JP2015064306A - 使用済核燃料集合体の輸送方法および使用済核燃料集合体の輸送容器 - Google Patents

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邦彦 千葉
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Abstract

【課題】輸送容器内に存在する水素量をさらに低減できる使用済燃料集合体の輸送方法を提供する。【解決手段】湿式のキャスク1は、円筒状の胴体2に蓋3を取り付け、胴体2内にバスケット4を設置して構成される。燃料貯蔵プールで所定期間保管された使用済燃料集合体13が、胴体2内に冷却水11を充填した状態でバスケット4内に収納される。冷却水11の一部が排出されて、キャスク1内に水相部10および気相部12が形成される。再結合触媒を有する再結合器5が水面11Aと使用済燃料集合体13の間に配置される。使用済燃料集合体13から放出された放射線の照射によって冷却水11が分解して生成された水素と酸素は、再結合器5の再結合触媒の作用によって再結合されて水になる。キャスク1内の水素濃度がさらに低減される。【選択図】図2

Description

本発明は、使用済核燃料集合体の輸送方法および使用済核燃料集合体の輸送容器に関する。
沸騰水型原子力プラントでは、原子炉格納容器が原子炉建屋内に設置され、原子炉圧力容器が原子炉格納容器内に設置される。1つの運転サイクルでの運転が終了し、沸騰水型原子力プラントが停止された後、原子炉圧力容器内の炉心に装荷された複数の燃料集合体の一部が、使用済燃料集合体として、燃料交換機により原子炉圧力容器外に取り出される。原子炉圧力容器外に取り出された各使用済燃料集合体は、冷却水が充填された使用済燃料貯蔵プール内に移送され、燃料貯蔵プール内に設置された燃料貯蔵ラックに保管される。燃料貯蔵ラック内の各使用済燃料集合体は、冷却水によって冷却される。燃料貯蔵プール内に所定期間保管された使用済燃料集合体は、核燃料再処理施設に搬送されて再処理される。
この使用済燃料集合体の搬送には、キャスクと呼ばれる放射線の遮蔽機能および除熱機能を有する大型の輸送容器が使用される。この輸送容器の一例が、神戸製鋼技報、Vol.53、No.3(Dec. 2003)に記載されている。燃料貯蔵プール内の複数の使用済燃料集合体が、燃料貯蔵プールのキャスクピットにおいて、燃料交換機によってキャスク内に収納される。使用済燃料集合体が収納されたキャスクは、蓋が取り付けられて密封される。このキャスクは、トレーラーまたは船により、核燃料再処理施設まで搬送される。
加圧水型原子力プラントで発生する使用済燃料集合体も、キャスク内に収納されて搬送される。
使用済燃料集合体を収納するキャスクには、乾式のキャスクおよび湿式のキャスクがある。乾式のキャスクでは、複数の使用済燃料集合体はキャスク内の乾燥された気中に配置された状態でキャスク内に収納されている(特開2000−98082号公報の段落0004および0005、および特開2004−219408号公報の段落0004、段落0028および0029参照)。この乾式のキャスクでは、水が存在するキャスク内に複数の燃料集合体を装荷した後、キャスク内の水を排水してキャスク内を乾燥させている。乾燥後に、使用済燃料集合体を収納した乾式のキャスクが、トレーラーに載せて貯蔵建屋まで搬送される。
湿式のキャスクでは、複数の使用済燃料集合体はキャスク内に充填された水に浸漬させた状態でキャスク内に収納されている(Y. Fujita and M. Ebihara, "Evaluation of Hydrogen Yield in Spent Fuel Transport Package", Proc. 16th International Symposium on the Packaging and Transport of Radioactive Materials. October 3-8, 2010. London, (2010)のIntroduction参照)。キャスク内の水を排出することなく、複数の使用済燃料集合体を水が充填されたキャスク内に収納した状態で、湿式のキャスクが運搬用トレーラーで核燃料再処理施設まで搬送される。
湿式のキャスクは、複数の使用済燃料集合体を装荷した後に排水する手間がかからず、また、内部の水が放射線遮蔽及び使用済燃料集合体の除熱の機能を一部担うメリットがある。乾式キャスクは、キャスク内に水が充填されていなく内部が全て気相部であるので、キャスクの構造部材の腐食およびその水の放射線分解による水素発生の問題が生じない。
特開2011−506990号公報は、放射性物質の運搬および/または貯蔵装置を記載している。放射性物質がこの貯蔵装置の密閉容器内に収納されており、さらに、密閉容器内には、水素と酸素を再結合する触媒および再結合により生成された水を取り除く乾燥剤が配置されている。密閉容器内は気相部であるが、内部に残存する水分の放射線分解により、水素および酸素が発生する。密閉容器内の水素の存在による爆発等の危険性を避けるために、触媒が密閉容器内に配置されている。
湿式のキャスクに使用済燃料集合体を収納して輸送する場合、キャスク内の水が使用済燃料集合体で発生する熱によって加熱されて膨張し、キャスクの内圧が上昇する。この内圧上昇を防ぐために、キャスク内の水を、水の体積膨張分を吸収できるだけ、キャスクから排出している。したがって、湿式のキャスク内には、水が存在する領域(水相部)および空気または置換ガスが存在する領域(気相部)が形成されている。複数の使用済燃料集合体は、キャスク内で水相部に配置されている。
