以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に、実施形態の空調システムの概略を説明するための模式図を示す。図1に示すように、実施形態の空調システムは、空調室としてのマシン室に適用されており、冷却風を供給する空調装置11と、電子機器10が収容される複数のラック12が配列された第1ラック列13と、図示しない第2ラック列または空調室の側壁と第1ラック列13との間の対向空間17であって、空調装置11から冷却風が供給される対向空間17の内部と外部とを隔てる空調空間遮蔽構造18と、を備えている。
空調空間遮蔽構造18は、対向空間17の上方を覆って対向空間17の内部と外部とを隔てる遮蔽部材としての上面遮蔽部材21と、第1ラック列13の長手方向における対向空間17の両端に配されて対向空間17の内部と外部を隔てる他の遮蔽部材としての側面遮蔽部材22と、対向空間17を挟んだ両側のラック12または側壁にそれぞれ設けられて上面遮蔽部材21が係合される係合部材23と、を備えている。
電子機器10としては、サーバ装置やサーバスイッチ装置が適用されており、電子機器10の内部の空気を外部に排出する排気手段としてのファン(不図示)を有している。電子機器10は、ファンによって電子機器10の内部へ吸気する側が、ラック12の前面12a側となるようにラック12に収容されている。
第1ラック列13の各ラック12は、ラック12の前面12a側が対向空間17に臨んで配置されており、ファンによって、対向空間17に供給された冷却風が、ラック12の前面12a側から電子機器10の内部に吸気されると共にラックの背面12b側に排出される。
また、対向空間17の床25には、空調装置11から供給される冷却風が放出される開口部26が設けられている。空調室の床下には、空調装置11から冷却風を供給するパイプなどのダクト構造(不図示)が設けられてもよい。
上述した空調システムにおいて、第1ラック列13と、第2ラック列または側壁との間の対向空間17に放出された冷却風は、ラック12内の電子機器10を冷却し、電子機器10の内部を通って暖まった空気が、ラック12の背面12b側から排出される。その後、ラック12の背面12b側から排出された、暖まった空気は、空調空間遮蔽構造18の外側を流れて、空調装置11によって吸気される。そして、空調装置11によって再度冷却された冷却風が、床下を通って対向空間17に供給されるという循環になる。
実施形態では、空調空間遮蔽構造18によって対向空間17が包囲されているので、空調装置11から対向空間17に供給された冷却風が、ラック12内の電子機器10を冷却して暖まった空気と混ざることなく、ラック12に収容された電子機器10が効率的に冷却される。
図1で示す矢印は、空調装置11から床下に供給される冷却風の流れ、床25の開口部26から対向空間17に放出される冷却風の流れ、対向空間17からラック12の前面12aに供給される冷却風の流れ、ラック12の背面12b側から排出された後に空調装置11によって吸い込まれる、暖められた空気の流れをそれぞれ示している。
(第1の実施形態)
図2に、第1の実施形態の空調システムの模式図を示す。図2に示すように、第1の実施形態の空調システム1は、冷却風を供給する空調装置11と、電子機器10を収容する複数のラック12が配列された第1ラック列13と、第1ラック列13の長手方向に沿って第1ラック列13に対向して配置された第2ラック列14と、第1ラック列13と第2ラック列14との間の対向空間17であって、空調装置11から冷却風が供給される対向空間11の内部と外部とを隔てるための空調空間遮蔽構造18と、を備えている。
空調空間遮蔽構造18は、対向空間17の上方を覆って対向空間17の内部と外部とを隔てるように第1ラック列13と第2ラック列14とに跨がってラック12毎に配された上面遮蔽部材21と、第1ラック列13の長手方向における対向空間17の両端に第1ラック列13の長手方向に交差して配されて対向空間17の内部と外部を隔てる側面遮蔽部材22と、ラック12に設けられて上面遮蔽部材21が係合される係合部材23と、を備えている。そして、上面遮蔽部材21は、外周部から切り欠かれた切り欠き部21aを有しており、切り欠き部21aに係合部材23が係合されることによって、ラック12に対して所定の位置に案内されて配置される。
複数のラック12は、ラック12の前面12aが対向空間17を向くように床上に隙間無く並べて設置されている。本実施形態では、第1ラック13の各ラック12と、第2ラック列14の各ラック12は、床25に開口部26が設けられた対向空間17を挟んで、ラック12の前面12aが互い対向するように配列されている。
図2に示すように、本実施形態における第1ラック列13には、4つのラック12が1列に配列されており、第1ラック列13に対向する位置にも、4つのラック12が1列に配列された第2ラック列14が、第1ラック列13のラック12の前面12aと互いに対向するように配置されている。第1ラック列13と第2ラック列14は、ラック列の長手方向に関する幅Wが同一寸法のラック12を、各ラック列で同数配列する構成が好ましい。しかし、一部のラック12の代わりに、空調室の側壁や柱が適用されたり、電子機器10以外の物品を収納するキャビネットなどの収納構造体が適用されたりすることによって、第1ラック列13と第2ラック列14の長さが等しくされる構成であってもよい。 ラック12を追加する場合には、既存の第1ラック列13及び第2ラック列14の各々の端部に配置されたラック12の隣に、前面12a側が互いに対向するように配置されると共に、第1ラック列13と第2ラック列14とに同数のラック12が追加されて並ぶようにラック12を追加する。例えば、図2に示した構成例では、第1ラック列13と第2ラック列14の各々に1つずつラック12を追加した場合、一方のラック列当たりに5つのラック12が配列されることになり、第1ラック列13と第2ラック列14とで合計10個のラック12が配置される。なお、本実施形態では、第1ラック列13及び第2ラック列14の各々が4つのラック12から構成されたが、ラック12の個数を限定するものでない。
