JP2015061765A - インクジェット記録方法及び記録物 - Google Patents

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Abstract

【課題】被記録媒体へのインク組成物の定着性低下、インクジェットヘッドにおける目詰まり、及び、被記録媒体に形成された画像の濃度ムラの全てを抑制できるインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】搬送ベルト130に形成された開口部130Aを経由する減圧吸引により被記録媒体101を搬送ベルトに吸引吸着して搬送しながら、被記録媒体に、顔料、保湿剤及び所定量の水を含み、保湿剤は、(A)グリセリン等、(B)トリメチロールプロパン等、及び(C)ベタイン類等の化合物が混合されたものであって、その含有量の質量比が(A):(B):(C)=(1.0):(0.1〜1.0):(1.0〜3.0)であるインク組成物を着弾させて画像を形成する。【選択図】図3

Description

本発明は、インクジェット記録方法及び記録物に関する。
インクジェット記録方法は、インクジェットヘッドからインクの液滴を飛翔させ、紙等の被記録媒体に着弾させて印刷を行う記録方法である。近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、これまで写真やオフセット印刷の分野であった高精細な画像記録(印刷)にもインクジェット記録方法を用いられるようになってきている。
このインクジェット記録方法に使用するインク(インク組成物)は、インクジェットヘッドから微細なインク滴を吐出、制御するための適正なインク物性値にあることが必要となり、特に粘度については、一般的な印刷用インク組成物と比較して低粘性であることが好ましい。その方法のひとつとして、高含水量のインク(水性インク)が広く使用されている。
そのような水性インク組成物として、例えば特許文献1には、着色剤と、水と、水溶性の有機溶剤と、カルバジド系化合物及び/又はヒドラジド系化合物を少なくとも一種以上と、を含んでなり、前記有機溶剤は、少なくとも0〜40℃の温度範囲において液体であって、温度20℃における水に対する溶解度が1重量%以上であり、温度20℃における飽和蒸気圧が1.7Pa以下であり、かつ、前記有機溶剤は、インク組成物中、10重量%以上、35重量%以下含有されてなるインク組成物が開示されている。
また、特許文献2には、カルボキシル基を有する不飽和単量体、炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基を有する不飽和単量体を5質量%以上及び芳香環を有する不飽和単量体を15質量%以上含有する単量体成分を共重合して得られる酸価70〜130mgKOH/gの自己水分散性共重合体樹脂、顔料、トリメチルグリシン、グリセリン、塩基性化合物並びに水を含有する水性顔料型インクジェット用インク組成物であって、トリメチルグリシンの添加量が水性顔料型インクジェット用インク組成物全量に対して0.1〜15質量%の範囲であり、且つグリセリンの添加量とトリメチルグリシンの添加量とを1:1〜100:1の比で、トリメチルグリシン及びグリセリンの合計添加量が水性顔料型インクジェット用インク組成物全量に対して10〜30質量%の範囲であることを特徴とする水性顔料型インクジェット用インク組成物が開示されている。
さらに、特許文献3には、ブラックインク組成物とカラーインク組成物とを少なくとも含む二種以上のインク組成物を含んでなるインクセットであって、前記ブラックインク組成物が、その表面に親水基を有する自己分散型顔料を含んでなり、前記カラーインク組成物が、その表面にフェニル基を介して親水基を有する自己分散型顔料を含んでなるものであり、かつ、すべてのインク組成物が樹脂エマルジョンを含んでなるインクセットが開示されている。
特開2002−294117号公報 特開2003−238853号公報 特開2009−256606号公報
ところで、複写機等を用いる記録方法には、被記録媒体を搬送すると共に、記録ヘッドを上記搬送の方向に対して固定した状態で印刷を行う方法があり、その被記録媒体の搬送には搬送ベルトを用いる場合がある。さらに、搬送ベルトに被記録媒体を離脱可能に固定した状態で搬送するために、搬送ベルトに形成された開口部を経由する減圧吸引により被記録媒体を搬送ベルトに吸引吸着して搬送する方法がある。この方法によると、搬送ベルトを介して一方の側に設置された吸引ファンなどの吸引手段を作動させることにより、搬送ベルトの開口部を通じて、その一方の側に他方の側から吸引することで、他方の側にある被記録媒体を吸引して搬送ベルトに吸着させる。これにより、被記録媒体を搬送ベルトに固定した状態で搬送することができる。また、被記録媒体が搬送ベルトにより搬送され、吸引手段により吸引されないところまで移動すれば、被記録媒体を搬送ベルトから離脱でき、次の工程に進むことが可能となる。
ところが、本発明者らが、その記録方法をインクジェット記録方法に適用することについて詳細に検討したところ、上記特許文献1〜3に開示された従来のインク組成物を用いると、下記の不具合を生じてしまうことが判明した。すなわち、それらのインク組成物は、その開示範囲で組成を適宜調整したとしても、被記録媒体へのインク組成物の定着性低下、インクジェットヘッドにおけるノズル近傍での目詰まり、及び、被記録媒体に形成された画像の濃度ムラのいずれか一つ以上を抑制できないことが明らかになった。
そこで、本発明は上記事情にかんがみてなされたものであって、被記録媒体へのインク組成物の定着性低下、インクジェットヘッドにおける目詰まり、及び、被記録媒体に形成された画像の濃度ムラの全てを抑制できるインクジェット記録方法及び記録物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特に被記録媒体に形成された画像の濃度ムラ(以下、単に「画像濃度ムラ」ともいう。)が、上述の、吸引吸着して搬送する方法に起因することを見出した。本発明者らが更に検討を進めたところ、その画像濃度ムラを解消しようと従来のインク組成物の開示範囲で組成を適宜調整しても、被記録媒体へのインク組成物の定着性低下(以下、単に「定着性低下」ともいう。)、及びインクジェットヘッドにおける目詰まり(以下、単に「目詰まり」ともいう。)の少なくとも一方を抑制できなくなることを知見した。そして、これらの全てを抑制するためのインク組成物について詳細に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、搬送ベルトに形成された開口部を経由する減圧吸引により被記録媒体を搬送ベルトに吸引吸着して搬送しながら、被記録媒体に画像を形成する工程を有するインクジェット記録方法であって、上記形成する工程において、画像は、被記録媒体の搬送ベルト側とは反対側の印刷面にインク組成物を着弾することにより形成され、インク組成物は、少なくとも、顔料、保湿剤及びインク組成物全量中60質量%〜10質量%の水を含み、保湿剤は、下記(A)、(B)及び(C)の化合物が混合されたものであって、その含有量の質量比が(A):(B):(C)=(1.0):(0.1〜1.0):(1.0〜3.0)であるインクジェット記録方法を提供する。ここで、(A)の化合物は、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。また、(B)の化合物は、トリメチロールプロパン及びトリメチロールエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。さらに、(C)の化合物は、ベタイン類、糖類及び尿素類からなる群より選ばれ、かつ分子量が100〜200の範囲にある、少なくとも1種以上の化合物である。
