JP2015074657A - ネットワークポリマー及びポリマーゲル電解質 - Google Patents

ネットワークポリマー及びポリマーゲル電解質 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の環状化合物が直鎖状化合物に貫かれたロタキサン構造を有する新規ネットワークポリマーを得ること、及び、マグネシウム二次電池等の非水電解質二次電池用電解質として使用することができる、高い安全性及び高い堅牢性、並びに高いイオン伝導度を併せ持つポリマーゲル電解質を提供する。
【解決手段】ロタキサン構造を有する新規ネットワークポリマーは、式(I)

で表される直鎖状単位1単位につき、両末端不飽和結合を有するクラウンエーテル化合物単位1〜(m+1)単位が串刺し状に包接してなる単位(A)を有するネットワークポリマー。また、R−Mg−Xで表される化合物を含む溶液を用いたポリマーゲル電解質は、高い安全性と高いイオン伝導度を併せ持ち、マグネシウム二次電池等の非水電解質二次電池用電解質として使用することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、クラウンエーテルを有する新規ネットワークポリマーに関し、また、ネットワークポリマーを含有するポリマーゲル電解質、さらに該ポリマーゲル電解質を含有する二次電池に関する。
従来より、ゲル材料は、食品、医療品、生活用品及び工業製品等に幅広く利用されており、これに用いられる高分子化合物の種類も多様であるが、構造という観点から眺めてみると、物理ゲルと化学ゲルのわずか2種類しか存在しない。
物理ゲルは、ゼラチンや寒天などのように自然界でよく見られるゲルであり、また、生体組織の大半も多種多様な物理ゲルが占めている。
かかる物理ゲルは、高分子間に働く物理的引力相互作用によってネットワークを構成しているため、温度や溶媒に対する安定性が低い。
一方、化学ゲルは、ネットワーク全体が共有結合で直接つながった巨大な1分子であるため、温度や溶媒に対する安定性に優れており、多方面に産業利用されている。
しかし、化学ゲルでは、架橋点が固定されているため、架橋反応において形成される不均一な構造が永久に保持され、機械強度が著しく低いという欠点があった。
これに対し、近年では、斬新な手法を用いて物理ゲル、化学ゲルのいずれにも分類されない新しい種類のゲル、即ち「環動ゲル」又は「トポロジカルゲル」が提案されており、このような環動ゲルには、ポリロタキサンが用いられている。
このポリロタキサンは、環状化合物(回転子:rotator)の開口部を直鎖状分子(軸:axis)で串刺し状に貫通して環状化合物が直鎖状分子を包接し、且つ環状化合物が脱離しないように直鎖状分子の両末端に封鎖基を配置して成るもので、かかるポリロタキサンを複数架橋して成り、環動ゲルに適用可能な架橋ポリロタキサンが開示されている(特許文献1〜9参照)。
この架橋ポリロタキサンは、直鎖状分子に串刺し状に貫通されている環状化合物が当該直鎖状分子に沿って移動可能(滑車効果)なために粘弾性を有し、張力が加わっても、この滑車効果によって当該張力を均一に分散させることができるので、従来の架橋ポリマーとは異なり、クラックや傷が極めて生じ難いという優れた性質を有するものである。
しかしながら、これら架橋ポリロタキサンは刺激応答性が低く、製造に多段階を要するなどの課題を有している。
これら架橋ポリロタキサンに対し、本発明者らにより、擬ロタキサンが重合した高分子化合物から成るゲルが報告されている(非特許文献1)。当該高分子化合物は、製造が容易であることから、さらなる応用が期待されている。
一方、ゲル材料の応用分野として、リチウムイオン二次電池などに使用される電解液をゲル化させたゲル電解質の開発が検討されている。例えば特許文献10及び11には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)や、ポリアクリロニトリル(PAN)などのポリマーに電解液を混合し、加熱することでポリマーを電解液に溶解させ、その後冷却することでゲルを作製することが開示されている。
これらゲル電解質を用いた電池は、ゲルによって電解液が保持されるために、液漏れが起こりにくいという利点を有していた。しかし、従来のゲル電解質では、電解液の使用量が多く、熱安定性も不十分であることから、依然として安全性の点で改良が求められていた。
上記問題点を解決するため、本発明者らは、高い安全性と高いイオン伝導度を併せ持つポリマーゲル電解質を得ることを目的とし、クラウンエーテルを用いたロタキサン構造を有する新規ネットワークポリマーの構築に成功し、且つ、当該ネットワークポリマーから得られるポリマーゲル電解質が、高い安全性と高いイオン伝導度を併せ持つことを見出している(特許文献12)。
また、現在、次世代二次電池として期待されている電池の一つに、多価イオン電池がある。例えば、負極活物質に2価(多価)のマグネシウムを用いたマグネシウムイオン二次電池は、負極活物質に1価のリチウムを用いたリチウムイオン二次電池に比べ、エネルギー密度の向上が期待できる。現在の電気自動車において、リチウムイオン二次電池による走行距離は150km程度であるが、二次電池のエネルギー密度を高めることで、走行距離を延ばすことができる。
一方で、金属マグネシウムは常温では不動態被膜を形成し、可逆的な溶解析出反応に至らないという課題があり、マグネシウムイオン二次電池は実用段階には至っていない。その解決手段の一つとして、グリニャール試薬と、有機金属化合物(例えば、CMgCl)またはマグネシウム以外の塩(例えば、(CAlCl)とをテトラヒドロフランに溶解した電解液が開示されている(特許文献13)。
発明者らもこれまでに、グリニャール試薬の不揮発性のアンモニウム系イオン液体の溶液を電解液として用いることで、グリニャール試薬単体の場合よりも安全性に優れ、高いイオン伝導度を有し、且つ良好なマグネシウムの溶解析出の可逆性を示す、マグネシウムイオン二次電池用電解液を見出している(非特許文献2)。
さらに、発明者らは、イミダゾリウム系イオン液体又はピロリジニウム系イオン液体と、グリニャール試薬から成るマグネシウムイオン二次電池用電解液も見出している(特許文献14)。
しかしながら、グリニャール試薬は、反応性が高く、液漏れによって大きな事故を引き起こす可能性が高いという問題点がある。液漏れを防止するために、リチウムイオン二次電池と同様にポリマーゲル電解質を用いることが効果的であるが、通常のアクリル樹脂系等のネットワークポリマーはグリニャール試薬に対する耐性が低く分解してしまう。
特許第3475252号公報 特開2005−068032号公報 WO2006/115255号公報 WO2009/136618号公報 特開2009−270120号公報 特開2009−051994号公報 特開2010−155880号公報 特開2010−159336号公報 特開2010−159337号公報 特開2002−334690号公報 特開2003−317692号公報 WO2013/099224号公報 特開2007−188709号公報 特開2012−48874号公報
Polymer Journal, Vol.40, No.3,(2008), 205-211. J. Power Sources,195,(2010),2096-2098.
