JP2015067886A - アルミニウム合金製熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】チューブ、フィン、ヘッダプレート及びタンクプレートを一回のろう付により接合する熱交換器であって、特にろう付接合部分の耐食性に優れたアルミニウム合金製熱交換器を提供する。
【解決手段】チューブ2とヘッダプレート4との接合部7の孔食電位(A1)は、チューブ2の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B1)およびヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B2)の両方より貴とする。かつ、ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位(A2)は、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B2)およびタンクプレート5の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B3)の両方より貴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、成型されたブレージングシートを用いてろう付により製造する、ろう付接合部分の耐食性に優れたアルミニウム合金製熱交換器に関するものである。
Al合金は軽量で熱伝導性に優れていること、適切な処理により高耐食性が実現できること、ならびに、ブレージングシートを利用したろう付によって効率的な接合が可能であることから、自動車用などの熱交換器用材料として重用されてきた。近年、自動車の高性能化或いは環境対応として、より軽量で高耐久性を有するように熱交換器の性能向上が求められており、これに対応できるAl合金材料技術が要求されている。このようなアルミニウム合金製熱交換器の一形態として、押出偏平チューブと、ブレージングシートのフィン材をコルゲート成形した外部フィンとを組み合わせ、さらに、チューブの両端を、ブレージングシートを筒状に成形し電縫加工したヘッダに差し込み、これらの部材をろう付により接合する熱交換器が現用されている。
しかしながら、電縫加工ヘッダは、ろう付とは別工程で作製するため、コストアップの要因となり、1回のろう付で全ての部材を接合できる熱交換器構造が望まれていた。この要望に対し、ヘッダを2つの部材とすることで解決する方法が提案されている。特許文献1には、タンクとヘッダプレートとを接合し、熱交換冷媒通路とした熱交換器が開示されている。しかしながら、特許文献1において、ヘッダの2つの部材は、Al−Si系ろう材部とAl−Zn系内張材とで接合されており、接合部の腐食の防止に関してさらなる改善が期待されていた。
また、接合部の腐食という課題に関して、チューブとヘッダとの間の接合部の耐食性を向上させる方法が開示されている。特許文献2には、チューブ表面の電位を接合部フィレットよりも相対的に20mV以上卑とする熱交換器の製造方法が示されている。しかし、接合部フィレットよりも卑な部位を有することで優先腐食を抑制できるものの、ヘッダは1つの部材から形成されており、ヘッダを2つの部材とするときには、ヘッダの部材同士の接合部の優先腐食を考慮する必要があるため、特許文献2は適用できない。
特開2009−275246号公報 特開2009−139052号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、チューブ、フィン、ヘッダプレート及びタンクプレートを一回のろう付により接合する熱交換器であって、特にろう付接合部分の耐食性に優れたアルミニウム合金製熱交換器を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するべく本発明者らは、チューブ、フィン、ヘッダプレート、及びタンクプレートの構成の組み合わせが耐食性に及ぼす影響について詳細に検討した。その結果、チューブとヘッダプレートとの接合部においては、接合部の孔食電位を、チューブの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位およびヘッダプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位の両方より貴にすること、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合部においては、接合部の孔食電位を、ヘッダプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位およびタンクプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位の両方より貴にすることで、著しくろう付接合部分の耐食性を向上させることができることを見出した。さらにこれらを両立させることで、熱交換器としての寿命を著しく向上できることを見出した。本発明は、これら知見に基づきなすに至ったものである。
即ち、本発明のアルミニウム合金製熱交換器は、扁平形状で内部に流体通路を有する複数のチューブがそれぞれ並列に配置され、隣接する前記チューブ間に、コルゲート成型されたフィンが挟み込んで配置、接合され、前記チューブの両端に、ヘッダプレートがろう付け接合によって一体化され、さらに前記ヘッダプレートに隣接してタンクプレートがろう付け接合されて内部に中空構造の媒体通路を形成した熱交換器において、前記チューブと前記ヘッダプレートとの接合部の孔食電位が、前記チューブの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位および前記ヘッダプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位の両方より貴であり、かつ、前記ヘッダプレートと前記タンクプレートとの接合部の孔食電位が、前記ヘッダプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位および前記タンクプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位の両方より貴であって、前記チューブは、Si:0.05〜0.5mass%(以下、%と記す)、Cu:0.1〜0.8%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるAl合金表面に、3〜15g/mのZnを付与したAl合金材からなることを特徴とする。
本発明によれば、特にろう付接合部分の耐食性に優れるアルミニウム合金製熱交換器を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るアルミニウム合金製熱交換器の構造を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面拡大模式図。 本発明で用いる片面クラッドした2層ブレージングシートを示す断面図であり、(a)は第1の2層ブレージングシート、(b)は第2の2層ブレージングシートの例。 本発明で用いる3層ブレージングシートを示す断面図であり、(a)は両面クラッドした第1の3層ブレージングシート、(b)は両面クラッドした第2の3層ブレージングシート、(c)は片面クラッドした第3の3層ブレージングシートの例。 チューブ、ヘッダプレートおよびタンクプレートとの接合状態を示す断面図であり、ヘッダプレートとして(a)は第1の2層ブレージングシート、(b)は第2の2層ブレージングシートを用いた例。 チューブ、ヘッダプレートおよびタンクプレートとの接合状態を示す断面図であり、ヘッダプレートとして(a)は第2の2層ブレージングシート、(b)は第1の3層ブレージングシートを用いた例。 チューブ、ヘッダプレートおよびタンクプレートとの接合状態を示す断面図であり、ヘッダプレートとして(a)は第2の2層ブレージングシート、(b)は第2の3層ブレージングシートを用いた例。 チューブ、ヘッダプレートおよびタンクプレートとの接合状態を示す断面図であり、ヘッダプレートとして(a)は第2の2層ブレージングシート、(b)は第3の3層ブレージングシートを用いた例。 チューブ、ヘッダプレートおよびタンクプレートとの接合状態を示す断面図であり、ヘッダプレートとして(a)は第2の3層ブレージングシート、(b)は第3の3層ブレージングシートを用いた例。
以下、本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製熱交換器について詳細に説明する。
[1.熱交換器の構造]
図1(a)、(b)に、本発明の一実施形態に係るアルミニウム合金製熱交換器の構造を示す。
アルミニウム合金製熱交換器1は、扁平形状で内部に流体通路を有する複数のチューブ2がそれぞれ並列に配置され、隣接するチューブ2間に、コルゲート成型されたフィン3が挟み込んで配置、接合され、チューブ2の両端に、ヘッダプレート4A,4Bがろう付け接合によって一体化され、さらにヘッダプレート4A,4Bに隣接してタンクプレート5A,5Bがろう付け接合されて内部に中空構造の媒体通路6が形成されている。
[2.熱交換器の電位]
アルミニウム合金製熱交換器1において、図1(b)に示すように、チューブ2とヘッダプレート4との接合部7の孔食電位(A1)は、チューブ2の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B1)およびヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B2)の両方より貴とする。かつ、ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位(A2)は、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B2)およびタンクプレート5の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B3)の両方より貴とする。これらの関係を次式(1)に示す。
{(A1)>(B1)および、(A1)>(B2)}、かつ、
{(A2)>(B2)および、(A2)>(B3)}・・・・・(1)
異なる孔食電位を有する部位が同じ電解質に接触している場合、最も孔食電位の卑な部位の孔食が優先的に進行する。これは異種金属接触腐食と呼ばれ、この現象を逆に利用したのが犠牲防食である。接合部の優先腐食を防止するためには、その周囲に接合部よりも孔食電位の卑な部位を配置する必要がある。この卑な部位は、電解質と接触しやすい最表面であることが望ましい。熱交換器においては、1箇所でも貫通してしまうとリークに至り、熱交換器としての機能を失ってしまう。このため、チューブ2とヘッダプレート4との接合部7及び、ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の耐食性を同時に向上させる必要がある。さらに、接合部以外の耐食性を向上させるために、チューブ2、ヘッダプレート4、及びタンクプレート5は、外表面側に心材よりも孔食電位の卑な層を有するのが望ましい。また、フィン3の孔食電位は、チューブ2の心材の孔食電位よりも卑であることが望ましい。
[3.Al合金製チューブの組成]
本発明に用いるAl合金製チューブは、Si:0.05〜0.5mass%(以下、%と記す)、Cu:0.1〜0.8%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるAl合金表面に、3〜15g/mのZnを付与したAl合金材が用いられる。
(Si:0.05〜0.5%)
本発明に用いるAl合金製チューブのSiは、0.05〜0.5%含有される。Siは、マトリックスに固溶したり、Al−Mn−Si系金属間化合物を生成することによって、ろう付後の強度を向上させるとともに、固溶Siにより心材の電位を貴化させる元素である。このSi添加の効果を得るためには、0.05%以上のSiの含有が必要である。一方、0.5%を超えて過剰にSiを含有させると、押出性が低下するとともに、合金の融点を低下させてろう付時に材料の溶融を招いてしまう。また、Siは、Al−Mn−Si系金属間化合物を形成するために、固溶Mnと関係がある。具体的には、Si濃度が低いほど固溶Mn濃度が増大し、電位が貴化する。Si量は、0.05〜0.25%とするのがより好ましい。
(Cu:0.1〜0.8%)
本発明に用いるAl合金製チューブのCuは、0.1〜0.8%含有される。Cuは、マトリックス中に固溶して強度を向上させるとともに、心材の電位を貴化し、表面との電位差を大きくすることでろう材の犠牲防食効果を向上させる。Cuの含有量が0.1%未満ではその効果が小さい。一方0.8%を超えると、マトリックスの融点が低下するため、ろう付時に材料が溶融しやすくなる。Cuの含有量は0.3〜0.6%がより好ましい。
(Mn:0.05〜0.5%)
本発明に用いるAl合金製チューブのMnは、0.05〜0.5%含有される。MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出又は析出して、ろう付加熱後の強度の向上に寄与するとともに、固溶Mnにより心材の電位を貴化させる元素である。この効果を得るためには、0.05%以上のMnを添加することが必要である。但し、Mn量が0.5%を超えれば、押出性が低下されるとともに、巨大な金属間化合物が晶出し、製造性を阻害するおそれがあり、従って、Mn量の上限は0.5%とする。また、Mnは、Al−Mn−Si系金属間化合物を形成するために、固溶Siと関係がある。具体的には、Mn濃度が低いほど固溶Si濃度が増大し、電位が貴化する。Mn量は、0.1〜0.3%とするのがより好ましい。
(不可避不純物)
本発明に用いるAl合金製チューブの不可避不純物としてのFeは、金属間化合物として晶出または析出し、腐食速度を増大させる。Feの含有量は0.4%以下とするのが望ましい。
本発明に用いるAl合金製チューブのMgは、0.05〜0.5%含有されてもよい。Mgは、MgSiとして微細析出することで強度の向上に寄与する。Mg添加の効果を得るためには、0.05%以上のMgの含有が好ましい。一方、0.5%を超えて過剰にMgを含有させると、ろう付性を阻害したり、粒界腐食が発生し耐食性が低下したりするおそれがある。Mg量は、0.1〜0.3%とするのがより好ましい。
本発明に用いるAl合金製チューブのTi、Zr、Cr及びVは、0.05〜0.3%含有されてもよい。Ti、Zr、Cr及びVは、耐食性、特に耐孔食性の向上に寄与する。すなわち、Al合金中に添加されたTiは、その濃度の高い領域と濃度の低い領域とに分かれ、それらが板厚方向に交互に積層状に分布する。そして、Ti、Zr、Cr及びV濃度の低い領域がTi濃度の高い領域よりも優先的に腐食することにより、腐食形態が層状となり、その結果板厚方向への腐食の進行が妨げられ、耐孔食性が向上する。Ti、Zr、Cr及びV量が0.05%未満では、このような耐孔食性向上の効果を十分に得ることができない。一方、Ti、Zr、Cr及びV添加量が0.3%を超えると、鋳造時に粗大な化合物が生成されて製造性を阻害するおそれがある。Ti、Zr、Cr及びV量は、0.1〜0.2%とするのがより好ましい。
(Znの付与量:3〜15g/m