特開2004−219408号公報 特開2000−98082号公報 特表2009−505044号公報 特開2001−228296号公報 特開2011−506990号公報
神戸製鋼技報、Vol.53、No.3(Dec. 2003) Y. Fujita and M. Ebihara, "Evaluation of Hydrogen Yield in Spent Fuel Transport Package", Proc. 16th International Symposium on the Packaging and Transport of Radioactive Materials. October 3-8, 2010. London, (2010)
湿式のキャスクを使用する場合、キャスク内の水の放射線分解によって水素が発生する。キャスク内の水の放射線分解で生じた水素は、キャスク内の気相部に移行して存在することになる。例えば、Y. Fujita and M. Ebihara, "Evaluation of Hydrogen Yield in Spent Fuel Transport Package", Proc. 16th International Symposium on the Packaging and Transport of Radioactive Materials. October 3-8, 2010. London, (2010)では、湿式のキャスク内での水素発生量を実測した結果を報告している。沸騰水型原子炉(BWR)および加圧水型原子炉(PWR)のそれぞれで発生する使用済燃料集合体を別々の湿式のキャスク内に収納して輸送するとき、各キャスク内で発生する水素の量が空気中の爆発下限界値の4%より十分低いことを確認している。
しかしながら、今後、BWRおよびPWRの炉心に装荷される各燃料集合体の燃焼度が、現在の燃料集合体の40〜50GWd/MTU(ウラン1メトリックトン当たりの発熱量)よりさらに上昇すると、燃料貯蔵プール内で、所定期間の間、冷却された使用済燃料集合体の崩壊熱量が高くなり、それに伴って使用済燃料集合体から放出される放射線も多くなることが予想される。また、燃料集合体の高燃焼度化に伴って燃料集合体に含まれる燃料棒の被覆管の耐食性の裕度が低下した場合には、使用済燃料集合体の被覆管にピンホールが生じる確率も上昇することが予想される。もし、被覆管にピンホールが生じることによって、燃料棒の被覆管内に充填された燃料ペレットがそのピンホールから浸入する水と接触すると、被覆管内のβ核種およびα核種の影響を受けて水の分解が増加する可能性がある。したがって、複数の使用済燃料集合体を収納している湿式のキャスク内の気相部の水素濃度の、爆発下限界に対する裕度が低下することになる。
このような課題を解決するために、特開2011−506990号公報に記載された触媒を湿式のキャスクも気相部に配置してこの気相部内の水素および酸素を触媒により再結合させ、気相部の水素濃度を低下させることが考えられる。燃料集合体の燃焼度がさらに増大するときは、高燃焼度の使用済燃料集合体の収納した湿式のキャスク内の気相部における水素濃度がさらに増加する。このため、その気相部内の水素濃度のさらなる低下が望まれる。
本発明の目的は、輸送容器内に存在する水素量をさらに低減することができる使用済核燃料集合体の輸送方法および使用済核燃料集合体の輸送容器を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、複数の使用済燃料集合体が、一端部が封鎖されて他端部が開放されて水が充填されている胴体内のバスケット内に収納され、
再結合触媒を有する再結合器を、胴体内の、水が存在する水相部に配置し、
胴体の開放された他端部に蓋を取り付けて胴体を密封してなる輸送容器を、使用済燃料集合体を収納した状態で移送することにある。
再結合器を、使用済燃料集合体を収納した輸送容器内の水相部に配置した状態で、輸送容器を移送するので、使用済燃料集合体から放出される放射線の照射によって輸送容器内の水が水素と酸素に分解されても、水相部内に配置された再結合器の再結合触媒の作用により再結合されるため、輸送容器内に存在する水素量をさらに低減することができる。水相部内の水に溶解している過酸化水素も水素と反応するため、輸送容器内に存在する水素量の低減が促進され、輸送容器内に存在する水素量をさらに低減される。
本発明によれば、使用済燃料集合体を収納した輸送容器内に存在する水素量をさらに低減することができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1の使用済核燃料集合体の輸送方法の手順を示すフローチャートである。 実施例1の使用済核燃料集合体の輸送方法に用いられる使用済核燃料集合体の輸送容器の縦断面図である。 沸騰水型原子力プラントの原子炉建屋の縦断面図である。 図1に示す原子炉建屋の、オペレーションフロアの位置での横断面図である。 図1に示す原子炉建屋内に設置された原子炉圧力容器内から取り出された使用済燃料集合体の、燃料貯蔵プールへの移送を示す説明図である。 図1に示す原子炉建屋内の燃料貯蔵プールへのキャスクの移送を示す説明図である。 使用済燃料集合体一体当たりの発熱量と冷却期間の関係を示す特性図である。 キャスク内の水中での平衡時における溶存水素濃度のγ線の吸収エネルギー密度との関係を示す特性図である。 キャスク内の水中での平衡時における過酸化水素濃度とγ線の線量率との関係を示す特性図である。 本発明の他の好適な実施例である実施例2の使用済核燃料集合体の輸送方法に用いられる使用済核燃料集合体の輸送容器の縦断面図である。 本発明の他の好適な実施例である実施例3の使用済核燃料集合体の輸送方法に用いられる使用済核燃料集合体の輸送容器の縦断面図である。
