JP2015061044A - デバイスの製造方法、及び正孔注入輸送性材料 - Google Patents
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Abstract
Description
これら電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層などの発光層以外の層には、電荷を発光層へ注入乃至輸送しやすくする効果、あるいはブロックすることにより電子電流と正孔電流のバランスを保持する効果や、光エネルギー励起子の拡散を抑制するなどの効果があるといわれている。
特許文献3〜6においては、酸化性化合物すなわち電子受容性化合物として、化合物半導体である金属酸化物が用いられている。注入特性や電荷移動特性が良い正孔注入層を得ることを目的として、例えば五酸化バナジウムや三酸化モリブデンなどの金属酸化物を用いて蒸着法で薄膜を形成したり、或いはモリブデン酸化物とアミン系の低分子化合物との共蒸着により混合膜を形成している。
特許文献7においては、五酸化バナジウムの塗膜形成の試みとして、酸化性化合物すなわち電子受容性化合物として、オキソバナジウム(V)トリ−i−プロポキシドオキシドを溶解させた溶液を用い、それと正孔輸送性高分子との混合塗膜の形成後に水蒸気中で加水分解させてバナジウム酸化物として、電荷移動錯体を形成させる作製方法が挙げられている。
特許文献8においては、三酸化モリブデンの塗膜形成の試みとして、三酸化モリブデンを物理的に粉砕して作製した微粒子を溶液に分散させてスラリーを作製し、それを塗工して正孔注入層を形成して長寿命な有機EL素子を作製することが記載されている。
有機半導体層とソース電極またはドレイン電極との電荷注入障壁を低減することにより、有機トランジスタのオン電流値を向上させ、かつ素子特性を安定化させる試みとして、有機半導体中に電荷移動錯体を導入することによって、電極近傍の有機半導体層中のキャリア密度を増加させることが知られている(例えば、特許文献9)。
しかしながら、特許文献1から特許文献9で開示されたような酸化性材料を正孔輸送性材料に用いても、長寿命素子の実現は困難であるか、更に寿命を向上させる必要があった。
また、特許文献7には、オキソバナジウム(V)トリ−i−プロポキシドオキシドと正孔輸送性高分子との混合塗膜の形成後に水蒸気中で加水分解させてバナジウム酸化物として、電荷移動錯体を形成させる作製方法が挙げられている。しかしながら、特許文献7では、加水分解−重縮合反応により固化するため、バナジウムが凝集し易く、膜質制御が困難で、良好な膜が得られない。そのため、特許文献7では、寿命特性や素子特性に更なる改善が必要であった。
また、特許文献10に記載のモリブデン錯体の反応生成物の場合、正孔輸送性高分子化合物の良溶媒である芳香族炭化水素系溶剤に対する溶剤溶解性が十分でなく、モリブデン錯体の反応生成物が凝集しやすい場合があった。また、未反応のカルボニル基や水酸基を有する有機溶媒や当該有機溶媒の反応生成物が混在して、寿命に悪影響を与えている可能性が考えられた。特許文献11に記載のモリブデン錯体の反応生成物の場合、正孔輸送性高分子化合物の良溶媒である芳香族炭化水素系溶剤に対する溶剤溶解性の向上が図られているが、プロセス時に何らかの反応生成物が混在して、寿命に悪影響を与えている可能性が考えられた。
成膜性や薄膜の安定性は素子の寿命特性と大きく関係する。一般的に有機EL素子の寿命とは、一定電流駆動などで連続駆動させたときの輝度半減時間とし、輝度半減時間が長い素子ほど長駆動寿命であるという。
本発明は、係る知見に基づいて完成したものである。
モリブデン錯体と下記一般式(1)で表される化合物との混合物を加熱して正孔注入輸送性材料を調製する工程と、
前記正孔注入輸送性材料を含む正孔注入輸送層形成用インクを、前記電極上のいずれかの層上に塗布することにより、正孔注入輸送層を形成する工程を有し、
前記正孔注入輸送性材料を調製する工程から前記正孔注入輸送層を形成する工程までの全工程が不活性ガス雰囲気下で行われることを特徴とする。
モリブデン錯体と下記一般式(1)で表される化合物との混合物を加熱して正孔注入輸送性材料を調製する工程と、
前記正孔注入輸送性材料を含む正孔注入輸送層形成用インクを、前記電極上のいずれかの層上に塗布することにより、正孔注入輸送層を形成する工程を有し、
前記正孔注入輸送性材料を調製する工程から前記正孔注入輸送層を形成する工程までの全工程が不活性ガス雰囲気下で行われることを特徴とする。
本発明に係るデバイスの製造方法で製造されるデバイスには、有機EL素子、有機トランジスタ、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池、有機半導体を包含する有機デバイスのほか、正孔注入輸送層を有する量子ドット発光素子、酸化物系化合物太陽電池等も含まれる。