本発明に用いるAl合金製チューブには、その外面にZnが付与される。Zn付与方法は、Zn溶射、Zn塗布、メッキ等が挙げられる。Zn溶射では、Zn溶射層は、ろう付処理を施すことにより、Znの拡散した層となる。上記Zn拡散層は、Al合金のZnが拡散していない部分よりも孔食電位が卑であるため、犠牲防食効果によってAl合金を防食し、Al合金の耐久寿命を向上させることができる。
Znの付与量は3〜15g/mとする。Zn溶射量が3g/m未満では、犠牲防食効果が十分に発現せず、早期に貫通に至る腐食が発生したり、チューブ表面の孔食電位がチューブとヘッダプレートとの接合部の孔食電位よりも貴になってしまうことがある。また、Zn付与量が15g/mを超えると、腐食速度が増大し、Zn拡散層が早期に消耗したり、チューブとヘッダプレートとの接合部の孔食電位が著しく卑になったりしてしまう。Znの付与量は、5〜10g/mとするのがより好ましい。
(Al合金製チューブの製造方法)
本発明に用いるAl合金製チューブの製造方法については、通常の方法を採用することができ、特に限定されるものではないが、例えば次のようにすることが好ましい。まず、鋳塊に必要に応じて均質化処理と面削を施し、押出成形前にビレットを450〜570℃に加熱し、ビレットを押出成形した後、所定の外径と肉厚になるように抽伸加工を施し、さらにZn付与処理を行う。なお、得られるクラッド押出管の機械的特性を調整するために、製造工程の任意の段階において適時熱処理を加えても良い。
[4.Al合金製ヘッダプレート及びタンクプレート]
Al合金製ヘッダプレート及びタンクプレートは、心材とその表面にろう材を形成したブレージングシートにより形成される。ブレージングシートは、心材の外側や内側に形成されるろう材の種類によって、2層ブレージングシートや3層ブレージングシートがあり、これらのいずれも用いることができるが、心材の組成はいずれのブレージングシートにおいても共通である。以下、心材の組成について説明する。
[4.1.1 心材の組成]
Al合金製ヘッダプレート及びタンクプレートの心材(L0)は、Si:0.05〜1.0%、Cu:0.05〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるAl合金から形成される。
(Si:0.05〜1.0%)
ヘッダプレート及びタンクプレートの心材(L0)には、Siを0.05〜1.0%含有させる。心材中のSiは、Mnと共存させることにより、Al−Mn−Si系化合物相となってマトリックス中に分散あるいは固溶して強度を向上させるとともに、固溶Siにより心材の電位を貴化させる。Siの含有量が0.05%未満ではその効果が小さい。1.0%を超えると、心材内部のAl−Si系やAl−Mn−Si系化合物の析出量が増大し、過剰な化合物は、耐食性を低下させる恐れがある。また、Siは、Al−Mn−Si系金属間化合物を形成するために、固溶Mnと関係がある。具体的には、Si濃度が低いほど固溶Mn濃度が増大し、電位が貴化する。
(Mn:0.5〜2.0%)
ヘッダプレート及びタンクプレートの心材(L0)には、Mnを0.5〜2.0%含有させる。Mnは、マトリックス中に固溶し表面との孔食電位差を大きくすることで犠牲防食効果を向上させる。また、MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出または析出し、ろう付後の強度を向上させる。さらに、Al−Mn−Si化合物を形成してマトリックス中へのSi固溶度を低くし、マトリックスの融点を向上させる。Mnの含有量が0.5%未満ではその効果が小さく、2.0%を超えると、粗大なAl−Mn系化合物相を形成するため、耐食性と加工性が低下する。また、Mnは、Al−Mn−Si系金属間化合物を形成するために、固溶Siと関係がある。具体的には、Mn濃度が低いほど固溶Si濃度が増大し、電位が貴化する。
(Cu:0.05〜1.0%)
ヘッダプレート及びタンクプレートの心材(L0)には、Cuを0.05〜1.0%含有させる。Cuは、マトリックス中に固溶して強度を向上させるとともに、心材の電位を貴化し、表面との孔食電位差を大きくすることでろう材の犠牲防食効果を向上させる。Cuの含有量が0.05%未満ではその効果が小さい。一方1.0%を超えると、マトリックスの融点が低下するため、ろう付時に材料が溶融しやすくなる。
(Ti、Zr、Cr、V:0.05〜0.3%)
ヘッダプレート及びタンクプレートの心材(L0)には、Ti、Zr、CrもしくはVを0.05〜0.3%含有してもよい。これらの元素は、耐食性、特に耐孔食性の向上に寄与する。すなわち、アルミニウム合金中に添加されたTi、Zr、CrもしくはVは、その濃度の高い領域と濃度の低い領域とに分かれ、それらが板厚方向に交互に積層状に分布する。そして、濃度の低い領域が濃度の高い領域よりも優先的に腐食することにより、腐食形態が層状となり、その結果板厚方向への腐食の進行を妨げ、耐孔食性が向上する。Ti、Zr、Cr及びV量が0.05%未満では、このような耐孔食性向上の効果を十分に得ることができない。一方、Ti、Zr、Cr及びV添加量が0.3%を超えると、鋳造時に粗大な化合物が生成されて製造性を阻害するおそれがある。
ヘッダプレート及びタンクプレートの心材(L0)には、Feを0.05〜1.0%含有してもよい。Feは金属間化合物として晶出または析出し、心材強度を向上させる。
ヘッダプレート及びタンクプレートの心材(L0)には、Mgを0.05〜1.0%含有してもよい。Mgは心材の強度を向上させる効果を有する。
[4.1.2 第1の2層ブレージングシート(図2(a))]
ヘッダプレートまたはタンクプレートには、図2(a)に示すように、[4.1.1]で記載した組成の心材(L0)の外表面側に、Al−Si合金ろう材(L1)を配置して片面クラッドした第1の2層ブレージングシートを用いることができる。
L1には、Siを3.0〜12.0%含有する。Siは、アルミニウム合金の融点を低下させ液相を生じさせ、これによってろう付を可能にする。3.0%未満のSiの含有量では、ろう付けに必要とする液相が充分に得られずろう付性が満足に機能しがたい。一方、12.0%を超えるSiの含有量では、鋳造時に粗大なSiが晶出し、割れが発生してしまう。
また、L1には、Ti、Zr、CrもしくはVが0.05〜0.3%含有されてもよい。これらの元素は、耐食性、特に耐孔食性の向上に寄与する。すなわち、アルミニウム合金中に添加されたTi、Zr、CrもしくはVは、その濃度の高い領域と濃度の低い領域とに分かれ、それらが板厚方向に交互に積層状に分布する。そして、濃度の低い領域が濃度の高い領域よりも優先的に腐食することにより、腐食形態が層状となり、その結果板厚方向への腐食の進行が妨げられ、耐孔食性が向上する。このような耐孔食性向上の効果を十分に得るためには、Ti、Zr、CrもしくはVの含有量が0.05%以上であることが好ましい。一方、Ti、Zr、CrもしくはVの含有量が0.3%を超えれば、鋳造時に粗大な化合物が生成されて製造性を阻害するおそれがある。
また、L1には、FeまたはNiが0.05〜1.0%含有されてもよい。一般にFeまたはNiは耐食性の向上に寄与する。
さらに、L1には、Mnが0.05〜1.5%含有されてもよい。MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出又は析出して、強度の向上に寄与する元素である。
さらに、L1には、NaもしくはSrが10ppm〜500ppm含有されてもよい。Na及びSrはAl−Si系合金の晶出物を微細化させる働きがあり、粗大Al−Si系合金粒子への腐食の集中による耐食性阻害の作用を抑制する。
[4.1.3 第2の2層ブレージングシート(図2(b))]
ヘッダプレートまたはタンクプレートには、図2(b)に示すように、[4.1.1]で記載した組成の心材(L0)の外表面側に、Al−Si−Zn合金ろう材(L2)を配置して片面クラッドした第2の2層ブレージングシートを用いることができる。
L2には、Siを3.0〜12.0%含有する。Siは、アルミニウム合金の融点を低下させ液相を生じさせ、これによってろう付を可能にする。3.0%未満のSiの含有量では、ろう付けに必要とする液相が充分に得られずろう付性が満足に機能しがたい。一方、12.0%を超えるSiの含有量では、鋳造時に粗大なSiが晶出し、割れが発生してしまう。
L2のZn含有量は、0〜3.0%とする。Zn添加により、ヘッダプレート及びタンクプレート表面の孔食電位は低くなる。この表面が犠牲防食層として働き、ヘッダプレート及びタンクプレートの寿命を向上させる。一方、チューブとヘッダプレートとの接合及びヘッダプレートとタンクプレートの接合は、L2によってなされるため、これらの孔食電位は、Zn含有量が多いほど卑になる。接合部ではZnが濃縮しやすいため、Zn含有量が3.0%を超えると接合部でZnの濃縮が起こり、チューブとヘッダプレートとの接合部の孔食電位及びヘッダプレートとタンクプレートとの接合部の孔食電位は周囲の部材の中で最も卑になってしまう。なお、Znが0の場合は、L1と同様の組成となる。
また、L2には、Ti、Zr、CrもしくはVが0.05〜0.3%含有されてもよい。これらの元素は、耐食性、特に耐孔食性の向上に寄与する。すなわち、アルミニウム合金中に添加されたTi、Zr、CrもしくはVは、その濃度の高い領域と濃度の低い領域とに分かれ、それらが板厚方向に交互に積層状に分布する。そして、濃度の低い領域が濃度の高い領域よりも優先的に腐食することにより、腐食形態が層状となり、その結果板厚方向への腐食の進行が妨げられ、耐孔食性が向上する。このような耐孔食性向上の効果を十分に得るためには、Ti、Zr、CrもしくはVの含有量が0.05%以上であることが好ましい。一方、Ti、Zr、CrもしくはVの含有量が0.3%を超えれば、鋳造時に粗大な化合物が生成されて製造性を阻害するおそれがある。
また、L2には、FeまたはNiが0.05〜1.0%含有されてもよい。一般にFeまたはNiは耐食性の向上に寄与する。
さらに、L2には、Mnが0.05〜1.5%含有されてもよい。MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出又は析出して、強度の向上に寄与する元素である。
さらに、L2には、NaもしくはSrが10ppm〜500ppm含有されてもよい。Na及びSrはAl−Si系合金の晶出物を微細化させる働きがあり、粗大Al−Si系合金粒子への腐食の集中による耐食性阻害の作用を抑制する。
[4.1.4 第1の3層ブレージングシート(図3(a))]
ヘッダプレートまたはタンクプレートには、図3(a)に示すように、[4.1.1]で記載した組成の心材(L0)の外表面側に、[4.1.3]で記載した組成のAl−Si−Zn系合金ろう材(L2)を、心材の内表面側にAl−Si−Cu系合金ろう材(L3)配置して両面クラッドした第1の3層ブレージングシートを用いることができる。
L3には、Siを3.0〜12.0%含有する。Siは、アルミニウム合金の融点を低下させ液相を生じさせ、これによってろう付を可能にする。3.0%未満のSiの含有量では、ろう付けに必要とする液相が充分に得られずろう付性が満足に機能しがたい。一方、12.0%を超えるSiの含有量では、鋳造時に粗大なSiが晶出し、割れが発生してしまう。
L3のCu含有量は、0〜1.0%とする。心材の内表面側にクラッドしたZnを含有していないAl−Si−Cu系合金ろう材(L3)は、チューブとヘッダプレートとの接合部及びヘッダプレートとタンクプレートの接合部に流れることでZn濃度を低下させ、孔食電位を貴化させる働きがある。さらに、Cuを添加することによって、接合部のCu濃度を増大させ、孔食電位をいっそう貴化することができる。しかしながら、Cu濃度が1.0%を超えると、鋳造時に割れを発生させてしまう。したがって、Cu含有量は、0〜1.0%とする。なお、Cuが0の場合は、L1と同様の組成となる。
また、L3には、Ti、Zr、CrもしくはVが0.05〜0.3%含有されてもよい。これらの元素は、耐食性、特に耐孔食性の向上に寄与する。すなわち、アルミニウム合金中に添加されたTi、Zr、CrもしくはVは、その濃度の高い領域と濃度の低い領域とに分かれ、それらが板厚方向に交互に積層状に分布する。そして、濃度の低い領域が濃度の高い領域よりも優先的に腐食することにより、腐食形態が層状となり、その結果板厚方向への腐食の進行が妨げられ、耐孔食性が向上する。このような耐孔食性向上の効果を十分に得るためには、Ti、Zr、CrもしくはVの含有量が0.05%以上であることが好ましい。一方、Ti、Zr、CrもしくはVの含有量が0.3%を超えれば、鋳造時に粗大な化合物が生成されて製造性を阻害するおそれがある。
また、L3には、FeまたはNiが0.05〜1.0%含有されてもよい。一般にFeまたはNiは耐食性の向上に寄与する。
さらに、L3には、Mnが0.05〜1.5%含有されてもよい。MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出又は析出して、強度の向上に寄与する元素である。
さらに、L3には、NaもしくはSrが10ppm〜500ppm含有されてもよい。Na及びSrはAl−Si系合金の晶出物を微細化させる働きがあり、粗大Al−Si系合金粒子への腐食の集中による耐食性阻害の作用を抑制する。
[4.1.5 第2の3層ブレージングシート(図3(b))]
ヘッダプレートまたはタンクプレートには、図3(b)に示すように、[4.1.1]で記載した組成の心材(L0)の外表面側に、Al−Zn系合金ろう材(L4)を、心材の内表面側に、[4.1.4]で記載した組成のAl−Si−Cu系合金ろう材(L3)を配置して両面クラッドした第2の3層ブレージングシートを用いることができる。
L4には、Znを0〜3.0%含有する。L4は0%Znであっても、心材よりも孔食電位が卑になる。この表面が犠牲防食層として働き、Zn濃度とともに表面はより卑になり、犠牲防食効果が高まる。しかしながら、Zn濃度が3.0%を超えるとL4の腐食速度が増大し、Zn拡散層が早期に消耗される。
L4には、Ti、Zr、CrもしくはVが0.05〜0.3%含有されてもよい。これらの元素は、耐食性、特に耐孔食性の向上に寄与する。すなわち、アルミニウム合金中に添加されたTi、Zr、CrもしくはVは、その濃度の高い領域と濃度の低い領域とに分かれ、それらが板厚方向に交互に積層状に分布する。そして、濃度の低い領域が濃度の高い領域よりも優先的に腐食することにより、腐食形態が層状となり、その結果板厚方向への腐食の進行が妨げられ、耐孔食性が向上する。このような耐孔食性向上の効果を十分に得るためには、Ti、Zr、CrもしくはVの含有量が0.05%以上であることが好ましい。一方、Ti、Zr、CrもしくはVの含有量が0.3%を超えれば、鋳造時に粗大な化合物が生成されて製造性を阻害するおそれがある。
L4には、Siが0.05〜0.5%含有されてもよい。Siは、マトリックスに固溶したり、Al−Mn−Si系金属間化合物を生成することによって、ろう付後の強度を向上させる元素である。
L4には、FeまたはNiが0.05〜1.0%含有されてもよい。一般にFeまたはNiは耐食性の向上に寄与する。
L4には、Mnが0.05〜1.5%含有されてもよい。MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出又は析出して、強度の向上に寄与する元素である。
L4には、NaもしくはSrが10ppm〜500ppm含有されてもよい。Na及びSrはAl−Si系合金の晶出物を微細化させる働きがあり、粗大Al−Si系合金粒子への腐食の集中による耐食性阻害の作用を抑制する。