発明者らは、湿式のキャスク内の水面上方の空間に存在する水素ガス量をさらに低減することができる使用済核燃料集合体のキャスクについて種々の検討を行った。この検討結果を以下に説明する。
50GWd/MTUの使用済燃料集合体を燃料貯蔵プール内で1年間冷却したとき、この使用済燃料集合体は、図7に示すように、一体当たり2kW程度の発熱量を有する。このため、使用済燃料集合体は、燃料貯蔵プール内で長期間に亘って冷却されることによってその発熱量が十分輸送できるレベルまで低下される。燃焼度が増大すると、図7に示す曲線は上方にシフトするので、使用済燃料集合体は、発熱量が従来よりも高い状態で輸送される可能性がある。このため、燃焼度が増大した複数の使用済燃料集合体を収納した湿式のキャスク内では、水の放射線分解により発生する水素及び酸素の量が増大する。
水が放射線で分解すると、非常に早い初期の段階で、(1)式に示すように、水素および過酸化水素のような分子性化学種とラジカルが生成される。なお、酸素のような化学種は初期に生成された化学種間の反応で二次的に生成する。
2O → H、e-、H2、OH、H22、H+ …(1)
水の分解が進んで水中の水素濃度が増加すると、(2)式で表されるように、OHラジカルが溶存している水素から水素を引き抜く反応が優勢に進行する。
2+OH → H+H2O …(2)
このときに生成される水素原子がきっかけとなって再結合反応が進行する。生成された水素原子は酸素または過酸化水素と反応する((3)式および(4)式)ため、HO2およびOHラジカルが生成される。これらのラジカルが連鎖的に反応することによって反応が進行する。
2+H → HO2 …(3)
22+H → OH+H2O …(4)
2HO2 → O2+H22 …(5)
H原子とOHラジカル並びにH原子同士が反応することにより((6)式および(7)式)、再結合反応にブレーキがかかる。
H+OH → H2O …(6)
2H → H2 …(7)
2OH → H22 …(8)
以上の反応が同時に進行することによって、見かけ上、(9)式および(10)式で表される再結合反応が、(3)式の放射線分解の逆反応として進む。
2H2+O2 → 2H2O …(9)
2+H22 → 2H2O …(10)
この結果、水の分解と、水素と案素の再結合がある線量率の下で平衡に達し、平衡水素濃度が決まる。
発明者らは、湿式のキャスク内の水に溶存する水素濃度の、γ線の吸収エネルギー密度の依存性を確認するために、平衡時におけるその水素濃度のその吸収エネルギー密度による変化を解析により求めた。この解析により得られた結果を図8に示す。水に照射されるγ線の吸収エネルギー密度が増加するほど、湿式のキャスク内の水に溶存している、平衡時における水素の濃度も増加する。また、発明者らは、湿式のキャスク内の水中での平衡時における過酸化水素濃度の、γ線の線量率の依存性を、解析により求めた。この解析により得られた結果を図9に示す。その過酸化水素濃度は、γ線の線量率がある値以上になると飽和する。図9において破線の楕円で囲まれた部分は、原子力プラントの運転停止時で定期検査時における燃料貯蔵プールの冷却水中の過酸化水素濃度を示している。
図8及び図9に示されたそれぞれの特性に基づいて、発明者らは、水素と酸素を再結合する触媒を湿式のキャスク内の水相部に配置することを思いついた。その触媒を湿式のキャスク内の水相部に配置することによって、キャスク内に収納された使用済燃料集合体内の核燃料物質から放出される放射線の水への照射によって生じたラジカルの作用を使わずに、上記の(9)式および(10)式の反応を右辺の方向に進ませることができる。これによって水の分解を抑制し、湿式のキャスク内で水素の発生量を低く保つことが可能となる。
水素と酸素を再結合する触媒を湿式のキャスク内の水相部に配置することによって、以下のような効果を得ることができる。まず、(1)式から(8)式の各反応によって、湿式のキャスク内の水相部では、水素および酸素のほかに過酸化水素が生じる。水素および酸素は、湿式のキャスク内においてヘンリー則によって気液分配された状態で水相部から気相部に移行する。しかし、過酸化水素は、蒸気圧があるものの、水相部から気相部に移行する量が少なく、大部分が水相部に残る。この結果、湿式のキャスク内の気相部では、水素が過剰になる。湿式のキャスク内の水相部に水素と酸素を再結合する触媒を設置することによって、水素を酸素だけでなく、過酸化水素とも反応させることができるため、湿式のキャスク内における水素の濃度を低く維持することが可能になる。
また、湿式のキャスク内では、水相部に比べて気相部は体積が小さいため、気相部に配置できるその触媒は、構造および大きさに制限を受ける。しかし、水相部にその触媒を配置する場合には、水相部の容積が大きいので、触媒配置の自由度が高くなる。
