縁被膜の絶縁良否の判定を適切に行うことができる。
従って、この特徴構成によれば、絶縁被膜の湿度や温度を管理する必要がなく、コイルの絶縁被膜の吸湿度に起因する判定のばらつきを抑制することができる。
ここで、前記制御部は、前記吸湿度判定処理において、前記第1電圧と前記第2電圧との差及び前記第1放電電荷量と前記第2放電電荷量との差から求められる前記放電電荷量の変化率である実変化率に基づいて、前記絶縁被膜の吸湿度を判定すると好適である。
本発明者は、第1電圧と第2電圧との差及び第1放電電荷量と第2放電電荷量との差から求められる放電電荷量の変化率である実変化率と、絶縁被膜の吸湿度との間に相関関係があることを見出した。この関係を利用して実変化率に基づいて絶縁被膜の吸湿度を判定することで、絶縁被膜の吸湿度を判定し易くなる。
また、前記制御部は、前記吸湿度判定処理において、前記コイルに印加する電圧の変化に対する前記放電電荷量の変化率と前記絶縁被膜の吸湿度との予め規定された関係規則と、前記実変化率と、に基づいて前記絶縁被膜の吸湿度を判定すると好適である。
この構成によれば、実変化率と絶縁被膜の吸湿度との間の相関関係が関係規則として予め規定している。そして、この関係規則と実変化率とに基づいて絶縁被膜の吸湿度を判定することで、より絶縁被膜の吸湿度を判定し易くなる。
また、前記制御部は、前記吸湿度判定処理及び前記良否判定処理において、前記コイルに印加する電圧を次第に増加させて、前記放電電荷量が予め設定された放電開始判定電荷量になったときの電圧である放電開始電圧を検出すると共に、前記放電開始電圧を前記第1電圧及び前記試験電圧として、前記第1放電電荷量及び前記試験放電電荷量が前記放電開始判定電荷量となるようにし、前記調整処理において、前記絶縁被膜の吸湿度に応じて前記放電開始電圧を調整して、調整後放電開始電圧を求め、前記良否判定処理において、前記調整後放電開始電圧が、予め設定された良否判定しきい値未満である場合に、前記絶縁被膜の絶縁が不良であると判定すると好適である。
この構成によれば、コイルに印加する電圧を次第に増加させて放電開始電圧を検出し、当該放電開始電圧を第1電圧として、絶縁被膜の吸湿度を判定する。ここで、第1電圧を放電開始電圧としているので、吸湿度を判定するための指標の一つである第1電圧を、判定対象となるコイルの絶縁被膜のそれぞれに固有の絶縁状態の差による影響を抑制して、一定の基準に従って定まる値に設定することができる。従って、吸湿度の判定精度を高めることができる。
また、この構成によれば、検出した放電開始電圧を試験電圧とし、試験放電電荷量が放電開始判定電荷量となるようにしている。そのため、絶縁被膜の吸湿度を判定した後に、改めて試験電圧を印加する必要がなく、絶縁被膜の絶縁良否の判定に要する時間をその分だけ短縮することができる。
そして、絶縁被膜の吸湿度に応じて放電開始電圧を調整することにより試験電圧と試験放電電荷量との関係を調整する調整処理を行い、調整後の放電開始電圧に基づいて良否判定処理を行うので、絶縁被膜の吸湿度による影響を補正して、絶縁被膜の絶縁良否の判定を適切に行うことができる。
また、前記制御部は、前記良否判定処理において、前記第1電圧以上であって前記第2電圧以下の電圧に前記試験電圧を設定し、前記調整処理において、前記絶縁被膜の吸湿度に応じて前記試験放電電荷量を調整して、調整後放電電荷量を求め、前記良否判定処理において、前記調整後放電電荷量が、予め設定された良否判定しきい値以上である場合に、前記絶縁被膜の絶縁が不良であると判定すると好適である。
この特徴構成によれば、予め設定されている第1電圧を印加するだけで第1放電電荷量を検出することができるため、例えば、予め設定された第1放電電荷量が検出されるまで第1電圧を次第に増加させる場合に比べて、第1放電電荷量の検出に要する時間の短縮化を図ることができる。
また、試験電圧と試験放電電荷量との関係の調整として、試験放電電荷量を絶縁被膜の吸湿度に応じた調整後放電電荷量に調整しているため、絶縁被膜の吸湿度に応じた調整後放電電荷量に基づいて、絶縁被膜の絶縁良否を判定できる。
また、前記制御部は、前記調整処理において、前記絶縁被膜の吸湿度に応じて前記試験電圧を調整して、調整後試験電圧を求め、前記良否判定処理において、前記調整後試験電圧を前記コイルに印加した場合の前記試験放電電荷量が、予め設定された良否判定しきい値以上である場合に、前記絶縁被膜の絶縁が不良であると判定すると好適である。
この特徴構成によれば、絶縁被膜の吸湿度に応じてコイルに印加する試験電圧を調整し、当該、調整後の試験電圧をコイルに印加した場合の試験放電電荷量に基づいて絶縁被膜の絶縁良否の判定を行う。すなわち、試験放電電荷量に影響を与える試験電圧を、絶縁被膜の吸湿度に応じて予め調整しておくことにより、試験電圧と試験放電電荷量との関係を調整する調整処理を行った上で良否判定処理を行うので、絶縁被膜の吸湿度による影響を補正して、絶縁被膜の絶縁良否の判定を適切に行うことができる。
また、本発明に係る絶縁状態判定装置の技術的特徴は、絶縁状態判定方法や絶縁状態判定プログラムにも適用可能であり、そのため、本発明は、そのような方法やプログラムも権利の対象とすることができる。
その場合における、絶縁状態判定方法の特徴構成は、表面に絶縁被膜が形成された導体線により構成されたコイルに電圧を印加し、当該電圧の印加によって互いに隣接する前記導体線の間に生じる放電による放電電荷量を検出し、この検出された放電電荷量に基づいて前記絶縁被膜の絶縁性能を判定する絶縁状態判定方法において、