このようなインクジェット記録方法によると、水の含有量、並びに、保湿剤の種類及びその含有量の質量比に主に起因して、インク組成物中での固形分の析出及び固形分の凝集を防止できるため、目詰まりを抑制することができる。また、水の含有量に主に起因して、定着性低下の抑制も可能となる。さらに、保湿剤の種類及びその含有量の質量比に主に起因して、画像濃度ムラを抑制することができる。なお、目詰まりを抑制するのに適した性質を、以下「目詰まり適性」ともいう。
本発明のインクジェット記録方法において、(C)の化合物はベタイン類を含有すると好ましい。これにより、特に画像濃度ムラをより有効に抑制することができる。また、インク組成物は、さらに、樹脂エマルジョンを含んでなると、定着性低下を一層効果的に防止できるので好ましい。同様の観点から、樹脂エマルジョンは、最低造膜温度が20℃未満の樹脂エマルジョンであると好ましい。また、インク組成物が、その総量に対して顔料を6質量%以上含むことにより、画像における発色性が向上するので好ましい。
本発明は、上記インクジェット記録方法によって記録が行われた記録物を提供する。かかる記録物は、画像濃度ムラ及び定着性低下の両方を抑制されたものであり、しかも、目詰まりも抑制されているため、インク組成物が所望のとおりに被記録媒体に着弾し、ドット抜けなどの少ない画像が形成された記録物となる。
本発明の一例に係るインクジェット記録装置を模式的に示す概略図である。 本発明の一例に係るインクジェット記録装置の一部を概略的に示す斜視図である。 図2におけるIV−IV線で切断して現れる断面を概略的に示す断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態のインクジェット記録方法は、搬送ベルトに形成された開口部を経由する減圧吸引により被記録媒体を搬送ベルトに吸引吸着して搬送しながら、被記録媒体に画像を形成する工程を有するインクジェット記録方法であって、上記形成する工程において、画像は、被記録媒体の搬送ベルト側とは反対側の印刷面にインク組成物を着弾することにより形成され、インク組成物は、少なくとも、顔料、保湿剤及びインク組成物全量中60質量%〜10質量%の水を含み、保湿剤は、下記(A)、(B)及び(C)の化合物が混合されたものであって、その含有量の質量比が(A):(B):(C)=(1.0):(0.1〜1.0):1.0〜3.0)である。
本実施形態のインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置は、例えば、図1、2及び3に示す構造を有する。図1は、インクジェット記録装置の特に用紙搬送部を模式的に示す概略図、図2は、その記録装置の一部を概略的に示す斜視図である。図3は、図2におけるIV−IV線で切断して現れる断面を概略的に示す断面図であり、例えば普通紙等の被記録媒体を搬送する様子を示す。
まず、図1を参照しながら説明する。一般に高速及び高密度の印刷が可能なライン型インクジェット記録装置100は、普通紙等の被記録媒体101に、インク組成物の液滴(以下、「インク滴」ともいう。)を吐出し画像を記録するためのインクジェットヘッドユニット190と、インクジェットヘッドユニット190下方に被記録媒体101を搬送する搬送ベルト130と、印刷前の被記録媒体101を収納した収納カセット104と、収納カセット104から被記録媒体101を給紙する給紙ローラ105と、被記録媒体101を搬送するための一対の搬送ローラ(ゲートローラ)140と、搬送ベルト130の開口部130A(図1においては図示せず。)を経由して被記録媒体101を減圧吸引する減圧吸引部210と、被記録媒体101を排出するための一対の排出ローラ150と、印刷された被記録媒体101を収納する排紙カセット106と、制御部111と、給紙される被記録媒体101の位置検出をする位置検出センサ109とを備えている。
インクジェットヘッドユニット190は、インクの種類に対応した複数のインクジェットヘッド110を備え、各インクジェットヘッドは、被記録媒体101の幅方向にわたって全幅に対応する多数のインク吐出ノズルを各々配列している、いわゆるラインヘッドで構成されている。
環状の搬送ベルト130は、被記録媒体101をインクジェットヘッドユニット190(印刷領域)まで搬送する。駆動ローラ180は、搬送ベルト130を駆動するものであり、従動ローラ170は、搬送ベルト130をインクジェットヘッドユニット190の吐出口に対向させながら従動するものである。駆動ローラ180は、制御部111により駆動制御されるモータ115により駆動する。また、給紙ローラ105は、収納カセット104内部の被記録媒体101を搬送ローラ140へ送り出すためのローラであり、制御部111により駆動制御されるモータ118により駆動する。
搬送ローラ140は、制御部111により駆動制御されるモータ116により駆動するローラユニットとしての駆動ローラ140Aと、駆動ローラ140Aに接触して従動する従動ローラ140Bとで構成している。排出ローラ150は、制御部111により駆動制御されるモータ117により駆動する駆動ローラ150Aと、駆動ローラ150Aに接触して従動する従動ローラ150Bとで排出ローラ対を構成している。
減圧吸引部210は、吸引ファン210Aとそれを包囲する筐体210Bとで構成されている。吸引ファン210Aは制御部111により駆動制御されるモータ211により駆動し、搬送ベルト130上の被記録媒体101を減圧吸引する。
制御部111は、印刷処理(記録処理)や各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、ホストコンピュータなどからインタフェイス(IF)を介して入力される印刷データ(記録データ)をデータ格納領域に格納するあるいは各種データを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)、各部を制御する制御プログラム等を格納するPROM,EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを備えている。
位置検出センサ109は、例えば発光素子の赤外発光ダイオードと受光素子のフォトトランジスタを組み合わせた反射型フォトセンサを用いる。位置検出センサ109は、給紙ローラ105と搬送ローラ140の間の用紙搬送部に配置され、搬送される被記録媒体101の先端位置(被記録媒体101の有無)を検出して、その検出信号は制御部111に入力される。制御部111では、被記録媒体101の先端位置の検出信号に基づいて搬送ローラ140の駆動制御処理が行われる。
被記録媒体101は制御部111からの駆動信号によりモータ116が駆動することにより回転する搬送ローラ140に到達し、被記録媒体101先端が搬送ローラ140に接触することにより被記録媒体101の先端面ならびに方向が整えられ、駆動ローラ140Aと従動ローラ140Bとの間に挟まれて紙送りされ、搬送ベルト130上に送り出される。そして、搬送ベルト130によってインクジェットヘッドユニット190下方の印刷領域に搬送された被記録媒体101は、搬送ベルト130に搬送移動されながら、インクジェットヘッドユニット190のノズルからインク滴が吐出されて印刷データに基づく印刷が行われる。
被記録媒体101への印刷は、制御部111において、IFを介してホストコンピュータから入手し、RAMに格納された印刷データを、CPUにおいて所定の処理を実行して、この処理データに基づいてヘッドドライバに駆動信号が出力され、ヘッドドライバを介して駆動信号がインクジェットヘッドユニット190に入力され、駆動信号が入力された静電アクチュエータの駆動により、これに対応するノズルから、被記録媒体101にインク滴が吐出されて印刷データに基づく画像の印刷(記録)が行われる。
印刷が行われた被記録媒体101は、搬送ベルト130により排出部(排出ローラ150)に搬送される。搬送された被記録媒体101が排出ローラ150に到達すると、制御部111からの駆動信号によりモータ117が駆動されて駆動ローラ150Aが回転し、駆動ローラ150Aに接触して従動する従動ローラ150Bとの間に挟まれて紙送りされ、排紙カセット106に収納される。
