JP2015074676A - 樹脂組成物、樹脂成形品、および樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリカーボネート樹脂65〜90重量%とスチレン系樹脂35〜10重量%を含む樹脂成分100質量部に対し、平均繊維長/平均繊維径が10以下であるガラス繊維5〜40重量部、エラストマー0.5〜10質量部、アンチモンおよびスズを含むレーザーダイレクトストラクチャリング添加剤5〜10質量部、ホスファゼン化合物10〜30質量部およびポリテトラフルオロエチレン0.1〜1質量部を含む樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
<1>ポリカーボネート樹脂65〜90重量%とスチレン系樹脂35〜10重量%を含む樹脂成分100質量部に対し、平均繊維長/平均繊維径が10以下であるガラス繊維5〜40重量部、エラストマー0.5〜10質量部、アンチモンおよびスズを含むレーザーダイレクトストラクチャリング添加剤5〜10質量部、ホスファゼン化合物10〜30質量部およびポリテトラフルオロエチレン0.1〜1質量部を含むレーザーダイレクトストラクチャリング用樹脂組成物。
<2>前記平均繊維長/平均繊維径が10以下であるガラス繊維の配合量が、前記樹脂成分100重量部に対し、5〜30重量部である、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>さらに酸化チタンを、前記樹脂成分100重量部に対し、0.5〜5重量部含有することを特徴とする<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤に含まれる金属成分のうち最も配合量が多い成分がスズである、<1>〜<3>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<5>前記レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤が、酸化スズ90重量%以上と、酸化アンチモン3〜8重量%を含む、<1>〜<4>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<6>前記レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤が、酸化鉛0.01〜0.1重量%および/または酸化銅0.001〜0.01重量%含む、<1>〜<5>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<7>前記エラストマーが、シロキサン共重合エラストマーである、<1>〜<6>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<8>平均繊維長/平均繊維径が10を超えるガラス繊維を、平均繊維長/平均繊維径が10以下であるガラス繊維の配合量の100重量%以下の割合で含む、<1>〜<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<9><1>〜<8>のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
<10>厚さ1.6mmにおける樹脂成形品のUL−94試験の評価がV−0である、<9>に記載の樹脂成形品。
<11>前記樹脂成形品の表面にメッキ層を有する、<9>または<10>に記載の樹脂成形品。
<12>携帯電子機器部品である、<9>〜<11>のいずれかに記載の樹脂成形品。
<13>前記メッキ層がアンテナとしての性能を保有する、<11>または<12>に記載の樹脂成形品。
<14><1>〜<8>のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品の表面に、レーザーを照射後、金属を適用して、メッキ層を形成することを含む、メッキ層付樹脂成形品の製造方法。
<15>前記メッキ層が銅メッキ層である、<14>に記載のメッキ層付樹脂成形品の製造方法。
<16><14>または<15>に記載のメッキ層付樹脂成形品の製造方法を含む、アンテナを有する携帯電子機器部品の製造方法。
以下、本発明の樹脂組成物の詳細について説明する。
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分を含む。
本発明の樹脂組成物において、樹脂成分は、ポリカーボネート樹脂65〜90重量%とスチレン系樹脂35〜10重量%を含み、ポリカーボネート樹脂68〜90重量%とスチレン系樹脂32〜10重量%を含むことがより好ましい。
樹脂成分は、他の樹脂成分を含んでいてもよい。しかしながら、前記他の樹脂は全樹脂成分の5重量%以下であることが好ましい。樹脂成分は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂としては特に制限されず、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族−脂肪族ポリカーボネートのいずれも用いることができる。中でも芳香族ポリカーボネートが好ましく、さらに、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲンまたは炭酸のジエステルと反応させることによって得られる熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体または共重合体がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分として、ポリカーボネート樹脂の他にスチレン系樹脂を含む。
