JP2015075139A - 歯車機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】低減速比から超高減速比まで減速比を多様に設定でき、伝達効率も高くすることができる歯車機構を提供する。
【解決手段】本発明の歯車機構は、第一の内歯車1を有する本体部4と、本体部4に対して相対的に回転可能であり、第二の内歯車2を有する相対回転部7と、第一の内歯車1に噛み合いながら第一の内歯車1の内側を自公転する第一の外歯車11、及び第二の内歯車2に噛み合いながら第二の内歯車2の内側を自公転する第二の外歯車12が軸方向に連結される複数の外歯車8と、本体部4に対して相対的に回転可能であると共に、複数の外歯車8を自公転可能に支持するキャリア9と、を備える。第一の外歯車11と第二の外歯車12とで、歯数及びモジュールの少なくとも一方を異ならせる。本体部4、キャリア9、及び相対回転部7の一つを固定し、一つを入力軸とし、一つを出力軸とする。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の歯車機構は、第一の内歯車1を有する本体部4と、本体部4に対して相対的に回転可能であり、第二の内歯車2を有する相対回転部7と、第一の内歯車1に噛み合いながら第一の内歯車1の内側を自公転する第一の外歯車11、及び第二の内歯車2に噛み合いながら第二の内歯車2の内側を自公転する第二の外歯車12が軸方向に連結される複数の外歯車8と、本体部4に対して相対的に回転可能であると共に、複数の外歯車8を自公転可能に支持するキャリア9と、を備える。第一の外歯車11と第二の外歯車12とで、歯数及びモジュールの少なくとも一方を異ならせる。本体部4、キャリア9、及び相対回転部7の一つを固定し、一つを入力軸とし、一つを出力軸とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、減速機又は増速機に用いられる歯車機構に関する。
減速機に用いられる歯車機構の一種として、図12に示すような不思議遊星歯車機構が知られている(特許文献1参照)。この不思議遊星歯車機構は、入力軸101を回転させて太陽歯車102を回転させ、太陽歯車102の回転を太陽歯車102及び固定内歯車103の双方に噛み合う複数の遊星歯車104に伝達し、複数の遊星歯車104を太陽歯車102の回りを自公転させる。そして、複数の遊星歯車104を固定内歯車103の他に、固定内歯車103の歯数に対して歯数差を有する回転内歯車105に噛み合わせ、回転内歯車105によって出力軸107を回転させるようにしている。複数の遊星歯車104がキャリア106に支持された状態で太陽歯車102の回りを自公転すると、回転内歯車105が固定内歯車103との歯数差に応じて回転し、出力軸107が入力軸101の回転数に対して減速された回転数で回転する。
従来の不思議遊星歯車機構にあっては、太陽歯車、遊星歯車、及び固定内歯車の三種類の歯車が同時に噛み合わなければ成立しないので、遊星歯車の配置数、三種類の歯車の歯数に制限があり、低減速比から超高減速比まで減速比を多様に設定できないという課題がある。また、三種類の歯車を同時に噛み合わせるためには、三種類の歯車の少なくとも一つに転位を取る必要がある。さらに、歯数差のある固定内歯車及び回転内歯車を共通の遊星歯車に噛み合わせているので、固定内歯車又は回転内歯車に大きく転位を取る必要がある。このため、伝達効率が低くなるという課題がある。伝達効率が低いと、不思議遊星歯車機構を駆動するモータの容量を大きくしなければならなくなる。
そこで本発明は、低減速比から超高減速比まで減速比を多様に設定でき、伝達効率も高くすることができる歯車機構を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、第一の内歯車を有する本体部と、前記本体部に対して相対的に回転可能であり、第二の内歯車を有する相対回転部と、前記第一の内歯車に噛み合いながら前記第一の内歯車の内側を自公転する第一の外歯車、及び前記第二の内歯車に噛み合いながら前記第二の内歯車の内側を自公転する第二の外歯車が軸方向に連結される複数の外歯車と、前記本体部に対して相対的に回転可能であると共に、前記複数の外歯車を自公転可能に支持するキャリアと、を備え、前記外歯車の前記第一の外歯車と前記第二の外歯車とで、歯数及びモジュールの少なくとも一方を異ならせ、前記本体部、前記キャリア、及び前記相対回転部の一つを固定し、一つを入力軸とし、一つを出力軸とする歯車機構である。
