JP2015067510A - 盛土用骨材、及びその製造方法 - Google Patents

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雅朗 野口
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Abstract

【課題】石炭灰を用いた盛土用骨材を提供することである。
【解決手段】盛土用骨材であって、前記盛土用骨材は、石炭灰および水硬性物質を含む組成物の造粒物が、破砕され、かつ、焼結されたものであり、粒径5mm〜25mmのものが75質量%以上である。5mm以上で25mmの粒径のものは、円形度が0.50以上で0.90であるのが好ましい。前記組成物がスメクタイト粘土鉱物を含むのが好ましい。さらに、前記水硬性物質がセメントであるのが好ましい。Alが10〜30質量%、CaOが1〜20質量%、Feが1〜10質量%である盛土用骨材。
【選択図】図1

Description

本発明は盛土用骨材に関する。
火力発電が、電力需要の増加や原子力発電所の運転停止などから、見直されている。特に、石炭は、埋蔵量が多く、かつ、費用が安いことから、石炭火力発電が注目されている。石炭火力発電所の稼働率向上、能力増強、新設などによって、石炭火力発電量は増加している。
石炭は5〜30%程度の灰分を含む。石炭燃焼後には、前記灰分に起因した石炭灰が発生する。石炭灰の発生は、国内で、年間1000万t以上にもなると言われている。この為、石炭灰の有効利用が多方面で進められている。石炭灰を、例えば(1)セメント原料、(2)コンクリート等の土木材料の混和材や増量材などに、利用することが提案されている。有効利用に供されない石炭灰は、埋め立て処分が検討されている。しかし、石炭使用量が増加する中で、埋立処分場は逼迫している。従って、更なる有効利用の開拓が課題となっている。
石炭灰の利用先として、コンクリート・モルタル用の骨材、路盤材向けの骨材が挙げられる。しかし、石炭灰のままでは、前記骨材には、適さない。この為、石炭灰を造粒し、造粒物を利用することが提案されている。多くの石炭灰は球状の微粒子である。従って、そのままでは、造粒が非常に困難である。石炭灰は硬化性物質を殆ど含まない為、造粒しても、骨材としての必要な強度が得られ難い。従って、セメント等の水硬性物質(必要に応じて、更に粘土など)を混合して造粒・硬化させることが提案されている。この硬化物が骨材として使用される。
微粒子の石炭灰に重量で2%以上30%以下のセメントを主体とした結合物と必要に応じて水を混合したものを造粒機に投入し水を添加しながら所定の粒状に形成された粒径50mm以下の粒状体又は該粒状体を破砕してなる石炭灰固化物を土質材料の代替品として使用することを特徴とする石炭灰固化物の利用方法が提案(特開平8−113777)されている。
石炭灰とセメントとが混合(セメントの割合は1〜30重量%)され、平均粒径が30μm以下となるように粉砕され、該粉砕物が必要に応じて湿式混練され、成型後、常圧蒸気養生が行われ、次いで高圧蒸気養生が行われる技術が提案(特開平11−171613)されている。
石炭灰および/又はフライアッシュに、水を添加し、成形し得られた粒状物の表面をセメントおよび/または生石灰粉末で被覆し、該粒状物中の水分又は新たに追加した水分と該セメントおよび/又は生石灰粉末を水和反応させた後、600℃から1000℃の温度範囲で25分以上滞留させ、その後1100℃から1400℃の温度範囲で焼成する人工骨材の製造方法が提案(特開2004−196557)されている。
特開平8−113777 特開平11−171613 特開2004−196557
骨材は土木・建築分野に用いられると言った一般的な開示が、特許文献1,2には、有るに過ぎない。骨材はコンクリート用に用いられる旨の開示が、特許文献3には、有るに過ぎない。