第1ラック列13と第2ラック列14の長手方向における両端、例えば、空調室内の通路が配置される側や、空調装置11が配置される側には、第1ラック列13と第2ラック列14とによって、床25に開口部26が設けられた対向空間17を包囲するように、側面仕切り部材22がそれぞれ設けられている。
空調空間遮蔽構造18が備える上面遮蔽部材21は、例えば樹脂材料によって四角形の板状に形成されている。上面遮蔽部材21としては、対向するラック12間に掛け渡された状態で主面の中央部が自重で撓むことを防ぐために、段ボール構造を有する板状部材や、波形状に形成された樹脂製の板材を用いることが、剛性と重量との兼ね合いの観点から好ましい。段ボール構造の板状部材や、波形状の板材を用いる場合、段ボール構造に含まれる波形部分や波形状の板材における、波形状に延びる辺が、ラック列の長手方向と平行になるように配置することによって、上面遮蔽部材21が自重で撓むことを防ぐ効果が得られる。加えて、このような段ボール構造は、対向空間17を覆うように設けられた空気層を有しており、対向空間17の内部と外部との熱伝達を防ぐことが可能になり、断熱性の観点からも好ましい。
また、上面遮蔽部材21は、透光性を有する樹脂材料によって形成されることで、空調室内の照明の光が対向空間17内に透過するように構成されている。なお、図示しないが、上面遮蔽部材21には、必要に応じて、対向空間17の内部を照明する照明器具が設けられてもよい。
また、図示しないが、上面遮蔽部材21は、必要に応じて、対向空間17に掛け渡される方向に延びる金属材を用いて補強されてもよい。このような上面遮蔽部材21としては、上面遮蔽部材21の外周部に沿って金属材が枠状に配置される構成や、上面遮蔽部材21の主面部に金属材が格子状に配置される構成が挙げられる。
上面遮蔽部材21は、ラック列の長手方向に平行な辺が、長手方向に対するラック12の幅Wと等しく形成されており、1つのラック12毎に対応する外形寸法に形成されている。
そして、上面遮蔽部材21は、切り欠き部21aに係合部材23が係合されることによって、ラック12に対して所定の位置に案内されて配置される。なお、上面遮蔽部材21に切り欠き部21aを形成する位置や形状に関しては、特に限定されるものではない。
図3に、上面遮蔽部材21の切り欠き部21aの構成例の模式図を示す。図3(a)及び図3(b)に示すように、切り欠き部21aが、上面遮蔽部材21の主面の中心に対して点対称となるように4つの各辺に形成される構成が挙げられる。また、切り欠き部21aは、図3(c)に示すように上面遮蔽部材21の4つの角部に形成される構成や、図3(d)及び図3(e)に示すように2つの辺や3つの辺に、ラック例の長手方向に平行な辺の中心線に対して線対称に形成される構成が挙げられる。また、切り欠き部21aは、図3(f)に示すように各辺に非対称に形成されてもよい。
上面遮蔽部材21は、係合部材23が係合される切り欠き部21aが形成されることによって、切り欠き部21aに係合部材23を位置決めして係合するときに、ラック12の上面に対して上面遮蔽部材21の主面を傾けた状態で係合させることが可能になる。つまり、係合部材23に対する切り欠き部21aの移動の自由度が確保されるので、複数の係合部材23に対して各切り欠き部21aを位置決めして係合させる取付け作業を容易に行うことが可能になる。
図4に、切り欠き部21aの形状の平面図を示す。図5に、切り欠き部21aの位置規制突起の平面図を示す。図6に、上面遮蔽部材21を操作するための凹部の平面図を示す。
また、切り欠き部21aの形状は、図4(a)及び図4(b)に示すように、六角形や三角形などの断面形状の係合部材23に対応する形状に形成されてもよく、切り欠き部21aと係合部材23との係合状態の変動を防ぎ、振動に対する上面遮蔽部材21の安定性を高めることができる。
また、切り欠き部21aは、図5(a)及び図5(b)に示すように、切り欠き部21a内において、上面遮蔽部材21の主面に平行な方向に係合部材23が動くことを規制する位置規制突起21bを有してもよく、切り欠き部21aに係合された係合部材23が、切り欠き部21aから外れることを規制することができる。このように切り欠き部21aは、位置規制突起21bを有することで、上面遮蔽部材21に振動が加わった場合であっても、切り欠き部21aと係合部材23との係合状態を更に適正に保つことが可能になる。
また、図6に示すように、上面遮蔽部材21の、対向空間17側の主面には、ラック12に対して上面遮蔽部材21を着脱するときに、指先を掛けるための操作用の凹部21cや、指先で摘まむための操作用の凸部が設けられてもよい。これによって、上面遮蔽部材21の移動時の操作性の向上を図ると共に、対向空間17内の気密性を保つことができる。