少なくとも第1電圧と、当該第1電圧より高い第2電圧とを前記コイルに印加し、前記第1電圧を印加した場合の前記放電電荷量である第1放電電荷量と、前記第2電圧を印加した場合の前記放電電荷量である第2放電電荷量とを検出し、前記第1電圧と前記第1放電電荷量と前記第2電圧と前記第2放電電荷量との関係に基づいて前記絶縁被膜の吸湿度を判定する吸湿度判定ステップと、試験電圧を前記コイルに印加し、当該試験電圧を印加した場合の前記放電電荷量である試験放電電荷量を検出し、前記試験電圧と前記試験放電電荷量との関係に基づいて前記絶縁被膜の絶縁良否を判定する良否判定ステップと、前記吸湿度判定ステップにより判定された吸湿度に応じて、前記良否判定ステップにおける前記試験電圧と前記試験放電電荷量との関係を調整する調整ステップと、を実行する点にある。
この特徴構成によれば、吸湿度判定ステップにより、コイルに印加する電圧の変化に対する放電電荷量の変化が絶縁被膜の吸湿度に応じて異なることを利用して、絶縁被膜の吸湿度を適切に推測することができる。この際、少なくとも2つの異なる電圧をコイルに印加して各電圧での放電電荷量を測定し、これらの電圧と放電電荷量との関係に基づいて吸湿度を判定するので、コイルに印加する電圧に対する放電電荷量の絶対的な値に基づいて判定する場合に比べて、判定対象となるコイルの絶縁被膜のそれぞれに固有の絶縁状態の差による影響を抑制し、吸湿度の判定精度を高めることができる。
そして、良否判定ステップでは、試験電圧とその試験電圧を印加した場合の放電電荷量との関係に基づいて絶縁被膜の絶縁良否を判定する。この良否判定ステップでの試験電圧と試験放電電荷量との関係は、調整ステップにより、吸湿度判定ステップにより判定された吸湿度に応じた関係に調整される。これにより、絶縁被膜の吸湿度による影響を補正して、絶縁被膜の絶縁良否の判定を適切に行うことができる。
従って、この特徴構成によれば、絶縁被膜の湿度や温度を管理する必要がなく、コイルの絶縁被膜の吸湿度に起因する判定のばらつきを抑制することができる。
第一の実施形態に係る絶縁状態判定装置のシステム構成を示すブロック図 第一の実施形態に係るコイルと部分放電測定器との間の電気的接続を示す回路図 第一の実施形態に係る電圧と放電電荷量との関係を示す図 第一の実施形態に係る変化率を示す図 第一の実施形態に係る変化率と吸湿度との関係を示す図 第一の実施形態に係る吸湿度と放電開始電圧との関係を示す図 第一の実施形態に係る放電開始電圧と調整後放電開始電圧とを示す図 第一の実施形態に係る絶縁状態判定処理のフローチャート 第二の実施形態に係る電圧と放電電荷量との関係を示す図 第二の実施形態に係る変化率を示す図 第二の実施形態に係る試験放電電荷量と調整後放電電荷量とを示す図 第二の実施形態に係る絶縁状態判定処理のフローチャート 第三の実施形態に係る電圧と放電電荷量との関係を示す図 第三の実施形態に係る吸湿度と電圧との関係を示す図 第三の実施形態に係る試験電圧と調整後試験電圧とを示す図 第三の実施形態に係る絶縁状態判定処理のフローチャート
1.第一の実施形態
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る絶縁状態判定装置1のシステム構成を示すブロック図である。図2は、コイル3と切換器5との間の電気的接続を示す図である。
これらの図に示すように、本実施形態では、絶縁状態判定装置1は、回転電機の電機子2(本例ではステータ)を構成するコイル3(本例ではステータコイル)を判定の対象としている。ここで、コイル3は、U相、V相、及びW相の3相のコイルが組み合わされて構成されている。コイル3を構成する導体線は、表面に絶縁被膜が形成されている。この絶縁被膜は、例えば、ポリエステルイミドやポリエステル等の絶縁被膜塗料の塗布・焼き付け等により形成されるエナメル被膜である。なお、本願において「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
そして、絶縁状態判定装置1は、コイル3に対して電圧を印加し、当該電圧の印加によって互いに隣接する導体線の間に生じる放電電荷量を検出し、この放電電荷量に基づいて絶縁被膜の絶縁性能を判定する。
以下、コイル3の互いに隣接する導体線の間に生じる放電電荷量については、単に放電電荷量と称する。
1−1.絶縁状態判定装置
図1に示すように、絶縁状態判定装置1は、切換器5、部分放電測定器6、制御部7、入力操作部8、及び出力部9を備えている。絶縁状態判定装置1の部分放電測定器6には、コイル3に電圧を印加する電源部11(本例では交流電源)と、放電電荷量を検出する検出部12と、が備えられている。制御部7は、電源部11を制御して、検出部12により検出された放電電荷量に基づいて絶縁被膜の絶縁性能を判定するための処理を実行する。
本例では、判定対象の電機子2は、U相、V相、及びW相の3相交流による動作する回転電機に用いられるものである。そのため、電機子2は、図2に示すように、U相コイル3U、V相コイル3V、及びW相コイル3Wの3相分のコイル3を有している。ここでは、3相のコイル3はY結線で接続される前の状態である。また、図1に示すように、電機子2は、U相、V相、及びW相の各コイル3の始端につながる3個の端子を備えている。そして、この絶縁状態判定装置1は、U−V間、V−W間、及びW−U間のいずれかに電圧を印加して、そのときの放電電荷量を検出する。
図1及び図2に示すように、切換器5は、制御部7からの制御命令に従って動作するスイッチ等を備えて構成され、U−V間、V−W間、及びW−U間のいずれか一つを選択するための回路の切り替えを行う。図2は、この切換器5によりU−V間が選択された状態を示している。この図に示すように、U−V間が選択された場合には、部分放電測定器6により、直列接続されたU相コイル3U及びV相コイル3Vに電圧が印加されたときの放電電荷量が検出される。同様に、V−W間が選択された場合には、直列接続されたV相コイル3V及びW相コイル3Wの放電電荷量が検出され、W−U間が選択された場合には、直列接続されたW相コイル3W及びU相コイル3Uの放電電荷量が検出される。
