ここで、特許文献1では、映画チケットの真贋を判定するために、上述の通り、予め、インクジェットヘッドのヘッド識別情報を識別情報データベースに記憶する作業や、識別データの照合時に、識別情報データベースに接続する作業が必要となり、処理が煩雑になる。
本発明の目的は、真贋の判定を容易に行うことができるようにする印刷方法、容易に真贋を判定する真贋判定方法、真贋の判定を容易に行うことができるようにする印刷装置及び印刷システム、並びに、真贋の判定を容易に行うことができるようにするプログラムが記録された記録媒体及びプログラムを提供することである。
第1の発明に係る印刷方法は、被記録媒体に印刷を行う印刷手段を制御する制御手段によって、画像データを作成する画像データ作成ステップと、前記印刷手段によって、前記画像データに基づいて画像を印刷する印刷ステップと、を備え、前記画像データ作成ステップにおいて、前記制御手段によって、ある対象物が本物であることを証明するための証明用画像に対応する第1画像データと、前記証明用画像の真贋を判定するための真贋判定用画像に対応する第2画像データと、を作成し、前記第1画像データ及び前記第2画像データのうち、一方の画像データが示す情報を参照して、他方の画像データを作成し、前記印刷ステップにおいて、前記印刷手段によって、前記第1画像データに基づいて前記証明用画像を印刷し、前記第2画像データに基づいて前記真贋判定用画像を印刷し、前記証明用画像は、複数のドットの配列で構成されるドットパターンであり、前記真贋判定用画像は、前記ドットパターンを構成するドットそれぞれの特性を示す複数の特性表示部を有する画像であり、前記複数の特性表示部は、前記ドットパターンを構成する各ドットよりも大きい。
第18の発明に係る印刷装置は、被記録媒体に印刷を行う印刷手段と、前記印刷手段の動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、ある対象物が本物であることを証明するための証明用画像に対応する第1画像データと、前記証明用画像の真贋を判定するための真贋判定用画像に対応する第2画像データと、を作成し、前記第1画像データ及び前記第2画像データのうち、一方の画像データが示す情報を参照して、他方の画像データを作成し、前記印刷手段は、前記第1画像データに基づいて前記証明用画像を印刷し、前記第2画像データに基づいて前記真贋判定用画像を印刷し、前記証明用画像は、複数のドットの配列で構成されるドットパターンであり、前記真贋判定用画像は、前記ドットパターンを構成するドットそれぞれの特性を示す複数の特性表示部を有する画像であり、前記複数の特性表示部は、前記ドットパターンを構成する各ドットよりも大きい。
第19の発明に係る印刷システムは、被記録媒体に印刷を行う印刷装置と、前記印刷装置の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、ある対象物が本物であることを証明するための証明用画像に対応する第1画像データと、前記証明用画像の真贋を判定するための真贋判定用画像に対応する第2画像データと、を作成し、前記第1画像データ及び前記第2画像データのうち、一方の画像データが示す情報を参照して、他方の画像データを作成し、前記印刷装置は、前記第1画像データに基づいて前記証明用画像を印刷し、前記第2画像データに基づいて前記真贋判定用画像を印刷し、前記証明用画像は、複数のドットの配列で構成されるドットパターンであり、前記真贋判定用画像は、前記ドットパターンを構成するドットそれぞれの特性を示す複数の特性表示部を有する画像であり、前記複数の特性表示部は、前記ドットパターンを構成する各ドットよりも大きいであり、前記複数の特性表示部は、前記ドットパターンを構成する各ドットよりも大きい。
第20の発明に係る記録媒体は、コンピュータに、画像データを作成する画像データ作成処理と、前記画像データに基づいて、被記録媒体に印刷を行う印刷手段に画像を印刷させるための印刷処理と、を実行させるプログラムが記録された記録媒体であって、前記画像データ作成処理は、ある対象物が本物であることを証明するための証明用画像に対応する第1画像データと、前記証明用画像の真贋を判定するための真贋判定用画像に対応する第2画像データと、を作成し、前記第1画像データ及び前記第2画像データのうち、一方の画像データが示す情報を参照して、他方の画像データを作成する処理であり、前記印刷処理は、前記印刷手段に、前記第1画像データに基づいて前記証明用画像を印刷させ、前記第2画像データに基づいて前記真贋判定用画像を印刷させるための処理であり、前記証明用画像は、複数のドットの配列で構成されるドットパターンであり、前記真贋判定用画像は、前記ドットパターンを構成するドットそれぞれの特性を示す複数の特性表示部を有する画像であり、前記複数の特性表示部は、前記ドットパターンを構成する各ドットよりも大きい。
第21の発明に係るプログラムは、コンピュータに、画像データを作成する画像データ作成処理と、前記画像データに基づいて、被記録媒体に印刷を行う印刷手段に画像を印刷させるための印刷処理と、を実行させるプログラムであって、前記画像データ作成処理は、ある対象物が本物であることを証明するための証明用画像に対応する第1画像データと、前記証明用画像の真贋を判定するための真贋判定用画像に対応する第2画像データと、を作成し、前記第1画像データ及び前記第2画像データのうち、一方の画像データが示す情報を参照して、他方の画像データを作成する処理であり、前記印刷処理は、前記印刷手段に、前記第1画像データに基づいて前記証明用画像を印刷させ、前記第2画像データに基づいて前記真贋判定用画像を印刷させるための処理であり、前記証明用画像は、複数のドットの配列で構成されるドットパターンであり、前記真贋判定用画像は、前記ドットパターンを構成するドットそれぞれの特性を示す複数の特性表示部を有する画像であり、前記複数の特性表示部は、前記ドットパターンを構成する各ドットよりも大きい。
これらの発明によると、証明用画像と真贋判定用画像とを比較することで、証明用画像の真贋を判定することができる。そして、証明用画像の真贋判定の結果によって、対象物の真贋を判定することができる。また、印刷された証明用画像と真贋判定用画像だけを用いて、証明用画像の真贋の判定を行うことができるため、真贋の判定を容易に行うことができる。
ここで、これらの発明のように、証明用画像と真贋判定用画像とが印刷される場合には、印刷された証明用画像及び真贋判定用画像が複写機等で複写されることが考えられる。しかしながら、通常、印刷された画像を複写する場合には、まず、スキャナなどに当該画像を読み取らせ、読み取った画像の画像データに応じて、新たに複写される画像におけるドット配列が決定され、決定されたドット配列に基づいて複写物が印刷される。そのため、元の画像と複写された画像とでは、ドット配列が異なっている。
その結果、真贋判定用画像を複写した場合には、複写された真贋判定用画像の各特性表示部におけるドット配列が、元の真贋判定用画像と異なるが、特性表示部はドットパターンの各ドットよりも大きいため、特性表示部全体としてみればほぼそのまま複写されたものとなる。これに対して、証明用画像を複写した場合には、ドットパターンにおけるドット配列が変わってしまい、元の証明用画像と複写された証明用画像とで、ドットパターンの各ドットの特性が全く異なるものとなる。すなわち、これらの発明では、証明用画像と真贋判定用画像とが印刷されているが、印刷された証明用画像を複写することはできない。
第2の発明に係る印刷方法は、第1の発明に係る印刷方法において、記憶手段に、予め、前記ドットの大きさを前記特性表示部のデータに変換するための変換情報を記憶させておき、前記画像データ作成ステップにおいて、前記制御手段によって、前記ドットパターンの各ドットの大きさを、前記記憶手段に記憶された前記変換情報に基づいて、前記特性表示部のデータに変換することで、前記第2画像データを作成する。
本発明によると、ドットの大きさを特性表示部のデータに変換するめの変換情報を予め記憶しておき、記憶された変換情報に基づいて、ドットパターンの各ドットの大きさを特性表示部のデータに変換することで、容易に、第1画像データが示す情報を参照して、第2画像データを作成することができる。
第3の発明に係る印刷方法は、第1又は第2の発明に係る印刷方法において、前記真贋判定用画像が、前記ドットパターンを拡大した画像である。
