本発明の実施の形態は、太陽電池を商用電力系統と並列に接続し、商用電源および太陽電池の両方から負荷へ電力を供給するとともに、蓄電池を充電する配電システムに関する。このような配電システムは、例えば商業施設、公共施設、オフィスビル、マンションなどへの設置に適している。電力会社が時間帯別電気料金制度を採用している場合、夜間の時間帯の電気料金は、昼間の時間帯の電気料金よりも安く設定される。これらの時間帯の一例として、昼間の時間帯は7時から23時であり、夜間の時間帯は23時から翌日の7時というように規定される。このような低い電気料金を有効に利用するために、配電システムは、夜間の時間帯に、商用電源からの電力によって蓄電池に蓄電する。
蓄電池に蓄えられた電力は、商用電源が停電したときに、エレベータやサーバなどの重要な機器を動作させるためのバックアップ電源として用いられる。さらに蓄電池は、一般に電気の使用量が大きくなる昼間の時間帯において放電することによって、昼間の商用電力における使用量の最大値を下げる、いわゆるピークシフトとしても用いられる。
このように、蓄電池は特定の負荷のバックアップとしての役割と、ピークシフトとしての役割の二つの役割を持つ。実施の形態に係る配電システムは、蓄電池に上述の二つの役割を果たさせるために、商用電源が通電中の通常時には蓄電池に一定の蓄電量を確保しつつピークシフトを実行し、商用電源が停電の場合には、蓄電池を放電して特定の負荷に電力を供給する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る配電システム50の構成を示す図である。実施の形態1に係る配電システム50は負荷70に電力を供給するためのシステムである。当該配電システム50は、複数の蓄電システム10、第1検出器20、第2検出器30、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、分電盤40を備える。図1に示す例では配電システム50は、複数の蓄電システム10として第1蓄電システム10aおよび第2蓄電システム10bの二つを備える。なお三つ以上の蓄電システム10を備えてもよい。
図2は、本発明の実施の形態1に係る配電システム50に含まれる第1蓄電システム10aおよび第2蓄電システム10bの構成を示す図である。以下の説明では第1蓄電システム10aと第2蓄電システム10bは同じ蓄電システムであるとし、第1蓄電システム10aをマスタ、第2蓄電システム10bをスレーブとする。
第1蓄電システム10aは第1蓄電池11a、第1双方向インバータ12a、第13スイッチSW3a、第1太陽電池13a、第1制御装置14aを備える。第1制御装置14aは第1制御部15a、第1蓄電池管理部16aを含む。同様に、第2蓄電システム10bは、第2蓄電池11b、第2双方向インバータ12b、第23スイッチSW3b、第2太陽電池13b、第2制御装置14bを備える。第2制御装置14bは第2制御部15b、第2蓄電池管理部16bを含む。第1太陽電池13aおよび第2太陽電池13bは再生可能エネルギー発電装置の一例である。
以下、図1、図2を参照しながら実施の形態1に係る配電システム50を詳細に説明する。負荷70は、第1種負荷71および第2種負荷72に分類される。両者とも交流電力で駆動される機器である。第1種負荷71は、停電時に第1蓄電池11aおよび第2蓄電池11bから優先的に電力供給を受けることができる予め設定された特定負荷である。例えばエレベータ、サーバなどが該当する。第2種負荷72は一般負荷である。第2種負荷72は停電時には基本的に、第1蓄電池11aおよび第2蓄電池11bからバックアップ電源の供給を受けることができない。このように負荷70に優先順位をつけることにより、停電時に、蓄電池に蓄積された限られた電力を効果的に使用できる。
商用電源60は電力会社から供給される系統電源である。分電盤40は系統に接続されるとともに、第1スイッチSW1を介して第1双方向インバータ12aおよび第2双方向インバータ12bに接続される。より具体的には第1双方向インバータ12aの交流側端子と第2双方向インバータ12bの交流側端子が結合される第1ノードN1に接続される。
分電盤40は系統から引き込んだ交流電力を構内の負荷70に供給する。また分電盤40は、第1双方向インバータ12a若しくは第2双方向インバータ12bを介して第1太陽電池13a若しくは第2太陽電池13bからの発電電力、第1蓄電池11a若しくは第2蓄電池11bからの放電電力、またはそれらの任意の合成電力を受ける。分電盤40は、その電力と系統からの電力を合成して負荷70に供給することもできる。
第1スイッチSW1は、分電盤40と第1ノードN1との間に設けられる。第2スイッチSW2は、第1種負荷71の入力端子の接続先を、分電盤40と第1スイッチSW1の間の第2ノードN2に接続するか、第1ノードN1と第1スイッチSW1の間の第3ノードN3に接続するか切り替える。第1スイッチSW1および第2スイッチSW2は第1制御部15aにより制御される。
負荷70に系統電力のみが供給される場合、第1制御部15aは第1スイッチSW1をオフに制御し、第2スイッチSW2を第2ノードN2側に接続させる。負荷70に系統電力と第1蓄電システム10aおよび/または第2蓄電システム10bからの電力が合成されて供給される場合、第1制御部15aは第1スイッチSW1をオンに制御し、第2スイッチSW2を第2ノードN2側に接続させる。停電時は、第1制御部15aは第1スイッチSW1をオフに制御し、第2スイッチSW2を第3ノードN3側に接続させる。
第1太陽電池13aおよび第2太陽電池13bは、光起電力効果を利用し、光エネルギーを直接電力に変換する発電装置である。第1太陽電池13aおよび第2太陽電池13bとして、シリコン太陽電池、さまざまな化合物半導体などを素材にした太陽電池、色素増感型(有機太陽電池)などが使用される。第1太陽電池13aは、第13スイッチSW3aを介して第1双方向インバータ12aと第1蓄電池11aとの間の第14ノードN4aに接続される。第2太陽電池13bは、第23スイッチSW3bを介して第2双方向インバータ12bと第2蓄電池11bとの間の第24ノードN4bに接続される。
第1双方向インバータ12aおよび第2双方向インバータ12bは、交流側端子から入力される交流電力を直流電力に変換して直流側端子に出力するとともに、直流側端子から入力される直流電力を交流電力に変換して交流側端子に出力する。第1双方向インバータ12aおよび第2双方向インバータ12bの交流側端子に入力される交流電力は商用電源60から供給される。第1双方向インバータ12aの直流側端子に入力される直流電力は、第1蓄電池11aまたは第1太陽電池13aから供給される。同様に第2双方向インバータ12bの直流側端子に入力される直流電力は、第2蓄電池11bまたは第2太陽電池13bから供給される。
本実施の形態では第1双方向インバータ12aおよび第2双方向インバータ12bはそれぞれ、三相交流インバータで構成され、三相交流インバータを構成する各スイッチング素子はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)で構成される。各三相交流インバータは、第1制御部15aおよび第2制御部15bによりそれぞれPWM(pulse width modulation)制御される。
第13スイッチSW3aは、第1太陽電池13aと第14ノードN4aとの間に設けられ、第1制御部15aにより制御される。第23スイッチSW3bは、第2太陽電池13bと第24ノードN4bとの間に設けられ、第2制御部15bにより制御される。第1太陽電池13aおよび第2太陽電池13bの発電量は太陽光の量によって左右されるため、発電量を制御することは困難である。第13スイッチSW3aおよび第23スイッチSW3bを設けることにより、第1太陽電池13aまたは第2太陽電池13bの発電電力により第1蓄電池11aまたは第2蓄電池11bが過充電されることを防止できる。
第1蓄電池11aおよび第2蓄電池11bは、充放電自在で繰り返し使用できる二次電池である。第1蓄電池11aおよび第2蓄電池11bは例えば、多数のリチウムイオン電池セルを内蔵する電池パックが複数組み合わされて形成される。具体的には複数の電池パックは直並列接続され、直列単位でスイッチングユニットにより接続/切断制御される。