次に、図2及び3を参照しながら説明する。インクジェット記録装置100はラインプリンタであり、インクジェットヘッドユニット190と、このインクジェットヘッドユニット190に相対向して下方に設けられたプラテン部120と、プラテン部120の搬送方向上流側で印刷に供する被記録媒体101を供給する媒体供給部(図示せず)と、プラテン部120の搬送方向下流側で印刷された被記録媒体101を収容する媒体受容部(図示せず)と、媒体供給部から被記録媒体101をプラテン部120上に搬送して印刷後の被記録媒体101を媒体受容部まで搬送する搬送手段160とを具備する。
インクジェットヘッドユニット190は、複数のインクジェットヘッド110を被記録媒体101の搬送方向に交差する方向に千鳥状に並設してライン印刷可能なものである。
プラテン部120は、被記録媒体101を搬送する搬送ベルト130を備え、その搬送ベルト130はプラテンベルトを兼ねるものである。搬送ベルト130は、その動作中に複数のインクジェットヘッド110に対向するよう配置され得る開口部130Aを有し、その開口部130Aは、搬送ベルト130をその厚み方向に貫通する。複数の開口部130Aは、複数のインクジェットヘッド110と同様に千鳥状に並設している。また、搬送手段160は、搬送ベルト130の搬送方向上流側及び下流側にそれぞれ、被記録媒体101を上下から狭持するように対向した一対の搬送ローラ140及び排出ローラ150を備え、それらが搬送ベルト130と共に搬送手段160を構成する。搬送ベルト130は、その上に載置された被記録媒体101を搬送方向に搬送するよう、従動ローラ170及び駆動ローラ180の回動により動作する。
搬送ベルト130の被記録媒体101を載置する部分の下方には、搬送ベルト130の開口部130Aを経由して被記録媒体101を減圧吸引する減圧吸引部210が備えられる。減圧吸引部210は、吸引ファン210Aとそれを包囲する筐体210Bとを具備する。筐体210Bの上部は、プラテン板を兼ねるため平坦な形状を有しており、かつ、吸引ファン210Aによる吸引を可能にするために、複数の開口部210Cを有する。
インクジェット記録装置100に具備される上記以外の構成は、従来公知の構成であってもよい。
インクジェット記録装置100の動作、すなわち、インクジェット記録方法は下記のとおりである。まず、搬送手段160、すなわち、搬送ベルト130、搬送ローラ140及び排出ローラ150を作動させて、被記録媒体101を媒体供給部からプラテン部120に向けて搬送方向に搬送する。搬送ベルトに被記録媒体101が載置されたら、吸引ファン210Aを作動させて、開口部130A、210Cを経由して被記録媒体101を減圧吸引する。これにより、被記録媒体101をその下面(裏面)側から搬送ベルト130に吸引吸着して、搬送ベルト130上に固定した状態で載置する。被記録媒体101がインクジェットヘッド110の下方まで搬送されたら、そのインクジェットヘッド110のノズルからインク組成物の液滴を吐出し、飛翔させて、被記録媒体101の印刷面(上面)に着弾させる。こうして、被記録媒体101に画像を形成する。そして、画像が形成された(印刷された)被記録媒体101を、インクジェットヘッドユニット190の下流にある媒体受容部に更に搬送する。
なお、図示から明らかなとおり、インクジェット記録装置100は、減圧吸引部210の上方でのみ、被記録媒体101を搬送ベルト130に吸引吸着するような構成を有しいている。そのため、被記録媒体101は、減圧吸引部210の搬送方向上下流では搬送ベルト130に吸引吸着されないので、従動ローラ170及び駆動ローラ180の外周における搬送ベルト130に巻き付かず、その円滑な搬送が可能となる。
本実施形態におけるインクジェット記録方式は、インク組成物を微細なノズルより液滴(インク滴)として吐出して、その液滴を被記録媒体に着弾、付着させる方式である。具体的に以下に説明する。
第一の方法としては、静電吸引方式があり、この方式はノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印可し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、その液滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、あるいはインクの液滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式である。
第二の方法としては、小型ポンプで液状のインク組成物に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインクの液滴を噴射させる方式である。噴射された液滴は噴射と同時に帯電させ、その液滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
第三の方法は圧電素子を用いる方式であり、液状のインク組成物に圧電素子で圧力と印刷情報信号とを同時に加え、インクの液滴を噴射・記録させる方式である。
第四の方式は熱エネルギーの作用により液状のインク組成物を急激に体積膨張させる方式であり、インク組成物を印刷情報信号に従って微小電極で加熱発泡させ、その液滴を噴射・記録させる方式である。
以上のいずれの方式も本実施形態のインクジェット記録方法に採用することができる。
上述の搬送ベルト130を用いる場合、吸引ファン210Aを作動させて、その開口部130Aを経由して、搬送ベルト130に載置された被記録媒体101を下方に吸引することにより、被記録媒体101を搬送ベルト130に密着する。そのため、普通紙等、被記録媒体101が多少なりとも通気性を備えるものであると、搬送ベルト130の開口部130A上にある被記録媒体101の部分では、被記録媒体101に付着したインク組成物がその裏側(下側)に向かって吸い込まれやすい。その一方で、開口部130A上以外にある被記録媒体101の部分では、付着したインク組成物が吸い込まれ難い。従来、前者のインク組成物は、被記録媒体101内部に吸引されることにより速やかに浸透すると共に、吸い込みに伴う気流の発生により速やかに乾燥する。それと対比して、後者のインク組成物は、浸透及び乾燥する速度は遅い。従来において、このように被記録媒体101に付着したインク組成物の浸透速度及び乾燥速度が、搬送ベルト130上に載置された被記録媒体101の全体に亘って均一でなくなることに起因して、画像濃度ムラが生じる。なお、インク組成物が被記録媒体に過剰に浸透して裏抜けするのを抑制するのに適した性質を、以下「裏抜け適性」という。
なお、本実施形態において、「普通紙」とは、一般に、パルプを主原料としプリンタなどに使用される紙をいい、JIS P 0001 番号6139で定義されている。具体的には、例えば、上質紙、PPCコピー紙、非塗工印刷紙などを挙げることができる。普通紙は各社から市販されているものを利用することもでき、例えば、Xerox 4200(Xerox社製)、GeoCycle(Gerogia−Pacific社製)等、種々のものを利用することができる。
次に、本実施形態のインクジェット記録方法に用いられるインク組成物について、詳細に説明する。
本実施形態に係るインク組成物は、安全性、取り扱い上の観点から、インクの主溶媒が水である水性インク組成物であることが好ましく、水はイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水を用いることが好ましい。特に紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水を用いることが、カビやバクテリアの発生を防止してインクの長期保存を可能にする点で好ましい。インクの適正な物性値(粘度等)の確保、インクの安定性及び信頼性の確保という観点で、水はインク組成物中に60質量%〜10質量%含まれることが好ましい。