図7に、側面遮蔽部材22の模式図を示す。図8に、端部用の上面遮蔽部材の模式図を示す。図7(a)に示すように、側面遮蔽部材22は、例えば、樹脂シートによって短冊状に形成された複数のカーテン22aを有して構成されている。側面遮蔽部材22は、複数のカーテン22aが、対向空間17の内部と外部とを隔てるように並べて配置されており、電子機器10の操作や設定、保守を行う作業者が対向空間17に出入りできる構造を有している。カーテン22aには、図7(b)に示すように、後述する端部用の上面遮蔽部材24に沿って吊り下げられる辺に、鉤爪状の吊り下げ部材22bが設けられている。吊り下げ部材22bの一端部は、ボルト及びナットなどの固定部材22cによってカーテン22aに固定されている。
図7(b)に示すように、第1及び第2ラック列13、14の長手方向の両端に配置される上面遮蔽部材(以下、端部用の上面遮蔽部材と称する。)24には、側面遮蔽部材22が着脱可能に取り付けられる。このため、端部用の上面遮蔽部材24は、側面遮蔽部材22を支持する機能を兼ねるために、ラック列の途中に配置される上面遮蔽部材21と構成の一部が異なっている。端部用の上面遮蔽部材24は、図8(a)及び図8(c)に示すように、側面遮蔽部材22を支持するために十分な剛性を確保する補強部材24aと、側面遮蔽部材22を着脱可能に吊り下げるための係合穴24bと、を更に有している。
端部用の上面遮蔽部材24は、図8(a)及び図8(b)に示すように、第1ラック列13と第2ラック列14とに跨がる方向に対応する一組の辺に沿って、補強部材24aが組み付けられている。補強部材24aは、両端が第1ラック列13と第2ラック列14とに掛け渡される長さを有している。補強部材24aは、例えば強化樹脂材や金属材などによって形成されており、図8(d)及び図8(e)に示すように、上面遮蔽部材24の主面部が嵌め込まれる溝を有する丸棒や、断面コ字状金具として構成されている。補強部材24aは、溝に嵌め込まれた上面遮蔽部材24の主面部を貫通するように設けられた固定ネジや、ボルト及びナットなどの固定部材24cによって、上面遮蔽部材24の主面部に固定されている。
また、図8(a)及び図8(c)に示すように、係合穴24bは、補強部材24aに隣接する位置に設けられており、側面遮蔽部材22を構成する複数のカーテン22aの吊り下げ部材22bが係合される。
なお、本実施形態では、端部用の上面遮蔽部材24は、他の上面遮蔽部材21に一部の構成が追加されているが、全ての上面遮蔽部材が同一に構成されてもよい。
係合部材23は、例えば円柱状の軸が用いられており、ラック12の上面から鉛直方向に突出して設けられている。係合部材23は、個数や形状が限定されるものではなく、上面遮蔽部材21の切り欠き部21aに対応して設けられている。本実施形態では、係合部材23の構成例として、円形断面を有する円柱状の軸を用いて説明するが、図4に示したような六角形や三角形などの多角形断面を有する角柱状の軸や他の断面形状の軸が用いられてもよいことは勿論である。また同様に、係合部材23としてボルトを用いた構成例を以下に記載するが、ボルトに限定されるものではない。ボルトを用いた効果と同様の効果が得られる他の形状の部材が係合部材23として用いられてもよい。また、締め付けや固定などの機能が必要でない場合には、ボルトの代わりに、締め付けや固定などの機能を奏するネジ頭やネジ溝などの一部の形状が省かれた他の形状の部材が係合部材として用いられてもよい。
図9に、係合部材23の他の構成例の斜視図を示す。図9(a)に示すように、係合部材23は、ラック12の上面から鉛直方向に突出する係合部23aと、鉛直方向に直交する水平方向に延びる位置規制部23bと、を有して構成されてもよい。このような係合部材23としては、係合部23aとしてのネジ部と、位置規制部23bとしてのネジ頭とからなるボルトが用いられてもよい。このように係合部材23は、位置規制部23bを有することによって、切り欠き部21aに係合部材23が係合された状態で、上面遮蔽部材21が鉛直方向に振動することが抑えられ、係合状態の安定性を高めることができる。
円柱状の軸の係合部材23を用いる構成では、切り欠き部21aに係合部材23を係合させるときに、係合部材23に対して上面遮蔽部材21を、上面遮蔽部材21の主面に交差する直交方向に移動させる構成であった。これに対して、位置規制部23を有する係合部材を用いる構成では、上面遮蔽部材21の主面に平行な面内で、上面遮蔽部材21を回転操作することで、切り欠き部21aに係合部材23が係合される。
また、係合部材23としては、ボルトとナットを用いて、上面遮蔽部材21が載せられるナットの位置をボルトに対して調節可能に構成されてもよく、また図9(b)に示すように、2つのボルトが鉛直方向に重ねて連結されてもよい。例えば、対向した配置されるラック12の高さが異なる場合には、鉛直方向に対するナットやネジ頭の位置を調節することによって、上面遮蔽部材21の切り欠き部21aをネジ部に係合させて、ナット上に配置するように構成されてもよい。なお、ここでは、ボルトとナットを用いたが、ボルトとナットの機能を有する部材であれば、ボルトとナットに類似する形状の他の部材が用いられてもよい。
また、上述した実施形態では、上面遮蔽部材21をラック12に対して位置決めして係合させるために4つの係合部材23を用いたが、係合部材23の個数が限定されるものではなく、必要に応じて、3つの係合部材23や2つの係合部材23を所望の位置に配置して用いるように構成されてもよいことは勿論である。図10〜図13に、第1の実施形態における上面遮蔽部材21の他の構成例を説明するための模式図を示す。
3つの係合部材23を用いる構成についても、上述した4つの係合部材23を用いる構成と同様に、図10(a)〜図10(f)に示すように、上面遮蔽部材21の各辺に切り欠き部21aを形成する構成例が挙げられる。