上記の再結合触媒を湿式のキャスク内の水相部に配置する場合には、再結合触媒を水相部内で水相部と気相部の境界近傍に配置することが望ましい。湿式キャスクの輸送中では、そのキャスクに収納された使用済核燃料集合体で発生する熱によって水相部内の水の温度が上昇し、その水の体積が膨張する。この水の体積膨張を吸収する緩衝空間として、気相部が湿式のキャスク内に形成されている。水素および酸素は、水の放射線分解により水相部で生成され、水相部内を拡散して気相部に移行する。また、生成された水素および酸素は水相部内での水の対流によっても運ばれるので、再結合触媒を気相部と水相部の境界近傍で水相部内に配置することによって、水素と酸素の再結合効率を高めることができる。この結果、再結合触媒を水相部の全体に亘って配置しなくてもよいため、触媒の使用量減らすことができ、湿式キャスクの重量を軽減することができる。
湿式のキャスクの中心軸が上下方向を向いている場合には、キャスクの胴の上端に蓋が取り付けられており、気相部が上蓋側に形成される。湿式キャスク内において、水相部の液面付近であるこの気相部と水相部の境界付近で水相部に再結合触媒を配置する場合には、上蓋を取り外した湿式キャスクを、燃料貯蔵プールのキャスクピットの床面上に、この床面に対して湿式キャスクの中心軸が垂直になるように置き、複数の使用済燃料集合体をキャスク内に装荷し、再結合触媒を、湿式のキャスク内で、装荷された複数の使用済燃料集合体の上方に設置すると良い。上蓋が複数の使用済燃料集合体の装荷後にキャスクの胴の上端に取り付けられ、キャスクが密封される。その後、キャスク内の水の一部を湿式のキャスクの外部に排出する。この水の排出により、湿式キャスク内では、設置された再結合触媒の上方に水相部の水面が形成され、気相部が形成される。
このように再結合触媒を配置した場合には、湿式キャスク内において、水相部内で生成された水素および酸素のガス成分が気相部に向かって上昇するときに再結合触媒の作用により再結合される。また、このとき、水相部内の水の対流によって水相部内で水に溶解している過酸化水素も再結合触媒が配置された位置まで運ばれるために、水素と過酸化水素の反応も促進される。
前述のように、中心軸が上下方向を向くように置かれる湿式のキャスクは縦置き型のキャスクであるが、中心軸が水平方向を向くように置かれる横置き型の湿式キャスクでは、水相部の水面が、キャスクの中心軸と平行にキャスク内の収納された複数の使用済燃料集合体のうちキャスクの胴の内面に対向して配置された使用済燃料集合体とその内面の間に形成される。気相部は、胴内で水面よりも上方に形成される。このような横置き型のキャスクでは、再結合触媒は、胴の内面に対向して配置された使用済燃料集合体とその内面の間で、水相部と気相部の境界近傍で水相部内に配置される。
横置き型の湿式キャスクは、中心軸が水平になるようにトレーラーに搭載されて輸送される。使用済燃料集合体から放出される放射線が水相部の水に照射されて発生する水素および酸素が気相部に向って上昇するとき、水面付近で水相部に配置された再結合触媒の作用により水素と酸素が再結合される。水素は、再結合触媒の作用により、対流によって運ばれた過酸化水素とも反応して、再結合が促進される。
湿式キャスクの水相部に配置される再結合触媒は、水素と酸素の反応に対する触媒性の高い白金族貴金属の中から選ばれる。白金族貴金属の再結合触媒は、水中で発生した水素を効率的に水に戻すことができ、湿式キャスク内の水素濃度の上昇を抑えることができる。さらに、再結合触媒として、白金族貴金属である白金、パラジウムおよびロジウムのうち少なくとも一つ以上の元素を選んで使用する。白金、パラジウムおよびロジウムは、いずれも、水素と酸素の再結合触媒性を有している。僅かに存在する中性子による放射化を考えたときには、短半減期の核種の生成の観点からは白金が好ましい。
パラジウムは水素を吸蔵することができる。このため、湿式キャスク内の水相部に設置する再結合触媒としてパラジウムを配置した場合には、余剰に発生した水素をパラジウム内に吸蔵することができ、水素と酸素との再結合反応だけでなく水素吸蔵能力を利用して湿式キャスク内の水素の濃度をさらに低くすることができる。したがって、湿式キャスクの輸送中に、水相部の水温が上昇し、湿式キャスク内における湿式キャスクの構成部材の腐食によって酸素および過酸化水素が消費されて、水素の再結合効率が低下する場合であっても、パラジウムが水素を吸蔵するので、湿式キャスク内の水素濃度の上昇を抑制することができる。
再結合触媒は、ステンレス鋼等で作られた金属フェルトの表面に白金族貴金属を付着処理により担持させて構成することが望ましい。金属フェルトを用いることによって、少ない貴金属量で効果的な再結合触媒を構成することができる。金属フェルトは耐食性の観点からステンレス鋼製が好ましい。再結合触媒の担体として、SUS304などの一般的なステンレス鋼を使用し、微細なステンレス鋼繊維を編んで作ったステンレス鋼製の布およびステンレス鋼フェルトのように、単位重量当たりの表面積が広い担体を用いる。このような担体の表面に白金、パラジウム、およびロジウムなどの白金族貴金属を添着させることにより、少ない白金族貴金属の量で広い有効な表面積を有する再結合触媒を形成することができる。ステンレス鋼フェルトの表面に付着させる白金量は、1μg/cm2程度であれば十分である。この白金の付着量は、原子一層を稠密に敷き詰めた場合に相当する値であり、ステンレス鋼の表面が触媒作用の上で白金と等価になる。
担体表面への白金の添着は以下のように行われる。ステンレス鋼フェルトを浸漬した高温水に、白金を含む水溶液、例えばヘキサヒドロキソ白金酸ナトリウム水溶液を添加する。ステンレス鋼フェルトの表面に所定量の白金が付着されるまで、ステンレス鋼フェルトがヘキサヒドロキソ白金酸ナトリウム水溶液に浸漬される。
