JP2015073556A - 腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナー、及びこれらの製造方法 - Google Patents

腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナー、及びこれらの製造方法 Download PDF

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Hiroyuki Harada
裕幸 原田
清水 幸春
Yukiharu Shimizu
幸春 清水
望 富樫
Nozomi Togashi
望 富樫
豪 高野
Takeshi Takano
豪 高野
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Abstract

【課題】製品に形成される文字や図形に偽造防止対策を施していること自体を、一見しただけでは発見されない構造とすることで偽造防止対策を模倣できないようにして、一層偽造防止を高めた偽造防止対策が施された腕時計、装身具、タグ、ファスナーと、その製造方法を提供する。
【解決手段】腕時計用外装部品かムーブメント、装身具、タグ、ファスナーをガラス質金属単相を含むか、昇温速度0.67K/sで30K以上の過冷却液体温度域を有してガラス質金属単相を含むか、100nm以下の粒径を有する結晶を含むか、ガラス質金属組織を体積率で50%以上含む金属ガラスで形成し、一部に文字又は図形を形成し、溝の間隔10μm未満の格子形状が形成された金型を用意し、金型を文字又は図形に押圧して格子を転写し、転写後に冷却及び押圧を解除し、金型を離型して更に冷却するか、又は鋳造により、文字又は図形の少なくとも一部に、溝の間隔が10μm未満の格子を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、ファスナー、及びこれらの製造方法に関する。
有名ブランドの腕時計をはじめ、装身具と云った趣味性の物品など様々な製品に関して、模倣品による被害が広がっている。模倣品が企業に与える損害は大きく、例えば低価格の模倣品が出回ると真正品の販売機会の損失だけでなく、ビジネスモデルの破綻にもなりかねない。また粗悪な模倣品により悪い風評が広がると、長年に亘って育んできたブランドイメージの信用を失うことにもなりかねない。
こうした模倣品による被害を防ぐために、真正品と模倣品を識別する技術が数多く登場している。その中で広く使われているのがホログラムを利用した偽造防止ラベルである(例えば、特許文献1を参照)。ホログラムとは、光の干渉を利用して平面上に立体的に見える画像を記録する技術である。このホログラムを利用した偽造防止ラベルを、真性品そのもの、または製品の真性証明書やパッケージに貼り付けることで、その品物が真性品であることを証明している。
ホログラムを利用した偽造防止ラベルは、比較的簡単に導入できることから、既に様々な分野で模倣品対策として使われている。
特開2003−220662
このように、様々な分野で模倣品対策として使われている偽造防止ラベルだが、最近になって偽造防止効果の低下が懸念されている。ホログラムの装飾像や立体像の製造技術が普及するまでは、ホログラムの作製技術は比較的高度な技術であったため、偽造防止効果が充分に保たれていた。
しかしながら、ホログラムの作製技術が広く普及したことで、模倣品を手掛ける製造業者が簡単に偽のホログラムを大量に手に入れることが可能になってきた。このため、ホログラムに代わる新たな偽造防止対策を求める声が、市場で急速に高まっている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製品そのものに形成されるブランドロゴの文字や、ブランドや製造者を示すトレードマークと云った図形に直接、偽造防止対策を施すことで、より一層の偽造防止効果を有する新たな偽造防止対策が施された腕時計、装身具、タグ、又はファスナーとその製造方法の提供を、課題とする。
更に、本発明は新たな偽造防止対策の着目点として、前記文字や図形に偽造防止対策を施していること自体を、一見しただけでは発見されない構造とする。このような構造の偽造防止対策を施すことで、真性品の何処に偽造防止対策を施しているのか、又は、何を以て偽造対策としているのか自体を判別困難にして、模倣品の製造業者が容易に偽造防止対策自体を模倣できないようにする。このように、より一層偽造防止を高めた新たな偽造防止対策が施された腕時計、装身具、タグ、又はファスナーとその製造方法の提供を、本発明は課題とする。
前記課題は、以下の本発明により達成される。即ち、本発明の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーは、ガラス質金属単相を含む金属ガラス、昇温速度0.67K/sで30K以上の過冷却液体温度域を有するガラス質金属単相を含む金属ガラス、100nm以下の粒径を有する結晶を含む金属ガラス、或いはガラス質金属組織を体積率で50%以上含む金属ガラスの何れかから成る文字又は図形が形成され、文字又は図形の少なくとも一部に格子が形成され、格子の溝の間隔が10μm未満の範囲内に設定されていることを特徴とする。
本発明の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの一実施形態は、格子の溝の間隔が、527nm以上1217nm以下の範囲内に設定されていることが好ましい。
本発明の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの他の実施形態は、格子の溝が、2つ以上の異なる間隔を有しており、間隔が1020nm、784nm、又は659nmの何れかの、少なくとも2つ以上の異なる間隔であることが好ましい。