図1は本発明に係るデバイスの製造方法で製造されるデバイスの一例の基本的な層構成を示す断面概念図である。本発明の製造方法で製造されるデバイスの基本的な層構成は、基板7上に対向する2つの電極(1及び6)と、その2つの電極(1及び6)間に配置され少なくとも正孔注入輸送層2を含む有機層3を有する。
基板7は、デバイスを構成する各層を形成するための支持体であり、必ずしも電極1の表面に設けられる必要はなく、デバイスの最も外側の面に設けられていればよい。
有機層3は、正孔注入輸送されることにより、デバイスの種類によって様々な機能を発揮する層であり、単層からなる場合と多層からなる場合がある。有機層が多層からなる場合は、有機層は、正孔注入輸送層の他に更に、デバイスの機能の中心となる層(以下、機能層と称呼する。)や、当該機能層の補助的な層(以下、補助層と称呼する。)を含んでいる。例えば、有機EL素子の場合、正孔注入輸送層の表面に更に積層される正孔輸送層が補助層に該当し、当該正孔輸送層の表面に積層される発光層が機能層に該当する。
電極6は、対向する電極1との間に正孔注入輸送層2を含む有機層3が存在する場所に設けられる。また、必要に応じて、図示しない第三の電極を有していてもよい。これらの電極間に電場を印加することにより、デバイスの機能を発現させることができる。
図2は本発明のデバイスの製造方法の一例の一部を示す工程図である。図2において(A)〜(D)までの全工程が不活性ガス雰囲気下で行われることを示している。また、図3(A)〜(D)は本発明のデバイスの製造方法の一例の一部を示す工程図である。まず、図2(A)に示すように、モリブデン錯体と下記一般式(1)で表される化合物との混合物を加熱して正孔注入輸送性材料を調製する。次に、図2(B)に示すように、図2(A)で調製された正孔注入輸送性材料を用いて正孔注入輸送層形成用インクを調製する。但し、図2(A)で調製された正孔注入輸送性材料含有溶液がそのまま正孔注入輸送層形成用インクとなる場合には、当該正孔注入輸送層形成用インクを調製する工程は実質的に省略することができる。次に、図2(C)及び図3(A)に示すように、電極1を備えた基板7を準備し、正孔注入輸送層形成用インクを電極1上に塗布し、正孔注入輸送層形成用層2aを形成する。次に、図2(D)及び図3(B)に示すように、正孔注入輸送層形成用層2aから溶媒等を除去することにより、正孔注入輸送層2を形成する。当該正孔注入輸送層を形成する工程までが不活性ガス雰囲気下で行われる。次いで、図3(C)に示すように、正孔注入輸送層上に適宜有機層を形成し、正孔注入輸送層2を含む有機層3を形成する。更に、図3(D)に示すように正孔注入輸送層2を含む有機層3上に電極6を形成する。このようにして、有機デバイス100が作製される。
なお、不活性ガス雰囲気とは、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の不活性ガスで満たされた雰囲気をいう。当該不活性ガス雰囲気中の酸素濃度は1ppm以下、水分濃度は、1ppm以下を目安することができる。
以下、本発明に係るデバイスの製造方法の各工程について詳細に説明する。
当該工程においては、不活性ガス雰囲気下で、モリブデン錯体と下記一般式(1)で表される化合物との混合物を加熱して正孔注入輸送性材料を調製する。
当該モリブデン錯体の反応生成物は、正孔輸送性化合物との間で、或いは錯体の反応生成物同士で、電荷移動錯体を形成し易いため、正孔注入輸送層の電荷注入輸送能力を効率よく向上することが可能になり、寿命を向上できると推定される。特に本発明のモリブデン錯体の反応生成物は、配位子として上記一般式(1)で表される化合物が組み込まれていることにより、溶剤溶解性が向上し、且つ正孔輸送性化合物との親和性が向上するものと推測される。そのため、モリブデン錯体の反応生成物同士が凝集し難くなり、塗膜中での分散性や分散安定性が従来よりも向上する。更に、特に本発明で調製される正孔注入輸送性材料は正孔注入輸送層を形成するまでの全工程において不活性ガス雰囲気下で取り扱われるため、水や酸素と系中の何らかとの反応生成物がプロセス時に生成して正孔注入輸送層に混入することが抑制される。正孔注入輸送層において良好に安定して分散したモリブデン錯体の反応生成物は、不純物に阻害されることなく、正孔注入輸送層の電荷注入輸送能力を効率よく向上することが可能になり、寿命を向上できると推定される。
本発明において原料として用いられるモリブデン錯体は、モリブデンを含む配位化合物であって、モリブデンの他に配位子を含む。但し、原料として用いられるモリブデン錯体には、一般式(1)で表される化合物を配位子として含むモリブデン錯体は除かれる。モリブデン錯体としては、酸化数−2から+6までの錯体がある。
