JP2015063271A - ハイブリッド式作業車両 - Google Patents
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Abstract
Description
坂道発進切換スイッチをオンすることにより、車両コントローラでは、走行モータからフィードバックされる回転方向と回転速度に基づいて、走行モータの回転速度が0となるように回生制動トルクを発生させる。アクセルペダルの踏み込み量に応じて出力される駆動トルクの指令値が回生制動トルクを超えると、回生ブレーキが解除され走行車輪が回転駆動され、坂道発進がスムーズに行われる。上記機械制動始点の回生制動トルクは、ほぼ10%前後の勾配で停止させる制動トルクであり、回生ブレーキのみで車両を停止することができる。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、前進と後進を指示する前後進指示部材をさらに備え、前記ブレーキ引きずり制御条件が成立していることが前記条件判定手段で判定されているとき、前記電動機駆動制御手段は、車両の走行方向と前記前後進指示部材で指示された走行方向とが異なるとき、前記走行電動機の出力トルクを増加させる。
(3)請求項3の発明は、請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、前記電動機駆動制御手段は、前記走行電動機が要求する出力に応じて前記発電電動機に発電を行なわせ、その発電電力で前記走行電動機を駆動する。
(4)請求項4の発明は、請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、前記所定の車速の目標値は、前記アクセルペダルとブレーキペダルが踏み込まれないときに前記走行電動機により走行する際のクリープ速度である。
(5)請求項5の発明は、請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、前記走行電動機と車輪との間で伝達される走行駆動トルクを制御するインチング装置と、前記インチング装置をオンするオン位置と、オフするオフ位置とに切り替わるインチング操作部材とを有し、前記条件判定手段は、前記第1〜第3条件に加えて、前記インチング操作部材がオフ位置に操作されている第4条件が成立していると判定すると前記ブレーキ引きずり制御条件が成立したと判定する。
(6)請求項6の発明は、請求項5に記載のハイブリッド式作業車両において、前記インチング操作部は、前記オン位置、オフ位置に加えて、中間位置を有し、前記インチング操作部が前記中間位置に切り替えられているとき、前記インチング装置による前記走行駆動トルクの伝達力を0%〜100%の間で任意に設定するハイブリッド式作業車両。
なお、キャパシタ3は、たとえば鉛蓄電池や、リチウムイオンバッテリのように、直流電力を蓄電する2次電池でもよい。
蓄電管理部110は、キャパシタ3の許容充電電力を演算して出力演算部140に出力する。蓄電管理部110には、コンバータ4で検出されるキャパシタ3の蓄電電圧が入力される。蓄電管理部110は、コンバータ4から入力したキャパシタ3の蓄電電圧と、メインコントローラ100内の記憶装置(不図示)に記憶された許容充電電力マップとに基づいて、キャパシタ3の許容充電電力を算出する。
油圧要求演算部120は、油圧ポンプ9の油圧要求出力Pwr_pmp_reqを演算する。油圧要求演算部120には、リフトレバーおよびバケットレバー、すなわち操作装置31からレバー信号が入力され、油圧ポンプ9とコントロールバルブ11との間に設けられた圧力センサ(不図示)からポンプ圧ppmpが入力される。なお、説明を簡略化するため、ステアリングホイールの操作およびステアリングシリンダ12の動作については演算に含めないものとする。
Pwr_pmp_req=qpmp_req・ppmp…(1)
なお、説明を簡略化するため、油圧ポンプ9の効率は考慮しないものとし、以下の計算式においても同様に油圧ポンプ9の効率は含まれない。