また、2つの係合部材23を用いる構成についても、上述した4つの係合部材23を用いる構成と同様に、図11(a)〜図11(d)に示すように、上面遮蔽部材21の各辺に切り欠き部21aを形成する構成例が挙げられる。また、2つの係合部材23を用いる場合、一組のラック12に係合部材23が1つずつ配置される構成に限定されるものではなく、図11(b)〜図11(d)に示すように、一組のラック12のうちの、一方のラック12に2つの係合部材23が配置されてもよい。
また、2つの係合部材23を用いる場合、図12(a)〜図12(d)に示すように、上面遮蔽部材21の主面の対角線上で係合部材23と係合されるように、上面遮蔽部材21に切り欠き部21aを形成する構成例が挙げられる。
さらに、図13(a)及び図13(b)に示すように、2つの係合部材23を用いる場合、上面遮蔽部材21の、ラック列の長手方向に平行な辺の中心線上で係合部材23と係合されるように、上面遮蔽部材21には、ラック列の長手方向と平行な辺の中央に切り欠き部21aを形成する構成例が挙げられる。
以上のように構成された空調システム1において、ラック12の係合部材23に対して上面遮蔽部材21が所定の位置に取り付けられる動作を、上面遮蔽部材21の構成例毎に説明する。なお、各構成例の上面遮蔽部材21は、主面部に操作用の凹部21cが形成されていると共に、切り欠き部21aに位置規制突起21bが形成されている。図14〜図15に、他の構成例の上面遮蔽部材21の切り欠き部21aに係合部材23を係合させる操作を説明するための平面図を示す。
まず、図14(a)に示すように、対向する一対の角部近傍、かつ、対向する辺に2つの切り欠き部21aが形成された上面遮蔽部材21を、係合部材23に取り付ける場合を説明する。この場合、図14(a)及び図14(b)に示すように、2つのラック12に対して上面遮蔽部材21を、各係合部材23と各切り欠き部21aとが対応するように向けた状態で、ラック12の上面に平行な水平面内で、上面遮蔽部材21を回転させる。これによって、図14(c)に示すように、各切り欠き部21aに係合部材23が進入して、切り欠き部21aと係合部材23とが係合されることで、上面遮蔽部材21はラック12間に跨がって所定の位置に取り付けられる。また、切り欠き部21aに係合された係合部材23は、切り欠き部21aの位置規制突起21bによって、係合状態が保たれる。
また、図15(a)に示すように、対向する一対の角部近傍、かつ、隣接する辺に2つの切り欠き部21aが形成された上面遮蔽部材21を、係合部材23に取り付ける場合を説明する。この場合、図15(a)及び図15(b)に示すように、2つのラック12に対して上面遮蔽部材21を、各係合部材23と各切り欠き部21aとが対応するように向けた状態で、まず一方のラック12の係合部材23を、ラック列の長手方向と平行になる辺に形成された切り欠き部21aに係合させる。続いて、図15(b)及び図15(c)に示すように、切り欠き部21aに係合された係合部材23を中心として、上面遮蔽部材21を、ラック12の上面に平行な水平面内で回転させ、他方のラック12の係合部材23を切り欠き部21aに係合させる。これによって、上面遮蔽部材21はラック12間に跨がって所定の位置に取り付けられる。
また、図16(a)に示すように、対向する一対の角部近傍、かつ、隣接する辺に2つの切り欠き部21aが形成されると共に、2つの切り欠き部21aの一方がL字状に形成された上面遮蔽部材21を、係合部材23に取り付ける場合を説明する。この場合、図16(a)及び図16(b)に示すように、2つのラック12に対して上面遮蔽部材21を、各係合部材23と各切り欠き部21aとが対応するように向けた状態で、ラック列の長手方向に対して上面遮蔽部材21を、ラック12の上面に平行な水平面内で水平移動させる。これによって、まず一方のラック12の係合部材23をL字状の切り欠き部21aに挿入させる。続いて、図16(c)に示すように、上面遮蔽部材21を、ラック列の長手方向に直交する方向に対して、ラック12の上面に平行な水平面内で平行移動させることによって、2つの係合部材23を2つの切り欠き部21aにそれぞれ係合させる。これによって、上面遮蔽部材21はラック12間に跨がって所定の位置に取り付けられる。
また、図17(a)に示すように、対向する一対の角部近傍、かつ、対向する辺に2つの切り欠き部21aが形成されると共に、2つの切り欠き部21aの一方がL字状に形成された上面遮蔽部材21を係合部材23に取り付ける場合を説明する。この場合、図17(a)及び図17(b)に示すように、2つのラック12に対して上面遮蔽部材21を、各係合部材23と各切り欠き部21aとが対応するように向けた状態で、一方のラック12の係合部材23をL字状の切り欠き部21aに係合させる。続いて、図17(b)及び図17(c)に示すように、L字状の切り欠き部21aに係合された係合部材23を中心として、上面遮蔽部材21を、ラック12の上面に平行な水平面内で回転させ、他方のラック12の係合部材23を切り欠き部21aに係合させる。これによって、上面遮蔽部材21はラック12間に跨がって所定の位置に取り付けられる。
最後に、以上のようにラック12間に上面遮蔽部材21及び端部用の上面遮蔽部材24が取り付けられた後、端部用の上面遮蔽部材24の係合穴24bに、吊り下げ部材22bが係合されて複数のカーテン22aが着脱可能に取り付けられる。これによって、側面遮蔽部材22は、端部用の上面遮蔽部材24に着脱可能に取り付けられる。