ドットパターンを拡大した拡大画像では、ドットパターンの各ドットに対応する部分(特性表示部)が、ドットパターンの各ドットよりも大きくなる。したがって、拡大画像を真贋判定用画像とすれば、真贋判定用画像が証明用画像を拡大した画像であるか否かによって、証明用画像の真贋の判定を直感的に行うことができる。
第4の発明に係る印刷方法は、第1〜第3のいずれかの発明に係る印刷方法において、前記証明用画像は、印刷手段に固有の固有情報に対応した前記ドットパターンである。
本発明によると、証明用画像及び真贋判定用画像が、特定の印刷手段によって印刷されたものであるか否かを判定することができる。
第5の発明に係る印刷方法は、第4の発明に係る印刷方法において、記憶手段に、予め前記固有情報を記憶させておき、前記画像データ作成ステップにおいて、前記制御手段によって、前記記憶手段に記憶された前記固有情報に基づいて、前記ドットパターンに対応する前記第1画像データを作成し、続いて、前記第1画像データが示す前記ドットパターンの情報を参照して、前記第2画像データを作成する。
本発明によると、印刷手段の固有情報を予め記憶しておき、記憶された固有情報に基づいてドットパターンに対応する第1画像データを作成することにより、容易に第1画像データを作成することができる。さらに、第1画像データが示すドットパターンの情報に基づいて、第2画像データを作成することにより、容易に、第1画像データが示す情報を参照して、第2画像データを作成することができる。
第6の発明に係る印刷方法は、第1〜第5のいずれかの発明に係る印刷方法において、前記真贋判定用画像が、前記ドットパターンの一部分を構成するドットに対応する前記特性表示部を有するものであり、前記制御手段によって、前記証明用画像のどの領域が前記真贋判定用画像に対応するかを示す領域情報を取得する領域情報取得ステップをさらに備え、前記画像データ作成ステップにおいて、前記制御手段によって、前記領域情報に基づいて、前記第1画像データが示す前記ドットパターンの前記一部分の情報を参照して、前記第2画像データを作成する。
ドットパターンの真贋判定用画像に対応する部分と、真贋判定用画像とを比較することにより、証明用画像の真贋を判定することができる。ここで、真贋判定用画像が、ドットパターンを構成する全てのドットについての特性表示部を有するものである場合、真贋判定用画像から、ドットパターンを構成する全てのドットの特性の情報が取得され、この情報に基づいてドットパターンが再現されてしまう可能性がある。
これに対して、本発明では、真贋判定用画像がドットパターンの一部分におけるドットに対応する特性表示部を有するものであるため、上述したような場合にも、真贋判定用画像からは、ドットパターンの一部分におけるドットの特性の情報しか取得することができず、取得した情報からドットパターンを完全に再現することはできない。なお、本発明の場合、ドットパターンの一部分が再現されると、再現されたドットパターンの一部分におけるドットの特性と、真贋判定用画像の特性表示部が示すドットの特性とが一致する。そのため、再現されたドットパターンと真贋判定用画像とだけからは、ドットパターンが再現されたものであるか否かを判定することはできない。しかしながら、再現されたドットパターンは、上記一部分以外の部分の部分において元のドットパターンと相違するため、改めてドットパターンを印刷し、印刷したドットパターンと再現されたドットパターンとを比較するなどすれば、ドットパターンが再現されたものであるか否かの判定を行うことはできる。
第7の発明に係る印刷方法は、第6の発明に係る印刷方法において、前記画像データ作成ステップにおいて、前記制御手段によって、前記証明用画像のどの領域が、前記真贋判定用画像に対応する領域であるかを表示するための領域表示画像に対応する第3画像データをさらに作成し、前記印刷ステップにおいて、前記領域情報と前記第3画像データとに基づいて前記領域表示画像をさらに印刷する。
本発明によると、領域表示画像に基づいて、証明用画像のどの領域が真贋判定用画像に対応しているかを容易に把握することができる。
第8の発明に係る印刷方法は、第1〜第7のいずれかの発明に係る印刷方法において、前記印刷手段は、複数のノズルからインクを吐出して被記録媒体にドットを形成するインクジェットヘッドを備えたものである。
本発明によると、印刷手段がインクジェットヘッドを備えたものである場合には、複写困難なほど小さいドットによって構成されるドットパターンを印刷することができる。
第9の発明に係る印刷方法は、第8の発明に係る印刷方法において、前記印刷手段は、所定の走査方向に移動しつつ複数のノズルからインクを吐出する前記インクジェットヘッドを備えたものであって、前記印刷ステップにおいて、前記証明用画像の印刷時における前記インクジェットヘッドの移動速度を、前記真贋判定用画像の印刷時における前記インクジェットヘッドの移動速度よりも遅くする。
インクジェットヘッドでは、ノズルからインクが吐出されると、インクが吐出された直後に、吐出されたインクも小さなサテライトインクが吐出される。証明用画像は小さなドットによって構成されるドットパターンであるので、吐出されたインクとサテライトインクとが離れて着弾すると、サテライトインクが1つのドットと誤認されてしまう虞がある。一方で、印刷装置が、走査方向に移動しつつノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドを備えたものである場合、インクジェットヘッドの移動速度が速くなるほど、インクが吐出されたときのノズルの位置と、その直後にサテライトインクが吐出されたときのノズルの位置とが大きく離れ、吐出されたインクとサテライトインクとが大きく離れて着弾する。
本発明では、印刷装置が、走査方向に移動しつつノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドを備えたものであり、証明用画像の印刷時におけるインクジェットヘッドの移動速度が、真贋判定用画像の印刷時におけるインクじぇとヘッドの移動速度よりも遅い。したがって、証明用画像の印刷時に、インクが吐出されたときのノズルの位置と、その直後にサテライトインクが吐出されたときのノズルの位置とが近くなり、吐出されたインクとサテライトインクとが重なって着弾する。これにより、上述したような問題が生じてしまうのを防止することができる。
第10の発明は、第1〜第8のいずれかの発明に係る印刷方法において、前記印刷手段は、被記録媒体にドットを形成するための複数のドット形成素子を備えたものであって、前記画像データ作成ステップにおいて、前記制御手段によって、前記ドット形成素子が正常に動作しているか否かを判定するための素子判定用画像に対応する第4画像データをさらに作成し、前記印刷ステップにおいて、前記印刷手段によって、前記証明用画像及び前記真贋判定用画像の印刷に使用するのと同じ前記ドット形成素子を用いて、前記第4画像データに基づいて、前記素子判定用画像をさらに印刷する。
一部のドット形成素子が正常に動作しないことで、証明用画像や真贋判定用画像の一部のドットが形成されないことがある。しかしながら、証明用画像と真贋判定用画像とだけからでは、これらの画像のドットが形成されていない部分が、ドット形成素子が正常に動作しないことでドットが形成されなかった部分であるのか、本来ドットが形成されない部分であるのかを区別することができない。
本発明では、証明用画像及び真贋判定用画像の印刷に使用するのと同じドット形成素子を用いて素子判定用画像を印刷するため、素子判定用画像の印刷結果から、証明用画像及び真贋判定用画像のドットが形成されていない部分が、ドット形成素子が正常に動作しないことでドットが形成されなかった部分であるのか、本来ドットが形成されない部分であるのかを判定することができる。
第11の発明に係る印刷方法は、第10の発明に係る印刷方法において、前記印刷手段は、前記複数のドット形成素子としてノズルからインクを吐出する複数のインク吐出素子を有し、所定の走査方向に移動しつつ複数のノズルからインクを吐出することによってドットを形成するインクジェットヘッドを備えたものであって、前記印刷ステップにおいて、前記印刷手段によって、前記証明用画像と前記真贋判定用画像と前記素子判定用画像とが、前記走査方向に並ぶように印刷を行う。