本発明の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの他の実施形態は、格子の溝が、更に、2つ以上の異なる溝角度を有することが好ましい。
本発明の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの他の実施形態は、金属ガラスが、Ptを主成分とすることが好ましい。
本発明の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの他の実施形態は、格子の少なくとも一部が、文字又は図形の厚み方向の少なくとも一部に形成されていることが好ましい。
また、本発明の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法は、腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーを、ガラス質金属単相を含む金属ガラス、昇温速度0.67K/sで30K以上の過冷却液体温度域を有するガラス質金属単相を含む金属ガラス、100nm以下の粒径を有する結晶を含む金属ガラス、或いはガラス質金属組織を体積率で50%以上含む金属ガラスの何れかで形成すると共に、腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの少なくとも一部に、文字又は図形を形成し、文字又は図形の形成後、更に溝の間隔を10μm未満の範囲内に設定した格子の形状が形成された金型を用意し、次に、文字又は図形を加熱し、更に、金型を文字又は図形に押圧して、格子を文字又は図形の少なくとも一部に転写し、転写後に文字又は図形を冷却して金型の押圧を解除し、金型を文字又は図形から離型し、更に文字又は図形を冷却するか、
又は格子の形状と、文字又は図形の形状が形成された金型を用意すると共に、金属ガラスを溶融し、その金型に溶融した金属ガラスを流し込み、鋳造により文字又は図形の少なくとも一部に、溝の間隔10μm未満の範囲内で格子を形成することを特徴とする。
本発明の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法の一実施形態は、格子の溝の間隔を、527nm以上1217nm以下の範囲内に設定することが好ましい。
本発明の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法の他の実施形態は、格子の溝として、1020nm、784nm、又は659nmの何れかの、少なくとも2つ以上の異なる間隔を形成することが好ましい。
本発明の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法の他の実施形態は、格子の溝に、更に、2つ以上の異なる溝角度を形成することが好ましい。
本発明の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法の他の実施形態は、金属ガラスを、Ptを主成分とする金属ガラスとすることが好ましい。
本発明の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法の他の実施形態は、金型による押圧を、文字又は図形の厚み方向の少なくとも一部に施すか、又は、格子の形状が、文字又は図形の形状の厚み方向の少なくとも一部に形成された金型を用意すると共に、金属ガラスを溶融し、その金型に溶融した金属ガラスを流し込み、鋳造により文字又は図形の厚み方向の少なくとも一部に、格子を形成することが好ましい。
本発明に係る腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーに依れば、文字又は図形を形成し、その文字又は図形の少なくとも一部に格子を形成すると共に、格子の溝の間隔を10μm未満の範囲内に設定した。このように格子の溝の間隔を10μm未満の範囲内に設定することにより、文字又は図形を目視により一見しただけでの偽造防止対策の構造体の発見を、困難なものとすることが出来る。更に、文字や図形を直接、真性品に形成することにより、従来の偽造防止ラベルのような真贋を見分ける物を、別途後付けする必要も無い。従って、真性品の何処に偽造防止対策を施しているのか、又は、何を以て偽造防止対策としているのか自体を判別困難にすることが可能となり、模倣品の製造業者が容易に偽造防止対策自体を模倣できないようにさせることが出来る。よって一層、真性品の偽造防止を高めることが可能となる。
更に格子を、ガラス質金属単相を含む金属ガラス、昇温速度0.67K/sで30K以上の過冷却液体温度域を有するガラス質金属単相を含む金属ガラス、100nm以下の粒径を有する結晶を含む金属ガラス、或いはガラス質金属組織を体積率で50%以上含む金属ガラスの何れかから形成することにより、構造体を別材料で模倣製造したものと比較し、格子表面の転写性や格子の各単一構造の転写性に優れ、製造ばらつきが少なく精度の高い形状の構造体が実現可能となるので、より、模倣品との違いを即座に見分けることが可能となる。
これら文字又は図形を、腕時計用の外装部品又はムーブメント、装身具、タグやファスナーに形成することで、真性品そのものに偽造防止対策の構造体である格子を直接、形成することが可能となる。従って、製品そのもので真贋を判定することが可能となり、偽造防止ラベルの貼り替えによる虚偽が防止され、信頼性の高い偽造防止効果を製品そのものに持たせることが可能となる。
更に、格子の溝の間隔を527nm以上1217nm以下の範囲内に設定することにより、格子に光を入射させた場合、可視光領域の少なくとも1つ又は複数の波長を有する1次回折光が回折されて、反射する。それらの回折反射光の有無を肉眼又はフォトダイオード等の受光素子、CCDカメラ等で判別することにより、構造体が施された文字又は図形であるか否かを容易に判別可能となる。よって、偽造業者に対しては構造体自体の発見を困難にすると共に、文字又は図形が回折特性を有することで、真性品の製造業者等による真贋判定の作業は容易化することが可能となる。従って、真贋判定の容易化と偽造防止と云う、相反する2つの要求を両立させることが出来る。