本願発明者は、大量に使用される分野での用途、特に、盛土に適した骨材に石炭灰を利用することを考えた。盛土用骨材の開示は、特許文献2,3には、無い。
ところで、特許文献1,2,3の骨材は盛土用骨材として好ましいものではなかった。例えば、特許文献1,2の骨材(石炭灰をセメント等で硬化させたに過ぎない骨材)は、石炭灰の種類によって強度が異なり、バラツキが大きい。更に、摩擦などによって、表面の粉化が起きる。雨水や地下水に晒された場合、水がアルカリ性に変性する。炭酸を含む水によって、侵食される結果、耐久性が低下する。強度に問題が有る。特許文献3の骨材は、焼成工程を経ている。従って、前記骨材が持つ問題点の幾つかは改善されていた。例えば、骨材強度は向上していた。しかし、特許文献3の骨材を盛土用骨材として用いた場合、積載した場合の安息角が小さかった。盛土に使用した場合、法面構造が保持できなかった。すなわち、盛土への使用は不適であった。
従って、本発明が解決しようとする課題は、前記問題点を解決することである。すなわち、石炭灰を用いた盛土用骨材を提供することである。
本発明は、
盛土用骨材であって、
前記盛土用骨材は、
石炭灰および水硬性物質を含む組成物の造粒物が、破砕、かつ、焼結されたものであり、
5mm以上で25mm未満の粒径のものが75質量%以上である
ことを特徴とする盛土用骨材を提案する。
本発明は、
盛土用骨材であって、
前記盛土用骨材は、
石炭灰および水硬性物質を含む組成物の造粒物が、破砕、かつ、焼結されたものであり、
5mm以上で25mm未満の粒径のものが75質量%以上であり、
5mm以上で25mm未満の粒径のものは、円形度が0.50以上で0.90未満である
ことを特徴とする盛土用骨材を提案する。
本発明は、
盛土用骨材であって、
前記盛土用骨材は、
石炭灰および水硬性物質を含む組成物の焼結物を含んでなり、
前記焼結物は、
5mm以上で25mm未満の粒径のものが75質量%以上であり、
前記5mm以上で25mm未満の粒径のものは、
その円形度が0.50以上で0.90未満である
ことを特徴とする盛土用骨材を提案する。
本発明は、前記盛土用骨材であって、前記組成物が更にスメクタイト型粘土鉱物を含むことを特徴とする盛土用骨材を提案する。
本発明は、前記盛土用骨材であって、前記水硬性物質がセメントであることを特徴とする盛土用骨材を提案する。
本発明は、前記盛土用骨材であって、Al含有量が10〜30質量%、CaO含有量が1〜20質量%、Fe含有量が1〜10質量%、残りがSiOを主成分とすることを特徴とする盛土用骨材を提案する。
本発明は、
盛土用骨材の製造方法であって、
造粒工程と硬化工程と破砕工程と焼結工程とを具備し、
前記造粒工程は、少なくとも石炭灰と水硬性物質と水とを用いて造粒物が得られる工程であり、
前記硬化工程は造粒物が硬化する工程であり、
前記破砕工程は造粒物が破砕される工程であり、
前記焼結工程は造粒物が焼結される工程である
ことを特徴とする盛土用骨材の製造方法を提案する。
本発明は、
盛土用骨材の製造方法であって、
造粒工程と硬化工程と破砕工程と焼結工程とを具備し、
前記造粒工程は、少なくとも石炭灰と水硬性物質と水とを用いて造粒物が得られる工程であり、
前記硬化工程は造粒物が硬化する工程であり、
前記破砕工程は造粒物が破砕される工程であり、
前記焼結工程は造粒物が焼結される工程であり、
前記硬化工程は前記造粒工程後に行われ、前記破砕工程は前記造粒工程後に行われ、前記焼結工程は前記破砕工程後に行われる
ことを特徴とする盛土用骨材の製造方法を提案する。
本発明は、
盛土用骨材の製造方法であって、
造粒工程と硬化工程と破砕工程と焼結工程とを具備し、