第1蓄電池11aは第14ノードN4aに接続される。第1蓄電池11aは基本的に、第1双方向インバータ12aによって直流電力に変換された系統電力によって充電される。また第1太陽電池13aが発電した電力によっても充電される。第1蓄電池11aは、第1双方向インバータ12aによって直流電力から交流電力に変換された放電電力を負荷70に供給する。特に停電時、第1種負荷71に供給する。
第1蓄電池11aを構成する各電池パックは、図示しない電流センサ、電圧センサ、温度センサを内蔵する。各電池パックは、内蔵する各電池セルの電流、電圧、温度を常時監視し、監視データを第1蓄電池管理部16aに送信する。第1蓄電池11aと第1蓄電池管理部16aは、光ファイバで構成されるLANケーブルまたはRS−232Cケーブルにより接続され、両者の間で通信される。以上の第1蓄電池11aに関する説明は、第2蓄電池11bにもあてはまる。
第1検出器20は、第1ノードN1と第2ノードN2の間に設けられる。即ち、商用電源60と、第1双方向インバータ12aおよび第2双方向インバータ12bとの間の経路に設けられる。第1検出器20は電流センサおよび電圧センサを含む。第1検出器20は、負荷70に供給される電流および電圧の値を検出して、第1制御部15aに通知する。停電時は、第1種負荷71に供給される電流および電圧の値を検出して、第1制御部15aに通知する。
第2検出器30は、第2双方向インバータ12bの交流側端子と第1ノードN1の間に設けられる。第2検出器30は電流センサおよび電圧センサを含む。第2検出器30は、第2双方向インバータ12bから第1ノードN1に流れ込む電流の値を検出して、第2制御部15bに通知する。また第1ノードN1の電圧の値を検出して、第2制御部15bに通知する。
第1検出器20と第1制御部15aは、光ファイバで構成されるLANケーブルまたはRS−232Cケーブルにより接続され、両者の間で通信される。同様に第2検出器30と第2制御部15bも、光ファイバで構成されるLANケーブルまたはRS−232Cケーブルにより接続され、両者の間で通信される。
なお第1検出器20および第2検出器30の両方が電圧センサを備える必要はなく、いずれか一方でもよい。その場合、電圧センサを備える検出器は、第1制御部15aおよび第2制御部15bの両方に、検出した電圧の値を通知する。
第1蓄電池管理部16aは、充放電指令および第1蓄電池11aから受信される監視データをもとに、第1蓄電池11aの充放電制御を行う。充電指令が発動された場合、第1蓄電池管理部16aは第1蓄電池11aのスイッチングユニットに、電池パックと、第1双方向インバータ12aにつながるバスとを接続させるよう指示する。それとともに第1制御部15aに、第1双方向インバータ12aにAC−DC変換させるよう指示する。放電指令が発動された場合、第1蓄電池管理部16aは当該スイッチングユニットに、電池パックと当該バスとを接続させるよう指示する。それとともに第1制御部15aに、第1双方向インバータ12aにDC−AC変換させるよう指示する。第1蓄電池管理部16aと第1制御部15aは、光ファイバで構成されるLANケーブルまたはRS−232Cケーブルにより接続され、両者の間で通信される。以上の第1蓄電池管理部16aに関する説明は、第2蓄電池管理部16bにもあてはまる。
第1蓄電池管理部16aと第2蓄電池管理部16bは、光ファイバで構成されるLANケーブルまたはRS−232Cケーブルにより接続され、両者の間で通信される。この通信にはイーサネット(登録商標)を利用できる。第1制御部15aは、第1蓄電池管理部16aおよび第2蓄電池管理部16bを介して第2制御部15bと通信できる。
第1双方向インバータ12aおよび第1制御部15aは双方向パワーコンディショナを構成する。同様に第2双方向インバータ12bおよび第2制御部15bも双方向パワーコンディショナを構成する。第1双方向インバータ12aおよび第2双方向インバータ12bは、商用電源60が通電中の場合は商用電源60の周波数に同期した周波数で動作し(系統連携運転)、商用電源60が停電中の場合は商用電源60の周波数と非同期の周波数で動作する(自立運転)。
第1制御部15aは第1蓄電システム10aおよび第2蓄電システム10bを含む配電システム50全体を制御する。第2制御部15bは第2蓄電システム10bを制御する。第1制御部15aは、第1太陽電池13aおよび/または第1蓄電池11aから負荷70に給電する際、系統連系運転モードと自立運転モードのいずれかを選択する。系統連系運転モードは、第1太陽電池13aおよび/または第1蓄電池11aが商用電源60と電気的に接続し、第1双方向インバータ12aが商用電源60に同期した電流を系統に流している運転状態をいう。この系統に流している電流は、商用電源60の周波数と同じ周波数で、規定値以上の高調波電流を含まない正弦波であり、力率が概略1(商用電源60の電圧と同じ位相)の電流である。
自立運転モードは、第1太陽電池13aおよび/または第1蓄電池11aが商用電源60と電気的に切り離された状態で、第1双方向インバータ12aが第1種負荷71に電力を供給している運転状態をいう。自立運転モードでは、第1双方向インバータ12a自体が規定の電圧および周波数で規定値以上の歪みのない正弦波の電圧を発生させる。
第1制御部15aは、第1太陽電池13aおよび/または第1蓄電池11aから負荷70に給電する際、商用電源60が停電していない場合は系統連系運転モードで運転し、商用電源60が停電している場合は自立運転モードで運転する。系統連系運転モードで運転する場合、第1制御部15aは第1スイッチSW1をオンに制御し、第2スイッチSW2の接続先を第2ノードN2側に制御する。それとともに第1双方向インバータ12aに、商用電源60と連系すべく商用電源60に同期した位相と周波数を設定する。自立運転モードで運転する場合、第1制御部15aは第1スイッチSW1をオフに制御し、第2スイッチSW2の接続先を第3ノードN3側に制御する。それとともに第1双方向インバータ12aに、商用電源60と独立した位相と周波数を設定する。
第2制御部15bも第1制御部15aと基本的に同様に動作するが、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2の制御はマスタの第1制御部15aが行う。またマスタの第1制御部15aは、停電時における第1蓄電システム10aと第2蓄電システム10bとの連携運転を制御する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る第1制御部15a、第2制御部15bの構成を示す図である。マスタに設定される第1蓄電システム10aの第1制御部15aは、第1駆動制御部151a、第1取得部152a、第1判定部153a、第1電流値算出部154a、指示部155a、目標値保持部158aを備える。スレーブに設定される第2蓄電システム10bは、第2駆動制御部151b、第2取得部152b、第2電流値算出部154b、指示受領部155b、目標値算出部158bを備える。
第1制御部15aおよび第2制御部15bのそれぞれの構成は、ハードウエア的には、任意のマイクロコンピュータ、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
なお図3に示す第1制御部15aおよび第2制御部15bのそれぞれの構成要素は、本明細書において注目する、停電時における第1蓄電システム10aと第2蓄電システム10bとの連携運転に必要な構成要素のみを描いている。したがって各種スイッチの制御などを行う構成要素は省略されている。
まずマスタの第1制御部15aを説明する。第1取得部152aは停電時、第1種負荷71に流れる電流の値を第1検出器20から取得する。また第1取得部152aは停電時、第1種負荷71に印加される電圧の値を第1検出器20または第2検出器30から取得する。
目標値保持部158aは、停電時に自立運転する際に第1双方向インバータ12aから出力されるべき交流電力の電圧および周波数を保持する。目標値保持部158aは、1周期分の各サンプリングポイントの目標電圧値をテーブルで保持してもよいし、その目標電圧値を算出するための数式を保持してもよい。サンプリングポイントは、例えば15[kHz]ごとに設定される。
第1駆動制御部151aは、停電時にて、予め設定された電圧および周波数の交流電力を系統側に供給するよう第1双方向インバータ12aを駆動制御する。この電圧および周波数は目標値保持部158aに保持される。本明細書では200[V]、60[Hz]の交流電圧を、第1双方向インバータ12aの交流側端子から出力するよう駆動制御する。
