JP2015066627A - 保持パッド及び保持具 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨加工の際に、平面方向にずれるような剥離を抑制すると共に被研磨物の損傷をも抑制する保持パッド、および保持パッドを備える保持具を提供する。【解決手段】保持パッド110は被研磨物500を保持するための保持面を有するシート112を備え、前記シート112は樹脂を含み、前記シート112の剪断剥離力は1.1〜3.0MPaである。保持パッド110と、その保持パッド110上に設けられた枠材120とを備える保持具100は、保持用定盤と研磨用定盤とに、被研磨物500及び研磨パッド510と共に挟まれる。被研磨物500は厚み方向に押圧力が加えられた状態で枠材120の内側で自転することにより研磨パッド510で研磨加工される。【選択図】図3

Description

本発明は、保持パッド及び保持具に関する。
従来、半導体ウエハ、シリコンウエハ、ハードディスク用基板やガラス基板などの各種材料(被研磨物)の表面(片面)では、平坦性を向上するために、対向配置された2つの定盤を備えた研磨機を用いた研磨加工が行われている。特にシリコンウエハ及びガラス基板では、欠陥のない積層配線の高集積化や高画質画像を演出するため、それらの基礎となる基板に対する高精度な平坦性の要求がますます高まっている。
被研磨物を、片面ずつ研磨加工するには、片面研磨機が用いられる。この研磨加工の際、まず、片面研磨機の一方の定盤(研磨用定盤)に研磨パッドを装着し、他方の定盤(保持用定盤)に被研磨物を研磨パッドと対向するように保持する。そして、保持用定盤と研磨用定盤に装着した研磨パッドとの間で研磨圧(押圧)をかけて研磨加工する。研磨加工時には、研磨粒子(砥粒)と化学成分とを含む研磨スラリを被研磨物と研磨パッドとの間に循環しつつ供給して、所謂化学機械研磨(以下、「CMP」という)を行う。
保持用定盤には、被研磨物が、通常金属製の保持用定盤と直接接触して損傷することを回避するため、保持パッドが装着されている。つまり、被研磨物と保持用定盤との間に更に保持パッドを介在させ、保持パッドの保持面で被研磨物を保持することにより、被研磨物の損傷を回避することができる。しかしながら、保持パッドによる被研磨物の保持性が不十分なときは、研磨加工中に被研磨物の横ずれが生じ得る。そのような場合は、被研磨物の横ずれを抑制するため、保持パッドの保持面上に被研磨物の外周を取り囲むような、被研磨物を収容できる保持穴が1つ以上のある枠材を貼り合わせた保持具を用いることができる。かかる保持具では、枠材の保持穴内に被研磨物を収容して保持パッドによって被研磨物を保持し、その状態で研磨加工を行うことができる。
例えば、特許文献1では、従来よりも周辺ダレやいわゆる中凹状態の少ない被加工物を得ることができる研磨用被加工物保持具の提供を意図して、被加工物が嵌合されるリセス孔が開設されたテンプレートと、前記被加工物を保持する弾性体から成るバッキング材とが相互に固定された研磨用被加工物保持具であって、テンプレートとバッキング材とのリセス孔周縁部近傍の相互間が、研磨時のリセス孔周縁部近傍のバッキング材の非定常変形を吸収できるように形成されたことを特徴とする研磨用被加工物保持具が記載されている。
特開2000−042910号公報
しかしながら、特許文献1に記載のものを始めとする従来の技術では、保持パッドが備える樹脂シートが、研磨加工時の押圧力や研磨スラリに含まれる化学成分による浸食によって劣化し、研磨加工の際に受ける剪断方向への力により、樹脂シート内の機械的強度の弱い部分から、その平面方向(面内方向)にずれるように剥離(破断)する場合があった。一方で、そのような剥離を防止するために単に保持パッドを硬くしても、被研磨物が損傷してしまうという欠点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、研磨加工の際に、平面方向にずれるような剥離を抑制すると共に被研磨物の損傷をも抑制する、保持パッド及びその保持パッドを備える保持具を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、保持パッドが有する特定の性質が所定の範囲内にあることで、研磨加工時であっても、保持パッドの平面方向にずれるような剥離を抑制すると共に被研磨物の損傷をも抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]被研磨物を保持するための保持面を有するシートを備える保持パッドであって、前記シートは樹脂を含み、前記シートの剪断剥離力が1.1〜3.0MPaである、保持パッド。
[2]前記シートの最大空隙率が55〜80%である上記保持パッド。
[3]前記樹脂の100%モジュラスが6.0〜13.0MPaである上記保持パッド。
[4]前記樹脂がポリウレタン樹脂を主成分として含む上記保持パッド。
[5]上記保持パッドを備える保持具。
本発明によれば、研磨加工の際に、平面方向にずれるような剥離を抑制すると共に被研磨物の損傷をも抑制する保持パッド及びその保持パッドを備える保持具を提供することができる。
本発明の保持具の一例を示す模式断面図である。 剪断剥離力の測定に用いる試験片の模式斜視図である。 研磨加工の様子を説明するための模式断面図である。 高い開孔面積率を示す樹脂シートの画像である。 低い開孔面積率を示す樹脂シートの画像である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態の保持パッドは、被研磨物を保持するための保持面を有するシートを備える保持パッドであって、上記シートは樹脂を含み、そのシートの剪断剥離力が1.1〜3.0MPaのものである。また、本実施形態の保持具は、上記保持パッドを備えるものである。