走行要求演算部130は、走行時に走行電動機7F,7Rに要求されるトルクである走行要求トルクTrq_reqを(2)式に基づいて算出して出力し、走行時に走行電動機7で消費または発生(回生)される電力である走行要求出力Pwr_drv_reqを(3)式に基づいて算出して出力する。このとき、走行要求演算部130は、メインコントローラ100の記憶装置(不図示)に記憶されたアクセル要求トルクマップを用いて演算を行う。
Trq_req=sign(VFNR)・Trq_acc−sign(Nmot)・Kbrk・Vbrk
…(2)
ただし、signは符号関数であり、引数が正の場合は1を、負の場合は「−1」を、0の場合は「0」を返すものとする。さらに、前後進スイッチ信号VFNRは、前後進スイッチ292が前進方向の場合は「1」を、後進方向の場合は「−1」を、中立の場合は「0」を示す。Kbrkは比例定数であり、ブレーキペダル291aの操作によって過不足のない減速が得られるように予め設定されている。
Pwr_drv_req=VDC・IDC_mot…(3)
(3)式によれば、回生運転時の走行要求出力Pwr_drv_reqは負の値をとる。
出力管理部140には、エンジンコントローラ2からのエンジン回転数Nengと、蓄電管理部110からの許容充電電力Pwr_chg_maxと、油圧要求演算部120からの油圧要求出力Pwr_pmp_reqと、走行要求演算部130からの走行要求出力Pwr_drv_reqとが入力される。
出力管理部140は、(4)に基づいて余剰電力Pwr_supを算出する。また、(5)式に基づいて傾転角増加指令dDpmpを算出して出力し、(6)式に基づいて回生電力低減指令dPwr_mot_tを算出して出力し、(8)式に基づいて発電出力指令Pwr_gen_tを算出して出力し、(9)式に基づいてエンジン出力指令Pwr_eng_tを算出して出力する。
なお、出力管理部140は、エンジン回転数を受信して演算に用いているが、エンジン1、発電電動機5および油圧ポンプ9が機械的に接続されているため、エンジン回転数に代えて発電電動機5および油圧ポンプ9の回転数をセンサ等を介して適宜受信して演算に用いてもよい。
出力管理部140は、走行要求演算部130で(3)式で算出した走行要求出力Pwr_drv_reqを受信する。この走行要求出力Pwr_drv_reqが0以上であれば、出力管理部140はハイブリッド式作業車両200が力行運転中と判断し、走行要求出力Pwr_drv_reqが負であればハイブリッド式作業車両200が回生運転中と判断する。ハイブリッド式作業車両200が回生運転中と判断すると、出力管理部140は、蓄電管理部110からの許容充電電力Pwr_chg_maxと、走行要求演算部130からの走行要求出力Pwr_drv_reqとを用いて、以下の式(4)により、余剰電力Pwr_supを算出する。
Pwr_sup=max(|Pwr_drv_req|−Pwr_chg_max,0)…(4)
すなわち、出力管理部140は、式(4)で算出される余剰電力Pwr_supから以下のことを判定することができる。
(a)余剰電力Pwr_supが0のときに回生電力でキャパシタ3を充電することができる。(b)余剰電力Pwr_supが0ではないときには、回生電力でキャパシタ3を充電することができないので、発電電動機5を電動モードで駆動して回生電力を消費する。
出力管理部140は、ハイブリッド式作業車両200が回生運転中と判断すると、エンジン1の回転数Nengが第1設定閾値Neng_th1以下であるか、さらに第2設定閾値Neng_th2以下であるかを判定する。ここで、第1設定閾値Neng_th1および第2設定閾値Neng_th2は、「エンジン1のアイドル回転数<第1設定閾値Neng_th1<第2設定閾値Neng_th2<min(エンジン1の最高回転数、油圧ポンプ9の最高回転数)」を満たすように設定されている。第1設定閾値Neng_th1および第2設定閾値Neng_th2は、メインコントローラ100の記憶装置に記憶され、必要に応じて適宜再設定が可能である。なお、エンジン1の回転数に代えて、発電電動機5の回転数を用いても良いし、油圧ポンプ9の回転数を用いても良い。