より具体的には、第1駆動制御部151aは、第1双方向インバータ12aを構成する三相交流インバータの各IGBTのゲート端子に印加する駆動電圧のデューティ比を調整する。停電時にて、第1種負荷71に印加される電圧が低下した場合、第1駆動制御部151aは駆動電圧のデューティ比を上げる。反対に第1種負荷71に印加される電圧が上昇した場合、第1駆動制御部151aは駆動電圧のデューティ比を下げる。このようなフィードバック制御により、第1駆動制御部151aは、第1種負荷71に印加される電圧の値が目標電圧値を維持するよう制御する。
第1判定部153aは、第1検出器20から取得される電流の値、および目標電圧値をもとに第1双方向インバータ12aの出力容量を算出する。第1判定部153aは、算出した出力容量と第1双方向インバータ12aの定格出力容量を比較し、前者が後者を超えるか否か判定する。
本明細書では第1双方向インバータ12aの定格出力容量を10[kVA]、第1種負荷71の容量を15[kVA]とする例を考える。以下、説明を簡単にするため、第1双方向インバータ12aおよび第1種負荷71の力率を無視して考える。このように本明細書では一つの蓄電システム10からの、定格出力容量の範囲内の電力供給では、第1種負荷71の容量を満たさない例を前提としている。したがって複数の蓄電システム10が連携して、第1種負荷71に電力供給する必要がある。
第1電流値算出部154aは、算出された第1双方向インバータ12aの出力容量が第1双方向インバータ12aの定格出力容量を超えるとき、第2蓄電システム10bから第1ノードN1へ出力すべき電流の値を算出する。本実施の形態ではマスタの第1蓄電システム10aから第1双方向インバータ12aの定格出力容量の電流を出力し、スレーブの第2蓄電システム10bから不足分の電流を出力する。上述の例では第1蓄電システム10aが10[kVA]を分担し、第2蓄電システム10bが5[kVA]を分担する。
なお上述の第1判定部153aによる出力容量の判定処理はスキップしてもよい。即ち第1電流値算出部154aは、停電発生を条件に第2蓄電システム10bから第1ノードN1へ出力すべき電流の値を算出する。この電流の値が負になる場合は、第1蓄電システム10aからの電力供給のみで第1種負荷71の容量を満たすことになる。
指示部155aは、第1蓄電池管理部16aおよび第2蓄電池管理部16bを介して第2制御部15bに、第1ノードN1に電流を出力するよう指示する。その際、第2蓄電システム10bが分担すべき電流の値を指示する。
次にスレーブの第2制御部15bを説明する。第2取得部152bは停電時、第1種負荷71に印加される電圧の値を第1検出器20または第2検出器30から取得する。また第2双方向インバータ12bから第1ノードA1に流れる電流の値を第2検出器30から取得する。即ち、第2蓄電システム10bの出力電流の値を取得する。
第2駆動制御部151bは、停電時にて、第1検出器20または第2検出器30から検出される電圧に同期した交流電圧を出力するよう第2双方向インバータ12bを駆動制御する。具体的には第2検出器30から検出される交流電圧の位相および周波数と同期した位相および周波数の交流電圧を第2双方向インバータ12bに生成させる。当該位相および周波数は、第1検出器20または第2検出器30から検出される電圧を時系列に観測することにより特定できる。例えば、ゼロクロス間の時間をカウントすることにより、第1双方向インバータ12aから出力される交流電圧の位相および周波数を特定できる。
指示受領部155bは、指示部155aから電流出力指令を受領する。その際、第2蓄電システム10bが分担すべき電流の値も受領する。その値は実効値で与えられる。目標値算出部158bは、指示受領部155bにより受領された電流の値と、上述の交流電圧の位相および周波数をもとに各時刻の目標電流値を算出する。目標値算出部158bは、1周期分の各サンプリングポイントの目標電流値を算出して、目標電流値テーブルを作成してもよいし、リアルタイムに各サンプリングポイントの目標電流値を算出し続けてもよい。サンプリングポイントは、例えば15[kHz]ごとに設定される。
第2駆動制御部151bは、各サンプリングポイントにおいて第2検出器30から検出される電流の値と、目標値算出部158bにより算出される対応するサンプリングポイントの目標電流値とが一致するよう第2双方向インバータ12bを駆動制御する。前者が後者より大きい場合、第2駆動制御部151bは、第2双方向インバータ12bを駆動するための駆動電圧のデューティ比を下げる。反対に前者が後者より小さい場合、第2駆動制御部151bは当該駆動電圧のデューティ比を上げる。このようなフィードバック制御により定電流出力を実現できる。
図4は、本発明の実施の形態1に係る配電システム50の動作を説明するためのフローチャートである。以下の本明細書のフローチャートでは、ステップS100番台の符号が付された処理は第1蓄電システム10aの処理を示し、ステップS200番台の符号が付された処理は第2蓄電システム10bの処理を示す。
図4のフローチャートに示す処理は、停電が発生してから第1種負荷71に、第1蓄電システム10aおよび第2蓄電システム10bの連携運転により、安定した電力を供給する状態になるまでの処理を示している。
停電が発生すると(S100のY)、マスタの第1駆動制御部151aは、自立運転モードにおける電圧および周波数を決定する(S110)。この電圧および周波数には予め設定された値を使用できる。本明細書では200[V]、60[Hz]を使用する。
第1駆動制御部151aは、その電圧および周波数の交流電力を第1種負荷71に供給するよう第1双方向インバータ12aを駆動制御する(S120)。これにより第1種負荷71への電力供給が開始される。
第1取得部152aは、第1検出器20から第1種負荷71に流れる電流の値を取得する(S130)。第1電流値算出部154aは、取得された電流の値と、第1双方向インバータ12aの定格出力容量の電流の値との差分を算出して、不足する電流の値を算出する(S140)。この不足する電流の値は、目標電圧値において第1双方向インバータ12aから、その定格出力容量の範囲内で最大電流を出力する場合に不足する電流の値である。第1種負荷71の容量が大きい場合、第1双方向インバータ12aの出力電圧が低下してくる。これに対して、第1駆動制御部151aがその出力電圧を維持するよう第1双方向インバータ12aを駆動制御するため、第1双方向インバータ12aの出力電流が増大する。その出力電流が上述の定格出力容量の範囲内の最大を超えると、上述の電流不足が発生する。
指示部155aは、算出された不足する電流の値を含む電流出力指示を、スレーブの第2制御部15bに指示する(S150)。スレーブの指示受領部155bは、マスタの指示部155aからの電流出力指示を取得する(S200)。第2取得部152bは第1検出器20または第2検出器30から、第1種負荷71に印加されている電圧の値を取得する(S210)。
第2駆動制御部151bは、第1検出器20または第2検出器30により検出された電圧波形に同期した電圧で、指示された電流を出力するよう第2双方向インバータ12bを駆動制御する(S220)。これにより第1蓄電システム10aからの電流と第2蓄電システム10bからの合成電流が第1種負荷71へ供給されるようになる。
第2取得部152bは第2検出器30から、第2双方向インバータ12bから第1ノードN1に流れ込む電流の値を取得する(S230)。第2駆動制御部151bは、取得された電流の値が目標電流値と一致するか否か判定し(S240)、一致しない場合(S240のN)、両者が一致するよう第2双方向インバータ12bの駆動電圧のデューティ比を調整し(S250)、ステップS230に遷移する。なお当該目標電流値は、上述の電流出力指示に含まれる電流の値と、第1検出器20または第2検出器30により検出された電圧の位相および周波数をもとに目標値算出部158bにより算出される。
第2駆動制御部151bにより両者が一致すると判定された場合(S240のY)、マスタの第1取得部152aは第1検出器20または第2検出器30から、第1種負荷71に印加されている電圧の値を取得する(S170)。