そして、部分放電測定器6は、判定対象の電機子2のコイル3(U−V間、V−W間、及びW−U間)について、電圧を印加したときの部分放電電荷量を検出する。図3及び図4に、U−V間に電圧を印加したときに、検出部12により検出される部分放電電荷量の一例を示す。これらの図においては、縦軸を放電電荷量〔単位:pC〕、横軸をコイル3に印加する電圧〔単位:V〕としている。そして、絶縁被膜の絶縁状態が適正なコイル3における、絶縁被膜の吸湿度が40%の場合、絶縁被膜の吸湿度が60%の場合、絶縁被膜の吸湿度が95%の場合のそれぞれについて、電圧値に対する放電電荷量の値を表している。また、図示は省略するが、部分放電測定器6は、V−W間及びW−U間についても同様にして部分放電電荷量を検出する。このようにして検出部12により検出取得されたU−V間、V−W間、及びW−U間のそれぞれについての部分放電電荷量の情報は、制御部7へ送られる。
出力部9は、制御部7による判定結果を、表示装置、音声出力装置及び信号灯等を用いて、作業者に報知するための出力の処理を行う。本例では、この出力部9は、演算処理装置を構成するコンピュータにより実行可能に実装されたソフトウェアと表示装置、音声出力装置及び信号灯等のハードウェアとの組み合わせにより構成されている。そして、制御部7による判定結果の報知は、例えば、表示装置を用いる場合には、検査した電機子2が不良品である旨のメッセージや図形等を表示させる。また、音声出力装置を用いる場合には、検査した電機子2が不良品である旨のメッセージや警報音を出力させる。また、信号灯を用いる場合には、検査した電機子2が不良品であることを示す信号灯を点灯又は点滅させる。出力部9は、これらのいずれか一つ以上を用いて、制御部7による判定結果の報知を行う。また、この際、表示装置を用いて、部分放電測定器6により判定された絶縁被膜の吸湿度の報知も行うと好適である。
入力操作部8は、検査の開始、動作条件の設定、良否判定しきい値の設定等、部分放電測定器6の動作や設定等を、作業者が入力できるようにするための装置である。本例では、この入力操作部8は、コンピュータのキーボード及びマウス等により構成している。
制御部7は、以上のような絶縁状態判定装置1の各部の動作を統括的に制御するための装置である。本例では、この制御部7は、コンピュータ等の演算処理装置と、当該演算処理装置により実行可能に実装されたソフトウェアとの組み合わせにより構成されている。
1−2.制御部
制御部7は、吸湿度判定処理と良否判定処理と調整処理とを実行する。
吸湿度判定処理は、電源部11を制御して、放電開始電圧Vo(第1電圧V1)と、当該放電開始電圧Voより高い設定放電電圧Ve(第2電圧V2)とをコイル3に印加し、放電開始電圧Voを印加した場合の放電電荷量である放電開始判定電荷量Po(第1放電電荷量P1)と、設定放電電圧Veを印加した場合の放電電荷量である設定放電電荷量Pe(第2放電電荷量P2)とを、検出部12により検出する。
そして、吸湿度判定処理では、放電開始電圧Voと放電開始判定電荷量Poと設定放電電圧Veと設定放電電荷量Peとの関係に基づいて絶縁被膜の吸湿度を判定する。具体的には、吸湿度判定処理では、放電開始電圧Voと設定放電電圧Veとの差及び放電開始判定電荷量Poと設定放電電荷量Peとの差から求められる放電電荷量の変化率である実変化率θと、コイル3に印加する電圧の変化に対する放電電荷量の変化率と絶縁被膜の吸湿度との予め規定された関係規則と、に基づいて、絶縁被膜の吸湿度を判定する。
上記のとおり、本実施形態では、吸湿度判定処理のための低い方のコイル印加電圧である第1電圧V1を、放電開始電圧Voとしている。ここで、放電開始電圧Voは、絶縁被膜の吸湿度や絶縁被膜の形成状態等に応じて異なる値となる。そこで、吸湿度判定処理では、まず、コイル3に印加する電圧を次第に増加させて、放電電荷量が予め設定された放電開始判定電荷量Poになったときの電圧を、放電開始電圧Voとして検出する。図3は、絶縁被膜の絶縁性能が適正である場合の例を示しており、この例では、絶縁被膜の吸湿度が40%の場合は放電開始電圧Voとして放電開始電圧Voaが検出され、絶縁被膜の吸湿度が60%の場合は放電開始電圧Voとして放電開始電圧Vobが検出され、絶縁被膜の吸湿度が95%の場合は放電開始電圧Voとして放電開始電圧Vocが検出される。
次に、設定放電電圧Veをコイル3に印加して、その設定放電電圧Veを印加したときの放電電荷量である設定放電電荷量Peを検出する。図3に示す例では、コイル3における絶縁被膜の絶縁性能が適正である場合には、絶縁被膜の吸湿度が40%の場合は設定放電電荷量Peとして設定放電電荷量Peaが検出され、絶縁被膜の吸湿度が60%の場合は設定放電電荷量Peとして設定放電電荷量Pebが検出され、絶縁被膜の吸湿度が95%の場合は設定放電電荷量Peとして設定放電電荷量Pecが検出される。
ここで、第2電圧V2としての設定放電電圧Veは、吸湿度判定処理のための高い方のコイル印加電圧であり、第1電圧V1としての放電開始電圧Voよりも十分に高い電圧に設定する。例えば、設定放電電圧Veは、放電電荷量が最も少なくなる条件の下で、放電開始判定電荷量Poよりも十分に大きい(例えば2倍以上の)放電電荷量の放電が生じる電圧に設定すると好適である。なお、放電電荷量が最も少なくなる条件としては、例えば、絶縁被膜の吸湿度が想定される範囲内で最も低く(例えば吸湿度40%)、絶縁被膜の形成状態が極めて良好であるという条件などが想定される。
実際のコイル3の絶縁状態判定を行う際の吸湿度判定処理では、放電開始電圧Voと放電開始判定電荷量Poと設定放電電圧Veと設定放電電荷量Peとから、電圧に対する放電電荷量の変化率である実変化率θを求める。本実施形態では、実変化率θは、下記の式(1)により求める。
θ=(Pe−Po)/(Ve−Vo)・・・(1)
図4に示す例では、絶縁被膜の吸湿度がM3%の場合、実変化率θは変化率θ3となり、絶縁被膜の吸湿度がM2%の場合、実変化率θは変化率θ2となり、絶縁被膜の吸湿度がM1%の場合、実変化率θは変化率θ1となる。