前記造粒工程は、少なくとも石炭灰と水硬性物質と水とを用いて造粒物が得られる工程であり、
前記硬化工程は造粒物が硬化する工程であり、
前記破砕工程は造粒物が破砕される工程であり、
前記焼結工程は造粒物が焼結される工程であり、
前記硬化工程は前記造粒工程後に行われ、前記焼結工程は前記造粒工程後に行われ、前記破砕工程は前記焼結工程後に行われる
ことを特徴とする盛土用骨材の製造方法を提案する。
本発明は、前記盛土用骨材の製造方法であって、前記破砕工程は30mm以下の大きさに破砕される工程であることを特徴とする盛土用骨材の製造方法を提案する。
本発明は、前記盛土用骨材の製造方法であって、前記破砕工程は、5mm以上で25mm未満の粒径の焼結物の円形度が0.50以上で0.90未満となる破砕物を得る工程であることを特徴とする盛土用骨材の製造方法を提案する。
本発明は、前記盛土用骨材の製造方法であって、焼結温度が1000〜1300℃であることを特徴とする盛土用骨材の製造方法を提案する。
本発明は、前記特徴の盛土用骨材の製造方法を提案する。
品質のバラツキが大きく、即ち、品質変動が避けられない石炭灰から、盛土用に好適な骨材が得られた。そして、これまで、建築・土木資材用の助剤や混和材としての利用や再資源化に限界があった石炭灰に対して、大量有効活用の活路が開かれた。
円形度を求める際の骨材の二次元画像
第1の発明は盛土用骨材である。以下、その実施形態が説明される。前記盛土用骨材の第1構成原料は石炭灰である。前記盛土用骨材の第2構成原料は水硬性物質である。すなわち、少なくとも、石炭灰と水硬性物質とが用いられる。好ましくは、更に、スメクタイト型粘土鉱物が用いられる。前記水硬性物質は、好ましくは、セメントである。前記盛土用骨材は、5mm以上で25mm未満の粒径のものが75質量%以上である。好ましくは、80質量%以上である。好ましくは、95質量%以下である。前記盛土用骨材は、前記石炭灰および水硬性物質を含む組成物の造粒物が、焼結されたものである。前記盛土用骨材は、例えば破砕されたものである。前記破砕によって、前記盛土用骨材は、所望の大きさ(5mm以上で25mm未満の粒径のものが75質量%以上)のものになる。尚、破砕された場合、該骨材の形状は、一般的には、同一のものは殆どない。前記盛土用骨材(焼結体)における前記5mm以上で25mm未満の粒径のものは、好ましくは、その円形度が0.50以上で0.90未満である。前記盛土用骨材(焼結体)は、好ましくは、破砕されたものであって、5mm以上で25mm未満の粒径のものは、円形度が0.50以上で0.90未満のものある。前記盛土用骨材は、Al含有量が10〜30質量%、CaO含有量が1〜20質量%、Fe含有量が1〜10質量%、残りがSiOを主成分とする。微量成分として、例えばNaO,KO,TiO等が挙げられる。微量成分は検出限界値より少ない場合もある。勿論、零の場合もある。
第2の発明は盛土用骨材の製造方法である。以下、その実施形態が説明される。前記製造方法は、好ましくは、前記特徴の盛土用骨材の製造方法である。前記製造方法は、造粒工程と硬化工程と破砕工程と焼結工程とを具備する。前記造粒工程は、少なくとも石炭灰と水硬性物質と水とを用いて、造粒物が得られる工程である。前記硬化工程は、造粒物が硬化する工程である。前記破砕工程は、造粒物が破砕される工程である。前記破砕工程は、好ましくは、30mm以下の大きさに破砕される工程である。前記破砕工程は、より好ましくは、5mm以上で25mm未満の粒径の焼結物の円形度が0.50以上で0.90未満となる破砕物を得る工程である。前記焼結工程(焼成工程)は、造粒物が焼結(焼成)される工程である。焼結温度は、好ましくは、1000〜1300℃である。前記工程の順序は、例えば次の(1)(2)が挙げられる。(1)造粒工程→硬化工程→破砕工程→焼結工程(2)造粒工程→硬化工程→焼結工程→破砕工程。好ましくは、前記(1)の順である。すなわち、破砕工程後に焼結が行われた場合、焼結時に、破裂(爆発)が起き難い。