第1判定部153aは、第1検出器20または第2検出器30により検出された電圧の値から、第1種負荷71の要求を満たしているか否か判定する(S180)。検出された電圧の値が、上述の目標電圧値と一致していれば第1種負荷71の要求を満たしていることになる。両者が一致しなければ第1種負荷71の要求を満たしていないことになる。第2蓄電システム10bから追加される電流が不足している場合、検出された電圧の値が、目標電圧値より低くなる。
第1種負荷71の要求を満たしていない場合(S180のN)、ステップS130に遷移し、ステップS130からステップS170までの処理を繰り返す。第1種負荷71の要求を満たしている場合(S180のY)、停電発生時の第1蓄電システム10aと第2蓄電システム10bとの連携による、停電時の自立運転制御の一単位を終了する。その後も第1種負荷71の容量が変動する度に、この自立運転制御が繰り返される。
以上説明したように実施の形態1によれば、停電時にマスタの第1蓄電システム10aが不足する電流の値を計算して、スレーブの第2蓄電システム10bにその値の電流出力を指示する。これにより、停電時に複数の蓄電システムを効率的に連携運転させることができる。またマスタの第1蓄電システム10aの定格を超えないように運転されるため、安全性が高い。このような複数の蓄電システムの連携運転が可能になると、小型または中型の蓄電システムで、小規模な第1種負荷71から大規模な第1種負荷71まで対応可能になる。既存の蓄電システムへの増設も容易になり、蓄電システム全体の規模を柔軟に調整できる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る配電システム50の構成を示す図である。実施の形態2に係る配電システム50は、実施の形態1に係る配電システム50に第3検出器35が追加された構成である。以下、実施の形態1に係る配電システム50と共通する説明は適宜省略し、相違点を説明する。
第3検出器35は、第1蓄電システム10aの第1双方向インバータ12aの交流側出力端子と第1ノードN1との間に設けられる。第3検出器35は電流センサおよび電圧センサを含む。第3検出器35は、第1双方向インバータ12aから第1ノードN1に流れ込む電流の値を検出して、第1制御部15aに通知する。また第1ノードN1の電圧の値を検出して、第1制御部15aに通知する。
第3検出器35と第1制御部15aは、光ファイバで構成されるLANケーブルまたはRS−232Cケーブルにより接続され、両者の間で通信される。なお第1検出器20、第2検出器30および第3検出器35の全てが電圧センサを備える必要はなく、いずれか一つが備えるのみでよい。例えば、第1検出器20のみが電圧センサを備える場合、第1検出器20は第1制御部15aおよび第2制御部15bの両方に、検出した電圧の値を通知する。
実施の形態2では目標値保持部158aは、停電時に自立運転する際に第1双方向インバータ12aから出力されるべき交流電力の電圧および周波数に対応する電流の値をさらに保持する。目標値保持部158aは、1周期分の各サンプリングポイントの目標電流値をテーブルで保持してもよいし、その目標電流値を算出するための数式を保持してもよい。
実施の形態2では第1駆動制御部151aは、第2蓄電システム10bに電流出力を指示する前は第1双方向インバータ12aを定電圧駆動し、その指示をした後は第1双方向インバータ12aを定電流駆動する。定電圧駆動する場合、第1駆動制御部151aは、各サンプリングポイントにおいて第1検出器20などから検出される電圧の値と、対応するサンプリングポイントの目標電圧値とが一致するよう第1双方向インバータ12aを駆動制御する。定電流駆動する場合、第1駆動制御部151aは、各サンプリングポイントにおいて第3検出器35から検出される電流の値と、対応するサンプリングポイントの目標電流値とが一致するよう第1双方向インバータ12aを駆動制御する。
実施の形態2では、第1電流値算出部154aは、第1検出器20から取得される電流の値を、第1ノードN1に接続される蓄電システム10の数で按分して個々の蓄電システム10から第1ノードN1へ出力すべき電流の値を算出する。第1ノードN1にM(自然数)個の蓄電システムが接続される場合、第1電流値算出部154aは当該電流の値を1/Mにする。本実施の形態では第1ノードN1に、第1蓄電システム10aと第2蓄電システム10bの二つが接続される。したがって、第1電流値算出部154aは当該電流の値を1/2にする。上述の例では第1蓄電システム10aが7.5[kVA]を分担し、第2蓄電システム10bが7.5[kVA]を分担する。なお、第1ノードN1に接続される蓄電システム10の数は、第1制御装置14aに予め記憶されていてもよいし、個々の蓄電システム10から第1ノードN1へ出力すべき電流の値を算出する際に検出してもよい。
実施の形態2では第1判定部153aは第1制御部15aの必須要素ではない。実施の形態2では第1検出器20から検出される電流の値にかかわらず、第1電流値算出部154aはその値を、第1ノードN1に接続される蓄電システムの数で按分する。なお実施の形態1と同様に、第1判定部153aは、第1検出器20から取得される電流の値をもとに第1双方向インバータ12aの出力容量を算出し、算出した出力容量と第1双方向インバータ12aの定格出力容量を比較してもよい。前者が後者を超える場合のみ、第1電流値算出部154aは上述の按分処理を行う。
指示部155aは、第1蓄電池管理部16aおよび第2蓄電池管理部16bを介して第2制御部15bに、第1ノードN1に電流を出力するよう指示する。その際、第2蓄電システム10bが分担すべき電流の値を指示する。
図6は、本発明の実施の形態2に係る配電システム50の動作を説明するためのフローチャートである。図6のフローチャートは、図4のフローチャートと比較し、ステップS140およびステップS150の処理がステップS141およびステップS151の処理にそれぞれ置き換えられ、ステップS161、ステップS162およびステップS163の処理が追加されたものである。
図6のステップS100からステップS130までの処理は、図4のそれらの処理と同じである。第1電流値算出部154aは、第1検出器20から取得される電流の値を、第1ノードN1に接続される蓄電システムの数で按分する(S141)。
指示部155aは、スレーブの第2蓄電システム10bが分担すべき電流の値を含む電流出力指示を、第2制御部15bに指示する(S151)。本実施の形態では第1ノードN1に、第1蓄電システム10aと第2蓄電システム10bの二つが接続されるため、第1検出器20により検出された電流の値の半分を出力するよう第2制御部15bに指示する。ステップS200からステップS240までの処理は、図4のそれらの処理と同じである。
第2駆動制御部151bにより第2検出器30から取得された電流の値と目標電流値が一致すると判定された場合(S240のY)、マスタの第1取得部152aは、第1双方向インバータ12aから第1ノードN1に流れ込む電流の値を第3検出器35から取得する(S161)。第1駆動制御部151aは、取得された電流の値が目標電流値と一致するか否か判定し(S162)、一致しない場合(S162のN)、両者が一致するよう第1双方向インバータ12aの駆動電圧のデューティ比を調整する(S163)。なお当該目標電流値は、目標値保持部158aに保持されている。なお数式をもとにリアルタイムに算出されてもよい。ステップS180の処理は、図4のステップS180の処理と同じである。
以上説明したように実施の形態2によれば、停電時に第1種負荷71に給電可能な蓄電システム10の数で、第1種負荷71に供給すべき電流の値を按分する。そして各蓄電システムから第1種負荷71にそれぞれが分担すべき電流を並列に供給する。これにより、上述の実施の形態1に係る効果に加えて以下の効果を奏する。配電システム50に含まれる複数の蓄電システム10のそれぞれの蓄電池11の使用量を平準化できる。したがって各蓄電システム10の蓄電池11の寿命を平準化できる。また蓄電システム10の切替をせずに、第1種負荷71に長時間電力供給できる。また三つ以上の蓄電システム10の連携運転が容易である。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る配電システム50を説明する。実施の形態3に係る配電システム50は、図5の実施の形態2に係る配電システム50の構成と同じである。以下、実施の形態2に係る配電システム50と共通する説明は適宜省略し、相違点を説明する。