更に格子の少なくとも一部を、文字又は図形の厚み方向の少なくとも一部に形成することにより、文字又は図形を平面方向から見たとしても、文字又は図形の平面には格子は無いため、目視により一見しただけでは格子自体を発見することは不可能である。無論、文字や図形を直接、真性品に形成することにより、真贋を見分ける物を、別途後付けする必要も無い。従って、真性品の何処に偽造防止対策を施しているのか、又は、何を以て偽造防止対策としているのか自体を判別困難にすることがより一層可能となり、偽造防止対策自体の模倣をできないようにさせ、より一層、真性品の偽造防止を高めることが可能となる。
また本発明に係る腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法に依れば、所定の格子を一回の成形で、文字又は図形に形成することが出来るため、低コストで量産性に優れた本発明に係る腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法を実現することが可能となる。
(a)本実施形態に係る文字又は図形の一例を模式的に示す平面図である。(b)図1(a)の円A内の拡大図である。 (a)図1に示す文字の斜視図である。(b)図2(a)に示す文字を、B−B切断線方向から見た時の拡大側断面図である。 (a)本実施形態に係る文字又は図形に形成される、格子の溝形状の変更例を示す拡大側断面図である。(b)本実施形態に係る文字又は図形に形成される、格子の溝形状の別の変更例を示す拡大側断面図である。 2つ以上の異なる間隔の溝を有する格子が形成された、本実施形態に係る文字又は図形の一例を模式的に示す平面図である。 (a)2つ以上の異なる溝角度を有する格子が形成された、本実施形態に係る文字又は図形の一例を模式的に示す平面図である。(b)図5(a)の円C内の拡大図である。(c)図5(a)の円D内の拡大図である。 (a)厚み方向の底部に格子が形成された、本実施形態に係る文字又は図形の一例を模式的に示す斜視図である。(b)図6(a)に示す格子部分のみを実線で示した斜視図である。 本実施形態に係る転写装置の構成を模式的に示す説明図である。 本実施形態に係る転写装置における転写工程を模式的に示す説明図である。 本実施形態に係る転写装置における離型工程を模式的に示す説明図である。
以下、図1〜図6を参照して、本発明に係る腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーに形成される、文字又は図形を詳細に説明する。前記文字又は図形は金属ガラスから形成されており、その文字又は図形の少なくとも一部に、偽造防止対策の構造体として、格子が形成されている。図1は、偽造防止対策の1つの例として、文字又は図形の一部である平面部に、格子が面方向に亘って形成されている、アルファベットのIを図示している。なお、図1〜図6に示すXYZ直交座標系は、各図で相互に対応しているものとする。
文字又は図形1の大きさは、例えば高さ方向の大きさHは1mm以上に設定され、目視により判別可能な程度に設定される。大きさHの上限は任意に設定可能であり、約5mm前後に設定すれば良い。また、文字又は図形のZ軸方向における厚みTも任意に設定可能であり、約5mm未満で設定すれば良い。
文字又は図形としては、図1に示すようなアルファベット以外にも、ひらがな、カタカナ、漢字、数字、漢数字、記号、符号等のあらゆる文字や、ブランドロゴを含む。また図形としては、円や三角形又は四角形といった基本的な図形や、より複雑な幾何学模様、又はブランドや製造者を示すトレードマークも含む。
前記偽造防止対策の構造体の一例として挙げた格子とは、図1及び図2に示すように、X軸−Y軸平面において一軸方向(図1及び図2ではY軸方向)にのみ形状が周期的に等間隔に変化する、互いに平行な凹凸から成る構造物を指すものとする。凹凸の断面形状は適宜形成可能であり、図2(b)に示すような波形だけでなく、図3(a)に示すV字状の三角波状や、図3(b)に示す矩形状に成形しても良い。
このような文字や図形は、腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナー等の製品そのものに、押圧加工や刻印等で形成される。製品そのものに形成される文字や図形に直接、偽造防止対策の構造体を形成することで、真性品そのものに偽造防止対策が直接施される。従って、前記偽造防止ラベルのように真贋を見分ける物を別途、製品に後付けしないので、製品そのもので真贋を判定することが可能となるため、偽造防止ラベルの貼り替えによる虚偽が防止され、信頼性の高い偽造防止効果を製品に持たせることが可能となる。
前記格子の、それぞれの単一構造の大きさは、10μm未満が好ましい。本発明では、人の目が構造体として認識可能な限度を10μm未満と定義する。従って、単一構造の大きさが10μm以上の場合は、本発明では人の目が構造体として認識可能としている。
なお格子の単一構造とは一対の凹凸である。各凹凸の深さ、及び頂部又は溝の間隔dを、10μm未満の範囲内に設定する。図1では、理解の容易さを優先するため、波形の凹凸それぞれの頂部及び底部を実線で示している。更に図1及び図2では、見易さの確保の為に、頂部又は溝の間隔dも拡大して図示している。
このように単一構造の大きさを10μm未満と設定することにより、目視により一見しただけでの偽造防止対策の構造体の発見を、困難なものとすることが出来る。更に、本発明に係る文字や図形を直接、真性品に形成することにより、従来の偽造防止ラベルのような真贋を見分ける物を、別途後付けする必要も無い。従って、真性品の何処に偽造防止対策を施しているのか、又は、何を以て偽造防止対策としているのか自体を判別困難にすることが可能となり、模倣品の製造業者が容易に偽造防止対策自体を模倣できないようにさせることが出来る。よって一層、真性品の偽造防止を高めることが可能となる。