走査方向に移動しつつノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドを備えた印刷手段において、一部のノズルが目詰まりして正常にインクが吐出されないと、証明用画像や真贋判定用画像に、インクの着弾しない走査方向に延びた筋ができることがある。しかしながら、証明用画像と真贋判定用画像とからだけでは、これらの画像できた上記筋が、ノズルから正常にインクが吐出されなかったことによってできたものであるのか、本来できるものであるのかを判定することができない。
本発明では、証明用画像と真贋判定用画像と素子判定用画像とを走査方向に並べて印刷している。したがって、素子判定用画像の、素子判定用画像の上記部分にインクが着弾していなければ、証明用画像や真贋判定用画像の上記筋はノズルから正常にインクが吐出されなかったことによってできたものであることがわかる。また、走査方向から見て証明用画像や真贋判定用画像の上記筋と重なる部分にインクが着弾していれば、証明用画像や真贋判定用画像の上記筋は本来できるものであることがわかる。
第12の発明に係る印刷方法は、第1〜第11のいずれかの発明に係る印刷方法において、前記印刷ステップにおいて、前記印刷手段によって、前記証明用画像と前記真贋判定用画像とを、互いに隣接するように印刷する。
本発明によると、ドットパターンと真贋判定用画像とが隣接して印刷されるので、証明用画像と真贋判定用画像との比較を容易に行うことができる。
第13の発明に係る印刷方法は、第1〜第12のいずれかの発明に係る印刷方法において、前記画像データ作成ステップにおいて、前記制御手段によって、前記証明用画像により本物であることが証明される前記対象物である被証明画像に対応する第5画像データをさらに作成し、前記印刷ステップにおいて、前記印刷手段によって、前記第5画像データに基づいて、前記被証明画像をさらに印刷し、前記証明用画像と前記真贋判定用画像と前記被証明画像とを、互いに重ならないように印刷する。
本発明によると、証明用画像と真贋判定用画像と被証明画像とが重なっていないため、証明用画像と真贋判定用画像との比較を容易に行うことができる。
第14の発明に係る印刷方法は、第1〜第12のいずれかの発明に係る印刷方法において、前記画像データ作成ステップにおいて、前記制御手段によって、前記証明用画像により本物であることが証明される前記対象物である被証明画像の一部分に前記ドットパターンが設けられた画像に対応する前記第1画像データを作成する。
本発明によると、被証明用画像の一部分が証明用画像となるため、被証明画像と別に証明用画像を印刷する必要がない。
第15の発明に係る真贋判定方法は、第1〜第14のいずれかの発明に係る印刷方法によって印刷された前記証明用画像と前記真贋判定用画像とを用いて、前記対象物が本物であるか否かを判定する真贋判定方法であって、印刷された前記証明用画像と真贋判定用画像とに基づいて、前記証明用画像の真贋を判定することによって、前記対象物の真贋を判定する真贋判定ステップを備えている。
本発明によると、証明用画像と真贋判定用画像とから、証明用画像の真贋を判定することができる。そして、証明用画像の真贋判定に結果によって、対象物の真贋を判定することができる。また、印刷された証明用画像と真贋判定用画像だけを用いて、証明用画像の真贋の判定を行うことができるので、証明用画像の真贋の判定を容易に行うことができる。
第16の発明に係る真贋判定方法は、第15の発明に係る真贋判定方法において、請求項2に記載の印刷方法によって印刷された前記証明用画像と前記真贋判定用画像とを用いて、前記対象物が本物であるか否かを判定する真贋判定方法であって、被記録媒体に印刷された画像を読み取る読み取り手段によって、印刷された前記証明用画像及び前記真贋判定用画像を読み取る読取ステップと、前記制御手段によって、前記証明用画像の読み取り結果から得られる画像を拡大した第1読取画像に対応する第1読取画像データ、及び、前記真贋判定用画像の読み取り結果から得られる画像及び当該画像を拡大した画像のいずれかである第2読取画像に対応する第2読取画像データを作成する読取画像データ作成ステップと、前記印刷手段によって、前記第1読取画像データに基づいて前記第1読取画像を印刷し、前記第2読取画像データに基づいて前記第2読取画像を印刷する読取画像印刷ステップと、をさらに備え、前記真贋判定ステップにおいて、印刷された前記第1読取画像と前記第2読取画像とに基づいて、前記証明用画像の真贋を判定する
本発明によると、印刷された第1読取画像と第2読取画像とを比較することで、証明用画像の真贋を判定することができる。また、証明用画像は小さな画像であり、そのままの大きさでは目視で確認しづらいこともあるが、本発明では、第1読取画像は、証明用画像の読み取り結果から得られる画像を拡大したものであるため、第1読取画像と第2読取画像との比較を行いやすい。
第17の発明に係る真贋判定方法は、第16の発明に係る真贋判定方法において、前記印刷手段が、互いに異なる色のカラーインクを吐出する複数種類のカラーノズルを有するインクジェットヘッドを備えたものであって、前記第1読取画像は、前記証明用画像の読み取り結果から得られる画像を前記第2読取画像と同じ大きさに拡大した画像であって、前記読取画像印刷ステップにおいて、前記印刷手段によって、ある色のカラーインクを吐出するノズルからカラーインクを吐出させて、被記録媒体に前記第1読取画像を印刷し、前記第1読取画像とは別の色のカラーインクを吐出するカラーノズルからカラーインクを吐出させて、前記被記録媒体の前記第1読取画像が印刷されるのと同じ位置に前記第2読取画像を印刷し、前記真贋判定ステップにおいて、前記第1読取画像と前記第2読取画像とが重なることによって形成された重なり画像全体の色が、前記第1読取画像の色と前記第2読取画像の色とが混ざった色である場合に、前記証明用画像が本物であると判定し、前記重なり画像に、前記第1読取画像の色の部分、及び、前記第2読取画像の色の部分のうち少なくともいずれか一方の部分が存在している場合に、前記証明用画像が本物ではないと判定する。
印刷画像から証明用画像及び真贋判定用画像を読み取った場合には、第1読取画像と第2読取画像とが一致するため、第1読取画像と第2読取画像とを被記録媒体の同じ位置に印刷すると、重なり画像全体が、第1読取画像の色と第2読取画像の色とが混ざった色となる。一方、複写画像から証明用画像及び真贋判定用画像を読み取った場合には、第1読取画像と第2読取画像とが異なるため、第1読取画像と第2読取画像とを被記録媒体の同じ位置に印刷すると、重なり画像に、第1読取画像の色の部分、及び、第2読取画像の色の部分のうち、少なくとも一方の部分が存在する。以上のことから、本発明では、印刷された重なり画像の色から、証明用画像の真贋を容易に判定することができる。
本発明によれば、証明用画像と真贋判定用画像とを比較することで、証明用画像の真贋を判定することができる。そして、証明用画像の真贋判定に結果によって、対象物の真贋を判定することができる。また、印刷された証明用画像と真贋判定用画像だけを用いて、証明用画像の真贋の判定を行うことができるので、証明用画像の真贋の判定を容易に行うことができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
(プリンタの構成)
本実施の形態に係るプリンタ1(本発明の「印刷装置」)は、記録用紙Pに対する印刷のほか、画像の読み取りなども行うことが可能な、いわゆる複合機である。プリンタ1は、印刷部2(図2参照、本発明の「印刷手段」)、給紙部3、排紙部4、読取部5(本発明の「読取手段」)、操作部6、表示部7などを備えている。
印刷部2は、プリンタ1の内部に設けられ、記録用紙Pへの印刷を行う。印刷部2については、後程詳細に説明する。給紙部3は、印刷部2により印刷が行われる記録用紙Pを供給するための部分である。排紙部4は、印刷部2により印刷が行われた記録用紙Pが排出される部分である。読取部5は、スキャナなどであって、画像の読み取りを行う部分である。操作部6は、ボタンなどを備えており、ユーザーは、操作部6のボタンなどを操作することによって、プリンタ1に対して必要な操作を行う。表示部7は液晶ディスプレイなどであって、プリンタ1の使用時に必要な情報を表示する。
(印刷部の構成)