実施の形態3では第1電流値算出部154aは、第1ノードN1に接続される複数の蓄電システム10のそれぞれの蓄電池11における残容量の比率に応じて、個々の蓄電システム10から出力すべき電流の値を算出する。本実施の形態では第1蓄電池管理部16aは、第1蓄電池11aの残容量を取得する。第1蓄電池管理部16aは取得した残容量を第1制御部15aに通知する。第2蓄電池管理部16bは、第2蓄電池11bの残容量を取得する。第2蓄電池管理部16bは、取得した残容量を第1蓄電池管理部16aを介して第1制御部15aに通知する。第1蓄電池11aと第2蓄電池11bの容量が等しい場合、第1蓄電池管理部16aおよび第2蓄電池管理部16bは、残容量をSOC(State of. Charge)で表すことができる。
第1電流値算出部154aは、第1蓄電池11aと第2蓄電池11bとのSOC比で、第1蓄電システム10aから流すべき電流と、第2蓄電システム10bから流すべき電流の比を算出する。例えば、第1蓄電池11aのSOCが60%、第2蓄電池11bのSOCが30%の場合、第1電流値算出部154aは、第1蓄電システム10aから流すべき電流と第2蓄電システム10bから流すべき電流の比を2:1に決定する。上述の例では第1蓄電システム10aが10[kVA]を分担し、第2蓄電システム10bが5[kVA]を分担する。
実施の形態3でも実施の形態2と同様に、第1判定部153aは第1制御部15aの必須要素ではない。実施の形態3では第1検出器20から検出される電流の値にかかわらず、第1電流値算出部154aはその値を、残容量の比率で分配する。なお実施の形態1と同様に、第1判定部153aは、第1検出器20から取得される電流の値をもとに第1双方向インバータ12aの出力容量を算出し、算出した出力容量と第1双方向インバータ12aの定格出力容量を比較してもよい。前者が後者を超える場合のみ、第1電流値算出部154aは上述の分配処理を行う。
指示部155aは、第1蓄電池管理部16aおよび第2蓄電池管理部16bを介して第2制御部15bに、第1ノードN1に電流を出力するよう指示する。その際、第2蓄電システム10bが分担すべき電流の値を指示する。
図7は、本発明の実施の形態3に係る配電システム50の動作を説明するためのフローチャートである。図7のフローチャートは、図6のフローチャートと比較し、ステップS142が追加され、ステップS141がステップS143に置き換えられたものである。
図7のステップS100からステップS130までの処理は、図6のそれらの処理と同じである。第1ノードN1に接続される各蓄電システム10の蓄電池管理部16は、各蓄電システム10の蓄電池11の残容量を取得する(S142)。取得された残容量は、第1制御部15aに伝達される。第1電流値算出部154aは、第1検出器20により検出された電流の値を、第1ノードN1に接続される各蓄電システムの残容量の比率で分配する(S143)。以下、図7のステップS151からステップS180までの処理は、図6のそれらの処理と同じである。
以上説明したように実施の形態3によれば、停電時に第1種負荷71に給電可能な複数の蓄電システム10がそれぞれ備える蓄電池11の残容量の比率に応じて、第1種負荷71に供給すべき電流の値を分配する。そして各蓄電システム10から第1種負荷71にそれぞれ分担すべき電流を供給する。これにより、上述の実施の形態1に係る効果に加えて以下の効果を奏する。配電システム50に含まれる複数の蓄電システム10のそれぞれの蓄電池11の放電終了時刻を合せることができる。また蓄電システム10の切替をせずに、第1種負荷71に長時間電力供給できる。また三つ以上の蓄電システム10の連携運転が容易である。
(実施の形態4)
図8は、本発明の実施の形態4に係る配電システム50の構成を示す図である。実施の形態4に係る配電システム50は、実施の形態1に係る配電システム50の第1蓄電システム10aと第2蓄電システム10bが通信線で接続されない構成である。以下、実施の形態1に係る配電システム50と共通する説明は適宜省略し、相違点を説明する。
図9は、本発明の実施の形態4に係る第1制御部15a、第2制御部15bの構成を示す図である。マスタに設定される第1蓄電システム10aの第1制御部15aは、第1駆動制御部151a、第1取得部152a、目標値保持部158aを備える。スレーブに設定される第2蓄電システム10bは、第2駆動制御部151b、第2取得部152b、第2判定部153b、第2電流値算出部154b、マスタ情報保持部157b、目標値算出部158bを備える。
実施の形態4では停電時に、マスタの第1制御部15aからスレーブの第2制御部15bに電流出力指示を通知しない。したがって、その指示を通知する指示部155a、スレーブの第2蓄電システム10bから出力すべき電流の値を算出する第1電流値算出部154aは省略される。また実施の形態4では第1蓄電システム10aからの電力のみで第1種負荷71の容量を満たすか否かをマスタで判定しないため、第1判定部153aも省略される。実施の形態4ではこの判定は、スレーブの第2蓄電システム10bで行われる。第1駆動制御部151a、第1取得部152a、目標値保持部158aの動作は、実施の形態1のそれらと同様である。
実施の形態4ではスレーブの第2制御部15bに、第2判定部153b、第2電流値算出部154b、マスタ情報保持部157bが追加される。第2取得部152bは停電時、第1種負荷71に印加される電圧の値を第1検出器20または第2検出器30から取得する。また第1種負荷71に流れる電流の値を第1検出器20から取得する。また第2双方向インバータ12bから第1ノードA1に流れる電流の値を第2検出器30から取得する。即ち、第2蓄電システム10bの出力電流の値を取得する。
マスタ情報保持部157bは、マスタに設定された第1蓄電システム10aの定格出力容量、停電時の自立運転で使用される電圧および周波数の値、その電圧の値で駆動される場合における当該定格出力容量を満たす最大出力電流の値を保持する。
第2判定部153bは、第1検出器20から取得される電圧または電流の値をもとに、第1蓄電システム10aから第1種負荷71への電力供給のみで、第1種負荷71の容量を満たすか否か判定する。具体的には、第1検出器20から取得される電圧がマスタ情報保持部157bに保持される「停電時の自立運転で使用される電圧の値」よりも低い場合、または、第1検出器20から取得される電流がマスタ情報保持部157bに保持される「最大出力電流の値」を超える場合は第1種負荷71の容量を満たさないと判定し、それ以外の場合は第1種負荷71の容量を満たすと判定する。
第2電流値算出部154bは、第1蓄電システム10aから第1種負荷71への電力供給のみでは第1種負荷71の容量を満たさない場合、スレーブに設定された第2蓄電システム10bから第1ノードN1に出力すべき電流の値を算出する。具体的には第2電流値算出部154bは、第1検出器20から取得される電流の値から、第1蓄電システム10aの上記最大出力電流の値を減算して、第2蓄電システム10bから出力すべき電流の値を算出する。
第2駆動制御部151bは、停電時にて、第1検出器20または第2検出器30から取得される電圧の値およびその周波数に同期した交流電力を交流側出力端子から出力するよう第2双方向インバータ12bを駆動制御する。
また第2駆動制御部151bは、第2電流値算出部154bにより算出された値の電流を第1ノードN1へ出力するよう第2双方向インバータ12bを駆動制御する。第2駆動制御部151bは、各サンプリングポイントにおいて第2検出器30から検出される電流の値と、目標値算出部158bにより算出される対応するサンプリングポイントの目標電流値とが一致するよう第2双方向インバータ12bを駆動制御する。
実施の形態4では第1制御部15aから電流出力指示を受領しないため、指示受領部155bは省略される。
図10(a)−(b)は、本発明の実施の形態4に係る配電システム50の動作を説明するためのフローチャートである。図10(a)のフローチャートは第1蓄電システム10aの動作を示し、図10(b)のフローチャートは第2蓄電システム10bの動作を示す。
図10(a)のフローチャートにて、停電が発生すると(S100のY)、マスタの第1駆動制御部151aは、自立運転モードにおける電圧および周波数を決定する(S110)。第1駆動制御部151aは、その電圧および周波数の交流電力を第1種負荷71に供給するよう第1双方向インバータ12aを駆動制御する(S120)。以下、第1駆動制御部151aは当該電圧を維持するよう定電圧駆動する。実施の形態4ではスレーブの第2蓄電システム10bが不足する電流を調整するため、マスタの第1蓄電システム10aの自立運転立ち上げ処理は以上である。