インク組成物に含まれる水の含有量を上記の範囲に規定することにより、普通紙中のセルロースに吸収される水分量が従来のインク組成物よりも少なくなる結果、コックリングやカールの原因と考えられているセルロースの膨潤を抑制することができる。以下、コックリング又はカールを抑制するのに適した性質を、それぞれ「コックリング適性」、「カール適性」ともいう。
水分含有量が10質量%未満の場合は、被記録媒体への定着性が低下する場合がある。一方、水分含有量が60質量%を超える場合は、従来の水性インク組成物と同様、インク吸収性が乏しい紙支持体の吸収層を有する被記録媒体に対して印刷する際に、コックリングやカールが発生しやすい。
インクの10℃〜40℃の温度範囲における粘度は、インクに含まれる着色剤、保湿剤、溶剤等の持つ温度特性に影響を受ける。これらの中では特に保湿剤の影響が大きく、保湿剤の種類や添加量、含有比によっては、10℃での粘度がより上がりやすく、40℃での粘度がより下がりやすい。なお、本明細書中では、10℃〜40℃での粘度差がより少ないことを、インクの温度による粘度特性に優れると表記する。
本実施形態において用いられる保湿剤は、カール、コックリング適性、裏抜け適性、目詰まり適性、インクの温度による粘度特性のバランスを適正に保つという観点から、(A)グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、(B)トリメチロールプロパン及びトリメチロールエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、(C)ベタイン類、糖類及び尿素類からなる群より選ばれ、かつ分子量が100〜200の範囲にある、少なくとも1種の化合物が混合されたものである。
(A)の保湿剤は、特に目詰まりの抑制に対して効果があり、また、カール、コックリングの抑制に対しても効果を合わせ持つ物質である。しかしながら、その優れた被記録媒体への浸透性から裏抜け適性には劣る物質である。上述の効果をより有効かつ確実に奏する観点から、(A)の保湿剤として、グリセリン及びトリエチレングリコールが好ましい。
(B)の保湿剤は、特に目詰まりの抑制に対して効果があり、また、浸透抑制効果を持つため裏抜け適性に優れる物質である。それらの効果をより有効かつ確実に奏する観点から、(B)の保湿剤として、トリメチロールプロパンが好ましい。
(A)及び(B)の保湿剤は、その物質のもつ10℃〜40℃での粘度差が大きいという特性のため、インク組成物中の含有量が増えるに従って、温度による粘度特性に大きく影響し、インク組成物も10℃〜40℃での粘度差が大きくなる。
(C)の保湿剤は、特に画像濃度ムラを抑制する効果が高く、カール、コックリング適性に優れる物質である。また、この保湿剤は、温度による粘度特性に優れる物質である。(C)の保湿剤として、具体的には、グリシンベタイン(分子量117、「トリメチルグリシン」ともいう。)、γ−ブチロベタイン(同145)、ホマリン(同137)、トリゴネリン(同137)、カルニチン(同161)、ホモセリンベタイン(同161)、バリンベタイン(同159)、リジンベタイン(同188)、オルニチンベタイン(同176)、アラニンベタイン(同117)、スタキドリン(同185)及びグルタミン酸ベタイン(同189)等のアミノ酸のN−トリアルキル置換体であるベタイン類、グルコース(同180)、マンノース(同180)、フルクトース(同180)、リボース(同150)、キシロース(同150)、アラビノース(同150)、ガラクトース(同180)及びソルビトール(同182)等の糖類、アリル尿素(同100)、N,N−ジメチロール尿素(同120)、マロニル尿素(同128)、カルバミル尿素(同103)、1、1−ジエチル尿素(同116)、n−ブチル尿素(同116)、クレアチニン(同113)及びベンジル尿素(同150)の尿素類が挙げられる。また、その分子量が100未満であると、10℃〜40℃での粘度差が大きくなる傾向が強くなる。一方で、その分子量が200以上であると、インク組成物中のその保湿剤の添加量に対して、インク組成物の粘度が増加しやすい。そのため、(C)の保湿剤の分子量は100〜200の範囲であることが好ましい。これらの中では、画像濃度ムラを抑制する効果が特に高いことから、ベタイン類及び糖類が好ましく、ベタイン類がより好ましい。同様の観点から、ベタイン類としてはグリシンベタインがより好ましく、糖類としてはソルビトールがより好ましく、これらの中ではグリシンベタインが特に好ましい。グリシンベタインとして、例えば、アミノコート(旭化成ケミカルズ社製)等の市販品を使用することもできる。
(A)及び(C)の保湿剤を併用することにより、画像濃度ムラを有効に抑制することができる。その要因は現在のところ詳細には明らかになっていない。ただし、本発明者らは、その要因の一つとして、(A)及び(C)の保湿剤をそれぞれ単独で用いて、その保湿性を調べた場合に、(C)の保湿剤による保湿性が、(A)の保湿剤による保湿性よりも高くなっていること、言い換えれば、(C)の保湿剤による水分の蒸発速度が、(A)の保湿剤による水分の蒸発速度よりも遅くなっていることがあると考えている。特に、(C)の保湿剤、例えばグリシンベタインは、インク組成物が被記録媒体に着弾した直後に形成されるインク塗膜の表面(界面)において、液相(塗膜)と気相との緩衝効果を有し、急激な乾燥に対するバリア機能を発揮するような分子密度勾配を有すると推測される。そして、その分子密度勾配により、界面近傍の分子密度が高くなることで、急激な水分蒸発が抑制されると推測される。
これら保湿剤は、画像濃度ムラの抑制、カール適性、コックリング適性、裏抜け適性、目詰まり適性の観点から、(A)、(B)及び(C)の合計量でインク組成物中に10質量%〜40質量%含まれることが好ましい。
また、それらの保湿剤について、含有量の質量比は、それらの保湿剤による上記効果をバランス良く発揮させる観点から、(A):(B):(C)=(1.0):(0.1〜1.0):(1.0〜3.0)である。同様の観点から、(A):(B)は(1.0):(0.2〜0.5)が好ましく、(1.0):(0.3〜0.45)がより好ましい。また、同様の観点から、(A):(C)は(1.0):(1.0〜2.0)が好ましく、(1.0):(1.0〜1.5)がより好ましい。(A)の群から選ばれる保湿剤(「(A)の保湿剤」という。以下同様。)に対して、(B)の保湿剤の質量比を上記よりも多くすると、カール適性及びコックリング適性が低下し、少なくすると、裏抜け適性が低下する。(A)の保湿剤に対して、(C)の保湿剤の質量比を上記よりも多くすると、目詰まり適性が低下し、少なくすると、特に画像濃度ムラの抑制が困難になり、カール適性及びコックリング適性が低下する。
また、本実施形態に係るインク組成物は、インクジェットヘッドのノズル近傍での目詰まり防止やインクの被記録媒体への浸透性や滲みを適度に制御したり、画像濃度ムラを抑制したり、インクの乾燥性を付与する目的で、水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水溶性有機溶剤は、上記観点から、1,2−アルカンジオール及び/又はグリコールエーテルを含有することが好ましい。1,2−アルカンジオールの具体的な例としては、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオールが挙げられる。また、グリコールエーテルの具体的な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルが挙げられる。また、上記以外に、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなども水溶性有機溶剤として用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は1種又は2種以上を用いることができ、インクの適正な物性値(粘度等)の確保、印刷品質、信頼性の確保という観点で、インク組成物中に1質量%〜50質量%含まれることが好ましい。