次に、印刷部2について詳細に説明する。印刷部2は、図2に示すように、キャリッジ11、インクジェットヘッド12、給紙ローラ13及び排紙ローラ14を備えている。
キャリッジ11は、走査方向に延びた2本のガイドレール15に支持され、ガイドレール15に沿って走査方向に往復移動する。なお、以下では、図1に示すように走査方向の右側及び左側を定義して説明を行う。
インクジェットヘッド12は、キャリッジ11に搭載され、その下面に形成された複数のノズル10からインクを吐出する。複数のノズル10は、走査方向と直交する搬送方向に配列されることによってノズル列9を形成しており、インクジェットヘッド12は、走査方向に配列された4つのノズル列9を備えている。そして、複数のノズル10からは、右側のノズル列9を形成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。なお、本実施の形態では、インクジェットヘッド12のうち、各ノズル10とそのノズル10からインクを吐出させるために必要な部分とを合わせた部分が、それぞれ、本発明に係るインク吐出素子、及び、ドット形成素子に相当する。
給紙ローラ13は、キャリッジ11の搬送方向上流側に配置され、給紙部3から供給された記録用紙Pを搬送方向に搬送する。排紙ローラ14は、キャリッジ11の搬送方向下流側に配置され、記録用紙Pを排紙部4に向けて搬送方向に搬送する。
そして、印刷部2では、給紙ローラ13及び排紙ローラ14により、給紙部3から供給された記録用紙Pを搬送方向に搬送しつつ、キャリッジ11とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド12からインクを吐出することによって、記録用紙Pに印刷を行う。また、印刷が完了した記録用紙Pは、排紙ローラ14によって排紙部4に排出される。
(プリンタの電気的構成)
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。図3に示すように、プリンタ1は、上述した構成の他に、制御装置50を備えている。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)54などからなり、これらが、入力された印刷指令や操作部6の操作などに応じて協働し、印刷部2の動作(キャリッジ11、インクジェットヘッド12等の動作)、読取部5の動作、表示部7の表示などの制御を行う。なお、制御装置50は、CPU51を1つだけ備え、この1つのCPU51が処理を一括して行ってもよいし、CPU51を複数備え、これら複数のCPU51が処理を分担して行ってもよい。また、制御装置50は、ASIC54を1つだけ備え、この1つのASIC54が処理を一括して行ってもよいし、ASIC54を複数備え、これら複数のASIC54が処理を分担して行ってもよい。
(印刷される画像)
ここで、プリンタ1では、図4に示すような、入力された印刷指令に基づいて印刷される本画像61(本発明の「被証明画像」)に、ドットパターン62(本発明の「証明用画像」)と拡大画像63(本発明の「真贋判定用画像」)を加えた画像を印刷することができるようになっている。なお、これらの画像の向きは、印刷後に記録用紙Pの向きを変更すれば任意に変更されるが、ここでは、便宜上、印刷された画像が、印刷部2で印刷されたときの向きに配置されているとして説明を行う。
ドットパターン62は、図5に示すように、複数のドット62aが走査方向及び搬送方向に配列されることによって形成されたパターンであり、記録用紙Pの搬送方向上流側の端部に本画像61と重ならないように配置されている。ここで、ドットパターン62のドット配列は、例えばプリンタ1のIPアドレス、シリアルナンバー等、制御装置50のRAM53(本発明の「記憶手段」)などに予め記憶された、プリンタ1の固有情報に対応している。より詳細に説明すると、ドットパターン62の各ドット62aは、それぞれ、大ドット62a1、小ドット62a2及びドット無し(大きさが0のドット)のいずれかであり、「2」が大ドット62a1、「1」が小ドット62a2、「0」がドット無しにそれぞれ割り当てられている。そして、ドットパターン62における大ドット62a1、小ドット62a2及びドット無しの配列が、プリンタ1の固有情報を3進数に変換した値に対応している。なお、本実施の形態では、ドットパターン62の各ドット62aの大きさ(ドット62aの大きさが0であることも含む)が、本発明に係るドットの特性に相当する。ここで、ドット62aの大きさは、例えば、250μm以下である。
拡大画像63は、ドットパターン62を拡大した画像であり、記録用紙Pのドットパターン62の右側に隣接する領域に、本画像61と重ならないように配置されている。拡大画像63は、ドットパターン62の複数のドット62aに対応する複数の拡大ドット63a(本発明の特性表示部)によって構成されている。拡大ドット63aは、走査方向及び搬送方向に配列された複数のドット63bが一体となったものであり、その大きさが、ドットパターン62のドット62aの大きさに対応している。
(印刷手順)
次に、プリンタ1において、本画像61にドットパターン62と拡大画像63とを加えた画像を印刷する手順について説明する。ここで、プリンタ1では、本画像61にドットパターン62と拡大画像63とを加えた画像の印刷を実現するために、制御装置50のROM52に、予め、制御装置50及び印刷部2に、以下に説明するような処理を実行させるためのプログラムが記憶されている。なお、制御装置50のROM52には、これとは別に、制御装置50及び印刷部2に通常の印刷を行わせる、以下に説明するような処理を実行させるためのプログラムなども記憶されている。ただし、通常の印刷については従来と同様であるので、これ以上の説明は省略する。そして、本実施の形態では、操作部7を操作することにより、印刷部2に、通常の印刷と、本画像61にドットパターン62と拡大画像63とを加えた画像の印刷のいずれかを選択的に行わせることができるようになっている。また、ドットパターン62及び拡大画像63の印刷は、例えば、600×300dpiで行われる。
プリンタ1において、このような画像を印刷するためには、図6に示すように、まず、制御装置50が、入力された印刷指令に基づいて本画像61の画像データ(本発明の「第5画像データ」)を作成する(ステップS101)。なお、以下では、「ステップS101」を単に「S101」とするなど、「ステップ」を省略して説明を行う。
続いて、制御装置50が、RAM53等(本発明の「記憶手段」)に記憶されたプリンタ1の固有情報に基づいて、ドットパターン62の画像データ(本発明の「第1画像データ」)を作成する(S102)。続いて、制御装置50が、S102で生成されたドットパターン62の画像データの情報や、RAM53等に記憶された拡大画像63のドットパターン62に対する拡大率(本発明の「変換情報」)の情報等を参照して、拡大画像63の画像データ(本発明の「第2画像データ」)を作成する(S103)。
なお、S101の画像データの生成と、S102、S103の画像データの作成とは順序が逆であってもよい。あるいは、S101〜S103の画像データの作成を並行して行ってもよい。そして、S101〜S103のステップを合わせたものが、本発明に係る画像データ生成ステップに相当する。また、本実施の形態では、ROM52に記憶されたプログラムに基づいて、制御装置50がS101〜S103のような画像データの作成のために実行する処理が、本発明に係る画像データ作成処理に相当する。
続いて、制御装置50において、S101〜S103で作成された画像データに基づいて、図5に示すように画像を印刷するための印刷データを生成する(S104)。そして、制御装置50が、S104で作成された印刷データに基づいて印刷部2の動作を制御することで、図5に示すような画像を印刷する(S105、印刷ステップ)。このとき、制御装置50は、ドットパターン62および拡大画像63が印刷データに基づく印刷画像に重ならないように、位置を決定して印刷を行う。また、このとき、ドットパターン62の印刷時におけるキャリッジ11の移動速度を、本画像61及び拡大画像63の印刷時におけるキャリッジ11の移動速度よりも遅くする。
