JP2015060666A - 空気電池、空気電池用負極及び空気電池ユニット - Google Patents

空気電池、空気電池用負極及び空気電池ユニット Download PDF

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Abstract

【課題】負極で発生した電子を効率よく正極まで伝達させることで、高い放電容量、電力及び電圧を有するとともに、マイクロメートルオーダーのVB2粒子を粉砕せずに用いることで、簡易な工程且つ低コストで製造可能な空気電池を提供する。【解決手段】二ホウ化バナジウムを少なくとも含み、0.5μm以上800μm以下の平均粒子径を有する負極活物質と、前記負極活物質の平均粒子径未満の平均粒子径を有する第1導電材料と、を含有する負極110と、酸素を正極活物質とする正極130と、負極110と正極130との間で水酸化物イオンを伝導する電解質150と、を備える、空気電池100。【選択図】図3

Description

本発明は、酸素を正極活物質とする正極を有する空気電池、該空気電池に用いる負極、及び該空気電池のセルが複数接続された空気電池ユニットに関する。
近年、負極活物質として金属単体又はその合金あるいは金属化合物を、正極活物質として酸素を利用した電池である空気電池の研究が盛んに行われている。この空気電池は、正極活物質として空気中の酸素を利用するため、電池内に正極活物質を充填する必要が無く、その分、負極活物質を多量に充填することができる。そのため、理論上、空気電池は、固体の正極活物質を用いる電池よりも大きな容量を実現することができる。空気電池の負極には、例えば、亜鉛、リチウム、アルミニウム、マグネシウム、鉄等の化学的に卑な金属Mが用いられ、正極(空気極)には、炭素、金属、合金等を多孔質とし、酸素還元触媒が塗布されたガス拡散電極が用いられる。空気中の酸素がこのガス拡散電極に取り込まれることにより、下記式に示す放電反応が進行する。
負極:M→Mn++ne
正極:O+2HO+4e→4OH
また、負極には、上記金属Mだけでなく、金属Mの合金や金属化合物を用いることもできる。このような負極活物質に金属化合物を用いた電池の一例として、負極活物質に、二ホウ化チタン、二ホウ化バナジウム(VB)、ホウ化アルミニウム等の還元ホウ素含有化合物を用いた空気電池が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1に記載された空気電池によれば、還元ホウ素含有化合物を使用することで、放電反応により多量の電子が発生し、高エネルギー密度の電池を作製できるとされている。
しかし、上記特許文献1に記載された空気電池のように、単に、負極活物質に還元ホウ素含有化合物を用いただけでは、1つの還元ホウ素含有化合物からの電子の発生量が多いとしても、電気化学反応(放電反応)に関わる面積(負極活物質の比表面積)が小さい場合には、全体として電子の発生量が少ないため、十分な放電容量、電力及び電圧を得ることができない、という問題があった。
これに対して、負極活物質に、1重量%以上の二ホウ化バナジウム(VB)のナノ粒子を用いた空気電池が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。この特許文献2に記載された空気電池では、負極に用いるVBとして、マイクロメートルオーダーのVB粒子を所定の方法で粉砕したナノメートルオーダーの粒子を用いることで、電気化学反応に関わる面積(反応サイトの面積)を大きくして(VBのエネルギー密度の高さを活かして)多量の電子を発生させることで、放電容量、電力及び電圧を改善できるとしている。また、特許文献2には、マイクロメートルオーダーのVB粒子の粉砕方法に特定の方法を用いることで、電子移動が促進された結果として生ずるVBの分解のリスクを軽減するとともに、VBナノ粒子の粒径のバラツキが大きくなることによる負極の機能低下を防止する点についても記載されている。
特表2002−500804号公報 国際公開第2012/021607号
しかしながら、上記特許文献2に記載された空気電池では、たとえ多量の電子が発生したとしても、VB自体の導電性が低いため、負極で発生した電子を効率よく正極まで伝達することができない。したがって、特許文献2に記載された空気電池においても、依然として、十分に高い放電容量、電力及び電圧を得ることができなかった。
また、上記特許文献2に記載された空気電池では、マイクロメートルオーダーのVB粒子をナノメートルオーダーの粒子に粉砕するという余分な工程が必要であるとともに、当該粉砕工程自体も特殊で複雑な工程であることから、工程が煩雑になるとともにコストアップの要因となっていた。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、負極で発生した電子を効率よく正極まで伝達させることで、高い放電容量、電力及び電圧を有するとともに、マイクロメートルオーダーのVB粒子を粉砕せずに用いることで、簡易な工程且つ低コストで製造可能な空気電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、負極活物質としてナノメートルオーダーの粒径を有する二ホウ化バナジウムを用いると共に、この活物質の導電性を補助する導電助剤として、二ホウ化バナジウムの平均粒子径未満の平均粒子径を有する第1導電材料を用いることにより、放電時の電子移動を促進し、導電性を向上させることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。なお、導電助剤として、二ホウ化バナジウムの平均粒子径以上の平均長さを有する第2導電材料を上記第1導電材料と併用することで、更に放電時の電子移動を促進することができる。
すなわち、本発明は、二ホウ化バナジウムを少なくとも含み、0.5μm以上800μm以下の平均粒子径を有する負極活物質と、前記負極活物質の平均粒子径未満の平均粒子径を有する第1導電材料と、を含有する負極と、酸素を正極活物質とする正極と、前記負極と前記正極との間で水酸化物イオンを伝導する電解質と、
を備える、空気電池である。
前記負極が、前記負極活物質の平均粒子径以上の平均長さを有する第2導電材料を更に含有していてもよい。
前記第1導電材料が、前記負極活物質100質量部に対して0.5質量部以上50質量部以下含有されており、前記第2導電材料が、前記負極活物質100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下含有されていることが好ましい。
前記第1導電材料及び前記第2導電材料が導電性カーボンであることが好ましい。
前記第1導電材料がカーボンブラック、黒鉛及び活性炭からなる群より選ばれる少なくとも一種の導電性カーボンであり、前記第2導電材料がグラフェン、カーボンナノチューブ及び炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも一種の導電性カーボンであることが好ましい。
前記負極の集電体の材質がグラファイト又はアルカリ環境下で反応不活性な金属であることが好ましい。
前記負極では、前記負極活物質、前記第1導電材料及び前記第2導電材料を含む放電領域が互いに離隔した状態で複数に分割されていてもよい。
前記集電体が、互いに分離した複数の放電セルを有し、且つ、隣接する前記放電セル間には隔壁が設けられており、各々の前記放電セル内に、前記放電領域として、前記負極活物質、前記第1導電材料及び前記第2導電材料を含有する負極活物質層を有していてもよい。
前記電解質が、水系又は非水系の電解液であり、前記負極と前記正極とを電気的に絶縁するセパレータをさらに備え、前記セパレータが、前記電解液を含浸可能であってもよい。
前記負極が、前記空気電池に対して着脱可能に設けられていてもよい。
前記負極活物質が、水酸化物イオンと反応して電子を発生させるとともに前記反応により水酸化物となる金属で二ホウ化バナジウム粒子を包摂したVB/金属複合体であってもよい。
前記金属が、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム及びこれらの合金からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属であってもよい。
前記VB/金属複合体が、導電性カーボンで包摂された二ホウ化バナジウム粒子を更に前記金属で包摂したものであってもよい。
前記二ホウ化バナジウムを包摂する導電性カーボンが、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、グラフェン、グラファイト、炭素繊維、黒鉛及び活性炭からなる群より選ばれる少なくとも一種であってもよい。
前記金属に包摂される二ホウ化バナジウムの平均粒子径が、0.5μm以上500μm以下であってもよい。
また、本発明は、酸素を正極活物質とする正極を有する空気電池用の負極であって、二ホウ化バナジウムを少なくとも含み、0.5μm以上800μm以下の平均粒子径を有する負極活物質と、前記負極活物質粒子の平均粒子径未満の平均粒子径を有する第1導電材料と、を含有する、負極である。
前記負極活物質の平均粒子径以上の平均長さを有する第2導電材料を更に含有していてもよい。
また、本発明は、上述した空気電池のセルを複数有する、空気電池ユニットである。
本発明によれば、負極材料として、二ホウ化バナジウムの導電性を補助する導電補助剤として、特定の大きさを有する導電材料を用いることで、導電性が向上し、これにより、マイクロメートルオーダーのVB粒子を粉砕することなく簡易な工程且つ低コストで、高い放電容量、電力及び電圧を有する空気電池を得ることが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る空気電池の外観構成を示す斜視図である。 図1に示した空気電池の平面図である。 同実施形態に係る空気電池の内部構成を示す分解斜視図である。 同実施形態に係る正極の構成を示す分解斜視図である。 同実施形態の変更例に係る負極活物質の構成を示す模式図である。 同実施形態に係る負極活物質層中のVB、第1導電材料及び第2導電材料の存在形態を示す模式図である。 同実施形態の変更例に係る負極の構成を示す斜視図である。 同実施形態の別の変更例に係る負極と正極の接続方法を示す斜視図である。 同実施形態に係る負極の製造方法を示す説明図である。 同実施形態の変更例に係るVB/金属複合体の製造装置の構成を示す模式図である。 同実施形態に係る空気電池ユニットの全体構成を示す斜視図である。 図11に示した空気電池ユニットの平面図である。 同実施形態に係る空気電池ユニットの組立方法を示す分解斜視図である。 同実施形態に係る空気電池の動作原理を説明するための模式図である。 本発明の第2実施形態に係る空気電池の外観構成を示す斜視図である。 図15に示した空気電池の平面図である。 同実施形態に係る空気電池の内部構成を示す分解斜視図である。 同実施形態に係る空気電池ユニットの全体構成を示す斜視図である。 図18に示した空気電池ユニットの平面図である。 同実施形態に係る空気電池ユニットの組立方法を示す分解斜視図である。 本発明の実施例における単セルでの放電カーブを示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面においては、同一の符号が付された構成要素は、実質的に同一の構造または機能を有するものとする。