以上のように、この実施の形態のハイブリッド作業車両200ではエンジン1の運転モードを以下の4つのモードに分類している。
回生運転時は、低回転モードと、回転抑制モードと、高回転モードに分類し、力行運転時は、通常モードに分類する。
出力管理部140は、油圧要求演算部120で(1)式から算出された油圧要求出力Pwr_pmp_reqに基づいて、ステアリングシリンダ12、リフトシリンダ13およびバケットシリンダ14のいずれが動作中であるかを判定する。油圧要求出力Pwr_pmp_reqが、たとえばポンプ圧力×最小吐出流量で算出される設定値以上であれば、出力管理部140はステアリングシリンダ12、リフトシリンダ13およびバケットシリンダ14が動作中であると判定する。
さらに、出力管理部140は、以下の3つの条件(i)〜(iii)を満たす場合に、油圧ポンプ9の傾転角を増加するための傾転角増加指令dDpmp_tを下記(5)式にしたがって算出する。
(i)ハイブリッド式作業車両200が回生運転中と判定されている。
(ii)回生運転時に余剰電力で発電電動機5が駆動されているとき、ステアリングシリンダ12、リフトシリンダ13およびバケットシリンダ14のいずれも動作中でないと判定されている。
(iii)エンジン1が回転抑制モードまたは高回転モードと判定されている。
dDpmp_t=max{KnD(Neng−Neng_th1),0}…(5)
ただし、KnDは、第1設定閾値Neng_th1と実回転数Nengの差から傾転角増加指令を算出する比例定数であり、あらかじめメインコントローラ100に記憶されている。
また、力行運転中と判定された場合には、出力管理部140は傾転角増加指令dDpmp_tを0に設定する。さらに、回生運転中、回生電力の全量がキャパシタ3に充電することができず余剰電力が0でなく、かつ、油圧ポンプ9の負荷が小さいときには、出力管理部140は、(5)式で算出された傾転角増加指令dDpmp_tを出力する。その結果、油圧ポンプ9の傾転角が大きくなって余剰電力の消費量が増加する。
出力管理部140は、走行電動機7F,7Rの余剰電力で発電電動機5が駆動され、かつエンジン1が高回転モードと判定された場合、走行電動機7F,7Rが発電する回生電力を低減するための回生電力低減指令値dPwr_mot_tを算出する。出力管理部140は、エンジンコントローラ2から入力されたエンジン回転数Nengと、第2設定閾値Neng_th2とを用いて、以下の式(6)により回生電力低減指令値dPwr_mot_tを算出する。
dPwr_mot_t=max{KnP(Neng−Neng_th2),0}…(6)
なお、式(6)において、KnPは、第2設定閾値Neng_th2と実エンジン回転数Nengとの差から回生電力低減指令を算出する比例定数である。
エンジン1が通常モード、低回転モード、回転抑制モードのいずれかの場合には、出力管理部140は回生電力低減指令値dPwr_mot_tを0に設定する。
この回生電力低減指令制御は、エンジン1の回転数が高速域で走行しているときに、例えば、アクセルペダル290aを解放して作業車両200が回生運転に入るような場合は、走行電動機7F,7Rも高速域で運転されおり、発電量が大きくなりすぎることを防止するために行われる。
出力管理部140は、ハイブリッド式作業車両200が回生運転中であると判定した場合に、走行電動機7F,7Rで発生する回生電力のうち発電電動機5で消費すべき電力である消費電力Pwr_cnsを算出する。出力管理部140は、算出した余剰電力Pwr_supと、算出した回生電力低減指令dPwr_mot_tとを用いて、以下の式(7)から消費電力Pwr_cnsを算出する。
Pwr_cns=max(Pwr_sup−dPwr_mot_t,0)…(7)