本発明の樹脂組成物は、平均繊維長/平均繊維径が10以下であるガラス繊維(短繊維)を含む。このような短繊維を用いることで、本発明の樹脂組成物の難燃性を向上させることができる。さらに、異方性の改良や表面外観をより効果的に高めることも可能になる。短繊維のアスペクト比は、好ましくは8以下、より好ましくは7以下であり、また、好ましくは2.5以上であり、より好ましくは3以上である。アスペクト比が、10を超える場合は、ソリや異方性が大きくなるほか、成形品外観が悪化しやすい。
本発明に使用される短繊維は、ガラス繊維ミルドファイバー(Milled Fiber)であることが好ましい。ミルドガラスファイバーは、ガラス単繊維(フィラメント)を数十本から数千本束ねたガラス繊維のストランドを、所定の長さに切断したガラス繊維チョップドストランドを、粉砕(Milled)したものである。この際のガラス繊維チョップドストランドは、後述するような収束剤により表面処理されたものが好ましい。
なお収束剤の付着量は、ガラス繊維100重量%中、通常0.1〜3重量%であり、好ましくは0.2〜1重量%である。
本発明の樹脂組成物は、短繊維を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となる。
本発明の樹脂組成物は、上記短繊維以外のガラス繊維を含んでいても良い。短繊維以外のガラス繊維は、平均繊維長/平均繊維径が10を超えるガラス繊維である。このような他のガラス繊維を配合することにより、曲げ弾性率および曲げ強度をより効果的に向上させることができる。平均繊維長/平均繊維径が10を超えるガラス繊維は、平均繊維長/平均繊維径が11〜60であることが好ましい。
本発明で用いる他のガラス繊維の平均繊維長は、50〜450μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。一方、平均繊維径は、3〜18μmが好ましく、5〜14μmがより好ましい。このような他のガラス繊維としては、「ガラスロービング」などが挙げられる。かかるガラス繊維としては、旭ファイバーグラス社より、「グラスロンチョップドストランド」や「グラスロンミルドファイバー」の商品名で市販されており、容易に入手可能である。ガラス繊維は、形態が異なるものを併用することもできる。
他のガラス繊維は、Aガラス、Cガラス、Eガラスなどのガラス組成からなり、特に、Eガラス(無アルカリガラス)が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、他のガラス繊維を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となる。
本発明の樹脂組成物では、通常、樹脂成分とガラス繊維(短繊維および他のガラス繊維の合計)で、全成分の70重量%以上を占めることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、エラストマーを含む。エラストマーを含有することで、樹脂組成物の耐衝撃性を改良することができる。本発明で用いるエラストマーとしては、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート−ブタジエンゴム共重合体(MB樹脂)、SBS、SEBSと呼ばれているスチレン−ブタジエン系トリブロック共重合体とその水添物、SPS、SEPSと呼ばれているスチレン−イソプレン系トリブロック共重合体とその水添物、TPOと呼ばれているオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系エラストマー、シロキサン系ゴム、アクリレート系ゴム、シロキサン共重合体エラストマー等が挙げられる。エラストマーとしては、特開2012−251061号公報の段落番号0075〜0088に記載のエラストマー、特開2012−177047号公報の段落番号0101〜0107に記載のエラストマー等を用いることができ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。本発明で特に好ましくは、MBS樹脂、MB樹脂またはシロキサン共重合エラストマーが用いられ、シロキサン共重合体エラストマーがより好ましい。
本発明で用いるシロキサン共重合エラストマーとしては、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとを含むシリコーン−アクリル複合ゴムが好ましく、必要に応じて1種以上のビニル系化合物単量体から構成されるビニル系重合体をグラフトさせたグラフト共重合体であってもよい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート、及び、メチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上併用して用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、エラストマーを1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となる。
本発明で用いるLDS添加剤は、アンチモンおよびスズを含むことを特徴とする。好ましくは、LDS添加剤に配合される金属成分のうち最も配合量が多い成分がスズであり、次に配合量が多い成分がアンチモンである。さらに、鉛および/または銅を含むことが好ましい。鉛と銅は一方が含まれても良いし、両方が含まれていても良い。好ましい態様として、最も配合量が多い成分がスズであり、次に配合量が多い成分がアンチモンであり、その次に配合量が多い金属成分が鉛であり、鉛の次に配合量が多い金属成分が銅である態様が例示される。