以下、更に詳しい説明がされる。
本発明の盛土用骨材は、原料の一つとして、石炭灰が用いられた。石炭灰は、石炭の燃焼で生じたものならば、格別には、限定されない。但し、好ましくは、石炭火力発電所から発生する灰である。特に、主として、微粉炭燃焼によって生成したものである。例えば、燃焼ボイラの燃焼ガスから空気余熱器、節炭器などを通過する際に落下採取された石炭灰が挙げられる。或いは、集塵機で採取された石炭灰が挙げられる。又は、燃焼ボイラの炉底に落下した石炭灰等が挙げられる。この他にも、流動床燃焼によって発生した流動床灰も挙げられる。前記盛土用骨材は、前記石炭灰を含む水硬性組成物の硬化物が焼成されたものである。そして、前記特定の形状や大きさを有する。
前記水硬性組成物中には、結合相形成成分として、セメント等の水硬性物質が含まれる。前記セメントとしては、特には、限定されない。例えば、普通、早強、超早強、中庸熱、低熱などの各種ポルトランドセメントが挙げられる。高炉セメント等の混合セメントも挙げられる。水硬性組成物中に含まれる前記水硬性物質(セメント等)の量は、水硬性組成物中の石炭灰100質量部に対し、好ましくは、2〜20質量部(より好ましくは、5質量部以上。より好ましくは、15質量部以下)であった。2質量部未満では、強度が低くなる恐れが有る。20質量部を越えると、強度が強過ぎ、破砕が困難になる恐れが有る。セメント量が多くなると、石炭灰の有効利用量が少なくなる。
前記水硬性組成物には、硬化に必要な水の他、本発明の効果を阻害しない限り、石炭灰および水硬性物質以外の成分が含有される場合も有る。このような成分としては、例えばモルタルやコンクリートに使用できる粘土鉱物、リグニン、水ガラス、水に不活性な無機微粉などが挙げられる。スメクタイト型粘土鉱物が含まれていると、造粒性が向上した。更に、造粒物の保形性も向上した。従って、前記水硬性組成物中にスメクタイト型粘土鉱物が存在していることは好ましい。スメクタイト型粘土鉱物は、何れのタイプのものでも良い。但し、好ましくは、ベントナイトである。スメクタイト型粘土鉱物の含有量は、好ましくは、セメント100質量部に対し、1〜5質量部である。
本発明の盛土用骨材は、粒径5mm以上で粒径25mm未満の大きさのものの割合が、75質量%以上である。好ましくは、80質量%以上である。好ましくは、95質量%以下である。5mm以上で粒径25mm未満の大きさのものの割合が75質量%未満の少ないと言うことは、(1)5mm未満の大きさのものが多いか、(2)25mm以上の大きさのものが多いと言うことである。前記(1)の場合、小さな骨材が多いことから、盛土用骨材として用いられた場合、前記骨材が雨水(地下水)などで流失し易い。前記(2)の場合、積載時の盛土用骨材と盛土用骨材との間の空間が大きくなる。この為、盛土構造が脆弱となる。盛土空間内土壌が流失する恐れが有る。従って、上記範囲内のものが好ましかった。
本発明の盛土用骨材は、粒径5mm以上25mm未満の骨材の円形度が、好ましくは、0.50以上0.90未満であった。円形度とは、粒子の実形状の球体形状からのズレを表す指標である。対象粒子(骨材)が二次元画像処理され、式[円形度=(投影面積の等しい円の周長S)/(投影画像粒子の周長L)]によって算出される。円形度が0.90以上の場合、安息角が30°以下となる傾向が高い。この為、盛土に適用された場合、崩れ易い。円形度が0.50未満の場合、骨材はいびつな形状である。この為、均一な敷設が行われ難い。すなわち、作業性が低下した。更には、アスペクト比が高くなる。このことは、骨材強度の低下を意味する。