次に、図5に示す、関係テーブルに基づいて、実変化率θから絶縁被膜の吸湿度を判定する。ここで、関係テーブルは、コイル3に印加する電圧の変化に対する放電電荷量の変化率と絶縁被膜の吸湿度との関係を規定したテーブルである。この関係テーブルは、絶縁被膜の絶縁状態が適正な複数の導体線を用いて、実変化率θと吸湿度との関係を予め実験的に求め、それを統計処理して作成されている。なお、この関係テーブルが、本発明における「関係規則」に相当する。図5に示す例では、実変化率θが変化率θ3である場合、絶縁被膜の吸湿度が40%であり、実変化率θが変化率θ2である場合、絶縁被膜の吸湿度が60%であり、実変化率θが変化率θ1である場合、絶縁被膜の吸湿度が95%であると判定される。
調整処理では、吸湿度判定処理により判定された吸湿度に応じて、放電開始電圧Voと放電開始判定電荷量Poとの関係を調整する。本実施形態では、この調整処理において、絶縁被膜の吸湿度に応じて放電開始電圧Voを調整して、調整後放電開始電圧Vo’を求める。この際、調整後放電開始電圧Vo’を、絶縁被膜の吸湿度が予め定めた基準状態である場合の放電開始電圧Voに相当する値となるように調整する。ここでは、基準状態を、絶縁被膜の吸湿度が40%である状態に設定する場合について説明する。この場合、判定対象の導体線の絶縁被膜の吸湿度と放電開始電圧Voとの間には、図6に示すような関係が成立する。従って、調整後放電開始電圧Vo’は、下記の式(2)により求めることができる。
Vo’=Vo+a(H−40)・・・(2)
ここで、Hは、吸湿度判定処理により判定された吸湿度であり、aは定数である。
つまり、例えば、絶縁被膜の絶縁状態が適正なコイル3における絶縁被膜の吸湿度が60%である場合は、Vo’=Vo+a(60−40)となり、放電開始電圧Voは、この計算式に基づいて調整後放電開始電圧Vo’に調整される。
ここで、定数aは、絶縁被膜の絶縁状態が適正な複数の導体線を用いて、放電開始電圧Voと吸湿度との関係を予め実験的に求め、それを統計処理した結果に基づいて、予め設定されている。
良否判定処理は、放電開始電圧Vo(試験電圧Vt、第1電圧V1)を印加した場合の放電電荷量である放電開始判定電荷量Po(試験放電電荷量Pt)を検出部12により検出し、放電開始電圧Voと放電開始判定電荷量Poとの関係に基づいて絶縁被膜の絶縁良否を判定する。
本実施形態では、良否判定処理では、調整後放電開始電圧Vo’が、予め設定された良否判定しきい値としての良否判定電圧Vs未満である場合に、絶縁被膜の絶縁良否を不良と判定する。一方、調整後放電開始電圧Vo’が、良否判定電圧Vs以上である場合に、絶縁被膜の絶縁良否を良と判定する。ちなみに、図7に示す例では、調整後放電開始電圧Vo’が、予め設定された良否判定電圧Vs以上であるため、絶縁被膜の絶縁良否は良と判定される。ここでは、良否判定電圧Vsは、絶縁被膜の絶縁状態が適正範囲の下限にあり、絶縁被膜の吸湿度が基準状態(ここでは40%)であるコイル3の放電開始電圧Voに相当する値となるように設定する。これにより、絶縁被膜の絶縁状態が適正範囲内にあるコイル3の絶縁良否を適切に良と判定することができる。
上記のとおり、本実施形態では、試験電圧Vtを放電開始電圧Voとしている。従って、吸湿度判定処理において検出した放電開始電圧Voを、良否判定処理においてもそのまま用いることができる。すなわち、吸湿度判定処理の一部に良否判定処理を兼ねさせることができ、改めて試験電圧Vtをコイル3に印加する必要がないので、良否判定処理に要する時間をその分だけ短縮することができる。
次に、図8に示すフローチャートに基づいて、制御部7が実行する処理について説明を加える。
まず、コイル3に印加する電圧を次第に増加させて、放電電荷量が予め設定された放電開始判定電荷量Poになったときの電圧である放電開始電圧Voを検出する(ステップ♯01)。次に、設定放電電圧Veをコイル3に印加して、その設定放電電圧Veを印加したときの放電電荷量である設定放電電荷量Peを検出する(ステップ♯02)。
放電開始電圧Voと設定放電電圧Veとの差及び放電開始判定電荷量Poと設定放電電荷量Peとの差から実変化率θを求め、さらに、実変化率θに基づいて、絶縁被膜の吸湿度を判定する(ステップ♯03)。
そして、放電開始電圧Voと吸湿度とに基づいて、放電開始電圧Voを吸湿度に応じた調整後放電開始電圧Vo’に調整する(ステップ#04)。次に、調整後放電開始電圧Vo’と良否判定電圧Vsとを比較して(ステップ#05)、調整後放電開始電圧Vo’が良否判定電圧Vs未満の場合は、絶縁被膜の絶縁良否を「不良」と判定し(ステップ#06)、調整後放電開始電圧Vo’が良否判定電圧Vs以上の場合は、絶縁被膜の絶縁良否を「良」と判定する(ステップ#07)。
このように、本実施形態では、吸湿度判定処理において検出された放電開始電圧Voを、絶縁被膜の吸湿度が基準状態(ここでは吸湿度40%)である場合の放電開始電圧Voに相当する調整後放電開始電圧Vo’に調整(図7参照)した後、その調整後放電開始電圧Vo’に基づいて絶縁被膜の絶縁良否を判定する。これにより、絶縁被膜の絶縁状態が適正であるにも関わらず、絶縁被膜の吸湿度が高いために、放電開始電圧Voが良否判定電圧Vs未満となって不良と判定されてしまうことを抑制することができる。
2.第二の実施形態
次に、本発明の第二の実施形態について、図9〜図12を用いて説明する。本実施形態では、吸湿度判定処理、良否判定処理、及び調整処理の処理内容が、上記第一の実施形態とは異なる。以下では、本実施形態に係る吸湿度判定処理、良否判定処理、及び調整処理の処理内容について、上記第一の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第一の実施形態と同様とする。
2−1.制御部
制御部7は、吸湿度判定処理と良否判定処理と調整処理とを実行する。
吸湿度判定処理は、電源部11を制御して、第1電圧V1と、当該第1電圧V1より高い第2電圧V2とをコイル3に印加し、第1電圧V1を印加した場合の放電電荷量である第1放電電荷量P1と、第2電圧V2を印加した場合の放電電荷量である第2放電電荷量P2とを、検出部12により検出する。