本発明におけるLDS添加剤は、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ユーピロン(登録商標)、S−3000F)100重量部に対し、LDS添加剤と考えられる添加剤を4重量部添加し、波長1064nmのYAGレーザーを用い、出力10W、周波数80kHz、速度3m/sにて照射し、その後のメッキ工程は無電解のMacDermid社製M−Copper85のメッキ槽にて実施し、該レーザー照射面に金属を適用したときに、メッキを形成できる化合物をいう。本発明で用いるLDS添加剤は、合成品であってもよいし、市販品を用いてもよい。また、市販品はLDS添加剤として市販されているものの他、本発明におけるLDS添加剤の要件を満たす限り、他の用途として販売されている物質であってもよい。
より具体的には、本発明で用いるLDS添加剤は、酸化スズ90重量%以上と、酸化アンチモン3〜8重量%を含むことが好ましく、また、酸化鉛0.01〜0.1重量%および/または酸化銅0.001〜0.01重量%含むことが好ましい。特に好ましい実施形態としては、酸化スズ90重量%以上と、酸化アンチモン3〜8重量%と、酸化鉛0.01〜0.1重量%と、酸化銅0.001〜0.01重量%含むLDS添加剤を用いる形態であり、よりさらに好ましい実施形態としては、酸化スズ93重量%以上と、酸化アンチモン4〜7重量%と、酸化鉛0.01〜0.05重量%と、酸化銅0.001〜0.006重量%含むLDS添加剤を用いる形態である。
本発明の樹脂組成物は、LDS添加剤を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の樹脂組成物はタルクを含んでいてもよい。本発明では、タルクを配合することにより、レーザーを照射した部分のメッキ性能が向上する傾向にある。
また、本発明で用いるタルクは、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン類およびオルガノポリシロキサン類から選択される化合物の少なくとも1種で表面処理されたタルクであることも好ましい。この場合、シロキサン化合物の付着量は、タルクの0.1〜5重量%であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物がタルクを含む場合、タルクの配合量は、樹脂成分100重量部に対し、1〜30重量部であることが好ましく、2〜10重量部がより好ましい。タルクが表面処理されている場合、表面処理された合計量が、上記範囲であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ホスファゼン化合物を含む。ホスファゼン化合物を配合させることで、難燃性を向上させることができる。
ホスファゼン化合物は、分子中に−P=N−結合を有する有機化合物であり、好ましくは、下記一般式(1)で表される環状ホスファゼン化合物、下記一般式(2)で表される鎖状ホスファゼン化合物、ならびに、下記一般式(1)及び下記一般式(2)からなる群より選択される少なくとも一種のホスファゼン化合物が架橋基によって架橋されてなる架橋ホスファゼン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
R5は、−N=P(OR3)3基、−N=P(OR4)3基、−N=P(O)OR3基、−N=P(O)OR4基から選ばれる少なくとも1種を示し、R6は、−P(OR3)4基、−P(OR4)4基、−P(O)(OR3)2基、−P(O)(OR4)2基から選ばれる少なくとも1種を示す。
また、架橋フェノキシホスファゼン化合物中のフェニレン基の含有量は、一般式(1)で表される環状ホスファゼン化合物及び/又は一般式(2)で表される鎖状フェノキシホスファゼン化合物中の全フェニル基及びフェニレン基数を基準として、通常50〜99.9重量%、好ましくは70〜90重量%である。また、該架橋フェノキシホスファゼン化合物は、その分子内にフリーの水酸基を有しない化合物であることが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ホスファゼン化合物を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となる。
本発明の樹脂組成物は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含有する。ポリテトラフルオロエチレンとしては、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好ましい。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM規格でタイプ3に分類される。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)6−Jや、ダイキン化学工業(株)製のポリフロンF201L、FA500B、FA500Cが挙げられる。また、ポリテトラフルオロエチレンの水性分散液として、ダイキン化学工業(株)製のフルオンD−1や、ビニル系単量体を重合してなる多層構造を有するポリテトラフルオロエチレン化合物が挙げられる。いずれのタイプも本発明の樹脂組成物に用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、ポリテトラフルオロエチレンを1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となる。