配位子の種類は適宜選択され、特に限定されないが、一般式(1)で表される化合物との相溶性の点からは、炭素原子を含むことが好ましく、更に炭素原子と酸素原子を含むことが好ましい。また、配位子は、例えば200℃以下などの比較的低温で錯体から分解するものであることが好ましい。
また、本発明の効果を損なわない限り、芳香環及び複素環の少なくとも1つを含む構造に置換基を有していても良い。置換基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基の中では、炭素数1〜12の直鎖または分岐のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が好ましい。
また、酸化数が+1のモリブデン(I)錯体としては、ジホスファンやη5−シクロペンタジエニドを含む非ウェルナー型錯体が挙げられ、具体的には、MoI(η6−C6H6)2]+、[MoCl(N2)(diphos)2]等が挙げられる。なお、diphosは、2座配位子の(C6H5)2PCH2CH2P(C6H5)2である。
酸化数が+2のモリブデン(II)錯体としては、その他、[MoII 2X4L4]、[MoIIX2L4]などのハロゲン錯体を用いることができ、例えば、[MoIIBr4(P(n−C4H9)3)4]や[MoIII 2(diars)2]などが挙げられる。なお、diarsは、ジアルシンである(CH3)2As−C6H4−As(CH3)2である。
また、酸化数が+4のモリブデン(IV)錯体としては、例えば、[Mo{N(CH3)2}4]、[Mo(CN)8]4−、それにオキソ配位子をもつMoO2 +の錯体や、O2−で2重架橋したMo2O2 4+の錯体が挙げられる。
また、酸化数が+6のモリブデン(VI)錯体としては、例えば、MoO2(acetylacetonate)2]が挙げられる。
なお、2核以上の錯体の場合には、混合原子価錯体もある。
本発明において、モリブデン錯体と反応させる化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。下記一般式(1)で表される化合物は、βジケトン構造を有し、且つ、末端の炭素数の合計が5以上であることから、モリブデン錯体との反応性が高く、当該化合物が組み込まれた反応生成物は溶剤溶解性が高くなる。
R1及びR2の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、メトキシ基などのアルコキシ基、シクロヘキシルオキシ基などのシクロアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基、メチルチオ基などのアルキルチオ基、フェニルチオ基などのアリールチオ基、アセチル基などのアシルオキシ基等が挙げられる。
中でも、前記R1及びR2の少なくとも一方は、脂肪族炭化水素基を含み、且つ炭素数が4以上であることが好ましく、具体的には、前記R1及びR2の少なくとも一方が、炭素数が4以上であって且つ、直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アリールオキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、アルキルチオアリール基、アリールチオアルキル基、アシルアルキル基、アシルアリール基、アシルオキシアルキル基、及びアシルオキシアリール基よりなる群から選択される1種以上であることが好ましい。R1及びR2の少なくとも一方が、脂肪族炭化水素基を含み、且つ炭素数が4以上である場合には、溶剤溶解性の向上や、正孔輸送性化合物との相溶性が向上し、溶液塗布法による正孔注入輸送層の形成が容易となり、デバイスの寿命が向上する。中でも、更に前記R1及びR2の合計炭素数が8以上であることが好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物は、分子中にオキシ基又はチオ基を含むことが、溶剤溶解性が向上し、デバイスの寿命が向上する点から好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物は、25℃で液体であることが好ましいが、25℃で液体であるものに限定されるものではない。
前記一般式(1)で表される化合物は、合成反応時に前記モリブデン錯体の溶媒として機能することが容易になる点から、融点が150℃以下であることが好ましく、更に80℃以下であることが好ましい。また、粘度が20mPa・s以下であることが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物は、市販で入手可能な他、例えば、金属触媒存在下、酸塩化物とハロゲン化化合物を用いたクロスカップリング反応等により合成で入手可能である。