なお、本発明に係る空気電池、空気電池用負極、空気電池ユニットについては、以下の順序で説明する。
1 第1実施形態
1−1 空気電池の構成
1−2 空気電池の製造方法
1−3 空気電池ユニットの構成
1−4 空気電池ユニットの組立方法
1−5 空気電池の動作原理
1−6 空気電池及び空気電池ユニットの用途・使用方法
2 第2実施形態
2−1 空気電池の構成
2−2 空気電池の製造方法
2−3 空気電池ユニットの構成
2−4 空気電池ユニットの組立方法
≪第1実施形態≫
本発明の第1実施形態に係る空気電池及び空気電池ユニットについて説明する。なお、本実施形態における「空気電池ユニット」とは、空気電池の単位セル(本実施形態では、空気電池セル100)を複数接続してなるユニットを意味する。
<空気電池セル100の構成>
まず、図1〜図7を参照しながら、本実施形態に係る空気電池セル100の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る空気電池セル100の外観構成を示す斜視図である。図2は、図1に示した空気電池セル100の平面図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図を示している。図3は、本実施形態に係る空気電池セル100の内部構成を示す分解斜視図である。図4は、本実施形態に係る正極130の構成を示す分解斜視図である。図5は、本実施形態の変更例に係る負極活物質(VB/金属複合体)の構成を示す模式図であり、(a)は放電反応前の状態を、(b)は放電反応後の状態を示している。図6は、本実施形態に係る負極活物質層112中のVB、第1導電材料及び第2導電材料の存在形態を示す模式図である。図7は、本実施形態の変更例に係る負極120の構成を示す斜視図である。
図1〜図4に示すように、本実施形態に係る空気電池セル100は、燃料極としての負極(アノード)110と、空気(酸素)極としての正極(カソード)130と、本実施形態に係る電解質の一例としての電解質150と、必要に応じてセパレータ160と、を備える。空気電池セル100では、筐体101の内部に、板状の負極110を表側及び裏側から挟むようにして2枚のシート状の正極130が配置されている。
より詳細には、袋状のセパレータ160により負極110の負極集電体111及び負極活物質層112全体が覆われた状態で、負極110が、内部に正極130が配置された筐体101の開口部101aから筐体101内部に収容される。さらに、負極110及び正極130が筐体101の内部に収容された状態で、開口部101aから電解質150が筐体101内部に注入される。このとき、電解質150は、セパレータ160の内部(電解質150と負極110とが接触している状態)及び外部(電解質150と正極130とが接触している状態)に存在している。以上のような状態で、キャップ105により、開口部101aが封止される。
筐体101は、図4に示すように、筐体フレーム102と、表面カバー103と、裏面カバー104とからなる。筐体フレーム102は、開口部102aを有し、この開口部102aを筐体フレーム102の表裏両面側から覆うように、表面カバー103及び裏面カバー104が筐体フレーム102に取り付けられる。具体的には、表面カバー103及び裏面カバー104の周縁部が、開口部102aの周縁部と嵌合することで、表面カバー103及び裏面カバー104が筐体フレーム102に取り付けられる。なお、本実施形態では、開口部102aの略中央部に、筐体フレーム102の高さ方向に延設された区画部材102bが設けられている。この区画部材102bは、必要に応じて設けられていればよく、後述するように、開口部102aの区画部材102bで区切られた2つの領域の夫々に、正極120が配置される。また、表面カバー103及び裏面カバー104の略中央部には、それぞれ、開口部103a及び開口部104aが設けられており、開口部103a及び開口部104aは、それぞれ、格子状の仕切り103b及び仕切り104bにより、複数の区画に分割されている。これらの仕切り103b、104bは、必要に応じて設ければよいが、仕切り103b、104bを設けることで、筐体101の機械的強度を高めたり、後述する撥水性酸素透過シート133(図4等を参照)が損傷することを抑制することができる。
また、キャップ105は、筐体フレーム102の上部に設けられた開口部101aを覆うように、筐体フレーム102の上部と嵌合するようにして取り付けられる。キャップ105は、スライド部材106により一方向(例えば、図3のx軸方向)にスライド可能なように構成されている。スライド部材106には係合突起106aが設けられており、この係合突起106aが、キャップ105に設けられた開口部105aの周縁部に係合した状態で、キャップ105がスライド部材106に対して上記一方向にスライドすることで、キャップ105が筐体101に対して着脱可能となっている。例えば、図1〜図3に示されているキャップ105の上面に表示された“OPEN”の方向にキャップ105をスライドさせると、キャップ105を筐体101から取り外すことができ、キャップ105の上面に表示された“CLOSE”の方向にキャップ105をスライドさせると、キャップ105を筐体101に取り付けることができる。
なお、本実施形態では、1つの空気電池セル100が、2組の電極対(1つの負極110とその両面側に配置された2つの正極130の対)を有しているが、これは、空気電池セル100の放電容量を大きくするための構成であって、本発明に係る空気電池の用途によって比較的小さな放電容量でも使用可能な場合には、1つの空気電池セル100が、1組の電極対のみを有していてもよい。一方、本発明に係る空気電池の用途によって非常に大きな放電容量を必要とする場合には、1つの空気電池セル100が3組以上の電極対を有していてもよい。
[負極110]
負極110は、空気電池セル100の燃料極として機能する電極であり、例えば、図3に示すように、負極集電体111と、負極活物質層112と、電極側負極端子113と、セル側負極端子114と、を主に有する。
(負極集電体111)
負極集電体111は、導電性を有する略板状の部材であり、負極活物質を保持し、電流を負極活物質に供給する役割を有する。
〔材質〕
このような負極集電体111の材質としては、導電性を有する材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、クロム、金、白金、銀、銅等の導電性に優れる金属や、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等)、グラフェン、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の導電性カーボンを使用することができる。ただし、負極集電体111の材質としては、グラファイト又はアルカリ環境下で反応不活性な金属(例えば、真鍮等)を使用することが好ましい。負極集電体111の材質としてグラファイト又はアルカリ環境下で反応不活性な金属を使用することにより、燃料であるVBが酸化還元反応しても、負極集電体111自体が酸化還元反応しなくなるため、電池の内部抵抗が上昇することを抑制できる。また、負極活物質層112には、負極活物質の導電性を付与する導電助剤として第1導電材料と(必要に応じて)第2導電材料が含まれているが、これらの導電助剤として導電性のカーボン(例えば、カーボンブラックやグラフェン)を使用した場合には、負極集電体111の材質をグラファイトとすることが好ましい。負極集電体111としてグラファイトを使用し、負極活物質層112中の導電助剤として導電性カーボンを使用することで、負極集電体111と負極活物質層112との熱膨張率が同程度となるため、放電反応等により空気電池セル100内の温度が上昇した場合に、負極活物質層112を負極集電体111から剥離し難くすることができる。
〔形状〕
負極集電体111は、略板状の形状を有しているが、その表裏両面側に複数の溝部111aが設けられている。各溝部111aは、その長さ方向が負極集電体111の長手方向に直交する方向であり、その幅方向が負極集電体111の長手方向となるように設けられ、複数の溝部111aが、負極集電体111の長手方向に沿って並ぶように配置されている。また、各溝部111aが互いに離隔して配置されるように、隣り合う溝部111a間に隔壁111bが設けられている。この隔壁111bの幅(負極集電体111の長手方向の長さ)は、各溝部111aが物理的に離隔していれば特に制限されるものではない。また、溝部111aの側断面(図3のYZ平面に平行な面)の形状も特に制限されず、例えば、略矩形状、略三角形状、略多角形状、略円弧状等、任意の形状とすることができる。
(負極活物質層112)
負極活物質層112は、上述した負極集電体111の溝部111aに設けられ、空気電池セル100の放電の際の燃料となる負極活物質を含む層である。この負極活物質層112は、必須成分として、二ホウ化バナジウム(VB)と、第1導電材料とを含有する。ここで、本実施形態において、負極活物質(燃料)としてVBを用いているのは、VBは放電反応により11個の電子を発生させることから、エネルギー密度が高く(亜鉛空気電池の約5倍)、その結果、空気電池セル100の放電容量も増えるためである。理論的には、負極活物質としてVBを使用すると、VB 1kg当たり5000Ahの容量とすることが可能である。
また、本実施形態では、負極集電体111の両面に負極活物質層112が設けられており、これに対応して、後述するように、正極130も負極110の両面側に設けられている。従って、より多くの酸素を正極130の燃料として使用でき、さらには、これにより、負極活物質としてのVBも効率良く反応させることができるため、放電効率を向上させることができる。なお、本発明に係る空気の電池の負極としては、負極活物質層を集電体の両面に有するもののみならず、片面のみに有するものであってもよい。
さらに、負極集電体111に負極活物質層112が設けられた構造ではなく、集電体材料とVBと、第1導電材料と、(必要に応じて)第2導電材料とを含有するスラリーを焼結させ、集電体と負極活物質層を一体化させたものを本発明に係る空気電池の負極として用いてもよい。この際、負極活物質であるVBや、第1導電材料(及び第2導電材料)が、負極中に均一に分散していることが好ましい。均一分散していることにより、一部分に集中的にVBの放電反応が起こることによる内部抵抗の上昇等を抑制することができる。