本発明の樹脂組成物は、酸化チタンを含むことが好ましい。
酸化チタンとしては、一般に市販されているもののなかで白色度と隠蔽性の点で、酸化チタンを80重量%以上含有するものを用いるのが好ましい。本発明で使用する酸化チタンとしては、例えば、一酸化チタン(TiO)、三酸化ニチタン(Ti2O3)、二酸化チタン(TiO2)などが挙げられ、これらのいずれを使用してもよいが、二酸化チタンが好ましい。また、酸化チタンとしては、ルチル型の結晶構造を有するものが好ましく使用される。
本発明の樹脂組成物が酸化チタンを含む場合、酸化チタンの配合量は、樹脂成分100重量部に対し、0.5〜5重量部含有することが好ましく、1.0〜4重量部含有することがより好ましい。本発明の樹脂組成物は、酸化チタンを1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となる。
本発明の樹脂組成物は、有機リン系安定剤を含むことが好ましい。有機リン系安定剤を配合することで、LDS添加剤によるポリカーボネート樹脂を分解しにくくし、本発明の効果がより効果的に発揮される。有機リン系安定剤としては、特開2009−35691号公報の段落番号0073〜0095の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。より好ましい有機リン系安定剤としては、下記一般式(3)で表される化合物である。
O=P(OH)m(OR)3-m・・・(3)
(一般式(3)中、Rはアルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。mは0〜2の整数である。)
Rは炭素数1〜30のアルキル基または、炭素数6〜30のアリール基であることが好ましく、炭素数2〜25のアルキル基、フェニル基、ノニルフェニル基、ステアリルフェニル基、2,4−ジtert−ブチルフェニル基、2,4−ジtert−ブチルメチルフェニル基、トリル基がより好ましい。
一般式(3’)中、R’は炭素数2〜25のアルキル基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。m’は1または2である。ここで、アルキル基としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などが挙げられ、テトラデシル基、ヘキサデシル基およびオクタデシル基が好ましく、オクタデシル基が特に好ましい。
一般式(4)
R'は炭素数1〜25のアルキル基または、炭素数6〜12のアリール基であることが好ましい。R’がアルキル基である場合、炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。R’がアリール基である場合、炭素数6〜30のアリール基が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好ましく、より具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4―ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4'−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、および3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。中でも、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。
本発明の樹脂組成物が酸化防止剤を含む場合、該酸化防止剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対し、0.01〜5重量部であることが好ましく、0.05〜3重量部がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は酸化防止剤を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、および数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。中でも、脂肪族カルボン酸、および脂肪族カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の化合物がより好ましく用いられる。
本発明の樹脂組成物は離型剤を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
これらの成分については、特開2007−314766号公報、特開2008−127485号公報および特開2009−51989号公報、特開2012−72338号公報等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
さらに、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明の樹脂組成物を製造することもできる。
(第一の態様)