盛土用骨材の製造には、前記水硬性組成物(前記石炭灰と前記水硬性物質(必要に応じて、スメクタイト型粘土鉱物))と前記水とが用いられる。その他にも、必要に応じて、前記リグニン等が用いられる。この混合物から、大きさが20〜50mm程度の造粒物が作製される。この後、養生固化が行われる。そして、破砕機で破砕される。破砕後に、焼成炉での焼成(焼結)が行われる。
前記造粒は造粒機で行われる。造粒機としては、例えば押出し造粒機、圧縮造粒機、転動造粒機、混合造粒機などが挙げられる。造粒後の養生固化が省略され、造粒物の焼成がキルンで行われると、キルン内部に閉じ込められた水が気化し、爆破が起きる恐れが有る。爆破が起きると、造粒物は顆粒状または粉状になる。粒度分布が大きく変化する。この状態で、キルン内の温度が高くなると、溶融が起こり易い。粟おこし状物となる。或いは、全体が溶けて融着する。この為、焼成が困難となる。従って、造粒物は、先ず、養生し、硬化(固化)させるのが望ましい。養生は、例えば、常温、大気中で行われる。養生時間は、例えば常温大気中での場合、7日程度が目安である。勿論、養生方法や環境が異なれば、養生時間も異なる。養生時間は、例えばキルンによる焼成時に、爆破が起きない程度のものである。或る条件下での養生固化物に爆破が起きるか否かをチェックすれば、適切な養生時間を決めることが出来る。養生は他の方法によっても良い。特には限定されない。養生時間は、養生方法によって異なる。
養生硬化物(固化物)は、焼成前に、破砕が行われる。造粒時に適切な大きさのものに造粒されたとしても、形状の観点から、破砕の行われることが好ましい。すなわち、大きいものが造粒された後、破砕が行われて、適切な大きさ・形状のものとされることが好ましい。破砕によって、0.50以上で0.90未満の円形度の物が得られる。逆に言うと、好ましくは、0.50以上で0.90未満の円形度の物が得られるように破砕が行われる。或る破砕条件で破砕が行われたケースにおいて、得られた破砕物の円形度を調べ、前記範囲内のものであれば、以降は、その条件で破砕が行われる。外れていれば、破砕条件が変更され、再度、同様に行われる。そして、適切な破砕条件が決定される。破砕機として、ジョークラッシャーが用いられた場合、例えば固定歯と動歯との隙間の調整、歯の形状の変更などの破砕条件が検討される。前記破砕によって、適切な大きさで、適切な円形度の破砕物(破砕物を焼結した場合、粒径5mm以上で25mm未満の焼結物が、75質量%以上であり、粒径5mm以上で25mm未満の焼結物の円形度の平均値が、0.50以上で0.90未満)が得られる。破砕には、例えば破砕機が用いられる。破砕は、骨材粒径が、概ね、25mm未満になるように行われる。25mm未満の粒径のものが90%以下であることが好ましい。25mm以上の粒径のものが多いと、次の焼結工程で爆裂する可能性が高くなる。爆裂が起きると、粉化が起きる。従って、爆裂が起きない方が好ましい。数回程度の小爆裂が起きても良いが、出来れば、爆裂は無視できる場合または皆無な方が好ましい。破砕機としては粗砕機が好ましい。例えば、ジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、ロールクラッシャーが挙げられる。ボールミルや振動ミルのような粉砕機では、微粉化が起き易い。破砕することによって、安息角が大きくなる。押出し成型機による造粒物は円柱状、転動造粒機による造粒物は球形である為、この造粒物の形状のままでは、安息角が小さい。従って、盛土用骨材としては好ましくなかった。破砕によって、安息角が大きくなる。盛土用骨材として好ましくなる。破砕によって、粒径が小さくなり過ぎると、円形度が適切でも、盛土用骨材としては好ましくなかった。5mm未満程度のものは除外されることが好ましい。例えば、篩による選別が推奨される。