〔二ホウ化バナジウム〕
本実施形態に係る負極活物質層112に含まれるVBは、空気電池セル100の負極活物質(燃料)として用いられ、マイクロメートルオーダーの粒子径を有する粒子である。本実施形態では、上述した特許文献2に記載された電池のように、マイクロメートルオーダーの粒子径を有するVBをナノメートルオーダーの粒子径になるまで粉砕することなく、そのまま用いることができる。これは、本実施形態では、VBの導電性を補助する導電助剤として、特定の形状及びサイズを有する第1導電材料及び第2導電材料を用いていることから、VBの粒子径が大きくても、負極活物質層112(ひいては負極110全体として)が十分な導電性を有することができるためである。なお、このように十分な導電性を有することができる詳細な理由については後述する。
本実施形態に係るVBの粒子径としては、具体的には、平均粒子径が0.5μm以上500μm以下である。平均粒子径が0.5μm未満であると、取扱いが困難となり、また、後述するようにVB粒子を金属で包摂する場合に包摂することが困難となるとともに、生産効率が悪いため好ましくない。一方、平均粒子径が500μmを超えると、比表面積が小さくなり放電反応に使用される反応サイトの面積が小さくなり、大電流放電が困難となるため好ましくない。また、実用上の観点から、VBの平均粒子径は、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましい。一方、電池放電の観点から、VBの平均粒子径は、100μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。
なお、本実施形態におけるVBの平均粒子径としては、走査型電子顕微鏡により任意の100個の粒子を撮影し、撮影した写真を画像解析することで100個の粒子の粒子径を測定し、これらを平均した値を用いることとする。
〔VB/金属複合体〕
ここで、本実施形態では、負極活物質として、上述したVB粒子の代わりに、水酸化物イオンと反応して電子を発生させるとともに前記反応により水酸化物となる金属でVB粒子を包摂したVB/金属複合体を用いてもよい。以下、図5を参照しながら、このVB/金属複合体について説明する。
図5(a)に示すように、VB/金属複合体は、空気電池セル100の負極活物質(燃料)として用いることができ、上述したように、水酸化物イオンと反応して電子を発生させるとともに当該反応により水酸化物となる金属(包摂金属)でVB粒子が包摂されたものである。本実施形態では、図5(a)に示すように、VB粒子の表面をカーボンナノチューブ(CNT)等の導電性カーボンで包摂し、さらにその表面を亜鉛(Zn)等の包摂金属で包摂しているが、導電性カーボンは必ずしも使用しなくてもよい。
このような包摂金属としては、水酸化物イオンと反応して電子を発生させる(すなわち、本空気電池における負極活物質としての機能を有する)とともに、当該反応により水酸化物となる金属(すなわち、放電反応後に放電反応に対する活性が無い金属水酸化物となる)であれば特に制限されるものではない。本実施形態で使用可能な包摂金属の具体例としては、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム及びこれらの合金等が挙げられ、これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
以上のような包摂金属を用いることで、包摂金属自身の放電反応により電子が発生する分、負極活物質としてVBを単独で用いる場合よりも発生する電子の量が多くなることから、放電容量を更に高めることができる。また、包摂金属の放電反応により、図5(b)に示すように[Zn(OH)]2−等の金属水酸化物を生成するが、この金属水酸化物は、放電反応に対する活性が無いことから、このような反応不活性な物質によりVBの表面が覆われ、VBが保護されることから、VBの自己放電を防止することができる。さらに、VBの放電反応の結果、図5(b)に示すようにV及びBが生成されるが、これらの生成物が包摂金属の放電反応の触媒としての効果(以下、「内部触媒効果」と記載する。)も有することから、包摂金属の放電反応も促進することができる。
ここで、VB/金属複合体が、導電性カーボンで包摂されたVB粒子を更に包摂金属で包摂したものであることが好適である。この導電性カーボンは、VB粒子表面の界面活性を高めてVB粒子表面への包摂金属の吸着を促進する機能を有する。すなわち、導電性カーボンがVB粒子と包摂金属との間に存在することで、包摂金属がVB粒子の表面に吸着しやすくなる。また、導電性カーボンは、VBの放電反応で発生した電子が包摂金属まで到達する際の経路としての役割も有する。すなわち、導電性カーボンがVB粒子と包摂金属との間に存在することで、VBの放電反応により発生した電子が、導電性カーボン及び包摂金属を通って、正極まで伝達され易くなる。
以上のような役割を有するVBを包摂する導電性カーボンとしては、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、グラフェン等のナノサイズの導電性カーボンや、グラファイト、炭素繊維、黒鉛及び活性炭等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの導電性カーボンのうち、ナノサイズの導電性カーボンが好適であり、更に、比表面積が大きくVB粒子の表面を密に覆うことができるとともに、導電性に優れるという点で、カーボンナノチューブを使用することが特に好適である。
また、本実施形態に係るVB/金属複合体は、マイクロメートルオーダーの粒子径を有する粒子であることが好適である。本実施形態では、上述した特許文献2に記載された電池のように、マイクロメートルオーダーの粒子径を有するVB粒子をナノメートルオーダーの粒子径になるまで粉砕することなく、そのまま用いることができる。これは、本実施形態では、VBの導電性を補助する導電助剤として、特定の形状及びサイズを有する第1導電材料及び第2導電材料を用いていることから、VBの粒子径が大きくても、負極活物質層112(ひいては負極110全体として)が十分な導電性を有することができるためである。なお、このように十分な導電性を有することができる詳細な理由については後述する。
本実施形態に係るVB/金属複合体の粒子径としては、具体的には、平均粒子径が30μm以上800μm以下であることが好ましい。平均粒子径が30μm未満であると、複合体の製造が困難となるため好ましくない。一方、平均粒子径が800μmを超えると、大電流放電が困難となるため好ましくない。また、放電特性の観点から、VB/金属複合体の平均粒子径は、50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。一方、製造コストお帯電池の放電特性の観点から、VB/金属複合体の平均粒子径は、700μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。
この場合に、包摂金属に包摂されるVB粒子の平均粒子径は、上述した負極活物質としてVB粒子単独で用いる場合と同様である。なお、本実施形態におけるVB/金属複合体の平均粒子径の測定法は、VB粒子と同様である。
〔第1及び第2導電材料〕
本実施形態に係る負極活物質層112に含まれるナノメートルオーダーの粒子径を有するVB粒子は、それ自体の導電性が低く、このような粒子を固めて使用すると内部抵抗が大きくなってしまうため、空気電池セル100の性能が低下してしまう。そこで、本実施形態では、負極活物質層112中に、負極活物質として用いるVB粒子の導電性を補助して内部抵抗を小さくするために、導電助剤として、第1導電材料(及び第2導電材料)が含まれている。すなわち、導電助剤である第1導電材料(及び第2導電材料)は、VBの放電反応により発生した電子を集電体に伝導し易くするという役割を有する。
ここで、図6を参照しながら、負極活物質層112中におけるVB粒子、第1導電材料及び第2導電材料の存在形態について説明する。図6に示すように、第2導電材料は、隣接又は近接する複数のVB粒子(以下、「VB」又は「VB粒子」と記載した場合、明らかに不適切な場合を除き、それぞれ「VB/金属複合体」又は「VB/金属複合体粒子」も含むものとする。)間を橋架けして、複数のVB粒子間の電荷移動を促進する役割を有する。また、第1導電材料は、第2導電材料により橋架けされたVB粒子の間やその周囲の空間を埋めるように存在し、VB粒子間又はVB粒子と第2導電材料との間の電荷移動を促進する役割を有する。この詳細な機構は明らかではないが、本発明者らは、第1導電材料を(必要に応じて第2導電材料も併せて)VBとともに用いることで、VBの放電反応により発生した電子が流れるネットワークやチャンネルのようなものが形成されるため、電子移動が促進されるものと推測している。このように、第1導電材料及び第2導電材料は、負極活物質としてのVBの導電性を補助する導電助剤としての役割を有している。なお、第1導電材料及び第2導電材料は、後述するバインダの働きを補助する、すなわち、VB粒子同士の結着を助ける役割も有する。
このように、第2導電材料は、主に、隣接又は近接する複数のVB粒子間を橋架けする役割を有することから、隣接又は近接する少なくとも2つのVB粒子に届くように、VB粒子の半径の2倍以上、すなわち、VB粒子の平均粒子径以上の平均長さを有することが必要である。ここでの第2導電材料の「平均長さ」とは、第2導電材料(粒子)の長さ、幅、高さ、直径(楕円であれば長径)等を含む一次元的な長さを第1導電材料の粒子数で除した数平均長さを表している。本実施形態では、第2導電材料(粒子)の長さ、幅、高さ、直径(楕円であれば長径)等のうち、少なくとも最大の長さを示すパラメータの数平均値が、VB粒子の平均粒子径以上であればよい。より確実にVB粒子間を橋架けするためには、第2導電材料の平均長さは、VB粒子の平均粒子径の1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましい。一方、第2導電材料が大き過ぎると、VB粒子や第1導電材料との結着力が低下することから、第2導電材料の平均長さは、VB粒子の平均粒子径の50倍以下であることが好ましい。なお、第2導電材料の平均長さとしては、走査型電子顕微鏡により任意の100個の粒子を撮影し、撮影した写真を画像解析することで100個の粒子の粒子径を測定し、これらを平均した値を用いることとする。