上述したように、第1の実施形態の空調システム1は、切り欠き部21aを有する上面遮蔽部材21と、上面遮蔽部材21の切り欠き部21aに係合する係合部材23と、を備えることによって、上面遮蔽部材21をラック12に対して容易に着脱可能にすると共に、ラック12に対して上面遮蔽部材21を所定位置に容易に位置決めして係合させることができる。
空調システム1は、上面遮蔽部材21に切り欠き部21aが形成されることによって、ラック12の上面に対して上面遮蔽部材21の主面を傾けた状態で切り欠き部21aと係合部材23とを係合させることが可能になり、切り欠き部21aと係合部材23とを係合させるときの自由度を高めることができる。このため、簡素な構成によって、複数の係合部材23に対して切り欠き部21aを容易に係合させることが可能になる。
その結果、実施形態によれば、ラック12の増減、交換に応じて、ラック12に対して上面遮蔽部材21を所定の位置に容易に案内して配置することを可能にし、ラック列の変更作業の簡素化、変更作業に要するコストの削減を図ることができる。
なお、上述した実施形態では、複数の切り欠き部21aが同一形状に形成された上面遮蔽部材21と、同一形状である複数の係合部材23と、を備える構成を説明したが、複数の切り欠き部の少なくとも1つ、及び複数の係合部材の少なくとも1つの形状や大きさを異ならせてもよい。例えば、複数の切り欠き部のうちの1つ又は全て、及び複数の係合部材のうちの1つまたは全ての形状や大きさを互いに異ならせることによって、上面遮蔽部材を各係合部材に係合させることで、ラックに対して上面遮蔽部材を、所定の位置に案内すると共に所定の向きに案内して配置することが可能になる。言い換えると、ラックに対して上面遮蔽部材が所定の位置及び向き以外のときには、上面遮蔽部材の各切り欠き部と各係合部材とが係合されないので、ラックに対して上面遮蔽部材が不適切な状態で取り付けられることを防ぐことができる。また、上述した所定の向きは、ラックの上面に平行な水平面内における上面遮蔽部材の主面の向きと、ラックに対する上面遮蔽部材の表裏の向きとを含んでおり、ラックの上面に対して上面遮蔽部材が適切な向きに配置されることを指している。
また、本発明に係る空調システムにおける遮蔽部材は、係合部材が係合される部分が切り欠き部として構成されたが、必要に応じて、係合部材が係合される部分が、遮蔽部材の主面に形成された複数の係合穴として構成されてもよい。しかしながら、係合部材が切り欠き部に係合される構成は、係合部材が係合穴に位置決めする必要がある構成に比べて、複数の係合部材を各切り欠き部に対して容易に位置決めして係合させることが可能であり、遮蔽部材の着脱時の取り扱いを容易に行うことができる。
また、上述した実施形態では、軸状の係合部材23に対して直接、切り欠き部21aが係合するように構成されたが、係合部材23を覆うようにアダプタ部材が取り付けられて、アダプタ部材に切り欠き部21aが係合されてもよい。
図18に、アダプタ部材の模式的な側面図を示す。図18(a)及び図18(b)に示すように、アダプタ部材28は、ドーム形や箱形をなす蓋状に形成されており、切り欠き部の寸法に対応する外形形状に形成されている。
係合部材23を覆うようにラック12の上面に配置されたアダプタ部材28が、切り欠き部21aに係合されることによって、切り欠き部21aに軸状の係合部材23が係合された係合状態に比べて、切り欠き部21aとアダプタ部材28との間に生じる隙間を小さくすることができる。このため、切り欠き部21a内で係合部材23ががたつくことが避けられ、ラック12に取り付けられた上面遮蔽部材21の変動を防ぐことができる。
また、上述した実施形態では、切り欠き部21aが、上面遮蔽部材21の厚み方向に貫通して形成されていたが、この構成に限定されるものではない。
図19に、上面遮蔽部材の切り欠き部の他の構成例の模式図を示す。図19(a)及び図19(b)に示すように、上面遮蔽部材21は、重ね合わされる上板30aと下板30bを有しており、上板30aと下板30bとが固定ネジや接着剤などによって固定されている。下板30bには、係合部材23の外形寸法よりも十分に大きい切り欠き部21aが形成されており、切り欠き部21aが、下板30bに重ねられた上板30aによって覆われて、凹状に構成されている。
また、係合部材23は、係合部材23に係合された上面遮蔽部材21をラック12に押圧する押圧機構を有して構成されてもよい。このような構成の場合、図示しないが、押圧機構は、上面遮蔽部材21の切り欠き部21aの周囲を押圧する押圧板と、押圧板をラック12に向けて付勢するバネとを有している。上面遮蔽部材21は、切り欠き部21aに係合部材23を係合させるとき、切り欠き部21aの周囲の部分を押圧板に突き当てることで、バネの付勢力に抗して押圧板を持ち上げながら、切り欠き部21aに係合部材23が係合される。切り欠き部21aと係合部材23とが係合された状態で、上面遮蔽部材21は、押圧板によってラック12の上面に押圧されるので、振動に対する係合状態の安定性を高めることができる。
また、第1及び第2ラック列13、14のラック12は、隣接するラック12同士が連結部材31によって連結されている。図20に、隣接するラック12同士を連結する連結部材31の模式図を示す。係合部材23は、図20に示すように、連結部材31をラック12に固定する機能を兼ねてもよい。言い換えると、連結部材31を固定するボルトなどの固定部材が、係合部材23として用いられてもよく、係合部材23を別途に設ける必要を省くことができる。