前記破砕物は、強度向上の観点から、焼成(焼結)が行われる。焼結によって、骨材表面の粉化が抑制される。水中浸漬条件下において、水のpHが高くなり難い(高アルカリ性になり難い)。すなわち、盛土用骨材として用いられた場合でも、水の汚染が起こり難い。骨材の強度が増す。すなわち、耐久性が向上する。焼結には、例えば焼成炉または焼成窯が用いられる。焼成炉(焼成窯)は、生産効率の観点から、好ましくは、例えばトンネルキルン、ローラーハウスキルン、流動床、ロータリーキルン等が用いられる。勿論、これ等に限られない。製造の容易性から、ロータリーキルンの採用が好ましい。最高温度が1000〜1300℃で焼成が行われると、強度の高い焼結体(骨材)が得られた。1300℃を越えて高すぎる温度では、溶融が起きる。破砕物同士の接合が起きる恐れがある。従って、1300℃以下が好ましかった。逆に、1000℃未満の低すぎる温度では、十分な焼結が難しい。この為、強度向上効果が小さい。更に、水の汚染(水のアルカリ化)の恐れがある。焼成後、必要に応じて、分級処理が行われる。粒径5mm以上で25mm未満のものが、75質量%以上(より好ましくは、80質量%以上。より好ましくは、95質量%未満)となるように分級が行われる。分級して得られた骨材は盛土用骨材として好適であった。焼結による収縮率は、せいぜい、約90%程度であった。この為、焼結による大きな影響はなかった。円形度への影響は非常に少なかった。
以下、具体的な実施例が挙げられる。但し、本発明は以下の実施例にのみ限定されない。本発明の特長が大きく損なわれない限り、各種の変形例や応用例も本発明に含まれる。
使用原料が表−1に示される。
表−1
原料 品種 ブレーン比表面積
石炭灰 JISフライアッシュII種 2750cm/g
セメント 普通ポルトランドセメント 3350cm/g
ベントナイト ワイオミング産ベントナイト 3440cm/g
上記石炭灰とセメントとベントナイトとが混合(90:7:3)された。適量の水が加えられ、大きさが30mmの球状に造粒された。造粒後、養生(常温の湿空状態、2週間)が行われた。養生固化した造粒物の破砕が行われた。破砕には、ジョークラッシャーとロールクラッシャーとボールミルとが用いられた。ジョークラッシャーは、破砕部の隙間の幅が調整され、破砕粒度の異なる破砕物が得られた。
次いで、前記破砕物が焼成(箱型電気炉にて最高温度1200℃)された。焼成後は炉内で自然放冷された。これによって、表−2に示される骨材が得られた。
表−2
No 粉砕手段 含有率(%) 円形度 安息角
粒径1 粒径2 粒径3 粒径4
1 JC 8 89 3 0 0.82 35°
2 JC 7 42 41 10 0.55 36°
3 JC 4 10 74 12 0.89 32°
4 RC 5 60 35 0 0.85 35°
5 未粉砕 0 0 7 93 0.92 25°
6 JC 4 6 76 14 0.91 29°
7 JC 30 61 6 3 0.81 37°
8 BM 20 5 75 0 0.90 25°
*JC:ジョークラッシャー
RC:ロールクラッシャー
BM:ボールミル
粒径1:粒径5mm未満
粒径2:粒径5mm以上、20mm未満
粒径3:粒径20mm以上、25mm未満
粒径4:粒径25mm以上
円形度:5mm以上の径の粒子(骨材)がランダムに採取された。そして、合計100個の粒子が平板上に無造作に置かれ、該粒子が真上から撮影(図1参照:図1は円形度の算出に用いられた粒子の一部の写真)された。この投影画像が抽出され、投影画像の粒子の周長Lが測定されると共に、粒子の投影画像(二次元画像)の面積と等しい面積の円の周長Sが測定された。次式に基いて円形度が算出された。円形度=(投影面積の等しい円の周長S)/(投影画像粒子の周長L)。円形度は1に近づくほど真円になり、小さくなるほど歪が大きい。