ただし、出力管理部140は、ハイブリッド式作業車両200が力行運転中と判定した場合には、消費電力Pwr_cnsを0に設定する。
すなわち、出力管理部140は、回生運転時にのみ、(7)式により消費電力Pwr_cnsを算出する。
Pwr_gen_t=max(Pwr_drv_req,0)−Pwr_cns …(8)
力行運転時、消費電力Pwr_cnsは0に設定され、また、走行要求出力Pwr_drv_reqは正の値をとるので、(8)式の発電出力指令Pwr_gen_tは、(3)式で算出される走行要求出力Pwr_drv_reqとなる。一方、回生運転時、走行要求出力Pwr_drv_reqは負の値をとるので、(8)式の発電出力指令Pwr_gen_tは、(7)式で算出される消費電力Pwr_cnsとなる。
換言すると、力行時の発電出力指令Pwr_gen_tは走行要求出力Pwr_drv_reqであり、回生時の発電出力指令Pwr_gen_tは消費電力Pwr_cnsであり、負の値をとる。
Pwr_eng_t=Pwr_pmp_req+Pwr_gen_t…(9)
力行運転時、出力管理部140が算出するエンジン出力指令Pwr_eng_tは、ポンプ要求流量qpmp_reqとポンプ圧力ppmpとの積である油圧要求出力Pwr_pmp_req((1)式で算出される)に、(8)式で算出した走行要求出力Pwr_drv_reqである発電出力指令Pwr_gen_tを加算したものとなる。
回生運転時、出力管理部140が算出するエンジン出力指令Pwr_eng_tは、ポンプ要求流量qpmp_reqとポンプ圧力ppmpとの積である油圧要求出力Pwr_pmp_req((1)式で算出される)に、(7)式で算出した消費電力Pwr_cnである発電出力指令Pwr_gen_tを加算したものとなる。
換言すると、力行時のエンジン出力指令Pwr_eng_tは油圧要求出力Pwr_pmp_reqに走行要求出力Pwr_drv_reqを加算したものであり、回生時のエンジン出力指令Pwr_eng_tは油圧要求出力Pwr_pmp_reqから消費電力Pwr_cnsを減算したものである。
目標回転数演算部150は、エンジンコントローラ2に送信するエンジン回転数指令Neng_tを算出する。目標回転数演算部150は、出力管理部140で式(9)から算出されたエンジン出力指令Pwr_eng_tに基づいて、エンジン等燃費マップを用いて、最もエンジン効率が高くなる動作点を算出する。そして、目標回転数演算部150は、算出した動作点でのエンジン回転数をエンジン回転数指令Neng_tとする。エンジンコントローラ2は、エンジン回転数指令Neng_tを目標回転数演算部150から受信すると、そのエンジン回転数指令が示すエンジン回転数でエンジン1を回転させる。
発電電動機制御部160には、エンジンコントローラ2からのエンジン回転数Nengと、出力管理部140からの発電出力指令Pwr_gen_tと、目標回転数演算部150からのエンジン回転数指令Neng_tとが入力される。発電電動機制御部160は、これらの値を用いて、以下の式(10)によって発電電動機トルク指令Trq_gen_tを算出する。
Trq_gen_t=max{Kp(Neng_t−Neng),0}
−(Pwr_gen_t/Neng) …(10)
ただし、Kpは、エンジン回転数Nengとエンジン回転数指令Neng_tとの差から発電電動機トルクを算出する比例定数である。
そして、発電電動機制御部160は、算出した発電電動機トルク指令Trq_gen_tを発電インバータ6へ送信する。これにより、発電電動機5が駆動制御される。
力行運転時、エンジン回転数指令Neng_tはエンジン回転数Nengより大きい。したがって、力行運転時、発電電動機制御部160は、Kp(Neng_t−Neng)で求めた要求トルクから、エンジン出力指令Pwr_eng_tをエンジン回転数Nengで除して得られるトルクを減算することにより、発電電動機トルク指令Trq_gen_tを算出する。力行運転時のエンジン出力指令Pwr_eng_tは、油圧要求出力Pwr_pmp_reqに走行要求出力Pwr_drv_reqを加算したものである。