そして、吸湿度判定処理では、第1電圧V1と第1放電電荷量P1と第2電圧V2と第2放電電荷量P2との関係に基づいて絶縁被膜の吸湿度を判定する。具体的には、吸湿度判定処理では、第1電圧V1と第2電圧V2との差及び第1放電電荷量P1と第2放電電荷量P2との差から求められる放電電荷量の変化率である実変化率θと、コイル3に印加する電圧の変化に対する放電電荷量の変化率と絶縁被膜の吸湿度との予め規定された関係規則と、に基づいて、絶縁被膜の吸湿度を判定する。
本実施形態では、吸湿度判定処理において、予め設定された第1電圧V1をコイル3に印加して第1放電電荷量P1を検出し、予め設定された第2電圧V2をコイル3に印加して第2放電電荷量P2を検出する。ここで、第1電圧V1及び第2電圧V2は、コイル3に印加する電圧の変化に対する放電電荷量の変化率が大きくなる電圧範囲を含むように設定する。より具体的には、第1電圧V1は、絶縁被膜の吸湿度や絶縁被膜の形成状態等が標準的なコイル3の放電開始電圧Vo付近に設定すると好適である。また、第2電圧V2は、第1電圧V1よりも十分に高い電圧に設定する。例えば、第2電圧V2は、放電電荷量が最も少なくなる条件の下で、放電開始判定電荷量Poよりも十分に大きい(例えば2倍以上の)放電電荷量の放電が生じる電圧に設定すると好適である。なお、放電電荷量が最も少なくなる条件としては、例えば、絶縁被膜の吸湿度が想定される範囲内で最も低く(例えば吸湿度40%)、絶縁被膜の形成状態が極めて良好であるという条件などが想定される。
なお、図9の例では、絶縁被膜の吸湿度が60%の場合の第1放電電荷量P1及び第2放電電荷量P2のみを縦軸上に示している。
実際のコイル3の絶縁状態判定を行う際の吸湿度判定処理では、第1電圧V1と第1放電電荷量P1と第2電圧V2と第2放電電荷量P2とから、電圧に対する放電電荷量の変化率である実変化率θを求める。本実施形態では、実変化率θは、下記の式(3)により求める。
θ=(P2−P1)/(V2−V1)・・・(3)
図10に示す例では、絶縁被膜の吸湿度がM3%の場合、実変化率θは変化率θ3となり、絶縁被膜の吸湿度がM2%の場合、実変化率θは変化率θ2となり、絶縁被膜の吸湿度がM1%の場合、実変化率θは変化率θ1となる。
次に、求められた実変化率θと予め設定された判定変化率とを比較し、実変化率θが判定変化率以上である場合は、絶縁被膜の吸湿度が低いと判定し、実変化率θが判定変化率未満である場合は、絶縁被膜の吸湿度が高いと判定する。
ここで、判定変化率は、絶縁被膜の吸湿度として想定される範囲の上限から下限までの中間域の吸湿度に対応する変化率に設定すると好適である。本実施形態では、絶縁被膜の吸湿度として30%から95%程度の範囲が想定されるため、一例として、吸湿度60%に対応する変化率に設定する場合を例として説明する。
調整処理では、吸湿度判定処理により判定された吸湿度に応じて、良否判定処理における試験電圧Vtと試験放電電荷量Ptとの関係を調整する。本実施形態では、この調整処理において、絶縁被膜の吸湿度に応じて試験放電電荷量Ptを調整して、調整後放電電荷量Pt’を求める。この際、調整後放電電荷量Pt’を、絶縁被膜の吸湿度が予め定めた基準状態である場合の試験放電電荷量Ptに相当する値となるように調整する。ここでは、基準状態を、絶縁被膜の吸湿度が40%である状態に設定する場合について説明する。
そして、調整処理では、吸湿度判定処理において絶縁被膜の吸湿度が高いと判定された場合に、試験電圧Vtをコイル3に印加したときに検出される試験放電電荷量Ptを、予め設定された設定電荷量だけ低下させることにより、試験放電電荷量Ptを調整後放電電荷量Pt’に調整する。ここで、設定電荷量は、判定変化率に対応する絶縁被膜の吸湿度(本例では60%)での試験放電電荷量Ptを、基準状態(本例では吸湿度40%)での試験放電電荷量Ptに相当する値となるように調整する。設定電荷量をこのように設定することにより、吸湿度が高いと判定されたコイル3に対して過剰とならない範囲で試験放電電荷量Ptを補正することができる。従って、吸湿度に応じて適切に試験放電電荷量Ptを補正しつつ、過剰な補正により本来不良と判定されるべきコイル3が良と判定されることを抑制できる。
一方、調整処理では、吸湿度判定処理において絶縁被膜の吸湿度が低いと判定された場合には、試験放電電荷量Ptの調整は行わない。すなわち、調整後放電電荷量Pt’を試験放電電荷量Ptとする。
良否判定処理は、試験電圧Vtを印加した場合の放電電荷量である試験放電電荷量Ptを検出部12により検出し、試験電圧Vtと試験放電電荷量Ptとの関係に基づいて絶縁被膜の絶縁良否を判定する。
ここで、試験電圧Vtは、第1電圧V1以上であって第2電圧V2以下の電圧に設定する。上記のとおり、第1電圧V1及び第2電圧V2は、コイル3に印加する電圧の変化に対する放電電荷量の変化率が大きくなる電圧範囲を含むように設定しているので、試験電圧Vtをこのように設定することにより、電圧に対する放電電荷量の分解能を高くすることができる。よって、試験放電電荷量Ptに基づく良否判定処理を適切に行うことができる。
本実施形態では、良否判定処理では、試験電圧Vtをコイル3に印加して試験放電電荷量Ptを検出する。そして、検出された試験放電電荷量Ptに基づいて調整処理により調整された調整後放電電荷量Pt’が、予め設定された良否判定しきい値としての良否判定電荷量Ps以上である場合に、絶縁被膜の絶縁良否を不良と判定する。一方、調整後放電電荷量Pt’が、予め設定された良否判定電荷量Ps未満である場合に、絶縁被膜の絶縁良否を良と判定する。ちなみに、図11に示す例では、調整後放電電荷量Pt’が、予め設定された良否判定電荷量Ps未満であるため、絶縁被膜の絶縁良否は良と判定される。ここでは、良否判定電荷量Psは、絶縁被膜の絶縁状態が適正範囲の下限にあり、絶縁被膜の吸湿度が基準状態(ここでは40%)であるコイル3に対して試験電圧Vtを印加した場合の試験放電電荷量Ptに相当する値となるように調整する。これにより、絶縁被膜の絶縁状態が適正範囲内にあるコイル3の絶縁良否を適切に良と判定することができる。