第2導電材料としても使用可能な物質としては、導電性を有していれば特に制限されるものではなく、例えば、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、クロム、金、白金、銀、銅等の導電性に優れる金属や、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等)、グラフェン、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の導電性カーボンを用いることができる。これらのうち、VB粒子の結着力を高めたり、内部抵抗を低減したりする等の観点から、金属よりも導電性カーボンを用いることが好ましい。さらに、VB粒子の橋架けをするのに適した形状であることから、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等のアスペクト比の大きな粒子を用いることが特に好ましい。
また、第1導電材料は、主に、第2導電材料により橋架けされたVB粒子の間やその周囲の空間を埋める役割を有することから、VB粒子の間に入り込めるように、VB粒子の平均粒子径未満の平均粒子径を有することが必要である。第1導電材料とVB粒子との結着力を高めるためには、第1導電材料の粒子径が小さい方がよく、具体的には、平均粒子径が3μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。一方、第1導電材料の粒子径が小さ過ぎると、負極活物質層112の形成時の作業性が低下することから、平均粒子径が0.02μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましい。なお、第1導電材料の平均粒子径としては、走査型電子顕微鏡により任意の100個の粒子を撮影し、撮影した写真を画像解析することで100個の粒子の粒子径を測定し、これらを平均した値を用いることとする。
第1導電材料としても使用可能な物質としては、第2導電材料と同様に、導電性を有していれば特に制限されるものではなく、例えば、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、クロム、金、白金、銀、銅等の導電性に優れる金属や、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等)、グラフェン、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の導電性カーボンを用いることができる。これらのうち、VB粒子の結着力を高めたり、内部抵抗を低減したりする等の観点から、金属よりも導電性カーボンを用いることが好ましい。さらに、第2導電材料により橋架けされたVB粒子の間やその周囲の空間を埋めるのに適した形状であることから、カーボンブラック等のアスペクト比が1に近い(球形に近い)粒子を用いることが特に好ましい。また、カーボンブラックの中でも、導電性が特に高いことから、アセチレンブラックを用いることが好適である。
また、第2導電材料としてグラフェン等の導電性カーボンを用い、第1導電材料としてカーボンブラック等の導電性カーボンを用い、且つ、上述した負極集電体111の材料としてグラファイト等の導電性カーボンを用いた場合には、上述したように、負極集電体111と負極活物質層112に共にカーボンが含まれることから、両者の熱膨張率が同程度となるため、放電反応等により空気電池セル100内の温度が上昇した場合にも、負極集電体111と負極活物質層112との間に隙間が生ずることを抑制したり、負極活物質層112を負極集電体111から剥離し難くしたりすることができる。
なお、第1導電材料と第2導電材料は必ずしも両方とも含まれていないと、導電性向上の効果が得られないわけではなく、少なくとも第1導電材料が含まれていれば、導電性の向上効果が得られる。
〔バインダ〕
負極活物質層112には、上述したVB、第1導電材料(及び第2導電材料)を結着させるためのバインダも含まれている。このバインダの種類は、特に限定されるものではなく、活物質層の製造に用いられる公知のバインダを用いることができる。本実施形態に係るバインダとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルピロリドン(PVP)等を用いることができる。電解質として、例えば、KOH等の水溶液を用いる場合には、バインダとしては、水溶性の材料や耐アルカリ性の低い材料を使用しないことが好ましい。
〔その他の成分〕
負極活物質層112には、その他、空気電池、燃料電池、その他の二次電池の負極材料として使用可能な公知の成分を含めることができる。
〔各粒子の分散状態〕
本実施形態では、VB粒子、第1導電材料(及び第2導電材料)が均一に分散されていることが好ましい。これにより、VB粒子と第1(及び第2)導電材料との接触点が多くなることから、電子移動を促進する効果が高くなり、導電性を高くすることができる。なお、均一分散状態を得るためにはビーズミル、ボールミール、超音波等の撹拌機能を持つ機械を用いて、VB/金属複合体粒子、第1導電材料及び第2導電材料を含むスラリーの分散処理をすることが望ましい。
〔各成分の含有量〕
負極活物質層112における第1導電材料の含有量は、VB100質量部に対して0.5質量部以上50質量部以下であることが好ましい。第1導電材料の含有量が0.5質量部未満であると、電子移動を促進させる効果が不足し、十分な導電性が得られない結果、空気電池セル100の放電容量が不十分となってしまう恐れがある。第1導電材料の含有量が50質量部を超えると、導電助剤の分散性が悪くなったり、バインダによるVBと導電助剤との結着力が低下したりするため、やはり十分な導電性が得られない結果、空気電池セル100の放電容量が不十分となってしまう恐れがある。また、VBを十分に含めることができないため、エネルギー密度が低下する結果、空気電池セル100の放電容量が不十分となってしまう恐れがある。より好適には、負極活物質層112における第1導電材料の含有量は、VB100質量部に対して3質量部以上15質量部以下であるか、あるいは、負極活物質層112における第1導電材料の含有率が3〜15質量%である。
負極活物質層112に第2導電材料を含む場合、当該第2導電材料の含有量は、VB100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。第2導電材料の含有量が0.1質量部未満であると、電子移動を促進させる効果が不足し、十分な導電性が得られない結果、空気電池セル100の放電容量が不十分となってしまう恐れがある。第2導電材料の含有量が50質量部を超えると、導電助剤の分散性が悪くなったり、バインダによるVBと導電助剤との結着力が低下したりするため、やはり十分な導電性が得られない結果、空気電池セル100の放電容量が不十分となってしまう恐れがある。また、VBを十分に含めることができないため、エネルギー密度が低下する結果、空気電池セル100の放電容量が不十分となってしまう恐れがある。より好適には、負極活物質層112における第2導電材料の含有量は、VB100質量部に対して0.2質量部以上5質量部以下であるか、あるいは、負極活物質層112における第2導電材料の含有率が0.2〜5質量%である。
また、負極活物質層112が第1導電材料と第2導電材料の両方を含む場合、第1導電材料と第2導電材料との質量比(第1導電材料の質量/第2導電材料の質量)が、3以上50以下であることが好ましく、5以上20以下であることがより好ましい。上記質量比が3未満であると、長繊維導電助剤のネットワークが十分に形成できないため好ましくなく、50超としても、導電性は変わらないため経済性の観点から好ましくない。
また、負極活物質層112におけるバインダの含有量は、VB及び導電助剤の含有量に応じて適宜決めればよく、例えば、バインダがVB及び導電助剤以外の残部(負極活物質層112におけるVB、導電助剤及びバインダの合計の含有量が100質量%)となるようにすればよい。
(電極側負極端子113、セル側負極端子114)
負極110は、上述した負極集電体111及び負極活物質層112に加えて、更に、電極側負極端子113及びセル側負極端子114を有する。電極側負極端子113は、負極集電体111に取り付けられた本体部113aと、本体部113aに連設された端子部113bとからなる。本体部113aは、略矩形板状の形状を有し、その一側の辺部がネジ115等により負極集電体111に固定されている。また、本体部113aの集電部111に固定された辺とは別の辺部から突出するように、細長い板状の端子部113bが連設されている。この端子部113bは、セル側負極端子114と端子支持部材116を介して電気的に接続されている。
セル側負極端子114は、端子受け部114aと、端子部114bとからなる。端子受け部114aには、端子支持部材116が固定される。端子支持部材116は、上面側に切れ込み116aが形成されており、端子受け部114aに固定された端子支持部材116の切れ込み116aに電極側負極端子113の端子部113bが嵌め込まれる。このとき、電極側負極端子113、セル側負極端子114、端子支持部材116の全てが金属等の導電性の材質であるため、電極側負極端子113とセル側負極端子114とが電気的に接続される。
また、セル側負極端子114の端子部114bは、筐体フレーム102の一辺に設けられた貫通孔102cに挿入され、ワッシャーやナット等(ともに図示せず。)により筐体フレーム102に固定される。
なお、本実施形態では、電極側負極端子113とセル側負極端子114とを確実に電気的に接続するために、電極側負極端子113の端子部113bの厚みと略同一の幅の切れ込み116aを有する端子支持部材116を用いているが、上記確実な電気的接続が可能であれば、端子支持部材116を用いなくてもよい。
(負極120)
ここで、本実施形態に係る負極としては、上述した複数の溝部111aが形成された負極集電体111を有する負極110のような構成だけでなく、例えば、図6に示すような、複数の凹部121aが碁盤目状に配置された集電体121を有する負極120のような構成であってもよい。なお、図6では、集電体121の形状をわかりやすくするため、負極活物質層の図示が省略されている。本変更例に係る負極120における負極活物質層は、各凹部121a内に設ければよい。
この負極120は、2枚の略矩形板状の集電体121A、121B(以下、集電体121A、121Bをまとめて「集電体121」と記載する場合もある。)で、スペーサ122を挟持する(サンドイッチする)構造を有している。このような構成とすることで、集電体121の片面のみに凹部121aを形成すればよいので、負極120(特に、集電体121)の加工が容易となる。
〔集電体121〕
集電体121の材質は上述した負極集電体111と同様であるので、集電体121の形状について説明する。集電体121のその一方の面に複数の凹部121aが設けられている。各凹部121aは、集電体121の表面に碁盤目状に設けられ、複数の凹部121aが、集電体121の長手方向及び幅方向に沿って並ぶように配置されている。また、各凹部121aが互いに離隔して配置されるように、隣り合う凹部121a間に隔壁121bが設けられている。上述した負極110においては、隔壁111bは、各溝部111aの互いに向かい合う二辺に沿って設けられていたが、負極120における隔壁121bは、略矩形状の凹部121aの四辺を囲うように設けられている。また、この隔壁121bの幅は、各凹部121aが物理的に離隔していれば特に制限されるものではない。