ステンレス鋼フェルトは、蒸気などのガス成分を容易に通過させるが、水に対しては抵抗になる。このため、水は、ステンレス鋼フェルト内をゆっくりと通過する。したがって、白金を添着したステンレス鋼フェルトを、再結合触媒として、湿式キャスク内の水相部に配置することよって、水相部内の水の動きが制限され、水の放射線分解で発生した水素ガスおよび酸素ガスの、再結合触媒による反応が確保される。また、このような水の流動にとって障壁になる構造物である再結合触媒が、湿式キャスク内で使用済燃料集合体の上方で水相部と気相部の境界(水相部の水面)付近で水相部内に配置されるため、再結合触媒が使用済燃料集合体から離れていること、および再結合触媒のステンレス鋼フェルトの放射線遮へい効果によって、再結合触媒の位置におけるγ線の線量率が低くなっている。このため、水相部内での水素と酸素の再結合効率が向上し、再結合触媒による水素と酸素の再結合、および水相部内での水素と酸素の再結合の両方による、湿式キャスク内の水素濃度の低減効果が期待できる。
上記の検討結果を反映した、本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の使用済核燃料集合体の輸送方法を、図1及び図2を用いて説明する。
まず、本実施例の使用済核燃料集合体の輸送方法に用いられる使用済燃料集合体の輸送容器を、図2を用いて説明する。
本実施例の使用済燃料集合体の輸送容器である湿式のキャスク1は、円筒状で底部を有する胴体2、蓋3及びバスケット4を有している。胴体2は放射線遮へい機能を有する。キャスク1は、縦置き型のキャスクである。バスケット4は、複数の格子板を並列に配置し、これらの格子板に直交する他の複数の格子板を交差させて取り付けて構成される。使用済燃料集合体の収納空間がバスケット4の直交するそれぞれの格子板間に形成されている。バスケット4は、胴体2内に配置され、胴体2に設置されている。蓋3が複数のボルト9によって胴体2の上端に取り付けられる。吊り上げ用のトラニオン6A,6Bが胴体2の外面に取り付けられる。計測ベント弁7が蓋3に取り付けられ、排水弁8が胴体2の底部に設けられる。
複数の使用済燃料集合体13が、胴体2内でバスケット4に形成された各収納空間内に装荷されている使用済燃料集合体13のキャスク1内への収納については、後で詳細に説明する。水11が胴体2内に充填され、水面11Aが、バスケット4の上端よりも上方で、バスケット4内に装荷された使用済燃料集合体13の上端よりも上方に形成される。胴体2内への水11の充填によって、蓋3で密封された胴体2内には、水11が充填された水相部10および水面11Aよりも上方の気相部12が形成される。
再結合器5が、バスケット4よりも上方で且つ使用済燃料集合体13の上端よりも上方で水面11Aより下方に配置され、バスケット4の上端(または胴体2の内面)に取り外し可能に取り付けられる。再結合器5は、水相部10内で水相部10と気相部12の境界である水面11A付近、具体的には水面11Aとバスケット4内に収納された使用済燃料集合体13の上端の間に配置されている。再結合器5は、上面、下面および側面に水が通過できる多数の開口部を形成したケーシング(図示せず)内に、再結合触媒(図示せず)を配置して構成される。この再結合触媒は、白金をステンレス鋼フェルトの表面に添着させて構成されている。白金の替りに、パラジウムまたはロジウムを用いてもよい。
湿式のキャスク1内には、例えば、沸騰水型原子力プラントの原子炉から取り出された使用済燃料集合体が収納される。湿式のキャスク1を用いた、使用済核燃料集合体の輸送方法を説明する前に、沸騰水型原子力プラントの概略構造を、図3および図4を用いて説明する。
沸騰水型原子力プラントは、炉心を内蔵する原子炉圧力容器21、および原子炉格納容器23を有する。原子炉格納容器23は、上蓋24を含んでおり、原子炉建屋27に設置され、内部に設置された原子炉圧力容器21を取り囲んでいる。上蓋24を取り付けることによって、原子炉格納容器23は密封される。円筒状のペデスタル19が原子炉格納容器23内に設置される。ドライウェル25、およびドライウェル25と分離されている圧力抑制室26が原子炉格納容器23内に形成される。原子炉圧力容器21は、ドライウェル25内に配置され、ペデスタル19の上端部に設置される。沸騰水型原子力プラントの運転中、原子炉圧力容器21は上蓋22が取り付けられて密封されている。
原子炉建屋27内で原子炉圧力容器21の真上には、原子炉ウェル32が形成されている。原子炉ウェル32は、原子炉格納容器23の上蓋24の上方に位置している。燃料貯蔵プール29および機器仮置きプール30が、原子炉格納容器23の上方で原子炉建屋27内に形成されており、原子炉ウェル32に連絡されている。燃料貯蔵プール29、原子炉ウェル32および機器仮置きプール30がこの順番に一列に並んで配置される(図4参照)。原子炉建屋27内で原子炉格納容器23の上方に位置している運転床28が、燃料貯蔵プール29、原子炉ウェル32および機器仮置きプール30を取り囲んでいる。
燃料貯蔵ラック33が、冷却水を充填している燃料貯蔵プール29内に設置されている。キャスクピット34が燃料貯蔵プール29に設けられる。キャスク除染ピット35が燃料貯蔵プール29の横で運転床28に形成されており、大物搬入口36が運転床28に形成されている。
ある運転サイクルでの沸騰水型原子力プラントの運転が終了したとき、沸騰水型原子力プラントが停止される。沸騰水型原子力プラントの停止時において、原子炉圧力容器21の炉心(図示せず)内に装荷された複数の燃料集合体のうち寿命になった燃料集合体、すなわち、使用済燃料集合体を新た強い燃料集合体に取り替える燃料交換作業が行われる。この燃料交換作業に先立って、原子炉格納容器23の上蓋24及び原子炉圧力容器21の上蓋22が順番に取り外されて、原子炉建屋27内で運転床28の上方に設置された天井クレーン31に吊り上げられて運転床28上まで搬送される。