[4.1.6 第3の3層ブレージングシート(図3(c))]
ヘッダプレートまたはタンクプレートには、図3(c)に示すように、[4.1.1]で記載した組成の心材(L0)の外表面側に、[4.1.2]で記載した組成のAl−Si系合金ろう材(L1)を、さらに、L1とL0との間に、[4.1.5]で記載した組成のAl−Zn系合金皮材(L4)を、配置して片面クラッドした第3の3層ブレージングシートを用いることができる。
[4.1.7 ブレージングシートの製造方法]
ヘッダプレート及びタンクプレートに用いるAl合金製ブレージングシートの製造方法については、通常の方法を採用することができ、特に限定されるものではないが、例えば次のようにすることが好ましい。すなわち、製造する組み合わせに応じた、心材、ろう材、皮材を鋳造し、その鋳塊の両面を面削して、クラッド層を重ね合わせる。これに400〜550℃で1〜10時間の予備加熱を行い、熱間圧延により板厚を5mm程度まで減少させる。さらに、冷間圧延及び300〜450℃で1〜10時間の最終焼鈍を行って、厚さ1.6mm程度のブレージングシートとする。
[4.2 チューブとヘッダプレートとの接合]
[4.2.1 チューブと第1の2層ブレージングシートとの接合(図4(a))]
チューブとヘッダプレートとの接合において、ヘッダプレートとして第1の2層ブレージングシート(図2(a))を用いた場合、図4(a)に示すように、チューブ2とヘッダプレート4との接合は、Al−Si合金ろう材(L1)によりなされる。このとき、チューブ2とヘッダプレート4との接合部7には、L1の成分に加え、チューブ2からZn及びCuが、ヘッダプレート4の心材からCuが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。チューブ2の組成及び第1の2層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、チューブ2の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<チューブ2とヘッダプレート4との接合部7の孔食電位、および、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<チューブ2とヘッダプレート4との接合部7の孔食電位の関係が成り立つ。
[4.2.2 チューブと第2の2層ブレージングシートとの接合(図5(a))]
チューブとヘッダプレートとの接合において、ヘッダプレートとして第2の2層ブレージングシート(図2(b))を用いた場合、図5(a)に示すように、チューブ2とヘッダプレート4との接合は、Al−Si−Zn系合金ろう材(L2)によりなされる。このとき、チューブ2とヘッダプレート4との接合部7には、L2の成分、特にZnに加え、チューブ2からZn及びCuが、ヘッダプレート4の心材からCuが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。チューブ2の組成及び第2の2層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、チューブ2の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<チューブ2とヘッダプレート4との接合部7の孔食電位、および、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<チューブ2とヘッダプレート4との接合部7の孔食電位の関係が成り立つ。
[4.2.3 チューブと第1の3層ブレージングシートとの接合(図5(b))]
チューブとヘッダプレートとの接合において、ヘッダプレートとして第1の3層ブレージングシート(図3(a))を用いた場合、図5(b)に示すように、チューブ2とヘッダプレート4との接合は、Al−Si−Zn系合金ろう材(L2)及び、Al−Si−Cu系合金ろう材(L3)によりなされる。このとき、チューブ2とヘッダプレート4との接合部7には、L2の成分、特にZn及び、L3の成分、特にCuに加え、チューブ2からZn及びCuが、ヘッダプレート4の心材からCuが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。チューブ2の組成及び第1の3層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、チューブ2の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<チューブ2とヘッダプレート4との接合部7の孔食電位、および、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<チューブ2とヘッダプレート4との接合部7の孔食電位の関係が成り立つ。
[4.2.4 チューブと第2の3層ブレージングシートとの接合(図6(b))]
チューブとヘッダプレートとの接合において、ヘッダプレートとして第2の3層ブレージングシート(図3(b))を用いた場合、図6(b)に示すように、チューブ2とヘッダプレート4との接合は、Al−Si−Cu系合金ろう材(L3)及び、Al−Zn系合金ろう材(L4)によりなされる。このとき、チューブ2とヘッダプレート4との接合部7には、L3の成分、特にCuに加え、チューブ2からZn及びCuが、ヘッダプレート4の心材からCuが、Al−Zn系合金ろう材(L4)からZnが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。チューブ2の組成及び第2の3層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、チューブ2の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<チューブ2とヘッダプレート4との接合部7の孔食電位、および、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<チューブ2とヘッダプレート4との接合部7の孔食電位の関係が成り立つ。
[4.2.5 チューブと第3の3層ブレージングシートとの接合(図7(b))]
チューブとヘッダプレートとの接合において、ヘッダプレートとして第3の3層ブレージングシート(図3(c))を用いた場合、図7(b)に示すように、チューブ2とヘッダプレート4との接合は、Al−Si系合金ろう材(L1)によりなされる。このとき、チューブ2とヘッダプレート4との接合部7には、L1の成分に加え、チューブからZn及びCuが、ヘッダプレート4の心材からCuが、ヘッダプレートの皮材(L4)からZnが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。チューブ2の組成及び第3の3層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、チューブ2の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<チューブ2とヘッダプレート4との接合部7の孔食電位、および、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<チューブ2とヘッダプレート4との接合部の孔食電位の関係が成り立つ。
[4.3 ヘッダプレートとタンクプレートとの接合]
[4.3.1 第1の2層ブレージングシートと第2の2層ブレージングシートとの接合(図4(a)、(b))]
ヘッダプレートとタンクプレートとの接合において、図4(a)に示すように、ヘッダプレート4として第1の2層ブレージングシート(図2(a))を、タンクプレート5として第2の2層ブレージングシート(図2(b))を、用いた場合、ヘッダプレート4の外側のAl−Si合金ろう材(L1)とタンクプレート5の内側の心材とを接触させ、ろう付接合する。このとき、ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8には、L1の成分に加え、ヘッダプレート4の心材からCuが、タンクプレート5の心材からCuが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。第1の2層ブレージングシートの組成及び第2の2層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位、および、タンクプレート5の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位の関係が成り立つ。
ヘッダプレートとタンクプレートとの接合において、図4(b)に示すように、ヘッダプレート4として第2の2層ブレージングシート(図2(b))を、タンクプレート5として第1の2層ブレージングシート(図2(a))を、用いた場合、ヘッダプレート4の内側の心材とタンクプレート5の外側のAl−Si合金ろう材(L1)とを接触させ、ろう付接合する。このとき、ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8には、L1の成分に加え、ヘッダプレート4の心材からCuが、タンクプレート5の心材からCuが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。第1の2層ブレージングシートの組成及び第2の2層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位、および、タンクプレート5の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位の関係が成り立つ。
[4.3.2 第2の2層ブレージングシートと第1の3層ブレージングシートとの接合(図5(a)、(b))]
ヘッダプレートとタンクプレートとの接合において、図5(a)に示すように、ヘッダプレート4として第2の2層ブレージングシート(図2(b))を、タンクプレート5として第1の3層ブレージングシート(図3(a))を、用いた場合、ヘッダプレート4の外側のAl−Si−Zn系合金ろう材(L2)とタンクプレート5の内側のAl−Si−Cu系合金ろう材(L3)とを接触させ、ろう付接合する。このとき、ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8には、L2の成分、特にZn及び、L3の成分、特にCuに加え、ヘッダプレート4の心材からCuが、タンクプレート5の心材からCuが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。第2の2層ブレージングシートの組成と第1の3層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位、および、タンクプレート5の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位の関係が成り立つ。
ヘッダプレートとタンクプレートとの接合において、図5(b)に示すように、ヘッダプレート4として第1の3層ブレージングシート(図3(a))を、タンクプレート5として第2の2層ブレージングシート(図2(b))を、用いた場合、ヘッダプレート4の内側のAl−Si−Cu系合金ろう材(L3)とタンクプレート5の外側のAl−Si−Zn系合金ろう材(L2)とを接触させ、ろう付接合する。このとき、ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8には、L2の成分、特にZn及び、L3の成分、特にCuに加え、ヘッダプレート4の心材からCuが、タンクプレート5の心材からCuが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。第2の2層ブレージングシートの組成と第1の3層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位、および、タンクプレート5の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部の孔食電位の関係が成り立つ。
[4.3.3 第2の2層ブレージングシートと第2の3層ブレージングシートとの接合(図6(a)、(b))]
ヘッダプレートとタンクプレートとの接合において、図6(a)に示すように、ヘッダプレート4として第2の2層ブレージングシート(図2(b))を、タンクプレート5として第2の3層ブレージングシート(図3(b))を、用いた場合、ヘッダプレート4の外側のAl−Si−Zn系合金ろう材(L2)とタンクプレート5の内側のAl−Si−Cu系合金ろう材(L3)とを接触させ、ろう付接合する。このとき、ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8には、L2の成分、特にZn及び、L3の成分、特にCuに加え、ヘッダプレート4の心材からCuが、タンクプレート5の心材からCuが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。第2の2層ブレージングシートの組成と第2の3層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位、および、タンクプレート5の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位の関係が成り立つ。
ヘッダプレートとタンクプレートとの接合において、図6(b)に示すように、ヘッダプレート4として第2の3層ブレージングシート(図3(b))を、タンクプレート5として第2の2層ブレージングシート(図2(b))を、用いた場合、ヘッダプレート4の内側のAl−Si−Cu系合金ろう材(L3)とタンクプレート5の外側のAl−Si−Zn系合金ろう材(L2)とを接触させ、ろう付接合する。このとき、ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8には、L2の成分、特にZn及び、L3の成分、特にCuに加え、ヘッダプレート4の心材からCuが、タンクプレート5の心材からCuが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。第2の2層ブレージングシートの組成と第2の3層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位、および、タンクプレート5の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位の関係が成り立つ。
[4.3.4 第2の2層ブレージングシートと第3の3層ブレージングシートとの接合(図7(a)、(b))]
ヘッダプレートとタンクプレートとの接合において、図7(a)に示すように、ヘッダプレート4として第2の2層ブレージングシート(図2(b))を、タンクプレート5として第3の3層ブレージングシート(図3(c))を、用いた場合、ヘッダプレート4の内側の心材とタンクプレート5の外側のAl−Si合金ろう材(L1)とを接触させ、ろう付接合する。このとき、ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8には、L1に加え、ヘッダプレート4の心材からCuが、タンクプレート5の皮材(L4)からZnが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。第2の2層ブレージングシートの組成と第3の3層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位、および、タンクプレート5の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位の関係が成り立つ。