さらに、インクの被記録媒体への濡れ性を制御し、被記録媒体への浸透性やインクジェット記録方法における印字安定性を得るために、インク組成物は表面張力調整剤を含有することが好ましい。表面張力調整剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤やポリエーテル変性シロキサン類が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の例としては、サーフィノール420、440、465、485、104、STG(以上、エアープロダクツ社製、製品名)、オルフィンPD−001、SPC、E1004、E1010(以上、日信化学工業(株)製、製品名)、アセチレノールE00、E40、E100、LH(以上、川研ファインケミカル(株)製、製品名)が挙げられる。またポリエーテル変性シロキサン類としては、BYK−346、347、348、UV3530(ビックケミー社製品)などが挙げられる。これらは、インク組成物中に1種又は2種以上用いることができ、インク組成物の表面張力を好ましくは20mN/m〜40mN/mに調整するよう含まれ、好ましくはインク組成物中に0.1質量%〜3.0質量%含まれる。
また、必要に応じて、インク組成物に、pH調整剤、錯化剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐・防カビ剤等を添加することもできる。pH調整剤としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ及び/又はアンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ものエタノールアミン等のアルカノールアミンを用いることができる。特に、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンから選択される少なくとも1種類のpH調整剤を含み、pH6〜10に調整されることが好ましい。pHがこの範囲を外れると、インクヘットプリンタを構成する材料等の悪影響を与え、目詰まり回復性が劣化する傾向にある。また、錯化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸及びその塩(例えばナトリウム塩、アンモニウム塩)などのアミノポリカルボン酸及びその塩が挙げられる。
本実施形態に用いられる顔料としては、公知の無機顔料及び有機顔料のいずれをも用いることができる。そのような顔料としては、例えば、カラーインデックスに記載されているピグメントイエロー、ピグメントレッド、ピグメントバイオレット、ピグメントブルー、ピグメントブラック等の顔料の他、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、アゾメチン系、縮合環系等の顔料が例示できる。また、黄色4号、5号、205号、401号;橙色228号、405号;青色1号、404号等の有機顔料や、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、群青、紺青、酸化クローム等の無機顔料が挙げられる。顔料のカラーインデックスとしては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,17,24,34,35,37,42,53,55,74,81,83,95,97,98,100,101,104,108,109,110,117,120,128,138,150,153,155,174,180,198、C.I.ピグメントレッド1,3,5,8,9,16,17,19,22,38,57:1,90,112,122,123,127、146,184、202、C.I.ピグメントバイオレッド1,3,5:1,16,19,23,38、C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,16、C.I.ピグメントブラック1,7が挙げられ、1種又は2種以上の顔料をインク組成物に含んでもよい。
本実施形態に用いられる顔料は、樹脂分散型の態様であってもよい。そのような態様の顔料は、高分子分散剤や界面活性剤などの分散剤と共に、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、高速攪拌型分散機などを用いて水性媒体中に分散させた顔料分散液として、あるいは、顔料表面に分散性付与基(親水性官能基及び/又はその塩)を直接又はアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させ、分散剤なしで水性媒体中に分散及び/又は溶解する自己分散型顔料として加工され、水性媒体中に分散させた顔料分散液として、インク組成物中に配合されることが好ましい。
分散剤の例としては、高分子分散剤として、にかわ、ゼラチン、サポニンなどの天然高分子化合物やポリビニルアルコール類、ポリピロリドン類、アクリル系樹脂類(ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体など)、スチレン−アクリル酸系樹脂類(スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−酢酸ビニルーアクリル酸共重合体など)、スチレン−マレイン酸系樹脂類、酢酸ビニル−脂肪酸ビニル−エチレン共重合体の樹脂類など及びこれらの塩などの合成高分子化合物が挙げられ、共重合体の構成はランダムタイプ、ブロックタイプ、グラフトタイプのいずれでもよい。
また、分散剤として用いられる界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキルスルホン酸塩などのアニオン性界面活性剤、脂肪酸アミン塩、脂肪酸アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤、ポリオオキシアルキルエーテル類、ポリオキシアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類などのノニオン性界面活性剤が挙げられる。
これらの分散剤の中で、特に水不溶性樹脂が好ましい。水不溶性樹脂として、具体的には、疎水性基を有するモノマーと親水性基を有するモノマーとのブロック共重合体樹脂からなり、少なくとも塩生成基を有するモノマーを含有しているもので、中和後に25℃の水100gに対する溶解度が1g未満である樹脂が好ましい。疎水性基を有するモノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類や酢酸ビニル等のビニルエステル類やアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。親水性基を有するモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタアクリレート、エチレングリコール・プロピレングリコールモノメタアクリレートが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。塩生成基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンカルボン酸、マレイン酸が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。さらに、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロモノマー、シリコーン系マクロモノマーなどのマクロモノマーやその他のモノマーを併用することもできる。
この水不溶性樹脂は、エチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリ中和剤で中和した塩として用いることが好ましく、重量平均分子量が10000〜150000程度のものが、顔料を安定的に分散させる点で好ましい。