図1は、本実施形態に係る保持具の一例を示す模式断面図である。保持具100は、保持パッド110と、その保持パッド110上に設けられた枠材120とを備える。保持パッド110は、枠材120側から、樹脂シート112と基材114とをこの順に積層している。枠材120と樹脂シート112、及び樹脂シート112と基材114は、それぞれ接合されており、この例では、枠材120と樹脂シート112との接合は接着層122を介し、樹脂シート112と基材114との接合は接着層116を介している。保持パッド110に含まれる樹脂シート112は、樹脂を含み、保持具100における枠材120側に、被研磨物を保持するための保持面Pを有する。
樹脂シート112の剪断剥離力は、研磨加工の際に、樹脂シート112内での平面方向にずれるような剥離(破断)を抑制すると共に被研磨物の損傷をも抑制する観点から、1.1〜3.0MPaであり、1.2〜2.8MPaであると好ましく、1.3〜2.7MPaであるとより好ましく、1.3〜2.5MPaであると更に好ましい。剪断剥離力を1.1MPa以上にすることにより、研磨加工の際の樹脂シート112の剥離(破断)を良好に抑制することができ、3.0MPa以下にすることにより、被研磨物の損傷を良好に抑制することができる。剪断剥離力は、下記のようにして測定されるものである。
[剪断剥離力の測定方法]
図2は、剪断剥離力の測定に用いる試験片を模式的に示す斜視図である。この試験片200は、基材214、樹脂シート212、枠材220、接着層216、及び接着層222を、下記に示す寸法及び図2に示す形状になるように成形し、それらを保持具100におけるものと同様の方法で積層して得ることができる。基材214、樹脂シート212、枠材220、接着層216、及び接着層222は、それぞれ、保持具100の基材114、樹脂シート112、枠材120、接着層116、及び接着層122と同じ材料である。図2に示すように、試験片200の樹脂シート212の部分は10mm×10mmの正方形の平面形状を有し、その樹脂シート212の両主面側には、それぞれ基材214及び枠材220が接着層216、接着層222を介して、樹脂シート212の主面全体を覆うように接合、積層されている。また、基材214及び枠材220の平面寸法は樹脂シート212の平面寸法よりも大きく、そのため、基材214及び枠材220は、樹脂シート212に対して一部がはみ出るように配置されている。そして、基材214及び枠材220の樹脂シート212からはみ出た部分は、後述の引張試験機が、それらの部分を把持して互いに離れる方向に引っ張ることができるようにはみ出ている。基材214及び枠材220の平面寸法は、例えば10mm×17mmであり、樹脂シート212、基材214及び枠材220の厚さは保持具におけるものと同様である。
次いで、得られた試験片200の基材214及び枠材220のはみ出した部分を引張試験機(例えば、株式会社エー・アンド・デイ製、テンシロン万能試験機RTC(商品名))の治具で把持し、それらを、樹脂シート212に剪断力がかかるように互いに離れる方向に100mm/分の引張速度で引っ張り、試験片200の樹脂シート212が破断した時の引張強力を読み取る。そして、読み取った引張強力から樹脂シート212の単位面積当たりにかかった力を算出して剪断剥離力とする。試験は3回行い、3回の相加平均を本実施形態に係る剪断剥離力とする。
樹脂シート112の最大空隙率は、55〜80%であることが好ましく、60〜75%であることがより好ましく、65〜70%が更に好ましい。最大空隙率を55%以上にすることにより、研磨加工の際の樹脂シート112の破断をより良好に抑制することができ、3.0MPa以下にすることにより、被研磨物の損傷をより良好に抑制することができる。樹脂シート112の最大空隙率は、下記のようにして測定される。
[最大空隙率の測定方法]
まず、測定対象の樹脂シートを試料として用意する。その樹脂シートは、保持具又は保持シートから切り出したものであってもよい。次に、試料である樹脂シートの平面方向(厚み方向と直交する方向)の断面を、三次元計測X線CT装置(例えば、ヤマト科学株式会社製、商品名「TDM1000−IS/SP」)により撮像して、連続断層画像を得る。得られた連続断層画像のそれぞれを、SEM用画像解析ソフトウエア(例えば、Olympus Soft−Imaging Solutions社製、商品名「Scandium」)を用いて二値化処理し、濃淡のある画像を得る。その濃淡のある画像に対して、孔を示す部分(例えば濃部)を開孔部として、開孔部の濃度範囲(閾値)を、開孔と認識できるものを捉えられるように設定し、その開孔部を積算することにより開孔部面積を求める。その開孔部面積を観測範囲(視野)の全体の面積で除した値の百分率を開孔面積率とし、最も開孔面積率が高かった断層画像(断面画像)における開孔面積率を最大空隙率とする。なお、三次元計測X線CT装置の測定条件は、管電圧:30kV、管電流:30μA、画素数:512×512pixel、視野寸法:3.23mmφ×3.23mmhとする。
樹脂シート112の剪断剥離力及び最大空隙率は、例えば、樹脂シート112を作製する際に用いられ得る親水性添加剤の種類及び添加量、疎水性添加剤の種類及び量、凝固液温度、樹脂溶液の樹脂濃度を調整することにより制御することができる。より具体的には、親水性のより低い親水性添加剤を使用し、疎水性のより高い疎水性添加剤を使用し、親水性添加剤の添加量を減少させ、疎水性添加剤の添加量を増大させ、凝固液温度を高くし、樹脂溶液の樹脂濃度を高めるほど、最大空隙率は低くなり、剪断剥離力は高くなる。また、同程度の剪断剥離力を有しつつ、最大空隙率を制御する方法としては、例えば、樹脂シート112を構成する樹脂の100%モジュラスを調整しつつ、親水性添加剤量、疎水性添加剤量、凝固液温度を適宜調整する方法が挙げられる。