前記偽造防止対策の構造体である格子は、一軸方向にのみ形状が周期的に等間隔に変化する構造体であり、もう一方の軸方向(図1及び図2ではX軸方向)に亘って構造変化が無い。従って、二軸方向(X軸及びY軸方向)に亘って周期的に構造を変化させる必要が無く、穴抜き加工を行う必要も無いので、格子を採用することで構造体をより簡潔にすることが出来る。よって格子は最も製造し易く、10μm未満の単一構造の形成を行う上で最も好ましい構造体である。
その上で、各凹凸の深さ及び間隔dを10μm未満の範囲内に設定するので、格子の偽造自体を困難なものとすることが出来、偽造の困難さとの点でも真性品の偽造防止を高めることが可能となる。なお各溝の深さhは、数百nm〜数μm程度に設定すれば良い。
文字又は図形1に形成される前記偽造防止対策の構造体や、文字又は図形は、金属ガラスから形成される。本発明に係る金属ガラスは、ガラス質金属単相を含む金属ガラス、昇温速度0.67K/sで30K以上の過冷却液体温度域を有するガラス質金属単相を含む金属ガラス、100nm以下の粒径を有する結晶を含む金属ガラス、或いはガラス質金属組織を体積率で50%以上を含む金属ガラスの、何れかの金属ガラスから選ばれる。
ガラス質金属単相、或いは100nm以下の粒径を有する結晶を含む金属ガラスは、表面平滑性を呈する組織構造を持つ。このことから粒子欠損が無いため、表面が平滑な構造体を作製することが可能となる。更に、製造ばらつきをより確実に取り除くことが出来る。従って、構造体を別材料で模倣製造したものと比較し、格子表面の転写性や格子の各単一構造の転写性に優れ、製造ばらつきが少なく精度の高い形状の構造体が実現可能となるので、より、模倣品との違いを即座に見分けることが可能となる。
なお結晶の粒径が100nmを超えると、構造体の表面粗度(表面平滑性)に悪影響を与えてしまい、前述の効果が得られにくくなる。よって、金属ガラス組織のマトリックス中に混在する結晶の粒径は100nm以下であることが望ましい。
また、昇温速度0.67K/sで30K以上の過冷却温度領域を有するガラス質金属単相を含む金属ガラスは、固体ガラスとしての安定性が高い。従って、粘性流動による射出成形、押出し成形、加圧転造成形、転写等の安価で形状再現性の高い成形加工を用いることで、構造体の各々の単一構造を、極めて容易に高精度で作製することが可能となる。更に、製造ばらつきをより確実に取り除くことが出来る。よって、構造体を別材料で模倣製造したとしても、各単一構造の精度や製造ばらつきを比較することにより、模倣品との違いを即座に見分けることが可能となる。
また、ガラス質金属組織を体積率で50%以上含む金属ガラスで構造体を製造することにより、高い寸法精度と高耐久性が得られる。従って、構造体の各々の単一構造を、高精度に作製することが可能になると共に、真性品に直接形成する構造体に高耐久性を付与することも出来る。よって、構造体を別材料で模倣製造したとしても、各単一構造の精度や製造ばらつき及び耐久性を比較することにより、模倣品との違いを見分けることが可能となる。
なお、ガラス質金属組織の体積率が50%未満では、構造体表面の平滑性が十分に得られなくなるため、金属ガラス中のガラス質金属組織の体積率は50%以上が好ましい。
格子の間隔dを527nm以上1217nm以下の範囲内に設定することが更に望ましい。間隔dを527nm以上1217nm以下の範囲内に設定することにより、その格子から回折される1次回折光の波長を、360nm以上830nm以下に設定することが可能となる。なお、本発明では360nm以上830nm以下の光の波長を、人間の可視光領域の波長と定義する。
間隔dを527nm以上1217nm以下の範囲内に設定することにより、格子に光を入射させた場合、可視光領域の少なくとも1つ又は複数の波長を有する1次回折光が回折されて、反射する。それらの回折反射光の有無を肉眼又はフォトダイオード等の受光素子、CCDカメラ等で判別することにより、構造体が施された文字又は図形であるか否かを容易に判別可能となる。よって前記のように、偽造業者に対しては構造体自体の発見を困難にすると共に、文字又は図形が回折特性を有することで、真性品の製造業者等による真贋判定の作業は容易化することが可能となる。従って、真贋判定の容易化と偽造防止と云う、相反する2つの要求を両立させることが出来る。
なお、格子の回折条件を表す式は、以下の数1のように定義する。
Figure 2015073556

dは前記間隔dである。mは回折光の次数を表し、1次回折光ではmは1となる。また、θは格子に入射させる光に対する回折光の回折角度であり、本発明では43°に固定する。更にλが、格子から回折される回折光の波長である。
また図4に示すように、例えば文字又は図形2をアルファベットのT等に設定し、2つ以上の異なる間隔d1とd2を有するように各々の溝(格子)を形成し、間隔d1又はd2を1020nm、784nm、又は659nmの何れかの、少なくとも2つ以上の異なる間隔に設定しても良い。間隔d1又はd2をこのような値に設定することにより、間隔d1又はd2が1020nmの場合は1次回折光の波長λは696nmとなり、784nmの場合は波長λは535nmとなり、659nmの場合は波長λは449nmとなる。従って、三原色である赤・緑・青(RGB)の何れかの波長を有する二色以上の光を鮮明に回折させることが可能となり、真贋判定の作業をより容易化することが出来る。