一方、回生運転時、エンジン回転数指令Neng_tはエンジン回転数Nengより小さい。また、回生時のエンジン出力指令Pwr_eng_tは油圧要求出力Pwr_pmp_reqから消費電力Pwr_cnsを減算したものである。したがって、回生運転時に発電電動機制御部160が算出する発電電動機トルク指令Trq_gen_tは、油圧要求出力Pwr_pmp_reqから消費電力Pwr_cnsを減算した値をエンジン回転数Nengで除して得られるトルクとなる。
傾転角制御部170は、下記の式(11)に基づいて傾転角制御信号VDp_tを算出して、この傾転角制御信号に基づいて油圧ポンプ9の図示しないレギュレータを駆動することによって、油圧ポンプ9の傾転角、すなわち容量を制御する。傾転角制御部170は、エンジンコントローラ2からのエンジン回転数Nengと、油圧要求演算部120からのポンプ要求流量qpmp_reqと、出力管理部140からの傾転角増加指令dDpmp_tとを用いて、以下の式(11)によって傾転角制御信号VDp_tを算出する。
VDp_t=KDp{(qpmp_req/Neng)+dDpmp_t}…(11)
なお、KDpは、油圧ポンプの傾転角を目標値とするために必要な傾転制御信号を算出するための比例定数である。
また、力行運転中と判定された場合には、出力管理部140は傾転角増加指令dDpmp_tを0に設定する。さらに、回生運転中、回生電力の全量がキャパシタ3に充電することができず余剰電力が0でなく、かつ、油圧ポンプ9の負荷が小さいときには、出力管理部140は、(5)式で算出された傾転角増加指令dDpmp_tを出力する。その結果、油圧ポンプ9の傾転角が大きくなって余剰電力の消費量が増加する。
走行電動機・ブレーキ制御部180には、走行要求演算部130で(2)式から算出された走行要求トルクTrq_reqと、モータ回転数センサ22からの走行電動機回転数Nmotと、出力管理部140で(6)式から算出された回生電力低減指令dPwr_mot_tとが入力されている。走行電動機・ブレーキ制御部180は、これらの値を用いて、以下の式(12)によって走行電動機トルク指令Trq_mot_tを算出する。
Trq_mot_t=sign(Trq_req)・max{|Trq_req|−
(dPwr_mot_t)/|Nmot|,0} …(12)
ただし、signは符号関数であり、引数が正の場合は1を、負の場合は「−1」を、0の場合は「0」を返すものとする。
Trq_brk_t=max{−sign(Nmot)・(Trq_req−Trq_mot_t),0}
…(13)
ただし、signは符号関数であり、引数が正の場合は1を、負の場合は「−1」を、0の場合は「0」を返すものとする。
一方、回生制動運転中は、走行要求トルクTrq_reqと走行電動機トルク指令Trq_mot_tはともに負である。したがって、走行要求トルクTrq_reqの絶対値が走行電動機トルク指令Trq_mot_tの絶対値よりも大きい場合、走行電動機が正転していれば、(Trq_req−Trq_mot_t)が正なので、最大値としてゼロが選択され、制動トルク指令Trq_brk_tはゼロとなる。また、走行電動機が逆転していれば、(Trq_req−Trq_mot_t)が正なので、最大値として(Trq_req−Trq_mot_t)が選択される。
走行電動機・ブレーキ制御部180で演算された制動トルク指令Trq_brk_tから次式(14)を用いてブレーキ制御信号Vbrk_tを演算する。
Vbrk_t=Kbrk・Trq_brk_t …(14)
ただし、Kbrkは、制動トルク指令Trq_brk_tと油圧ブレーキの実際の制動トルクが一致するように予め設定された比例定数である。
ブレーキ制御信号Vbrk_tに基づいて油圧ブレーキ制御弁31a,31bが駆動され、油圧ブレーキ35a,35bが車輪18を制動する。これが回生協調時の機械的ブレーキ力である。
