JP2015069953A - 電気接続構造及びそれを用いた配線モジュール - Google Patents

電気接続構造及びそれを用いた配線モジュール Download PDF

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泰次 柳田
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Abstract

【課題】本発明は、異種金属同士が接続された場合において、電食の発生を抑制する技術を提供する。【解決手段】板状のバスバー15と、板状の電力端子16とを重ねた状態で電気的に接続する電気接続構造10であって、バスバー15は、板状をなす第1金属部材18と、第1金属部材18の表面及び裏面に形成された第1メッキ層19と、を備え、バスバー15の周縁部には第1金属部材18が露出しており、電力端子16は、板状をなすと共に第1金属部材18とはイオン化傾向の異なる金属からなる第2金属部材34と、第2金属部材34の表面及び裏面に形成されると共に第1メッキ層19とイオン化傾向の同じ金属からなる第2メッキ層35と、を備え、電力端子16の周縁部には第2金属部材34が露出しており、バスバー15は、バスバー15の周縁部と電力端子16の周縁部とを離間させる周縁退避部36及び曲げ退避部37を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、異種金属同士が接続された電気接続構造及びそれを用いた配線モジュールに関する。
従来、電気自動車やハイブリッド車等の車両の駆動源として蓄電モジュールが知られている。この蓄電モジュールは、インバータ等の機器に、電線等の導電部材を介して電気的に接続される。蓄電モジュールは、複数の蓄電素子を並べてなる蓄電素子群を有する。蓄電素子群には配線モジュールが配設されている。配線モジュールは、隣り合う蓄電素子の電極同士を電気的に接続する複数の接続部材と、この接続部材が収容される絶縁性の合成樹脂からなる樹脂プロテクタと、を備える。この種の配線モジュールとして特許文献1に記載のものが知られている。
特開2010−225449号公報
近年、車両の軽量化が求められている。このため、複数の接続部材を、比較的に比重の小さなアルミニウム又はアルミニウム合金により形成することが考えられる。一方で、蓄電モジュールと機器とを接続する電線には比較的に大きな電流が流れることから、比較的に電気抵抗の小さな銅又は銅合金からなる芯線を含む電線が用いられる場合がある。すると、銅又は銅合金製の芯線の端部に接続された銅又は銅合金製の端子と、アルミニウム又はアルミニウム合金製の接続部材とが、接続される場合がある。
一般的に、異なる金属同士を接続すると、両金属が接触する部分に跨って水が付着した場合に、いわゆる電食が発生することが知られている。このため、銅又は銅合金製の端子と、アルミニウム又はアルミニウム合金製の接続部材との接続部分において電食が発生し、端子と接続部材との電気的な接続信頼性が低下することが懸念される。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、異種金属同士が接続された場合において、電食の発生を抑制する技術を提供することを目的とする。
本発明は、板状の第1端子と、板状の第2端子とを重ねた状態で電気的に接続する電気接続構造であって、前記第1端子は、板状をなす第1金属部材と、前記第1金属部材の表面及び裏面に形成された第1メッキ層と、を備え、前記第1端子の周縁部には前記第1金属部材が露出しており、前記第2端子は、板状をなすと共に前記第1金属部材とはイオン化傾向の異なる金属からなる第2金属部材と、前記第2金属部材の表面及び裏面に形成されると共に前記第1メッキ層とイオン化傾向の同じ金属からなる第2メッキ層と、を備え、前記第2端子の周縁部には前記第2金属部材が露出しており、前記第1端子及び前記第2端子の一方は、前記第1端子及び前記第2端子の一方の周縁部と前記第1端子及び前記第2端子の他方の周縁部とを離間させる退避部を備える。
また、本発明は、複数の蓄電素子を並べてなる蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、隣り合う前記蓄電素子間を電気的に接続する板状をなす複数の第1端子と、前記第1端子に重ねられた状態で電気的に接続される板状の第2端子と、前記第1端子及び前記第2端子が配される絶縁プロテクタと、を備え、前記第1端子は、板状をなす第1金属部材と、前記第1金属部材の表面及び裏面に形成された第1メッキ層と、を備え、前記第1端子の周縁部には前記第1金属部材が露出しており、前記第2端子は、板状をなすと共に前記第1金属部材とはイオン化傾向の異なる金属からなる第2金属部材と、前記第2金属部材の表面及び裏面に形成されると共に前記第1メッキ層とイオン化傾向の同じ金属からなる第2メッキ層と、を備え、前記第2端子の周縁部には前記第2金属部材が露出しており、前記第1端子及び前記第2端子の一方は、前記第1端子及び前記第2端子の一方の周縁部と前記第1端子及び前記第2端子の他方の周縁部とを離間させる退避部を備える。