分散剤なしに水に分散及び/又は溶解が可能な自己分散型顔料は、例えば、顔料に物理的処理又は化学的処理を施すことで、分散性付与基又は分散性付与基を有する活性種を顔料の表面に結合(グラフト)させることによって製造される。物理的処理としては、例えば真空プラズマ処理が例示できる。また、化学的処理としては、例えば水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法や、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法が例示できる。自己分散型顔料を含有するインク組成物は、通常の顔料を分散させるために含有させる前述のような分散剤を含む必要がないため、分散剤に起因する消泡性の低下による発泡がほとんどなく、吐出安定性に優れるインクを調製しやすい。また、分散剤に起因する大幅な粘度上昇が抑えられるので、顔料をより多く含有することが可能となり、印字濃度を十分に高めることが可能になる、あるいは、取り扱いが容易となる。このような利点があることから、自己分散型顔料は、特に高濃度を必要とするブラックインク組成物に有効であり、本実施形態のインク組成物として用いるブラックインク組成物には、分散剤なしに水に分散及び/又は溶解が可能な自己分散型顔料が少なくとも含まれることが好ましい。
本実施形態においては、次亜ハロゲン酸及び/又は次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、又はオゾンによる酸化処理により表面処理される自己分散型顔料が、高発色という点で好ましい。また、自己分散型顔料として市販品を利用することも可能であり、そのような市販品として、マイクロジェットCW−1(商品名;オリヱント化学工業(株)製)、CAB−O−JET200、CAB−O−JET300(以上商品名;キャボット社製)が例示できる。
また、これらの顔料は、インクの保存安定性やノズルの目詰まり防止等の観点から、インク中での体積平均粒子径が50nm〜200nmの範囲であることが好ましい。これらの体積平均粒子径は、Microtrac UPA150(マイクロトラック社製)や粒度分布測定機LPA3100(大塚電子(株)製)等の粒径測定によって得ることができる。
これらの顔料は、インク組成物中に6質量%以上の範囲で含有されることが好ましい。その含有量が6質量%未満では印字濃度(発色性)が不充分である場合がある。また、その含有量の上限は特に限定されないが、例えば、含有量が25質量%以下であってもよい。含有量が25質量%よりも大きいと、ノズルの目詰まりや、吐出の不安定を起こす等の信頼性に不具合が生じる場合がある。
本実施形態で用いられるインク組成物は、記録物への定着性を確保する観点から、樹脂エマルジョンを含むと好ましい。また、画像濃度ムラをある程度抑制する観点からも、インク組成物が樹脂エマルジョンを含むと好ましい。本来、被記録媒体の表面に着弾したインク組成物の乾燥に伴って、樹脂エマルジョンが顔料粒子と会合し、変形して造膜結着することにより、顔料が被記録媒体の表面上に定着される。ところが、本実施形態のように(C)の保湿剤、例えばグリシンベタイン、との混合系においては、インク組成物の塗膜表面(界面)において、樹脂エマルジョンを起点として(C)の保湿剤の分子密度が高まりやすくなることで、樹脂エマルジョンによる造膜の進行と相俟って、急激な水分蒸発が抑制されるため、画像濃度ムラがある程度抑制されると推測される。
樹脂エマルジョンは、最低造膜温度が20℃未満の樹脂微粒子を含むことが好ましい。樹脂エマルジョンとして、最低造膜温度が20℃未満の樹脂微粒子を含むものを用いることにより、通常20℃以上である使用環境下の周囲温度において、樹脂微粒子が膜化するので、インク組成物の被記録媒体への定着性や耐擦性を向上させる。
ここで、最低造膜温度は、下記のようにして測定される。まず、温度勾配試験装置のステンレス板上に0.3mmの厚さに樹脂エマルジョンを塗布する。塗布後、直ちにシリカゲルの入ったバスケットを板の上にのせ、透明プラスチック製の蓋で覆う。塗膜が乾燥した後、一様な連続皮膜部分と白濁している部分の境界部の温度を読み取り、最低造膜温度とする。
これらの樹脂エマルジョンとしては、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂からなる群より選択される1種又は2種以上の樹脂微粒子を含むものであることが好ましい。これらの樹脂はホモポリマーとして使用されてもよく、また、コポリマーして使用されてもよく、単相構造及び複相構造(コアシェル型)のいずれのものも使用できる。
さらに、本実施形態で用いられるインク組成物に含まれる樹脂エマルジョンは、少なくともいずれかが、不飽和単量体の乳化重合によって得られた樹脂微粒子のエマルジョンの形態で、インク組成物中に配合されることが好ましい。樹脂微粒子を単独でインク組成物中に添加しても、該樹脂微粒子の分散が不十分となる場合があるため、インク組成物の製造上、エマルジョンの形態が好ましい。また、エマルジョンとしては、インク組成物の保存安定性の観点から、アクリル樹脂微粒子のエマルジョン、すなわちアクリルエマルジョンが好ましい。
樹脂微粒子のエマルジョン(アクリルエマルジョン等)は、公知の乳化重合法により得ることができる。例えば、不飽和単量体(不飽和ビニルモノマー等)を、重合開始剤及び界面活性剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。
不飽和単量体としては、例えば、一般に乳化重合で使用されるアクリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体、芳香族ビニル単量体、ビニルエステル単量体、ビニルシアン化合物単量体、ハロゲン化単量体、オレフィン単量体、ジエン単量体が挙げられる。
不飽和単量体として、さらに具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;酢酸ビニル等のビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン化単量体;スチレン、α−チルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体;エチレン、プロピレン等のオレフィン;ブタジエン、クロロプレン等のジエン;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N'−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有単量体が挙げられる。これらは1種を単独又は2種以上を混合して用いられる。
また、重合可能な二重結合を2つ以上有する架橋性単量体も、不飽和単量体として使用することができる。重合可能な二重結合を2つ以上有する架橋性単量体の例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物;ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のヘキサアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物;メチレンビスアクリルアミド;ジビニルベンゼンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
また、乳化重合の際に使用される重合開始剤及び界面活性剤の他に、連鎖移動剤、さらには中和剤等も常法に準じて使用してよい。特に中和剤としては、アンモニア、無機アルカリの水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが好ましい。
本実施形態において、樹脂エマルジョンは、インク組成物のインクジェット適性物性値、信頼性(目詰まりや吐出安定性等)、定着性等をより有効に得る観点から、インク組成物中の樹脂微粒子が1質量%〜10質量%の範囲となるよう、含有されることが好ましい。