以下、他の構成例の上面遮蔽部材21及び係合部材23を備える他の実施形態の空調システムについて説明する。なお、他の実施形態の空調システムにおいて、第1の実施形態と同一の構成について説明を省略する。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、軸状の係合部材23が用いられたが、板状の係合部材が用いられてもよい。本実施形態は、上面遮蔽部材21の角部に形成された切り欠き部21aに、板状の係合片を有する係合部材が係合される点が異なっている。図21に、第2の実施形態における上面遮蔽部材及び係合部材を説明するための模式図を示す。図22〜図24に、第2の実施形態における上面遮蔽部材及び係合部材の他の構成例を説明するための模式図を示す。
図21(a)に示すように、第2の実施形態における上面遮蔽部材21には、ラック列の長手方向に対応する一組の辺における両端の角部の各々に、四角形の切り欠き部21aが形成されている。
図21(b)に示すように、係合部材33は、断面L字状の板材によって形成されており、ラック12の上面に、板状の係合片33aを鉛直方向に突出させて配置されている。1つのラック12の上面に配置される2つの係合部材33は、係合片33aの向きを互いに異ならせて配置されており、接着剤や固定ネジなどによって固定されている。また、各ラック12に配置される4つの係合部材33は、図21(a)に示すように、互いに90度ずつ向きを異ならせて配置されている。
以上のように構成された上面遮蔽部材21を係合部材33に係合させる場合、図21(b)及び図21(c)に示すように、2つのラック12に対して上面遮蔽部材21を、各係合部材33と各切り欠き部21aとが対応するように向けた状態で、上面遮蔽部材21を鉛直方向に降下させる。上面遮蔽部材21は、ラック12の上面に載置されることで、各切り欠く部21aに各係合部材33が係合される。また、ラック12間に取り付けられた上面遮蔽部材21は、ラック12の上面から持ち上げられることで、切り欠き部21aと係合部材33との係合状態を容易に解除することができる。
また、図22(a)に示すように、上面遮蔽部材21には、ラック列の長手方向に対応する一組の辺における一方の辺のみの角部に、四角形の切り欠き部21aが形成されてもよい。この構成の場合、図22(a)及び図22(b)に示すように、係合部材として、切り欠き部21aに係合される第1の係合部材34と、切り欠き部21aが形成されていない角部に係合される第2の係合部材35とが組み合わされて用いられる。第1の係合部材34は、断面コ字状に形成されている。第2の係合部材35は、断面コ字状に形成されており、角部に係合する係合片を有している。
第1の係合部材34は、一対のラック12のうちの一方のラック12の上面に配置されている。第2の係合部材35は、他方のラック12の上面に配置されている。第1及び第2の係合部材34、35は、ラック12の上面に、接着剤や固定ネジなどよって固定されている。
以上のように構成された上面遮蔽部材21を第1及び第2の係合部材34、35に係合させる場合、図22(b)及び図22(c)に示すように、2つのラック12に対して上面遮蔽部材21を、第1の係合部材34と切り欠き部21aとが対応すると共に、第2の係合部材35と角部とが対応するように向けた状態で、まず第2の係合部材35の係合片35aの上方の隙間から、第2の係合部材35の内側に、ラック12間に跨がる辺が挿入される。
続いて、図22(d)に示すように、第2の係合部材35の内側に挿入された辺の切り欠き部21a側を第1の係合部材34に近づけて、第1及び第2の係合部材35、36の内側に、切り欠き部21a及び角部をそれぞれ挿入し、第1及び第2の係合部材35、36に上面遮蔽部材21を載置することで、第1の係合部材34に切り欠き部21aが係合されると共に、第2の係合部材35に角部が係合される。また、ラック12間に取り付けられた上面遮蔽部材21は、ラック12の上面から持ち上げられることで、第1及び第2の係合部材34、35と、切り欠き部21a及び角部との係合状態を容易に解除することができる。
また、図23(a)に示すように、上面遮蔽部材21には、ラック列の長手方向に対応する一組の辺における両端の角部の一方のみに、切り欠き部21aが形成されてもよい。上面遮蔽部材21には、対角線上に位置する一組の角部のみに、切り欠き部21aが形成されている。この構成の場合、図23(a)及び図23(b)に示すように、1つのラック12に配置される2つの係合部材としては、断面L字状の係合部及び上面遮蔽部材21の主面と平行に形成された位置規制片36aとを有する第1の係合部材36と、断面L字状の係合部37aを有する第2の係合部材37とが組み合わされて用いられる。
第1の係合部材36は、上面遮蔽部材21の切り欠かれていない角部に対応する位置に配置されている。第2の係合部材37は、図23(b)に示すように、高さH2が第1の係合部材36の高さH1よりも低く形成されており、上面遮蔽部材21の切り欠き部21aに対応する位置に配置されている。第1及び第2の係合部材36、37は、ラック12の上面に、接着剤や固定ネジなどよって固定されている。
以上のように構成された上面遮蔽部材21を第1及び第2の係合部材36、37に係合させる場合、図23(b)に示すように、2つのラック12に対して上面遮蔽部材21を、第1の係合部材36と切り欠き部21aとが対応すると共に、第2の係合部材37と各角部とが対応するように向けた状態で、まず第2の係合部材37に対して角部を対向させる。続いて、図23(c)及び図23(d)に示すように、切り欠き部21aが形成された角部を、第1の係合部材37の位置規制片37aの外側から内側に回り込ませるように、第1の係合部材37の内側に載せることによって、切り欠き部21aの縁部の辺に第1の係合部材37が係合される。また、ラック12間に取り付けられた上面遮蔽部材21は、ラック12の上面から持ち上げられることで、第1及び第2の係合部材36、37との係合状態を容易に解除することができる。