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、より高い安全性及びより高い堅牢性並びにより高いイオン伝導度を併せ持つポリマーゲル電解質を得るために、複数の環状化合物が直鎖状化合物に串刺し状に貫通されたロタキサン構造を有する新規ネットワークポリマーを得ることを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、複数の環状単位が直鎖状単位に串刺し状に貫通されたロタキサン構造を有する新規ネットワークポリマーの構築に成功し、且つ、当該ネットワークポリマーが、グリニャール試薬等のハロゲン化有機マグネシウムの高い反応性にも耐える高い安全性及び高い堅牢性を有し、さらに本発明のネットワークポリマーとから得られる、ハロゲン化有機マグネシウム等の溶液を電解液とするポリマーゲル電解質が高いイオン伝導度を併せ持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は
(1)下記式(I)
(式中、R、R及びRは、同一又は異なって、−O−を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、mは1〜10のいずれかの整数を表し、mが2以上のとき、各Rは同一又は異なっていても良く、Zは対アニオンを表し、複数のZは、それぞれ同一又は異なっていても良い。)、又は下記式(I’)
(式中、R、R、R、及びmは、式(I)における定義と同じであり、R及びRは、同一又は異なって、求電子剤由来の残基を表す。)で表される直鎖状単位の1単位につき、下記式(II)
(式中、R及びRは、同一又は異なって、−O−を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、nは、3又は4の整数を表す。)で表される環状単位の1〜(m+1)単位(ただし、mは式(I)におけるmと同義である)が串刺し状に包接してなる単位(A)を有するネットワークポリマーや、
(2)単位(A)を2〜1000有することを特徴とする(1)に記載のネットワークポリマーや、
(3)式(II)で表される環状単位が、下記式(III)
(式中、R及びRは、同一又は異なって、−O−を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、点線部は、ベンゼン環の3位又は4位のいずれか一方に結合することを示す。)で表される単位であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のネットワークポリマーや、
(4)式(III)で表される単位が、下記式(IV)
(式中、n3及びn4は、同一又は異なって、1〜14のいずれかの整数を表し、点線部は、ベンゼン環の3位又は4位のいずれか一方に結合することを示す。)で表される単位であることを特徴とする(3)に記載のネットワークポリマーや、
(5)式(I)で表される直鎖状単位が、下記式(V)
(式中、R、R、R、及びZは、式(I)における定義と同じである)で表される単位であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のネットワークポリマーに関する。
また、本発明は、
(6)工程(1):式(VI)
(式中、R、R及びRは、同一又は異なって、−O−を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、mは1〜10のいずれかの整数を表し、mが2以上のとき、各Rは同一又は異なっていても良く、Zは対アニオンを表し、複数のZは、それぞれ同一又は異なっていても良い。)で表される直鎖状化合物と、
下記式(VII)
(式中、R及びRは、同一又は異なって、−O−を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、nは、3又は4の整数を表す。)で表される環状化合物とを反応させて、
前記式(VI)で表される直鎖状化合物1分子に対して、前記式(VII)で表される環状化合物1〜(m+1)分子(ここで、mは式(VI)のmと同義である)が串刺し状に包接してなる構造を有する化合物(A’)を生成させる工程、及び、
工程(2):前記化合物(A’)をオレフィンメタセシス重合する工程
を有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のネットワークポリマーの製造方法や、
(7)工程(1)又は工程(2)の後、
工程3:生成物に求電子剤を反応させて、
式(I)
(式中、R、R及びRは、同一又は異なって、置換又は非置換の、−O−を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、mは1〜10の整数を表し、mが2以上のとき、各Rは同一又は異なっていても良く、Zは対アニオンを表し、複数のZは、それぞれ同一又は異なっていても良い。)で表される単位を、式(I’)
(式中、R、R、R、及びmは、式(I)における定義と同じであり、R及びRは、同一又は異なって、求電子剤由来の残基を表す。)で表される単位に変換する工程を有することを特徴とする、(6)に記載のネットワークポリマーの製造方法に関する。
さらに、本発明は、
(8)電解液中に(1)〜(5)のいずれかに記載のネットワークポリマーを含有することを特徴とするポリマーゲル電解質や、
(9)電解液が臭化エチルマグネシウムのジエチルメチルメトキシエチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩溶液であることを特徴とする(8)に記載のポリマーゲル電解質や、
(10)(8)又は(9)に記載のポリマーゲル電解質を用いることを特徴とする二次電池に関する。
本発明のネットワークポリマーゲルは、架橋点を有する特定の直鎖状単位及び環状単位から形成される包接構造からなるロタキサン構造を含有することで、従来の物理ゲルや化学ゲルに比べ、温度や溶媒に対する安定性及び機械強度が高い。また、ロタキサン構造の直鎖状単位に複数の環状単位が包接しているため、従来のネットワークポリマーゲルと比較して、反応性の高い電解溶液を用いた場合でも、高い安全性及び高い堅牢性を有する。本発明のネットワークポリマーゲルは、ポリマーゲル電解質として用いることで、通常のネットワークポリマーに比べ高いイオンの輸送効率が獲得でき、且つ用いる電解液量を最小限に抑えることができる。
1,2−ビス(N−(10−ウンデセン−1−イル)アミノエトキシ)エタン 二ヘキサフルオロリン酸のH−NMRスペクトルを示す図である。 1,2−ビス(N−(10−ウンデセン−1−イル)アミノエトキシ)エタン 二ヘキサフルオロリン酸のIRスペクトルを示す図である。 ビス(10−ウンデセニルオキシメチルベンゾ)−24−クラウン−8−エーテルのH−NMRスペクトルを示す図である。 実施例1のネットワークポリマーのIRスペクトルを示す図である。 本発明のネットワークポリマー(エーテル型)と従来技術のネットワークポリマー(エステル型)のグリニャール試薬に対する安定性試験の結果を示す図である。
1 ネットワークポリマー
本発明のネットワークポリマーは、上記式(I)又は式(I’)で表される直鎖状単位に対して、上記式(II)で表される環状単位が串刺し状に包接してなる単位(A)を有する。
また、本発明のネットワークポリマーは、同一ポリマー内に、下記式(I)及び式(I’)で表される直鎖状化合物を同時に含んでいても良い。
(式(I)又は式(I’)で表される直鎖状単位)
式(I)又は式(I’)で表される直鎖状単位において、R、R及びRの「−O−を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜15の2価の炭化水素基」において、「炭素数1〜15の2価の炭化水素基」としては、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
また、「炭素数1〜15の炭化水素基」が「−O−」を有する場合、上記炭化水素基の末端及び/又は内部に1つ又は2以上の「−O−」を有する、下記式(VIII)で表される基であっても良い。
式中s1〜snは自然数であり、s1+s2+……+snは1〜15の整数であり、t〜t(sn+1)は0又は1であり、ただしt〜t(sn+1)の少なくとも1つは1であり、それぞれ(CH)中の水素原子は、炭素数1〜10のアルキル基で置換されていても良い。
式(VIII)で表される「−O−」を1つ有する「炭素数1〜15の炭化水素基」としては、具体的にはメチレンオキシ基、ジメチレンオキシ基、トリメチレンオキシ基、テトラメチレンオキシ基、ペンタメチレンオキシ基、ヘキサメチレンオキシ基、ヘプタメチレンオキシ基、オクタメチレンオキシ基、ノナメチレンオキシ基、デカメチレンオキシ基、ウンデカメチレンオキシ基、ドデカメチレンオキシ基、トリデカメチレンオキシ基、テトラデカメチレンオキシ基、ペンタデカメチレンオキシ基、メチレンオキシメチレン基、ジメチレンオキシメチレン基、トリメチレンオキシメチレン基、テトラメチレンオキシメチレン基、ペンタメチレンオキシメチレン基、ヘキサメチレンオキシメチレン基、ヘプタメチレンオキシメチレン基、オクタメチレンオキシメチレン基、ノナメチレンオキシメチレン基、デカメチレンオキシメチレン基、ウンデカメチレンオキシメチレン基、ドデカメチレンオキシメチレン基、トリデカメチレンオキシメチレン基、テトラデカメチレンオキシメチレン基、メチレンオキシジメチレン基、ジメチレンオキシジメチレン基、トリメチレンオキシジメチレン基、テトラメチレンオキシジメチレン基、ペンタメチレンオキシジメチレン基、ヘキサメチレンオキシジメチレン基、ヘプタメチレンオキシジメチレン基、オクタメチレンオキシジメチレン基、ノナメチレンオキシジメチレン基、デカメチレンオキシジメチレン基、ウンデカメチレンオキシジメチレン基、ドデカメチレンオキシジメチレン基、トリデカメチレンオキシジメチレン基等が挙げられる。