〔スペーサ122〕
スペーサ122は、2枚の集電体121に挟持された略矩形状の部材である。スペーサ122の材料としては、負極活物質であるVBの放電反応により発生した電子を正極130まで伝達するため、金属や導電性カーボン等の導電性材料が用いられる。また、スペーサ122の一の頂点部には、セル側負極端子114に接続される電極側負極端子123が連設されている。電極側負極端子123は、スペーサ122と同じか又は異なる導電性材料で形成され、電極側負極端子113とほぼ同様の形状を有し、端子支持部材116の切れ込み116aに嵌め込まれる。
(放電領域)
本実施形態に係る負極110では、VB、第1導電材料(及び第2導電材料)を含む負極活物質層112が、本実施形態に係る放電領域となっている。この場合、負極活物質層112が設けられた複数の溝部111aが、互いに分離した複数の放電セルとして機能しており、隔壁111bが、隣接する放電セル間に設けられる隔壁として機能している。このように、隣接する放電セル間に設けられた隔壁により、放電領域(負極活物質層112)が互いに(物理的に)離隔した状態で複数に分割されている。すなわち、各放電セル内に、放電領域として、VB、第1導電材料(及び第2導電材料)を含む負極活物質層112が設けられている。また、本実施形態の変更例に係る負極120においても同様に、VB、第1導電材料(及び第2導電材料)を含む負極活物質層(図示せず。)が、本実施形態に係る放電領域となっている。この場合は、負極活物質層が設けられた複数の凹部121aが、互いに分離した複数の放電セルとして機能しており、隔壁121bが、隣接する放電セル間に設けられる隔壁として機能している。このように、変更例に係る負極120においても、隣接する放電セル間に設けられた隔壁により、放電領域(負極活物質層)が互いに(物理的に)離隔した状態で複数に分割されている。なお、放電領域の個数は、集電体(本実施形態では、負極集電体111、121)全体の面積(表面又は裏面の面積)により適宜調整すればよい。
ここで、一般的な集電体としては、平坦面を有する板状のものか、網(格子)状のものが使用されている。しかし、平坦面を有する板状の場合、平坦面の一部分が電解液等により腐食したり、集電体に活物質が均一に塗布されていなかった場合には、内部の局部放電が発生するため、放電効率が低下してしまう、という問題があった。また、網状の場合には、負極活物質(例えば、亜鉛等)の反応による体積膨張等により網の隙間から負極活物質が飛び出したり、網の一部分が腐食してしまった場合に網状の集電体から負極活物質が剥離してしまったりする結果、放電効率が低下する、という問題があった。
そこで、上記のような問題を抑制するために、本実施形態に係る負極110及びその変更例に係る負極120は、上述したように、VB、第1導電材料及び第2導電材料を含む放電領域が互いに離隔した状態で複数に分割された構造を有している。このような構造とすることにより、負極活物質層の周囲(負極110では2つの側面及び底面の合計3面、負極120では4つの側面及び底面の合計5面)を集電体が囲う形態となるため、負極活物質(VB)と集電体とが接触し易い状態となり、電子移動が促進される。加えて、放電領域、すなわち、負極活物質層が複数の領域に分割されていることから、活物質の反応サイトが負極活物質層の表面と4側面の合計5面となるため、比表面積が大きくなる。従って、放電効率が向上する。
また、複数の放電セルが存在するため、たとえ一部の放電セルにおいて不具合(例えば、負極集電体111の腐食や、反応熱の発生に伴う負極集電体111と負極活物質層112との剥離等により、電池の内部抵抗が上昇する等)が生じた場合でも、各放電領域は物理的に離隔された状態となっており、燃料の反応はそれぞれの放電領域で独立に起こるため、その他の放電セルでは正常な動作(放電反応)が担保され、不具合が生じた放電セルの影響が出ることはほとんど無い。従って、本実施形態に係る負極110、120を用いることで、電池全体での動作の安定性を高め、その結果、理論値に近い放電容量とすることが可能となる。
(負極110の着脱)
本実施形態に係る負極110(負極120)は、上述したように、筐体101の内部に収容されるが、空気電池セル100に対して着脱可能に設けられている。これにより、負極110の負極活物質(燃料)であるVBが放電反応により消費(酸化)されたとしても、負極110を筐体101から取り出して酸化されたVBを還元して負極活物質(燃料)であるVBを再生したり、負極110自体を交換したりすることが可能となる。
[正極130]
正極130は、空気電池セル100の酸素極(酸素を正極活物質とする電極)として機能する電極であり、例えば、図4に示すように、筐体101内に収容された負極110の表面側と裏面側にそれぞれ、正極130A及び正極130B(以下、まとめて「正極130」と記載する場合がある。)が配置されている。正極130A、130Bは、それぞれ、正極集電体132と、撥水性酸素透過シート133と、触媒層134と、を主に有する。2つの負極130A、130Bの外側(最表面側及び再裏面側)は、それぞれ、表面カバー103及び裏面カバー104で覆われる。
(正極集電体132)
正極集電体132は、略長方形状の枠状部材であり、その略中央部(枠内部)に開口部132aを有する。空気電池セル100の組立後は、この開口部132aには撥水性酸素透過シート133が位置する。また、1つの空気電池セル100の中には、2つの負極110に対応して、正極集電体132が、正極130Aと正極130Bのそれぞれに2つずつ設けられている。
この正極集電体132は、電子を正極活物質である酸素に供給する役割を有する。このような正極集電体132の材質としては、導電性を有する材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、クロム、金、白金、銀、銅等の導電性に優れる金属や、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等)、グラフェン、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の導電性カーボンを使用することができる。これらの中でも、正極集電体132として、ステンレスを使用することが好適であり、ニッケルメッキされたSUS304を使用することがより好適である。
正極集電体132の長辺部の略中央部分には、正極端子137が設けられている。正極端子137は、筐体フレーム102の一辺の略中央部(図4に示した例では、上述した貫通孔102cの下方)に設けられた貫通孔102dに挿入され、ワッシャーやナット等(ともに図示せず。)により筐体フレーム102に固定される。また、図4に示した例では、正極端子137は、正極130Aの正極集電体132と、正極131Bの正極集電体132のそれぞれに1つずつ設けられている(正極130Aでは、正極集電体132の図の奥側の長辺部に設けられており、正極130Bでは、正極集電体132の図の手前側の長辺部に設けられている)。しかし、正極端子137は、正極130A、130Bの双方で合わせて2つ設けられていればよく、例えば、正極130Aの正極集電体132の手前側と奥側の両方に正極端子137が設けられ、正極130Bの正極集電体132には正極端子137が設けられていなくてもよい。
(撥水性酸素透過シート133)
撥水性酸素透過シート133は、空気電池セル100の外部の空気(酸素)を空気電池セル100の内部へ取り込む際の空気(酸素)のチャネルとなる酸素取込部としての機能と、筐体101内に充填された電解質150がKOH水溶液等の電解液である場合に電解液の外部への漏出を防止する電解液漏出防止部としての機能とを有する。このような機能を実現するため、撥水性酸素透過シート133には、撥水性を有し、且つ、電解液や当該液中に存在する水酸化物イオンは通さないが、空気(酸素)は通す程度の空隙や孔を有する多孔質の材料が用いられる。空気電池セル100内部への酸素の供給量は、この撥水性酸素透過シート133の空隙率等により調整することができる。空隙率は、空気電池セル100の用途に応じて適宜必要量の酸素を供給できるように定めれば良いが、空隙率を30%以上95%以下とすることが好適である。具体的には、例えば、空気電池セル100の用途に応じて、30%以上50%以下、あるいは、70%以上95%以下とすることができる。
ここで、撥水性を有する材料(以下、「撥水性材料」と記載する。)としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。なお、後述する触媒層134(紛体シート)の崩れを防止するために、撥水性酸素透過シート133には、ポリビニルアルコール(PVA)等を塗工することが好ましい。
また、本実施形態では、撥水性酸素透過シート133は、PTFE等の撥水性材料に加えて、導電性を高めるために導電性カーボンを含有していてもよい。ここで、撥水性材料と導電性カーボンとの配合比は、撥水性材料が多過ぎると空気(酸素)の透過性が低下し、導電性カーボンが多過ぎると電解液が漏出してしまう恐れがあるため、撥水性と酸素透過性とのバランスを考慮して、両者の配合比を決定すればよい。
さらに、本実施形態に係る撥水性酸素透過シート133は、活性炭を含有していてもよい。活性炭は、酸素還元能と導電性を兼ね備えるため、正極130における放電反応の触媒及び導電材としての役割を有する。
なお、本実施形態に係る撥水性酸素透過シート133に、PTFE等の撥水性材料を用いているのは、電解質150が電解液である場合に、電解液が空気電池セル100の外部に漏出しないようにするためであり、ゲル状や固体状の電解質を用いた場合には、電解液漏出防止部としての機能は不要であり、PTFE等の撥水性材料を用いる必要はない。この場合には、酸素取込部としての機能を少なくとも有していればよいので、撥水性材料の代わりに所定の空隙率を有する高分子材料等を用いることができる。このような高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。
また、撥水性酸素透過シート133は、正極集電体132の開口部132aに位置するように設置され、空気電池セル100の組立後は、筐体101の表面カバー103の開口部103a及び裏面カバー104の開口部104aから外部に露出した形となる。
(触媒層134)