樹脂シート112を構成する樹脂の100%モジュラスは、6.0〜13.0MPaであると好ましく、7.0〜12.0MPaであるとより好ましく、8.0〜11.0MPaであるとより好ましい。この100%モジュラスが6.0〜13.0MPaであることにより、被研磨物の損傷をより良好に抑制することができる。なお、100%モジュラスは、室温23±2℃の環境下において樹脂シートと同じ材料を用いた無発泡の樹脂シート(試験片)を100%伸ばしたとき、すなわち元の長さの2倍に伸ばしたときの引張力を試験片の初期断面積で除した値である。
樹脂シート112は、マトリックスとそのマトリックスの間に存在する複数の孔とを有するものであり、所謂湿式成膜法により形成されたものであっても、乾式成型法により形成されたものであってもよい。研磨加工の際に樹脂シート112内での面内方向にずれるような剥離(破断)をより有効かつ確実に抑制すると共に、被研磨物の損傷をもより有効かつ確実に抑制する観点から、樹脂シート112は、湿式成膜法により形成されたものであることが好ましい。
樹脂シート112が湿式成膜法により形成されたものである場合、保持面P側に図示しない緻密な微多孔が形成されたスキン層を有している。スキン層の表面はミクロな平坦性を有している。一方、スキン層のより内側(樹脂シート112の内部)には、スキン層の微多孔より大きい孔径で樹脂シート112の厚さ方向に沿って丸みを帯びた断面三角状の空孔が形成されている。その空孔は、保持面P側の大きさが、保持面Pと反対の面側よりも小さく形成されている。樹脂シート112には、スキン層の微多孔よりも大きく空孔よりも小さいサイズの孔が形成されていてもよい。スキン層の微多孔、空孔及び小さいサイズの孔は互いに連通孔で網目状につながっていてもよい。最大空隙率は、上記の空孔、小さいサイズの孔の存在比率によって決まる。
樹脂シート112のマトリックスを構成する材料は、樹脂(以下、「マトリックス樹脂」ともいう。)を最も多く含む組成であれば特に限定されず、例えば、樹脂シート112は、その全体量に対して、マトリックス樹脂を80〜100質量%含むものであってもよい。樹脂シート112は、その全体量に対して、マトリックス樹脂をより好ましくは85〜100質量%含み、更に好ましくは90〜100質量%含み、特に好ましくは90〜95質量%含む。
マトリックス樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリサルホン樹脂及びポリイミド樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられ、従来の研磨パッドの研磨層に用いられるものであってもよい。これらの中では、本発明の目的を一層有効且つ確実に奏する観点から、ポリウレタン樹脂が好ましく、樹脂シート112がポリウレタン樹脂を主成分、すなわち樹脂の中で最も多く含むことが好ましく、50質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことが更に好ましく、90質量%以上含むことが特に好ましく、95質量%以上含むことが極めて好ましい。
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、本発明の目的をより有効且つ確実に奏する観点から、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、クリスボン(DIC(株)社製商品名)、サンプレン(三洋化成工業(株)社製商品名)、レザミン(大日本精化工業(株)社製商品名)が挙げられる。
ポリサルホン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、ユーデル(ソルベイアドバンストポリマーズ(株)社製商品名)が挙げられる。ポリイミド樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、オーラム(三井化学(株)社製商品名)が挙げられる。
樹脂シート112は、マトリックス樹脂以外に、保持パッドの樹脂シートに通常用いられる材料、例えば、カーボンブラックなどの顔料、親水性添加剤及び疎水性添加剤の1種又は2種以上を含んでもよい。親水性添加剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、親水性のエステル系、エーテル系、エステル・エーテル系、アミド系等のノニオン界面活性剤が挙げられる。また、疎水性添加剤としては、例えば、炭素数3以上のアルキル鎖が付加したノニオン系界面活性剤、より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルが挙げられる。これらの任意に用いられる材料は、剪断剥離力及び最大空隙率が上記範囲になるよう、適宜選択され、また、適宜その添加量を調整されてもよい。例えば、親水性添加剤の含有量は、樹脂シート112の全量に対して、0質量%を超え6質量%以下であると好ましく、0質量%を超え4質量%以下であるとより好ましい。また、疎水性添加剤の含有量は、樹脂シート112の全量に対して、3〜22質量%であると好ましく、4〜15質量%であるとより好ましい。さらには、樹脂シート112には、樹脂シート112の製造過程において用いられた溶媒などの各種の材料が、本発明の課題解決を阻害しない範囲で残存していてもよい。