また、式(VIII)で表される「−O−」を2つ有する「炭素数1〜15の炭化水素基」としては、具体的にはメチレンオキシジメチレンオキシ基、ジメチレンオキシジメチレンオキシ基、トリメチレンオキシジメチレンオキシ基、テトラメチレンオキシジメチレンオキシ基、ペンタメチレンオキシジメチレンオキシ基、ヘキサメチレンオキシジメチレンオキシ基、ヘプタメチレンオキシジメチレンオキシ基、オクタメチレンオキシジメチレンオキシ基、ノナメチレンオキシジメチレンオキシ基、デカメチレンオキシジメチレンオキシ基、ウンデカメチレンオキシジメチレンオキシ基、ドデカメチレンオキシジメチレンオキシ基、トリデカメチレンオキシジメチレンオキシ基、ジメチレンオキシジメチレンオキシ基、ジメチレンオキシトリメチレンオキシ基、ジメチレンオキシテトラメチレンオキシ基、ジメチレンオキシペンタメチレンオキシ基、ジメチレンオキシヘキサメチレンオキシ基、ジメチレンオキシヘプタメチレンオキシ基、ジメチレンオキシオクタメチレンオキシ基、ジメチレンオキシノナメチレンオキシ基、ジメチレンオキシデカメチレンオキシ基、ジメチレンオキシウンデカメチレンオキシ基、ジメチレンオキシドデカメチレンオキシ基、ジメチレンオキシトリデカメチレンオキシ基、メチレンオキシジメチレンオキシメチレン基、ジメチレンオキシジメチレンオキシメチレン基、トリメチレンオキシジメチレンオキシメチレン基、テトラメチレンオキシジメチレンオキシジメチレンオキシメチレン基、ペンタメチレンオキシジメチレンオキシメチレン基、ヘキサメチレンオキシジメチレンオキシメチレン基、ヘプタメチレンオキシジメチレンオキシメチレン基、オクタメチレンオキシジメチレンオキシメチレン基、ノナメチレンオキシジメチレンオキシメチレン基、デカメチレンオキシジメチレンオキシメチレン基、ウンデカメチレンオキシジメチレンオキシメチレン基、ドデカメチレンオキシジメチレンオキシメチレン基、ジメチレンオキシジメチレンオキシジメチレン基、ジメチレンオキシトリメチレンオキシジメチレン基、ジメチレンオキシテトラメチレンオキシジメチレン基、ジメチレンオキシペンタメチレンオキシジメチレン基、ジメチレンオキシヘキサメチレンオキシジメチレン基、ジメチレンオキシヘプタメチレンオキシジメチレン基、ジメチレンオキシオクタメチレンオキシジメチレン基、ジメチレンオキシノナメチレンオキシジメチレン基、ジメチレンオキシデカメチレンオキシジメチレン基、ジメチレンオキシウンデカメチレンオキシジメチレン基等を挙げることができるが、これらに限られない。
さらに、前記R、R及びRの炭素数1〜15の炭化水素基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖を有していてもよい。分岐鎖部分の炭化水素基としては、式(I)又は式(I’)で表される直鎖状単位と式(II)で表される環状単位で構成されるロタキサン構造において、式(II)で表される環状単位が式(I)又は式(I’)で表される直鎖状単位上を自由に動けるかぎり、いかなる炭化水素基を用いても良いが、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、立体障害等の点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が好ましく、メチル基がもっとも好ましい。
前記R及びRで表される基として、好ましくはオクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、オクタメチレンオキシメチレン基、ノナメチレンオキシメチレン基、デカメチレンオキシメチレン基であり、より好ましくはオクタメチレンオキシメチレン基、ノナメチレンオキシメチレン基、デカメチレンオキシメチレン基であり、最も好ましくはノナメチレンオキシメチレン基である。
また、前記Rで表される基として、好ましくはヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ジメチレンオキシジメチレンオキシジメチレン基、ジメチレンオキシトリメチレンオキシジメチレン基、トリメチレンオキシジメチレンオキシトリメチレン基であり、より好ましくはヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ジメチレンオキシジメチレンオキシジメチレン基であり、最も好ましくはジメチレンオキシジメチレンオキシジメチレン基である。
「置換又は非置換の炭素数1〜15の炭化水素基」における置換基としては、アルコキシ基等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基等が挙げられる。
式(I)で表される直鎖状単位において、Zで表される対イオンとしては、式(II)で表される環状単位の開口部に式(I)で表される直鎖状単位が串刺し状に包接されてなるロタキサン構造又は擬ロタキサン構造を構築することができ、且つ前記ロタキサン構造又は擬ロタキサン構造中の式(I)で表される単位内の−N−基を−NR−及び/又は−NR−基(R及びRは、求電子剤由来の残基を表す)に変換することが可能な一価の陰イオンであれば限定されない。具体的には、BF 、PF 、AsF 、PCl 、BCl 、AsCl 、SbCl 、TaCl 、NbCl 、PBr 、BBr 、AsBr 、AlBr 、TaBr 、NbBr 、SbF 、AlF 、ClO 、AlCl 、TaF 、NbF 、CN、F(HF) (当該式中、mは1以上4以下の数値を表す。)、N(RfSO 、C(RfSO 、RfSO 、RfCO2 、N(SOF) 等が挙げられ、N(RfSO 、C(RfSO 、RfSO 又はRfCO で表されるアニオンに含まれるRfは、炭素数1〜12のフルオロアルキル基を表し、具体的には、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル及びノナフルオロブチルなどのフッ素化されたアルキル基が挙げられる。前記Zのうち、BF 、PF 、AsF 、PCl 、BCl 、AsCl が好ましく、BF 、PF 、PCl がより好ましく、PF が最も好ましい。
式(I’)で表される直鎖状単位において、R及びRの「求電子剤由来の残基」としては、式(I’)で表される直鎖状単位と式(II)で表される環状単位で構成されるロタキサン構造において、式(II)で表される環状単位が式(I’)で表される直鎖状単位上を自由に動けるかぎり、いかなる基を用いても良いが、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−2−プロペニル基等のアルケニル基、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ブタンジイニル基、1-メチル−2−プロピニル基等のアルキニル基が挙げられ、立体障害等の点から、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基、n−プロピル基、n−ブチル基が好ましく、メチル基、ビニル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式(I)及び式(I’)で表される直鎖状単位において、mは、式(II)で表される環状単位が串刺し状に包接される限り、いかなる自然数であっても良いが、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜3である。
式(I)で表される直鎖状単位として、好ましくは、式(V)
で表される単位であり、式中、R、R、R、及びZは、式(I)における定義と同じである。
より好ましくは、式(Va)
で表される単位であり、式中、Zは式(I)における定義と同じである。
最も好ましくは、式(Vb)
で表される化合物である。
また、式(I’)で表される直鎖状単位として、好ましくは、式(V’)
で表される単位であり、式中、R、R、及びRは、式(I)における定義と同じである。
より好ましくは、式(Va’)
で表される化合物である。
(式(II)で表される環状単位)
式(II)で表される環状単位のR及びRで表される「−O−を有していてもよい、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1〜15の2価の炭化水素基」としては、前記式(I)又は(I’)におけるR、R及びRと同じものを例示することができる。
式(II)で表される環状単位として、好ましくは式(III)
で表される化合物であり、式中、R及びRは、同一又は異なって、−O−を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、点線部は、ベンゼン環の3位又は4位のいずれか一方に結合することを示す。
より好ましくは、式(IV)
で表される単位であり、式中、点線部は、ベンゼン環の3位又は4位のいずれか一方に結合することを示し、n3及びn4は同時に1〜15である。
さらに好ましくは、式(IVa)
で表される環状単位であり、式中、点線部は、ベンゼン環の3位又は4位のいずれか一方に結合することを示し、n3及びn4は同時に6〜10である。
最も好ましくは、式(IVb)
で表される単位である。
(ネットワークポリマーの構造及び物性)
本発明の「ネットワークポリマー」は、ロタキサン構造を有する。ロタキサン(rotaxane)は、式(II)で表される環状単位を式(I)で表される直鎖状単位が貫通し、直鎖状単位からなる軸の両末端に嵩高い部位を結合させることで、立体障害でリングが軸から抜けなくなったものを言う。その嵩高い部位は、ストッパーまたはキャップ、末端基と呼ばれる。それに対して、ストッパーがない場合や、ストッパーがあっても嵩高さが不十分なものを擬ロタキサン(pseudorotaxane)という。
上記ネットワークポリマーはストッパー成分がなく、環成分、直鎖成分から構築されているが、ネットワークを構成することで別の擬ロタキサンユニットと結合した別の擬ロタキサンユニットがストッパーの役割を果たしているため、リングと軸が分かれることはない。
本発明の「ネットワークポリマー」において、式(I)又は式(I’)で表される直鎖状単位と式(II)で表される環状単位との比は、直鎖状単位1単位に対して、環状単位は1〜(m+1)(ここで、m+1は直鎖状単位中のN原子の数に相当する)であるが、好ましくは、直鎖状単位1単位に対して環状単位は2〜10単位、より好ましく2〜4である。