また図5に示すように、文字又は図形3の格子の間隔dを一定値に固定し、格子が2つ以上の異なる溝角度θ1及びθ2を有するように、文字又は図形3を形成しても良い。図5(a)では格子を2つの箇所に分割しており、同図(b)は溝角度θ1が30°の箇所、同図(c)は溝角度θ2が45°の箇所としている。同図(b)は同図(a)の円C内の拡大図であり、同図(c)は同図(a)の円D内の拡大図である。また、溝角度θ1及びθ2は、それぞれX軸方向に対する角度とする。このように、格子を2つ以上の異なる溝角度を有するように形成することで、偽造対策自体の模倣を更に困難にすることが出来るため、より一層、真性品の偽造防止を高めることが可能となる。なお、溝角度θ1又はθ2で形成される各々の格子の間隔dを、互いに異なるように設定しても良い。
更に、金属ガラスはPtを主成分とすることが好ましい。その理由として、文字や図形の製造が容易となり、且つ転写性に優れるため、10μm未満の単一構造を転写で実現可能となるためである。製造の容易化及び高転写性を有する理由は、Ptを主成分とすることで昇温速度0.67K/sで30K以上の過冷却液体温度域を有し、且つ、圧縮方向に対して非弾性領域が現れ、非弾性領域の開始点から破断に至るまでに少なくとも0.5%以上の塑性伸びを示すと共に、降伏応力(もしくは耐力)が少なくとも1000MPa以上を示すためである。なお、Pt 系の金属ガラスの組成(at%)としては、例えばPt 48.75、 Pd 9.75、Cu 19.5、P 22(Pt48.75Pd9.75Cu19.5P22合金)が挙げられる。
本実施形態に係る文字又は図形は種々変更可能であり、図1〜図5では平面方向に格子が形成されている文字又は図形1〜3を示しているが、図6に示すように格子5の少なくとも一部を、文字又は図形4の厚み方向(Z軸方向)の少なくとも一部に形成しても良い。図6では一例として、波形の格子5を、厚み方向において文字又は図形4の底部に形成した例を示す。なお、図6(a)は厚み方向の底部に格子5が形成された、アルファベットT形の文字又は図形4を模式的に示すと共に、図6(b)では格子5の見易さの確保という点から、図6(a)に示す格子5のみを実線で示し、格子5以外の箇所を破線で示している。厚み方向(Z軸方向)における格子5の高さtは、30μm以下に設定すれば良い。また、格子5の間隔dは10μm未満の範囲内に設定する。
このように、格子5を文字又は図形4の厚み方向に形成することにより、文字又は図形4を平面方向から見たとしても、文字又は図形4の平面には格子は無いため、目視により一見しただけでは格子5自体を発見することは不可能である。無論、文字や図形4を直接、真性品に形成することにより、真贋を見分ける物を、別途後付けする必要も無い。従って、真性品の何処に偽造防止対策を施しているのか、又は、何を以て偽造防止対策としているのか自体を判別困難にすることがより一層可能となり、偽造防止対策自体の模倣をできないようにさせ、より一層、真性品の偽造防止を高めることが可能となる。
更に格子5に光を入射させた場合、可視光領域の少なくとも1つ又は複数の波長を有する1次回折光が格子5から回折されて、文字又は図形4の側面から反射する。それらの回折反射光の有無を肉眼又はフォトダイオード等の受光素子やCCDカメラ等で判別することにより、構造体が施された文字又は図形であるか否かを容易に判別可能となる。よって、偽造業者に対しては構造体自体の発見を不可能にすると共に、文字又は図形が回折特性を有することで、真性品の製造業者等による真贋判定の作業は容易化することが可能となる。従って、真贋判定の容易化と偽造防止と云う、相反する2つの要求を両立させることが出来る。
なお、格子5の形成箇所は底部に限定されず、文字又は図形4の厚みの如何なる箇所に形成可能である。また、図6では文字又は図形4の一部の側面の底部のみに格子5を形成しているが、底部の半周又は全周に亘って格子を形成しても良い。
これら文字又は図形1〜4を、腕時計用の外装部品(文字盤や時計バンドのバックル等も含む)又はムーブメントの一部部品、或いはアクセサリー類の装身具(リング、ネックレス、イヤリング、ブレスレット等)、タグやファスナーに、押圧加工や刻印等で形成する。真性品そのものに偽造防止対策の構造体を直接、形成することにより、製品そのもので真贋を判定することが可能となり、偽造防止ラベルの貼り替えによる虚偽が防止され、信頼性の高い偽造防止効果を製品そのものに持たせることが可能となる。
次に図7〜図9を参照して、本発明に係る腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法を詳細に説明する。なお前述の説明と重複する説明は省略又は簡略化して記載する。まず、本発明の製造方法を実施するに当たっては、文字又は図形を被押圧材とし、更にその被押圧材に所定の格子を転写する転写用の金型と、その転写を行うための転写装置が必要となる。
転写用の金型は、所定の格子の形状が形成された金型である。金型には、得ようとする構造体の反転形状が形成される。前記のように格子は、図2に示すような波形の凹凸形状や、V字状の三角波形状(図3(a))又は矩形の凹凸形状(図3(b))が一定の間隔d、又は2つ以上の異なる間隔d1、d2で多数形成されて成る。従って、金型もそれに対応した凹凸形状を備える必要がある。図7に一例として、図2の波形に対応した凹凸形状を有する転写用の金型9を備えた転写装置6を示す。
文字又は図形に形成する格子に回折特性を持たせる場合、金型9の凹凸形状は、得ようとする1次回折光の波長や回折角度などの回折条件に基づいて設計、作製される。
この金型9をシリコン等で作製し、前記凹凸形状をシリコンの110面異方性エッチングにより形成する。シリコンの110面異方性エッチングにより形成した凹凸形状はその精度が高くしかもその面が鏡面になるという、格子の製造にとって極めて有利な特徴を有する。
腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーを、前述した金属ガラスで形成し、更にそれらの少なくとも一部に、文字又は図形7を形成する。文字又は図形7はバルク体で形成し、被押圧材とする。更に、文字又は図形のバルク体の材料には、前述のような金属ガラスを用いる。従って、文字又は図形7は金属ガラス製であることが好ましく、少なくとも格子が形成される箇所は金属ガラス製とする。