本工程においては、まず、モリブデン錯体と前記一般式(1)で表される化合物とを混合して、混合物を調製する。前述のように、前記一般式(1)で表される化合物が反応温度で液体であって、十分に無溶媒反応が可能であれば、有機溶剤を加えなくても良い。前記モリブデン錯体として昇華し易い錯体を用いる場合には、有機溶剤を添加して還流させながら反応した方が、収率が向上する点から好ましい。前記一般式(1)で表される化合物が粉末である場合でモリブデン錯体と混合溶液にできない場合や、前記一般式(1)で表される化合物が液体であっても反応効率を上げるために必要に応じて有機溶剤を加えても良い。
反応効率を向上する点から、混合物を加熱する際に有機溶剤を添加する場合、一般式(1)で表される化合物100質量部に対して、有機溶剤を1〜5000質量部添加することが好ましく、更に10〜3000質量部添加することが好ましい。
中でも、調製後の正孔注入輸送性材料含有溶液をそのまま正孔注入輸送層形成用インクとする場合には、モリブデン錯体1モルに対して、前記一般式(1)で表される化合物の含有量が3モル〜6モルであることが、反応収率を向上させ、且つ、デバイスの寿命が向上する点から好ましい。
このような芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン等が挙げられる。
また、本発明の製造方法において上記加熱は、副反応を抑制する点から不活性ガス雰囲気下で行われる。不活性ガス雰囲気は、例えば、10−1Pa程度に排気した後、アルゴン又は窒素等の不活性ガスを導入することにより調整することができる。
上記加熱手段としては、反応スケールに合わせて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。例えば、オイルバスやマントルヒーターなどによる加熱が挙げられる。反応容器としてオートクレーブを用いて加熱しても良い。或いは、反応規模が少量であれば、サンプル管を反応容器として用いて、加熱はホットプレートを用いても良い。
本発明で調製される正孔注入輸送性材料は、不活性ガス雰囲気下で調製されたモリブデン錯体と上記一般式(1)で表される化合物との反応生成物であり、前記一般式(1)で表される化合物が配位したモリブデン錯体の混合物、及びこれらモリブデン錯体同士の反応生成物との混合物と推定される。
本発明で調製される正孔注入輸送性材料は、下記一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)で表される化合物よりなる群から選択される1種以上を含むことが、デバイスの寿命を向上する点から好ましい。
本発明で調製される正孔注入輸送性材料は、中でも上記一般式(I)で表される化合物及び上記一般式(II)で表される化合物よりなる群から選択される1種以上が50質量%以上であることが好ましく、更に70質量%以上であることが好ましい。更に中でも、本発明で調製される正孔注入輸送性材料は、上記一般式(I)で表される化合物(n=2)及び上記一般式(II)で表される化合物(m=2)よりなる群から選択される1種以上が、50質量%以上であることが好ましく、更に70質量%以上であることが好ましい。
次に、不活性ガス雰囲気下で、前記正孔注入輸送性材料を含む正孔注入輸送層形成用インクを準備する。但し、前記正孔注入輸送性材料を調製する工程において得られた、調製後の正孔注入輸送性材料含有溶液がそのまま正孔注入輸送層形成用インクとなる場合には、当該正孔注入輸送層形成用インクを調製することにより準備する工程は実質的に省略することができる。
当該正孔注入輸送層形成用インクを調製する前、正孔注入輸送性材料の調製後に未反応原料等を除去する精製工程を有していても良い。しかしながら、本発明のデバイスの製造方法においては、調製された正孔注入輸送性材料が正孔注入輸送層を形成するまでの全工程において不活性ガス雰囲気下で取り扱われることから、正孔注入輸送性材料の調製後に未反応原料等を除去する精製を行わなくても、デバイスの寿命を向上できる。そのため、このような精製工程等を省略することが、製造効率の向上の点から好ましい。すなわち、本発明のデバイスの製造方法においては、例えば、正孔注入輸送性材料含有溶液をそのまま正孔注入輸送層形成用インクに含有させて正孔注入輸送層形成用インクを調製し、正孔注入輸送性材料含有溶液中に含まれる未反応原料や溶媒を、正孔注入輸送層形成時の乾燥時に除去する工程を有することが好ましい。