触媒層134は、撥水性酸素透過シート133から空気電池セル100内部に取り込まれた空気中の酸素を反応させる触媒(酸素の還元剤)を有する層であり、具体的には、触媒粉末を触媒保持体135に層状に保持させることにより形成される。触媒保持体135は、図示してはいないが、撥水性酸素透過シート133から取り込まれた空気が通過できるように所定の開口部を有する。具体的な形状としては特に制限されるものではないが、例えば、触媒保持体135は、網状の形状を有している。また、触媒保持体135は、触媒層134で発生した電子が伝達されるように、導電性を有する材料で形成されることが好ましい。
また、触媒層134は、撥水性酸素透過シート133から取り込まれた空気中の酸素を還元し、電子を発生させる。発生した電子は、触媒保持体135、正極集電体132、正極端子137の順に伝達され、正極端子137と接続されたセル側負極端子114を通って負極110まで到達し、負極110での放電反応に利用される。また、触媒層134は、撥水性酸素透過シート133から取り込まれた空気が通過できるように、メッシュ構造を有している。
触媒としては、酸素を還元できるものであれば特に制限はされないが、例えば、二酸化マンガン(MnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化バナジウム(V)、白金(Pt)等を用いることができる。
また、電解質150が電解液である場合には、触媒層134に撥水性を持たせて、電解液の漏出をより効果的に防止するために、触媒層134が、PTFE等の撥水性材料を含んでいてもよい。この場合、例えば、撥水性材料は粉末状で用いられ、この粉末と触媒粉末とを練り固めたものを触媒層134として用いればよい。
[電解質150]
電解質150は、負極110と正極130との間で水酸化物イオンを伝導する役割を有する。電解質150としては、水酸化物イオンを伝導可能なものであればよく、例えば、水系電解液(例えば、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液)、非水系電解液(例えば、強アルカリのアルコール溶液等)、固体電解質等(例えば、金属酸化物)、公知の電解質を特に制限なく使用することができる。ただし、液状の電解質(電解液)の場合には、液漏れの問題があり、また、水酸化カリウム水溶液等の電解液は温度依存性が高くなるため、空気電池セル100の作動温度により電圧が変動するという問題もある。従って、このような問題を防止する観点からは固体電解質を用いることが好適である。
[セパレータ160]
上述した電解質150が、水系又は非水系の電解液の場合には、空気電池セル100は、負極110と正極130とを電気的に絶縁するセパレータ160をさらに備える。なお、電解質150が固体電解質の場合には、空気電池セル100は、セパレータ160を備えていても備えていなくてもよい。
このセパレータ160は、負極110と正極130とが接触することによる短絡を防止するために、負極110と正極130とを電気的に絶縁可能な絶縁体で形成されていることが必要である。また、セパレータ160は、電解液(電解質150)に溶出したVBをセパレータ160の外部に放出しないように溶解したVBを透過させず、かつ、正極130で発生した水酸化物イオンを電解質150を通じて負極110に伝達するために水酸化物イオンを透過させる材質で形成されている。さらには、セパレータ160は、電解液(電解質150)を含浸可能な材質で形成されることで、負極110から電解液中へのVBの溶出を抑制するためにセパレータ160内部の電解液の量を少なくしても、セパレータ160に含浸された電解液を通じて負極110が水酸化物イオンを受け取ることができる。なお、本実施形態において、VB粒子が包摂金属により覆われている場合には、VBの電解液への溶出の問題は起こりにくい。
以上のようなセパレータ160の機能を実現するためのセパレータ160の材料としては、例えば、ビニロン、セルロース、レーヨン、ポリビニルアルコール(PVA)等を単独で又は複数種組み合わせて用いることができる。
また、セパレータ160は、上述したように、水酸化物イオンの透過性を有していることが必要であることから、セパレータ160には、所定のポア径を有する多孔質の材料を用いることが好ましい。ポア径は、大き過ぎると電解質(電解液)150中に溶出したVBがセパレータ160の外部に漏れ出してしまう恐れがあり、小さ過ぎると水酸化物イオンを透過することができないことから、適度な大きさとすることが好ましい。例えば、概ね10μm前後のポア径を有していれば、電解質(電解液)150中に溶出したVBが漏れ出さず、且つ、水酸化物イオンを透過することができる。
[負極110と正極130の接続方法の他の例]
次に、図8を参照しながら、本実施形態に係る負極110と正極130との接続方法の変更例について説明する。図8は、本実施形態の別の変更例に係る負極110と正極130の接続方法を示す斜視図である。
上述した例では、1つの空気電池セル100内の負極110と正極130とは電気的に接続されていないものであった。一方、図8に示すように、1つの空気電池セル100内の負極110と正極130とを直列に接続し、空気電池セル100の単位セル当たりの出力電圧を高くするようにしてもよい。この場合、空気電池セル100に収容されている2つの負極110(110A、110B)のうち、一方の負極110Aの電極側負極端子113b(110A)が、隣接する正極130Bの正極集電体132と接することで、負極110Aと正極130Bとが直列に接続される。また、他方の負極110Bの電極側負極端子113b(110B)は、負極ハーネス端子118Aを介して線状の負極ハーネス117の一端と接続され、負極ハーネス117の他端は、負極ハーネス端子118Bを介してセル側負極端子119と接続される。負極ハーネス117は、負極110と正極130の直列化による耐電圧のために設けられる。また、セル側負極端子119は、上述したセル側負極端子114と同様の機能を有するものである。
<空気電池セル100の製造方法>
以上、本実施形態に係る空気電池セル100の構成を詳細に説明したが、続いて、図3、図4、図9及び図10を参照しながら、上述した構成を有する空気電池セル100の製造方法について詳細に説明する。図9は、本実施形態に係る負極110の製造方法を示す説明図であり、図10は、本実施形態の変更例に係るVB/金属複合体の製造装置の構成を示す模式図である。
[負極110の製造]
まず、負極110の製造工程について説明する。初めに、図9(a)に示すように、上述した負極活物質層112の材料、すなわち、所定配合比のVB、第1導電材料及びバインダ(さらに必要に応じて、第2導電材料及び他の添加剤)を混練し、図9(b)に示すように、負極活物質材料のスラリー(活物質スラリー)を作製する。
ここで、負極活物質としてVB/金属複合体を使用する場合におけるVB/金属複合体の製造工程について詳細に説明する。予め、VB粒子を所定濃度のCNT等の導電性カーボンを含む導電性カーボン分散溶液に添加した後、緩やかに撹拌する。得られたVBと導電性カーボンを含むスラリーをスプレードライ法等で処理し、CNT等の導電性カーボンで包摂したVB粒子(例えば、VB/CNT粒子)を得ることができる。次いで、この導電性カーボンで包摂したVB粒子を所定配合比で包摂金属の粉末と混合し、プレスすることで所定形状(例えば、円柱型)のVB/金属複合体を得ることができる。さらに、この複合体を粒子状とするために、図10に示す複合体製造装置500を用いる。
具体的には、まず、溶解室501内の溶解炉502内に、上述したようにして作製した所定形状の(粒子状でない)VB/金属複合体を投入し、包摂金属のみが溶融する温度に加熱する。すると、溶解炉502内では、溶融した包摂金属中に導電性カーボンで包摂したVB粒子が存在する状態となる。ここで、例えば、導電性カーボンとしてCNT、グラフェン、カーボンブラック等を用い、包摂金属としてZnを用いた場合には、ZnよりもVB/CNT粒子の方が比重が小さいため、VB/CNT粒子が溶融Znの上方に浮遊したような状態となる。次に、このようにして浮遊しているVB/CNT粒子をルツボ503に移動させると、ルツボ503には、表面に溶融Znが付着したVB/CNT粒子が充填されることになる。
さらに、この表面に溶融Znが付着したVB/CNT粒子をノズル505から噴霧室507内に向けて噴射する。ノズル505から噴射するVB/CNT粒子の量は、調圧バルブ509により、高圧エア供給装置511から供給されるガス(このガスは、窒素やアルゴン等の不活性ガスであることが好適である。)の流量を制御することで調整する。このようにして、ノズル505からVB/CNT粒子が噴射されると、噴霧室507内にてVB/CNT粒子の表面に付着した溶融Znが自然冷却され、粉末収集器513に落下するまでの間にZnが凝固し、VB/CNT粒子の表面がZn等の包摂金属により包摂されたVB/金属複合体粒子が、粉末収集器513に収集される。
最後に、粉末収集器513に収集されたVB/金属複合体粒子のうち、所定粒子径以下のものをサイクロン分離器515に移し(粒子径の大き過ぎるVB/金属複合体粒子は粉末収集器513内に残留し、除去される。)、サイクロン分離器515にて、所定粒径以下(粒子径が小さすぎるもの)は、複合体製造装置500外へ除去され、適度な粒子径を有するもののみが、細粉末収集器517に収集される。このようにして、細粉末収集器517で収集されたVB/金属複合体粒子を負極活物質材料として用いてもよい。
次いで、以上のようにして作製された活物質スラリーを、図9(c)に示すように、負極集電体111の溝部111aに塗工(キャスト)する。塗工方法としては、特に制限はされないが、例えば、刷毛塗り、アプリケーターを使用した方法、プレス等の方法を用いることができる。また、塗工時に活物質スラリーを振動させることで、負極活物質を負極集電体111上に安定させる、言い換えると、負極活物質を均一に且つ隙間なく溝部111aに塗工することが可能となる。なお、活物質スラリーを振動させる方法としては、例えば、振とう機(バイブレータ)を使用した方法が挙げられる。最後に、負極集電体111の溝部111aに塗工された活物質スラリーを乾燥させることで、活物質スラリーが負極集電体111に強固に付着するとともに固化し、図9(d)に示すように、負極集電体111の溝部111aに負極活物質層112が形成される。このときの乾燥方法は特に制限されないが、例えば、常温で所定時間放置して長時間かけて乾燥させてもよく、公知の加熱乾燥炉を用いて短時間に乾燥させてもよい。以上のようにして、負極110を製造することができる。
なお、負極集電体111の両面に負極活物質層112を設ける場合には、活物質スラリーを均一にムラなく溝部111aに塗工するため、一方の面に活物質スラリーを塗工して乾燥させた後に、他方の面に活物質スラリーを塗工することが好ましい。
[正極130の製造]
