JP2015064034A - ベルト張力調整機構 - Google Patents
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Abstract
Description
同様に、エンジンによってベルト駆動されるコンプレッサやウォータポンプといった他の補機の負荷が変動すると、ベルトの弛みを抑制するのに必要なベルト張力が、補機の上流側と下流側とで変動しうる。したがって、他の補機に対して上流側および下流側の何れか一方だけのベルト張力を確保したのでは、ベルトの滑りが発生してしまうおそれがある。
これに関し、補機に対して上流側および下流側のそれぞれにテンションプーリを設ける技術が開発されている。例えば、特許文献2には、電動発電機に対して上流側に設けられた一方のテンションプーリと下流側に設けられた他方のテンションプーリとがバネにより連結された構造が開示されている。この構造では、一方のテンションプーリが一方のアームを介してエンジンに軸支され、同様に、他方のテンションプーリが他方のアームを介してエンジンに軸支されている。これら一対のアームはそれぞれエンジンの異なる位置に支持されている。かかる構造により、各テンションプーリは、これに対応するアームの支持箇所を支点に揺動しベルトを押圧する。したがって、ベルトの弛みが常に抑制され、ベルトの滑りを防止することができるとしている。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
(3)前記第1アームと前記第2アームとはV字型をなして結合されていることが好ましい。すなわち、前記結合部は、前記第1アームと前記第2アームとがV字型をなすように前記第1アームと前記第2アームとを結合していることが好ましい。
(5)前記調整手段は、前記結合部を前記エンジンの運転状態に合わせて前記第2プーリに対して離反または接近させる方向へ変位させるアクチュエータであることが好ましい。
また、上記の課題で挙げた構成では、ベルトの二箇所を押圧するのに二つのアクチュエータを必要とする。一方、本発明のベルト張力調整機構では、第2プーリに対してベルトの走行方向の上流側および下流側の箇所、即ちベルトの二箇所を押圧するのに、一箇所の結合部を移動させる一つの調整手段で足りる。したがって、簡素な構成とすることができる。
また、調整手段は、結合部を第2プーリに対して離反または接近させる方向へ変位させ、第2プーリに対してベルトの走行方向の上流側に設けられた第1テンションプーリと第2プーリに対してベルトの走行方向の下流側に設けられた第2テンションプーリとを移動させ、ベルトの張力を調整するため、第2プーリに対してベルトの走行方向の上流側および下流側のそれぞれにおいて、ベルトの張力を調整することができる。言い換えれば、第2プーリに対してベルトの走行方向の上流側および下流側のそれぞれにおいてベルトを常に押圧することができる。したがって、ベルトの弛みが常に抑制され、ベルトの滑りを防止することができる。
これらより、簡素な構成で、ベルトの滑りを防止することができる。
本発明は、エンジンのクランク軸(出力軸)の回転に連動して走行するベルトの張力を調整するためのものである。本実施形態では、複数のプーリ(ベルト車)に巻き掛けられたベルトの張力を調整するための機構(ベルト張力調整機構)と、この機構を用いてベルトに作用する張力を制御するシステム(ベルト張力調整システム)とについて説明する。
[1.構成]
[1−1.車両の基本構成]
はじめに、車両の基本構成について説明する。
図2に示すように、車両にはエンジン1が搭載されている。エンジン1は、シリンダ(図示略)内で燃料を燃焼させてピストン(図示略)を往復動させる所謂レシプロエンジンである。このエンジン1は、ピストンの往復運動を回転運動に変換するクランク軸1a(一部を破線で示す)を備えている。なお、エンジン1は、後述する制御装置70によって制御される。
一方の動力伝達系9は、駆動輪として機能する車輪5(一箇所のみに符号を付す)とエンジン1との間の動力を伝達するためのものである。この動力伝達系9は、シャフトやギヤなどを介して動力を伝達するものであり、エンジン1から車輪5に向けて、クラッチ2,変速機3,シャフトやディファレンシャルなどのギヤシャフト機構4を備えている。なお、図2にはプロペラシャフトを備えたFR方式の車両を例示するが、一方の動力伝達系9は、プロペラシャフトの有無に関わらず、FF方式,MR方式,RR方式の車両や四輪駆動の車両に用いられるものであってもよい。