樹脂シート112の保持面Pには開気孔が存在していてもよい。開気孔を存在させるには、例えば、保持面Pに対してバフ処理等の研削処理を施せばよい。保持面Pに開気孔が存在すると、保持面Pと被研磨物との吸着力が低下し、被研磨物が自転しやすくなる結果、自転によって被研磨物の研磨均一性が向上する。
樹脂シート112の厚さは特に限定されないが、0.2〜1.5mmであると好ましく、0.2〜1.0mmであるとより好ましい。樹脂シート112の厚さが上記下限値以上であることにより、被研磨物の損傷をより良好に抑制することができ、上記上限値以下であることにより、研磨加工の際の樹脂シート112内での剥離(破断)をより良好に抑制することができる。なお、樹脂シート112の厚さは、JIS K 6550(1994)に記載された測定方法に準拠して測定される。つまり、樹脂シート112の厚み方向に初荷重として1cm2当たり100gの荷重をかけた(負荷した)ときの厚さを測定する。
保持パッド110に含まれる基材114は、樹脂シート112を支持するためのものであり、特に限定されず、従来の保持パッドに含まれるものであってもよく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という。)フィルムなどの樹脂フィルムが挙げられる。
保持具100において、保持パッド110の保持面P側には、研磨加工中に被研磨物が横ずれを起こして、研磨領域から飛び出すことを防止する(横ずれ範囲を規制する)枠材120が接合されている。枠材120は、従来の保持具に備えられるものであってもよく、例えば、ガラスエポキシ樹脂(ガラス繊維を含有するエポキシ樹脂)やフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を主体とした材質からなるものである。枠材120の形状及び寸法は、被研磨物が研磨領域から飛び出さないようなものであれば特に限定されず、例えば、その外径が樹脂シート112と同じかやや小さくてもよく、内径が被研磨物よりやや大きく、リング状の形状を有する、すなわち保持穴を有していてもよい。枠材120の樹脂シート112の保持面P側への接合は、例えば、ホットメルト(感熱型接着剤)によるものであってもよい。ホットメルトには、例えば、アクリル系、ニトリル系、ニトリルゴム系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の熱可塑性接着剤が用いられる。
また、接着層116、122は、従来知られている保持具に用いられている接着剤又は粘着剤を含むものであってもよいが、剪断剥離力を測定する際に、樹脂シート112が破断しても、それぞれ、樹脂シート112と基材114、樹脂シート112と枠材120とが互いに剥離しないようにそれらを接合できるものが好ましい。接着層116、122の材料としては、例えば、アクリル系、ニトリル系、ニトリルゴム系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の各種接着剤が挙げられる。
なお、保持パッド110における、基材114及び接着層116は、それらを備える両面テープ由来のものであってもよい。その両面テープは、基材114の両面に接着剤又は粘着剤を含む接着層を有し、一方の接着層が上記接着層116に相当する。他方の接着層は、研磨機の保持用定盤に保持具100を貼り合わせて装着するためのものである。両面テープは、従来の保持パッドに含まれるものであってもよく、基材114とは反対側に図示しない剥離紙を有していてもよい。
次に、本実施形態の保持パッド及び保持具の製造方法の一例について説明する。ここでは、樹脂シート112を湿式成膜法で作製する場合を説明するが、樹脂シート112の作製方法は、これに限定されない。この製造方法では、樹脂シート112を準備する工程と、樹脂シート112に基材114を接合して保持パッド110を得る工程と、保持パッド110の樹脂シート112側に枠材120を接合して保持具を得る工程とを有する。
樹脂シート112を準備する工程は、更に、樹脂と溶媒とを含む樹脂溶液を調製する工程(樹脂溶液調製工程)と、樹脂溶液を成膜用基材の表面に塗布する工程(塗布工程)と、樹脂溶液中の樹脂を凝固再生して、前駆体シートを形成する工程(凝固再生工程)と、前駆体シートから溶媒を除去して樹脂シート112を得る工程(溶媒除去工程)と、樹脂シート112をバフ処理又はスライス処理により研削する工程(研削工程)とを有するものである。以下、各工程について説明する。
まず、樹脂溶液調製工程では、上述のポリウレタン樹脂などのマトリックス樹脂と、そのマトリックス樹脂を溶解可能であって、後述の凝固液に混和する溶媒と、必要に応じて樹脂シート112に含ませるその他の材料(例えば、顔料、親水性添加剤及び疎水性添加剤)とを混合し、更に必要に応じて減圧下で脱泡して樹脂溶液を調製する。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」という。)及びN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。樹脂シート112の剪断剥離力及び最大空隙率を上述の範囲内にする観点から、樹脂溶液について、B型回転粘度計を用いて25℃で測定した粘度が3〜50Pa・sの範囲であると好ましく、5〜20Pa・sの範囲であるとより好ましい。そのような粘度の数値範囲にある樹脂溶液を得る観点、並びに後述の凝固スピードを調整する観点から、例えば、マトリックス樹脂を、樹脂溶液の全体量に対して10〜30質量%の範囲、より好ましくは15〜25質量%の範囲で溶媒に溶解させてもよい。樹脂溶液の粘性は、用いるマトリックス樹脂の種類及び分子量にも依存するため、これらを総合的に考慮し、マトリックス樹脂の選定、濃度設定等を行うことが重要である。また、発泡を促進させる疎水性添加剤及び凝固再生を安定化させる親水性添加剤の種類及び添加量も、樹脂シート112が所望の剪断剥離力及び最大空隙率を有するように、適宜選択及び調整することが重要である。