本発明によれば、複数の外歯車の内側に太陽歯車を設けなくて済むので、第一の外歯車の配置数、第一の外歯車及び第一の内歯車の歯数の自由度が高くなる。また、複数の外歯車の内側に太陽歯車を設けることなく、第一の外歯車及び第二の外歯車の歯数及びモジュールの少なくとも一方を異ならせているので、第二の外歯車及び第二の内歯車の歯数の自由度も高くなる。このため、第一の内歯車及び第二の内歯車に転位を取ることなく、若しくは転位を小さくして第一の外歯車及び第二の外歯車を第一及び第二の内歯車に噛み合わせることができる。歯車の歯数の自由度が高くなることと、転位を少なく若しくは無くして歯車を噛み合わせることができる結果、低減速比から超高減速比まで減速比を多様に設定でき、伝達効率も高くすることができる歯車機構が得られる。
以下添付図面に基づいて、本発明の歯車機構の実施形態を詳細に説明する。図1は減速機として使用される本発明の第一の実施形態の歯車機構を示す。同図において、第一の内歯車1及び第二の内歯車2の一部を切断して、歯車機構の内部構造を示す。図2は歯車機構の中心線Cに沿った断面図を示し、図3は歯車機構の分解斜視図を示す。
本実施形態の歯車機構は、第一の内歯車1を有する本体部4と、第二の内歯車2を有する相対回転部7と、複数の外歯車8と、複数の外歯車8を自公転可能に支持するキャリア9と、を備える。複数の外歯車8の内側には太陽歯車が設けられていない。複数の外歯車8は中心線Cの回りを自公転する。外歯車8の第一の外歯車11は第一の内歯車1のみに噛み合い、第二の外歯車12は第二の内歯車2のみに噛み合う。
この歯車機構では、本体部4を固定し、キャリア9を入力軸とし、相対回転部7を出力軸とする。入力軸としてのキャリア9を回転させると、出力軸としての相対回転部7がキャリア9の回転数に対して減速された回転数で回転する。
本体部4には、第一の内歯車1が一体に形成される。相対回転部7には、第二の内歯車2が一体に結合される。第一の内歯車1の中心線Cと第二の内歯車の中心線Cとは一致する。相対回転部7は本体部4に対して中心線Cの回りを回転する。キャリア9は本体部4に対して中心線Cの回りを回転する。キャリア9には複数の外歯車8が自公転可能に支持される。外歯車8の第一の外歯車11は第一の内歯車1に噛み合い、外歯車8の第二の外歯車12は第二の内歯車2に噛み合う。外歯車8の第一の外歯車11と第二の外歯車12は歯数及びモジュールの少なくとも一方が異なっている。
キャリア9を回転させると、相対回転部7が減速する原理は以下のとおりである。キャリア9を回転させると、キャリア9に支持される外歯車8の第一の外歯車11が第一の内歯車1に噛み合いながら第一の内歯車1の内側を自公転する。第一の外歯車11には第二の外歯車12が軸方向に連結されるので、第一の外歯車11の自公転と一緒に第二の外歯車12が第二の内歯車2に噛み合いながら第二の内歯車2の内側を自公転する。第二の内歯車2は第一の内歯車1に対して歯数差があり、及び/又は第二の外歯車12は第一の外歯車11に対して歯数差がある。このため、第一の内歯車1と第二の内歯車2との歯数差、及び/又は第一の外歯車11と第二の外歯車12との歯数差に応じて、第二の内歯車2が回転し、相対回転部7がキャリア9の回転数に対して減速された回転数で回転する。
本実施形態の第一及び第二の内歯車1,2、第一及び第二の外歯車11,12には、標準歯車が用いられる。これらの歯車1,2,11,12には転位が取られておらず、互いの基準円直径が接する状態で噛み合う。