他方の動力伝達系(以下、「ベルトドライブ系」という)10は、エンジン1とその補機との間の動力を伝達するものである。具体的には、エンジン1のクランク軸1aに連結されたクランクプーリ(第1プーリ)21および各種補機の回転軸といった軸周りの部位に連結されたプーリ22,23と、これらのプーリ21,22,23に巻き掛けられた一本のベルト11とを備え、ベルト11を介して動力を伝達するものである。すなわち、ベルトドライブ系10は、一本のベルト11で複数の補機を駆動するサーペンタイン式の動力伝達系である。言い換えれば、ベルト11は、クランクプーリ21から各種補機のプーリ22,23へと動力を伝達する。なお、ベルトドライブ系10において動力を伝達するプーリ21,22,23のそれぞれの中心位置は、エンジン1または各種補機に対して固定されており、可動なものではない。
ここでは、補機として電動発電機(回転電機,ベルトスタータジェネレータ〈Belt Starter Generator〉或いはインテグレーテッドスタータジェネレータ〈Integrated Starter Generator〉などとも称される。以下、「ベルトスタータジェネレータ」という)12とコンプレッサ13とを例に挙げて説明する。ベルトスタータジェネレータ12の回転軸12aにはベルトスタータジェネレータプーリ(第2プーリ)22が連結され、コンプレッサ13の回転軸13aにはコンプレッサプーリ23が連結されている。
ベルト11は、無端状であり、ゴムおよびこれを補強する心線などを有して構成されている。ベルト11としては、平ベルト,VベルトおよびVリブドベルトといった種々のタイプのものを用いることができる。
ベルトスタータジェネレータ12は、電動機としての機能と発電機としての機能とを併せもつものである。このベルトスタータジェネレータ12には、図2に示すように、電力線を介してバッテリ6が接続されている。ベルトスタータジェネレータ12が電動機として機能するときには、バッテリ6からベルトスタータジェネレータ12に給電され、回転軸(出力軸)12aから動力が出力される。一方、ベルトスタータジェネレータ12が発電機として機能するときには、回転軸12aが入力軸として機能し、ベルトスタータジェネレータ12からバッテリ6への給電によりバッテリ6が充電される。
なお、ベルトスタータジェネレータ12は、後述する制御装置70によって制御される。
次に、図1を参照して、張力調整装置80について説明する。
張力調整装置80は、ベルト張力を調整するテンション調整機構90と、テンション調整機構90を作動させるアクチュエータ(調整手段)60と、アクチュエータ60の作動を制御する制御装置70とを有する。
このテンション調整機構90は、一対のテンションプーリ30と、一対のテンションプーリ30のそれぞれを軸支する一対のアーム40と、一対のアーム40を互いに連結するスプリング(付勢手段)49と、一対のアーム40を互いに結合する結合部50と、を有する。
一対のテンションプーリ30は、第1テンションプーリ31と第2テンションプーリ32とから構成されている。
一方、第2テンションプーリ32は、ベルトスタータジェネレータプーリ22に対してベルト11の走行方向の下流側に設けられている。この第2テンションプーリ32は、第1テンションプーリ31と向き合って設けられている。ここでは、第1テンションプーリ31と第2テンションプーリ32との間には、他のプーリが設けられていない。また、第2テンションプーリ32がコンプレッサプーリ23とベルトスタータジェネレータプーリ22との間に配置されている。
テンションプーリ31,32は、それぞれの回転軸31a,32aを中心に回転するように設けられている。言い換えれば、テンションプーリ31,32は、それぞれが押圧するベルト11が走行すると、回転軸31a,32aを中心に回転するように設けられている。
第1アーム41は、第1テンションプーリ31の回転軸31aを支持している。ここでは、第1アーム41の一端部41aに回転軸31aが結合されている。
同様に、第2アーム42は、第2テンションプーリ32の回転軸32aを支持している。ここでは、第2アーム42の一端部42aに回転軸32aが結合されている。
また、結合部50は、エンジン1に対して移動可能(可動)である。言い換えれば、結合部50はエンジン1に固定されていない。