次に、図12に示すフローチャートに基づいて、制御部7が実行する各処理について説明を加える。
まず、第1電圧V1をコイル3に印加して第1放電電荷量P1を検出し、第2電圧V2をコイル3に印加して第2放電電荷量P2を検出する(ステップ#11)。
次に、第1電圧V1と第2電圧V2との差及び第1放電電荷量P1と第2放電電荷量P2との差から実変化率θを求める(ステップ#12)。また、コイル3に試験電圧Vtを印加して試験放電電荷量Ptを検出する(ステップ#13)。
その後、実変化率θと判定変化率とを比較して、絶縁被膜の吸湿度が高いか低いかを判定する(ステップ#14)。ここでは、実変化率θが判定変化率未満である場合には(ステップ#14:Yes)、絶縁被膜の吸湿度が高いと判定し、実変化率θが判定変化率以上である場合には(ステップ#14:No)、絶縁被膜の吸湿度が低いと判定する。そして、絶縁被膜の吸湿度が高いと判定した場合は、試験放電電荷量Ptを予め設定された設定電荷量だけ低下させ、調整後放電電荷量Pt’に調整し、絶縁被膜の吸湿度が低いと判定した場合は、調整を行わず試験放電電荷量Ptをそのまま調整後放電電荷量Pt’とする(ステップ#15)。
次に、その調整後放電電荷量Pt’と良否判定電荷量Psとを比較して(ステップ#16)、調整後放電電荷量Pt’が良否判定電荷量Ps以上の場合は、絶縁被膜の絶縁良否を「不良」と判定し(ステップ#17)、調整後放電電荷量Pt’が良否判定電荷量Ps未満の場合は、絶縁被膜の絶縁良否を「良」と判定する(ステップ#18)。
このように、本実施形態では、吸湿度判定処理において検出された試験放電電荷量Ptを、絶縁被膜の吸湿度に応じて一定値引き下げた調整後放電電荷量Pt’に調整(図11参照)した後、その調整後放電電荷量Pt’に基づいて絶縁被膜の絶縁良否を判定する。これにより、絶縁被膜の絶縁状態が適正であるにも関わらず、絶縁被膜の吸湿度が高いために、試験放電電荷量Ptが良否判定電荷量Ps未満となって不良と判定されてしまうことを抑制することができる。
3.第三の実施形態
次に、本発明の第三の実施形態について、図13〜図16を用いて説明する。本実施形態では、吸湿度判定処理、良否判定処理、及び調整処理の処理内容が、上記第一の実施形態や第ニの実施形態とは異なる。以下では、本実施形態に係る吸湿度判定処理、良否判定処理、及び調整処理の処理内容について、上記第一の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第一の実施形態と同様とする。
3−1.制御部
制御部7は、吸湿度判定処理と良否判定処理と調整処理とを実行する。
吸湿度判定処理では、電源部11を制御して、第1電圧V1と、当該第1電圧V1より高い第2電圧V2とをコイル3に印加し、第1電圧V1を印加した場合の放電電荷量である第1放電電荷量P1と、第2電圧V2を印加した場合の放電電荷量である第2放電電荷量P2とを、検出部12により検出する。
そして吸湿度判定処理では、第1電圧V1と第1放電電荷量P1と第2電圧V2と第2放電電荷量P2との関係に基づいて絶縁被膜の吸湿度を判定する。具体的には、吸湿度判定処理では、第1電圧V1と第2電圧V2との差及び第1放電電荷量P1と第2放電電荷量P2との差から求められる放電電荷量の変化率である実変化率θと、コイル3に印加する電圧の変化に対する放電電荷量の変化率と絶縁被膜の吸湿度との予め規定された関係規則と、に基づいて、絶縁被膜の吸湿度を判定する。
本実施形態では、吸湿度判定処理において、予め設定された第1電圧V1をコイル3に印加して第1放電電荷量P1を検出し、予め設定された第2電圧V2をコイル3に印加して第2放電電荷量P2を検出する。ここで、第1電圧V1及び第2電圧V2は、上記第二の実施形態と同様とすると好適である。
そして、実際のコイル3の絶縁状態判定を行う際の吸湿度判定処理では、第1電圧V1と第1放電電荷量P1と第2電圧V2と第2放電電荷量P2とから、電圧に対する放電電荷量の変化率である実変化率θを求める。本実施形態においても、実変化率θは、上記第二の実施形態と同様に、上記の式(3)により求める。本実施形態においても、図10に示す例が適用できる。すなわち、この例では、絶縁被膜の吸湿度がM3%の場合、実変化率θは変化率θ3となり、絶縁被膜の吸湿度がM2%の場合、実変化率θは変化率θ2となり、絶縁被膜の吸湿度がM1%の場合、実変化率θは変化率θ1となる。次に、上記第一の実施形態と同様に、図5に示す、関係テーブルに基づいて、実変化率θから絶縁被膜の吸湿度を判定する。
調整処理では、吸湿度判定処理により判定された吸湿度に応じて、良否判定処理における試験電圧Vtと試験放電電荷量Ptとの関係を調整する。本実施形態では、この調整処理において、絶縁被膜の吸湿度に応じて試験電圧Vtを調整して、調整後試験電圧Vt’を求める。この際、調整後試験電圧Vt’を、絶縁被膜の吸湿度が予め定めた基準状態である場合の試験放電電荷量Ptとなる試験電圧Vtに相当する値となるように調整する。すなわち、本実施形態では、出力である試験放電電荷量Ptが基準状態に相当する放電電荷量となるように、入力である試験電圧Vtを絶縁被膜の吸湿度に応じて調整する。ここでは、基準状態を、絶縁被膜の吸湿度が40%である状態に設定する場合について説明する。また、本実施形態では、試験電圧Vtは、絶縁被膜の絶縁状態が標準的な状態であり、絶縁被膜の吸湿度が基準状態(ここでは40%)であるコイル3において予め設定された放電電荷量(例えば放電開始判定電荷量Po)が検出される電圧に設定する。