また、式(I)又は式(I’)で表される直鎖状単位ごとに、式(II)で表される環状単位の数は、異なっていても、同じであっても良い。
また、本発明の「ネットワークポリマー」は、水、n−ヘキサン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、エチルアセテート等の溶媒に不溶である。
本発明のネットワークポリマーは、溶媒に対する溶解度が非常に低く、合成したポリマーの数平均分子量、重量平均分子量、粘度平均分子量等を測定することが極めて困難である。
重合度としては、2〜1,000程度であり、好ましくは300〜800、もっとも好ましくは500〜600である。ポリマーの重合度は、オレフィンメタセシス重合の際の合成されたポリマーの反応溶媒への溶解度に依存し、用いる反応溶媒によりポリマーの重合度を調節することができる。
また、本発明のネットワークポリマーのガラス転移点は、好ましくは10℃〜−40℃、より好ましくは0℃〜−30℃、さらに好ましくは−10℃〜−30℃である。本発明のネットワークポリマーのガラス転移点は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)のような周知技術によって測定できる。
さらに、本発明のネットワークポリマーにおいて、25℃における、1Mヘキサフルオロリン酸リチウムのエチレンカーボネート(EC)−ジメチルカーボネート(DMC)混合溶媒(EC:DMC−1:1)に対する膨潤度は好ましくは30%〜100%、最も好ましくは約50%〜60%である。
膨潤度[%]は以下の式で算出した。
本発明のネットワークポリマー及び後述する中和後のネットワークポリマーは、種々の有機溶媒に対してゲル化能を有する。当該有機溶媒としては、例えば、脂肪酸、脂肪族アルコール類、フェノール誘導体類等のプロトン性有機溶媒、グライム、アルケンカーボネート、アルキルカーボネート、環状エーテル、アミド類、ニトリル類、ケトン類、エステル類等の非プロトン性有機溶媒などが挙げられる。具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリメチルのようなリン酸トリエステル誘導体、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエ−テル、1,3−プロパンサルトン等の非プロトン性有機溶媒が挙げられる。これらは、2種以上を混合して使用することもできる。
また、本発明のネットワークポリマー及び中和後のネットワークポリマーは、種々のイオン液体に対してゲル化能を有する。前記、イオン液体としては、ハロゲン化有機マグネシウムを安定に溶解する限り、限定されるものではないが、アンモニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体、ピラゾリウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、ピロリジニウム系イオン液体、スルホニウム系イオン液体等を用いることができる。
なお、本発明においてゲル化とは、流動性がある液体の流動性が失われた状態になることを指す。
2 ネットワークポリマーの製造
(第1段階)
本発明のネットワークポリマーを製造する第1段階は、式(VI)で表される直鎖状化合物と、式(VII)で表される環状化合物とを混合することである。混合条件は特に限定されないが、通常、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエン等の有機溶媒中、室温下で混合する。
(式中、R、R、R、及びmは、式(I)における定義と同じである。)
(式中、R、R及びnは式(II)における定義と同じである。)
前記のように混合することにより、1〜(m+1)分子(ここで、m+1は直鎖状化合物中のN原子の数に相当する)の式(VII)で表される環状化合物が、式(VI)で表される直鎖状化合物1分子を串刺し状に包接してなる単位(A)で表される擬ロタキサン構造を有する化合物を製造することができる。この単位(A)の形成は、H−NMR測定によって確認することができる。
式中、R、R、R、R、Rm、n及びZは、式(I)及び式(II)における定義と同じである。
(第2段階)
第2段階は、前記単位(A)をオレフィンメタセシス重合することである。前記単位(A)は、可能であるならば単離した後に、重合反応を行うこともできるが、通常は式(VI)で表される直鎖状化合物と、式(VII)で表される環状化合物とを混合し、単位(A)を形成した後に、そのまま重合反応を行う。
なお、重合反応としては、オレフィンメタセシス重合以外にも、例えば、カチオン重合、アニオン重合、ラジカル重合、配位重合、開環重合等により行うこともできる。
オレフィンメタセシス重合反応は、式(VI)で表される直鎖状化合物の二重結合部及び式(VII)で表される環状化合物の二重結合部が、触媒の作用によって組換わることで重合が起きる反応である。このとき、式(VI)で表される直鎖状化合物の二重結合部同士が反応しても良いし、式(VII)で表される環状化合物の二重結合部同士が反応しても良いし、式(VI)で表される直鎖状化合物の二重結合部及び式(VII)で表される環状化合物の二重結合部が反応しても良い。ただし、本発明のネットワークポリマーの形成のため、同一の単位(A)の少なくとも二つ以上の二重結合部が、それぞれ他の単位(A)の二重結合部と反応する必要がある。触媒としては、オレフィンメタセシス反応が進行するものであれば特に制限されないが、好適にはグラブス触媒、より好適には第一世代のグラブス触媒である。
オレフィンメタセシス重合反応に用いる溶媒としては、単位(A)及び反応に用いる触媒を溶解することができれば制限されず、好適には単位(A)の形成に用いる溶媒であり、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエン等であり、より好適にはジクロロメタンである。
オレフィンメタセシス重合反応後のネットワークポリマーは、依然として炭素−炭素二重結合を有している。炭素−炭素二重結合は、シス体、トランス体の両方が生成する可能性があり、本発明のポリマーはその両方を含む。また、生成した炭素−炭素二重結合は、例えば触媒的水素添加反応により部分的に、又は完全に飽和することもできる。
さらに、メタセシス重合反応後の炭素−炭素二重結合に、さらなる置換基の導入を行うこともできる。一例としては、ジエン化合物等と反応させるディールス−アルダー反応や、エン反応等のペリ環状反応を行うことができる。他の例としては、パラジウム触媒を用いるヘック反応を行うことで、アルケニル基やアリール基を導入することもできる。
(他の態様)
本発明のネットワークポリマーを製造する他の態様を以下に記載する。
第1段階は、式(VII)で表される環状化合物を重合し式(VII’)で表される化合物を得ることである。重合反応としては、式(VII’)で表される化合物を得ることができる限り特に制限されないが、特にオレフィンメタセシス重合が好ましい。
式中、R、R及びnは式(II)における定義と同じであり、wは2〜30の整数を、破線で示された結合部分は二重結合又は単結合を表す。
オレフィンメタセシス重合によって得た式(VII’)で表される化合物は、依然として炭素−炭素二重結合を有している。炭素−炭素二重結合は、シス体、トランス体の両方が生成する可能性があり、式(VII’)で表される化合物はその両方を含む。また、生成した炭素−炭素二重結合は、触媒的水素添加反応等により飽和し、単結合とすることが好ましい。
第2段階は、式(VI)で表される直鎖状化合物と、式(VII’)で表される化合物とを混合することである。混合条件は特に限定されないが、通常、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエン等の有機溶媒中、室温下で混合する。
前記のように混合することにより、式(VII)で表される化合物の環状部分に式(VI)で表される直鎖状化合物が串刺し状に包接してなる擬ロタキサン構造(以後、「単位(B)」ともいう)を製造することができる。この単位(B)の形成も、H−NMR測定によって確認することができる。
第3段階は、前記単位(B)をオレフィンメタセシス重合することである。前記単位(B)は、可能であるならば単離した後に、重合反応を行うこともできるが、通常は単位(B)を形成した後に、そのまま重合反応を行う。
なお、重合反応としては、オレフィンメタセシス重合以外にも、例えば、カチオン重合、アニオン重合、ラジカル重合、配位重合、開環重合等により行うこともできる。
(式(VI)で表される直鎖状化合物及び式(VII)で表される環状化合物)
式(VI)で表される直鎖状化合物及び式(VII)で表される環状化合物は、市販されているものを用いることができるほか、従来公知の方法、例えば、Polymer Journal, Vol.40, No.3, (2008), 205-211に記載の方法によって製造することができる。
(直鎖状化合物の製造)
式(VI)で表される直鎖状化合物の合成方法としては、例えば以下に示すような方法がある。
を含むポリアミン部位とRを含む左側セグメントとを塩基を用いて結合し、アミノ化を行う。保護基を除去した後に、左側セグメントと同様に、Rを含む右側セグメントを結合し、直鎖状化合物の基本骨格を得る。これに塩酸を作用させることで塩酸塩を得た後にアニオン交換を行うことで、式(VI)で表される直鎖状化合物を調製することができる。
式中、R、R、R及びZは式(VI)と同じ定義であり、PGはアミノ基の保護基を表し、Q及びQは同一又は異なって脱離基を表す。
前記塩基としては、具体的には水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等を挙げることができる。
前記アミノ化反応は非プロトン性極性溶媒中で行うことが好ましく、非プロトン性極性溶媒としては、反応が進行する限りいかなる溶媒を用いても良いが、具体的にはアセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