インク組成物に含まれる樹脂エマルジョンの体積平均粒子径は、インク組成物中における樹脂微粒子の分散安定性の観点及び定着性の観点から、5nm〜400nmであることが好ましく、50nm〜200nmであることがより好ましい。この体積平均粒子径は、例えばコールターカウンターN4(コールター社製、商品名)を用いて測定される。
本実施形態の記録物は、上記インクジェット記録方法によって記録が行われて得られるものである。この記録物は、本実施形態に係るインクジェット記録方法により得られることにより、画像濃度ムラ及び定着性低下の両方を抑制されたものであり、しかも、目詰まりも抑制されているため、インク組成物が所望のとおりに被記録媒体に着弾し、ドット抜けなどの少ない画像が形成された記録物となる。また、この記録物は、インクの安全性、安定性に優れ、種々の被記録媒体について、使用温度によらず、常に同等の記録品質を実現すると共に、普通紙について、優れたカール適性、コックリング適性、裏抜け適性、両面印刷適性を有する。
従来と異なり、本実施形態のインクジェット記録方法によると、水の含有量、並びに、保湿剤の種類及びその含有量の質量比(含有比)に主に起因して、インク組成物中での固形分の析出及び固形分の凝集を防止できるため、目詰まりを抑制することができる。つまり、主として、インク組成物における水の含有量を10質量%以上にして、保湿剤の種類を上述のものとし、かつ(A)の保湿剤に対する(C)の保湿剤の含有比を3.0以下にすることでインクジェットヘッドのノズル近傍における固形分の析出や凝集を防止して、目詰まりを抑制することができる。また、主として、上記保湿剤を用いると同時に水の含有量を60質量%以下にすることにより、被記録媒体上に着弾したインク組成物の乾燥速度を制御して、定着性低下を抑制することが可能となる。そして、主として、(A)の保湿剤に対する(C)の保湿剤の含有比を1.0以上にすることで、搬送ベルトの開口部上とそれ以外の部分での被記録媒体に対するインク組成物の浸透性及び乾燥性の差異を小さくできるので、画像濃度ムラを抑制することが可能となる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、吸引ファンを備えるラインプリンタを例に説明したが、本発明で用いられる記録装置は、搬送ベルトに形成された開口部を経由する減圧吸引により被記録媒体を搬送ベルトに吸引吸着して搬送しながら、被記録媒体に画像を形成することができるものであれば、公知の記録装置であってもよく、吸引ファンを備えていなくてもよく、ラインプリンタでなくてもよい。また、インク組成物が樹脂エマルジョンを含む場合、上述のインクジェット記録装置100が、樹脂エマルジョンの最低造膜温度よりも高い温度で印刷できるよう、加熱部や温風送風部を備えてもよい。
以下、実施例を用いて本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
[着色剤の準備]
(顔料分散液B1)
市販のカーボンブラックであるカラーブラックS170(商品名:デグサ・ヒュルス社製)100gを水1kgに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液に次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度12%)1400gを滴下して、ボールミルで粉砕しながら5時間反応させ、さらに攪拌しながら4時間煮沸して湿式酸化を行った。得られた分散原液をガラス繊維ろ紙GA−100(商品名:アドバンテック東洋社製)で濾過して、さらに水で洗浄した。得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が2mS/cmになるまで脱塩及び精製し、さらに顔料濃度が20質量%になるまで濃縮して顔料分散液B1を調製した。
この分散液の顔料の体積平均粒子径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、110nmであった。
(顔料分散液B2)
上記で得られた顔料分散液B1に対して、40℃にて3日間、減圧乾燥を行うことにより水分を除去した。得られたペーストを丸底フラスコへ秤量し、固形分濃度が20質量%となるようにトリエチレングリコール−モノ−n−ブチルエーテルを添加し、マグネチックスターラーを用いて24時間撹拌を行った。引き続き、超音波洗浄槽にトリエチレングリコール−モノ−n−ブチルエーテル分散液の入った丸底フラスコを設置し、超音波分散を行いながらアスピレーターにて8時間減圧脱気処理を行うことによって、分散液中の空気をトリエチレングリコール−モノ−n−ブチルエーテルで完全に置換し、顔料分散液B2を得た。
(顔料分散液Y1)
有機溶媒(メチルエチルケトン)20質量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03質量部、重合開始剤、及び表1に示す各モノマーを用い、窒素ガス置換を十分に行った反応容器内に入れて75℃攪拌下で重合し、モノマー成分100質量部に対してメチルエチルケトン40質量部に溶解した2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル0.9質量部を加え、80℃で1時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
Figure 2015061765
得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたうちの5質量部をメチルエチルケトン15質量部に溶かし、水酸化ナトリウム水溶液を用いてポリマーを中和した。さらに、C.I.ピグメントイエロー74を15質量部加え、更に水を加えながら分散機で混練した。得られた混練物にイオン交換水100質量部を加え攪拌した後、減圧下、60℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、固形分濃度が20質量%のイエロー顔料の水分散体(顔料分散液Y1)を得た。
この分散液の顔料の体積平均粒子径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、100nmであった。
(顔料分散液M1)
C.I.ピグメントイエロー74の代わりにC.I.ピグメントレッド122を用いた以外は顔料分散液Y1の調製方法と同様にして、顔料分散液M1を得た。
この分散液の顔料の体積平均粒子径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、140nmであった。
(顔料分散液C1)
C.I.ピグメントイエロー74の代わりにC.I.ピグメントブルー15:4を用いた以外は顔料分散液Y1の調製方法と同様にして、顔料分散液C1を得た。
この分散液の顔料の体積平均粒子径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、80nmであった。
(染料)
アシッドレッド249を用いた。
[樹脂エマルジョンの調製]
最低造膜温度が20℃未満の樹脂エマルジョン(ポリマー1)は、水中で、アクリルアミド20gにメチルメタクリレート600g、n−ブチルアクリレート125g、メタクリル酸30g、トリエチレングリコールジアクリレート5gを乳化重合することにより製造した。エマルジョン中の樹脂微粒子の体積平均粒子径は50nm、最低造膜温度は10℃であった。なお、樹脂微粒子の体積平均粒子径は、コールターカウンターN4(コールター社製、商品名)を用いて測定し、最低造膜温度は上述のようにして測定した。
最低造膜温度が20℃以上の樹脂エマルジョン(ポリマー2)は、水中で、アクリルアミド20gにスチレン600g、n−ブチルアクリレート200g、メタクリル酸30gを乳化重合することにより、製造した。エマルジョン中の樹脂微粒子の体積平均粒子径は130nm、最低造膜温度は36℃であった。なお、樹脂微粒子の体積平均粒子径は、コールターカウンターN4(コールター社製、商品名)を用いて測定し、最低造膜温度は上述のようにして測定した。