溶剤としては、インクの塗布適性及びインク中の含有成分の溶解性及び分散性を考慮し適宜選択されれば良いが、中でも芳香族炭化水素系溶剤であることが好ましい。溶剤として、芳香族炭化水素系溶剤を用いると、溶液塗布法により正孔注入輸送層の塗膜を形成後、当該溶剤は、除去し易く、又は残留しても素子に悪影響を与え難い。このため、得られた正孔注入輸送層においては、不純物となる溶剤の影響が低減され、長寿命なデバイスを得ることができるというメリットがある。また、前記調製された正孔注入輸送性材料は、一般式(1)で表される化合物が配位したモリブデン錯体の混合物を主体としたものであり、芳香族炭化水素系溶剤への相溶性が良好であるため、正孔注入輸送性材料は、正孔注入輸送層形成用インク中で均一に溶解又は分散しやすくなる。このため、正孔注入輸送性材料が、インク中及び塗膜中で、凝集が起こし難いというメリットがある。
以下、正孔注入輸送層形成用インクを調製する際に用いられる各成分について説明する。なお、正孔注入輸送性材料、及び溶剤として好適に用いられる芳香族炭化水素系溶剤については前記したとおりであるので、ここでの説明は省略する。
正孔輸送性化合物としては、特に限定されず、正孔輸送性を有する化合物であれば、適宜用いることができる。ここで、正孔輸送性とは、公知の光電流法により、正孔輸送による過電流が観測されることを意味する。
正孔輸送性化合物としては、低分子化合物の他、高分子化合物も好適に用いられる。正孔輸送性高分子化合物は、正孔輸送性を有し、且つ、ゲル浸透クロマトグラフィーのポリスチレン換算値による質量平均分子量が2000以上の高分子化合物をいう。本発明の正孔注入輸送層においては、溶液塗布法により安定な膜を形成することを目的として、正孔輸送性化合物としては有機溶媒に溶解しやすく且つ化合物が凝集し難い安定な塗膜を形成可能な高分子化合物を用いることが好ましい。
また、正孔輸送性高分子化合物としては、例えばアリールアミン誘導体、アントラセン誘導体、カルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フルオレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、スピロ化合物等を繰り返し単位に含む重合体を挙げることができる。
nの平均は、5〜5000であることが好ましく、更に10〜3000であることが好ましい。また、mの平均は、5〜5000であることが好ましく、更に10〜3000であることが好ましい。また、n+mの平均は、10〜10000であることが好ましく、更に20〜6000であることが好ましい。
正孔注入輸送層において、前記正孔輸送性化合物の含有量が少なすぎると、正孔輸送性化合物を混合した相乗効果が得られ難い。一方、前記正孔輸送性化合物の含有量が多すぎると、前記正孔注入輸送性材料を用いる効果が得られ難くなる。
本発明で調製される正孔注入輸送層形成用インクは、本発明の効果を損なわない限り、バインダー樹脂や硬化性樹脂や塗布性改良剤などの添加剤を含んでいても良い。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。また、熱または光等により硬化するバインダー樹脂を含有していてもよい。熱または光等により硬化する材料としては、上記正孔輸送性化合物において分子内に硬化性の官能基が導入されたもの、あるいは、硬化性樹脂等を使用することができる。具体的に、硬化性の官能基としては、アクリロイル基やメタクリロイル基などのアクリル系の官能基、またはビニレン基、エポキシ基、イソシアネート基等を挙げることができる。硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂であっても光硬化性樹脂であってもよく、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、シランカップリング剤等を挙げることができる。
次に、不活性ガス雰囲気下で、前記工程で調製された正孔注入輸送層形成用インクを電極上のいずれかの層上に塗布することにより、正孔注入輸送層を形成する。
ここで電極上のいずれかの層上とは、電極上に直接塗布しても良いし、前述の電極上に形成された別の正孔注入層のような層上に塗布しても良いことを表す。
まず、不活性ガス雰囲気下で、正孔注入輸送層を形成するために、不活性ガス雰囲気下に電極を備えた基板を準備する。
例えば、電極を備えた基板を準備し、例えば10−1Pa程度に排気した後、アルゴン又は窒素等の不活性ガスを導入することにより、不活性ガス雰囲気下に電極を備えた基板を準備することができる。
これらのうち、合成樹脂製の基板を使用する場合には、ガスバリア性を有することが望ましい。基板の厚さは特に限定されないが、通常、0.5mm〜2.0mm程度である。
本発明で製造されるデバイスにおいて、電極は、金属又は金属酸化物で形成されることが好ましく、公知の材料を適宜採用することができる。通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及びスズの少なくとも1つを含む酸化物などの金属酸化物により形成することができる。