転写装置6は、熱間プレス及びプレス後の冷却が可能な装置とし、上型8と下型10を有する。この上型8に金型9を取り付け、下型10に被押圧材である文字又は図形7を載置し、これらの上下型8、10を押圧して、金型9の転写面形状(所定の格子形状)を、文字又は図形7に転写する。
次に、腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法を、図7〜図9に沿って更に詳細に説明する。まず図7に示すように、金型9の転写面が下型10側を向くように金型9を上型8に取り付ける。更に、被押圧材である文字又は図形7を少なくとも一部に形成した、腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーを、下型10に置く。腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーへの文字又は図形の形成は、押圧加工や刻印等で行う。転写が終了して、転写装置6から文字又は図形7を取り出した際に、文字又は図形の大きさH及び厚みTが所望のサイズとなっているように、格子の加工前に予め、押圧加工や刻印等で調整しておくのが好ましい。
金型9の転写面に形成される格子の間隔dは、前記の通り10μm未満の範囲内に設定される。
次に、文字又は図形7及び金型9を加熱する。文字又は図形7の加熱温度は、金属ガラスのガラス遷移温度以上で且つ結晶化温度以下の温度に設定する(加熱工程)。
非晶質相を主相とする金属ガラスの特性が損なわれる最も大きな要因としては、非晶質と見なされる相の結晶化が挙げられる。結晶化が開始されると共に、非晶質相(準安定相)から結晶相(安定相)への移行に伴う発熱が生じるが、このときの結晶化の駆動速度は極めて速く、瞬時に非晶質と見なされる相が消失する。そのため、文字又は図形7の加熱温度は、金属ガラスの結晶化温度以下に設定する必要がある。
また金属ガラスは、安定な過冷却液体温度域を有し、この過冷却液体温度域で完全ニュートン粘性流動を呈する非晶質合金である。過冷却液体温度域とは、結晶化温度Txとガラス遷移温度Tgとの差分ΔTx(=Tx−Tg)である。金属ガラスは、過冷却液体温度域においては低応力での粘性流動加工が可能であり、優れた微細成形特性(微細形状転写性)を有する。従って、過冷却液体温度域で金属ガラスを金型に押圧する転写成形によって、微細な格子を高精度で作製することが出来る。なおガラス遷移温度は、金属ガラスの種類によって相違する。例えば、Pt系のPt48.75Pd9.75Cu19.5P22合金は、ガラス遷移温度Tg=502.3K、結晶化温度Tx=587.7K、過冷却液体温度域ΔTx=85.4Kである。
なお、文字又は図形7及び金型9の加熱方法は特に限定されず、例えば上下型8、10を赤外線ヒータ等で加熱することが出来る。また、酸化し易い金属ガラスの場合には、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中、又は真空中で加熱するのが好ましい。
次に図8に示すように、文字又は図形7及び金型9の加熱温度を保ったまま上型8を引き下げて行く。上型8下がりきったところ(金型9の転写面形状の全面が、文字又は図形体7の表面上又は金属ガラスに押圧され、転写される位置)で、所定の加重をかけて所定の時間保持する(転写工程)。この加重及び時間は、例えば30〜60MPの加重を、1分〜3分程度加える。このようにして格子を、文字又は図形の少なくとも一部に転写する。
続いて、文字又は図形7及び金型9を冷却して、金型9の押圧を解除する。文字又は図形に使用している金属ガラスのガラス遷移温度より低い温度で、文字又は図形7が転写された形状を保持出来る温度となった時に、上型8を上方に引き上げて下型10から引き離す(離型工程)。このようにして、冷却時の熱収縮による金属ガラスの金型9への食いつきを最小限に抑えることが出来る。なお上型8は、金型9が完全に文字又は図形7から離れるまで引き上げるのが良い。また、冷却方法は特に限定されず、例えば上下型8、10を窒素ガスなどで冷却すれば良い。
更に、文字又は図形7を引き続き冷却して常温状態とし(冷却工程)、最後に、上型8を完全に引き上げて、文字又は図形7を転写装置6の下型10から取り出す。
以上のように、本実施の形態の製造方法に依れば、所定の格子を一回の転写成形で、文字又は図形に形成することが出来るため、低コストで量産性に優れた本発明に係る腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法を実現することが可能となる。
更に転写により、再現性良く格子を文字又は図形に形成出来るので、高品質に格子を製造することが出来る。従って、格子を別材料で模倣製造したとしても、格子表面の品質(製造ばらつき及び精度)を比較することにより、模倣品との違いを即座に見分けることが可能となる。
上記実施の形態では、金型9がシリコンの110面異方性エッチングにより形成されたものを利用した。しかし金型9の転写面形状は、ステンレス鋼のダイヤモンドカッターを使った切削、又は石英ガラスのイオンエッチング、イオンミリング、或いは収束イオンビーム加工などにより形成しても良い。
上記実施の形態では、所定の格子を転写により形成する製造方法を一例として説明した。しかし、その他にも鋳造法としてダイカスト(die casting)又は射出成形により、所定の格子を形成しても良い。ダイカスト又は射出成形により格子を形成する場合は、最初に、前述した所定の格子の形状と、文字又は図形の形状が形成された金型を用意する。更に、バルク体材料として前記何れかの金属ガラスを溶融し、その金型に溶融した前記金属ガラスを流し込み、冷却する。このようにして、文字又は図形の少なくとも一部に、所定の格子を形成する。なお本発明では射出成形を鋳造の一種と見なし、更に射出成形が、溶融した金属ガラスを用いる製造方法を含むものと定義する。