なお、S105での印刷は、上記4色(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)のいずれの色のインクを吐出することによって行ってもよい。また、本実施の形態では、ROM52に記憶されたプログラムに基づいて、印刷部2がS105の画像の印刷のために実行する処理が、本発明に係る画像データ作成処理に相当する。
以上に説明した実施の形態によると、ドットパターン62及び拡大画像63が上記S101〜S105のステップによって印刷されたものである場合には、拡大画像63が、ドットパターン62を拡大したものと一致する。
これに対して、上記S101〜S105のステップによって印刷されたドットパターン62及び拡大画像63を通常の複写機等を用いて複写した場合には、複写された拡大画像63は元の拡大画像とほぼ同じとなるが、複写されたドットパターン62は、元のドットパターン62とは全く異なるものとなる。
より詳細に説明すると、通常、ある画像を複写機等で複写する場合には、まず、当該画像がスキャナ等で読み取られる。そして、その読み取り結果から得られる画像の濃度分布に基づいて、複写物の各領域におけるドットの配置および大きさが決定される。そして、決定されたドットの配置および大きさに基づいて、複写物の印刷が行われる。したがって、複写物においては、ドットパターン62や拡大画像63を構成する各ドット62a、63bの配置および大きさが、元のドットパターン62や拡大画像63を構成する各ドット62a、63bの配置及び大きさと異なっている。
拡大画像63の拡大ドット63aは、複数のドット63bが一体となった、ドットパターン62を構成する各ドット62aよりも大きなものであるため、元の拡大ドット63aと複写された拡大ドット63aとで、各ドット63bの配置および大きさが多少異なっていても、拡大ドット63aを全体として見れば、ほぼ同じものとなる。したがって、元の拡大画像63と複写された拡大画像63とはほぼ一致する。これに対して、ドットパターン62の各ドット62aの配置及び大きさが変わってしまうと、ドットパターン62全体として全く異なるものとなるため、元のドットパターン62と複写されたドットパターン62とは、全く異なるものとなる。ここで、ドット62aの大きさが250μm以下であれば、ドットパターン62を通常の複写機で複写したときに、ほぼ確実に、元のドットパターン62と複写されたドットパターン62とが、全く異なるものとなり、ドットパターン62の複写が困難となる。
以上のことから、印刷されたドットパターン62と拡大画像63とを比較し、拡大画像63がドットパターン62を拡大した画像と一致している場合には、ドットパターン62が本物である(複写されたものではない)と判定することができる、これによって、ドットパターン62により本物であると証明される本画像61も本物であると判定することができる。これに対して、拡大画像63がドットパターン62を拡大した画像と異なっている場合には、ドットパターン62は本物ではないと判定することができ、これにより、本画像61も本物でないと判定することができる。
ここで、ドットパターン62と拡大画像63とを比較する際には、ユーザーは、ドットパターン62を、直接あるいは拡大鏡等を介して目視で確認する。なお、本実施の形態では、ユーザーが、印刷されたドットパターン62と拡大画像63とを比較して、ドットパターン62の真贋を判定するステップが、本発明に係る真贋判定ステップに相当する。
また、本実施の形態では、S102において、制御装置50のRAMなどに記憶されたプリンタ1の固有情報に基づいて、ドットパターン62の画像データを作成し、作成されたドットパターン62の画像データが示す情報を参照して、拡大画像63の画像データを作成している。これにより、上述の通り、S101〜S105のステップによって印刷された印刷物において、拡大画像63がドットパターン62を拡大したものと一致する。
また、本実施の形態では、印刷部2が、インクジェットヘッド12によりノズル10からインクを吐出させることによって、記録用紙Pに印刷を行うものであるので、複写できないほど小さな(例えば、250μm以下の)ドット62aによって構成されるドットパターン62を印刷することができる。
また、本実施の形態では、ドットパターン62と拡大画像63とが隣接して配置され、ドットパターン62及び拡大画像63が、本画像61と重ならないように印刷されているため、ドットパターン62と拡大画像63との比較を行いやすい。
また、ノズル15からインクを吐出するインクジェットヘッド12では、ノズル15からインクが吐出されたときに、当該インクとともに、これよりも小さないわゆるサテライトインクが吐出されることがある。このとき、仮に吐出されたインクとサテライトインクとが記録用紙Pの離れた位置に着弾すると、印刷されたドットパターン62において、着弾したサテライトが小ドット62bでると誤認されてしまう虞がある。
一方で、印刷部2が、キャリッジ11とともに走査方向に移動しつつノズル15からインクを吐出するインクジェットヘッド12を備えたものである場合、キャリッジ11の移動速度が速くなるほど、インクが吐出されたときのノズル15の位置と、その直後にサテライトインクが吐出されたときのノズル15の位置とが大きく離れ、吐出されたインクとサテライトインクとが大きく離れて着弾することになる。
そこで、本実施の形態では、ドットパターン62の印刷時におけるキャリッジ11の移動速度を、本画像61及び拡大画像63の印刷時におけるキャリッジ11の移動速度よりも遅くしている。したがって、インクが吐出されたときのノズル15の位置と、その直後にサテライトインクが吐出されたときのノズル15の位置とが近くなり、ノズル15から吐出されたインクと、このインクとともに吐出されたサテライトインクとが重なって着弾する。これにより、上述したような問題が発生するのを防止することができる。
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。
一変形例(変形例1)では、図7に示すように、ドットパターン62の左側に、吐出判定用パターン71(本発明の「素子判定用画像」)をさらに印刷する。吐出判定用パターン71は、大ドット62a1と同じ大きさのドット71aがドットパターン62と同じ数だけ搬送方向に2列に配列されることによって形成されたパターンである。そして、変形例1では、図8に示すように、上記S103の後、S104の前に、吐出判定用パターン71の画像データ(本発明の第4画像データ)を作成する(S106、本発明の「第4画像データ作成ステップ」)。なお、S106の画像データの作成は、S104よりも前であればどのタイミングで行ってもよい。
そして、上記S104において、吐出判定用パターン71が、ドットパターン62の左側に配置されるような画像の印刷データを作成する。すなわち、吐出判定用パターン71の印刷に、ドットパターン62の印刷に使用するのと同じノズル10が用いられるような印刷データを作成する。
キャリッジ11とともに走査方向に往復移動しつつ、ノズル10からインクを吐出させることによって印刷を行う、いわゆるシリアル式のインクジェットヘッド12を備えた印刷部2によって印刷を行った場合、ノズル10の目詰まりなどにより、あるノズル10から正常にインクが吐出されないことがある。この場合、図9(a)に示すように、ドットパターン62に、ドット62aが存在しない、走査方向に延びた筋72ができることがある。しかしながら、ドットパターン62と拡大画像63とからだけでは、筋72が、図9(a)に示すように、ノズル10から正常にインクが吐出されなかったことによってできたものであるのか、図9(b)に示すように、ドットパターン62を印刷したときに本来できるものである(例えば、プリンタ1の固有情報の筋72に対応する部分の値が「0、0、0、0、0」である)のかを区別することができない。
これに対して、変形例1では、ノズル10から正常にインクが吐出されないことによって筋72ができた場合には、図9(a)に示すように、吐出判定用パターン71の、筋72と走査方向に重なる部分に筋73ができる。一方、筋72が、ドットパターン62を印刷したときに本来できるものである場合には、図9(b)に示すように、吐出判定用パターン71の、筋72と走査方向に重なる部分に筋73はできない。