ヘッダプレートとタンクプレートとの接合において、図7(b)に示すように、ヘッダプレート4として第3の3層ブレージングシート(図3(c))を、タンクプレート5として第2の2層ブレージングシート(図2(b))を、用いた場合、ヘッダプレート4の外側のAl−Si合金ろう材(L1)とタンクプレート5の内側の心材とを接触させ、ろう付接合する。このとき、ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8には、L1に加え、ヘッダプレート4の皮材(L4)からZnが、タンクプレート5の心材からCuが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。第2の2層ブレージングシートの組成と第3の3層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位、および、タンクプレート5の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位の関係が成り立つ。
[4.3.5 第2の3層ブレージングシートと第3の3層ブレージングシートとの接合(図8(a)、(b))]
ヘッダプレートとタンクプレートとの接合において、図8(a)に示すように、ヘッダプレート4として第2の3層ブレージングシート(図3(b))を、タンクプレート5として第3の3層ブレージングシート(図3(c))を、用いた場合、ヘッダプレート4の内側のAl−Si−Cu系合金ろう材(L3)とタンクプレート5の外側のAl−Si合金ろう材(L1)とを接触させ、ろう付接合する。このとき、ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8には、L1の成分、及び、L3の成分、特にCuに加え、ヘッダプレート4の心材からCuが、タンクプレート5の皮材(L4)からZnが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。第2の3層ブレージングシートの組成と第3の3層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位、および、タンクプレート5の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位の関係が成り立つ。
ヘッダプレートとタンクプレートとの接合において、図8(b)で示すように、ヘッダプレート4として第3の3層ブレージングシート(図3(c))を、タンクプレート5として第2の3層ブレージングシート(図3(b))を、用いた場合、ヘッダプレート4の外側のAl−Si合金ろう材(L1)とタンクプレート5の内側のAl−Si−Cu系合金ろう材(L3)とを接触させ、ろう付接合する。このとき、ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8には、L1の成分、及び、L3の成分、特にCuに加え、ヘッダプレート4の皮材(L4)からZnが、タンクプレート5の心材からCuが、拡散し、これらが孔食電位に影響を与える。第2の3層ブレージングシートの組成と第3の3層ブレージングシートの組成が本発明で規定する範囲内であれば、ヘッダプレート4の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位、および、タンクプレート5の板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位<ヘッダプレート4とタンクプレート5との接合部8の孔食電位の関係が成り立つ。
[5.Al合金製フィン]
[5.1 心材の組成]
Al合金製フィンの心材は、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%、Zn:0.5〜4.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるAl合金から形成される。
(Si:0.05〜1.0%)
Al合金製フィンの心材には、Siを0.05〜1.0%含有させる。心材中のSiは、Mnと共存させることにより、Al−Mn−Si系化合物相となってマトリックス中に分散あるいは固溶して強度を向上させる。Siの含有量が0.05%未満ではその効果が小さい。1.0%を超えると、心材内部のAl−Si系やAl−Mn−Si系化合物の析出量が増大し、フィンの腐食速度が増大する恐れがある。
(Mn:0.5〜2.0%)
Al合金製フィンの心材には、Mnを0.5〜2.0%含有させる。Mnは、Al−Mn系金属間化合物として晶出または析出し、ろう付後の強度を向上させる。さらに、Al−Mn−Si化合物を形成してマトリックス中へのSi固溶度を低くし、マトリックスの融点を向上させる。Mnの含有量が0.5%未満ではその効果が小さく、2.0%を超えると、粗大なAl−Mn系化合物相を形成するため、耐食性と加工性が低下する。
(Zn:0.5〜4.0%)
Al合金製フィンの心材には、Znを0.5〜4.0%含有させる。ZnはAlに固溶し孔食電位を卑化させる働きがある。フィンの孔食電位をチューブの心の孔食電位よりも卑とすることで、フィンがチューブに対して犠牲防食効果を発現することができる。この効果を得るためには、0.5%以上のZn添加が必要となる。しかしながら、Zn濃度が4.0%を超えるとフィンの腐食速度が増大してしまう。
(Ti、Zr、Cr、V:0.05〜0.3%)
Al合金製フィンの心材には、Ti、Zr、CrもしくはVを0.05〜0.3%含有してもよい。これらの元素は、耐食性、特に耐孔食性の向上に寄与する。すなわち、アルミニウム合金中に添加されたTi、Zr、CrもしくはVは、その濃度の高い領域と濃度の低い領域とに分かれ、それらが板厚方向に交互に積層状に分布する。そして、濃度の低い領域が濃度の高い領域よりも優先的に腐食することにより、腐食形態が層状となり、その結果板厚方向への腐食の進行を妨げ、耐孔食性が向上する。Ti、Zr、Cr及びV量が0.05%未満では、このような耐孔食性向上の効果を十分に得ることができない。一方、Ti、Zr、Cr及びV添加量が0.3%を超えると、鋳造時に粗大な化合物が生成されて製造性を阻害するおそれがある。
(Fe:0.05〜1.0%)
Al合金製フィンの心材には、Feを0.05〜1.0%含有してもよい。Feは金属間化合物として晶出または析出し、心材強度を向上させる。
(Mg:0.05〜1.0%)
Al合金製フィンの心材には、Mgを0.05〜1.0%含有してもよい。Mgは心材の強度を向上させる効果を有する。
[5.2 ろう材の組成]
Al合金製フィンのろう材は、Si:3.0〜12.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなる。
(Si:3.0〜12.0%)
Al合金製フィンのろう材には、Siを3.0〜12.0%含有する。Siは、アルミニウム合金の融点を低下させ液相を生じさせ、これによってろう付を可能にする。3.0%未満のSiの含有量では、ろう付けに必要とする液相が充分に得られずろう付性が満足に機能しがたい。一方、12.0%を超えるSiの含有量では、鋳造時に粗大なSiが晶出し、割れが発生してしまう。
(Ti、Zr、Cr、V:0.05〜0.3%)
Al合金製フィンのろう材には、Ti、Zr、CrもしくはVが、0.05〜0.3%含有されてもよい。これらの元素は、耐食性、特に耐孔食性の向上に寄与する。すなわち、アルミニウム合金中に添加されたTi、Zr、CrもしくはVは、その濃度の高い領域と濃度の低い領域とに分かれ、それらが板厚方向に交互に積層状に分布する。そして、濃度の低い領域が濃度の高い領域よりも優先的に腐食することにより、腐食形態が層状となり、その結果板厚方向への腐食の進行が妨げられ、耐孔食性が向上する。このような耐孔食性向上の効果を十分に得るためには、Ti、Zr、CrもしくはVの含有量が0.05%以上であることが好ましい。一方、Ti、Zr、CrもしくはVの含有量が0.3%を超えれば、鋳造時に粗大な化合物が生成されて製造性を阻害するおそれがある。
(Fe、Ni:0.05〜1.0%)
Al合金製フィンのろう材には、FeまたはNiが0.05〜1.0%含有されてもよい。一般にFeまたはNiは耐食性の向上に寄与する。
(Mn:0.05〜1.5%)
Al合金製フィンのろう材には、Mnが0.05〜1.5%含有されてもよい。MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出又は析出して、強度の向上に寄与する元素である。
(Na、Sr:10ppm〜500ppm)
Al合金製フィンのろう材には、NaもしくはSrが10ppm〜500ppm含有されてもよい。Na及びSrはAl−Si系合金の晶出物を微細化させる働きがあり、粗大Al−Si系合金粒子への腐食の集中による耐食性阻害の作用を抑制する。
(Zn:0〜3.0%)
Al合金製フィンのろう材には、Znが0〜3.0%含有されてもよい。Zn添加により、フィンの孔食電位は低くなる。このことにより犠牲防食効果が発現し、チューブの寿命を向上させる。
(Cu:0.05〜0.5%)
Al合金フィンのろう材には、Cuが、0.05〜0.5%含有されてもよい。フィンとチューブとの接合は、Al合金製フィンのろう材によってなされるため、これらの孔食電位は、Cu含有量が多いほど貴になり、フィンとチューブとの接合部の優先腐食を抑制できる。
[6.熱交換器の製造]
図1に示すアルミニウム合金製熱交換器1は、例えば、先ず、両端部分をヘッダプレート4A、4Bに取り付けたチューブ2の外面にフィン3を配置して組立てる。ヘッダプレート4A、4Bには、それぞれタンクプレート5A、5Bを取り付ける。次いで、チューブ2の両端重ね合せ部分、フィン3とチューブ2外面、チューブ2の両端とヘッダプレート4A、4B、ヘッダプレート4A、4Bとタンクプレート5A、5Bを1回のろう付け加熱によって同時に接合する。
本発明において用いるろう付け方法としては、窒素雰囲気中でフッ化物系フラックスを用いた方法(ノコロックろう付法等)や、真空中や窒素雰囲気中で材料に含有されるMgによりアルミニウム材表面の酸化膜を還元して破壊する方法(真空ろう付、フラックスレスろう付)を用いるのが好ましい。また、ろう付けは、通常590〜610℃の温度で2〜10分間、好ましくは590〜610℃の温度で2〜6分間の加熱によって行なわれる。加熱時間が590℃未満であったり加熱時間が2分未満の場合には、ろう付不良が起こる可能性がある。一方、加熱時間が610℃を超えたり加熱時間が10分を超える場合には、部材が溶融する可能性がある。
以下に本発明の実施例を比較例と共に記載する。なお、以下の実施例は、本発明の効果を説明するためのものであり、実施例記載のプロセス、条件及び性能値が本発明の技術的範囲を制限するものではない。
はじめに、表1に示す組成のアルミニウム合金(合金番号:A1〜A18)をそれぞれ溶解し、鋳造して、直径20mmのビレットを製造した。次に、ビレットを550℃、10時間保持の条件で均質化処理を行った後、面削を施した。ついで、ビレットを500℃に加熱した後に、ビレットを押出加工し、表9に示す量のZnを溶射することによって、チューブの高さが1mm、幅が16mm、肉厚が0.3mmのアルミニウム合金チューブを作製した。これを200mmに切断し、熱交換器用チューブとした。
ヘッダプレート材およびタンクプレート材は、表2〜6にそれぞれ示す心材(L0)、L1、L2、L3、およびL4の合金を半連続鋳造法により鋳造し面削を施した。
次いで、表10〜14に示す組み合わせで、心材の片面もしくは両面にL1、L2、L3、またはL4をクラッド率10%で重ね合わせ、520℃で6時間の予備加熱を行い、熱間圧延により板厚を5mm程度まで圧延した。さらに、冷間圧延及び390〜450℃で4時間の最終焼鈍を行って、厚さ1.6mm程度のブレージングシートを作製した。これを300mmに切断、成形後、バーリング加工によりチューブの差込穴を20箇所作製し、熱交換器用ヘッダプレートとした。また、ブレージングシートを300mmに切断、成形し、熱交換器用タンクプレートとした。
フィン材は、表7および8にそれぞれ示す心材およびろう材の合金を半連続鋳造法により鋳造し面削を施した。次いで、表15に示す組み合わせで、心材の両面に皮材をクラッド率10%で重ね合わせ、520℃で6時間の予備加熱を行い、熱間圧延により板厚を5mm程度まで圧延した。さらに、冷間圧延及び390〜450℃で4時間の最終焼鈍を行って、厚さ0.1mm程度のブレージングシートを作製した。これを幅16mmにスリットし、コルゲート加工し、熱交換器用フィンとした。
チューブ20本の間にそれぞれフィンを配置し、チューブの両側をヘッダプレートに挿入し、ヘッダプレートとタンクプレートを嵌合し、熱交換器を組み立てた。これに、KF−AlF系のフラックス(KAlF4等)粉末を塗布乾燥後、窒素雰囲気中において600℃、5分のろう付け加熱を実施して室温まで冷却し、熱交換器を得た。
以上のようにして作製した熱交換器の特性を、以下のようにして評価した。
(a)孔食電位
熱交換器から、各部材を切り出し、チューブは表面から心材まで、0.01mm毎にエッチングを行った後に測定面以外をエポキシ樹脂によりマスキングした。ヘッダプレートおよびタンクプレートは、表面と表面から0.5mmまでおよび裏面と裏面から0.5mmまで、0.01mm毎にエッチングを行った後に測定面以外をエポキシ樹脂によりマスキングした。接合部は、接合部を樹脂埋め、鏡面研磨し、断面において、接合部以外をエポキシ樹脂によりマスキングした。これらを供試材とし、前処理として、60℃の5%NaOH溶液に30秒浸漬、30%HNO溶液に60秒浸漬を行い表面を洗浄した。溶液は、5%NaClに酢酸を添加してpH3とし、30分間窒素脱気した。測定は室温で、ポテンショスタットを用いてアノード分極曲線を測定した。分極曲線において、急激に電流の上昇する電位を孔食電位とした。
チューブとヘッダプレートとの接合部の孔食電位(A1)、チューブの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B1)、ヘッダプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B2)ヘッダプレートとタンクプレートとの接合部の孔食電位(A2)、ヘッダプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B2)、およびタンクプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位(B3)を測定した。それぞれの孔食電位が、A1>B1、A1>B2、A2>B2、およびA2>B3をそれぞれ満たすときを合格(○)とし、満たさないときを不合格(×)とした。
(b)耐食性