以下、メインコントローラ100により行われる処理について詳細に説明する。以下の説明は、ハイブリッド式作業車両200が力行運転中の場合と、回生運転中の場合とに分けて行う。
力行運転時に走行電動機・ブレーキ制御部180から出力される走行電動機トルク指令Trq_mot_tを説明する。上述したように、走行電動機トルク指令Trq_mot_tは式(12)から算出される。力行運転時、走行電動機・ブレーキ制御部180は、走行電動機トルク指令Trq_mot_tとして、走行要求トルク指令Trq_reqを出力する。走行用インバータ8F,8Rはこの走行要求トルク指令Trq_reqにより駆動され、走行電動機7F,7Rは要求されたトルクを出力する。
回生時に走行電動機・ブレーキ制御部180から出力される走行電動機トルク指令Trq_mot_tを説明する。上述したように、走行電動機トルク指令Trq_mot_tは式(12)から算出される。回生時、走行要求トルクTrq_reqは負であり、回生電力低減指令dPwr_mot_tが所定値となる。走行要求トルクの絶対値|Trq_req|から、回生電力低減指令dPwr_mot_tを走行電動機回転数Nmotの絶対値で除して求めた回生電力低減トルクを減算した値の負の値が走行電動機トルク指令Trq_mot_tとなる。これが回生制動トルクである。インバータ8F,8Rはこの回生制動トルク指令に基づいて駆動され、走行電動機7F,7Rからの回生電力を取り出し、発電機インバータ6により発電電動機6を駆動制御する。また、充電可能なときはキャパシタ3を充電する。
エンジン1が低回転モードの場合、すなわちエンジン1の回転数Nengが第1設定閾値Neng_th1以下の場合、出力管理部140は、余剰電力Pwr_supと、回生電力低減指令値dPwr_mot_tとを用いて、上記の式(7)から消費電力Pwr_cnsを算出する。上述したように、エンジン1が低回転モードの場合には、出力管理部140は回生電力低減指令値dPwr_mot_tを0に設定するので、低回転モードの場合には、余剰電力Pwr_supが消費電力Pwr_cnsとなる。
エンジン1が回転抑制モードの場合、出力管理部140は、ステアリングシリンダ12、リフトシリンダ13およびバケットシリンダ14のいずれも動作中でなければ傾転角増加処理を行った後、上記の式(7)から消費電力Pwr_cnsを算出する。傾転角増加処理では、出力管理部140は、エンジン回転数Nengと、第1設定閾値Neng_th1とを用いて、上記の式(5)により傾転角増加指令dDpmp_tを算出する。そして、出力管理部140は、低回転モードの場合と同様に上記の式(7)から消費電力Pwr_cnsを算出する。上述したように、エンジン1が回転抑制モードの場合には、出力管理部140は回生電力低減指令値dPwr_mot_tを0に設定するので、回転抑制モードの場合においても、余剰電力Pwr_supが消費電力Pwr_cnsとなる。
エンジン1が高回転モードの場合、出力管理部140は、回生電力低減処理を行った後、上記の式(7)から消費電力Pwr_cnsを算出する。回生電力低減処理では、出力管理部140は、エンジン回転数Nengと、第2設定閾値Neng_th2とを用いて、上記の式(6)により回生電力低減指令値dPwr_mot_tを算出する。なお、高回転モードの場合であっても、出力管理部140は、ステアリングシリンダ12、リフトシリンダ13およびバケットシリンダ14のいずれも動作中でなければ、回転抑制モードの場合と同様に傾転角増加処理を行う。
(1)通常走行時、すなわちアクセルペダル290aの踏み込みによりクリープ速度(たとえば1km/h)よりも高速で走行中にブレーキペダル291aが踏込操作された場合
(2)坂道発進等の低速時、すなわちクリープ速度で走行中にブレーキペダル291aが踏込操作された場合
なお、この実施形態では、インチング装置295をオフにしたノーインチング状態であることを前提に説明する。