本発明によれば、第1端子の周縁部において露出する第1金属部材と、第2端子の周縁部において露出する第2金属部材とが、離間して配されるようになっている。これにより、第1金属部材と第2金属部材とに跨って水が付着することを抑制できるので、第1金属部材と第2金属部材との間に腐食電流が流れることを抑制できる。この結果、第1端子と第2端子との間で電食が発生すること抑制することができる。
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。前記退避部は、前記第1端子及び前記第2端子の一方の周縁部が、前記第1端子及び前記第2端子の一方の板面に平行な方向について、前記第1端子及び前記第2端子の他方の周縁部よりも外方に突出するか、又は、内方に引っ込んでいる周縁退避部であることが好ましい。
上記の態様によれば、第1端子及び第2端子の一方の周縁部の形状を、他方の周縁部よりも外方に突出する形状にするか、又は内方に引っ込んだ形状にするという簡易な構成により、第1端子と第2端子との間で電食が発生することを確実に抑制することができる。
前記退避部は、前記第1端子及び前記第2端子の一方の周縁部が、前記第1端子及び前記第2端子の他方の周縁部から離間する方向に曲がっている曲げ退避部であることが好ましい。
上記の態様によれば、第1端子及び第2端子の一方の周縁部を曲げるという簡易な構成により、第1端子と第2端子との間で電食が発生することを確実に抑制することができる。
前記第1金属部材はアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、前記第2金属部材は銅又は銅合金からなる態様としてもよい。
上記の態様によれば、第1金属部材がアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、第2金属部材が銅又は銅合金からなる場合において、第1端子と第2端子との間で電食が発生することを確実に抑制することができる。
前記第1メッキ層及び前記第2メッキ層はスズ又はスズ合金からなることが好ましい。
上記の態様によれば、スズ又はスズ合金は比較的に接触抵抗が小さいので、第1端子と第2端子との間の接触抵抗を小さくすることができる。
本発明によれば、異種金属同士が接続された場合において、電食の発生を抑制することができる。
本発明の実施形態1に係る電池モジュールを示す斜視図 電池モジュールを示す平面図 電池モジュールを示す側面図 電気接続構造を示す一部拡大斜視図 バスバーと電力端子との接続構造を示す一部拡大平面図 バスバーと電力端子との接続構造を示す一部拡大側面図 周縁退避部の構造を示す一部拡大模式図 バスバーと電力端子との接続構造を示す一部拡大側面図 曲げ退避部の構造を示す一部拡大模式図 本発明の実施形態2に係る電気接続構造を示す一部拡大斜視図 本発明の実施形態3に係る電気接続構造を示す一部拡大斜視図 仮想的な技術を示す平面図 仮想的な技術を示す一部拡大模式図
<仮想的な技術>
まず、本発明が解決する課題を説明するために、仮想的な技術について図12ないし図13を参照しつつ説明する。上記したように、異種金属同士を接続する場合、異種金属間に跨って水が付着すると、電池反応により腐食電流が流れる。これにより、いわゆる電食が進行し、イオン化傾向の大きな金属が水中に溶出する。この結果、異種金属間の電気的な接続信頼性が低下することが懸念される。
上記の問題に対処するため、以下のような仮想的な技術が考えられる。図12に示すように、板状の第1端子1と、板状をなす第2端子2とは、重ねられた状態で電気的に接続される。第1端子1と第2端子2とは、第1端子1及び第2端子2に貫通されたボルト3と、このボルト3に螺合されたナット4によって締結されている。
第1端子1の幅寸法と、第2端子2の幅寸法は同じに設定されている。このため、図11に示すように、第1端子1の周縁部と、第2端子2の周縁部とは面一になっている。
第1端子1は、板状をなす第1金属部材5と、この第1金属部材5の表面及び裏面に形成された第1メッキ層6と、を備える。また、第2端子2は、板状をなすと共に第1金属部材5とはイオン化傾向が異なる金属からなる第2金属部材7と、この第2金属部材7の表面及び裏面に形成された第2メッキ層8と、を備える。第1メッキ層6と第2メッキ層8とはイオン化傾向が同じ金属により形成されている。