本実施形態によれば、複数の外歯車8の内側に太陽歯車を設けないので、第一の外歯車11の配置、第一の外歯車11及び第一の内歯車1の歯数の自由度が高くなる。また、複数の外歯車8の内側に太陽歯車を設けることなく、第一の外歯車11及び第二の外歯車12の歯数及びモジュールの少なくとも一方を異ならせているので、第二の外歯車12及び第二の内歯車2の歯数の自由度も高くなる。このため、第一の内歯車1及び第二の内歯車2に転位を取ることなく、第一の外歯車11及び第二の外歯車12を第一及び第二の内歯車1,2に噛み合わせることができる。歯車の歯数の自由度が高くなることと、転位を無くして歯車を噛み合わせる結果、減速比を多様に例えば1:5の低減速比から1:3000以上の高減速比まで設定でき、伝達効率も高くすることができる。
歯車機構の各部の詳細な構造は以下のとおりである。図1に示すように、本体部4は、第一の内歯車1が一体に形成される歯車部5と、相対回転部7を回転可能に支持するリング状の軸受外輪部6と、を結合してなる。歯車部5は略円筒形状をなし、歯車部5の内周面に第一の内歯車1が形成される。歯車部5にはフランジ5aが設けられる。歯車部5のフランジ5aには軸受外輪部6がボルト等の締結部材13によって結合される。軸受外輪部6は、クロスローラ軸受の外輪を構成する。クロスローラ軸受は、円筒形のころ14を隣接するころ14の軸線が直交するように交互に並べたものである。クロスローラ軸受を使用することで、本体部4に対して相対回転部7を高い剛性で保持することができる。軸受外輪部6の内周面には、断面V字形状のころ転走面6aが形成される。軸受外輪部6は図示するように二分割されてもよいし、一体でもよい。軸受外輪部6のころ転走面6aと第一の内歯車1とでは焼入れの仕方が異なる。歯車部5と軸受外輪部6とを別体にし、別々に焼き入れした後、これらを締結部材13で一体に結合する。本体部4には、本体部4を相手部品に結合するための取付け穴4aが加工される。
図2の断面図に示すように、相対回転部7は、第二の内歯車2が一体に形成される略円筒状の歯車部15と、クロスローラ軸受の内輪を構成する軸受内輪部16と、を結合してなる。歯車部15は略円筒形状をなし、歯車部15の内周面に第二の内歯車2が形成される。歯車部15にはフランジ15aが設けられる。歯車部15のフランジ15aにはボルト等の締結部材17によって軸受内輪部16が結合される。軸受内輪部16の内周面には、断面V字形状のころ転走面16aが形成される。軸受内輪部16のころ転走面16aと第二の内歯車2とでは焼入れの仕方が異なる。歯車部15と軸受内輪部16とを別体にし、別々に焼き入れした後、これらを締結部材17で一体に結合する。相対回転部7には、出力軸を結合するためのタップ穴7a(図1参照)が加工される。
図3の分解斜視図に示すように、キャリア9は円筒形をなす。キャリア9の中心線方向の両端部には、本体部4に対してキャリア9を回転可能に支持する一対の軸受18が設けられる。キャリア9には円周方向に均等間隔を空けて複数の収容凹部21が形成される。複数の収容凹部21には、複数の外歯車8が収容される。
図4のキャリア9の分解斜視図に示すように、円筒状のキャリア9は、外歯車8の外歯車軸22の両端部を支持する一対の円盤状の軸支持部9aと、軸支持部9a,9aを連結するキャリア本体9bと、を備える。キャリア9の剛性を上げるために、軸支持部9a,9aとキャリア本体9bとは一体に形成される。軸支持部9a,9aとキャリア本体9bとはボルト等の締結部材によって結合されるのではなく、単一の部品からなる。キャリア9の収容凹部21には、キャリア9を中心線方向に貫通する貫通孔24が形成される。外歯車8の外歯車軸22は、収容凹部21に収容された外歯車8及びキャリア9を貫通し、両端部がキャリア9の軸支持部9aに支持される。キャリア9の端面9a1には入力軸を結合するためのタップ穴(図示せず)が加工される。
収容凹部21は、外歯車8の第一の外歯車11及び第二の外歯車12が形成される外歯車本体26(図5参照)を収容できる大きさを持つ。収容凹部21の平面形状は、矩形に形成される。収容凹部21には、底21a(図2参照)が設けられる。収容凹部21に収容された外歯車本体26の第一の外歯車11及び第二の外歯車12は、筒状のキャリア9の外周面から突出し、第一の内歯車1及び第二の内歯車2に噛み合う。収容凹部21に底21aを設けることで、キャリア9の剛性が向上する。