メインコントローラ100は、アクセルペダル290aからアクセル信号を入力し、ブレーキペダル291aからブレーキ信号を入力すると、ハイブリッド式作業車両200の走行速度がクリープ速度よりも高速であるか否かを判定する。この場合、メインコントローラ100は、速度センサ21から入力した速度信号に基づいて、ハイブリッド式作業車両200の走行速度を算出する。そして、ハイブリッド式作業車両200の走行速度がクリープ速度よりも高速の場合、メインコントローラ100は、アクセルペダル290aの踏込量(操作量)などに基づきトルク制御を行うとともに、ブレーキペダル291aの踏込量(操作量)に応じたブレーキ制御を行う。
速度信号に基づいて算出したハイブリッド式作業車両200の走行速度がクリープ速度以下の場合、メインコントローラ100はアクセルペダル290aの踏込量に関わらず、ハイブリッド式作業車両200の走行速度をクリープ速度に制御する。換言すると、メインコントローラ100は、ハイブリッド式作業車両200の目標走行速度をたとえば1km/hに制御する。
なお、クリープトルクは、一般的な路面の平坦路においてハイブリッド式作業車両200がクリープ速度で走行可能な値として定められている。
ステップS2では、アクセルペダル290aの踏み込みの有無が判定される。肯定されるとステップS3に進む。ステップS3では、ブレーキペダル291aの踏込操作の有無を判定する。ブレーキペダル291aが踏込操作されていない場合、すなわち、ステップS1においてブレーキペダル踏込量センサ291からブレーキ信号を入力していない場合には、ステップS3が否定判定されてステップS9へ進む。ステップS9では、トルク指令値演算処理、すなわち上記の式(12)を用いて走行電動機トルク指令Trq_mot_tを算出して処理を終了する。
(1)ハイブリッド式作業車両200は、車輪18を駆動する走行電動機7F,7Rと、アクセルペダル290aの踏込量およびブレーキペダル291aの踏込量の少なくとも一方に応じた走行速度となるように走行電動機7F,7Rを制御するメインコントローラ100と、走行速度を検出する速度センサ21とを備える。そしてメインコントローラ100は、アクセルペダル290aとブレーキペダル291aとが踏込操作されているときに速度センサ21により検出された走行速度が目標走行速度であるクリープ速度以下の場合、アクセルペダル290aの踏込量に関わらず、走行速度が所定の目標走行速度であるクリープ速度となるように走行電動機7F,7Rを制御するようにした。
以上の速度制御を行うため、ハイブリッド式作業車両200は、以下の機能を有するメインコントローラ100を備えている。すなわち、メインコントローラ100は、アクセルペダル290aが踏み込まれている第1条件と、ブレーキペダル291aが踏み込まれている第2条件と、車速が所定値以下である第3条件の全てが成立したときに、ブレーキ引きずり制御条件が成立したと判定する条件判定機能部と、ブレーキ引きずり制御条件が成立していることが判定されているときは、アクセルペダル踏込量に拘わらず、車速が所定の目標値になるように走行電動機を駆動制御するとともに、ブレーキ引きずり制御条件が成立していることが判定されていないときは、アクセルペダル踏込量と、ブレーキペダル踏込量と、車速とに基づいて、走行電動機の駆動を制御する電動機駆動制御機能部とを備える。
(1)低速走行時にアクセルペダル290aとブレーキペダル291aが同時に踏込操作された場合の速度制御として、走行速度をクリープ速度に設定するものとして説明した。クリープ速度は、平坦路においてアクセルペダル290aとブレーキペダル291aがともに操作されていないときに作業車両200が走行する速度である。勾配が10度以上30度未満の所定勾配の登坂路での坂道発進時に、ブレーキペダル291aとアクセルペダル290aの双方を踏み込まない状態で車両が1km/hで走行するようなトルクを付与してもよい。
また、ハイブリッド制御処理を行う構成も実施形態に限定されない。
22 モータ回転数センサ 100 メインコントローラ
130 走行要求演算部 140 出力管理部
150 目標回転数演算部 160 発電電動機制御部