安息角:側面が解放できる15cm四方の透明容器内に、15cmの高さまで骨材(粒子)が入れられた後、解放面が引き上げられ、骨材の傾斜角が測定された。
表−2には示されていないが、焼成前の粒度分布と焼成後の粒度分布とに多少の相違は認められた。すなわち、焼成によって、大きさが、多少、小さくなった。しかし、円形度は殆ど変化が認められなかった。安息角は同じであった。
No.5の未粉砕品は、円形度が0.92で安息角は25°であった。この骨材が盛土に用いられた場合、傾斜が取れない。従って、このものは、盛土用骨材には適していなかった。
粉砕品でも、No.6の骨材は、円形度が0.91で安息角が29°であった。この骨材を盛土に用いた場合、傾斜が取れない。従って、このものも、盛土用骨材には余り適していない。No.7の骨材は、円形度が0.81で安息角が37°であった。従って、No.7の骨材を盛土に用いた場合、傾斜は確保できる。しかし、粒径が小さい。この為、盛土に用いた場合、流失の恐れが有る。従って、このものも、盛土用骨材には余り適していない。粉砕にボールミルが用いられたNo.8の骨材も、粒径の小さなものが多くなった。かつ、円形度は0.90で安息角は25°であった。従って、このものも、盛土用骨材には適していない。一般的に、ボールミルでの破砕は、コントロールが難しく、かつ、粉分が多くなる。従って、本発明にあっては、破砕には、ボールミルの採用よりも、ジョークラッシャーやロールクラッシャーの採用が好ましかった。
No.1の骨材について、蛍光X線で化学成分を調べた処、SiOは53.2質量%、Alは24.7質量%、CaOは10.8質量%、Feは8.5質量%、NaOが0.8質量%、KOが0.9質量%、TiOが0.5質量%、その他が約0.6質量%であった。
No.1の骨材のpH特性が調べられた。比較の為、No.1の骨材において、焼成処理が行われなかった非焼結骨材(No.9の骨材)が用意された。焼成によって、大きさが、多少、小さくなったものの、No.1の骨材とNo.9の骨材とは形状に差異が殆ど認められなかった。すなわち、No.1の骨材の円形度とNo.9の骨材の円形度とは同じであった。No.1の骨材とNo.9の骨材とが、各々、別の容器内に入れられた。5倍量の水が各々の容器に入れられた。十分な混合・撹拌が行われた。30分の静置が行われた。この後、pH計によって、水のpHが測定された。No.1の骨材が入っていた水にあっては、pHは約7であった。かつ、水の濁りも認められなかった。これに対して、No.9の骨材が入っていた水は濁っていた。この水のpHは約10.5であった。すなわち、非焼成の骨材は、表面の粉分が水中に溶出していることが窺える。このことは、水の汚染の問題を指摘している。
又、上記石炭灰とセメントとベントナイトとが混合(90:7:3)された。適量の水が加えられ、パンペレタイザーで大きさが30mmの球状粒子が造粒された。造粒後、養生(常温の湿空状態、2週間)が行われた。養生固化した造粒物の破砕が行われた。破砕にはジョークラッシャーが用いられた。ジョークラッシャーは、破砕部の隙間の幅が調整され、粒径が5〜25mmのものが得られた。
次いで、前記破砕物がロータリーキルンで焼成(最高温度1140℃)された。焼成後は炉内で自然放冷された。これによって、表−3に示される骨材が得られた。
表−3
No 試料 円形度 安息角
10 No.2 0.58 35°
11 No.5 0.91 25°
No.11の未粉砕品は、円形度が0.91で安息角は25°であった。この骨材が盛土に用いられた場合、傾斜が取れない。従って、このものは、盛土用骨材には適していなかった。そればかりでなく、焼成中に爆裂が多く起きた。この為、顆粒分や粉分が多く認められた。
これに対して、No.10の粉砕品は、円形度が0.58で安息角は35°であった。従って、この骨材は盛土用骨材に適した。更に、焼成中に爆裂が全く起きなかった。この為、顆粒分や粉分は少なかった。