次に、塗布工程では、樹脂溶液を、好ましくは常温下で、ナイフコータ等の塗布装置を用いて帯状の成膜用基材に塗布して塗膜を形成する。このときに塗布する樹脂溶液の厚さは、最終的に得られる樹脂シート112の厚さが所望の厚さになるように、適宜調整すればよい。成膜用基材の材質としては、例えば、PETフィルムなどの樹脂フィルム、布帛及び不織布が挙げられる。これらの中では、液を浸透し難いPETフィルムなどの樹脂フィルムが好ましい。
次いで、凝固再生工程では、成膜用基材に塗布された樹脂溶液の塗膜を、マトリックス樹脂に対する貧溶媒(例えばポリウレタン樹脂の場合は水)を主成分とする凝固液中に連続的に案内する。凝固液には、マトリックス樹脂の再生速度を調整するために、樹脂溶液中の溶媒以外の極性溶媒等の有機溶媒を添加してもよい。また、凝固液の温度は、マトリックス樹脂を凝固できる温度であれば特に限定されないが、所望の剪断剥離力及び最大空隙率に調整する観点から、マトリックス樹脂がポリウレタン樹脂である場合、15〜65℃が好ましい。凝固液中では、まず、樹脂溶液の塗膜と凝固液との界面に皮膜(スキン層)が形成され、皮膜の直近のマトリックス樹脂中に無数の緻密な微多孔が形成される。その後、樹脂溶液に含まれる溶媒の凝固液中への拡散と、マトリックス樹脂中への貧溶媒の浸入との協調現象により、好ましくは連続気泡構造を有するマトリックス樹脂の再生が進行する。このとき、成膜用基材が液を浸透し難いもの(例えばPETフィルム)であると、凝固液がその基材に浸透しないため、樹脂溶液中の溶媒と貧溶媒との置換がスキン層付近で優先的に生じ、スキン層付近よりもその内側にある領域の方に、より大きな空孔が形成される傾向にある。こうして成膜用基材上に前駆体シートが形成される。
次に、溶媒除去工程では、形成された前駆体シート中に残存する溶媒を除去して樹脂シート112を得る。溶媒の除去には、従来知られている洗浄液を用いることができる。また、溶媒を除去した後の樹脂シート112を、必要に応じて乾燥してもよい。樹脂シート112の乾燥には、例えば、内部に熱源を有するシリンダを備えたシリンダ乾燥機を用いることができるが、乾燥方法はこれに限定されない。シリンダ乾燥機を用いる場合、前駆体シートがシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。さらに、得られた樹脂シート112をロール状に巻き取ってもよい。
次いで、研削工程では、樹脂シート112の好ましくはスキン層側の主面と、その反対側である裏面とのうちの少なくとも一方を、バフ処理で研削又はスライス処理で除去する。バフ処理やスライス処理により樹脂シート112の厚さの均一化を図ることができるため、被研磨物に対する押圧力を一層均等化し、被研磨物の損傷を更に抑制すると共に被研磨物の平坦性を向上させることができる。また、スキン層側の主面は樹脂シート112において保持面Pとなる面であり、バフ処理又はスライス処理により開気孔が形成されると、被研磨物の研磨均一性が向上するので好ましい。
次に、樹脂シート112に基材114を接合して保持パッド110を得る。この工程では、例えば樹脂シート112の保持面Pとは反対側の面上に、接着層116を介して基材114を接合する。さらに、その基材114の接着層116とは反対側に、両面テープ(図示せず)が備えられてもよい。こうして保持パッド110が得られる。
そして、得られた保持パッド110を必要に応じて所望の形状に裁断した後、樹脂シート112側に枠材120を接着層122で接合して保持具100が得られる。
次に、本実施形態の保持具100を用いた研磨加工の方法について説明する。研磨加工における被研磨物としては、特に限定されないが、例えば、半導体ウエハ、シリコンウエハ、ハードディスク用基板、ガラス基板の材料が挙げられる。
研磨加工においては、まず、研磨機の被研磨物ホルダに保持具100を装着し、保持パッド110で被研磨物を保持させる。被研磨物ホルダに保持具100を装着するには、必要に応じて両面テープの剥離紙を取り除き、露出した接着層で保持面Pが下方に向くように被研磨物ホルダに接着固定する。あるいは、保持具100が両面テープを備えていない場合は、別に用意した接着剤又は粘着剤で保持具100を被研磨物ホルダに接着固定してもよい。次に、枠材120の略中央部に露出している保持面Pに適量の水を含ませて被研磨物を押し付けることで、被研磨物が水の表面張力及び樹脂シート112の粘着性により被研磨物ホルダに保持される。このとき、被研磨物の被研磨面(加工面)が下方に向いている。一方、被研磨物ホルダの下方で被研磨物ホルダと対向するように配置された研磨用定盤には、表面に研磨パッド(研磨布)を研磨面が上方に向くように装着する。
次に、被研磨物の被研磨面が研磨パッドの研磨面に接触するように、被研磨物ホルダを研磨用定盤の方へ移動させ被研磨物を搬送する。そして、被研磨物と研磨パッドとの間に、砥粒(研磨粒子;例えば、SiO2、Al23、CeO2)及び過酸化水素に代表される酸化剤などの化学成分を含む研磨スラリを循環供給する。それと共に、被研磨物ホルダで被研磨物を研磨パッド側に押圧しながら、被研磨物ホルダと研磨用定盤とを回転させることで、被研磨物の加工面が研磨パッドでCMPにより研磨加工される。