本発明においては、電極上に、電荷注入材料との密着安定性を向上させるために、更に金属層を有していても良い。金属層は金属が含まれる層をいい、上述のような通常電極に用いられる金属や金属酸化物から形成される。
次に、不活性ガス雰囲気下で、前記正孔注入輸送層形成用インクを、前記電極上のいずれかの層上に塗布することにより正孔注入輸送層形成用層を形成する。
本発明においては、前記本発明の正孔注入輸送層形成用インクを用いて、溶液塗布法により正孔注入輸送層を形成することにより、正孔注入輸送層の形成の際に蒸着装置が不要で、マスク蒸着等を用いることなく、塗り分けも可能であり、生産性が高い。また、前記本発明の正孔注入輸送層形成用インクを用いて、溶液塗布法により正孔注入輸送層を形成することにより、電極と正孔注入輸送層の界面、及び正孔注入輸送層と有機層界面の密着安定性が高いデバイスを形成することができる。ここで溶液塗布法とは、前記正孔注入輸送層形成用インクを下地となる電極又はいずれかの層上に塗布し、乾燥して正孔注入輸送層を形成する方法である。
次に、不活性ガス雰囲気下で、前記正孔注入輸送層形成用層を乾燥することにより正孔注入輸送層を形成する。
本発明においては、例えば、調製された正孔注入輸送性材料含有溶液をそのまま正孔注入輸送層形成用インクに含有させて正孔注入輸送層形成用インクを調製し、当該正孔注入輸送層形成用インク中に含まれる未反応原料や溶剤を、正孔注入輸送層形成する際の乾燥時に除去することが、正孔注入輸送性材料調製後の溶媒除去工程、減圧蒸留による精製工程等を省略でき、製造効率が向上する点から好ましい。
そのため、乾燥方法や加熱温度は、未反応の前記一般式(1)で表される化合物や溶剤を除去できる方法や温度を適宜選択することが好ましい。
乾燥方法としては、正孔注入輸送層形成用インクに含有される、例えば未反応の前記一般式(1)で表される化合物や溶剤を除去できる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、加熱乾燥、減圧乾燥等の一般的な乾燥方法を適用することができる。
また、加熱乾燥における乾燥時間としては、正孔注入輸送層形成用インクに含有される未反応の前記一般式(1)で表される化合物や溶剤を除去できれば、特に限定されるものではないが、具体的には1分〜60分の範囲内で適宜設定されることが好ましい。乾燥時間が長すぎると生産効率が低下するからである。
本発明で製造されるデバイスにおける正孔注入輸送層は、前記調製された正孔輸送層形成用材料のみを含有する1層からなるものであっても良いし、前記調製された正孔輸送層形成用材料と正孔輸送性化合物を含有する混合層1層からなるものであっても良いし、当該混合層を含む複数層からなるものであっても良い。また、前記正孔注入輸送層は、前記調製された正孔輸送層形成用材料を含有する層と、正孔輸送性化合物を含有する層とが少なくとも積層された複数層からなるものであっても良い。更に、前記正孔注入輸送層は、前記調製された正孔輸送層形成用材料を含有する層と、前記調製された正孔輸送層形成用材料と正孔輸送性化合物とを少なくとも含有する層とが少なくとも積層された層からなるものであっても良い。
本発明に係るデバイスの製造方法で製造されるデバイスは、基板上に対向する2つ以上の電極と、そのうち2つの電極間に配置された正孔注入輸送層を有するデバイスである。
以下、本発明に係るデバイスの製造方法で製造されるデバイスの具体例を説明する。但し、本発明で製造されるデバイスの層構成は、下記例示に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
図5は、本発明に係るデバイスの製造方法で製造されるデバイスの一実施形態である有機EL素子の層構成の別の一例を示す断面模式図である。この有機EL素子は、電極1の表面に補助層として正孔注入層4bが形成され、当該正孔注入層4bの表面に正孔注入輸送層2、機能層として発光層5が積層された形態を有する。
図6は、本発明に係るデバイスの製造方法で製造されるデバイスの一実施形態である有機EL素子の層構成の別の一例を示す断面模式図である。この有機EL素子は、電極1の表面に正孔注入輸送層2、機能層として発光層5が順次積層された形態を有する。このように、本発明に特徴的な正孔注入輸送層を1層で用いる場合には、工程数が削減されるというプロセス上のメリットがある。
なお、上記図4〜図6においては、正孔注入輸送層2、正孔輸送層4a、正孔注入層4bのそれぞれが、単層ではなく複数層から構成されているものであっても良い。
素子の外部に光を放射するため、発光層の少なくとも一方の面に存在する全ての層は、可視波長域のうち少なくとも一部の波長の光に対する透過性を有することを必要とする。また、発光層と電極6(陰極)の間には、必要に応じて電子輸送層及び電子注入層の少なくとも1つが設けられていてもよい(図示せず)。