熱交換器に、ASTM G85に準じたSWAATを1000時間行った。SWAAT試験後において、耐圧試験を行い、リークによる漏れ、フィンの腐食を調査した。リーク漏れが起こらなかった場合は、チューブ/ヘッダプレート接合部およびヘッダプレート/タンクプレート接合部の耐食性は合格(○)とし、接合部からリーク漏れした場合には、その接合部の耐食性を不合格(×)とした。耐圧試験によりフィンが座屈しなかった場合には、フィンの耐食性は合格(○)とし、フィンが座屈した場合には、フィンの耐食性を不合格(×)とした。
次に、熱交換器表面の腐食生成物を除去し、チューブ、ヘッダプレート、およびタンクプレートの腐食深さを測定した。測定箇所はそれぞれ10箇所とし、それらの最大値をもって腐食深さとした。チューブにおいて、腐食深さが0.1mm未満の場合を合格(○)とし、0.1mm以上の場合と貫通の場合を不合格(×)とした。ヘッダプレート、およびタンクプレートにおいて、腐食深さが0.5mm未満の場合を合格(○)とし、0.5mm以上の場合と貫通の場合を不合格(×)とした。
(c)製造性
製造による外観不良や成形性に問題がなければ合格(○)とし、割れ等の外観不良、成形性に問題があった場合は不合格(×)とした。
(発明例1−1〜1−51及び比較例1−1〜1−26)
表16に、図4(a)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
発明例1−1〜1−51では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
これに対して、比較例1−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例1−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例1−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例1−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例1−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例1−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例1−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
比較例1−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例1−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例1−10では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例1−11では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例1−12では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例1−13では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例1−14では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例1−15では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例1−16では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例1−17では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例1−18では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例1−19では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例1−20では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例1−21では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例1−22では、タンクプレートの心材のCu濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例1−23では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例1−24では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例1−25では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例1−26では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面が不適であるため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
(発明例2−1〜2−51及び比較例2−1〜2−27)
表17に、図4(b)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
発明例2−1〜2−51では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
これに対して、比較例2−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例2−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例2−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例2−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例2−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例2−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例2−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
比較例2−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例2−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例2−10では、タンクプレートのろう材L1のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例2−11では、タンクプレートのろう材L1のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例2−12では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例2−13では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例2−14では、タンクプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例2−15では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例2−16では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例2−17では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例2−18では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例2−19では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例2−20では、ヘッダプレートのろう材L2のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例2−21では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例2−22では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例2−23では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例2−24では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例2−25では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例2−26では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例2−27では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面が不適であるため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
(発明例3−1〜3−58及び比較例3−1〜3−29)
表18に、図5(a)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
発明例3−1〜3−58では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
これに対して、比較例3−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例3−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例3−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例3−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例3−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例3−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例3−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
比較例3−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例3−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例3−10では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例3−11では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例3−12では、ヘッダプレートのろう材L2のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例3−13では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例3−14では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例3−15では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレート/タンクプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例3−16では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例3−17では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例3−18では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例3−19では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例3−20では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例3−21では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例3−22では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例3−23では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例3−24では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例3−25では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例3−26では、タンクプレートのろう材L3のSi濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCuの移動が十分でなく、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例3−27では、タンクプレートのろう材L3のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例3−28では、タンクプレートのろう材L3のCu濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例3−29では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面が不適であるため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
(発明例4−1〜4−58及び比較例4−1〜4−31)
表19に、図5(b)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
発明例4−1〜4−58では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
これに対して、比較例4−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例4−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例4−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例4−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例4−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例4−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例4−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