ここで、吸湿度と試験電圧Vtとの間には、図14に示すような関係が成立する。従って、この関係に基づいて、試験電圧Vtを、絶縁被膜の吸湿度が予め定めた基準状態である場合の試験放電電荷量Ptとなる試験電圧Vtに相当する調整後試験電圧Vt’に調整する。具体的には、調整後試験電圧Vt’は、下記の式(4)により求めることができる。
Vt’=Vt+a(H−40)・・・(4)
ここで、Hは、吸湿度判定処理により判定された吸湿度であり、aは定数である。
つまり、例えば、絶縁被膜の絶縁状態が適正なコイル3における絶縁被膜の吸湿度が60%である場合は、Vt’=Vt+a(60−40)となり、試験電圧Vtは、この計算式に基づいて調整後試験電圧Vt’に調整される。
ここで、定数aは、絶縁被膜の絶縁状態が適正な複数の導体線を用いて、試験電圧Vtと吸湿度との関係を予め実験的に求め、それを統計処理した結果に基づいて、予め設定されている。
良否判定処理は、調整後試験電圧Vt’をコイル3に印加した場合の放電電荷量である試験放電電荷量Ptを検出部12により検出し、試験電圧Vtと試験放電電荷量Ptとの関係に基づいて絶縁被膜の絶縁良否を判定する。
本実施形態では、良否判定処理では、試験放電電荷量Ptが、予め設定された良否判定しきい値としての良否判定電荷量Ps以上である場合に、絶縁被膜の絶縁良否を不良と判定する。一方、試験放電電荷量Ptが、予め設定された良否判定電荷量Ps未満である場合に、絶縁被膜の絶縁良否を良と判定する。ちなみに、図15に示す例では、調整後試験電圧Vt’をコイル3に印加した場合の試験放電電荷量Ptが、予め設定された良否判定電荷量Ps未満であるため、絶縁被膜の絶縁良否は良と判定される。ここでは、良否判定電荷量Psは、絶縁被膜の絶縁状態が適正範囲の下限にあり、絶縁被膜の吸湿度が基準状態(ここでは40%)であるコイル3における試験電圧Vtに対する放電電荷量(例えば放電開始判定電荷量Po)に相当する値となるように設定する。これにより、絶縁被膜の絶縁状態が適正範囲内にあるコイル3の絶縁良否を適切に良と判定することができる。
次に、図16に示すフローチャートに基づいて、制御部7が実行する各処理について説明を加える。
まず、第1電圧V1をコイル3に印加して第1放電電荷量P1を検出し、第2電圧V2をコイル3に印加して第2放電電荷量P2を検出する(ステップ#21)。
次に、第1電圧V1と第2電圧V2との差及び第1放電電荷量P1と第2放電電荷量P2との差から実変化率θを求め、さらに、実変化率θに基づいて、絶縁被膜の吸湿度を判定する(ステップ#22)。
そして、吸湿度に基づいて、試験電圧Vtを調整後試験電圧Vt’に調整する(ステップ#23)。次に、調整後試験電圧Vt’をコイル3に印加して試験放電電荷量Ptを検出する(ステップ#24)。そして、試験放電電荷量Ptと良否判定電荷量Psとを比較して(ステップ#25)、試験放電電荷量Ptが良否判定電荷量Ps以上の場合は、絶縁被膜の絶縁良否を「不良」と判定し(ステップ#26)、試験放電電荷量Ptが良否判定電荷量Ps未満の場合は、絶縁被膜の絶縁良否を「良」と判定する(ステップ#27)。
このように、本実施形態では、良否判定処理に用いる試験電圧Vtを、絶縁被膜の吸湿度に応じた調整後試験電圧Vt’に調整(図15参照)した後、その調整後試験電圧Vt’を印加して検出された試験放電電荷量Ptに基づいて絶縁被膜の絶縁良否を判定する。これにより、絶縁被膜の絶縁状態が適正であるにも関わらず、絶縁被膜の吸湿度が高いために、試験放電電荷量Ptが良否判定電荷量Ps未満となって不良と判定されてしまうことを抑制することができる。
4.その他の実施形態
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態では、吸湿度判定処理において、第1電圧と第2電圧との差及び第1放電電荷量と第2放電電荷量との差から実変化率を求め、その変化率と絶縁被膜との関係を規定したテーブルに基づいて、吸湿度を判定したが、実変化率を求めずに吸湿度を判定してもよい。例えば、第1電圧と第2電圧との差及び第1放電電荷量と第2放電電荷量との差と、絶縁被膜の吸湿度と、の関係を予め規定しておき、この関係に基づいて、第1電圧と第2電圧との差及び第1放電電荷量と第2放電電荷量との差から、吸湿度を判定してもよい。
(2)上記第2の実施形態では、試験電圧Vtを、第1電圧V1を超える電圧で且つ第2電圧V2未満の電圧に設定したが、試験電圧Vtを、第1電圧V1と同じ電圧や第2電圧V2と同じ電圧、又は、第1電圧V1未満の電圧を設定してもよい。
(3)上記第2の実施形態では、吸湿度判定処理において、実変化率θと予め設定された設定変化率とを比較して、実変化率θが判定変化率以上であるか未満であるかによって絶縁被膜の吸湿度が低いか高いかを二値的に判定する構成としている。そして、絶縁被膜の吸湿度が高いと判定した場合には、試験放電電荷量Ptを、予め設定された一定量だけ低下させることにより調整する構成としている。
これに対して、吸湿度判定処理において、実変化率θと、コイル3に印加する電圧の変化に対する放電電荷量の変化率と絶縁被膜の吸湿度との予め規定された関係規則と、に基づいて、絶縁被膜の吸湿度を判定する構成としてもよい。ここで、関係規則としては、例えば図5に示した関係テーブルと同様のテーブルを用いることができる。
この場合、調整処理では、吸湿度判定処理により判定された絶縁被膜の吸湿度に応じて異なる補正量により、試験放電電荷量Ptを調整する構成とするとよい。この際、例えば、試験対象のコイル3に対して試験電圧Vtを印加したときに検出される試験放電電荷量Ptを、絶縁被膜の吸湿度が予め定めた基準状態(例えば、絶縁被膜の吸湿度が40%)である場合の試験放電電荷量Pt’に相当する値となるように調整する構成とするとよい。
(4)上記の実施形態では、回転電機のステータとなる電機子2におけるU相、V相及びW相の三相の電機子巻線を構成するコイル3についての絶縁被膜の絶縁良否の判定を行う場合について説明した。しかし、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、リアクトルや電磁石に用いられるコイル3など、様々な用途のコイル3に対する絶縁状態判定に、本発明は適用することができる。