冷却水が原子炉ウェル32に充填される。原子炉ウェル32と燃料貯蔵プール29を仕切っているゲートが取り外され、原子炉ウェル32と燃料貯蔵プール29が連通する。機器仮置きプール30内にも冷却水が充填される。原子炉ウェル32と機器仮置きプール30を仕切っているゲートが取り外され、原子炉ウェル32と機器仮置きプール30が連通する。原子炉圧力容器21内に設置されている蒸気乾燥器(図示せず)及び気水分離器(図示せず)が、取り外され、天井クレーン31に吊り下げられて原子炉圧力容器21から上方に取り出され、原子炉ウェル32を通って機器仮置きプール30内まで移送される。
その後、運転床28上を移動する燃料交換機により、使用済燃料集合体が、原子炉圧力容器21内の炉心から取り出され、原子炉ウェル32を通って燃料貯蔵プール29内の燃料貯蔵ラック33まで移送される(図5参照)。この使用済燃料集合体は、燃料貯蔵ラック33内に収納され、保管される。燃料貯蔵ラック33は燃料貯蔵プール29内で冷却水中に存在するため、燃料貯蔵ラック33内に収納された使用済燃料集合体は、この冷却水によって冷却される。新しい燃料集合体が、燃料交換機に把持されて燃料貯蔵プール29から原子炉ウェル32を通って原子炉圧力容器21内まで移送され、炉心に装荷される。
湿式のキャスク1を用いた、本実施例の使用済核燃料集合体の輸送方法を、図1を用いて説明する。
キャスクを搬入する(ステップS1)。湿式のキャスク1は、トラニオン6A,6Bが天井クレーン31に吊り下げられた状態で天井クレーン31により吊り上げられ、大物搬入口36を通して運転床28上まで運ばれる。
キャスクの蓋を取り外す(ステップS2)。運転床28上で、ボルト9を取り外して蓋3をキャスク1の胴体2から取り外す。
キャスクに汚染防止カバーを取り付ける(ステップS3)。汚染防止カバーであるプラスチックシート(または金属カバー)が、蓋3が取り外された胴体2の外面を覆うように、胴体2に取り付けられる。
キャスクを燃料貯蔵プールのキャスクピットまで移動させる(ステップS4)。蓋3が取り外されたキャスク1は、図6に示すように、天井クレーン31に吊り下げられて燃料貯蔵プール29のキャスクピット34内に移送される。冷却水が燃料貯蔵プール29に連通するキャスクピット34内にも存在する。キャスクピット34内に搬送されたキャスク1の胴体2は、キャスクピット34内の冷却水中でキャスクピット34の底面上に置かれる。この冷却水は胴体2の上端から胴体2内に流入し、胴体2内が冷却水で満たされる。
使用済燃料集合体をキャスクに収納する(ステップS5)。燃料貯蔵プール29内に設置された燃料貯蔵ラック33内に収納されて所定期間貯蔵され、発熱量が低下した使用済燃料集合体が、燃料交換機に把持されて燃料貯蔵ラック33から取り出される。この使用済燃料集合体は、燃料交換機により、燃料貯蔵プール29内の冷却水中を移動され、キャスクピット34まで移送される。使用済燃料集合体は、キャスク1の胴体2内に設置されたバスケット4内に収納される。所定体数の使用済燃料集合体がバスケット4内に収納されるまで、燃料貯蔵ラック33内の使用済燃料集合体が、燃料交換機により、キャスクピット34内のキャスク1の胴体2まで移送される。所定体数の使用済燃料集合体13がバスケット4内に収納されたとき(図2参照)、燃料交換機による使用済燃料集合体の移送が中止される。
再結合器をキャスク内に設置する(ステップS6)。所定体数の使用済燃料集合体13がバスケット4内に収納された後、再結合器5を、天井クレーン31に吊り下げてキャスク1の胴体2内に搬入する。胴体2内に搬入された再結合器5は、バスケット4の上端よりも上方で且つバスケット4内に収納された各使用済燃料集合体13よりも上方で、所定の位置に配置され、バスケット4の上端(または胴体2の内面)に取り付けられる。再結合器5が配置される所定の位置は、後述のステップS10における胴体2内の冷却水11の排出によって胴体2内に形成される水相部10と気相部12の境界である水面11A付近で水相部10内の位置である。
蓋をキャスクに取り付ける(ステップS7)。蓋3を、バスケット4内に収納された各使用済燃料集合体13を覆うように、胴体2の上端に置き、ボルト9で胴体2に取り付ける。
汚染防止カバーをキャスクから除去する(ステップS8)。天井クレーン31を用いて、蓋3を取り付けたキャスク1を、キャスクピット34からキャスク除染ピット35まで移送する。キャスク除染ピット35内に置かれたキャスク1の外面の汚染状態を確認し、この外面を覆っているプラスチックシート(または金属カバー)を取り外す。汚染がひどいときは、ジェット洗浄などによって表面を除染した後にプラスチックシート(または金属カバー)を取り外す。
キャスクの蓋をボルトで固定する(ステップS9)。各ボルト9を締め付けて蓋3を胴体2に固定し、胴体2を密封する。
キャスク内の冷却水の量を調節する(ステップS10)。キャスク1内の冷却水11が収納された使用済燃料集合体13において発生する熱によって加熱されて膨張し、キャスク1の内圧が上昇するのを防ぐために、キャスク1内の冷却水11の一部がキャスク1の外部に排出される。この冷却水11の排出は、冷却水11の体積膨張分を吸収するために行われる。冷却水11の排出に際しては、計測ベント弁7および排水弁8が開けられる。キャスク1内の冷却水11の一部が排水弁8を通してキャスク1の外部に排出される。