次に、正極130の製造工程について説明する。初めに、触媒層134を形成するための材料、すなわち、酸素の還元機能を有する触媒(例えば、MnO)を必須成分とし、必要に応じて撥水性材料(例えば、PTFE)等の添加剤を用意し、これらを粉末状にしたものを練り固めて触媒層材料とする。次いで、この触媒層材料を触媒保持体135の表面に保持させることで、触媒保持体135の表面に触媒層134を形成させる。触媒層134は、触媒保持体135の両面に形成してもよく、片面のみに形成してもよい。
次いで、触媒層134が形成された触媒保持体135の一方の面に、上述した撥水性酸素透過シート133を貼り付ける。電解質150として固体電解質を用いる場合には、撥水性酸素透過シート133の代わりに、撥水性を有しない酸素透過シート(図示せず。)を用いてもよい。さらに、撥水性酸素透過シート133及び触媒層134が保持された触媒保持体135を、正極集電体132に固定することで、正極130を製造することができる。
本実施形態では、正極130は、筐体101の表面側に設置するためのものとして2つ、裏面側に設置するためのものとして2つの合計4つ製造される。
[空気電池セル100の製造]
次に、上述したようにして製造された負極110及び正極130を用いて空気電池セル100を製造する工程について説明する。初めに、図4に示すように、筐体フレーム102の貫通孔102cに負極110のセル側負極端子114の端子部114bを挿入し、ワッシャーやナット等(図示せず。)により固定する。次いで、4つの正極130をフレーム102の開口部102aの表面側及び裏面側にそれぞれ2つずつ嵌め込む。この際、正極端子137を貫通孔102dに挿入し、ワッシャーやナット等(図示せず。)により固定する。さらに、正極130の外面を覆うように、表面カバー103及び裏面カバー104を筐体フレーム102の固定することで、正極130が内部に設置された筐体101を得る。このとき、筐体101の内部には、負極110を収容するためのスペース(隙間)が存在している。
続いて、図3及び図4に示すように、端子支持部材116を、セル側負極端子114の端子受け部114aに設置する。また、負極110の負極集電体111及び負極活物質層112の周囲が袋状のセパレータ160で覆われる(電極側負極端子113の部分はセパレータ160で覆われない)ように、セパレータ160内に負極110を収容する。次いで、セパレータ160で周囲が覆われた負極110を、正極130が内部に設置された開口部101aを通して筐体101の内部に収容する。このとき、電極側負極端子113の端子部113bが、端子支持部材116の切れ込み116aと嵌合するようにする。
続いて、正極130及び負極110が設置された筐体101の内部に電解質150を充填する。さらに、キャップ105により筐体101の開口部101aを封止することで、空気電池セル100を製造することができる。
<空気電池ユニット10の構成>
次に、図11及び図12を参照しながら、上述した空気電池セル100を複数接続した空気電池ユニット10の構成について説明する。図11は、本実施形態に係る空気電池ユニット10の全体構成を示す斜視図である。図12は、図11に示した空気電池ユニットの平面図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図を示している。
(全体構成)
図11及び図12に示すように、空気電池ユニット10は、上述した空気電池セル100を複数有する。図11及び図12に示した例では、5つの空気電池セル100A、100B、100C、100D、100Eを接続した例について記載されているが、空気電池セル100の個数に関しては特に制限されるものではない。また、図11及び図12に示した例では、複数の空気電池セル100が直列に接続された例を示しているが、接続方法は、直列でも並列でもいずれでも構わない。
本実施形態に係る空気電池ユニット10では、隣り合う空気電池セル100の負極110と正極130がバスバー11により接続されている。より具体的には、バスバー11は、例えば、空気電池セル100Aの正極端子137と、当該空気電池セル100Aと隣り合う空気電池セル100Bのセル側負極端子114とを接続する。また、バスバー11の一端は、ナット12により空気電池セル100の正極端子137の先端に固定され、バスバー11の他端は、ナット13により空気電池セル100のセル側負極端子114の先端に固定される。なお、バスバーとは、一般には、電線等に替わって使用される棒状の金属の総称であるが、電線等の断面が円形であるのに対し、バスバーの断面は細長い長方形であるので放熱効果を持つ他、表面積が電線等よりも大きくなるため表面電流が大きい光束システムでより有利となる。
さらに、バスバー11により接続された複数の空気電池セル100(100A,100B,100C,100D,100E)を束ねて固定するため、複数の空気電池セル100は、ボルト15により締結されている。ボルト15は、棒状であり、その長さは、バスバー11により接続された複数の空気電池セル100の合計の厚みよりも長くなっている。このボルト15は、複数の空気電池セル100の筐体フレーム102に設けられたボルト穴101b(図1等を参照)を貫通し、その両端がナット16、17により締結されることで、複数の空気電池セル100がずれないように固定する。このボルト15の本数(ボルト穴101bの個数)が多いほど、複数の空気電池セル100はより強固に固定される。例えば、本実施形態では、幅方向の両側に2箇所ずつ合計4か所でボルト15により締結されているため、複数の空気電池セル100が非常に強固に固定されている。
(制御部)
また、本実施形態に係る空気電池ユニット10は、複数の空気電池セル100の接続を直列と並列とで切り替えるための制御部(図示せず。)を有していてもよい。複数の空気電池セル100を直列に接続すると出力電圧が高くなり、複数の空気電池セル100を並列に接続すると放電容量が大きくなる。従って、制御部が、空気電池ユニット10の用途に応じて、複数の空気電池セル100の接続方法を直列と並列とで切り替えることにより、例えば、高い出力電圧を必要とする用途の場合には直列とし、大きな放電容量を必要とする用途の場合には並列とすることができる。これにより、一つの空気電池ユニット10を様々な用途に利用することができるようになる。
<空気電池ユニット10の組立方法>
次に、図13を参照しながら、上述した構成を有する空気電池ユニット10の組立方法について説明する。図13は、本実施形態に係る空気電池ユニット10の組立方法を示す分解斜視図である。
図13に示すように、複数の空気電池セル100(100A,100B,100C,100D,100E)に対して、隣り合う空気電池セル100(例えば、空気電池セル100Aと空気電池セル100B)の正極端子137(例えば、空気電池セル100Aの正極端子137)とセル側負極端子114(例えば、空気電池セル100Bのセル側負極端子114)とをバスバー11により接続し、正極端子137の先端をナット12により、セル側負極端子114の先端をナット13で締結することにより、バスバー11を空気電池セル100に固定する。これを隣り合う全ての空気電池セル100に対して行う。
また、複数の空気電池セル100(100A,100B,100C,100D,100E)をその厚み方向に並べるように配置した後に、各空気電池セル100に設けられたボルト穴101bを貫通するように、ボルト15を挿入する。このとき、ボルト15が、空気電池セル100A,100B,100C,100D,100Eの全てのボルト穴101bを貫通するようにする。さらに、ボルト15の両端をナット16、17で締め付けることで、複数の空気電池セル100(100A,100B,100C,100D,100E)を締結固定する。
以上のようにして、複数の空気電池セル100が接続された本実施形態に係る空気電池ユニット10を製造することができる。なお、上記のバスバー11による接続と、ボルト15による締結固定とは、いずれを先に行っても差し支えない。
<空気電池セル100の動作原理>
続いて、図14を参照しながら、本実施形態に係る空気電池セル100の動作原理について説明する。図14は、本実施形態に係る空気電池セル100の動作原理を説明するための模式図である。
図14に示すように、本実施形態に係る空気電池セル100は、負極集電体111の両面に負極活物質層112が設けられており、それぞれの負極活物質層112に対向するように、正極130が配置されている。正極130と負極110との間には、電解質150が充填される。また、正極130は、集電体132上に、空気電池セル100の外部の空気中の酸素を取り込むための撥水性酸素透過シート133と、この撥水性酸素透過シート133から取り込んだ酸素の還元能を有する触媒層134が積層された構造を有している。なお、電解質150が電解液でなければ、撥水性酸素透過シート133の代わりに、撥水性を有さない酸素を透過可能なシートや層を用いてもよい。
このような空気電池セル100において、外部から、撥水性酸素透過シート133を通して空気中の酸素(O)が取り込まれると、まず、正極130では、触媒層134において下記式(1)のように酸素の還元反応が放電反応として起こる。
正極:O+2HO+4e→4OH (1)
式(1)のようにして正極130で発生した水酸化物イオン(OH)は、集電体132に伝達され、さらに、電解質150を通って、負極110(負極集電体111及び負極活物質層112)に到達する。そうすると、負極110では、負極活物質層112において下記式(2)のように、正極活物質であるVBと水酸化物イオンとが反応することにより、VBの酸化反応が放電反応として起こる。
負極:VB+11OH→1/2V+B+11/2HO+11e (2)
このように、負極110では、放電反応により、負極活物質(燃料)であるVB 1モル当たり11個という大量の電子(e)が発生するため、エネルギー密度が高く、本実施形態に係る空気電池セル100は、単位体積当たりの放電容量が非常に高いものとなる。また、このとき、負極活物質層112中には、負極活物質であるVBの他に、この負極活物質の導電性を補助する導電助剤として、第1導電材料及び第2導電材料が含まれているため、この大量に発生した電子を効率よく伝達することができる。従って、本実施形態に係る空気電池セル100によれば、理論値に近い放電容量を実現することができる。
なお、上述した式(1)及び(2)から、空気電池セル100全体としての放電反応の反応式は、下記式(3)のようになる。
セル全体:VB+11/4O→B+V (3)
<空気電池セル100及び空気電池ユニット10の用途・使用方法>
続いて、上述した空気電池セル100及び空気電池ユニット10の用途や使用方法について説明する。