図5は、外歯車8の分解斜視図を示す。外歯車8は、第一の外歯車11及び第二の外歯車12が形成される外歯車本体26と、外歯車本体26を回転可能に支持する外歯車軸22と、を備える。第一の外歯車11と第二の外歯車12とは、互いの軸線が一致するように軸方向に一体に結合される。外歯車本体26は中空に形成され、外歯車本体26と外歯車軸22との間には、ニードルベアリング等の軸受27が介在する。軸受27を保持するために外歯車本体26にはワッシャ28が組み込まれる。外歯車軸22の軸方向の両端部には、端に向かって徐々に径が小さくなるようなテーパ22aが形成される。
以下に本実施形態の歯車機構のバックラッシ低減方法、はすば歯車化、歯車の噛み合い位相について順番に説明する。
まずバックラッシ低減方法について説明する。図6(b)は中心線の方向から見たキャリア9の軸支持部9aの詳細図を示す。キャリア9の軸支持部9aの貫通孔24には、外歯車8の外歯車軸22が挿入される。貫通孔24は径方向(図中Y方向)に細長い長孔に形成される。外歯車軸22の側面はトルク伝達のためにキャリア9に接する一方、外歯車軸22の上下面とキャリア9との間には隙間δが存在する。外歯車軸22は、キャリア9に径方向(図中Y方向)に移動可能にかつ円周方向(図中X方向)に移動不可能に支持される。
図6(a)に示すように、外力が作用するとき、第一の外歯車11には矢印A1で示す接線力が働き、第二の外歯車12には矢印A2で示す接線力が働く。図1に示す相対回転部7に負荷をかけ、キャリア9を回転させると、このような外力が働く。接線力A1,A2によって外歯車8にはヨー軸周りにモーメントMが発生する。外歯車軸22の円周方向(図中X方向の)の端部が一体型高剛性のキャリア9に接するので、モーメントMによる外歯車8の位置ずれを防止することができる。
図4に示すように、キャリア9には、外歯車8を第一及び第二の内歯車1,2に第一及び第二の内歯車1,2の径方向の外側に付勢する付勢手段が組み込まれる。付勢手段は、複数の外歯車軸22の軸方向の両端部の内側に配置される一対のテーパ部31,32と、テーパ部31,32に弾性力を付与するテンションロッド33と、を備える。テーパ部31,32の外周面は外歯車軸22の両端部のテーパ22aに接する(図2参照)。テンションロッド33は一対のテーパ部31,32を貫通し、テンションロッド33の先端部にはナット34が螺合する。ナット34を締めると、一対のテーパ部31,32が図2の矢印A3の方向に互いに近づくように移動し、外歯車軸22が第一及び第二の内歯車1,2の径方向(図2の矢印A4の方向)の外側に移動し、外歯車8の第一及び第二の外歯車11,12に予圧がかかる。一対のテーパ部31,32は複数の外歯車8の外歯車軸22の両端部を支えているので、複数の外歯車8の第一及び第二の外歯車11,12にかかる予圧は均等になる。大きな外力が作用したとき、又は歯車のピッチ誤差がある場合には、テンションロッド33が伸びて、外歯車8を第一及び第二の内歯車1,2の径方向の内側に退避させる。
本実施形態によれば、テンションロッド33が外歯車8を第一及び第二の内歯車1,2に第一及び第二の内歯車1,2の径方向の外側に付勢するので、外歯車8に予圧がかかり、バックラッシが低減する。また、テーパ部31,32を利用して外歯車8を第一及び第二の内歯車1,2の径方向の外側に移動させるので、楔の効果により大きい予圧力を得ることができる。さらに、テンションロッド33は変位に対して荷重が直ぐに立ち上がるという特性を持つので、歯車機構の回転剛性(出力軸としての相対回転部7を固定して入力軸としてのキャリア9を回転するときの剛性)を向上させることができる。
次に、はすば歯車化を説明する。図7(a)に示すように、第一及び第二の内歯車1,2の歯数、第一及び第二の外歯車11,12には、歯すじを軸方向に対して斜めにしたはずば歯車が用いられる。第一の外歯車11及び第二の外歯車12は、外歯車8の側方(図7(a)の紙面の直交方向)からみてねじれ方向が同じ向きである。すなわち、図7(a)に示すように、第一の外歯車11及び第二の外歯車12は、歯すじが右下がりになっている右ねじれのはすば歯車である。第一の内歯車1は第一の外歯車11と同一のねじれ角を持つはすば歯車であり、第二の内歯車2は第二の外歯車12と同一のねじれ角を持つはすば歯車である。