このアクチュエータ60は、その作動が下記の制御装置70によって制御され、エンジン1の運転状態やベルトスタータジェネレータ12の作動状態などに合わせて結合部50を変位させる。
制御装置70は、少なくともエンジン1,ベルトスタータジェネレータ12およびアクチュエータ60を制御する機能を持った電子制御装置であり、例えばマイクロプロセッサやROM,RAMなどを集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される。
はじめに、エンジン1の制御について説明する。
制御装置70は、エンジン1に関する点火系,燃料系,吸排気系および動弁系といった広汎なシステムを制御する。なお、制御装置70は、制御対象であるエンジン1が作動しているか停止しているかなどの運転状態を判別可能である。
ここでは、制御装置70について、エンジン1を自動停止(アイドルストップ)させる制御と、自動停止されたエンジン1を再始動(アイドルスタート)させる制御との二つの制御に着目して説明する。
なお、再始動条件は、エンジン1が実際に再始動される直前に成立する。これは、再始動条件が成立してからエンジン1を実際に再始動させるからである。制御装置70は、再始動条件の成立を判定すると、アクチュエータ60を制御してベルト張力を調整した後に、ベルトスタータジェネレータ12を電動機として作動させる。
制御装置70の入力側には、イグニッションスイッチやバッテリ蓄電量センサなどのベルトスタータジェネレータ12の制御にかかる各種センサ(何れも図示略)が接続されており、かかる各種センサの情報に基づいて、ベルトスタータジェネレータ12の作動を制御する。
(A1)イグニッション操作がされたこと。
(A2)再始動条件が成立したこと。
(A3)電動単独走行条件が成立したこと。
(A4)電動アシスト走行条件が成立したこと。
上記(A2)が満たされて電動機条件が成立したときは、上述したように、アクチュエータ60が制御されてからベルトスタータジェネレータ12が電動機として作動する。
上記(A3)の電動単独走行条件とは、ベルトスタータジェネレータ12単独で車両を走行させるための条件である。この電動単独走行条件としては、バッテリ6(図2参照)の蓄電量が第1所定量以上であることや発車時であることなどが挙げられる。ここでいう第1所定量とは、ベルトスタータジェネレータ12単独で車両を走行させたとしてもバッテリ6の蓄電量に余裕がある電力量として、予め実験的または経験的に設定されたものである。
(B1)ベルトスタータジェネレータ12による発電が必要なこと。
(B2)ベルトスタータジェネレータ12による回生制動が必要なこと。
なお、上記(B1)と(B2)とは、バッテリ6の蓄電量にかかる判定が異なるだけでなく、上記(B1)は加速時および減速時の何れでも満たされるのに対し、上記(B2)はおもに減速時に満たされる点で異なる。
次に、アクチュエータ60の制御について説明する。
制御装置70は、アクチュエータ60を制御することでベルト張力を制御する。具体的にいえば、制御装置70は、作動軸60aが没入する方向にアクチュエータ60の作動を制御することで、ベルト張力を増加させ、逆に、作動軸60aが進出する方向にアクチュエータ60の作動を制御することで、ベルト張力を減少させる。言い換えれば、制御装置70は、結合部50をベルトスタータジェネレータプーリ22に対して離反させる方向へ変位させてテンションプーリ31,32を移動させることでベルト張力を増加させ、逆に、結合部50をベルトスタータジェネレータプーリ22に対して接近させる方向へ変位させてテンションプーリ31,32を移動させることでベルト張力を減少させる。このようにして、ベルト張力が調整される。
第2張力範囲内のベルト張力は、ベルトスタータジェネレータ12が発電機として機能するときや電動機として機能してアシスト走行するときに動力を十分に伝達することができる大きさであり、また、コンプレッサ13を駆動する動力を十分に伝達することができる大きさである。
まず、エンジン1の停止時におけるベルト張力について説明する。
制御装置70は、エンジン1が自動停止されたときにベルト張力の大きさを第1張力範囲内で設定する。このときのベルト張力としては、張力1または2を採用することができる。なお、エンジン1が手動で停止されたときには制御装置70も停止するため、ベルト張力は設定されない。この場合、アクチュエータ60は作動せず、ベルト張力は最も小さくなる。