本発明によれば、表面に絶縁被膜が形成された導体線により構成されたコイルにおける絶縁被膜の絶縁良否の判定に利用できる。
1 :絶縁状態判定装置
3 :コイル
7 :制御部
11 :電源部
12 :検出部
V1 :第1電圧
V2 :第2電圧
Vt :試験電圧
Vt’:調整後試験電圧
Vo :放電開始電圧
Vo’:調整後放電開始電圧
Vs :良否判定しきい値(良否判定電圧)
P1 :第1放電電荷量
P2 :第2放電電荷量
Pt :試験放電電荷量
Pt’:調整後放電電荷量
Po :放電開始判定電荷量
Ps :良否判定しきい値(良否判定電荷量)

Claims (7)

  1. 表面に絶縁被膜が形成された導体線により構成されたコイルに電圧を印加する電源部と、
    前記電源部からの電圧の印加によって互いに隣接する前記導体線の間に生じる放電による放電電荷量を検出する検出部と、
    前記電源部を制御して、前記検出部により検出された放電電荷量に基づいて前記絶縁被膜の絶縁性能を判定するための処理を実行する制御部と、を備える絶縁状態判定装置であって、
    前記制御部が、
    前記電源部を制御して、少なくとも第1電圧と、当該第1電圧より高い第2電圧とを前記コイルに印加し、前記第1電圧を印加した場合の前記放電電荷量である第1放電電荷量と、前記第2電圧を印加した場合の前記放電電荷量である第2放電電荷量とを、前記検出部により検出し、前記第1電圧と前記第1放電電荷量と前記第2電圧と前記第2放電電荷量との関係に基づいて前記絶縁被膜の吸湿度を判定する吸湿度判定処理と、
    前記電源部を制御して試験電圧を前記コイルに印加し、当該試験電圧を印加した場合の前記放電電荷量である試験放電電荷量を前記検出部により検出し、前記試験電圧と前記試験放電電荷量との関係に基づいて前記絶縁被膜の絶縁良否を判定する良否判定処理と、
    前記吸湿度判定処理により判定された吸湿度に応じて、前記良否判定処理における前記試験電圧と前記試験放電電荷量との関係を調整する調整処理と、
    を実行する絶縁状態判定装置。
  2. 前記制御部は、前記吸湿度判定処理において、前記第1電圧と前記第2電圧との差及び前記第1放電電荷量と前記第2放電電荷量との差から求められる前記放電電荷量の変化率である実変化率に基づいて、前記絶縁被膜の吸湿度を判定する請求項1に記載の絶縁状態判定装置。
  3. 前記制御部は、前記吸湿度判定処理において、前記コイルに印加する電圧の変化に対する前記放電電荷量の変化率と前記絶縁被膜の吸湿度との予め規定された関係規則と、前記実変化率と、に基づいて前記絶縁被膜の吸湿度を判定する請求項2に記載の絶縁状態判定装置。
  4. 前記制御部は、
    前記吸湿度判定処理及び前記良否判定処理において、前記コイルに印加する電圧を次第に増加させて、前記放電電荷量が予め設定された放電開始判定電荷量になったときの電圧である放電開始電圧を検出すると共に、前記放電開始電圧を前記第1電圧及び前記試験電圧として、前記第1放電電荷量及び前記試験放電電荷量が前記放電開始判定電荷量となるようにし、
    前記調整処理において、前記絶縁被膜の吸湿度に応じて前記放電開始電圧を調整して、調整後放電開始電圧を求め、
    前記良否判定処理において、前記調整後放電開始電圧が、予め設定された良否判定しきい値未満である場合に、前記絶縁被膜の絶縁が不良であると判定する請求項1から3のいずれか一項に記載の絶縁状態判定装置。
  5. 前記制御部は、
    前記良否判定処理において、前記第1電圧以上であって前記第2電圧以下の電圧に前記試験電圧を設定し、
    前記調整処理において、前記絶縁被膜の吸湿度に応じて前記試験放電電荷量を調整して、調整後放電電荷量を求め、
    前記良否判定処理において、前記調整後放電電荷量が、予め設定された良否判定しきい値以上である場合に、前記絶縁被膜の絶縁が不良であると判定する請求項1から3のいずれか一項に記載の絶縁状態判定装置。
  6. 前記制御部は、
    前記調整処理において、前記絶縁被膜の吸湿度に応じて前記試験電圧を調整して、調整後試験電圧を求め、
    前記良否判定処理において、前記調整後試験電圧を前記コイルに印加した場合の前記試験放電電荷量が、予め設定された良否判定しきい値以上である場合に、前記絶縁被膜の絶縁が不良であると判定する請求項1から3のいずれか一項に記載の絶縁状態判定装置。
  7. 表面に絶縁被膜が形成された導体線により構成されたコイルに電圧を印加し、
    当該電圧の印加によって互いに隣接する前記導体線の間に生じる放電による放電電荷量を検出し、
    この検出された放電電荷量に基づいて前記絶縁被膜の絶縁性能を判定する絶縁状態判定方法であって、
    少なくとも第1電圧と、当該第1電圧より高い第2電圧とを前記コイルに印加し、前記第1電圧を印加した場合の前記放電電荷量である第1放電電荷量と、前記第2電圧を印加した場合の前記放電電荷量である第2放電電荷量とを検出し、前記第1電圧と前記第1放電電荷量と前記第2電圧と前記第2放電電荷量との関係に基づいて前記絶縁被膜の吸湿度を判定する吸湿度判定ステップと、
    試験電圧を前記コイルに印加し、当該試験電圧を印加した場合の前記放電電荷量である試験放電電荷量を検出し、前記試験電圧と前記試験放電電荷量との関係に基づいて前記絶縁被膜の絶縁良否を判定する良否判定ステップと、
    前記吸湿度判定ステップにより判定された吸湿度に応じて、前記良否判定ステップにおける前記試験電圧と前記試験放電電荷量との関係を調整する調整ステップと、
    を実行する絶縁状態判定方法。
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