上記、有機トランジスタは、ゲート電極における電荷の蓄積を制御することにより、ソース電極−ドレイン電極間の電流を制御する機能を有する。
[実施例1]
以下の正孔注入輸送性材料の調製、正孔注入輸送層形成用インクの調製、及び正孔注入輸送層の形成の全ては窒素雰囲気下のグローブボックス中で行った。グローブボックス中は、酸素濃度0.1ppm以下、水分濃度0.1ppm以下であった。
モリブデンヘキサカルボニル(関東化学製)0.66g、ジピバロイルメタン(東京化成製、以下「acac−tBu」と表すことがある)2.3g、及びトルエン20mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、130℃で攪拌しながら、3時間加熱還流し、正孔注入輸送性材料1を含有する赤褐色の反応液(正孔注入輸送性材料含有溶液1)を得た。
上記で得られた正孔注入輸送性材料含有溶液1と、共役系の高分子材料であるポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4’−(N−4−sec−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)](TFB)とを、正孔注入輸送性材料1:TFBが重量比1:2となるように混合し、当該混合物をキシレン中に0.4wt%の濃度で溶解させ、正孔注入輸送層形成用インク1を得た。
なお、正孔注入輸送性材料含有溶液1中の正孔注入輸送性材料1の重量算出は、生成物であるモリブデン錯体の収率を100%、生成物の全てを、前記一般式(II)のR1及びR2がt−ブチル基、X1及びX2が直接結合、m=2で表される化合物(MoO2(acac−tBu)2)であると仮定した値より算出した。
透明陽極付ガラス基板の上に、正孔注入輸送層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、陰極の順番に、下記の手順に従って製膜して積層し、最後に封止して有機EL素子を作製した。透明陽極付ガラス基板の調製以外は、全ての工程を、窒素雰囲気下のグローブボックス中(酸素濃度0.1ppm以下、水分濃度0.1ppm以下)で行った。
まず、陽極として酸化インジウム錫(ITO)の厚み150nmの薄膜付きのガラス基板(三容真空社製)を用いた。当該ガラス基板のITO膜をストリップ状にパターン形成し、得られた基板を、中性洗剤、超純水の順に超音波洗浄し、UVオゾン処理を施した。
次に、前記で得られた正孔注入輸送層形成用インク1を、洗浄された前記陽極上にスピンコート法により塗布した。塗布された基板を、ホットプレートを用いて200℃で30分加熱することにより、未反応のジピバロイルメタン及び溶剤を除去し、正孔注入輸送性材料1を含有する正孔注入輸送層を形成した。乾燥後の正孔注入輸送層の厚みは20nmであった。
上記正孔注入輸送層の上に、発光層として、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy)3)を発光性ドーパントとして含有し、4,4’−ビス(2,2−カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)をホストとして含有する混合薄膜を蒸着形成した。混合薄膜は、圧力が1×10−4Paの真空中で抵抗加熱法によりホストとドーパントの体積比20:1、合計膜厚が30nmになるように共蒸着で形成した。
上記発光層の上に、正孔ブロック層として、ビス(2−メチル−8−キノリラト)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム錯体(BAlq)薄膜を蒸着形成した。BAlq薄膜は、圧力が1×10−4Paの真空中で抵抗加熱蒸着法により膜厚が10nmになるように形成した。
上記正孔ブロック層の上に、電子輸送層として、トリス(8−キノリラト)アルミニウム錯体(Alq3)薄膜を蒸着形成した。Alq3薄膜は、圧力が1×10−4Paの真空中で、抵抗加熱蒸着法により膜厚が40nmになるように成膜した。
上記電子輸送層の上に、電子注入層として厚み0.5nmのフッ化リチウム(LiF)、陰極として厚み100nmのAlを順次、圧力が1×10−4Paの真空中で、抵抗加熱蒸着法により成膜した。
陰極形成後、グローブボックス内で、無アルカリガラスとUV硬化型エポキシ接着剤を用いて封止し、実施例1の有機EL素子を得た。
(1)正孔注入輸送性材料2〜6の調製
実施例1において、ジピバロイルメタンの代わりに、表1に表わされる化学式(1)で表される化合物をそれぞれ用いて、反応液(正孔注入輸送性材料含有溶液2〜6)をそれぞれ得た。