比較例4−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例4−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例4−10では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例4−11では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例4−12では、タンクプレートのろう材L2のZn濃度が高いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例4−13では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例4−14では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例4−15では、タンクプレートの心材のCu濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例4−16では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例4−17では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例4−18では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例4−19では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例4−20では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例4−21では、ヘッダプレートのろう材L2のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例4−22では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例4−23では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例4−24では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例4−25では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例4−26では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例4−27では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例4−28では、ヘッダプレートのろう材L3のSi濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCuの移動が十分でなく、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例4−29では、ヘッダプレートのろう材L3のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例4−30では、ヘッダプレートのろう材L3のCu濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例4−31では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面が不適であるため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
(発明例5−1〜5−56及び比較例5−1〜5−27)
表20に、図6(a)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
発明例5−1〜5−56では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
これに対して、比較例5−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例5−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例5−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例5−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例5−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例5−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例5−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
比較例5−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例5−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例5−10では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例5−11では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例5−12では、ヘッダプレートのろう材L2のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例5−13では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例5−14では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例5−15では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレート/タンクプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例5−16では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例5−17では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例5−18では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例5−19では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例5−20では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例5−21では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例5−22では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例5−23では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例5−24では、タンクプレートのろう材L3のSi濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCuの移動が十分でなく、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例5−25では、タンクプレートのろう材L3のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例5−26では、タンクプレートのろう材L3のCu濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例5−27では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面がろうがないため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部がろう付されなかった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
(発明例6−1〜6−56及び比較例6−1〜6−29)
表21に、図6(b)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
発明例6−1〜6−56では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
これに対して、比較例6−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例6−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例6−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例6−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例6−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例6−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例6−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
比較例6−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例6−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例6−10では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例6−11では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例6−12では、タンクプレートのろう材L2のZn濃度が高いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例6−13では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例6−14では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例6−15では、タンクプレートの心材のCu濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例6−16では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例6−17では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例6−18では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例6−19では、ヘッダプレートの皮材L4のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例6−20では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例6−21では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例6−22では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例6−23では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例6−24では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例6−25では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例6−26では、ヘッダプレートのろう材L3のSi濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCuの移動が十分でなく、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例6−27では、ヘッダプレートのろう材L3のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例6−28では、ヘッダプレートのろう材L3のCu濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例6−29では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面がろうがないため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部がろう付されなかった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
(発明例7−1〜7−53及び比較例7−1〜7−28)
表22に、図7(a)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
発明例7−1〜7−53では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
これに対して、比較例7−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例7−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例7−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例7−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例7−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例7−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例7−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