図3は、本実施形態の保持具100を用いた研磨加工の様子を説明するための模式断面図である。保持具100は、保持用定盤(図示せず。)と研磨用定盤(図示せず。)とに、被研磨物500及び研磨パッド510と共に挟まれて、その厚み方向に押圧力が加えられる。それと共に、研磨加工の際、保持用定盤及び研磨用定盤は、例えば、互いに異なる回転速度で同方向に回転する結果、図3に示すように、研磨パッド510は、被研磨物500を研磨するように、保持具100及び保持具100により保持された被研磨物500に対して、平面方向(図3中の矢印)に移動する。その際、保持具100の樹脂シート112には、平面方向への力が加わる。上記厚み方向の押圧力及び平面方向への力の合算により、樹脂シート112には剪断方向への力が加わることになる。また、被研磨物500は、研磨加工中に、枠材120の内側で移動(自転)しながら研磨加工される。
この際、本実施形態に係る樹脂シート112は、1.1〜3.0MPaの剪断剥離力を有するので、樹脂シート112内での平面方向にずれるような剥離(破断)を抑制すると共に、被研磨物500の損傷をも抑制することができる。つまり、樹脂シート112の剪断剥離力が1.1MPa以上であることにより、保持具100に保持された被研磨物500と研磨パッド510とが互いに摺動しながら平面方向に移動しても、樹脂112が破断することは抑制される。また、樹脂シート112の剪断剥離力が1.1MPa以上であることで被研磨物500の損傷をも抑制することができる。これは、樹脂シート112が破断すると、保持具100による被研磨物500に対する押圧力が平面方向に均一でなくなる傾向にあり、局所的に被研磨物500が損傷を受けやすくなると考えられるところ、樹脂シート112の剪断剥離力が1.1MPa以上であることで樹脂112の破断が抑制されるため、被研磨物500が局所的に損傷を受けることも防止できるためと考えられる。
一方、剪断剥離力が3.0MPa以下であることにより、被研磨物500の損傷を抑制することができる。これは、剪断剥離力が3.0MPa以下である樹脂シート112は柔軟性に優れたものであるため、保持具100による被研磨物500に対する押圧力が平面方向に均一である傾向となり、局所的に被研磨物500が損傷を受け難くなることによると考えられる。
また、樹脂シート112の最大空隙率が55〜80%であることにより、研磨加工の際の樹脂シート112内での剥離(破断)をより良好に抑制することができると共に、被研磨物500の損傷をより良好に抑制することができる点で好ましい。最大空隙率が55%以上であると、樹脂シート112は柔軟性に優れたものとなる。その結果、保持具100による被研磨物500に対する押圧力が平面方向により均一である傾向となり、局所的に被研磨物500がより損傷を受け難くなると考えられる。また、最大空隙率が80%以下であると、マトリックス樹脂が極度に少ない面(研磨面と平行な面)が樹脂シート112内に存在しないことになる。その結果、樹脂シート112は破断に対する耐性が更に向上することになり、樹脂シート112内での剥離(破断)をより良好に抑制することができると考えられる。また、樹脂シート112内での破断を抑制することで、被研磨物500が局所的に損傷を受けることもより良好に防止できると考えられる。
さらに、樹脂シート112を構成する樹脂の100%モジュラスが6.0〜13.0MPaであることにより、研磨加工の際の樹脂シート112内での剥離(破断)を更に良好に抑制することができると共に、被研磨物500の損傷を更に良好に抑制することができる点で好ましい。この100%モジュラスが13.0MPa以下であるとマトリックス樹脂自体が柔軟性に更に優れるので、樹脂シート112も更に柔軟性に優れたものとなる。その結果、保持具100による被研磨物500に対する押圧力が平面方向に更に均一である傾向となり、局所的に被研磨物500が更に損傷を受け難くなると考えられる。また、100%モジュラスが6.0MPa以上であると、マトリックス樹脂自体が破断し難くなる。その結果、樹脂シート112は破断に対する耐性がより向上することになり、樹脂シート112内での剥離(破断)を更に良好に抑制することができると考えられる。また、樹脂シート112内での破断を抑制することで、被研磨物500が局所的に損傷を受けることもより良好に防止できると考えられる。
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。例えば、上記本実施形態では、樹脂シート112と基材114との接合に接着層116を用いているが、それらの接合は接着層116を用いることに限定されない。さらには、剪断剥離力の測定に用いる試験片200は、保持具100において基材114と樹脂シート112と枠材120とが積層した部分を、図2に示す寸法及び形状に切り出すことで得ることもできる。また、本発明の保持具は枠材を備えていなくてもよいが、被研磨物の横ずれを防止する観点から、枠材を備えていると好ましい。さらに、本発明の保持具及び保持パッドは、基材を備えていなくてもよいが、保持具及び保持パッドの取扱い性の観点から、基材を備えることが好ましい。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、マトリックス樹脂となる原料樹脂である100%モジュラスが7.0MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂の35%DMF溶液100質量部に対して、粘度調整用のDMF50質量部、水8質量部、顔料であるカーボンブラックを6.7質量%含むDMF分散液を44質量部、疎水性添加剤(ポリプロピレングリコール)2.5質量部、親水性添加剤(ラウリル硫酸ナトリウム)1.0質量部を添加して、混合撹拌し、樹脂溶液を調製した。次に、成膜用基材として、PETフィルムを用意し、そこに、上記樹脂溶液を、ナイフコータを用いて塗布し、厚さ0.6mmの塗膜を得た。