図10(b)のフローチャートにて、第2取得部152bは、第1検出器20または第2検出器30から第1種負荷71に印加される電圧の値を取得する(S300)。第2判定部153bは、スレーブの第2蓄電システム10bから第1種負荷71へ追加の電力供給が必要か否か判定する(S310)。必要ない場合(S310のN)、スレーブの第2蓄電システム10bの自立運転立ち上げ処理が終了する。
追加の電力供給が必要な場合(S310のY)、第2取得部152bは、第1種負荷71に流れる電流の値を第1検出器20から取得する(S320)。第2電流値算出部154bは、取得された電流の値と、第1双方向インバータ12aの許容される最大出力電流の値との差分を算出して、不足する電流の値を算出する(S330)。
第2駆動制御部151bは、第1検出器20または第2検出器30により検出された電圧波形に同期した電圧で、算出された値の電流を出力するよう第2双方向インバータ12bを駆動制御する(S340)。これにより第1蓄電システム10aからの電流と第2蓄電システム10bからの合成電流が第1種負荷71へ供給されるようになる。
第2取得部152bは、第2双方向インバータ12bから第1ノードN1に流れ込む電流の値を第2検出器30から取得する(S350)。第2駆動制御部151bは、取得された電流の値が目標電流値と一致するか否か判定し(S360)、一致しない場合(S360のN)、両者が一致するよう第2双方向インバータ12bの駆動電圧のデューティ比を調整し(S370)、ステップS350に遷移する。両者が一致する場合(S360のY)、ステップS300に遷移する。
なお、実施の形態4では、マスタ情報保持部157bは、マスタに設定された第1蓄電システム10aに関する種々の情報を保持しているが、少なくとも停電時の自立運転で使用される電圧の値を保持していればよい。これにより、第2判定部153bは、第1検出器20から取得される電圧の値と、保持している停電時の自立運転で使用される電圧の値とを比較し、第1蓄電システム10aからの電力供給のみで第1種負荷71の容量を満たすか否か判定することができる。この場合、マスタ情報保持部157bは第1蓄電システム10aの定格出力容量を保持していないので、第2電流値算出部154bは不足している電流値を算出することができない。そのため、第2判定部153bが第1蓄電システム10aからの電力供給のみでは第1種負荷71の容量を満たしていないと判定した場合に、第2蓄電システム10bから第1種負荷71に供給する所定の電流値を予め設定しておく。
以上説明したように実施の形態4によれば、停電時にスレーブの第2蓄電システム10bが不足する電流の値を計算して自立的に電流を出力する。これにより、上述の実施の形態1に係る効果に加えて以下の効果を奏する。第1蓄電システム10aと第2蓄電システム10b間の通信なしに両者が連携運転できる。したがって両者の間の通信線が不要となり配線を簡素化できる。また配電システム50に後から第2蓄電システム10bを増設する場合、第1蓄電システム10aの第1制御部15aは増設後も増設前と同様に動作できる。したがって増設時の第1制御部15aのアップデートを省略できる。第1蓄電システム10aは、第2蓄電システム10bの増設後も第2蓄電システム10bを意識せずに増設前と同様に、停電時の自立運転を行えばよい。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
(変形例1)
変形例1は実施の形態1に係る配電システム50の変形例である。実施の形態1に係る配電システム50でも図5に示す構成を採用できる。即ち、第1蓄電システム10aと第1ノードN1との間に第3検出器35を設ける。変形例1によれば、第1蓄電システム10aも連携運転後の定電流駆動が可能となる。したがって、後述する変形例2のマスタの交代がしやすくなる。
(変形例2)
変形例2は変形例1に係る配電システム50、実施の形態2に係る配電システム50または実施の形態3に係る配電システム50に適用可能な変形例である。変形例2は配電システム50に含まれる複数の蓄電システム10の間でマスタの交代を可能とするものである。
図11は、変形例2に係る第1制御部15a、第2制御部15bの構成を示す図である。変形例2に係るマスタの第1制御部15aは、図3に示す第1制御部15aの構成にマスタ設定部156aが追加された構成である。変形例2に係るスレーブの第2制御部15bは、図3に示す第2制御部15bと同様である。
マスタ設定部156aは、第1ノードN1に接続される複数の蓄電システム10のそれぞれの蓄電池11の劣化度を参照して、最も劣化していない蓄電池11を含む蓄電システム10をマスタに設定する。変形例2では第1蓄電池管理部16aは、第1蓄電池11aの劣化度を取得する。第1蓄電池管理部16aは取得した劣化度を第1制御部15aに通知する。第2蓄電池管理部16bは、第2蓄電池11bの劣化度を取得する。第2蓄電池管理部16bは、取得した劣化度を第1蓄電池管理部16aを介して第1制御部15aに通知する。第1蓄電池11aと第2蓄電池11bの容量が等しい場合、第1蓄電池管理部16aおよび第2蓄電池管理部16bは、劣化度をSOH(State Of Health)で表すことができる。マスタ設定部156aは、SOHが大きいほうをマスタに設定する。
図12は、変形例2に係るマスタ設定処理を説明するためのフローチャートである。マスタ設定タイミングが到来すると(S190のY)、各蓄電システム10の蓄電池管理部16は、それぞれの蓄電池11の劣化度を取得する(S191)。マスタ設定タイミングは例えば、1週間毎、1ヶ月毎、3ヶ月毎などに設定できる。マスタ設定部156aは、最も劣化していない蓄電池11を備える蓄電システム10をマスタに設定する(S192)。
変形例2によれば、マスタを交代させる処理を追加することにより、複数の蓄電システム10の蓄電池11の劣化度を平準化できる。特にスレーブがマスタの定格出力容量の不足分の電流値を負荷に供給する場合のように、蓄電池11の使用量がマスタとスレーブで大きく異なる場合に有効である。なお変形例2を採用する場合、第1蓄電システム10aと第2蓄電システム10bのどちらがスレーブになっても、定電流駆動できるよう図5に示す回路構成が望ましい。また、図11に示す第1制御部15a、第2制御部15bはそれぞれ異なる構成要素を含んでいるが、これはマスタとスレーブの動作説明を容易にするために説明に必要な構成要素のみを表示しているためである。変形例2を採用する場合、実際には第1制御部15a、第2制御部15bは、マスタとスレーブのどちらにも切替可能なように、マスタとスレーブの全ての構成要素を含んでいる。
(変形例3)
上記は、配電システム50が正常に動作している場合を説明した。以下本発明の変形例3として、制御装置14が配電システム50における軽度な異常を検知した場合の動作について説明する。
図13は、本発明の変形例3に係る配電システム50に含まれる蓄電システム10の構成を示す図である。図13に示す蓄電システム10の構成は、太陽電池ブレーカ17、蓄電池ブレーカ19、および蓄電池スイッチSW4を除いて、図2に示す蓄電システム10と同様である。したがって、以下、図2に示す蓄電システム10と重複する説明については適宜省略または簡略化して説明する。
図13において、太陽電池13、蓄電池11、および双方向インバータ12とが第14ノードN4を介して互いに接続されている。第13スイッチSW3は、第14ノードN4と太陽電池13との間に配置され、蓄電池11および双方向インバータ12に対して太陽電池13を電気的に接続するか否かを切り換える太陽電池スイッチとして機能する。太陽電池ブレーカ17も、第13スイッチSW3と同様に、第14ノードN4と太陽電池13との間に配置され、蓄電池11および双方向インバータ12に対して太陽電池13を電気的に遮断する。
蓄電池スイッチSW4は、第14ノードN4と蓄電池11との間に配置され、太陽電池13および双方向インバータ12に対して蓄電池11を電気的に接続するか否かを切り換える。蓄電池ブレーカ19は、蓄電池スイッチSW4と同様に、第14ノードN4と蓄電池11との間に配置され、太陽電池13および双方向インバータ12に対して蓄電池11を電気的に遮断する。