比較例7−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例7−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例7−10では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例7−11では、ヘッダプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例7−12では、ヘッダプレートのろう材L2のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例7−13では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例7−14では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例7−15では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例7−16では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例7−17では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例7−18では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例7−19では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例7−20では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例7−21では、タンクプレートの皮材L4のZn濃度が高いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例7−22では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例7−23では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例7−24では、タンクプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例7−25では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例7−26では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例7−27では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例7−28では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面が不適であるため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
(発明例8−1〜8−53及び比較例8−1〜8−27)
表23に、図7(b)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
発明例8−1〜8−53では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
これに対して、比較例8−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例8−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例8−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例8−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例8−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例8−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例8−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
比較例8−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例8−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例8−10では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例8−11では、タンクプレートのろう材L2のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例8−12では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例8−13では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例8−14では、タンクプレートの心材のCu濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例8−15では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例8−16では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例8−17では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例8−18では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例8−19では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例8−20では、ヘッダプレートの皮材L4のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例8−21では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例8−22では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例8−23では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例8−24では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例8−25では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例8−26では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例8−27では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面が不適であるため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
(発明例9−1〜9−55及び比較例9−1〜9−29)
表24に、図8(a)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
発明例9−1〜9−55では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
これに対して、比較例9−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例9−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例9−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例9−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例9−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例9−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例9−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
比較例9−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例9−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例9−10では、ヘッダプレートの皮材L4のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例9−11では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例9−12では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例9−13では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例9−14では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例9−15では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例9−16では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例9−17では、ヘッダプレートのろう材L3のSi濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCuの移動が十分でなく、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例9−18では、ヘッダプレートのろう材L3のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例9−19では、ヘッダプレートのろう材L3のCu濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例9−20では、タンクプレートのろう材L1のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例9−21では、タンクプレートのろう材L1のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例9−22では、タンクプレートの皮材L4のZn濃度が高いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例9−23では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例9−24では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例9−25では、タンクプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例9−26では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例9−27では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例9−28では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例9−29では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面がろうがないため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部がろう付されなかった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
(発明例10−1〜10−55及び比較例10−1〜10−27)
表25に、図8(b)の構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
発明例10−1〜10−55では、孔食電位の関係が全て本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
これに対して、比較例10−1では、チューブのSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例10−2では、チューブのSi濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例10−3では、チューブのCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例10−4では、チューブのCu濃度が高いために、ろう付時にチューブが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例10−5では、チューブのMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、チューブの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例10−6では、チューブのMn濃度が高いために、押し出し性が悪く、その後の評価を行えなかった。
比較例10−7では、チューブにZn溶射を行っていないため、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
比較例10−8では、チューブのZn溶射量が少ないが、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、チューブの耐食性も不合格(×)であった。
比較例10−9では、チューブのZn溶射量が多いため、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例10−10では、タンクプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例10−11では、タンクプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例10−12では、タンクプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にタンクプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例10−13では、タンクプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、タンクプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、タンクプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例10−14では、タンクプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例10−15では、タンクプレートのろう材L3のSi濃度が低いために、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCuの移動が十分でなく、ヘッダプレート/タンクプレート接合部へのCu濃度が低く、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例10−16では、タンクプレートのろう材L3のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例10−17では、タンクプレートのろう材L3のCu濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例10−18では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例10−19では、ヘッダプレートのろう材L1のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例10−20では、ヘッダプレートの皮材L4のZn濃度が高いために、チューブ/ヘッダプレート接合部にZnが濃縮したため、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレート/タンクプレート接合部にZnが濃縮したため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位が、ヘッダプレートおよびタンクプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