第一の態様としては、重量平均分子量15000〜55000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)40〜65重量%と芳香族ホスファゼン化合物(B)35〜60重量%とを溶融混練することによって得られることを特徴とする難燃剤マスターバッチであって、(A)成分と(B)成分の合計が95〜100重量%であることを特徴とする難燃剤マスターバッチが例示される。このような構成とすることにより、樹脂と溶融混練する際の作業性にも優れ、さらには熱可塑性樹脂に配合した際に、難燃性、機械物性に優れる難燃剤マスターバッチが得られる。
(第二の態様)
第二の態様としては、重量平均分子量5,000〜55,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と芳香族ホスファゼン化合物(B)を加圧ニーダーにて溶融混練して得られる難燃剤マスターバッチである。このような構成とすることにより、難燃性と機械物性を効果的に且つ安定的に発現させることができる難燃剤マスターバッチが得られる。
第三の態様としては、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)85〜20重量%と芳香族ホスファゼン化合物(B)15〜80重量%の合計100重量部と、フルオロポリマー(C)を0.005〜2重量部とを溶融混練することによって得られることを特徴とする難燃剤マスターバッチである。この様な構成とすることにより、樹脂と溶融混練する際の作業性にも優れ、さらには熱可塑性樹脂に配合した際に、難燃性、機械物性に優れる難燃剤マスターバッチが得られる。
第四の態様としては、目開き400μmの篩上の割合が55重量%以上で、嵩密度が0.3〜1.5g/mlであることを特徴とする顆粒状ホスファゼン化合物として樹脂に配合する態様である。ホスファゼン化合物は、常温で微粉状であるが、圧縮やせん断に対して固化する性質を有しており、このままでは熱可塑性樹脂と共に押出機にて溶融混練する際、押出機スクリュウへホスファゼン化合物が固着する等の不具合を生じやすいが、顆粒状ホスファゼン化合物とすることにより、押出機スクリュウへの固着等の不具合を起こしにくくできる。
ホスファゼン化合物(A)に、目開き1000μmの篩を通過する割合が30重量%以上であるポリカーボネート樹脂粉粒体(B)を、(A)/(B)の重量比が85/15〜5/95で混合してなり、嵩密度が0.4〜1.5g/mlであることを特徴とする顆粒状ホスファゼン化合物として樹脂に配合する態様である。このような構成とすることにより、生産性に優れ、熱可塑性樹脂と溶融混練する際の作業性にも優れる。
また、平均肉厚が1.6mmにおける樹脂成形品のUL−94試験の評価がV−0であることが求められる用途に適している。
レーザーが照射されると、レーザーが照射された部分3のみ、樹脂成形品1が活性化される。この活性化された状態で、樹脂成形品1をメッキ液4に適用する。メッキ液4としては、特に定めるものではなく、公知のメッキ液を広く採用することができ、金属成分として銅、ニッケル、金、銀、パラジウムが混合されているものが好ましく、銅がより好ましい。
樹脂成形品1をメッキ液4に適用する方法についても、特に定めるものではないが、例えば、メッキ液を配合した液中に投入する方法が挙げられる。メッキ液を適用後の樹脂成形品は、レーザー照射した部分のみ、メッキ層5が形成される。
本発明の方法では、1mm以下、さらには、150μm以下の幅の回路間隔(下限値は特に定めるものではないが、例えば、30μm以上)を形成することができる。メッキは、形成した回路の腐食や劣化を抑えるために、例えば無電解メッキを実施した後にニッケル、金で更に保護することも出来る。また、同様に無電解メッキ後に電解メッキを用い、必要な膜厚を短時間で形成することも出来る。
本発明の樹脂組成物は、成形方法にもよるが、白色度が高く、反射率に優れた成形品を与える。本発明の樹脂組成物から得られる成形品の白色度(ハンター式)は、通常92以上、好ましくは94以上である。また、本発明の樹脂組成物から得られる成形品は、耐熱性に優れるとともに、実際の使用環境下での光安定性に優れている。従って、本発明の樹脂組成物から得られる成形品は、光を反射する機能を有する部品、特に、LED機器部品、好ましくは、LEDの反射板や導電回路として働く。メッキ層は、1層のみであってもよいし、多層構造であってもよい。
S−3000FN:三菱エンジニアリングプラスチックス製、ポリカーボネート樹脂
AT−08:日本エイアンドエル製、ABS樹脂
S−2030:三菱レイヨン製、Si系エラストマー:メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル/ジメチルシロキサン共重合物
CP5C:Keeling&Walker社製、アンチモンドープ酸化スズ(酸化スズ95重量%、酸化アンチモン5重量%、酸化鉛0.02重量%、酸化銅0.004重量%からなる)
Irg1076:BASF社製、Irganox1076
AX−71:ADEKA社製、モノ−およびジ−ステアリルアシッドホスフェートのほぼ等モル 混合物
VPG861:コグニスオレオケミカルズジャパン社製、ペンタエリスリトールテトラステアレート
6−J:三井デュポンフロロケミカル社製、フィブリル形成能を有するフルオロポリマー
CP−K:レジノカラー工業製、酸化チタン
FP−100:伏見製薬社製、フェノキシホスファゼン化合物
T−187:日本電気硝子社製、平均繊維長/平均繊維径が10を超えるガラス繊維、平均繊維長3mm、平均繊維径13μm、円形断面を有するガラス繊維(扁平率1)
MF−SR:旭ファイバーグラス製、平均繊維長/平均繊維径が10以下であるガラス繊維(短繊維)、平均繊維長50μm、平均繊維径10μm、円形断面を有するガラス繊維(扁平率1)