第1端子1は、第1金属部材5を構成する金属からなる板材の表面及び裏面に第1メッキ層6を形成した後に、所定の形状にプレス加工してなる。このため、第1端子1の周縁部は、プレス加工によって裁断された切断面とされる。この切断面において、第1金属部材5が露出している。
また、第2端子2は、第2金属部材7を構成する金属からなる板材の表面及び裏面に第2メッキ層8を形成した後に、所定の形状にプレス加工してなる。このため、第2端子2の周縁部は、プレス加工によって裁断された切断面とされる。この切断面において、第2金属部材7が露出している。
上記の仮想的な技術によれば、第1端子1の表面に形成された第1メッキ層6と、第2端子2の裏面に形成された第2メッキ層8とが接触している。上記したように、第1メッキ層6と第2メッキ層8とはイオン化傾向が同じ金属からなるので、第1端子1と第2端子2との電食が抑制されることが期待された。
しかし、図13に示すように、第1端子1の周縁部においては第1金属部材5が露出しており、また、第2端子2の周縁部においては第2金属部材7が露出している。このため、第1端子1及び第2端子2の周縁部において、第1金属部材5と第2金属部材7の双方に跨って水が付着した場合、第1金属部材5と第2金属部材7との間に、水を介して腐食電流が流れ、電食が進行することが懸念される。すると、第1端子1と第2端子2との間の接続信頼性が低下するおそれがある。
このように、第1端子1に形成された第1メッキ層6と、第2端子2に形成された第2メッキ層8とを、イオン化傾向が同じ金属で形成するという仮想的な技術によっては、第1端子1と第2端子2との間の電食を抑制することは困難となる。
<実施形態1>
続いて、本発明に係る電気接続構造10を配線モジュール11に適用した実施形態1について、図1ないし図9を参照しつつ説明する。本実施形態に係る配線モジュール11は、複数(本実施形態では8つ)の蓄電素子12が並べられてなる蓄電素子群13に取り付けられることにより、蓄電モジュール40を構成する。この蓄電モジュール40は電気自動車又はハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載されて、車両を駆動するための動力源として使用される。
以下の説明においては、図2における左方を左方とし、右方を右方とする。また、図2における下方を前方とし、上方を後方とする。また、図3における上方を上方とし、下方を下方とする。また、以下の説明において、複数の同一部材については、一の部材に符号を付し、他の部材については符号を省略することがある。
(蓄電素子12)
本実施形態に係る蓄電素子12は二次電池である。蓄電素子12の内部には図示しない蓄電要素が収容されている。図1〜図3に示すように、蓄電素子12は略直方体形状をなしている。蓄電素子12の上面には前後方向の両端部寄りの位置に、一対の電極端子38(図示せず)が形成されている。電極端子38の一方は正極端子であり、他方は負極端子である。蓄電素子12は、隣り合う電極端子38が異なる極性となるように配置されている。複数の蓄電素子12は左右方向に並べられて蓄電素子群13を構成している。
(配線モジュール11)
蓄電素子群13の上面には配線モジュール11が取り付けられている。配線モジュール11は、上方から見て略長方形状をなしている。配線モジュール11は、絶縁性の合成樹脂からなる絶縁プロテクタ14と、絶縁プロテクタ14に収容された複数のバスバー15(第1端子に相当)と、配線モジュール11の前端部寄りの位置に左右方向に並べられた複数(本実施形態では5つ)のバスバー15のうち左右両端部のバスバー15にそれぞれ接続された2つの電力端子16(第2端子に相当)と、を備える。
(バスバー15)
バスバー15は、金属板材を所定形状にプレス加工してなる。バスバー15は上方から見て左右方向に細長く延びた形状をなしている。バスバー15には、電極端子38が上方から視認される2つの貫通孔17が、バスバー15を貫通して形成されている。バスバー15は、ボルト締め、はんだ付け等の公知の手法により電極端子38と電気的に接続される。
バスバー15は、板状をなす第1金属部材18と、この第1金属部材18の表面及び裏面に形成された第1メッキ層19と、を備える。第1金属部材18を構成する金属としては、銅、銅合金、鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態においては、第1金属部材18はアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。バスバー15の周縁部は、プレス加工された際に金属板材が裁断された切断面とされている。このため、バスバー15の周縁部においては、第1金属部材18が露出している。