キャスク1内の冷却水11の液面11Aが低下し過ぎて再結合器5が気相部12に配置されないように、排水弁8を閉じる時期は、計測ベント弁7を開いた状態で排水弁8を所定の開度に開いてからの経過時間に基づいて判定する。この経過時間は、模擬燃料集合体を所定体数装荷したキャスク1において、計測ベント弁7を開いた状態で排水弁8を所定の開度に開いてからの経過時間とキャスク1内の水面11Aの低下度合いを予め把握しておくと良い。その経過時間が所定時間経過したとき、排水弁8を閉じる。
また、ステップS9の工程を実施しないで蓋3を胴体2から取り外してキャスク1の上端を開放した状態で、気相部12を形成するためにキャスク1内の冷却水11を排水弁8から排出してもよい。これによって、キャスク1内の水面11Aの位置を監視カメラ等で監視することができる。水面11Aが再結合器5の上方の所定の位置まで低下したとき、排水弁8を閉じ、ステップS9の工程、すなわち、蓋3のボルト9による胴体2への固定を実施する。
キャスク1内の冷却水11の排出により、水相部10内で水面11A付近に再結合器5が存在する状態で、キャスク1内に水相部10の上方に気相部12が形成されたとき、排水弁8を閉じて、さらに計測ベント弁21を閉じる。そして、キャスク1の密閉性が確認される。
キャスクを搬出する(ステップS11)。キャスク1の密閉性が確認され、キャスク除染ピット35ないでキャスク1の外面の除染が終了した後、キャスク1のトラニオン6A,6Bを天井クレーン31に吊り下げ、天井クレーン31の操作により、複数の使用済燃料集合体13を収納したキャスク1を、キャスク除染ピット35から大物搬入口36の真上まで移送する。このキャスク1は、天井クレーン31により、大物搬入口36内を下降され、大物搬入口36の真下に止まっているトレーラーの上に縦置きの状態で載せられる。トレーラーに載せられたキャスク1は貯蔵施設まで移送される。この貯蔵施設は、沸騰水型原子力プラントが設置された原子力発電所内に建設された別の貯蔵施設、原子力発電所外の中間貯蔵施設または核燃料再処理施設である。キャスク1が核燃料再処理施設渡欧の遠方の貯蔵施設まで搬送される場合には、原子力発電所の港から船舶に載せられて搬送される。
使用済燃料集合体13を収納したキャスク1の輸送中において、キャスク1内の冷却水11は収納された使用済燃料集合体13から放出される放射線を照射され、水素および酸素を発生する。発生した水素および酸素は、ガス状態での水相部10内の上昇、さらに、水素および酸素を溶存した冷却水11の水相部10内での対流によって、収納された使用済燃料集合体13よりも上方で水相部10内に配置された再結合器5の位置に達する。再結合器5の再結合触媒の白金の作用により、水素と酸素は再結合されて水になる。また、水素は、白金の作用により、冷却水11に溶存している過酸化水素とも反応する。このため、本実施例は、キャスク1内の気相部12の水素濃度だけでなく、水相部10における水素濃度もさらに低減することができる。したがって、湿式のキャスク1内の水素濃度がさらに低減される。特に、炉心に装荷される燃料集合体の燃焼度が増加し、キャスク1内に収納される使用済燃料集合体の燃焼度が増加しても、キャスク1内の水素濃度がさらに低減される。
本実施例は、再結合器5をバスケット4の上端よりも上方に配置しているので、少ない再結合触媒を用いて水素と酸素の再結合を効率良く行うことができ、キャスク1内の水素濃度をさらに低減することができる。
本発明の他の好適な実施例である実施例2の使用済核燃料集合体の輸送方法に用いられる使用済核燃料集合体の輸送容器を、図10を用いて説明する。
本実施例の使用済燃料集合体の輸送容器である湿式のキャスク1Aは、実施例1のキャスク1において再結合器5を再結合器5Aに替えた構成を有する。再結合器5Aは、円筒状をしており、胴体2の内面とバスケット4の間に配置されてバスケット4を取り囲んでいる。再結合器5Aは、多数の開口部を形成した円筒状のケーシング(図示せず)内に、再結合触媒(図示せず)を配置して構成される。キャスク1Aの他の構成はキャスク1と同じである。円筒状の再結合器5Aの、胴体2とバスケット4の間への配置は、ステップS6の工程で行われる。
キャスク1A内に収納された使用済燃料集合体13において発生する熱によって加熱される冷却水11の体積膨張を吸収するため、キャスク1A内には、キャスク1と同様に、水相部10の上方に気相部12が形成される。
この再結合触媒は、白金をステンレス鋼フェルトの表面に添着させて構成されている。キャスク1Aでは、再結合触媒がバスケット4の周囲に配置される。再結合器5Aは、キャスク1Aの水相部10内に配置され、キャスク1Aの軸方向において胴体2の底面から水面11A付近にまで伸びている。
湿式のキャスク1Aを用いた本実施例の使用済核燃料集合体の輸送方法では、実施例1で述べた図1に示すステップS1〜S11の各工程が実施される。本実施例でキャスク1A内に収納される使用済燃料集合体13は、沸騰水型原子量プラントの原子炉圧力容器21から取り出された使用済燃料集合体である。
本実施例は実施例1で生じる効果を得ることができる。本実施例は、再結合触媒を有する再結合器5Aが水相部10内で胴体2の底面から水面11A付近にまで伸びているので、水素と酸素をバスケット4の上端よりも下方においても再結合させることができる。
本発明の他の好適な実施例である実施例3の使用済核燃料集合体の輸送方法に用いられる使用済核燃料集合体の輸送容器を、図11を用いて説明する。実施例1及び2の輸送方法で用いられるキャスク1及び1Aは縦置き型の輸送容器であるが、本実施例の使用済核燃料集合体の輸送方法に用いられる使用済核燃料集合体の輸送容器であるキャスク1Bは、横置き型の輸送容器である。