また、電動単独走行条件が成立したとき、即ち上記(A3)が満たされたときに、制御装置70はベルト張力を第3張力範囲内で設定する。このときのベルト張力としては、張力5を採用することができる。例えば、ベルトスタータジェネレータ12単独で車両を走行させている最中に再始動条件が成立したときには、ベルト張力が張力5から張力6に設定変更される。
制御装置70は、上述したように、エンジン1の作動時にはベルト張力を第2張力範囲内で設定する。この第2張力範囲内において、制御装置70は、電動機条件または発電機条件が成立したときのベルト張力よりも、電動機条件および発電機条件の何れもが不成立のときにベルト張力を小さく設定する。言い換えれば、ベルトスタータジェネレータ12が電動機または発電機として機能するときのベルト張力よりも、ベルトスタータジェネレータ12が電動機および発電機の何れとしても機能しないときのベルト張力が小さく設定される。すなわち、制御装置70は、ベルトスタータジェネレータ12の作動時におけるベルト張力よりも、ベルトスタータジェネレータ12の非作動時におけるベルト張力を小さくなるようにアクチュエータ60を制御する。
なお、制御装置70は、ベルトスタータジェネレータ12による発電が必要なとき(例えば加速中の発電時)のベルト張力と回生制動が必要なとき(例えば減速中の発電時)のそれとを異なる大きさに設定してもよい。例えば、確実な減速を重視する場合には、ベルトスタータジェネレータ12による発電が必要なときのベルト張力よりも回生制動が必要なときのそれを大きく設定することができる。逆に、加速性能を重視する場合には、回生制動が必要なときのベルト張力よりも発電が必要なときのそれを小さくすることができる。
制御装置70によって設定されたベルト張力Tをまとめると、下記の表1に示すようになる。
制御装置70は、水温センサ91により検出された温度(以下、「冷却水温」という)に応じてベルト張力Tを補正する。言い換えれば、制御装置70は、水温センサ91で検出された温度に応じてベルト張力が増減するようにアクチュエータ60を制御する。具体的にいえば、制御装置70は、冷却水温が高くなるほどベルト張力Tを減少させる。逆に言えば、ベルト張力Tは、冷却水温が低くなるほど増加補正される。この補正としては、例えば下記の(a)または(b)の手法を採用することができる。
(a)冷却水温が低くなるほど1よりも大きくなるように予め設定された係数αをベルト張力Tに乗算する。
(b)冷却水温が所定水温よりも低いときにベルト張力Tを増加補正する。
上記(b)の具体的な手法としては、冷却水温が所定水温よりも低いときに、設定されたベルト張力Tを段階的に減少させることが挙げられる。この所定水温は、エンジン1の温度状態を判定する閾値として予め実験的または経験的に設定されたものである。この所定温度としては、エンジン1の冷態を判定する冷態閾値温度やこれに加えてエンジン1の温態を判定する温態閾値温度などを用いることができる。冷態閾値温度は例えば10℃や15℃といった温度に設定され、温態閾値温度は例えば65℃や70℃といった温度に設定される。
次に、図3のフローチャートを用いて、制御装置70により実施されるベルト張力の設定および補正の手順について説明する。このフローチャートは、手動でイグニッション操作がされてエンジン1の始動が完了すると所定の制御周期で実施され、エンジン1が手動で停止されると終了する。また、フローチャート中の各ステップは、制御装置70のハードウェアに割り当てられた各機能がソフトウェア(コンピュータプログラム)によって動作することで実施される。
なお、手動でイグニッション操作がされると、制御装置70は、アクチュエータ60を制御してベルト張力を張力6に設定し、ベルトスタータジェネレータ12を電動機として作動させて、エンジン1を始動させる。
ステップS14では、ベルト張力Tを第2張力範囲内の張力4に設定する。そして、ステップS30へ移行する。
ステップS19では、ベルト張力Tを第2張力範囲内の張力3に設定する。そして、ステップS30へ移行する。
ステップS22では、ベルト張力Tを第3張力範囲内の張力5に設定する。そして、ステップS30へ移行する。
ステップS26では、ベルト張力Tを第3張力範囲内の張力6に設定する。そして、ステップS30へ移行する。