前記Qは脱離基となる部分であり、例えば塩素、臭素、ヨウ素、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等を挙げることができる。
前記アミノ化反応は相間移動触媒を用いて行っても良い。相間移動触媒としては、クラウンエーテル、4級アンモニウム塩等を用いることができ、具体的には、12−クラウン−4−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、18−クラウン−6−エーテル等のクラウンエーテルや、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラn−ブチルアンモニウムクロリド、テトラn−ブチルアンモニウムブロミド等のテトラアルキルアンモニウムハライド等が挙げられる。これら、相間移動触媒は、前記塩基の種類や、前記溶媒の種類によって、当業者が適宜選択することができる。
式中、PGで表されるアミノ基の保護基は、当業者が適宜選択することができ、Green&Wuts,“PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS” 4th ed.John Wiley&Sons,Inc.を参照することができる。具体的には、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の炭酸アミド基、フタル酸イミド等のイミド基、2−ニトロベンゼンスルホニル基等のノシル基等を用いることができる。
前記、Rを含む左側セグメント及びRを含む右側セグメントは、市販の化合物を用いても良い。また、市販の末端不飽和アルコールから以下に示す方法で調製することもできる。
ジオールの片方の水酸基を保護基PGで保護した後に、もう一方の水酸基を酸化しアルデヒドへと変換する。このアルデヒドに対してウィッティヒ反応を行うことで、オレフィンを導入し、脱保護の後に水酸基を脱離基Zへと変換することで、Rを含む左側セグメントを合成することができる。同様の方法で、Rを含む右側セグメント合成することもできる。
式中、R及びRは式(VI)と同じ定義であり、PGは水酸基の保護基を表し、Q及びQは同一又は異なって脱離基を表す。
前記保護基PGとして用いられるものは、Green&Wuts,“PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS” 4th ed.John Wiley&Sons,Inc.を参照することができる。具体的には、アセチル基、ピバロイル基等のアシル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリエチルシリル基等のシリル基等を用いることができる。
前記水酸基の酸化方法としては、一級アルコールを選択的にアルデヒドへと酸化する方法であればいかなる方法を用いることができるが、具体的にはデス−マーチン酸化、TEMPO酸化等を挙げることができる。
前記脱保護後の水酸基の脱離基Qへの変換方法としては、トリフェニルホスフィン存在下、四塩化炭素又は四臭化炭素を反応させ塩素又は臭素を導入する方法が挙げられる。その他にも、3級アミン等の塩基存在下、アルキル又はアリール塩化スルホニルと反応することでスルホニルエステルへと導く方法が挙げられる。また、スルホニルエステル部分をアセトン等の極性溶媒中でハロゲンのアルカリ金属塩を反応させることにより、ハロゲン化する方法等を挙げることができる。
また、保護基としてスルホニルエステルを用いた場合、保護基の除去及び脱離基への変換工程を省略することもできる。
前記、Rを含むポリアミン部位は、市販のポリアミンを用いることもできる。また、以下に示す方法で市販のジアミンから調製することもできる。
一方を選択的に保護したジアミンと、ジオールから誘導したR2bを有する部位を、塩基を用いてアミノ化を行う。水酸基の保護基PGを除去した後に水酸基を脱離基へと変換し、アジ化ナトリウムを用いて、アジド基を導入する。アジド基を還元することにより、ポリアミン部位を調製することができる。この方法でポリンアミン鎖を伸長することができる。
式中、Rは式(VI)と同じ定義であり、PGはアミノ基の保護基をPGは水酸基の保護基を表し、Q及びQ2bは脱離基を表す。
前記塩基としては、具体的には水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等を挙げることができる。
前記アミノ化は非プロトン性極性溶媒中で行うことが好ましく、非プロトン性極性溶媒としては、反応が進行する限り、いかなる溶媒を用いても良いが、具体的にはアセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
前記Q及びQ2bは脱離基となる部分であり、例えば塩素、臭素、ヨウ素、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等を挙げることができる。
前記脱保護後の水酸基の脱離基Q2bへの変換方法としては、トリフェニルホスフィン存在下、四塩化炭素又は四臭化炭素を反応させ塩素又は臭素を導入する方法が挙げられる。その他にも、3級アミン等の塩基存在下、トルエンスルホン酸クロライドやメタンスルホン酸クロライド等のスルホン酸ハライドと反応することでスルホニルエステルへと導く方法が挙げられる。またスルホニルエステル部分をアセトン等の極性溶媒中でハロゲンのアルカリ金属塩を反応させることにより、ハロゲン化する方法等を挙げることができる。
また、塩基条件下、トルエンスルホン酸クロライドやメタンスルホン酸クロライド等のスルホン酸クロライドを作用することで、水酸基をスルホン酸エステルへと導き、脱離基Q2bとすることができる。
前記アジド基の導入は、アジ化ナトリウムを非プロトン性溶媒中で反応させることにより行うことができる。ここで、非プロトン性溶媒は、反応が進行する溶媒であれば、いかなる溶媒を用いることができるが、好ましくはアセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドである。
前記アジド基のアミノ基への還元は、トリフェニルホスフィン等のホスフィンを用いて還元する方法や、パラジウム触媒等を用いて水素添加により還元する方法が挙げられる。前記、ホスフィンを用いて還元する方法において、反応溶媒としては水を添加したジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒が挙げられる。また、水素添加による還元においては、反応が進行する限りいかなる溶媒を用いても構わないが、メタノールや酢酸エチル等の極性溶媒が反応性を高める点から好ましい。
前記反応を繰り返し行うことによって、望みのRを含むポリアミン部位を調製することができる。
3 ネットワークポリマーの中和
本発明のネットワークポリマーの中和後のネットワークポリマー(以下、「中和後のネットワークポリマー」ともいう)は、上記記載のネットワークポリマーを求電子剤と反応させることにより、式(I)で表される単位内の−N−基を−NR−基又は−NR−基(R又はRは、求電子剤由来の残基を表す)に変換し、式(I’)で表される単位として得ることができる。
こうして得られた中和後のネットワークポリマーでは、ポリマー中のロタキサン構造の架橋部位において、直鎖状化合物と環状化合物との相互作用が弱まり、ネットワークポリマーの運動性が高まり、イオン電動度が向上する。このようなネットワークポリマーの中和による効果は、WO2013/99224号公報に記載されているように、発明者らの開発した他のタイプのネットワークポリマーにおいても観測されている。
又はRで表される求電子剤由来の残基としては、式(I)で表される単位内の−N−基を−NR−基又は−NR−基に変換することができるものであれば、特に制限されないが、例えば直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基、アリールアルキル基、アシル基等が挙げられる。
上記直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基等が挙げられる。
上記直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基としては、具体的に、ビニル基、アリル基、メタクリル基、クロトニル基、ブテニル基、ペンテニル基、シクロペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基等が挙げられる。
これらR又はRで表される求電子剤由来の残基による、式(I)で表される単位内の−N−基の−NR−基又は−NR−基への変換方法は、特に制限されないが、例えば、塩基を用いて−N−基を−NH−へと変換した後に、金属ヒドリドを用いて窒素アニオンを生じさせ、RY又はRYで表される求電子剤と反応させる方法が挙げられる。このとき、金属ヨウ化物等を添加することで、窒素アニオンと求核剤との反応性を増しても良い。
Y又はRYで表される求電子剤の脱離基Yとしては、−N−基を−NR−基又は−NR−基に変換することができるものであれば、特に制限されないが、例えば塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、p−トルエンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ等のスルホニルオキシである。
このとき用いられる塩基としては、無機塩基、有機塩基のいずれでもかまわないが、有機塩基が好ましく、三級アミンが好ましい。より具体的には、トリエチルアミン、トリn−ブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)等が挙げられる。
金属ヒドリドとしては、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウムが挙げられ、取り扱いの容易さから、油性水素化ナトリウムが好ましい。