第1メッキ層19を構成する金属としては、スズ、スズ合金、ニッケル、ニッケル合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態においては、第1メッキ層19はスズ又はスズ合金からなる。
バスバー15は、左右方向に延びる一対の長辺と、前後方向に延びる一対の短辺を有している。一対の長辺の一方には、左右方向の中央付近に、前後方向に突出するバレル部20が形成されている。このバレル部20が、蓄電素子12の電圧を検知するための電圧検知線21の一方の端部に圧着されることにより、電圧検知線21とバスバー15とが電気的に接続されている。電圧検知線21の他方の端部は、例えばECUのような外部接続機器(図示せず)に接続されている。
(絶縁プロテクタ14)
図2に示すように、絶縁プロテクタ14は、上方からみて略長方形状をなすと共に、扁平形状をなしている。絶縁プロテクタ14の前端部寄りの位置には、バスバー15が収容される複数(本実施形態では5つ)の前側収容部22が、左右方向に並んで形成されている。前側収容部22は上方から見て略長方形状をなしており、上方に開口して形成されている。
前側収容部22の後方には、複数の電圧検知線21が配索される前側配索溝23が左右方向に延びて形成されている。前側配索溝23は上方に開口されている。前側配索溝23の上方には、前側配索溝23の内部に配された電圧検知線21に上方から係合することにより、電圧検知線21が前側配索溝23から外れることを規制する規制部24が、前後方向に延びて形成されている。
前側収容部22と、前側配索溝23との間は、前後方向に延びる前側連通溝25によって連通されている。前側連通溝25は上方に開口されている。前側連通溝25の内部には、バレル部20と、バレル部20に接続された電圧検知線21とが配されている。
また、絶縁プロテクタ14の後端部寄りの位置には、バスバー15が収容される複数(本実施形態では4つ)の後側収容部26が、左右方向に並んで形成されている。後側収容部26は上方から見て略長方形状をなしており、上方に開口して形成されている。
後側収容部26の前方には、複数の電圧検知線21が配索される後側配索溝27が左右方向に延びて形成されている。後側配索溝27は上方に開口されている。後側配索溝27の上方には、前側配索溝23の内部に配された電圧検知線21に上方から係合することにより、電圧検知線21が後側配索溝27から外れることを規制する規制部24が、前後方向に延びて形成されている。
後側収容部26と、後側配索溝27との間は、前後方向に延びる後側連通溝28によって連通されている。後側連通溝28は上方に開口されている。後側連通溝28の内部には、バレル部20と、バレル部20に接続された電圧検知線21とが配されている。
(電力端子16)
電力端子16は、配線モジュール11の前端部寄りの位置に左右方向に並べられたバスバー15のうち左右両端部のバスバー15の上に重ねられた状態で、バスバー15と電気的に接続されている。
電力端子16は、金属板材を所定形状にプレス加工してなる。電力端子16は上方から見て左右方向に細長く延びた形状をなしている。電力端子16の一方の端部は円弧状に形成されている。電力端子16の一方の端部寄りの位置には、貫通孔(図示せず)が形成されている。この貫通孔内にはボルト29が挿通されるようになっている。
図4に示すように、電力端子16とバスバー15とが重ねられた状態で、電力端子16の貫通孔17と、バスバー15の貫通孔にボルト29が挿通されて、ナット30と螺合されることにより、電力端子16とバスバー15とが電気的に接続される。
電力端子16の他方の端部寄りの位置には、電力線31の一方の端部から露出した芯線32が、超音波溶接、レーザー溶接、抵抗溶接、はんだ付け等の公知の手法により接続されている。これにより、電力線31と電力端子16とが電気的に接続される。電力線31の他方の端部は、インバータ等の機器に接続されている。なお、芯線32の周囲は絶縁被覆33によって包囲されている。
電力端子16は、板状をなす第2金属部材34と、この第2金属部材34の表面及び裏面に形成された第2メッキ層35と、を備える。第2金属部材34を構成する金属としては、銅、銅合金、鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。第2金属部材34は、第1金属部材18を構成する金属とはイオン化傾向が異なる金属によって構成される。本実施形態においては、第2金属部材34は銅又は銅合金からなる。電力端子16の周縁部は、プレス加工された際に金属板材が裁断された切断面とされている。このため、電力端子16の周縁部においては、第2金属部材34が露出している。