ダイカスト又は射出成形においても、金型に形成される格子の間隔dは、前記の通り10μm未満の範囲内に設定されることが好ましい。
更に、溶融した金属ガラスの温度は融点以上とする。なお、金属ガラスの溶融方法は特に限定されない。一方、射出成形でも溶融した金属ガラスの温度は融点以上とする。
以上のようにダイカスト又は射出成形に依れば、所定の格子を一回の成形で文字又は図形と共に形成することが出来るため、低コストで量産性に優れた本発明に係る文字又は図形の製造方法を実現することが可能となる。
更に鋳造により、再現性良く格子を文字又は図形に形成出来るので、高品質に格子を製造することが出来る。従って、格子を別材料で模倣製造したとしても、格子表面の品質(製造ばらつき及び精度)を比較することにより、模倣品との違いを即座に見分けることが可能となる。
なお金属ガラスの溶融時からの体積収縮を抑えるために、成形時には300℃/秒以上の冷却速度で冷却凝固させることが好ましい。更に好ましい冷却速度は104℃/秒以上である。但し、成形時の冷却速度が107℃/秒を超えると、溶融した金属ガラスが金型に十分に充填される前に凝固し始めるため、充填不良となりやすい。その結果、表面粗度や寸法精度が著しく低下してしまう。このため成形時の冷却速度は、300℃/秒以上(より好ましくは104℃/秒以上)且つ107℃/秒以下に設定することが好ましい。
更に他の製造方法として、文字又は図形を形成後、その文字又は図形の少なくとも一部にフェムト秒レーザを走査及び照射して、文字又は図形を形成するバルク体の一部をアブレーションし、所定の格子を形成しても良い。
本発明に用いるフェムト秒レーザは、金属ガラスの加工閾値以上のレーザ強度を有する必要がある。具体的には、パルス幅が150fs〜1psで、繰返し周波数が1kHz〜300kHz、波長780nm〜800nm、平均出力1W前後のものが使用可能である。
更に、1ps以下のパルス幅を持つパルスレーザが好ましい。その理由として、パルス幅の短いレーザは10TW/cm以上のレーザ強度を有しており、文字又は図形を形成するバルク体のアブレーションを引き起こすことがより容易に出来るためである。
なお、図6に示すように格子の少なくとも一部を、文字又は図形の厚み方向の少なくとも一部に形成する場合、格子5の凹凸形状を有する厚さtの金型を形成して、その金型を文字又は図形の厚み方向の少なくとも一部である側面に押圧して、転写により格子5を形成しても良い。
又は、格子の形状が、文字又は図形の形状の厚み方向の少なくとも一部に形成された金型を用意すると共に、バルク体材料である前記金属ガラスを溶融し、その金型に溶融した金属ガラスを流し込み、鋳造により、文字又は図形の厚み方向の少なくとも一部に、格子5を形成しても良い。
或いは、前記フェムト秒レーザを文字又は図形の所望の側面位置に照射することにより、格子5を形成しても良い。何れの形成方法でも、簡単に低コストで量産性良く格子5を作製出来る。
また格子の溝の間隔dを、527nm以上1217nm以下の範囲内に設定して、転写、鋳造、又はフェムト秒レーザの照射により、本発明に係る文字又は図形を製造しても良い。このように文字又は図形を製造することにより、真贋判定の容易化と偽造防止という、相反する2つの要求を両立させた文字又は図形を、低コストで量産性良く作製することが可能となる。
また1020nm、784nm、又は659nmの何れかの、少なくとも2つ以上の異なる間隔dの溝を有する格子を、転写、鋳造、又はフェムト秒レーザの照射により、文字又は図形に形成しても良い。このように文字又は図形を製造することにより、三原色である赤・緑・青(RGB)の何れかの波長を有する二色以上の光を鮮明に回折させ、真贋判定の作業をより容易化可能となる文字又は図形を、低コストで量産性良く作製することが可能となる。
また2つ以上の異なる溝角度θ1及びθ2で以て、文字又は図形に格子を転写、鋳造、又はフェムト秒レーザの照射により形成しても良い。このように文字又は図形を製造することにより、より一層、真性品の偽造防止を高めた文字又は図形を、低コストで量産性良く作製することが可能となる。
また金属ガラスを、Ptを主成分とする金属ガラスとして、文字又は図形に格子を転写、鋳造、又はフェムト秒レーザの照射により形成しても良い。このように文字又は図形を製造することにより、文字や図形をより容易に、低コストで量産性良く作製することが可能となる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
本実施例に係る腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーに形成される文字又は図形は、金属ガラス製のバルク体で形成し、X軸−Y軸平面方向から見たときにアルファベットのI形に成形した。アルファベットの高さ方向の大きさHは2mmに設定すると共に、Z軸方向における厚みTは1mmに設定した。
金属ガラスは、Pt 系の金属ガラスであり、組成(at%)はPt 48.75、Pd 9.75、Cu 19.5、P 22(Pt48.75Pd9.75Cu19.5P22合金)とした。
格子として、図2(b)に示すような波形の格子を形成した。格子は図1に示すように、平面部に面方向に亘って形成した。格子の各溝の深さhは270nmとし、格子は図1に示すようにX軸に平行となるように直接、アルファベットに形成した。
試料として、格子の各凹凸の頂部又は溝の間隔dをそれぞれ、1020nm、784nm、659nmに設定した3つの試料を作製した。各格子の作製は同一の転写装置を用いて行った。金型はシリコンで作製し、転写面の凹凸形状をシリコンの110面異方性エッチングにより形成した。