反応溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が好ましく、例えばテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等が挙げられる。
また、R又はRで表される求電子剤由来の残基による、−N−基の−NR−基又は−NR−基への変換方法としては、例えば、塩基を用いて式(I)由来の繰り返し単位内の−N−基を−NH−へと変換した後に、窒素上にアシル基を導入することでアミドとすることができる。また、前記アミドを還元し、これを対応するアルキル基へと変換する方法も挙げられる。
このとき用いられる塩基としても、無機塩基、有機塩基のいずれでもかまわないが、有機塩基が好ましく、三級アミンが好ましい。より具体的には、トリエチルアミン、トリn−ブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)等が挙げられる。
アシル化剤としては、酸ハロゲン化物、酸無水物、混合酸無水物等が挙げられるが、酸ハロゲン化物が好ましい。反応溶媒としては、活性水素を持たない反応溶媒であれば特に制限はされないが、好ましい溶媒としてテトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン等が挙げられ、ジクロロメタンが好ましい。
アミドの還元剤としては、前記R又はRで表される求電子剤由来の残基へと変換できるものであれば特に制限はされないが、リチウムアルミニウムハイドライド、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム等のアルミニウム系ヒドリド還元剤や、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、ジボラン等のホウ素系ヒドリド還元剤等が挙げられる。反応溶媒は、当業者が前記還元剤の種類によって適宜選択して使用できる。
求電子剤の使用量は、式(I)で表される単位内の−N−基に対して1.0モル当量以上用いるのが好ましく、1.0〜100.0モル当量用いることがより好ましい。−N−基は全部−NR−基又は−NR−基に変換されることが好ましいが、一部のみ−NR−基又は−NR−基に変換されたポリマーネットワークも、本発明に包含される。すなわち、−N−基の、−NR−基又は−NR−基への変換率は、10%以上であればよく、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上である。−N−基の少なくとも一部が−NR−基又は−NR−基に変換されていることは、IR測定によって確認できる。
4 ポリマーゲル電解質
本発明のポリマーゲル電解質は、上述したネットワークポリマー及び/又は中和後のネットワークポリマーと電解質溶液とを混合することによって得られる。
ネットワークポリマー及び/又は中和後のネットワークポリマーは、種々の溶媒に対してゲル化能を有するため、ネットワークポリマー及び中和後のネットワークポリマーと電解質溶液とを含有することによって、ポリマーゲル電解質を形成する。
特に、本発明のポリマーゲル電解質は、本発明のネットワークポリマー及び中和後のネットワークポリマーが化学的に安定であるため、グリニャール試薬等のハロゲン化有機マグネシウムの溶液を非水電解質溶液として用いることができる。ハロゲン化有機マグネシウム化合物としては、これらに限定されるものではないが、下記式(M)で表される化合物を用いることができる。
式中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2〜10のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2〜10のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3〜6の環状アルキル基、置換又は非置換のチオフェン基、置換又は非置換のフェニル基あるいは置換又は非置換のナフチル基を表し、XはCl、Br又はIを表す。式(M)で表される化合物において、Rは、Mg−Xで表される部位を1つ又は2つ以上有していても良い。
前記炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブタン−2−イル基、2,3-ジメチルブタン−2−イル基、3−ヘキシル基、2-エチルペンチル基、2-メチルペンタン−3−イル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−2−プロペニル基、ペンテニル基、ペンタジエニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、ヘキサトリエニル基、ヘプテニル基、ヘプタジエニル基、ヘプタトリエニル基、オクテニル基、オクタジエニル基、オクタトリエニル基、オクタテトラエニル基、ノネニル基、ノナジエニル基、ノナトリエニル基、ノナテトラエニル基、デセニル基、デカジエニル基、デカトリエニル基、デカテトラエニル基、デカペンタエニル基が挙げられる。
前記炭素数2〜10のアルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ブタンジイニル基、1-メチル−2−プロピニル基、ペンチニル基、ペンタジイニル基、ヘキシニル基、ヘキサジイニル基、ヘキサトリイニル基、ヘプチニル基、ヘプタジイニル基、ヘプタトリイニル基、オクチニル基、オクタジイニル基、オクタトリイニル基、オクタテトライニル基、ノニニル基、ノナジイニル基、ノナトリイニル基、ノナテトライニル基、デシニル基、デカジイニル基、デカトリイニル基、デカテトライニル基、デカペンタイニル基等が挙げられる。
前記炭素数3〜6の環状アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環状アルキル基、チオフェニル基、フェニル基、ナフチル基の置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環状アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、環状アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基等が挙げられる。
上記、式(M)で表される化合物としては、具体的には例えば、塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、ヨウ化メチルマグネシウム、塩化エチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、ヨウ化エチルマグネシウム、塩化ブチルマグネシウム、臭化ブチルマグネシウム、ヨウ化ブチルマグネシウム、塩化ベンジルマグネシウム、臭化ベンジルマグネシウム、ヨウ化ベンジルマグネシウム等が挙げられ、より好適には、塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、塩化エチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、塩化ブチルマグネシウム、臭化ブチルマグネシウム、塩化ベンジルマグネシウム、臭化ベンジルマグネシウムが挙げられ、さらに好適には、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化ブチルマグネシウムが挙げられ、最も好適には臭化メチルマグネシウム又は臭化エチルマグネシウムが挙げられる。
式(M)で表される有機ハロゲン化マグネシウムは定法によりR−Xで示される化合物とマグネシウムから調製することができる。ただしRは上記で定義した通りである。定法で調製することが困難な式(M)で表される化合物を調製する場合、リーケ法により活性化したマグネシウムと前記R−Xで示される化合物とを反応させることで、式(M)で表される化合物を調製することもできる。
前記、電解質溶液の溶媒としては、ハロゲン化有機マグネシウムを安定に溶解する限り、限定されるものではないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等のアルカン系有機溶媒、ベンゼンやトルエン等の芳香族系有機溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロピラン、ジオキサン等のエーテル系有機溶媒等を挙げることができる。また、前記有機溶媒の他にも、安全性に優れ、高いイオン伝導度を有し、且つ良好なマグネシウムの溶解析出の可逆性を示すことのできるイオン液体を用いることができる。
前記、イオン液体としては、ハロゲン化有機マグネシウムを安定に溶解する限り、限定されるものではないが、アンモニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体、ピラゾリウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、ピロリジニウム系イオン液体、スルホニウム系イオン液体等を用いることができる。中でも、好ましくはアンモニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ピロリジニウム系イオン液体を挙げることができ、最も好適にはアンモニウム系イオン液体が挙げられる。