次いで、得られた塗膜を成膜用基材と共に、凝固液である水からなる18℃の凝固浴に浸漬し、樹脂を凝固再生して前駆体シートを得た。前駆体シートを凝固浴から取り出し、PETフィルムを前駆体シートから剥離した後、前駆体シートを水からなる室温の洗浄液(脱溶剤浴)に浸漬し、溶媒であるDMFを除去して樹脂シートを得た。その後、樹脂シートを乾燥しつつ巻き取った。次に、樹脂シートの表面(成膜用基材に接触していなかった面)に対してバフ処理を施して、0.4mmの厚さとした。
次に、樹脂シートのバフ処理を施した面とは反対側の面に、接着剤を介してPET基材を貼り合せた。続いて、PET基材の接着剤とは反対側の面に、芯材の両面に接着層(材質:アクリル系樹脂)を有し、更に接着層の片面に剥離紙を有する両面テープを、貼り合わせた後、外径33.5cmの円形に裁断し保持パッドを得た。次いで、保持パッドにおける樹脂シートのバフ処理を施した面に、樹脂シートと同じ外径を有する円環状の枠材(材質:ガラスエポキシ樹脂、厚さ:0.6mm、内径:30.1cm)を、アクリル系接着剤を介して貼り合わせ、保持具を得た。
(剪断剥離力の測定)
上記「剪断剥離力の測定方法」と同様にして、図2に示すものと同様の試験片200を得、剪断剥離力を測定した。なお、基材214及び枠材220の平面寸法は10mm×17mmとし、引張試験機には、株式会社エー・アンド・デイ製、テンシロン万能試験機RTC(商品名)を用いた。
(最大空隙率の測定)
上記「最大空隙率の測定方法」と同様にして試料を準備し、最大空隙率を求めた。なお、三次元計測X線CT装置として、ヤマト科学株式会社製、商品名「TDM1000−IS/SP」を用い、SEM用画像解析ソフトウエアとして、Olympus Soft−Imaging Solutions社製、商品名「Scandium」)を用いた。また、開孔面積率が68%の場合の断層画像を図4に、40%の場合の断層画像を図5に示す。なお、両画像は同じ縮尺である。
(研磨試験)
上記保持具を用いて研磨試験を行い、樹脂シート内での剥離(破断)の有無、及び、被研磨物の損傷(スクラッチ)について評価を行った。研磨条件は下記のとおりとした。
(研磨条件)
・使用研磨機:不二越株式会社製、商品名「MCP−150X」
・回転数:(研磨用定盤)100rpm、(保持用定盤(トップリング))75rpm
・研磨圧力(押圧力):330g/cm2
・研磨スラリ:Nalco社製、品番2350(2350原液:水=1:9の混合液を使用)
・被研磨物:8インチφシリコンウエハ(厚さ:750μm)
・研磨時間:15分/枚
・研磨パッド:湿式研磨パッド
樹脂シート内での剥離の有無は、被研磨物1000枚処理後の保持具に対し、樹脂シート内での剥離の有無を目視にて確認することで評価した。剥離が認められた場合を「有り」、認められなかった場合を「無し」と評価した。
また、被研磨物の損傷(スクラッチ)については、被研磨物の処理枚数が100枚目、500枚目、1000枚目のときの被研磨物の表面を目視にて確認することで評価した。損傷が0〜4カ所確認された場合を「○」、損傷が5〜9カ所確認された場合を「△」、損傷が10カ所以上確認された場合を「×」と評価した。
以上の結果を、樹脂シートに含まれる樹脂の100%モジュラス及び樹脂シートの厚さの測定結果と共に表1に示す。
(実施例2)
原料樹脂を100%モジュラスが9.0MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂に変更し、ポリプロピレングリコールの添加量を2.0質量部、ラウリル硫酸ナトリウムの添加量を1.5質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、保持具を得た。得られた保持具について、実施例1と同様にして、剪断剥離力、最大空隙率を測定し、研磨試験を行った。以上の結果を、樹脂シートの厚さの測定結果と共に表1に示す。
(実施例3)
原料樹脂を100%モジュラスが12.0MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂に変更し、ポリプロピレングリコールの添加量を1.5質量部、ラウリル硫酸ナトリウムの添加量を2.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、保持具を得た。得られた保持具について、実施例1と同様にして、剪断剥離力、最大空隙率を測定し、研磨試験を行った。以上の結果を、樹脂シートの厚さの測定結果と共に表1に示す。
(実施例4)
ポリプロピレングリコールの添加量を5.0質量部に変更し、ラウリル硫酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、保持具を得た。得られた保持具について、実施例1と同様にして、剪断剥離力、最大空隙率を測定し、研磨試験を行った。以上の結果を、樹脂シートの厚さの測定結果と共に表1に示す。
(実施例5)
原料樹脂を100%モジュラスが9.0MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂に変更し、ポリプロピレングリコールの添加量を4.0質量部に変更した以外は実施例4と同様にして、保持具を得た。得られた保持具について、実施例1と同様にして、剪断剥離力、最大空隙率を測定し、研磨試験を行った。以上の結果を、樹脂シートの厚さの測定結果と共に表1に示す。
(実施例6)
原料樹脂を100%モジュラスが12.0MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂に変更し、ポリプロピレングリコールの添加量を3.0質量部に変更した以外は実施例4と同様にして、保持具を得た。得られた保持具について、実施例1と同様にして、剪断剥離力、最大空隙率を測定し、研磨試験を行った。以上の結果を、樹脂シートの厚さの測定結果と共に表1に示す。