後述する表に示す組成となるように、各成分をそれぞれ秤量し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、樹脂組成物のペレットを得た。
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ1.6mmのUL試験用試験片を成形した。
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日精樹脂工業製、SG75−MIIを用いて、シリンダー温度300℃、金型温度100℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形し、4mm厚さのISO引張り試験片を成形した。
ISO178に準拠して、上記ISO引張り試験片(4mm厚)を用いて、23℃の温度で曲げ弾性率(単位:MPa)および曲げ強度(単位:MPa)を測定した。
上記で得られたISO引張り試験片(4mm厚)を用い、ISO179に準拠し、23℃の条件で、ノッチ有シャルピー衝撃強度を測定した。
上記で得られたISO引張り試験片(4mm厚)を用い、ISO75−1及びISO75−2に準拠して荷重1.80MPaの条件で荷重たわみ温度を測定した。
上述の製造方法で得られた各実施例、および各比較例のペレットを100℃で5時間乾燥させた後、日精樹脂工業製、SG75−MIIを用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形し、3mm厚さのプレートを成形した。
上記で得られた3mm厚のプレートに1064nmのYAGレーザーを用い、出力2.6〜13Wの範囲のいずれか、速度1〜2m/sのいずれか、周波数10〜50μsの範囲のいずれかの条件から組み合わされた各種条件でレーザー照射により印字し、続いて、試験片を硫酸にて脱脂後、キザイ社製THPアルカリアクチ及びTHPアルカリアクセで処理後、キザイ社製SELカッパ―にてメッキ処理を行った。メッキ処理後の試験片を目視にて判定し、下記5段階に分類した。
5:各種レーザー条件中、明瞭にメッキが載った条件が75〜100%
4:各種レーザー条件中、明瞭にメッキが載った条件が50〜74%
3:各種レーザー条件中、明瞭にメッキが載った条件が30〜49%
2:各種レーザー条件中、明瞭にメッキが載った条件が10〜29%
1:各種レーザー条件中、明瞭にメッキが載った条件が10%に満たない
Claims (16)
- ポリカーボネート樹脂65〜90重量%とスチレン系樹脂35〜10重量%を含む樹脂成分100質量部に対し、平均繊維長/平均繊維径が10以下であるガラス繊維5〜40重量部、エラストマー0.5〜10質量部、アンチモンおよびスズを含むレーザーダイレクトストラクチャリング添加剤5〜10質量部、ホスファゼン化合物10〜30質量部およびポリテトラフルオロエチレン0.1〜1質量部を含むレーザーダイレクトストラクチャリング用樹脂組成物。
- 前記平均繊維長/平均繊維径が10以下であるガラス繊維の配合量が、前記樹脂成分100重量部に対し、5〜30重量部である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- さらに酸化チタンを、前記樹脂成分100重量部に対し、0.5〜5重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤に含まれる金属成分のうち最も配合量が多い成分がスズである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤が、酸化スズ90重量%以上と、酸化アンチモン3〜8重量%を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤が、酸化鉛0.01〜0.1重量%および/または酸化銅0.001〜0.01重量%含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記エラストマーが、シロキサン共重合エラストマーである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 平均繊維長/平均繊維径が10を超えるガラス繊維を、平均繊維長/平均繊維径が10以下であるガラス繊維の配合量の100重量%以下の割合で含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
- 厚さ1.6mmにおける樹脂成形品のUL−94試験の評価がV−0である、請求項9に記載の樹脂成形品。
- 前記樹脂成形品の表面にメッキ層を有する、請求項9または10に記載の樹脂成形品。
- 携帯電子機器部品である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の樹脂成形品。
- 前記メッキ層がアンテナとしての性能を保有する、請求項11または12に記載の樹脂成形品。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品の表面に、レーザーを照射後、金属を適用して、メッキ層を形成することを含む、メッキ層付樹脂成形品の製造方法。
- 前記メッキ層が銅メッキ層である、請求項14に記載のメッキ層付樹脂成形品の製造方法。
- 請求項14または15に記載のメッキ層付樹脂成形品の製造方法を含む、アンテナを有する携帯電子機器部品の製造方法。
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