更に、No.10及びNo.11のものを、1170℃まで昇温させると、No.11の非破砕品は爆裂した粉分が溶融して融着し、粟おこし状となり、焼成が不可能になった。しかし、No.10のものは、斯かる問題は起きなかった。

Claims (10)

  1. 盛土用骨材であって、
    前記盛土用骨材は、
    石炭灰および水硬性物質を含む組成物の造粒物が、破砕、かつ、焼結されたものであり、
    5mm以上で25mm未満の粒径のものが75質量%以上である
    ことを特徴とする盛土用骨材。
  2. 5mm以上で25mm未満の粒径のものは、円形度が0.50以上で0.90未満である
    ことを特徴とする請求項1の盛土用骨材。
  3. 盛土用骨材であって、
    前記盛土用骨材は、
    石炭灰および水硬性物質を含む組成物の焼結物を含んでなり、
    前記焼結物は、
    5mm以上で25mm未満の粒径のものが75質量%以上であり、
    前記5mm以上で25mm未満の粒径のものは、
    その円形度が0.50以上で0.90未満である
    ことを特徴とする盛土用骨材。
  4. 組成物が更にスメクタイト型粘土鉱物を含む
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの盛土用骨材。
  5. 水硬性物質がセメントである
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかの盛土用骨材。
  6. Al含有量が10〜30質量%、CaO含有量が1〜20質量%、Fe含有量が1〜10質量%、残りがSiOを主成分とする
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5いずれかの盛土用骨材。
  7. 盛土用骨材の製造方法であって、
    造粒工程と硬化工程と破砕工程と焼結工程とを具備し、
    前記造粒工程は、少なくとも石炭灰と水硬性物質と水とを用いて造粒物が得られる工程であり、
    前記硬化工程は造粒物が硬化する工程であり、
    前記破砕工程は造粒物が破砕される工程であり、
    前記焼結工程は造粒物が焼結される工程である
    ことを特徴とする盛土用骨材の製造方法。
  8. 前記破砕工程は、30mm以下の大きさに破砕される工程である
    ことを特徴とする請求項7の盛土用骨材の製造方法。
  9. 前記破砕工程は、5mm以上で25mm未満の粒径の焼結物の円形度が0.50以上で0.90未満となる破砕物を得る工程である
    ことを特徴とする請求項7又は請求項8の盛土用骨材の製造方法。
  10. 焼結温度が1000〜1300℃である
    ことを特徴とする請求項7〜請求項9いずれかの盛土用骨材の製造方法。

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JP2017077551A (ja) * 2015-10-22 2017-04-27 太平洋セメント株式会社 土工資材の製造方法
JP2017080642A (ja) * 2015-10-22 2017-05-18 太平洋セメント株式会社 土工資材およびその製造方法
JP2017136520A (ja) * 2016-02-01 2017-08-10 太平洋セメント株式会社 土工資材およびその製造方法
JP2017164705A (ja) * 2016-03-17 2017-09-21 太平洋セメント株式会社 粒状の土工資材およびその製造方法

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