制御部15は、第13スイッチSW3、蓄電池スイッチSW4、太陽電池ブレーカ17、および蓄電池ブレーカ19それぞれの開閉を指示する信号を出力することで、太陽電池13、蓄電池11および双方向インバータ12との間の電気的な接続を制御する。ここで、制御部15は、配電システム50の異常に関する所定の信号を取得することを契機として、太陽電池スイッチである第13スイッチSW3と蓄電池スイッチSW4とを開くことを指示する信号を出力する。
図14は、本発明の変形例3に係る配電システム50の状態異常の一例を示す図である。煩雑となることを避けるために全ては説明しないが、図14に示すように、配電システム50の状態異常に関する所定の信号は、蓄電池管理部16が管理する蓄電池11の異常を示唆する信号と、双方向インバータ12を含む双方向パワーコンディショナの異常を示唆する信号との少なくともいずれか一方である。蓄電池11の異常を示唆する信号とは、例えば蓄電池が過放電や過充電、過電圧であることを示唆する信号である。また、双方向インバータ12の異常を示唆する信号とは、例えば双方向インバータ12との間の通信異常や、双方向インバータ12に直流の過電圧がかかっていることを示唆する信号、あるいは商用電源60が停電していることを示唆する系統異常信号である。
このように、制御部15は、配電システム50の異常に関する信号を取得した場合に太陽電池13、蓄電池11、および双方向インバータ12を電気的に切断することで、これらを保護することができる。
ここで、制御部15が第13スイッチSW3と蓄電池スイッチSW4とを開くことで太陽電池13、蓄電池11、および双方向インバータ12を電気的に切断する際に、何らかの理由で、蓄電池スイッチSW4が第13スイッチSW3よりも先に開いたとする。この場合、第13スイッチSW3はまだ閉じているため、太陽電池13と双方向インバータ12とは電気的に接続された状態を維持している。この結果、太陽電池13が発電した電力が全て双方向インバータ12に加わり、場合によっては双方向インバータ12が直流の過電圧がかかっていることを検知することも起こりうる。
そこで変形例3に係る制御部15は、まず第13スイッチSW3を開くことを指示する信号を出力した後に、蓄電池スイッチSW4を開くことを指示する信号を出力する。より具体的には、制御部15は、まず第13スイッチSW3を開くことを示唆する信号と蓄電池スイッチSW4を閉じることを指示する信号とを出力し、その後第13スイッチSW3と蓄電池スイッチSW4とを開くことを指示する信号を出力する。これにより、第13スイッチSW3が閉じた状態で、かつ蓄電池スイッチSW4が開いた状態となることを抑制でき、双方向インバータ12に直流の過電圧が印加されることが抑制できる。
以上、第13スイッチSW3および蓄電池スイッチSW4を開くことにより、太陽電池13、蓄電池11、および双方向インバータ12を電気的に切断する場合を説明した。第13スイッチSW3および蓄電池スイッチSW4はひとたび開いた後であっても、制御部15はこれらのスイッチを閉じることを指示する信号を出力することで、再度閉じることができる。
図14に示すように、制御部15が第13スイッチSW3や蓄電池スイッチSW4を開くことを指示する信号を出力する契機は種々存在する。一例として、蓄電池11が過電圧となる状態は、蓄電池11の劣化を早めるため好ましいことではなく、太陽電池13、蓄電池11、および双方向インバータ12を電気的に切断するための契機となる。例えば商用電源60が停電した場合、制御部15は、第13スイッチSW3を開くことを指示する信号を出力する。このため、商用電源60が停電した場合は第13スイッチSW3が開き太陽電池13の発電電力が蓄電池11に印加されることは防止できる。しかしながら、商用電源60が停電した場合に、例えば信号の伝達トラブル等の何らかの理由で第13スイッチSW3が閉じたままとなると、双方向インバータ12に電力を流せない状態が生じ、太陽電池13の発電電力が全て蓄電池11に印加されることになる。太陽電池13の発電量によっては蓄電池11が過電圧となる場合も起こりうる。
ここで上述したとおり、変形例3に係る蓄電システム10は、太陽電池ブレーカ17および蓄電池ブレーカ19も備えている。このため、太陽電池ブレーカ17と蓄電池ブレーカ19とがブレーカトリップすることでも、太陽電池13、蓄電池11、および双方向インバータ12を電気的に遮断できる。しかしながら、太陽電池ブレーカ17や蓄電池ブレーカ19は、第13スイッチSW3や蓄電池スイッチSW4とは異なり、一度ブレーカトリップすると遮断状態を維持する。このため、事後的に制御部15が太陽電池ブレーカ17や蓄電池ブレーカ19を戻すことはできない。この場合、蓄電システム10の管理者やユーザが人手によって太陽電池ブレーカ17や蓄電池ブレーカ19を戻す必要があり、手間がかかる。
ここで上述した通り、太陽電池や風力発電等の再生可能エネルギーをもとに発電する発電装置は、発電に自然エネルギーを利用するため、一般に発電量の制御が難しい。例えば、太陽電池の発電量は太陽光に依存するため、発電量を制御することは難しく発電量が急激に増加することも起こりうる。このため、太陽電池の発電量によっては蓄電池が過電圧となり、蓄電池のブレーカがトリップしてしまう場合も起こりうる。
そこで変形例3に係る制御部15は、蓄電池ブレーカ19がブレーカトリップすることで蓄電池11と太陽電池13とを電気的に遮断するよりも早い時期に、蓄電池スイッチSW4を開くことを指示する信号を出力する。以下このことについて、図15を参照して説明する。
図15は、本発明の変形例3に係る制御部15の機能構成を模式的に示す図である。変形例3に係る制御部15は、設定部7、時間計測部8、および切断信号出力部9を備える。制御部15はまた、第1閾値TH1と第2閾値TH2とをそれぞれ格納する記憶部も備える。
ここで、第1閾値TH1は電圧に対する閾値であり、単位は[V]である。また第2閾値TH2は時間に対する閾値であり、単位は[秒]である。設定部7は、第1閾値TH1および第2閾値TH2の値を設定する。図13に図示はしていないが、第14ノードN4における電圧を計測する電圧検出器が配置されている。時間計測部8は、第14ノードN4における電圧が、設定部7が設定した第1閾値TH1よりも高い間の時間経過を計測する。
切断信号出力部9は、時間計測部8が計測した時間が、設定部7が設定した第2閾値TH2より長くなることを契機として、蓄電池スイッチSW4を開くことを指示する信号を出力する。ここで、蓄電池ブレーカ19は、蓄電池ブレーカ19に印加されている電圧が所定の閾値電圧を超える時間が所定期間継続した場合、ブレーカトリップするように構成されている。また蓄電池ブレーカ19は、蓄電池ブレーカ19に印加されている電圧が高い場合は、低い場合と比較して、短時間でブレーカトリップするように構成されている。
ここで、蓄電池ブレーカ19に関する所定の閾値電圧や、ブレーカトリップするまでの経過時間は、蓄電池11の容量や性能等を考慮して定めればよい。限定はしないが、一例として、蓄電池ブレーカ19に印加されている電圧が330[V]以上となり、かつ345[V]未満となる時間が6[秒]継続すると、蓄電池ブレーカ19はブレーカトリップする。また、蓄電池ブレーカ19に係る電圧が345[V]以上となる時間が0.1[秒]継続すると、蓄電池ブレーカ19はブレーカトリップする。
設定部7は、蓄電池ブレーカ19がブレーカトリップして蓄電池11と太陽電池13とを電気的に遮断するよりも早い時期に、切断信号出力部9が蓄電池スイッチSW4を開くことを指示する信号を出力するように、第2閾値TH2を設定する。例えば、第1閾値TH1が330[V]の場合、第2閾値TH2は5[秒]に設定する。また第1閾値TH1が345[V]の場合、第2閾値TH2は0.05[秒]に設定する。なお、設定部7は、第1閾値TH1と第2閾値TH2とに複数の値を設定でき、特定の第1閾値TH1の値と第2閾値TH2の値とを対応付けることができる。これにより、第1閾値TH1に応じて蓄電池スイッチSW4を開くまでの時間である第2閾値TH2の値を適応的に変更することができる。
以上より、変形例3に係る蓄電システム10によれば、蓄電池ブレーカ19がブレーカトリップする前に蓄電池スイッチSW4を開くことができるため、蓄電池11が過電圧状態となることを防止しつつ、かつ、ユーザの手を煩わすことなく再び蓄電池11を双方向インバータ12や太陽電池13と電気的に接続することができる。蓄電池11と太陽電池13との間に蓄電池スイッチSW4と蓄電池ブレーカ19とを備える。このため、太陽電池13の発電電力によって蓄電池11が過電圧となることを抑制する手段をふたつ有することとなり、蓄電池11が過電圧となることを抑制する可能性をより高めることができる。