前記、アンモニウム系イオン液体としては、具体的にはジエチルメチルメトキシエチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩、メチルトリn−オクチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩、エチルジメチルプロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩、テトラブチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド、テトラオクチルアンモニウムクロリド等が挙げられ、より好適には、ジエチルメチルメトキシエチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩、メチルトリn−オクチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩、エチルジメチルプロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩、テトラブチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩が挙げられ、さらに好適には、ジエチルメチルメトキシエチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩、メチルトリn−オクチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩が挙げられ、最も好適にはジエチルメチルメトキシエチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩が挙げられる。
上記ハロゲン化有機マグネシウムを用いた電解質の他にも、電解質としては、非水電解質溶液に用いられる従来公知の無機イオン塩を用いることができ、例えば、塩化リチウム(LiCl)、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、リチウムテトラフェニルボレート(LiB(C)、メタンスルホン酸リチウム(LiCHSO)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CSON)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CFSON)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルリチウム(LiC(CFSO)、臭化リチウム(LiBr)を用いることが可能であり、これらの2種以上を混合して使用することもできる。
上記ハロゲン化有機マグネシウムを用いた電解質以外の電解質に使用する溶媒としては、非水電解質溶液に用いられる従来公知の溶媒を用いることができ、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、エチレンスルフィド、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド、トリメチルヘキシルアンモニウム等を用いることが可能であり、これらの2種以上を混合して使用することもできる。
前記電解質溶液の中でも、ジエチルメチルメトキシエチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩を含む溶媒に、臭化エチルマグネシウムを溶解した電解質溶液が好ましい。
電解液中の溶質と溶媒の割合は、溶質が溶媒に溶解する限り、いかなる割合であっても良いが、溶質:溶媒が物質量比で0.1:10〜10:0.1であり、より好ましくは1:10〜10:1、さらに好ましくは1:5〜5:1、もっとも好ましくは1:2〜2:1である。
本発明のポリマーゲル電解質は、電解質溶液をネットワークポリマーでゲル化させることで得ることができる。具体的には、所定量の電解質溶液に所定量のネットワークポリマーを浸漬させるという製造方法が例示される。通常、ハロゲン化有機マグネシウムは空気中の水分及び酸素と反応し不動体を形成するため、上記操作は不活性ガス下で行うことが好ましい。
(非水電解質二次電池)
前記ポリマーゲル電解質は、マグネシウム二次電池やリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池として使用することができる。
本発明の非水電解質二次電池としては、上記ポリマーゲル電解質を使用する以外は、従来公知の構成から成る。
例えば、正極としては、放電時に正イオンを吸収するもの、もしくは負イオンを放出するものであれば特に限定されず、金属酸化物やポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン等の導電性高分子やその誘導体、ジスルフィド化合物等の二次電池の正極材料として従来公知のものが使用できる。
また、負極としては、カチオンを吸蔵・放出可能な材料であれば特に限定されず、天然黒鉛、石炭・石油ピッチ等を高温で熱処理して得られる黒鉛化炭素等の結晶質カーボン、石炭、石油ピッチコークス、アセチレンピッチコークス等を熱処理して得られる非晶質カーボン、金属リチウムやAlLi等のリチウム合金など、二次電池の負極活物質として従来公知のものが使用できる。
さらに、電極を形成する際に、これらの電極活物質を適当な結着剤や機能性材料と混合し、電極層を形成することもできる。この結着剤としてはポリフッ化ビニリデン等のハロゲン含有高分子等が用いられ、また機能性材料としては電子伝導性を確保するためのアセチレンブラックやポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子、イオン伝導性を確保するための高分子電解質、それらの複合体等が挙げられる。
本発明の非水電解質二次電池は、前記ポリマーゲル電解質、前記正極及び負極などを用いて電池を組み立てることにより得ることができる。その他の構成要素や構造については特に制限は無く、従来公知の非水電解質二次電池で採用されている各種構成要素、構造を適用することができる。
例えば、セパレータ基材にポリマーゲル電解質を担持させることもできる。セパレータ基材としては、通常非水電解質二次電池用のセパレータ基材として用いられているものを使用することができる。例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリエステル不織布、PTFE多孔体フィルム、クラフト紙、レーヨン繊維・サイザル麻繊維混抄シート、マニラ麻シート、ガラス繊維シート、セルロース系電解紙、レーヨン繊維からなる抄紙、セルロースとガラス繊維との混抄紙、またはこれらを組み合せて複数層に構成したものなどを使用することができる。
また、本発明の非水電解質二次電池では、その形状などについても特に制限はない。例えば、コイン形、ボタン形、シート形、積層形、円筒形、偏平形、角形、電気自動車などに用いる大型のものなど、いずれであってもよい。本発明のポリマーゲル電解質は、電解質溶液の含有量が従来の二次電池に比べて大幅に少ないため、特に大型の電池作製の際に、安全性及び製造コストの面で本発明の効果が顕著に表れる。
以下に、実施例において本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術範囲は、これらに限定されるものではない。
(1)直鎖状化合物の合成
直鎖状化合物は以下の手順で合成した。
(i)1,2−ビス(10−ウンデセノイルアミノエトキシ)エタンの合成
2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)(3.00g,0.0202mol)とトリエチルアミン(7.04ml,0.0505mmol)のTHF溶液に10−ウンデセノイルクロリド(9.00g,0.0444mol)のTHF溶液を滴下して加え、室温で17時間攪拌した。反応後、炭酸水素ナトリウム水溶液を5ml加え、酢酸エチルで希釈後、3回水洗した。洗浄した有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮した。濃縮物をさらにヘキサンで洗浄することで1,2−ビス(10−ウンデセノイルアミノエトキシ)エタンの白色粉末(収量7.07g,収率73%)を得た。
(ii)1,2−ビス(N−(10−ウンデセン−1−イル)アミノエトキシ)エタンの合成
1,2−ビス(N−(10−ウンデセン−1−イル)アミノエトキシ)エタン(3.00g,6.24mmol)の脱水THF溶液を水素化アルミニウムリチウムのTHF懸濁液に滴下し、35時間還流した。氷冷後、酢酸エチルと蒸留水を加え反応を停止し、減圧濾過した。濾物を乾燥させることで黄色透明粘性の液体として1,2−ビス(N−(10−ウンデセン−1−イル)アミノエトキシ)エタン(収量2.81g,収率99%)を得た。
(iii)1,2−ビス(N−(10−ウンデセン−1−イル)アミノエトキシ)エタン 二ヘキサフルオロリン酸の合成
1,2−ビス(N−(10−ウンデセン−1−イル)アミノエトキシ)エタン(2.81g,6.21mmol)のメタノール溶液に3N−HCl水溶液を加え酸性とした。メタノールを濃縮除去後、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し白色固体を得た。前記白色固体をメタノールに溶解し、飽和ヘキサフルオロリン酸水溶液に滴下した。水で希釈した後にジクロロメタンで抽出し、乾燥・濃縮した。濃縮物をヘキサン/エーテル=2/1で洗浄し、1,2−ビス(N−(10−ウンデセン−1−イル)アミノエトキシ)エタン 二ヘキサフルオロリン酸の白色固体物質(収量3.77g,収率82%)を得た。この化合物のH−NMRスペクトルを図1に、IRスペクトルを図2に示す。
(2)環状化合物の合成
直鎖状化合物(iv)は以下の手順で合成した。
(i)p−トルエンスルホン酸 10−ウンデセニルエステルの合成
10−ウンデセン−1−オール(8g,0.0470mol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.12g,9.40×10−4mol)、トリエチルアミン(13.5ml,0.0969mol)のTHF溶液にp−トルエンスルホニルクロリド(TsCl)(13.4g,0.0705mol)のTHF溶液を滴下し、室温で71時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え反応を停止し、水希釈後酢酸エチルで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル=15:1〜9:1)により精製し、p−トルエンスルホン酸 10−ウンデセニルエステル(収量14.5g,収率95%)を無色透明の液体として得た。