180 走行電動機・ブレーキ制御部 290 アクセルペダル踏込量センサ
291 ブレーキペダル踏込量センサ 292 前後進スイッチ
293 インチング操作部材 295 インチング装置
Claims (6)
- 蓄電装置と、
エンジンによって駆動される発電電動機と、
前記発電電動機によって駆動され圧油を吐出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから供給される圧油によって駆動される油圧駆動装置と、
前記蓄電装置および前記発電電動機の少なくとも一方からの電力で駆動されて車輪に走行駆動力を与える走行電動機と、
車速を検出する車速検出手段と、
アクセルペダルの踏込量を検出するアクセル検出手段と、
ブレーキペダルの踏込量を検出するブレーキ検出手段と、
前記アクセル検出手段で検出されたアクセルペダル踏込量により前記アクセルペダルが踏み込まれている第1条件と、前記ブレーキ検出手段で検出されたブレーキペダル踏込量により前記ブレーキペダルが踏み込まれている第2条件と、前記車速検出手段で検出された車速が所定値以下である第3条件の全てが成立したときに、ブレーキ引きずり制御条件が成立したと判定する条件判定手段と、
前記ブレーキ引きずり制御条件が成立していることが前記条件判定手段で判定されているときは、前記検出されたアクセルペダル踏込量に拘わらず、車速が所定の目標値になるように前記走行電動機を駆動制御するとともに、前記ブレーキ引きずり制御条件が成立していることが前記条件判定手段で判定されていないときは、前記アクセル検出手段で検出されたアクセルペダル踏込量と、前記ブレーキ検出手段で検出されたブレーキペダル踏込量と、車速検出手段で検出された車速とに基づいて、前記走行電動機の駆動を制御する電動機駆動制御手段とを備えるハイブリッド式作業車両。 - 請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、
前進と後進を指示する前後進指示部材をさらに備え、
前記ブレーキ引きずり制御条件が成立していることが前記条件判定手段で判定されているとき、前記電動機駆動制御手段は、車両の走行方向と前記前後進指示部材で指示された走行方向とが異なるとき、前記走行電動機の出力トルクを増加させるハイブリッド式作業車両。 - 請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、
前記電動機駆動制御手段は、前記走行電動機が要求する出力に応じて、前記エンジンの出力を制御し、さらに、前記発電電動機に発電を行なわせ、その発電電力で前記走行電動機を駆動するハイブリッド式作業車両。 - 請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、
前記所定の車速の目標値は、前記アクセルペダルとブレーキペダルが踏み込まれないときに前記走行電動機により走行する際のクリープ速度であるハイブリッド式作業車両。 - 請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、
前記走行電動機と車輪との間で伝達される走行駆動トルクを制御するインチング装置と、
前記インチング装置をオンするオン位置と、オフするオフ位置とに切り替わるインチング操作部材とを有し、
前記条件判定手段は、前記第1〜第3条件に加えて、前記インチング操作部材がオフ位置に操作されている第4条件が成立していると判定すると、前記ブレーキ引きずり制御条件が成立したと判定するハイブリッド式作業車両。 - 請求項5に記載のハイブリッド式作業車両において、
前記インチング操作部は、前記オン位置、オフ位置に加えて、中間位置を有し、
前記インチング操作部が前記中間位置に切り替えられているとき、
前記インチング装置による前記走行駆動トルクの伝達力を0%〜100%の間で任意に設定するハイブリッド式作業車両。
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