キャスク1Bは、実施例2のキャスク1Aにおいて胴体2が水平に配置され、胴体2の外面に胴体2を支持するための4本の脚部14が、胴体2の外面に取り付けられ、同じ方向に伸びている。キャスク1Bの他の構成はキャスク1Aと同じである。
湿式のキャスク1Bを用いた本実施例の使用済核燃料集合体の輸送方法では、実施例1で述べた図1に示すステップS1〜S11の各工程が実施される。本実施例でキャスク1B内に収納される使用済燃料集合体13は、沸騰水型原子量プラントの原子炉圧力容器21から取り出された使用済燃料集合体である。ステップS1〜S11の各工程のうち、キャスク1Bを用いた場合に、変更されるステップを以下に説明する。
ステップS1〜S3の各工程が実施される。ステップS4において、キャスク1Bは、胴体2の、蓋3を取り付ける開放端が上を向くように、キャスクピット34内の底面上に置かれる。ステップS5において、使用済燃料集合体が、縦に置かれたキャスク1Bの胴体2内のバスケット4内に収納される。実施例2と同様に、ステップS6において、円筒状の再結合器5Aが、胴体2の開放端より、胴体2とバスケット4の間に挿入され、これらの間に配置される。ステップS7では、蓋3が縦に置かれた胴体2の開放端に取り付けられる。ステップS8及びS9の各工程が実施される。
ステップS10において、キャスク1B内の冷却水11の量を調節する。この冷却水11の量の調節は、胴体2を縦置きにした状態で、キャスク除染ピット35内で行われ、計測ベント弁7を開いた状態で排水弁8を開いて、排水弁8を通して胴体2内の冷却水11を排出することにより行われる。排水弁8を通して排出される冷却水11の量は、キャスク1Bを横置きにしたときに、胴体2とバスケット4の間に配置された円筒状の再結合器5Aの一部であって最も上部に位置する部分よりも上方に液面11Aを形成することができ、且つこの液面11Aの上方に気相部12を形成できる量である。排水弁8を開いて冷却水11の排水を開始してから所定時間が経過したとき、排水弁8が閉じられる。
ステップS11では、キャスク除染ピット35からキャスク1Bを天井クレーン31により引き上げ、運転床28上でキャスク1Bを水平状態になるように横転させる。キャスク1Bは、脚部14を下向きにして、大物搬入口36内を下降され、大物搬入口36の真下に止まっているトレーラーの上に横置きの状態で載せられる。
本実施例は実施例2で生じる効果を得ることができる。
キャスク1,1Aおよび1Bに、加圧水型原子力プラントの原子炉圧力容器から取り出した使用済燃料集合体を収納してもよい。
1,1A,1B…キャスク、2…胴体、3…蓋、4…バスケット、5,5A…再結合器、8…排水弁、10…水相部、11…冷却水、12…気相部、21…原子炉圧力容器、23…原子炉格納容器、27…原子炉建屋、28…運転床、29…燃料貯蔵プール、33…燃料貯蔵ラック、34…キャスクピット、35…キャスク除染ピット。

Claims (8)

  1. 複数の使用済燃料集合体が、一端部が封鎖されて他端部が開放されて水が充填されている胴体内のバスケット内に収納され、
    再結合触媒を有する再結合器を、前記胴体内の、前記水が存在する水相部に配置し、
    前記胴体の開放された前記他端部に蓋を取り付けて前記胴体を密封してなる輸送容器を、前記使用済燃料集合体を収納した状態で移送することを特徴とする使用済核燃料集合体の輸送方法。
  2. 移送される前記輸送容器内に、前記水相部と前記水相部の上方に位置する気相部が形成されており、前記再結合器は、移送される前記輸送容器内で、前記水相部と前記気相部の境界である前記水相部の前記水の水面と前記使用済燃料集合体との間に配置されている請求項1に記載の使用済核燃料集合体の輸送方法。
  3. 前記再結合器は、移送される前記輸送容器内で、前記バスケットと前記胴体の内面の間に配置されている請求項1に記載の使用済核燃料集合体の輸送方法。
  4. 前記輸送容器の移送が、前記輸送容器の中心軸が水平になった状態で行われ、前記水相部の前記水の水面が、前記バスケットと前記胴体の内面の間に形成され、前記バスケットと前記水面の間に配置されている請求項3に記載の使用済核燃料集合体の輸送方法。
  5. 前記再結合触媒が白金、パラジウム及びロジウムのいずれか1つを含んでいる請求項1に記載の使用済核燃料集合体の輸送方法。
  6. 一端部が封鎖されて他端部が開放されている胴体と、前記胴体内に設置されて複数の使用済燃料集合体が収納されるバスケットと、前記胴体の開放された端部に取り付けられる蓋と、前記バスケットと前記蓋の間および前記バスケットと前記胴体の間のいずれかに配置されて再結合触媒を有する再結合器とを備え、
    前記蓋で密封された前記胴体内に、水が存在する水相部、および前記水相部の上方に存在する気相部が形成され、
    前記再結合器が、前記蓋で密封された前記胴体内で前記水相部に配置されていることを特徴とする使用済燃料集合体の輸送容器。
  7. 前記再結合触媒が白金、パラジウム及びロジウムのいずれか1つを含んでいる請求項6に記載の使用済燃料集合体の輸送容器。
  8. 前記再結合触媒は、金属フェルトの表面に白金、パラジウム及びロジウムのいずれか1つを担持している請求項6に記載の使用済燃料集合体の輸送容器。
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