第2メッキ層35を構成する金属としては、スズ、スズ合金、ニッケル、ニッケル合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。第2メッキ層35は、第1メッキ層19を構成する金属とイオン化傾向が同じ金属によって構成される。本実施形態においては、第2メッキ層35はスズ又はスズ合金からなる。
(周縁退避部36)
図5〜図7に示すように、バスバー15の周縁部は、バスバー15の板面に平行な方向について、電力端子16の周縁部よりも外方に突出して形成されている。バスバー15のうち、電力端子16の周縁部よりも外方に突出する部分は、電力端子16の周縁部から退避する周縁退避部36(退避部の一例)とされる。
図7に示すように、電力端子16の周縁部において露出する第2金属部材34と、バスバー15の周縁部において露出する第1金属部材18とは、バスバー15に周縁退避部36が形成されることによって、離間している。
図5及び図6に示すように、バスバー15及び電力端子16の前側に位置する周縁部においては、バスバー15の周縁部と、電力端子16の周縁部とは、間隔Lだけ離間している。また、バスバー15及び電力端子16の後側に位置する周縁部においては、バスバー15の周縁部と、電力端子16の周縁部とは、間隔Mだけ離間している。
(曲げ退避部37)
図5、図6、及び図8に示すように、バスバー15の左端部は、下方に折り曲げられている。図8に示すように、バスバー15の左端部は、バスバー15の板面に対して略垂直に曲げられている。バスバー15のうち下方に折り曲げられた部分は、電力端子16の周縁部から対比する曲げ退避部37(退避部の一例)とされる。
図9に示すように、電力端子16の周縁部において露出する第2金属部材34と、バスバー15に形成された曲げ退避部37の下端部から露出する第1金属部材18とは、間隔Nだけ離間している。
(本実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、バスバー15には、バスバー15の周縁部と電力端子16の周縁部とを離間させる周縁退避部36及び曲げ退避部37を備える。これにより、バスバー15の周縁部において露出する第1金属部材18と、電力端子16の周縁部において露出する第2金属部材34とが、離間して配されるようになっている。
詳細に説明すると、図13に示す仮想的な技術においては、第1金属部材5と第2金属部材7との間隔は、第1メッキ層6の厚さと第2メッキ層8の厚さとの合計でしかなかった。
これに対して、本実施形態においては、第1金属部材18と第2金属部材34とは、周縁退避部36によって間隔L、及び間隔Mだけ離間しており、また、曲げ退避部37によって間隔Nだけ離間している。
上記の構成により、バスバー15の周縁部から露出する第1金属部材18と、電力端子16の周縁部から露出する第2金属部材34とに跨って水が付着することを抑制することができる。この結果、第1金属部材18と、第2金属部材34との間に腐食電流が流れることを抑制できるので、バスバー15と電力端子16との間で電食が発生すること抑制することができる。
また、本実施形態によれば、退避部は、バスバー15の周縁部が、バスバー15の板面に平行な方向について、電力端子16の周縁部よりも外方に突出する周縁退避部36とされる。これにより、バスバー15の周縁部の形状を、電力端子16の周縁部よりも外方に突出する形状にするという簡易な構成により、バスバー15と電力端子16との間で電食が発生することを確実に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、退避部は、バスバー15の周縁部が、電力端子16の周縁部から離間する方向に曲がっている曲げ退避部37とされる。これにより、バスバー15の周縁部を曲げるという簡易な構成により、バスバー15と電力端子16との間で電食が発生することを確実に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、バスバー15がアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、電力端子16が銅又は銅合金からなる場合において、バスバー15と電力端子16との間で電食が発生することを確実に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第1メッキ層19及び第2メッキ層35はスズ又はスズ合金からなる。スズ又はスズ合金は比較的に接触抵抗が小さいので、バスバー15と電力端子16との間の接触抵抗を小さくすることができる。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2に係る電気接続構造50について、図10を参照しつつ説明する。図10には、配線モジュール11のうち、右端部に形成された前側収容部22を拡大した構成が表されている。
