JP2015069995A - 高粘性変化性の磁気粘性流体 - Google Patents
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Abstract
Description
また、近時においては、ダンパーの衝撃吸収性や振動吸収性をさらに向上させる要請が出てきており、高いダンパー効果を発現させるべく、粘性変化のより大きな磁気粘性流体を開発することが求められてきている。
上述のように、本発明の高粘性変化性磁気粘性流体は、低揮発性の難燃性溶媒から成る分散媒と、粒子径が大きく異なる強磁性粒子と磁性微粒子を所定割合で含む分散粒子を含有して成るものである。
この磁気粘性流体において、強磁性粒子はその平均粒子径が15〜70μmで50〜90質量%の割合で含まれ、磁性微粒子はその粒子径が30nm以下で0.9〜9質量%で含まれる。
即ち、詳しくは、平均粒子径15〜70μmの強磁性粒子を用いることにより、目的とする磁気粘性流体の総重量に対して50質量%以上の割合で分散させることが可能となり、さらに粒子径30nm以下の磁性微粒子を含ませることで、磁気粘性流体総重量の60質量%以上に高い濃度の強磁性粒子をより安定に分散させることができ、かつ粘度変化を大きくすることができる。
よって、本発明によれば、強磁性粒子の濃度が高くより安定で、粘性変化が大きい磁気粘性流体を実現できる。
図8に示すように、磁気粘性流体中の強磁性粒子は、多磁区構造をとっており、粒子濃度が高くなると磁界中において粒子の鎖状構造が乱されきれいに配列することができなくなり、低濃度時における全ての粒子が鎖状構造に寄与しているという仮定の状態に比べ、粒子間の引力が弱くなっていると考えられる。
この現象は、粒子濃度が高くなると鎖と鎖の隙間が小さくなり、並行して存在するためのエネルギーが大きくなるからだと考えられる。そこにnmサイズの粒子からなる磁性流体(MF)を加えると、磁性流体が磁気粘性流体(MR流体)の大きな粒子の周り、特に磁化ベクトルの向きの端部に配置し、そのことにより磁気粘性流体の磁性粒子の磁界は遮蔽され、他の磁性粒子への相互作用は弱くなる。よって並行して存在する為のエネルギーが減少し、より高い濃度においても鎖状構造を維持することが可能になったと考えられる。
なお、強磁性粒子としては、その表面に酸化防止剤の層を施したものを用いることができる。この場合、酸化防止剤としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、シランカップリング剤及びパーフルオロアルキルカルボン酸を例示することができる。
なお、磁性微粒子には、その表面にオレイン酸などの脂肪酸や界面活性剤の層を施すことが可能であり、具体的には磁性微粒子として磁気ヒステリシスを示さない磁性流体を用いることができる。
磁性微粒子の粒子径は、30nm以下であり、25nm以下が好ましく、磁性流体として分散する程度の粒子径のものがよい。30nmより大きくなると凝集しやすくなり、得られる磁気粘性流体の分散性が悪くなる。
50質量%未満では大きな粘性変化が得られにくく、90質量%を超えると分散性が悪くなる。
0.9質量%未満では大きな粘性変化が得られにくくなり、9質量%を超えると耐熱性が低下してくる。
なお、上記の磁性微粒子/強磁性粒子の質量比は1/100〜10/100がよく、特に1/100〜6/100がよい。この範囲にあると大きな粘性変化が得られ、分散性も良い。
分散溶媒としては化学的に不活性で耐熱性の高いダイキン工業株(株)製デムナムS−20(パーフルオロエーテルオイル、平均分子量2700、比重1.86)を用いた。
この分散溶媒に、下記の表1(磁性粒子特性表)に示す粒径の異なる3種類の強磁性鉄粉のみを加えていき、下記の表2(実施配合及び各種評価結果)に示した比率となるように混合分散し、磁性微粒子を含まないMR流体を得た。
この結果より、粒径により飽和濃度差が顕著に現れ、理由として粒子の凝集による影響が考えられた。表面の状態が同一であると仮定すると、粒径が小さくなればなるほど粒子は凝集を起こしやすくなり、低い濃度にもかかわらず濃度が飽和してしまったと考えられる。
1)粒子径が大きいほど、磁界を印加した際のせん断応力が大きい傾向がある。
2)磁界を印加した際の降伏応力は、粒子径が大きい程大きくなる傾向がある。
3)同一粒径に着目すると、濃度が高いほどせん断応力が高くなる傾向がある。
4)磁界の印加によるせん断応力変化は、希釈なものから濃度が高くなると共に増加するが、ある濃度でピークを迎え、再び減少する傾向が見られ、そのピークは粒子径が大きいほど大きい傾向がある。
以下、詳細に説明する。