上記の実施の形態においては、負荷70に供給される電力をもとに、第1蓄電システム10aと第2蓄電システム10bとの連携運転を制御する場合について説明した。連携運転のバリエーションとして、負荷70における消費電力に依存せずに、単に複数の蓄電システム10を協働させて負荷70に電力を供給するようにしてもよい。すなわち、第2蓄電システム10bは、第1蓄電システム10aと同一の周波数、同一の電圧、同一の位相を有する交流電力を供給することで連携運転を行うことができる。
上述の実施の形態および変形例において、蓄電システム10は太陽電池13以外の、他の再生可能エネルギーをもとに発電する発電装置と連携することもできる。再生可能エネルギーをもとに発電する発電装置としては、例えば直流出力の、風力発電装置、マイクロ水力発電装置などが該当する。
なお、本実施の形態に係る発明は、以下に記載する項目によって特定されてもよい。
[項目1−1]
予め所定の電圧及び周波数の交流電流を負荷へ供給するマスタ蓄電システムと、
前記負荷へ交流電流を供給する少なくとも1つのスレーブ蓄電システムと、
前記マスタ蓄電システムの出力電圧及び出力周波数を検出する電圧検出器と、
を備え、
前記マスタ蓄電システム及び前記スレーブ蓄電システムは、蓄電池と、前記蓄電池と前記負荷との間に配置された電力変換器と、各蓄電システムを制御する制御部とを含み、前記負荷に対して互いに並列接続されており、
前記マスタ蓄電システムの制御部は、前記所定の電圧及び周波数に基づいた交流電流を負荷へ供給し、
前記スレーブ蓄電システムの制御部は、前記マスタ蓄電システムの前記所定の電圧に関するデータを保持しており、前記電圧検出器によって検出された電圧値と、前記マスタ蓄電システムの前記所定の電圧値とを比較し、前記検出された電圧値が前記所定の電圧値よりも低い場合、所定の電流値を前記負荷に供給することを特徴とする電力供給システム。
[項目1−2]
前記マスタ蓄電システム及び前記スレーブ蓄電システムは、商用電源に接続されており、
前記マスタ蓄電システムは、前記商用電源が通電状態か停電状態かを判断し、停電状態であると判断した場合に前記所定の電圧及び周波数に基づいた交流電流を前記負荷へ供給することを特徴とする項目1−1に記載の電力供給システム。
[項目1−3]
前記負荷は、停電時に前記蓄電池から優先的に電力供給を受けることができる予め設定された負荷であることを特徴とする項目1−1または1−2に記載の電力供給システム。
[項目1−4]
予め所定の電圧及び周波数が設定されており、前記所定の電圧及び周波数に基づいた交流電流を負荷に供給するマスタ蓄電システムと、前記負荷へ交流電流を供給するスレーブ蓄電システムとを含む電力供給システムのスレーブ蓄電システムであって、
スレーブ蓄電池と、
前記スレーブ蓄電池と前記負荷との間に配置されたスレーブ電力変換器と、
前記スレーブ蓄電システムの動作を制御するスレーブ制御部とを含み、
前記スレーブ制御部は、前記マスタ蓄電システムの前記所定の電圧に関するデータを保持しており、前記マスタ蓄電システムの出力電圧及び出力周波数を検出する電圧検出器によって検出された電圧値と、前記マスタ蓄電システムの前記所定の電圧値とを比較し、前記検出された電圧値が前記所定の電圧値よりも低い場合、所定の電流値を前記負荷に供給することを特徴とするスレーブ蓄電システム。
[項目1−5]
前記スレーブ制御部は、前記マスタ蓄電システムの前記電力変換器の定格出力容量に関するデータを保持しており、前記マスタ蓄電システム及び前記スレーブ蓄電システムから前記負荷へ供給される電流を検出する電流検出器によって検出された電流値と、前記マスタ蓄電システムの前記電力変換器の定格出力容量の電流値とに基づき、前記所定の電流値を算出することを特徴とする項目1−4に記載のスレーブ蓄電システム。
[項目1−6]
前記スレーブ制御部は、前記電流検出器によって検出された電流値が、前記マスタ蓄電システムの前記電力変換器の定格出力容量の電流値を超える場合は、前記所定の電流量を、前記電流検出器によって検出された電流値と前記電力変換器の定格出力容量の電流値との差分とすることを特徴とする項目1−5に記載のスレーブ蓄電システム。
[項目1−7]
前記スレーブ制御部は、
前記電圧検出器から電圧値を取得する取得部と、
取得される電圧値をもとに、前記マスタ蓄電システムから前記負荷への電力供給で前記負荷の容量を満たすか否か判定する判定部と、
前記マスタ蓄電システムから前記負荷への電力供給で前記負荷の容量を満たさない場合、前記所定の電流値を前記負荷へ供給するよう前記スレーブ電力変換器を駆動制御する駆動制御部とを含むことを特徴とする項目1−4から1−6のいずれかに記載のスレーブ蓄電システム。
[項目1−8]
前記取得部は、前記スレーブ蓄電システムから出力される、前記マスタ蓄電システムの出力電流と合流する前の出力電流を検出する別の電流検出器から、前記スレーブ蓄電システムの出力電流値を取得し、
前記駆動制御部は、取得された出力電流値と目標電流値とが一致するよう前記スレーブ電力変換器を駆動制御することを特徴とする項目1−7に記載のスレーブ蓄電システム。
[項目2−1]
再生可能エネルギーをもとに発電する発電装置、蓄電池、および双方向インバータがノードを介して互いに接続されており、前記ノードと発電装置との間に配置され、蓄電池および双方向インバータに対して発電装置を電気的に接続するか否かを切り換える発電装置スイッチと、
前記ノードと蓄電池との間に配置され、発電装置および双方向インバータに対して蓄電池を電気的に接続するか否かを切り換える蓄電池スイッチと、
前記発電装置スイッチおよび前記蓄電池スイッチそれぞれの開閉を指示する信号を出力することで、発電装置、蓄電池および双方向インバータとの間の電気的な接続を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、所定の信号を取得することを契機として、前記発電装置スイッチを開くことを指示する信号を出力した後に、前記蓄電池スイッチを開くことを指示する信号を出力することを特徴とする制御装置。
[項目2−2]
前記所定の信号は、前記蓄電池の異常を示唆する信号と前記双方向インバータの異常を示唆する信号との少なくともいずれか一方であることを特徴とする項目2−1に記載の制御装置。
[項目2−3]
再生可能エネルギーをもとに発電する発電装置と、
蓄電池と、
前記発電装置および蓄電池が出力する直流電力を交流電力に変換するとともに、系統電源が供給する交流電力を直流電力に変換する双方向インバータと、
項目2−1または項目2−2に記載の制御装置とを備えることを特徴とする蓄電システム。
[項目3−1]
再生可能エネルギーをもとに発電する発電装置と蓄電池とがノードを介して接続されており、前記ノードと蓄電池との間に配置され、蓄電池と発電装置とを電気的に接続するか否かを切り換える蓄電池スイッチと、
前記蓄電池スイッチを開くことを指示する信号を出力することで、発電装置と蓄電池との間を電気的に切断する制御部とを備え、
前記制御部は、
電圧に対する第1閾値と、時間に対する第2閾値とを設定する設定部と、
前記ノードにおける電圧が、前記設定部が設定した第1閾値よりも高い間の時間経過を計測する時間計測部と、
前記時間計測部が計測した時間が、前記設定部が設定した第2閾値より長くなることを契機として、前記蓄電池スイッチを開くことを指示する信号を出力する切断信号出力部を備えることを特徴とする制御装置。
[項目3−2]
前記設定部は、前記第1閾値の設定値が高い場合は、低い場合と比較して、前記第2閾値を短く設定することを特徴とする項目3−1に記載の制御装置。
[項目3−3]
前記ノードと蓄電池との間に配置され、蓄電池と発電装置とを電気的に遮断する蓄電池ブレーカをさらに備え、
前記設定部は、前記蓄電池ブレーカが蓄電池と発電装置とを電気的に遮断するよりも早い時期に、前記切断信号出力部が前記蓄電池スイッチを開くことを指示する信号を出力するように、前記第2閾値を設定することを特徴とする項目3−1または項目3−2に記載の制御装置。
[項目3−4]
再生可能エネルギーをもとに発電する発電装置と、
蓄電池と、
項目3−1から項目3−3のいずれかに記載の制御装置とを備えることを特徴とする蓄電システム。