図7(b)は第一及び第二の外歯車11,12と第一及び第二の内歯車1,2との噛み合い部分を模式的に示した図である。第一及び第二の外歯車11,12のねじれ方向を同じ向きにすることで、外力が作用したときの軸方向の分力(図7(b)の矢印A5,A6で示す)を相殺することができる。外力が作用するとき、第一の外歯車11と第一の内歯車1との噛み合い部分には、図7(b)の矢印A1で示す接線力が作用し、第二の外歯車12と第二の内歯車2との噛み合い部分には、図7(b)の矢印A2で示す接線力が作用する。この接線力A1、A2は図6で示す接線力A1,A2と同一である。接線力A1,A2は互いに反対方向を向く。接線力A1によって第一の外歯車11には矢印A5で示す分力が発生し、接線力A2によって第二の外歯車12には矢印A6で示す分力が働く。分力A5と分力A6は互いに反対方向を向くので、接線力A1,A2に起因する分力A5,A6が相殺される。
この実施形態では、第一の内歯車1と第二の内歯車2とで歯数が異なっており、第一の内歯車1の基準円直径d1と第二の内歯車2の基準円直径d2も異なっている。基準円直径d1とd2とが異なると、分力A5,A6の大きさが異なってくる。分力A5の大きさと分力A6の大きさを釣り合わせるために、ねじれ角θ1とねじれ角θ2とを異ならせる。
本実施形態によれば、第一及び第二の外歯車11,12にはすば歯車を使用するので、低騒音化を図ることができると共に、噛み合い率を向上させることができる。また、第一の外歯車11及び第二の外歯車12のはすば歯車は、ねじれ方向が同じ向きであるので、軸方向の分力A5,A6が相殺され、外歯車8がキャリア9を軸方向に押すスラスト力が低減される。したがって、効率損失を低減することができる。
次に、歯車の噛み合い位相を説明する。この例では、第一及び第二の内歯車1,2、第一及び第二の外歯車11,12の歯数、外歯車8の個数は以下のとおりである。
図8(a)は第一の内歯車1における歯車機構の断面図(図2の(a)−(a)線断面図)を示し、図8(b)は第二の内歯車2における歯車機構の断面図(図2の(b)−(b)線断面図)を示す。外歯車8の個数は4であるから、2の約数を持つ。2等配される第一の外歯車11−1,11−3は同位相で第一の内歯車1に噛み合い、2等配される第一の外歯車11−2,11−4は同位相で第一の内歯車1に噛み合う。また、2等配される第二の外歯車12−1,12−3は同位相で第二の内歯車2に噛み合い、2等配される第二の外歯車12−2,12−4は同位相で第二の内歯車2に噛み合う。図8(a)に示すように、第一の外歯車11の凸部11aの中心C1から隣の凸部11aの中心C2までの角度θを一周期としたとき、噛み合い位相はこの一周期の範囲内で変化する。噛み合い位相が同一とは、図8(a)に示すように、第一の外歯車11−1が凸部11aの中心C1で第二の内歯車2に噛み合う場合、第一の外歯車11−3も凸部11aの中心C1で第二の内歯車2に噛み合うことをいう。
外力が作用するとき、第一の内歯車1には図8(a)の矢印A7で示すトルクが作用する。第一の外歯車11−1の圧力角によって第一の外歯車11−1には図8(a)の矢印A8で示す分力が発生し、第一の外歯車11−3には図8(a)の矢印A9で示す分力が発生する。2等配される第一の外歯車11−1,11−3の噛み合い位相を同位相にすることで分力A8,A9を相殺することができる。同様に、外力が作用するとき、第二の内歯車2には図8(b)の矢印A7で示す反対方向のトルクが作用する。第二の外歯車12−1の圧力角によって第二の外歯車12−1には図8(b)の矢印A8で示す分力が発生し、第二の外歯車12−3には図8(b)の矢印A9で示す分力が発生する。2等配される第二の外歯車12−1,12−3の噛み合い位相を同位相にすることで分力A8,A9を相殺することができる。