ステップS30では、ベルト張力Tを冷却水温,クランク回転数,ベルトスタータジェネレータ12の入出力トルクに応じて補正する。そして、本制御周期を終了(以下、「リターン」という)する。
本実施形態のベルト張力調整機構およびベルト張力調整システムは上述のように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
まず、ベルト張力調整機構についての作用および効果について述べる。
結合部50が第1アーム41と第2アーム42とを結合するため、一対のアームがそれぞれエンジンに支持されるものに比較して、簡素な構成とすることができる。具体的には、アーム41,42において所定平面に投影したときに互いに重複する箇所Pを、エンジン1に対して可動に設けられた結合部50が結合するため、上述した課題で挙げた技術のように一対のアームがそれぞれエンジンに支持されるものに比較して、簡素な構成とすることができる。これにより、製造コストや組立コストの上昇を抑制することができる。
これらより、簡素な構成で、ベルト11の滑りを防止することができる。
さらに、ベルト11の弛み側とその反対側(張り側)のベルト張力が過大になることを回避することができる。これにより、ベルト11や各軸1a,12a,13aをはじめとしたベルトドライブ系10の各部品の耐久性を確保することができる。
アーム41,42は、各一端部41a,42aにテンションプーリ31,32のそれぞれを軸支し、各他端部41b,42bが結合部50により結合されているため、テンションプーリ31,32が各アームの端部以外の箇所に軸支されたものや結合部50が各アームの端部以外の箇所に結合されたものに比較して、材料コストの上昇を抑制することができる。
制御装置70が、エンジン1が自動停止した場合にベルト張力を減少させるように、ベルト張力を調整するテンション調整機構90を作動させるアクチュエータ60を制御するため、ベルト11を介して動力伝達がなされていないときに、アクチュエータ60のエネルギー消費、即ち電力消費を抑制することができる。延いては、燃費の抑制に寄与する。また、ベルト張力が小さくなる機会を確保して、ベルト11や各軸1a,12a,13aをはじめとしたベルトドライブ系10にかかる各部品の耐久性を向上させることができる。
これらのように、エンジン1の作動状態に応じて、ベルト張力の大きさを適切に調整することができる。
これに対し、本実施形態のベルト張力調整システムでは、制御装置70が、クランク回転数が高くなるほどベルト張力を増加補正する。すなわち、制御装置70は、ベルト張力が増加するようにアクチュエータ60を制御する。このため、ベルト11のばたつきが抑制される。したがって、ベルト11が動力を確実に伝達することができる。逆に、制御装置70は、クランク回転数が低くなるほどベルト張力を減少補正する。つまり、制御装置70は、ベルト張力が減少するようにアクチュエータ60を制御する。このため、ベルト11のばたつきが抑えられた状況において、ベルト11の動力伝達効率を向上させることができる。
エンジン1が自動停止されたときにベルト張力が第1張力範囲内で設定され、エンジン1が自動停止後であってエンジン1が再始動するときにベルト張力が第1張力範囲よりも大きい第3張力範囲内で設定されるため、エンジン1を確実に再始動させることができるとともに、電力消費を抑制することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明のベルト張力調整機構およびベルト張力調整システムは上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
以下の説明では、結合部の変形例について説明する。なお、ここでいう異なる点を除いては上述の一実施形態の構成と同様の構成になっている。
本変形例によれば、上述の一実施形態にかかる効果に加えて、スプリング49を要せず、簡素な構成とすることができる。また、結合部の構造が簡素となり、製造コストの低減に寄与する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、上述した一実施形態および変形例の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