したがって、吐出判定用パターン71に筋73が存在している場合には、筋72がノズル10から正常にインクが吐出されなかったことによってできたものであることがわかる。そして、この場合には、ドットパターン62のうち筋72以外の部分と、拡大画像63のこれに対応する部分とを比較することにより、ドットパターン62の真贋を判定することができる。なお、この場合には、拡大画像63にも筋74ができるが、拡大画像63の拡大ドット63aに筋74ができるだけで、拡大ドット63a全体が印刷されなくなるわけではないので、ドットパターン62と拡大画像63との比較に特に支障はない。
一方、吐出判定用パターン71に筋73が存在していない場合には、筋72が、ドットパターン62を印刷したときに本来できるものであることがわかる。そして、この場合には、上述の実施の形態と同様、ドットパターン62全体と拡大画像63全体とを比較することにより、ドットパターン62の真贋を判定することができる。
また、変形例1では、ドットパターン62と吐出判定用パターン71とが走査方向に並んでいたが、ドットパターン62と吐出判定用パターン71とは走査方向に並んでいなくてもよい。この場合でも、ドットパターン62と吐出判定用パターン71とを同じノズル10からインクを吐出させることによって印刷すれば、筋72が、ノズル10から正常にインクが吐出されなかったことによってできたものであるか、ドットパターン62を印刷したときに本来できるものであるかを区別することができる。また、吐出判定用パターン71は、ノズル10から正常にインクが吐出されたか否かを判定可能なものであれば、上述したのとは別のパターンであってもよい。
また、上述の実施の形態では、印刷されたドットパターン62と拡大画像63とを目視等で直接比較することで、ドットパターン62の真贋を判定したが、これには限られない。例えば、記録物を受け取った者が読み取り装置に吐出判定用パターン71、ドットパターン62および拡大画像63を読み取らせ、読み取り装置が吐出判定用パターン71における筋の有無を判断し、さらにドットパターン62と拡大画像63とを比較して真贋を判定するようにしてもよい。
別の一変形例(変形例2)では、図10に示すように、S101〜S105のステップによって印刷されたドットパターン62及び拡大画像63を、プリンタ1の読取部5に読み取らせる(S201、本発明の「読取ステップ」)。
続いて、制御装置50が、ドットパターン62の読み取り結果から得られる画像を、拡大画像63のドットパターン62に対する拡大率で拡大し、さらに、RAM53等に記憶された所定の拡大率で拡大した第1読取画像81(図11参照)の画像データ(本発明の第1読取画像データ)を作成する(S202)。
続いて、制御装置50において、拡大画像63の読み取り結果から得られる画像を、上記所定の拡大率で拡大した第2読取画像82(図11参照)の画像データ(本発明の「第2読取画像データ」)を作成する(S203)。
なお、本実施の形態では、S202、S203のステップが、本発明に係る読取画像データ作成ステップに相当する。また、S202とS203は前後が逆であってもよい。
続いて、制御装置50が、S202、S203で作成した画像データに基づいて、図11に示すような、第1読取画像81と第2読取画像82とが走査方向に隣接して並んだ画像を印刷するための印刷データを作成する(S204)。そして、印刷部2によって、S204で作成した印刷データに基づいて、図11に示すような画像を印刷する(S205、読取画像印刷ステップ)。
この場合には、S201〜S205のステップで印刷された第1読取画像81と第2読取画像82とを比較することで、ドットパターン62の真贋を判定する(本願の「真贋判定ステップ」)。具体的には、第1読取画像81と第2読取画像82とが一致している場合には、ドットパターン62が本物であると判定し、第1読取画像81と第2読取画像82とが異なっている場合には、ドットパターン62が偽物であると判定する。
ここで、S101〜S105のステップで印刷されるドットパターン62は小さなものであり、目視では確認しづらい場合がある。変形例2では、印刷されたドットパターン62及び拡大画像63を読み取り、ドットパターン62の読み取り結果から得られる画像を拡大した第1読取画像81と、拡大画像63の読取結果から得られる画像を拡大した第2読取画像82とが走査方向に並んだ画像を印刷するため、印刷された第1読取画像81と第2読取画像82とを比較することにより、ドットパターン62の真贋の判定を容易に行うことができる。
なお、変形例2では、第1読取画像81と第2読取画像82とが走査方向に並んでいたが、第1読取画像81と第2読取画像82との位置関係は、これには限られず、例えば、第1読取画像81と第2読取画像82とが搬送方向に並んでいるなどしてもよい。
また、別の一変形例(変形例3)では、変形例2のS204において、図12(a)、(b)に示すような、第1読取画像81を、ある色のカラーインク(例えば、シアンインク)で印刷し、第2読取画像82を、記録用紙Pの第1読取画像91が印刷されるのと同じ位置に、第1読取画像81とは異なる色のカラーインク(例えば、イエローインク)で印刷するための印刷データを作成する。そして、S205において、S204で作成した印刷データに基づいて画像の印刷を行うことによって、第1読取画像81と第2読取画像82とが重なった重なり画像90を印刷する。なお、図12(a)、(b)では、第1読取画像81の色を直線のハッチングで示し、第2読取画像82の色をドットのハッチングで示している。
この場合には、第1読取画像81と第2読取画像82とが完全に一致していれば、図12(a)に示すように、印刷された重なり画像90全体が、第1読取画像81の色と第2読取画像82の色とが混ざった色(例えば、第1読取画像81がシアン、第2読取画像82がイエローの場合にグリーン等)となる。一方、第1読取画像81と第2読取画像82とが完全に一致しない場合には、図12(b)に示すように、印刷された重なり画像90に、第1読取画像91の色の部分90a(例えば、色がシアンの部分)、及び、第2読取画像92の色の部分90b(例えば、色がイエローの部分)のうち少なくともいずれか一方の部分が存在する。
したがって、変形例3では、重なり画像90全体の色が第1読取画像81の色と第2読取画像82の色とが混ざった色である場合に、ドットパターン62が本物であると判定できる。また、重なり画像90に部分90a、90bのうち少なくともいずれか一方の部分が存在する場合に、ドットパターン62は偽物であると判定することができる。このように、変形例3では、印刷された重なり画像90の色によって、ドットパターン62の真贋の判定を容易に行うことができる。
なお、変形例2、3では、第2読取画像82が、拡大画像の読み取り結果から得られる画像を拡大したものであったが、これには限られない。例えば、第1読取画像81が、ドットパターン62の読み取り結果から得られる画像を、拡大画像63のドットパターン62に対する拡大率で拡大した画像であり、第2読取画像82が、拡大画像63の読み取り結果から得られる画像そのものであってもよい。拡大画像63は、ある程度大きな画像であるので、この場合でも、第1読取画像81と第2読取画像82が視認しづらくなることはない。
また、変形例3の場合には、第1読取画像81の大きさと第2読取画像82の大きさとが同じである必要があるが、変形例2の場合には、第1読取画像81の大きさと第2読取画像82の大きさとが異なっていてもよい。
また、変形例2、3では、ドットパターン62及び拡大画像63の読み取り結果に基づいて読取画像81、82(重なり画像90)を印刷し、ユーザーが印刷された読取画像81、82(重なり画像90)基づいて、ドットパターン62の真贋を判定できるようにしたが、これには限られない。例えば、制御装置50において、ドットパターン62の読み取り結果と、拡大画像63の読み取り結果とに基づいて、ドットパターン62の真贋を判定するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、拡大画像63が、ドットパターン62全体を拡大したものであったがこれには限られない。別の一変形例(変形例4)では、図13に示すように、拡大画像101が、ドットパターン62の一部分(図13では、略上半分)を拡大したものとなっている。また、ドットパターン62のうち、拡大画像101に対応する部分は、背景パターン102(本発明の「領域表示画像」)上に配置されている。背景パターン102は、例えば、ドットパターン62とは別の色のインクによって印刷された塗りつぶしパターンなどであり、ドットパターン62のどの領域が拡大画像101に対応しているかを示している。また、拡大画像101は、背景パターン102を、拡大画像101のドットパターン62に対する拡大率で拡大した拡大背景パターン103上に配置されている。