なお、この例では、第一の内歯車1の歯数が84であり、4で割り切れる。第二の内歯車2の歯数も80であり、4で割り切れる。このため、4等配される第一の外歯車11−1〜11−4が同位相で第一の内歯車1に噛み合い、4等配される第二の外歯車12−1〜12−4が同位相で第二の内歯車2に噛み合う。
本実施形態によれば、第一及び第二の外歯車11,12を第一及び第二の内歯車1,2の円周方向に沿って等配するので、第一及び第二の外歯車11,12の圧力角に起因した分力A8,A9を相殺することができる。特に2等配された第一の外歯車11の噛み合い位相を同位相にし、2等配された第二の外歯車12の噛み合い位相を同位相にするので、分力A8,A9を効果的に相殺することができる。この結果、キャリア9に分力A8,A9に起因したモーメントが発生するのを防止でき、トルクリップルを小さくでき、効率損失を少なくすることができる。
第一及び第二の内歯車1,2の内側に複数の外歯車8を配置することで、第一及び第二の外歯車11,12の同時に噛み合っている歯の歯数も多くすることでき、第一及び第二の外歯車11,12のモジュールを小さくすることができる。モジュールが小さくなれば、歯車機構の小型化を図れ、ひいては減速機の小型化を図れる。
図9は、第一及び第二の内歯車1,2、第一及び第二の外歯車11,12の歯数、外歯車8の個数を以下の表2のように設定した例を示す。図9(a)は第一の内歯車1における歯車機構の断面図を示し、図9(b)は第二の内歯車2における歯車機構の断面図を示す。
この例では、外歯車8の個数は4であるから、2の約数を持つ。2等配される第一の外歯車11−1,11−3は同位相で第一の内歯車1に噛み合い、2等配される第一の外歯車11−2,11−4は同位相で第一の内歯車1に噛み合う。また、2等配される第二の外歯車12−1,12−3は同位相で第二の内歯車2に噛み合い、2等配される第二の外歯車12−2,12−4は同位相で第二の内歯車2に噛み合う。ただし、第一の内歯車1の歯数は82であり、4で割り切れない。このため、第一の外歯車11−2,11−4は第一の外歯車11−1,11−3に対して1/2だけ位相がすれている。第二の内歯車2の歯数は80であり、4で割り切れるから、4等配される第二の外歯車12−1〜12−4は全て同位相で第二の内歯車2に噛み合う。
図10は、第一及び第二の内歯車1,2、第一及び第二の外歯車11,12の歯数、外歯車8の個数を以下の表3のように設定した例を示す。図10(a)は第一の内歯車1における歯車機構の断面図を示し、図10(b)は第二の内歯車2における歯車機構の断面図を示す。
この例では、外歯車8の個数は3であるから、3の約数を持つ。3等配される第一の外歯車11−1〜11−3は同位相で第一の内歯車1に噛み合い、3等配される第二の外歯車12−1〜12−3は同位相で第二の内歯車2に噛み合う。
図11は、本発明の第二の実施形態の歯車機構の中心線に沿った断面図を示す。第二の実施形態の歯車機構では、バックラッシ低減方法が第一の実施形態と異なる。その他の構造は第一の実施形態の歯車機構と同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
上記実施形態では、図2に示すようにテンションロッド33の弾性力によって第一及び第二の外歯車11,12の予圧力を調整しているが、この実施形態では、皿ばね41の弾性力によって第一及び第二の外歯車11,12の予圧力を調整している。テンショナー42に螺合するナット43を調整することで、皿ばね41の弾性力を調整することができる。皿ばね41の反力により一対のテーパ部としてのテンショナー42及びテーパスリーブ44が矢印方向A3に移動させ、外歯車8を第一及び第二の内歯車1,2の径方向の外側に移動させる。これにより、第一及び第二の外歯車11,12に予圧がかかる。
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で他の実施形態に具現化できる。
例えば、上記実施形態では、歯車機構を減速機として使用する例を説明したが、増速機として使用することもできる。増速機として使用する場合、相対回転部が入力軸になり、キャリアが出力軸になる。