比較例10−21では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が低いために、Mn固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例10−22では、ヘッダプレートの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例10−23では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が低いために、チューブ/ヘッダプレート接合部のCu濃度が低く、チューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位が、チューブおよびヘッダプレートの孔食電位よりも卑になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例10−24では、ヘッダプレートの心材のCu濃度が高いために、ろう付時にヘッダプレートが局部溶融し、その後の評価を行えなかった。
比較例10−25では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が低いために、Si固溶量が増大し、ヘッダプレートの孔食電位がチューブ/ヘッダプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、チューブ/ヘッダプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。さらに、ヘッダプレートの孔食電位がヘッダプレート/タンクプレート接合部の孔食電位よりも貴になった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。また、ヘッダプレートの耐食性も不合格(×)であった。
比較例10−26では、ヘッダプレートの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例10−27では、ヘッダプレートとタンクプレートの接合面がろうがないため、ヘッダプレート/タンクプレート接合部がろう付されなかった。これにより、ヘッダプレート/タンクプレート接合部でリーク漏れが発生し、不合格(×)であった。
(発明例11−1〜11−9及び比較例11−1〜11−8)
表26に、図1(a)に示す構造の熱交換器の実施例を示す。ヘッダプレートおよびタンクプレートに記載のろう付の項目は、ヘッダプレートとタンクプレートとの接合面を示している。
発明例11−1〜11−9では、フィンが本発明で規定した範囲を満たしているために、耐食性が全て合格(○)であった。
これに対して、比較例11−1では、フィンの心材のSi濃度が低いために、フィンの強度が低かった。
比較例11−2では、フィンの心材のSi濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例11−3では、フィンの心材のMn濃度が低いために、フィンの強度が低かった。
比較例11−4では、フィンの心材のMn濃度が高いために、圧延時に割れため、その後の評価を行えなかった。
比較例11−5では、フィンの心材のZn濃度が低いために、チューブの腐食が促進され、チューブの耐食性が不合格(×)であった。
比較例11−6では、フィンの心材のZn濃度が高いために、フィンの腐食が促進され、フィンの耐食性が不合格(×)であった。
比較例11−7では、フィンのろう材のSi濃度が低いために、ろうの量が不足し、ろう付不良であったため、その後の評価を行えなかった。
比較例11−8では、フィンのろう材のSi濃度が高いために、鋳造時に割れため、その後の評価を行えなかった。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…アルミニウム合金製熱交換器
2…チューブ
3…フィン
4、4A、4B…ヘッダプレート
5、5A、5B…タンクプレート
6…媒体経路
7…接合部
8…接合部

Claims (8)

  1. 内部に流体通路を有する複数のチューブがそれぞれ並列に配置され、隣接する前記チューブ間に、コルゲート成型されたフィンが挟み込んで配置、接合され、前記チューブの両端に、ヘッダプレートがろう付け接合によって一体化され、さらに前記ヘッダプレートに隣接してタンクプレートがろう付け接合されて内部に中空構造の媒体通路を形成した熱交換器において、
    前記チューブと前記ヘッダプレートとの接合部の孔食電位が、前記チューブの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位および前記ヘッダプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位の両方より貴であり、
    かつ、前記ヘッダプレートと前記タンクプレートとの接合部の孔食電位が、前記ヘッダプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位および前記タンクプレートの板厚方向で孔食電位の最も低い部位の孔食電位の両方より貴であって、
    前記チューブは、Si:0.05〜0.5mass%(以下、%と記す)、Cu:0.1〜0.8%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるAl合金表面に、3〜15g/mのZnを付与したAl合金材からなることを特徴とするアルミニウム合金製熱交換器。
  2. 前記ヘッダプレート及び前記タンクプレートは、一方が、心材とその外側に形成されたAl−Si系合金ろう材からなる第1の2層ブレージングシートから作製され、他方が、心材とその外側に形成されたAl−Si−Zn系合金ろう材からなる第2の2層ブレージングシートから作製されたものであって、
    前記ヘッダプレートと前記タンクプレートとの接合が、前記第1の2層ブレージングシートの前記Al−Si系合金ろう材面と、前記第2の2層ブレージングシートの前記心材面とを接触させ、ろう付接合することによってなされ、
    前記第1及び第2の2層ブレージングシートの前記心材が、Si:0.05〜1.0%、Cu:0.05〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第1の2層ブレージングシートの前記Al−Si系合金ろう材が、Si:3.0〜12.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第2の2層ブレージングシートの前記Al−Si−Zn系合金ろう材が、Si:3.0〜12.0%、Zn:0〜3.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  3. 前記ヘッダプレート及び前記タンクプレートは、一方が、心材とその外側に形成されたAl−Si−Zn系合金ろう材からなる第2の2層ブレージングシートから作製され、他方が、心材とその内側に形成されたAl−Si−Cu系合金ろう材と心材の外側に形成されたAl−Si−Zn系合金ろう材からなる第1の3層ブレージングシートから作製されたものであって、
    前記ヘッダプレートと前記タンクプレートとの接合が、前記第2の2層ブレージングシートの前記Al−Si−Zn系合金ろう材面と、前記第1の3層ブレージングシートの前記Al−Si−Cu系合金ろう材面とを接触させ、ろう付接合することによってなされ、
    前記第2の2層ブレージングシート及び前記第1の3層ブレージングシートの前記心材がSi:0.05〜1.0%、Cu:0.05〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第1の3層ブレージングシートの前記Al−Si−Cu系合金ろう材がSi:3.0〜12.0%、Cu:0〜1.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第1の3層ブレージングシートの前記Al−Si−Zn系合金ろう材がSi:3.0〜12.0%、Zn:0〜3.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第2の2層ブレージングシートの前記Al−Si−Zn系合金ろう材がSi:3.0〜12.0%、Zn:0〜3.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  4. 前記ヘッダプレート及び前記タンクプレートは、一方が、心材とその外側に形成されたAl−Si−Zn系合金ろう材からなる第2の2層ブレージングシートから作製され、他方が、心材とその内側に形成されたAl−Si−Cu系合金ろう材と心材の外側に形成されたAl−Zn系合金ろう材からなる第2の3層ブレージングシートから作製されたものであって、
    前記ヘッダプレートと前記タンクプレートとの接合が、前記第2の2層ブレージングシートの前記Al−Si−Zn系合金ろう材面と、前記第2の3層ブレージングシートの前記Al−Si−Cu系合金ろう材面とを接触させ、ろう付接合することによってなされ、
    前記第2の2層ブレージングシート及び前記第2の3層ブレージングシートの前記心材が、Si:0.05〜1.0%、Cu:0.05〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第2の3層ブレージングシートの前記Al−Si−Cu系合金ろう材がSi:3.0〜12.0%、Cu:0〜1.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第2の3層ブレージングシートの前記Al−Zn系合金ろう材がZn:0〜3.0%含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第2の2層ブレージングシートの前記Al−Si−Zn系合金ろう材がSi:3.0〜12.0%、Zn:0〜3.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  5. 前記ヘッダプレート及び前記タンクプレートは、一方が、心材とその外側に形成されたAl−Si−Zn系合金ろう材からなる第2の2層ブレージングシートから作製され、他方が、心材とその外側に形成されたAl−Zn合金皮材とさらにその外側に形成されたAl−Si系合金ろう材からなる第3の3層ブレージングシートから作製されたものであって、
    前記ヘッダプレートと前記タンクプレートとの接合が、前記第2の2層ブレージングシートの前記心材面と、前記第3の3層ブレージングシートの前記Al−Zn合金皮材及び前記Al−Si系合金ろう材面とを接触させ、ろう付接合することによってなされ、
    前記第3の3層ブレージングシート及び第2の2層ブレージングシートの前記心材が、Si:0.05〜1.0%、Cu:0.05〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第3の3層ブレージングシートの前記Al−Zn合金皮材が、Zn:0〜3.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第3の3層ブレージングシートの前記Al−Si系合金ろう材が、Si:3.0〜12.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第2の2層ブレージングシートの前記Al−Si−Zn系合金ろう材がSi:3.0〜12.0%、Zn:0〜3.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  6. 前記ヘッダプレート及び前記タンクプレートは、一方が、心材とその内側に形成されたAl−Si−Cu系合金ろう材と心材の外側に形成されたAl−Zn系合金ろう材からなる第2の3層ブレージングシートから作製され、他方が、心材とその外側に形成されたAl−Zn合金皮材とさらにその外側に形成されたAl−Si系合金ろう材からなる第3の3層ブレージングシートから作製され、
    前記ヘッダプレートと前記タンクプレートとの接合が、前記第2の3層ブレージングシートの前記Al−Si−Cu系合金ろう材面と、前記第3の3層ブレージングシートの前記Al−Zn合金皮材及び前記Al−Si系合金ろう材面とを接触させ、ろう付接合することによってなされ、
    前記第2の3層ブレージングシート及び第3の3層ブレージングシートの前記心材が、Si:0.05〜1.0%、Cu:0.05〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第3の3層ブレージングシートの前記Al−Zn合金皮材がZn:0〜3.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第3の3層ブレージングシートの前記Al−Si系合金ろう材がSi:3.0〜12.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第2の3層ブレージングシートの前記Al−Si−Cu系合金ろう材がSi:3.0〜12.0%、Cu:0〜1.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなり、
    前記第2の3層ブレージングシートの前記Al−Zn系合金ろう材がZn:0〜3.0%含有し、残部Al及び不可避不純物からなることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  7. 前記ブレージングシートの前記心材に、Ti:0.05〜0.30%、Zr:0.05〜0.30%、Cr:0.05〜0.30%及びV:0.05〜0.30%から選択される1種以上を更に含有することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  8. 前記フィン材が、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%、Zn:0.5〜4.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるAl合金の両側に、Si:3.0〜12.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるAl−Si合金ろう材を配置したアルミニウム合金クラッド材からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
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