そして、このような画像を印刷するためには、図14に示すように、S102の後、S103の前に、RAM53などに記憶された、ドットパターン62のどの領域が拡大画像101に対応するかを示す領域情報を取得する(S107、領域情報取得ステップ)。そして、上記S103において、S107で取得した領域情報に基づいて、S102で作成した画像データの一部の情報を参照して、拡大画像101の画像データ(本発明の「第2画像データ」)を作成する。さらに、S103の後、S104の前に、背景パターン102の画像データ(本発明の「第3画像データ」)を作成する(S108)。続いて、背景パターン102の画像データが示す情報と、拡大画像101のドットパターン62に対する拡大率とを参照して、拡大背景パターン103の画像データを作成する(S109)。そして、S104で、上述のS101〜S103、S108、S109で作成された画像データ及びS107で取得された領域情報に基づいて、図13に示すような画像を印刷するための印刷データを作成する。
この場合には、ドットパターン62の拡大画像101に対応する一部分と、拡大画像101とを比較することにより、ドットパターン62の真贋を判定することができる。また、このとき、背景パターン102及び拡大背景パターン103が印刷されていることにより、ドットパターン62のどの領域が拡大画像101に対応した領域であるかを容易に把握することができる。
ここで、上述の実施の形態のように、拡大画像63が、ドットパターン62を構成する全てのドット62aに対応する拡大ドット63aを有するものである場合、拡大ドット63aがドット62aよりも大きいため、拡大画像63から、ドットパターン62を構成する全てのドット62aの大きさの情報が取得可能である。そのため、取得された上記情報からドットパターン62が再現されてしまう可能性がある。
これに対して、変形例4では、拡大画像101が、ドットパターン62の一部分を拡大したものであるため、拡大画像101からは、ドットパターン62の一部分におけるドット62aの大きさの情報しか取得することができず、取得した情報からドットパターン62を完全に再現することはできない。これにより、ドットパターン62の秘匿性が向上する。
なお、変形例3の場合、仮にドットパターン62の一部分が再現され、再現されたドットパターン62と複写された拡大画像101とが印刷されると、拡大画像101が、再現されたドットパターン62の一部分を拡大したものとなる。そのため、印刷されたドットパターン62と拡大画像101とを比較するだけでは、ドットパターン62の真贋を判定することができない。しかしながら、プリンタ1の印刷部2により改めてドットパターン62を印刷し、再現されたドットパターン62と、改めて印刷されたドットパターン62とを比較すれば、再現されたドットパターン62と、改めて印刷されたドットパターン62とでは、上記一部分以外の部分が相違する。
したがって、例えば、ドットパターン62の一部分と拡大画像101とを比較することによって、ドットパターン62の真贋の判定を簡易的に行い、ドットパターン62の一部分と拡大画像101とが一致しているが、ドットパターン62が本物であることが疑わしい場合など特別な場合に、印刷されたドットパターン62と改めて印刷したドットパターン62とを比較することによって、印刷されたドットパターン62の真贋をより厳密に判定することができる。
また、変形例4では、背景パターン102及び拡大背景パターン103を印刷したが、拡大背景パターン103は印刷しなくてもよい。この場合でも、拡大画像101がドットパターン62の一部分を拡大したものであるとわかっており、背景パターン102が印刷されていれば、ドットパターン62のどの部分が拡大画像101に対応するかを容易に把握することができる。さらには、変形例4において背景パターン102を印刷しなくてもよい。
また、上述の実施の形態では、「2」が大ドット62a1、「1」が小ドット62a2、「0」がドット無しにそれぞれ割り当てられ、ドットパターン62における大ドット62a1、小ドット62a2及びドット無しの配列が、プリンタ1の固有情報を3進数に変換した値に対応していたが、これには限られない。
例えば、「1」がドット有り、「0」がドット無しにそれぞれ割り当てられ、ドットパターン62におけるドット有りとドット無しの配列が、プリンタ1の固有情報を2進数に変換した値に対応していてもよい。あるいは、例えば、1、2、・・、N(N≧4)に対して、それぞれ大きさの異なるドットが割り当てられ、ドットパターン62におけるドットの配列が、プリンタ1の固有情報をN進数に変換した値に対応していてもよい。
さらには、上述の実施の形態において「2」がイエローのドット、「1」がシアンのドット、「0」がマゼンタのドットに割り当てられるなど、大きさ以外のドットの特性が割り当てられていてもよい。
また、上述の実施の形態では、ドットパターン62の真贋を判定するための真贋判定用画像が、ドットパターン62を拡大した拡大画像63であったが、これには限られない。
別の一変形例(変形例5)では、図15(a)、(b)に示すように、真贋判定用画像110が、ドットパターン62の各ドット62aの大きさに対応した複数の数字111(本発明の「特性表示部」)によって構成されている。より詳細に説明すると、ドットパターン62の大ドット62a1に「2」、小ドット62a2に「1」、ドット無しに「0」がそれぞれ割り当てられ、真贋判定用画像110では、これら「2」、「1」、「0」のいずれかである数字111が、ドットパターン62におけるドット62aの配列に対応して走査方向及び紙送り方向に配列されている。ここで、数字111は、複数のドット111aが一体となって形成されたものであり、ドットパターン62の各ドット62aよりも大きい。
この場合でも、ドットパターン62の各ドット62aと、真贋判定用画像110の各ドット62aに対応する数字111とを比較することにより、ドットパターン62の真贋を判定することができる。なお、変形例5では、大ドット62a1、小ドット62a2及びドット無しに対して、数字111の代わりに、アルファベットなどの別の文字等を割り当ててもよい。
また、別の一変形例(変形例6)では、図16(a)、(b)に示すように、真贋判定用画像120が、ドットパターン62における走査方向に隣接する2つドット62aにそれぞれ対応した複数の図形121(本発明の「特性表示部」)によって構成されたものとなっている。より詳細に説明すると、ドットパターン62を走査方向に隣接する2つのドット62a(大きさが0のドットも含む)がそれぞれ配置される複数の領域62cに分ける。そして、表1に示すように、各領域62cにおける左側及び右側のドット62aの大きさの組み合わせに対して図形121を割り当てる。図形121は、図16(b)に示すように、複数のドット121aが一体となって形成されたものであり、ドットパターン62の各ドット62aよりも大きい。そして、真贋判定用画像120は、ドットパターン62の各領域62cにおけるドット62aの大きさの組み合わせに対応して割り当てられた複数の図形121が、ドットパターン62におけるドット62aの配列に対応して、走査方向及び紙送り方向に配列されることによって構成されている。なお、表1では、「大」、「小」及び「無」が、それぞれ、大ドット62a1、小ドット62a2及びドット無しを示している。
この場合でも、ドットパターン62の各領域62cにおける2つのドット62aの大きさの組み合わせと、真贋判定用画像120の各領域62cに対応する図形121とを比較することにより、ドットパターン62の真贋を判定することができる。なお、変形例6では、各領域62cのドット62aの大きさの組み合わせに対して、表1に示したのとは異なる図形121を割り当ててもよい。また、変形例6では、領域62cが、走査方向に隣接する2つのドット62aが配置される領域であったが、領域62cは、走査方向に隣接する3つ以上のドット62aが配置される領域や、搬送方向に隣接する複数のドット62aが配置される領域等であってもよい。