実施例1において、正孔注入輸送性材料含有溶液1の代わりに、上記で得られた正孔注入輸送性材料含有溶液2〜6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして正孔注入輸送層形成用インク2〜6を得た。
実施例1において、正孔注入輸送層形成用インク1の代わりに、正孔注入輸送層形成用インク2〜6をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6の有機EL素子を得た。
特許文献11の実施例と同様に、反応生成物を調製後、大気中に取り出して、未反応のピバロイルメタン及び溶媒除去を行い、大気中で正孔注入輸送層形成用インクを調製した。
(1)比較正孔注入輸送性材料1の製造
モリブデンヘキサカルボニル(関東化学製)0.66g、ジピバロイルメタン(東京化成製)2.3g、及びトルエン20mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、130℃で攪拌しながら、3時間加熱還流し、赤褐色の反応液を得た。得られた反応液が室温になるのを確認してから大気中に取り出し、ガラスチューブオーブンに入れ、真空ポンプにより減圧し、80℃で3時間加熱し、未反応のジピバロイルメタンとトルエンを除去し、黒色固体の反応生成物1(比較正孔注入輸送性材料1)を0.045g得た。
黒色固体の反応生成物1と、共役系の高分子材料であるポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4’−(N−4−sec−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)](TFB)を重量比1:2で混合し、キシレン中に0.4wt%の濃度で溶解させ、比較正孔注入輸送層形成用インク1を得た。
実施例1において、正孔注入輸送層形成用インク1の代わりに、比較正孔注入輸送層形成用インク1を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の有機EL素子を得た。
実施例1で得られた正孔注入輸送性材料1について、TOF−SIMS(ION−TOF社製 TOFSIMS5)により、下記条件により測定を行った。測定結果を図9に示す。
測定により検出された二次イオンは、メインピークが分子量481であり、これは、MoO2(acac−tBu)2(前記一般式(II)で表される化合物において、R1及びR2がt−ブチル基、X1及びX2が直接結合、m=2;分子量497)から酸素原子が1つはずれた質量数(分子量481)に相当していると考えられた。
(TOF−SIMS測定条件)
一次イオン種 : Bi3++
一次イオン加速電圧 : 25kV
一次イオン電流値 : 0.2pA
周波数 : 10kHz
測定面積 : 200μm×200μm
Scan : 128pixel×128pixel×64scan
帯電補正 : 電子照射
有機EL素子の寿命特性は、定電流駆動で輝度が経時的に徐々に低下する様子を観察して評価した。ここでは、比較例1の電流効率、輝度半減寿命を1.00として比較した。
実施例1〜6と比較例1とを比較すると、前記正孔注入輸送性材料を調製する工程から前記正孔注入輸送層を形成する工程までの全工程が不活性ガス雰囲気下で行われることにより、電流効率が向上し、且つ、長寿命化することが分かる。
2 正孔注入輸送層
2a 正孔注入輸送層形成用層
3 有機層
4a 正孔輸送層
4b 正孔注入層
5 発光層
6 電極
7 基板
8 有機半導体層
9 電極
10 絶縁層
100 有機デバイス
Claims (3)
- 基板上に対向する2つ以上の電極と、そのうち2つの電極間に配置された正孔注入輸送層を有するデバイスの製造方法であって、
モリブデン錯体と下記一般式(1)で表される化合物との混合物を加熱して正孔注入輸送性材料を調製する工程と、
前記正孔注入輸送性材料を含む正孔注入輸送層形成用インクを、前記電極上のいずれかの層上に塗布することにより、正孔注入輸送層を形成する工程を有し、
前記正孔注入輸送性材料を調製する工程から前記正孔注入輸送層を形成する工程までの全工程が不活性ガス雰囲気下で行われることを特徴とする、デバイスの製造方法。
- 前記正孔注入輸送性材料として、下記一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)で表される化合物よりなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイスの製造方法。
- 下記一般式(I)〜(III)で表される化合物よりなる群から選択される1種以上を含む、正孔注入輸送性材料。
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