JP2010281673A - 部分放電電圧計測システム及び部分放電電圧計測方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】絶縁物8について部分放電開始電圧を測定する場合、電圧制御プログラム9が、所定の時間間隔Δtupで電源装置2の出力電圧レベルを上昇させて、電圧上昇率が一定となるように制御する。また、部分放電判定プログラム19は、部分放電信号計測回路16が商用交流電源の6周期にわたり、部分放電検出ユニット3により出力される部分放電信号波形を計測し、その波形レベルが、開始判定しきい値Thiを超えた時点で部分放電が発生したと判定して、その時点の印加電圧を部分放電開始電圧とする。
【選択図】図1
Description
部分放電は、絶縁物にあるレベル以上の電圧が印加されると発生する。その場合、部分放電開始電圧は、印加する電圧レベルを徐々に上昇させて、部分放電が最初に発生した際の印加電圧で定義され、部分放電消滅電圧は、部分放電が発生している状態から徐々に電圧レベルを下降させて、最初に部分放電が消滅した際の印加電圧で定義される。
このような測定手法に対し、特許文献1には、パルス電圧の印加から、制御装置へのデータ蓄積までの一連の処理を、ソフトウェアを用いて自動的に行う計測システムが開示されている。
この電圧印加手段が生成する正弦波電圧の振幅を制御する電圧制御手段と、
前記電圧印加手段が前記絶縁物に印加した電圧を計測する印加電圧計測手段と、
前記絶縁物に対して電気的に接続された状態で部分放電を検出するために使用される部分放電測定器より出力される判定対象信号を計測する信号計測手段と、
この信号計測手段が計測した判定対象信号に基づいて、部分放電の発生の有無を示す電圧を判定する電圧判定手段とを備え、
前記電圧制御手段は、前記正弦波電圧を段階的に上昇させ、
前記信号計測手段は、前記正弦波電圧が上昇する各段階について、前記正弦波電圧の1周期よりも長い時間にわたり計測を行い、
前記電圧判定手段は、前記判定対象信号のレベルが開始判定しきい値を超えた場合に、前記印加電圧計測手段が計測した電圧レベルを部分放電開始電圧とすることを特徴とする。
また、印加電圧計測手段が絶縁物に印加する電圧を計測するので、測定者がメータを読み取る必要もなく、測定者が介在せずに部分放電開始電圧を測定できる。加えて、部分放電は、所定の電圧レベルに達した直後に発生する場合もあれば、正弦波電圧の1周期以上遅れて発生する場合もある。そこで、正弦波電圧の1周期よりも長い時間、判定対象信号を計測することで、部分放電が遅れて発生しても見逃す可能性が低くなる。
以下、第1実施例について図1ないし図4を参照しながら説明する。図1は部分放電電圧計測システムの構成をブロック図で示したものである。本実施例の部分放電電圧計測システム1は、電源装置2、計測制御装置4を備えて構成されている。電源装置2は、交流電圧を出力するもので、正弦波電圧を生成出力する発振器5,及び発振器5が生成した正弦波電圧を増幅するアンプ6で構成されている。変圧器7は、アンプ6の出力電圧を昇圧し、絶縁物8に昇圧電圧を印加する。発振器5は、計測制御装置4が備えている電圧制御プログラム9が定めた振幅に従い、正弦波電圧を生成するようになっている。
計測制御装置4は、パーソナルコンピュータをベースとして構成されており、以下に述べる各種のアプリケーションプログラムが動作すると共に、外部との間で信号を入出力するためのインターフェイスを備えることで、入力された信号波形を画面に表示するデジタルオシロスコープとしての機能や、部分放電の計測を制御する機能を実現している。
尚、変化幅ΔAは、発振器5の出力電圧の最小単位(出力分解能)で決まり、倍率nについては、発振器5に対し、出力分解能のn倍(n[mV])の電圧を指示するものとなる。そして、例えばアンプ6のゲインが「100」,変圧器8の昇圧率が「60」であるとすれば、変化幅ΔAに応じて電源装置2が出力する電圧レベルは、1mV×100×60=6Vとなる。
再び、図2を参照する。ステップS10では、部分放電判定プログラム19が、所定のしきい値Thi(測定対象の絶縁物8に応じて異なる)と最大値PDmaxとを比較し、(PDmax≧Thi)であれば部分放電が発生したと判定して(YES)ステップS13に移行する。ステップS13では、ステップS5で算出した電圧値Vを部分放電開始電圧として、計測制御装置4の表示パネルなどに表示する。