また、上述の実施の形態では、本画像61と別に、本画像61が本物であることを証明するための証明用画像としてのドットパターン62を印刷したが、これには限られない。別の一変形例(変形例7)では、図17、図18(a)、(b)に示すように、本画像61の一部分が、証明用画像となっている。また、証明用画像が本物であることを示すための真贋判定用画像131が印刷されている。
より詳細に説明すると、例えば、図18(a)に示すように、本画像61を構成するある文字132(図では「B」)が、当該文字132を構成する複数のドット132aのうち、一部のドット132a(図18(a)では搬送方向上流側から4番目のドット132a、及び、搬送方向下流側から2番目のドット132a)が、本来配置されるべき位置から右側にずれて配置されている。そして、変形例7では、一部のドット132aがずれて配置された文字132を形成するドット132aのパターンが、本発明に係る証明用画像となっている。
真贋判定用画像131は、複数の拡大ドット131aを備えている。複数の拡大ドット131aは、走査方向及び搬送方向に配列された複数のドット131bが一体となったものであり、文字132の各ドット132aに対応している。真贋判定用画像131では、複数の拡大ドット131a(本発明の「特性表示部」)が、上記文字132を構成するドット132aに対応して搬送方向に沿って配列されている。そして、上述の通り、一部のドット132aがずれて配置されているのに対応して、複数の拡大ドット131aのうち、一部の拡大ドット131a(図18(b)では、搬送方向上流側から4番目の拡大ドット131a、及び、搬送方向下流側から2番目の拡大ドット131a)が、他の拡大ドット131aに対して右側にずれて配置されている。
また、変形例7では、上記ずれて配置された拡大ドット131aの左側に、マーカー133が印刷されている。マーカー133は、拡大ドット131aと同様の拡大ドット133aが走査方向に並ぶことによって形成されたものであり、複数の拡大ドット131aのうち、どの拡大ドット131aが右側にずれているかを表示している。
そして、変形例7の場合には、上述の実施の形態のS101、S102の2つのステップを合わせた1つのステップにより、一部分が証明用画像となった本画像61の画像データ(本発明の「第1画像データ」)を作成する。また、S103において、上記本画像61の画像データのうち、証明用画像に対応する部分が示す情報に基づいて、真贋判定用画像131の画像データを作成する。
変形例7の場合には、文字132の上記ずれて配置されたドット132aの位置と、真贋判定用画像131の上記ずれて配置された拡大ドット131aの位置とに基づいて、本画像61の一部によって構成される証明用画像の真贋を判定することができる。また、この場合には、本画像61の一部分が証明用画像となるため、本画像61と別に証明用画像を印刷する必要がない。また、この場合には、マーカー133が印刷されているため、どの拡大ドット131aがずれて配置されているかを容易に把握することができる。
また、上述の実施の形態では、制御装置50のRAMなどに記憶されたプリンタ1の固有情報からドットパターン62の画像データを作成し(S102)、続いて、ドットパターン62の画像データが示す情報に基づいて、拡大画像63の画像データを作成した(S103)が、これには限られない。上述の実施の形態とは逆に、制御装置50のRAM53等に記憶されたプリンタ1の固有情報から拡大画像63の画像データを作成し、続いて、拡大画像63の画像データが示す情報に基づいて、ドットパターン62の画像データを作成してもよい。
また、上述の実施の形態では、プリンタ1の固有情報や、拡大画像63のドットパターン62に対する拡大率等が、制御装置50のRAM53などに記憶されていたが、これには限られない。プリンタが制御装置50とは別にHDDなどの記憶装置(本発明の「記憶手段」)を備え、この記憶装置にプリンタ1の固有情報や上記拡大率等が記憶されていてもよい。
また、上述の実施の形態では、プリンタ1によって、本画像61、ドットパターン62及び拡大画像63の全てを印刷したが、これには限られない。例えば、印刷された本画像61が本物であることを認証するために、本画像61が印刷された記録用紙Pに、ドットパターン62及び拡大画像63を印刷してもよい。
さらには、ドットパターン62によって本物であると証明されるのは、ドットパターン62及び拡大画像63と同じ記録用紙Pに印刷された本画像61であることには限られない。例えば、ある物品の表面にドットパターン62及び拡大画像63を印刷してもよい。この場合にも、ドットパターン62と拡大画像63とを比較することによって、ドットパターン62の真贋を判定することができる。そして、ドットパターン62の真贋の判定結果によって、ドットパターン62及び拡大画像が印刷された物品の真贋を判定することができる。なお、この場合には、表面にドットパターン62及び拡大画像63が印刷された物品が、本発明に係る対象物に相当する。
また、上述の実施の形態では、ドットパターン62が、プリンタ1の固有情報に対応したものとなっていたが、これには限られない。例えば、ドットパターン62がプリンタ1の操作を行った操作者の固有情報に対応したものであってもよい。あるいは、ドットパターン62が、印刷部2でドットパターン62及び拡大画像63の印刷を行った日時に対応したものであってもよい。あるいは、例えば、プリンタ1の印刷部2で印刷を行う際に、制御装置50においてランダムな数字列が生成され、このランダムな数字列に基づいて、ドットパターン62におけるドット62aの配列が決定されるなど、ドットパターン62は、プリンタ1の固有情報以外の情報に対応したものであってもよい。
また、上述の実施の形態では、プリンタ1の印刷部2が、キャリッジ11とともに走査方向に往復移動するいわゆるシリアル式のインクジェットヘッド12を備えたものであったが、これには限られない。例えば、プリンタ1の印刷部2は、記録用紙Pの幅方向の全長にわたって延びた、いわゆるラインヘッドを備えたものであってもよい。さらには、プリンタ1の印刷部2は、サーマルヘッドなどインクジェットヘッド以外の記録ヘッドを備えたものであってもよい。なお、この場合には、記録ヘッドにおける、各ドットを形成するための素子が、本発明に係るドット形成素子に相当する。
また、上述の実施の形態では、プリンタ1が、印刷部2や読取部5等を備えた複合機であったが、プリンタ1は、読取部5がなく、印刷のみを行うことが可能なインクジェットプリンタであってもよい。この場合には、プリンタ1で、変形例2のような第1読取画像81、第2読取画像82、及び、変形例3のような重なり画像90の印刷を行うことはできないが、印刷されたドットパターン62と拡大画像63とを比較することによって、ドットパターン62の真贋を判定することはできる。
また、上述の実施の形態では、プリンタ1の制御装置50が、印刷部2に、ドットパターン62及び拡大画像63の印刷を行わせるための制御を行っていたが、これには限られない。例えば、別の一変形例(変形例9)では、図19に示すように、プリンタ141にPC142が接続され、プリンタ141とPC142とによって印刷システム140が構成されている。PC142には、プリンタドライバなどの、プリンタ141の動作を制御するためのプログラムがインストールされている。そして、PC142が、プリンタ141の印刷部2(図2参照)に、ドットパターン62及び拡大画像63の印刷を行わせるための制御を行う。また、この場合には、例えば、プリンタ141の動作を制御するためのプログラムが記憶されたCD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体を用いて、PC142に、プリンタ141の動作を制御するためのプログラムをインストールする。そして、この場合には、プリンタ141の動作を制御するためのプログラムが記憶されたCD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体が、本発明に係る記録媒体に相当する。
また、変形例9の場合には、ドットパターン62が、プリンタ141の固有情報に対応するものであるほか、PC142のIPアドレス、シリアルナンバー等、PC142の固有情報に対応するものであってもよいし、PC142を操作した操作者の固有情報に対応するものであってもよい。