作製した3つの試料をそれぞれ、X軸−Y軸平面方向から原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)で観察したところ、それぞれ頂部どうしの間隔が1020nm、784nm、659nmで作製されていることが確認された。
更に、3つの試料に光をX軸−Y軸平面方向から照射させ、格子からの1次回折光(m=1)の有無をCCDカメラで観察したところ、波長λが696nm、535nm、449nmのRGB光が観察された。
1、2、3、4、7 文字又は図形
5 格子
6 転写装置
8 転写装置の上型
9 金型
10 転写装置の下型
d、d1、d2 頂部又は溝の間隔
h 溝の深さ
H 文字又は図形の高さ方向の大きさ
T 文字又は図形の厚み
t 格子の高さ

Claims (12)

  1. ガラス質金属単相を含む金属ガラス、昇温速度0.67K/sで30K以上の過冷却液体温度域を有するガラス質金属単相を含む金属ガラス、100nm以下の粒径を有する結晶を含む金属ガラス、或いはガラス質金属組織を体積率で50%以上含む金属ガラスの何れかから成る文字又は図形が形成され、
    文字又は図形の少なくとも一部に格子が形成され、
    格子の溝の間隔が10μm未満の範囲内に設定されていることを特徴とする、腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナー。
  2. 前記格子の前記溝の間隔が、527nm以上1217nm以下の範囲内に設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナー。
  3. 前記格子の前記溝が、2つ以上の異なる前記間隔を有しており、
    前記間隔が1020nm、784nm、又は659nmの何れかの、少なくとも2つ以上の異なる間隔であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナー。
  4. 前記格子の前記溝が、更に、2つ以上の異なる溝角度を有することを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナー。
  5. 前記金属ガラスが、Ptを主成分とすることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナー。
  6. 前記格子の少なくとも一部が、前記文字又は前記図形の厚み方向の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナー。
  7. 腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーを、ガラス質金属単相を含む金属ガラス、昇温速度0.67K/sで30K以上の過冷却液体温度域を有するガラス質金属単相を含む金属ガラス、100nm以下の粒径を有する結晶を含む金属ガラス、或いはガラス質金属組織を体積率で50%以上含む金属ガラスの何れかで形成すると共に、
    腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの少なくとも一部に、文字又は図形を形成し、
    文字又は図形の形成後、更に溝の間隔を10μm未満の範囲内に設定した格子の形状が形成された金型を用意し、
    次に、文字又は図形を加熱し、
    更に、金型を文字又は図形に押圧して、格子を文字又は図形の少なくとも一部に転写し、
    転写後に文字又は図形を冷却して金型の押圧を解除し、金型を文字又は図形から離型し、
    更に文字又は図形を冷却するか、
    又は格子の形状と、文字又は図形の形状が形成された金型を用意すると共に、金属ガラスを溶融し、
    その金型に溶融した金属ガラスを流し込み、鋳造により文字又は図形の少なくとも一部に、溝の間隔10μm未満の範囲内で格子を形成することを特徴とする、腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法。
  8. 前記格子の前記溝の間隔を、527nm以上1217nm以下の範囲内に設定することを特徴とする、請求項7に記載の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法。
  9. 前記格子の前記溝として、1020nm、784nm、又は659nmの何れかの、少なくとも2つ以上の異なる前記間隔を形成することを特徴とする、請求項7又は8に記載の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法。
  10. 前記格子の前記溝に、更に、2つ以上の異なる溝角度を形成することを特徴とする、請求項7〜9の何れかに記載の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法。
  11. 前記金属ガラスを、Ptを主成分とする金属ガラスとすることを特徴とする、請求項7〜10の何れかに記載の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法。
  12. 前記金型による押圧を、前記文字又は前記図形の厚み方向の少なくとも一部に施すか、
    又は、前記格子の形状が、前記文字又は前記図形の形状の厚み方向の少なくとも一部に形成された前記金型を用意すると共に、前記金属ガラスを溶融し、その前記金型に溶融した前記金属ガラスを流し込み、鋳造により前記文字又は前記図形の厚み方向の少なくとも一部に、前記格子を形成することを特徴とする、請求項7〜11の何れかに記載の腕時計用の外装部品かムーブメント、装身具、タグ、又はファスナーの製造方法。
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