(ii)ビス(ホルミルベンゾ)−24−クラウン−8−エーテルの合成
ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテル(DB24C8)(0.50g,1.14mmol)、ヘキサメチレンテトラミン(0.799g,5.70mmol)にトリフルオロ酢酸(2ml)加え、60℃のオイルバス中で24時間加熱した。その後蒸留水(5ml)を加え、ジクロロメタン(100ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)により精製し、黄白色結晶のビス(ホルミルベンゾ)−24−クラウン−8−エーテル(収量0.474,収率82%)を得た。
(iii)ビス(ヒドロキシメチルベンゾ)−24−クラウン−8−エーテルの合成
ビス(ホルミルベンゾ)−24−クラウン−8−エーテル(0.47g,0.94mmol)をTHF(30ml)に溶かした。さらに水素化ホウ素ナトリウムを(0.80g,2.81mmol)加え24時間還流した。その後濃縮によりTHFを除去した。ジクロロメタン(100ml)で3回抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。黄白色結晶のビス(ヒドロキシメチルベンゾ)−24−クラウン−8−エーテル(収量0.39g,収率82%)を得た。
(iv)ビス(10−ウンデセニルオキシメチルベンゾ)−24−クラウン−8−エーテルの合成
ビス(ヒドロキシメチルベンゾ)−24−クラウン−8−エーテル1.00g(1.97mmol)の脱水THF溶液を水素化ナトリウム(0.136g、5.91mmol)のTHF懸濁液に氷冷中で加えた。その溶液にp−トルエンスルホン酸 10−ウンデセニルエステル1.92g(5.91mmol)のTHF溶液をゆっくり滴下した。65時間、還流条件で反応を行った後に、室温で炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル=9:1→1:1)により精製した。白色固体の)ビス(10−ウンデセニルオキシメチルベンゾ)−24−クラウン−8−エーテルを(収量0.700g,収率43.7%)で得た。この化合物のH−NMRスペクトルを図3に示す。
ネットワークポリマーゲルの合成
ビス(ウンデシレニルオキシメチルベンゾ)−24−クラウン−8−エーテル20mg(2.38×10−5mol)と1,2−ビス(N−(10−ウンデセン−1−イル)アミノエトキシ)エタン 二ヘキサフルオロリン酸8.9mg(1.19×10−5mol)とベンジリデン ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム1.5mg(1.79×10−6mol)のジクロロメタン溶液をガラス基板に塗布し、自然乾燥後、50℃で23時間加熱した。反応後、停止剤としてエチルビニルエーテルを加え、メタノール、酢酸エチル、アセトンで洗浄後、乾燥し、茶褐色のネットワークポリマーを得た。得られたネットワークポリマーのIRスペクトルを図4に示す。
このネットワークポリマーのガラス転移温度は−18.4℃であった。
試験管中で膜(0.0110g)をアセトニトリル5mlに浸漬させ、トリエチルアミン1mL、無水酢酸0.5mLを加え40℃のオイルバス内で24時間攪拌させた。反応後、メタノールで膜を洗浄し、真空乾燥した。
ネットワークポリマーゲルの中和
実施例1で合成したネットワークポリマー(0.0110g)をアセトニトリル(5ml)に浸漬し、トリエチルアミン(1ml)及び無水酢酸(0.5ml)を加え、40℃で24時間攪拌した。反応後、メタノールで膜を洗浄し、真空乾燥を行った。
このネットワークポリマーのガラス転移温度は−39.1℃であった。
ネットワークポリマー膜の安定性試験
上記実施例1で合成したネットワークポリマーを、グローブボックス中アルゴン雰囲気下、臭化エチルマグネシウムの1Mテトラヒドロフラン溶液に室温で浸漬した。図5に示すように、本発明のネットワークポリマーは、1ヶ月浸漬した後でも、膜の破れや劣化等が観測されず安定性が確認された。これに対して、従来のエステル結合を有する、ロタキサン構造を有するネットワークポリマーは、同条件下、わずか10分で劣化がはじまり、15分後には劣化が顕著となり膜構造を維持できなかった。
ネットワークポリマーを用いた電解質のイオン伝導度の測定
上記実施例1で合成したネットワークポリマーを1Mのヘキサフルオロリン酸リチウムのエチレンカーボネート−ジメチルカーボネートの混合溶液からなる電解液に浸漬し、ポリマーゲル電解質を調製した。調製した電解質の膨潤度とイオン伝導度の測定結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明のネットワークポリマーを用いて調整したポリマーゲル電解質は、膨潤度が低く、少ない電解液の保持量にもかかわらず、高いイオン伝導性を有する。
本発明で得られるネットワークポリマーは、電解質溶液の保持量が少ないにもかかわらず、高いイオン伝導性を示す。したがって、従来の非水電解質二次電池がもつ、液漏れや製造コスト面での課題を解決し、より安全で安価な非水電解質二次電池の材料となりうる。

Claims (10)

  1. 下記式(I)
    (式中、R、R及びRは、同一又は異なって、−O−を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、mは1〜10のいずれかの整数を表し、mが2以上のとき、各Rは同一又は異なっていても良く、Zは対アニオンを表し、複数のZは、それぞれ同一又は異なっていても良い。)、又は下記式(I’)
    (式中、R、R、R、及びmは、式(I)における定義と同じであり、R及びRは、同一又は異なって、求電子剤由来の残基を表す。)で表される直鎖状単位の1単位につき、下記式(II)
    (式中、R及びRは、同一又は異なって、−O−を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、nは、3又は4の整数を表す。)で表される環状単位の1〜(m+1)単位(ただし、mは式(I)におけるmと同義である)が串刺し状に包接してなる単位(A)を有するネットワークポリマー。
  2. 単位(A)を2〜1000有することを特徴とする請求項1に記載のネットワークポリマー。
  3. 式(II)で表される環状単位が、下記式(III)
    (式中、R及びRは、同一又は異なって、−O−を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、点線部は、ベンゼン環の3位又は4位のいずれか一方に結合することを示す。)で表される単位であることを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワークポリマー。
  4. 式(III)で表される単位が、下記式(IV)
    (式中、n3及びn4は、同一又は異なって、1〜14のいずれかの整数を表し、点線部は、ベンゼン環の3位又は4位のいずれか一方に結合することを示す。)で表される単位であることを特徴とする請求項3に記載のネットワークポリマー。
  5. 式(I)で表される直鎖状単位が、下記式(V)
    (式中、R、R、R、及びZは、式(I)における定義と同じである)で表される単位であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のネットワークポリマー。
  6. 第1工程:式(VI)
    (式中、R、R及びRは、同一又は異なって、−O−を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、mは1〜10のいずれかの整数を表し、mが2以上のとき、各Rは同一又は異なっていても良く、Zは対アニオンを表し、複数のZは、それぞれ同一又は異なっていても良い。)で表される直鎖状化合物と、
    下記式(VII)
    (式中、R及びRは、同一又は異なって、−O−を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、nは、3又は4の整数を表す。)で表される環状化合物とを反応させて、
    前記式(VI)で表される直鎖状化合物1分子に対して、前記式(VII)で表される環状化合物1〜(m+1)分子(ここで、mは式(VI)のmと同義である)が串刺し状に包接してなる構造を有する化合物(A’)を生成させる工程、及び、
    第2工程:前記化合物(A’)をオレフィンメタセシス重合する工程
    を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のネットワークポリマーの製造方法。
  7. 第1工程又は第2工程の後、
    第3工程:生成物に求電子剤を反応させて、
    式(I)
    (式中、R、R及びRは、同一又は異なって、置換又は非置換の、−O−を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、mは1〜10の整数を表し、mが2以上のとき、各Rは同一又は異なっていても良く、Zは対アニオンを表し、複数のZは、それぞれ同一又は異なっていても良い。)で表される単位を、式(I’)
    (式中、R、R、R、及びmは、式(I)における定義と同じであり、R及びRは、同一又は異なって、求電子剤由来の残基を表す。)で表される単位に変換する工程を有することを特徴とする請求項6に記載のネットワークポリマーの製造方法。
  8. 電解液中に、請求項1〜5のいずれかに記載のネットワークポリマーを含有することを特徴とするポリマーゲル電解質。
  9. 電解液が臭化エチルマグネシウムのジエチルメチルメトキシエチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド塩溶液であることを特徴とする請求項8に記載のポリマーゲル電解質。
  10. 請求項8又は9に記載のポリマーゲル電解質を用いることを特徴とする二次電池。
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