図10に示すように、バスバー51の周縁部は、バスバー51の板面に平行な方向について、電力端子55の周縁部よりも後方に突出して形成されて、周縁退避部52Aとされている。また、バスバー51の周縁部のうち、バスバー51の板面に平行な方向について電力端子55の右端部よりも右方に突出して形成された部分も、周縁退避部52Bとされている。
上記の構成により、周縁退避部52A,52Bは、それぞれ、電力端子55の後縁部(周縁部の一例)、及び右端縁部(周縁部の一例)から離間するようになっている。
また、電力端子55は、上方に直角曲げされると共に、前方に直角曲げされており、右方から見て、クランク状に曲げられている。電力端子55のうち、上方に曲げられた部分は、バスバー51の前端縁部(周縁部の一例)から離間する曲げ退避部53とされる。
曲げ退避部53の上下方向の長さ寸法は、前側収容部22の上下方向の高さ寸法よりも長く設定されている。曲げ退避部53の上端部から前方に延びる部分は電力線接続部54とされ、電力線31の芯線32が接続されるようになっている。なお、図10においては、説明の便宜上、電力線31は省略されている。
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態によれば、電力端子55の後方に形成された周縁退避部52Aと、右方に形成された周縁退避部52Bとにより、バスバー51の周縁部を電力端子55の周縁部から離間させることができる。これにより、バスバー51と電力端子55との間で電食が発生することを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、電力端子55に形成された曲げ退避部53により、バスバー51の周縁部から電力端子55の周縁部を離間させることができる。これにより、バスバー51と電力端子55との間で電食が発生することを抑制することができる。
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3に係る電気接続構造60について、図11を参照しつつ説明する。図11には、配線モジュール11のうち、右端部に形成された前側収容部22を拡大した構成が表されている。
電力端子65は、バスバー61に固定された状態で右方に延びて配されている。電力端子65の前端縁部及び後端縁部(周縁部の一例)は、上方に曲げられており、バスバー61の周縁部から離間する一対の曲げ退避部63,63とされる。本実施形態においては、曲げ退避部63,63により、電力端子65の前端縁部及び後端縁部は、バスバー61の、前端縁部(周縁部の一例)、後端縁部(周縁部の一例)、及び右端縁部(周縁部の一例)から離間するようになっている。
なお、図11においては、説明の便宜上、電力端子65に接続された電力線31が省略されている。
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態によれば、曲げ退避部63,63により、バスバー61の周縁部と電力端子65の周縁部とが離間するようになっている。これにより、バスバー61と電力端子65との間で電食が発生することを抑制することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、電気接続構造10を配線モジュール11に適用する構成について説明したが、これに限られず、本発明に係る電気接続構造10は配線モジュール11と異なる電気接続構造10に適用することができる。例えば、インバータ等の機器と電力線とを接続する構造や、車体とアース電線とを接続する構造等に適用してもよい。
(2)周縁退避部及び曲げ退避部の双方を電力端子に形成する構成としてもよい。また、周縁退避部及び曲げ退避部の一方をバスバーに形成し、他方を電力端子に形成する構成としてもよい。
(3)本実施形態においては、周縁退避部36は、電力端子16の周縁部から外方に突出して形成する構成としたが、これに限られず、電力端子16の周縁部から、バスバー15の板面に平行な方向について内方に引っ込んで形成する構成としてもよい。