尚、ステップS7における電圧の増加幅は(ΔA・n)に設定されているが、ステップS12における電圧の増加幅はΔAに設定されている。これは、部分放電開始電圧が1kVを上回ると予想される絶縁物の場合、初期電圧Viを超えるまでは印加電圧の上昇率を高めて、測定を迅速に行うためである。
ステップS23では、部分放電判定プログラム19が、所定のしきい値Theと最大値PDmaxを比較し、(PDmax<The)となれば部分放電が消滅したと判定し(YES)、ステップS26に移行する。ステップS26では、ステップS5で算出した電圧値Vを部分放電消滅電圧として、計測制御装置4の表示パネルなどに表示する。
さらに、初期電圧取得プログラム12により、部分放電開始電圧を測定する際の初期電圧Viを設定し、電圧制御プログラム9は、設定された初期電圧Viまでは電圧上昇率を高め、その後は電圧上昇率を緩めるので、部分放電開始電圧測定に要する時間の短縮が可能となる。
図5及び図6は第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第2実施例の部分放電電圧計測システム31は、第1実施例の部分放電電圧計測システム1に加えて、絶縁物8の周辺温度を測定する温度測定装置(温度計測手段)24と、絶縁物8の周辺湿度を測定する湿度測定装置(湿度計測手段)25と、絶縁物8の周辺気圧を測定する気圧測定装置(気圧計測手段)26とを備えて構成されている。
尚、ステップS37において時間Tpだけ待機するのは、前回の測定で発生した部分放電が、次の測定に影響を与えることを回避するためである。また、図6では部分放電開始電圧の測定手順を説明したが、部分放電消滅電圧についても、ステップS1〜S13に替えて図4に示す処理を実行すれば、同様の手順で測定可能である。
図7は第3実施例であり、第1実施例と異なる部分のみ説明する。第3実施例は、第1実施例の部分放電電圧計測システム1に対し、部分放電検出ユニット3に替えて、CT(電流トランス,部分放電測定器)33を組み合わせた構成である。この場合、CT33は、絶縁物8に対して直列に接続されている。斯様に構成した場合でも、絶縁物8に部分放電が発生した場合に流れる電流がCT33により検出される。したがって、第1実施例と同様にして部分放電開始電圧,又は部分放電消滅電圧を計測することができる。
図8は第4実施例であり、第2実施例と異なる部分のみ説明する。第4実施例は、第2実施例の部分放電電圧計測システム31に対し、部分放電検出ユニット3に替えて、CT33を組み合わせた構成である。この場合も、第2実施例と同様にして、部分放電開始電圧,又は部分放電消滅電圧に加えて温度データ、湿度データ、気圧データを計測し、それらのデータをファイルに保存することができる。
部分放電信号波形を計測する期間は、必ずしも交流電源の6周期分に限ることなく、7周期以上行っても良いし、少なくとも1周期以上とすれば良い。
変化幅ΔA値は、適宜変更して良い。また、結合コンデンサ10の容量も適宜変更して実施すれば良い。
初期電圧Viを設定した場合に、印加電圧の上昇率を変化させる処理は、必要に応じて行えばよい。また、初期電圧Vi,Ve設定についても必要に応じて行えば良く、計測制御装置4に予め定められているデフォルト値で初期電圧を設定しても良い。
発振器5の出力分解能,アンプ6のゲインや変圧器7の増幅率も、適宜変更して良い。
電圧上昇時間Δtup,電圧下降時間Δtdown,休止時間Tpについても、適宜変更して良い。
第1実施例において、部分放電開始電圧の計測のみを行っても良い。
第2実施例において、温度データ、湿度データ、気圧データは必ずしも計測する必要はない。また、それらの内何れか1つ以上を計測しても良い。
また、第2実施例において、繰り返し回数Mをユーザに設定させるようにしたが、上記と同様計測制御装置4に予め定められているデフォルト値で設定しても良い。
計測制御装置4,32は、パーソナルコンピュータをベースとする構成に限らず、部分放電の計測を制御するため装置として構成しても良い。
Claims (8)