パーフルオロエーテルに20nmのマグネタイトを20質量%の割合で分散させ、粘度5000mPa・s、比重2.2及び磁化40mTの流体をnmオーダーの微粒子を含有する磁性流体として用い、この磁性流体とダイキン工業(株)製デムナムS−20(パーフルオロエーテルオイル、平均分子量2700、比重1.86)を体積比で1:1となるように混合し、磁性粒子Iron(40μm)マイクロショット(新東工業社製)を飽和濃度となる濃度(86質量%)で加えて混合し、本例のMR流体を得た。
添加する磁性粒子としてamorphousアモビーズ(60μm、鉄分31.1質量%、ニッケル分48.4質量%、モリブデン9.9質量%、シリコン6.3質量%、飽和磁化1.25T)新東工業社製を飽和濃度となる濃度(84.5質量%)で加えて混合した。これ以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のMR流体を得た。
パーフルオロエーテルに20nmのマグネタイトを20質量%の割合で分散させた粘度5000mPa・s、比重2.2及び磁化40mTの流体をnmオーダーの微粒子磁性流体として用い、この磁性流体とダイキン工業(株)製デムナムS−20(パーフルオロエーテルオイル、平均分子量2700、比重1.86)を体積比で4:1となるように混合し、さらに、実施例1で用いた磁性粒子Iron(40μm)マイクロショット(新東工業社製)を75質量%濃度となるように加えて混合し、本例のMR流体を得た。
実施例3で用いた微粒子磁性流体に、実施例1で用いた磁性粒子Iron(40μm)マイクロショット(新東工業社製)を82.5質量%濃度となるように加えて混合し、本例のMR流体を得た。
実施例1と同様に、nmオーダーの微粒子磁性流体としてパーフルオロエーテルに20nmのマグネタイトを20質量%の割合で分散させた粘度5000mPa・s、比重2.2及び磁化40mTの流体を用い、これとダイキン工業(株)製デムナムS−20(パーフルオロエーテルオイル、平均分子量2700、比重1.86)を体積比で1:1となるように混合し、そこに予備試験の表1に示した磁性粒子CM(9μm)BASF社製カルボニル鉄粉を飽和濃度となる濃度(70質量%)で加えて混合し、本例のMR流体を得た。
予備試験6に示した製造方法を実施し、本例のMR流体を得た。
予備試験10に示した製造方法を実施し、本例のMR流体を得た。
分散溶媒としてダイキン工業(株)製デムナムS−20(パーフルオロエーテルオイル、平均分子量2700、比重1.86)を用い、この分散溶媒に実施例2で用いた磁性粒子を加えていき、86質量%となるように混合分散し、本例のMR流体を得た。
[安定性]
安定性を評価する上で、磁性粒子の沈降により生じた上澄み液の重量を測定することで分散安定性を評価した。まず各MR流体を作製する際に、その分散媒と磁性粒子の重量を測る。次にMR流体を重力場中に一週間放置し、分離した液体を別の容器に移し替えて重量を測り、MR流体全体に対する分離した液体の重量分率を求めた。得られた結果を表3に併記した。
評価基準において、◎は5質量%未満、○は10質量%未満、△は15質量%未満、×は15質量%以上とした。
MR流体の粘度を円錐平板型レオメーター(島津製作所社製)を用いて平常時(無磁化時)及び磁界(0.04T)印加時の流動曲線を描き、MR効果を判断した。得られた結果を表3に併記した。
評価基準においては、磁界(0.04T)印加時と無磁化時のせん断応力の差を出し、◎はせん断応力差が1000Paよりも高く、ずり速度に応じて高くなる、○は600Paより高くずり速度に応じて高くなる、△は300Pa以上600Pa以下、×は300Pa未満とした。
また、MR効果について磁性微粒子を加えた比較例1及び実施例1、2について測定し、得られた結果を図6に示した。
そこで、大きな強磁性粒子にナノオーダーの磁性微粒子(磁性流体)を加えることによる効果を確認すべく、実施例1、2と比較例3、4及び比較例1と比較例2の磁界を印加した際のせん断応力変化比較を行い、図7に示した。
例えば、ターゲットとする粘性特性により、強磁性粒子の粒径の異なるものを混合することが可能である。
Claims (2)
- 平均粒子径15〜70μmの強磁性粒子50〜90質量%と粒子径30nm以下の磁性微粒子0.9〜9質量%の割合で含む分散粒子と、残部としての低揮発性の難燃性溶媒から成る分散媒とを含有することを特徴とする高粘性変化性磁気粘性流体。
- 上記の磁性微粒子の全量/強磁性粒子の全量の質量比が、1/100〜10/100である請求項1に記載の高粘性変化性磁気粘性流体。
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