上述の一実施形態では、一対のアーム40を互いに連結するスプリング49が設けられたものを示したが、このスプリング49は省略してもよい。敷衍して言えば、テンション調整機構90は、少なくともベルト11の張力を調整するための機構であればよく、スプリング49は必須ではない。この場合、テンションプーリ31,32のベルト11への追従性が低下するものの、簡素な構成とすることができる。
また、制御装置70がエンジン1を制御するものを示したが、これに替えて、制御装置70とは別の制御装置(エンジンECU)がエンジン1を制御する構成としてもよい。この場合、制御装置70は、別の制御装置からエンジン1の自動停止および再始動の情報を取得し、取得情報に基づいてアクチュエータ60の作動を制御する。
1a クランク軸(出力軸)
2 クラッチ
3 変速機
4 ギヤシャフト機構
5 車輪
6 バッテリ
9 一方の動力伝達系
10 ベルトドライブ系
11 ベルト
12 電動発電機(補機,回転電機)
12a 回転軸(軸周り部材)
13 コンプレッサ(補機)
13a 回転軸(軸周り部材)
21 クランクプーリ(第1プーリ)
22 ベルトスタータジェネレータプーリ(第2プーリ)
23 コンプレッサプーリ
30 一対のテンションプーリ
31 第1テンションプーリ
31a 回転軸
32 第2テンションプーリ
32a 回転軸
40 一対のアーム
41 第1アーム
41a 一端部
41b 他端部
42 第2アーム
42a 一端部
42b 他端部
49 スプリング(付勢手段)
50 結合部
60 アクチュエータ(調整手段)
60a 作動軸
70 制御装置
80 張力調整装置
90 テンション調整機構
91 水温センサ(エンジン冷却水)
92 回転数センサ(回転数検出手段)
P 重複する箇所
T 設定されたベルト張力
Claims (6)
- エンジンの出力軸に連結された第1プーリと、
前記エンジンの補機に連結された第2プーリと、
前記第1プーリおよび前記第2プーリに巻き掛けられ、前記第1プーリから前記第2プーリへと動力を伝達するベルトと、
前記第2プーリに対して前記ベルトの走行方向の上流側に設けられ、前記ベルトに接する第1テンションプーリと、
前記第2プーリに対して前記ベルトの走行方向の下流側に前記第1テンションプーリと向き合って設けられ、前記ベルトに接する第2テンションプーリと、
前記第1テンションプーリを軸支する第1アームと、
前記第2テンションプーリを軸支する第2アームと、
前記第1アームと前記第2アームとを結合する結合部と、
前記結合部を前記第2プーリに対して離反または接近させる方向へ変位させて前記第1テンションプーリと前記第2テンションプーリとを移動させ、前記ベルトの張力を調整する調整手段とを備えた
ことを特徴とするベルト張力調整機構。 - 前記結合部は、
前記第1アームと前記第2アームとのなす角度が変更自在となるように、前記第1アームと前記第2アームとを結合している
ことを特徴とする、請求項1に記載のベルト張力調整機構。 - 前記第1アームと前記第2アームとはV字型をなして結合されている
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のベルト張力調整機構。 - 前記第1アームと前記第2アームとを互いに連結し、前記第1アームと前記第2アームとを対向する方向へ付勢する付勢手段を備えた
ことを特徴とする、請求項3に記載のベルト張力調整機構。 - 前記調整手段は、
前記結合部を前記エンジンの運転状態に合わせて前記第2プーリに対して離反または接近させる方向へ変位させるアクチュエータである
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のベルト張力調整機構。 - 前記第2プーリは前記エンジンを始動させる電動機としての機能と前記エンジンにより駆動されて発電する発電機としての機能とを併せもつ電動発電機の軸周りの部材に設けられ、
前記アクチュエータは前記結合部を前記電動発電機の作動状態に合わせて前記第2プーリに対して離反または接近させる方向へ変位させる
ことを特徴とする請求項5に記載のベルト張力調整機構。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2013
- 2013-09-24 JP JP2013197487A patent/JP6331305B2/ja active Active
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