- 正弦波電圧を生成して絶縁物に印加する電圧印加手段と、
この電圧印加手段が生成する正弦波電圧の振幅を制御する電圧制御手段と、
前記電圧印加手段が前記絶縁物に印加した電圧を計測する印加電圧計測手段と、
前記絶縁物に対して電気的に接続された状態で部分放電を検出するために使用される部分放電測定器より出力される判定対象信号を計測する信号計測手段と、
この信号計測手段が計測した判定対象信号に基づいて、部分放電の発生の有無を示す電圧を判定する電圧判定手段とを備え、
前記電圧制御手段は、前記正弦波電圧を段階的に上昇させ、
前記信号計測手段は、前記正弦波電圧が上昇する各段階について、前記正弦波電圧の1周期よりも長い時間にわたり計測を行い、
前記電圧判定手段は、前記判定対象信号のレベルが開始判定しきい値を超えた場合に、前記印加電圧計測手段が計測した電圧レベルを部分放電開始電圧とすることを特徴とする部分放電電圧計測システム。 - 前記電圧制御手段は、前記判定対象信号のレベルが前記開始判定しきい値を超えている状態から、前記正弦波電圧を段階的に下降させ、
前記信号出力手段は、前記正弦波電圧が下降する各段階について、前記正弦波電圧の1周期よりも長い時間にわたり前記判定対象信号を計測し、
前記電圧判定手段は、前記判定対象信号のレベルが消滅判定しきい値を下回った際に、前記印加電圧計測手段が計測した電圧レベルを部分放電消滅電圧とすることを特徴とする請求項1記載の部分放電電圧計測システム。 - 初期電圧を入力設定するための初期電圧設定手段を備え、
前記電圧制御手段は、前記正弦波電圧を上昇させる場合、前記正弦波電圧が前記初期電圧に達するまでは電圧の上昇率を高く設定し、前記正弦波電圧が前記初期電圧に達した以降は電圧の上昇率を低く設定することを特徴とする請求項1又は2記載の部分放電電圧計測システム。 - 前記印加電圧計測手段が計測する電圧,又は前記信号計測手段が計測する判定対象信号のデータを記録するデータ記録手段と、
前記電圧判定手段による電圧判定を、複数回反復して実行させる反復実行制御手段と、
この反復実行制御手段が制御することで、前記電圧判定手段により得られる複数回の電圧判定結果を記録するデータ記録手段とを備えたことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の部分放電電圧計測システム。 - 前記絶縁物の周囲温度を計測して、計測した温度データを出力する温度計測手段,前記絶縁物の周囲湿度を計測して、計測した湿度データを出力する湿度計測手段,前記絶縁物の周囲気圧を計測して、計測した気圧データを出力する気圧計測手段の何れか1つ以上と、
前記温度計測手段が出力した温度データ,前記湿度計測手段が出力した湿度データ,前記気圧計測手段が出力した気圧データの何れか1つ以上を取得する周囲環境データ取得手段とを備え、
前記データ記録手段は、前記周囲環境データ取得手段が取得したデータも記録することを特徴とする請求項4記載の部分放電電圧計測システム。 - 絶縁物に印加する正弦波電圧を段階的に上昇させ、
前記正弦波電圧が上昇する各段階について、前記正弦波電圧の1周期よりも長い時間にわたり、前記絶縁物に対して電気的に接続された状態で部分放電を検出するために使用される部分放電測定器より出力される判定対象信号を計測し、
前記判定対象信号のレベルが開始判定しきい値を超えた場合に、計測した電圧レベルを部分放電開始電圧とすることを特徴とする部分放電電圧計測方法。 - 前記判定対象信号のレベルが前記開始判定しきい値を超えている状態から、前記正弦波電圧を下降させ、
前記正弦波電圧が上昇する各段階について、前記正弦波電圧の1周期よりも長い時間にわたり前記判定対象信号を計測し、
前記判定対象信号のレベルが消滅判定しきい値を下回った際に、計測した電圧レベルを部分放電消滅電圧とすることを特徴とする請求項6記載の部分放電電圧計測方法。 - 初期電圧を予め設定し、
前記正弦波電圧を上昇させる場合、前記正弦波電圧が前記初期電圧に達するまでは電圧の上昇率を高く設定し、前記正弦波電圧が前記初期電圧に達した以降は電圧の上昇率を低く設定することを特徴とする請求項6又は7記載の部分放電電圧計測方法。
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