切り欠き部21aは、第2の係合部材37に角部が係合された状態で、切り欠き部21aが形成された角部を第1の係合部材36の内側に回り込ませるときに第1の係合部材36に衝突することを避け、切り欠き部21aの縁部を第1の係合部材36に係合させるように機能している。このように切り欠き部21aの縁部の辺に第1の係合部材36が係合される構成についても、本発明では、係合部材が係合される切り欠き部に含まれるものとする。
上述した係合部材33は、板状の係合片33aがラック12の上面から鉛直方向に突出して構成されたが、板状の係合部材がラック12の上面に沿って配置されてもよい。図24(a)及び図24(b)に示すように、上面遮蔽部材21は、隣接して配置される上面遮蔽部材21との境界となる辺に沿って、この隣接する上面遮蔽部材21に重ねられる重ね合わせ部としての段差部39を有している。
上面遮蔽部材21は、図24(c)に示すように、重ね合わされる一対の上板38aと下板38bとを有している。上板38aと下板38bは、ラック12間に跨がる方向に対応する一組の辺に沿って段差部39を形成するように、ラック列の長手方向に対応する方向に所定の幅だけ位置をずらすように重ね合わされた状態で接着剤などによって固定されている。
上面遮蔽部材21は、隣接する上面遮蔽部材21と段差部39同士を重ね合わせて配置されることで、上面遮蔽部材21の自重を利用して、隣接する上面遮蔽部材21をラック12に押圧することが可能になる。このため、上面遮蔽部材21に加わる振動に対して、上面遮蔽部材21と係合部材40との係合状態の安定性を高めることができる。加えて、上面遮蔽部材21によれば、隣接する上面遮蔽部材21同士の境界部分の気密性を高めることができる。
そして、上面遮蔽部材21の下板38bには、図24(a)に示すように、ラック列の長手方向に対応する一組の辺に沿って、凹凸状の切り欠き部21aが形成されている。係合部材40は、樹脂材料によって平板状に形成されており、第1及び第2ラック列13、14の長手方向に沿って配置されている。係合部材40には、ラック列の長手方向に平行な一辺に沿って、上面遮蔽部材21の切り欠き部21aに対応する凹凸状の係合部40aが切り欠かれて形成されている。
以上のように構成された上面遮蔽部材21を係合部材40に係合させる場合、図24(a)に示すように、2つのラック12に対して上面遮蔽部材21を、各係合部材40と各切り欠き部21aとが対応するように向けた状態で、上面遮蔽部材21を鉛直方向に降下させる。上面遮蔽部材21は、ラック12の上面に載置されることで、各切り欠き部21aに各係合部材40が係合される。このとき、隣接する上面遮蔽部材21同士の各段差部39は、互いに重ね合わされる。また、ラック12間に取り付けられた上面遮蔽部材21は、ラック12の上面から持ち上げることで、切り欠き部21aと係合部材40との係合状態を容易に解除することができる。
(第3の実施形態)
上述した実施形態では、第1ラック列13と第2ラック列14とに跨がってラック12毎に1つの上面遮蔽部材21が設けられたが、1つの上面遮蔽部材が、一対の遮蔽体を組み合わせて構成されてもよい。
図25に、第3の実施形態における上面遮蔽部材を説明するための模式図を示す。図25(a)及び図25(b)に示すように、上面遮蔽部材43は、組み合わされて対向空間17に掛け渡される一対の遮蔽体としての一対の遮蔽板43a、43bを有している。一対の遮蔽板43a、43bは、対向空間17の上方で互いに係合された状態が自重で保たれる。 遮蔽板43a、43bの一端部には、係合部材23に係合される切り欠き部21aが形成されている。一組の遮蔽板43a、43bのうち、一方の遮蔽板43aの他端部には、他方の遮蔽板43bの他端部に係合する凹部44aが形成されている。また、他方の遮蔽板の他端部43bには、一方の遮蔽板の凹部44aに係合する凸部44bが形成されている。
以上のように構成された上面遮蔽部材43は、図25(c)に示すように、一組の遮蔽板43a、43bの凹部44aと凸部44bを係合させた状態で、ラック12間に掛け渡される。続いて、図25(d)に示すように、一組の遮蔽板43a、43bが交差する角度を徐々に広げながら、各遮蔽板43a、43bの切り欠き部21aを係合部材に近づけて、切り欠き部21aの端に係合部材23が当たり、切り欠き部21aが係合部材23に係合される。
このように一組の遮蔽板43a、43bは、一端部が係合部材23に係合されると共に、他端部が互いに係合されて、自重で係合状態が保たれる。これによって、一組の遮蔽板43a、43bは、他端部が交差した状態でラック12間に取り付けられる。凹部44aと凸部44bとが互いに係合された一組の遮蔽板43a、43bは、図25(a)に示すように、対向空間17に跨がってラック12間にアーチ状に掛け渡される。
上面遮蔽部材をラック12間から取り外すときには、一組の遮蔽板43a、43bの凹部44aと凸部44bの係合部分を押し上げて、一組の遮蔽板43a、43bが交差する角度を狭めることによって、係合部材23から切り欠き部21aが離れるので、切り欠き部21aと係合部材23との係合状態を容易に解除することができる。
本実施形態における上面遮蔽部材43によれば、互いに係合して自重で係合状態が保たれる一組の遮蔽板43a、43bを有することで、ラック12に対して上面遮蔽板43を着脱するときの操作性を高めることができる。