[インク組成物の調製]
表2に示す割合で各成分を混合し、室温にて2時間攪拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターにて濾過して、製造例1〜9及び比較製造例1〜5の各インク組成物を調製した。ただし、表2中に示す添加量は全て質量%の濃度として表されており、顔料分散液の( )内の数字は顔料の固形分濃度(質量%)を示し、樹脂エマルジョンの( )の数字は樹脂微粒子濃度(質量%)を示す。またイオン交換水の「残量」とは、インク組成物の全量が100質量%となるようにイオン交換水を加えることを意味する。
Figure 2015061765
<インク組成物の評価>
(試験1)インクの裏抜け
得られた各インク組成物について、図2に示すように開口部を有する搬送ベルトを備えたライン型インクジェットプリンタを用いて、下記の3種類の普通紙に、100%duty、600×600dpiでベタ画像を印刷した。普通紙として、ゼロックスP(富士ゼロックス社製)、Xerox 4024(Xerox Co.社製)、リサイクルカットR−100(王子製紙社製)を用いた。印刷した記録物を24℃の環境下で24時間放置した後、印刷面の裏側におけるインクの裏抜け状態を目視にて評価した。評価基準は下記のとおりとした。
A:インクの裏抜けがほとんど認められない。
B:インクの裏抜けが認められるが、裏面への再印字には支障がない。
C:インクの裏抜けがかなり認められ、裏面への再印字に支障がある。
評価結果を表3に示す。
(試験2)画像濃度ムラ
上記と同様のインクジェットプリンタを用いて、下記の3種類の普通紙に、25%duty、600×600dpiでハーフ濃度画像を印刷した。普通紙として、ゼロックスP(富士ゼロックス社製)、Xerox4024(Xerox Co.社製)、リサイクルカットR−100(王子製紙社製)を用いた。印刷した記録物を24℃の環境下で24時間放置した後、印刷面のベルト吸着開口部と対応する画像濃度ムラを目視にて評価した。評価基準は下記のとおりとした。
A:画像濃度ムラが全く認められない。
B:画像濃度ムラが僅かに認められるが、許容範囲内である。
C:画像濃度ムラが明らかに認められ、許容範囲外である。
評価結果を表3に示す。
(試験3)印刷直後の定着性
上記と同様のインクジェットプリンタを用いて、光沢紙であるエプソン写真用紙<光沢>(セイコーエプソン社製)に、600×600dpiでベタ画像を印刷した。印刷直後に、印刷面を指で強く擦り、印刷面の状態を目視によって観察した。評価基準は下記のとおりとした。
A:インクが全くとれない。
B:若干インクがとれるが指は汚れない。
C:インクがとれ、指も汚れる。
評価結果を表3に示す。
(試験4)発色性(光学濃度(OD値))
試験1で印刷したベタ画像のOD値をグレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いて5回(5箇所で)測定した。そして、各インク組成物ごとの相加平均値を求め、算出した平均OD値につき、以下の判断基準で光学濃度値(OD値)を評価した。
A:1.2以上
B:1.1以上〜1.2未満
C:1.1未満
評価結果を表3に示す。
(試験5)目詰まり回復性
上記と同様のインクジェットプリンタを用いて、10分間連続して印刷し、全てのノズルから正常にインクが吐出していることを確認した後、インクカートリッジを取り外し、記録ヘッドをヘッドキャップから外した状態で、40℃の環境下に1週間放置した。放置後、全ノズルが初期と同等に吐出するまでクリーニング動作(PX−B500(セイコーエプソン製)と同じクリーニング動作)を繰り返し、以下の判断基準により、目詰まりの状態からの吐出性の回復しやすさを評価した。
A:6回未満のクリーニング操作で初期と同等に回復した。
B:6回〜12回のクリーニング操作で初期と同等に回復した。
C:クリーニング12回以上で初期と同等に回復した。
評価結果を表3に示す。
Figure 2015061765
表3から明らかなように、本発明のインクジェット記録方法によれば、被記録媒体へのインク組成物の定着性低下、インクジェットヘッドにおける目詰まり、及び、被記録媒体に形成された画像の濃度ムラの全てを抑制できる。
100…インクジェット記録装置、101…被記録媒体、110…インクジェットヘッド、120…プラテン部、130…搬送ベルト、130A…開口部、140…搬送ローラ、150…排出ローラ、160…搬送手段、170…従動ローラ、180…駆動ローラ、190…インクジェットヘッドユニット、210…減圧吸引部、210A…吸引ファン、210B…筐体、210C…開口部。
すなわち、本発明は、搬送ベルトに形成された開口部を経由する減圧吸引により被記録媒体を搬送ベルトに吸引吸着して搬送しながら、被記録媒体に画像を形成する工程を有するインクジェット記録方法であって、上記形成する工程において、画像は、被記録媒体の搬送ベルト側とは反対側の印刷面にインク組成物を着弾することにより形成され、インク組成物は、少なくとも、インク組成物全量中6質量%以上の顔料、樹脂エマルジョン、保湿剤及びインク組成物全量中60質量%〜10質量%の水を含み、樹脂エマルジョンは最低造膜温度が20℃未満であって、保湿剤は、下記(A)、(B)及び(C)の化合物が混合されたものであって、その含有量の質量比が(A):(B):(C)=(1.0):(0.1〜1.0):(1.0〜3.0)であるインクジェット記録方法を提供する。ここで、(A)の化合物は、グリセリン及びトリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。また、(B)の化合物は、トリメチロールプロパンである。さらに、(C)の化合物は、分子量が100〜200の範囲にあるベタイン類である。

Claims (5)

  1. 搬送ベルトに形成された開口部を経由する減圧吸引により被記録媒体を前記搬送ベルトに吸引吸着して搬送しながら、前記被記録媒体に画像を形成する工程を有するインクジェット記録方法であって、
    前記形成する工程において、前記画像は、前記被記録媒体の前記搬送ベルト側とは反対側の印刷面にインク組成物を着弾することにより形成され、
    前記インク組成物は、少なくとも、顔料、保湿剤及びインク組成物全量中60質量%〜10質量%の水を含み、
    前記保湿剤は、下記(A)、(B)及び(C)の化合物が混合されたものであって、その含有量の質量比が(A):(B):(C)=(1.0):(0.1〜1.0):(1.0〜3.0)である、
    インクジェット記録方法。
    (A)グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物。
    (B)トリメチロールプロパン及びトリメチロールエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物。
    (C)ベタイン類、糖類及び尿素類からなる群より選ばれ、かつ分子量が100〜200の範囲にある、少なくとも1種以上の化合物。
  2. 前記(C)の化合物はベタイン類を含有する、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記インク組成物は、さらに、樹脂エマルジョンを含む、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記樹脂エマルジョンは、最低造膜温度が20℃未満の樹脂微粒子を含む、請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法によって記録が行われた記録物。
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