上記実施形態では、本体部を固定し、キャリアを入力軸にし、相対回転部を出力軸にしているが、本体部、キャリア、相対回転部は一つを固定し、一つを入力軸とし、一つを出力軸にすればよい。例えば、相対回転部を固定し、キャリアを入力軸にし、本体部を出力軸にすることもできるし、相対回転部を固定し、本体部を入力軸にし、キャリアを出力軸にすることもできる。
上記実施形態の第一及び第二の内歯車の歯数、外歯車の個数、第一及び第二の外歯車の歯数は一例であり、必要とされる減速比又は増速比に応じて様々に設定することができる。
上記実施形態の歯車機構の構造、形状は一例であり、本発明の要旨を変更しない範囲で他の構造、形状を採用し得る。
1…第一の内歯車,2…第二の内歯車,4…本体部,7…相対回転部,8…外歯車,9…キャリア,11…第一の外歯車,12…第二の外歯車,21…収容凹部,22…外歯車軸,24…貫通孔,31,32…テーパ部,33…テンションロッド(弾性部材),41…皿ばね(弾性部材),42…テンショナー(テーパ部),44…テーパスリーブ(テーパ部)
Claims (7)
- 第一の内歯車を有する本体部と、
前記本体部に対して相対的に回転可能であり、第二の内歯車を有する相対回転部と、
前記第一の内歯車に噛み合いながら前記第一の内歯車の内側を自公転する第一の外歯車、及び前記第二の内歯車に噛み合いながら前記第二の内歯車の内側を自公転する第二の外歯車が軸方向に連結される複数の外歯車と、
前記本体部に対して相対的に回転可能であると共に、前記複数の外歯車を自公転可能に支持するキャリアと、を備え、
前記外歯車の前記第一の外歯車と前記第二の外歯車とで、歯数及びモジュールの少なくとも一方を異ならせ、
前記本体部、前記キャリア、及び前記相対回転部の一つを固定し、一つを入力軸とし、一つを出力軸とする歯車機構。 - 前記外歯車の前記第一の外歯車及び前記第二の外歯車は、前記外歯車の側方からみて、ねじれ方向が同じ向きのはすば歯車であることを特徴とする請求項1に記載の歯車機構。
- 前記複数の第一の外歯車は、前記第一の内歯車の円周方向に沿って等配され、
前記複数の第二の外歯車は、前記第二の内歯車の円周方向に沿って等配されることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯車機構。 - 前記キャリアは、前記複数の外歯車が収容される複数の収容凹部を有し、
前記外歯車を回転可能に支持する外歯車軸は、前記収容凹部に収容された前記外歯車及び前記キャリアを貫通し、両端部が前記キャリアに支持されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の歯車機構。 - 前記複数の外歯車の個数が2、3、5又は7の約数を持つ場合、2等配、3等配、5等配又は7等配される前記第一の外歯車が同位相で前記第一の内歯車に噛み合い、かつ2等配、3等配、5等配又は7等配される前記第二の外歯車が同位相で前記第二の内歯車に噛み合い、
前記複数の外歯車の個数が2、3、5又は7の約数を持たない場合、全ての前記第一の外歯車が同位相で前記第一の内歯車に噛み合い、かつ全ての前記第二の外歯車が同位相で前記第二の内歯車に噛み合うことを特徴とする請求項3に記載の歯車機構。 - 前記キャリアには、前記複数の外歯車を前記第一の内歯車及び前記第二の内歯車に前記第一の内歯車及び前記第二の内歯車の径方向の外側に付勢する付勢手段が設けられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の歯車機構。
- 前記付勢手段は、
前記複数の外歯車の軸方向の両端部に配置される一対のテーパ部と、
前記複数の外歯車が前記第一の内歯車及び前記第二の内歯車の径方向の外側に移動するように、前記一対のテーパ部を前記複数の外歯車軸の軸方向に押す弾性部材と、を備えることを特徴とする請求項6に記載の歯車機構。
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