(4)本実施形態に係る曲げ退避部37は、第1金属部材18の板面に対して略垂直に曲げられる構成としたが、これに限られず、曲げ退避部37は、第1金属部材18の板面に対して任意の角度に曲げられていてもよい。また、曲げ退避部37は、全体として円弧状に曲げられていてもよい。また、曲げ退避部37は、端部を内側に巻き込むような渦巻き状に曲げられていてもよい。このように曲げ退避部37は、必要に応じて任意の角度、及び任意の形状に曲げることができる。
(5)バスバー15と電力端子16とは、超音波溶接、抵抗溶接、レーザー溶接等の溶接により接続されてもよく、また、はんだ付け、ろう付けにより接続されてもよく、必要に応じて任意の方法により接続することができる。
(6)第1金属部材18が銅又は銅合金からなり、第2金属部材34がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる構成としてもよい。
(7)本実施形態においては、第2端子は蓄電モジュール40と機器との間を接続する電力線31の端末に接続された電力端子16であったが、これに限られず、電圧検知線21の端末に接続された電圧検知端子としてもよい。
(8)本実施形態においては、蓄電素子12は二次電池としたが、これに限られず、キャパシタ、コンデンサ等でもよい。
10,50,60:電気接続構造
11:配線モジュール
12:蓄電素子
13:蓄電素子群
15,51,61:バスバー(第1端子)
16,55,65:電力端子(第2端子)
18:第1金属部材
19:第1メッキ層
34:第2金属部材
35:第2メッキ層
36,52A,52B:周縁退避部(退避部)
37,63:曲げ退避部(退避部)

Claims (6)

  1. 板状の第1端子と、板状の第2端子とを重ねた状態で電気的に接続する電気接続構造であって、
    前記第1端子は、板状をなす第1金属部材と、前記第1金属部材の表面及び裏面に形成された第1メッキ層と、を備え、前記第1端子の周縁部には前記第1金属部材が露出しており、
    前記第2端子は、板状をなすと共に前記第1金属部材とはイオン化傾向の異なる金属からなる第2金属部材と、前記第2金属部材の表面及び裏面に形成されると共に前記第1メッキ層とイオン化傾向の同じ金属からなる第2メッキ層と、を備え、前記第2端子の周縁部には前記第2金属部材が露出しており、
    前記第1端子及び前記第2端子の一方は、前記第1端子及び前記第2端子の一方の周縁部と前記第1端子及び前記第2端子の他方の周縁部とを離間させる退避部を備える電気接続構造。
  2. 前記退避部は、前記第1端子及び前記第2端子の一方の周縁部が、前記第1端子及び前記第2端子の一方の板面に平行な方向について、前記第1端子及び前記第2端子の他方の周縁部よりも外方に突出するか、又は、内方に引っ込んでいる周縁退避部である請求項1に記載の電気接続構造。
  3. 前記退避部は、前記第1端子及び前記第2端子の一方の周縁部が、前記第1端子及び前記第2端子の他方の周縁部から離間する方向に曲がっている曲げ退避部である請求項1に記載の電気接続構造。
  4. 前記第1金属部材はアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、前記第2金属部材は銅又は銅合金からなる請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電気接続構造。
  5. 前記第1メッキ層及び前記第2メッキ層はスズ又はスズ合金からなる請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電気接続構造。
  6. 複数の蓄電素子を並べてなる蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、
    隣り合う前記蓄電素子間を電気的に接続する板状をなす複数の第1端子と、
    前記第1端子に重ねられた状態で電気的に接続される板状の第2端子と、
    前記第1端子及び前記第2端子が配される絶縁プロテクタと、を備え、
    前記第1端子は、板状をなす第1金属部材と、前記第1金属部材の表面及び裏面に形成された第1メッキ層と、を備え、前記第1端子の周縁部には前記第1金属部材が露出しており、
    前記第2端子は、板状をなすと共に前記第1金属部材とはイオン化傾向の異なる金属からなる第2金属部材と、前記第2金属部材の表面及び裏面に形成されると共に前記第1メッキ層とイオン化傾向の同じ金属からなる第2メッキ層と、を備え、前記第2端子の周縁部には前記第2金属部材が露出しており、
    前記第1端子及び前記第2端子の一方は、前記第1端子及び前記第2端子の一方の周縁部と前記第1端子及び前記第2端子の他方の周縁部とを離間させる退避部を備える配線モジュール。
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