また、上述した上面遮蔽部材の他の構成例について簡単に説明する。上述した上面遮蔽部材43は、一組の遮蔽板43a、43bがアーチ状に掛け渡されたが、一組の遮蔽板が水平に掛け渡されるように構成されてもよい。なお、他の構成例の上面遮蔽部材において、説明の便宜上、上述した上面遮蔽部材と同一の構成部分には、上面遮蔽部材と同一の符号を付して説明を省略する。図26及び図27に、第3の実施形態における上面遮蔽部材の他の構成例を説明するための模式図を示す。
図26(a)に示すように、他の構成例の上面遮蔽部材45が有する一組の遮蔽板45a、45bの各々は、重ね合わされる上板46a及び下板46bと、上板46aと下板46bを連結する結合部材47と、を有している。
各上面遮蔽部材43には、図26(b)及び図26(c)に示すように、上板46aと下板46bとを重ね合わせた状態で、側端に沿って断面コ字状の結合部材が嵌め込まれ、上板46a及び下板46bと、結合部材47とが、ボルト及びナットなどの固定部材48によって固定されている。また、重ねられた上板46a及び下板46bは、複数の固定ネジや接着剤を用いて固定されてもよい。さらに、遮蔽板45a、45bは、主面の中央に取り付けられた固定部材48によって、上板46aと下板46bとが一体に固定されている。
図26(a)に示すように、一組の遮蔽板45a、45bのうち、一方の遮蔽板45aには、上板46aに凹部44aが形成されており、凹部44aの底側に下板46bが重なるように配置されている。他方の遮蔽板45bには、上板46aに凸部44bが形成され、凸部44bの基端側に下板46bが重なるように配置されている。
以上のように構成された上面遮蔽部材45によれば、一組の遮蔽板45a、45bの凹部44aと凸部44bとを係合させた状態で、ラック12間に掛け渡される。続いて、一組の遮蔽板45a、45bが交差する角度を徐々に広げながら、各遮蔽板45a、45bの切り欠き部21aを係合部材23に徐々に近づけて、切り欠き部21aの端に係合部材23が当たって切り欠き部21aが係合部材23に係合される。
切り欠き部21aと係合部材23とが係合したときに、一組の遮蔽板45a、45bは水平になって係合される。このとき、遮蔽板45bの凸部44bの先端は、遮蔽板45aの凹部44aに係合すると共に遮蔽板45aの下板46bの上に載せられて支持される。同様に、遮蔽板43aの凹部44aの先端は、遮蔽板45bの下板46bの上に載せられて支持される。
このように一組の遮蔽板45a、45bは、一端部が係合部材23に係合されると共に、他端部が互いに係合され、係合状態が自重で保たれる。これによって、一組の遮蔽板45a、45bは、他端部が互いに係合された状態でラック12間に取り付けられる。凹部44aと凸部44bが互いに係合された一組の遮蔽板45a、45bは、対向空間17に跨がってラック12間に水平に掛け渡される。
上面遮蔽部材45をラック12間から取り外すときには、一組の遮蔽板45a、45bの凹部44aと凸部44bの係合部分を押し上げることによって、係合部材23から切り欠き部21aが離れるので、切り欠き部21aと係合部材23との係合状態を容易に解除することができる。
上述した上面遮蔽部材43によれば、ラック12に対して上面遮蔽部材45を着脱するときの操作性を高めることができると共に、互いに係合して自重で係合状態が保たれる一組の遮蔽板45a、45bを、ラック12間に水平に掛け渡すことが可能になる。
また、上述した上面遮蔽部材45の他の構成例として、互いに係合した一組の遮蔽板45a、45bの係合状態が解除されることを防ぐために、凹部44a及び凸部44bに位置規制手段が設けられてもよい。
図27(a)〜図27(c)に示すように、位置規制手段の一例として、上面遮蔽部材43は、凹部44a内に一体に形成された位置規制溝48aと、凸部44bに一体に形成された位置規制突起48bと、を更に有している。一組の遮蔽部材は、凹部44aと凸部44bが係合されたときに、位置規制溝48aと位置規制突起48bが係合されるので、凹部44aと凸部44bが水平方向に移動することが規制され、凹部44aと凸部44bの係合状態が容易に解除されることを防ぐことができる。このため、上面遮蔽部材43は、位置規制溝48a及び位置規制突起48bを有することで、振動などに対して、凹部44aと凸部44bの係合状態を適正に保つことができる。
なお、本実施形態では、一組の遮蔽板45a、45bが自重のみで互いに係合されるように構成されたが、図示しないが、遮蔽板45a、45b同士を係合させるように付勢するばね部材を有する付勢機構を更に利用して係合されるように構成されてもよい。
(第4の実施形態)
図28に、第4の実施形態の空調システムの模式図を示す。図28に示すように、第4の実施形態の空調システムは、第1ラック列13の前面12a側に対向する位置に、第2ラック列14の代わりに、空調室の側壁50が配置されている点が、第1の実施形態と異なっている。
また、側壁50には、上仕切り部材21の端部が載置されるレール状の支持部材51が固定されている。この支持部材51は、第1ラック列13の長手方向に沿って、側壁50に配置される構成や、各上面遮蔽部材21に対応する位置に分割されて配置されてもよい。
そして、支持部材51は、上面遮蔽部材21が載置される支持面51aを有し、支持面51aに、上述した各実施形態における第1ラック列13と同様に、上面遮蔽部材21の切り欠き部21aが係合される係合部材23が設けられている。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1ラック列13と側壁50に対して上面遮蔽部材21を容易に着脱することができる。