(実施例7)
ポリプロピレングリコールの添加量を8.0部に変更し、ラウリル硫酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、保持具を得た。得られた保持具について、実施例1と同様にして、剪断剥離力、最大空隙率を測定し、研磨試験を行った。以上の結果を、樹脂シートの厚さの測定結果と共に表1に示す。
(実施例8)
原料樹脂を100%モジュラスが9.0MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂に変更し、ポリプロピレングリコールの添加量を7.0質量部に変更した以外は実施例7と同様にして、保持具を得た。得られた保持具について、実施例1と同様にして、剪断剥離力、最大空隙率を測定し、研磨試験を行った。以上の結果を、樹脂シートの厚さの測定結果と共に表1に示す。
(実施例9)
原料樹脂を100%モジュラスが12.0MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂に変更し、ポリプロピレングリコールの添加量を6.0質量部に変更した以外は実施例7と同様にして、保持具を得た。得られた保持具について、実施例1と同様にして、剪断剥離力、最大空隙率を測定し、研磨試験を行った。以上の結果を、樹脂シートの厚さの測定結果と共に表1に示す。
(比較例1)
ポリプロピレングリコールの添加量を1.5質量部に変更し、ラウリル硫酸ナトリウムの添加量を2.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、保持具を得た。得られた保持具について、実施例1と同様にして、剪断剥離力、最大空隙率を測定し、研磨試験を行った。以上の結果を、樹脂シートの厚さの測定結果と共に表2に示す。
(比較例2)
原料樹脂を100%モジュラスが9.0MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂に変更し、ポリプロピレングリコールの添加量を1.5質量部に変更し、ラウリル硫酸ナトリウムの添加量を3.0質量部に変更した以外は比較例1と同様にして、保持具を得た。得られた保持具について、実施例1と同様にして、剪断剥離力、最大空隙率を測定し、研磨試験を行った。以上の結果を、樹脂シートの厚さの測定結果と共に表2に示す。
(比較例3)
原料樹脂を100%モジュラスが12.0MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂に変更し、ポリプロピレングリコールの添加量を1.5質量部に変更し、ラウリル硫酸ナトリウムを3.0質量部に変更した以外は比較例1と同様にして、保持具を得た。得られた保持具について、実施例1と同様にして、剪断剥離力、最大空隙率を測定し、研磨試験を行った。以上の結果を、樹脂シートの厚さの測定結果と共に表2に示す。
(比較例4)
ポリプロピレングリコールの添加量を11.0質量部に変更し、ラウリル硫酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、保持具を得た。得られた保持具について、実施例1と同様にして、剪断剥離力、最大空隙率を測定し、研磨試験を行った。以上の結果を、樹脂シートの厚さの測定結果と共に表2に示す。
(比較例5)
原料樹脂を100%モジュラスが9.0MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂に変更し、ポリプロピレングリコールの添加量を10.0質量部に変更した以外は比較例4と同様にして、保持具を得た。得られた保持具について、実施例1と同様にして、剪断剥離力、最大空隙率を測定し、研磨試験を行った。以上の結果を、樹脂シートの厚さの測定結果と共に表2に示す。
(比較例6)
原料樹脂を100%モジュラスが12.0MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂に変更し、ポリプロピレングリコールの添加量を9.0質量部に変更した以外は比較例4と同様にして、保持具を得た。得られた保持具について、実施例1と同様にして、剪断剥離力、最大空隙率を測定し、研磨試験を行った。以上の結果を、樹脂シートの厚さの測定結果と共に表2に示す。
本発明の保持パッド及び保持具は、半導体ウエハ、シリコンウエハ、ハードディスク用基板、ガラス基板などを被研磨物とする研磨加工に好適には用いられるので、それらの用途に産業上の利用可能性がある。
100…保持具、110…保持パッド、112…樹脂シート、114…基材、116、122…接着層、120…枠材。

Claims (5)

  1. 被研磨物を保持するための保持面を有するシートを備える保持パッドであって、
    前記シートは樹脂を含み、前記シートの剪断剥離力が1.1〜3.0MPaである、
    保持パッド。
  2. 前記シートの最大空隙率が55〜80%である、請求項1記載の保持パッド。
  3. 前記樹脂の100%モジュラスが6.0〜13.0MPaである、請求項1又は2に記載の保持パッド。
  4. 前記樹脂がポリウレタン樹脂を主成分として含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の保持パッド。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の保持パッドを備える保持具。
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