本実施形態に係る空気電池セル100及び空気電池ユニット10は、エネルギー密度が高く、放電容量が大きいことから、様々な用途への適用が可能であるが、例えば、自動車のバッテリ、照明用の補助電源、災害時におけるバックアップ電源、PCやモバイル機器等のバッテリ、その他一般的な空気電池、燃料電池、リチウム二次電池等の代替用途等に使用することができる。この場合、開放電圧を高めるために、所定の昇圧回路と組み合わせたり、多数の空気電池セル100を接続した空気電池ユニット10を使用することが好適である。また、空気電池セル100及び空気電池ユニット10を所定の昇圧回路と組み合わせることにより、開放電圧も高めることができるため、非常用バッテリ等にも使用することができる。なお、炭坑で用いるための電源としても用いることができる。炭坑用途では、水素が発生したり燃焼したりするような電池を使用することができないことから、本実施形態に係る空気電池セル100及び空気電池ユニット10の使用が好適である。
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態に係る空気電池及び空気電池ユニットについて説明する。
<空気電池セル100の構成>
まず、図15〜図17を参照しながら、本実施形態に係る空気電池セル200の構成について説明する。図15は、本実施形態に係る空気電池セル200の外観構成を示す斜視図である。図16は、図15に示した空気電池セル200の平面図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は(c)の破線丸囲み部分の拡大図を示している。図17は、本実施形態に係る空気電池セル200の内部構成を示す分解斜視図である。
図15〜図17に示すように、本実施形態に係る空気電池セル200は、燃料極としての負極(アノード)210と、空気(酸素)極としての正極(カソード)230と、本実施形態に係る電解質の一例としての電解質(図示せず。)と、セパレータ260と、を備える。空気電池セル200では、板状の負極210を表側及び裏側からセパレータ260を介して挟むようにして2枚のシート状の正極230が配置されている。
より詳細には、空気電池セル200は、負極210、正極230及びセパレータ260が、正極230、セパレータ260、負極210、セパレータ260、正極230の順に積層された構造を有している。そして、これら積層された負極210、正極230及びセパレータ260を固定するために、クリップ状の挟着部材201が、負極210、正極230及びセパレータ260をそれらの縁部から挟み込むようにして固定している。この挟着部材201は、図16(e)に示すように、その先端部分に屈曲部201aを有しており、この屈曲部201aの内側(正極集電体232側)に突出した部分が、正極集電体232の表面に圧接することで、負極210、正極230及びセパレータ260を挟着する。また、正極230の表面には、挟着部材201により挟着された際に、当該挟着部材201の内部に位置するように、複数の突起232bが設けられている。この突起232bが挟着部材201のストッパーの役割を有することにより、挟着部材201が脱離し難くなっている。
なお、電解質(電解液)は、空気電池セル200が、後述するユニット筐体21(図18〜20を参照)の内部に収容された状態で、空気電池セル200の周囲に存在している。また、本実施形態では、上述した第1の実施形態とは異なり、1つの空気電池セル200が、1組の電極対(1つの負極110とその両面側に配置された2つの正極130の対)を有している。
[負極210]
負極210は、空気電池セル200の燃料極として機能する電極であり、例えば、図17に示すように、負極集電体211と、負極活物質層212と、負極端子214と、を主に有する。
(負極集電体211)
負極集電体211は、導電性を有する略板状の部材であり、負極活物質を保持し、電流を負極活物質に供給する役割を有する。
〔材質〕
負極集電体211の材質としては、上述した第1の実施形態に係る負極集電体111と同様であるので、ここでは説明を省略する。
〔形状〕
負極集電体211は、略板状の形状を有しているが、第1の実施形態とは異なり、溝部や凹部等は設けられていない。
(負極活物質層212)
負極活物質層212は、上述した負極集電体211の表面(両面)に設けられ、空気電池セル200の放電の際の燃料となる負極活物質を含む層である。この負極活物質層212は、の成分やその他の構成については、上述した第1の実施形態に係る負極活物質層112と同様であるので、ここでは説明を省略する。
(負極端子214)
負極210は、上述した負極集電体211及び負極活物質層212に加えて、更に、負極端子214を有する。負極端子214は、負極集電体211の一の頂点部から外側に突出するようにして設けられた細長い板状の部材である。この負極端子214は、上述した電極側負極端子113やセル側負極端子114と同様に、導電性を有する材料で形成されるのは勿論である。この負極端子214は、電源又は他の空気電池セル200の正極端子237や負極端子214等と電気的に接続される。
[正極230]
正極230は、空気電池セル200の酸素極(酸素を正極活物質とする電極)として機能する電極であり、例えば、図17に示すように、負極210の表面側と裏面側にそれぞれ1つずつ配置されている。正極230は、正極集電体232と、酸素透過・触媒層233と、を主に有する。
(正極集電体232)
正極集電体232は、略長方形状の枠状部材であり、その略中央部(枠内部)に開口部232aを有する。空気電池セル200の組立後は、この開口部232aには酸素透過・触媒層233が位置する。
この正極集電体232は、電子を正極活物質である酸素に供給する役割を有する。このような正極集電体232の材質としては、上述した第1の実施形態に係る正極集電体132と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
正極集電体232の長辺部の略中央部分には、正極端子237が設けられている。正極端子237は、電源又は他の空気電池セル200の正極端子237や負極端子214等と電気的に接続される。
(酸素透過・触媒層233)
酸素透過・触媒層233は、図示してはいないが、基本的には第1の実施形態と同様であり、触媒保持体135に対応する部材に、触媒層134に対応する層を保持させた後に、その上から撥水性酸素透過シート133に対応するシートを貼り付けたものである。従って、この酸素透過・触媒層233は、上述した撥水性酸素透過シート133の機能と、触媒層134の機能を有するものである。その他の構成については、撥水性酸素透過シート133及び触媒層134と同様であるので、ここでは説明を省略する。
[セパレータ260]
本実施形態では、負極210と正極230とを積層させていることから、第1の実施形態と異なり、電解質が電解液(液状)であるか否かに関わらず、短絡を防止する為に必用となる。このセパレータ260の機能は、上述したセパレータ160と同様である。また、セパレータ260の材料としては、セパレータ160と同様の材料以外に、一般に電池に使用されるセパレータと同じような絶縁体を用いることができる。
<空気電池セル200の製造方法>
以上、本実施形態に係る空気電池セル200の構成を詳細に説明したが、続いて、図17を参照しながら、上述した構成を有する空気電池セル200の製造方法について詳細に説明する。
[負極210の製造]
まず、負極210の製造工程について説明する。初めに、上述した負極活物質層212の材料、すなわち、所定配合比のVB、第1導電材料及びバインダ(さらに必要に応じて第2導電材料及び他の添加剤)を混練し、負極活物質材料のスラリー(活物質スラリー)を作製する。次いで、このようにして作製された活物質スラリーを、負極集電体211の表面(両面)に塗工(キャスト)する。最後に、負極集電体211の表面に塗工された活物質スラリーを乾燥させることで、活物質スラリーが負極集電体211に強固に付着するとともに固化し、図17に示すように、負極集電体211の表面に負極活物質層212が形成される。なお、活物質スラリーの塗工方法、乾燥方法等については、上述した第1の実施形態と同様である。
[正極230の製造]
次に、正極230の製造工程について説明する。初めに、酸素透過・触媒層233を、撥水性酸素透過シート133及び触媒層134が保持された触媒保持体135と同様にして作製する。次いで、このようにして作製された酸素透過・触媒層233を、正極集電体232に固定することで、正極230を製造することができる。
[空気電池セル200の製造]
次に、上述したようにして製造された負極210及び正極230を用いて空気電池セル200を製造する工程について説明する。初めに、図17に示すように、正極230、セパレータ260、負極210、セパレータ260、正極230の順に積層する。次いで、積層された負極210、正極230及びセパレータ260の長辺側の縁部を挟着部材201で挟み込むようにして挟着部材201を取り付けることで、負極210、正極230及びセパレータ260が固定される。ここで、図17では、4つの挟着部材201を用いて負極210、正極230及びセパレータ260を固定しているが、これらが脱離しないように固定できる強度を確保できれば、挟着部材201の個数は3つ以下でもよく、強度が足りなければ、5つ以上としてもよい(幅方向の固定強度のバランスを保つためには、挟着部材201の個数を偶数とすることが好適である)。以上のようにして、空気電池セル200を製造することができる。
<空気電池ユニット20の構成>
次に、図18及び図19を参照しながら、上述した空気電池セル200を複数接続した空気電池ユニット20の構成について説明する。図18は、本実施形態に係る空気電池ユニット20の全体構成を示す斜視図である。図19は、図18に示した空気電池ユニットの平面図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は右側面図を示している。
(全体構成)
図18及び図19に示すように、空気電池ユニット20は、上述した空気電池セル200を複数有する。図18及び図19に示した例では、16枚の空気電池セル200を接続した例について記載されているが、空気電池セル200の個数に関しては特に制限されるものではない。
本実施形態に係る空気電池ユニット20は、ユニット筐体21内に複数の空気電池セル200が収容された状態となっており、この状態で、隣り合う空気電池セル200の負極210と正極230(あるいは負極210と負極210、正極230と正極230)がバスバー(図示せず。)等により接続される。ユニット筐体21は、その内部に、空気電池セル200を収容するための収容溝22を複数有している。この収容溝22の幅は、空気電池セル200全体の厚みよりもやや大きな幅となっており、所定の遊びを有して、空気電池セル200が収容溝22内で固定されるようになっている。また、ユニット筐体21には、電源25及び空気電池ユニット20の出力電圧を管理するための回路が配置された電圧管理基板26が設けられている。
(制御部)
また、本実施形態に係る空気電池ユニット20は、上述した第1の実施形態に係る空気電池ユニット10と同様に、複数の空気電池セル100の接続を直列と並列とで切り替えるための制御部(図示せず。)を有していてもよい。この制御部の構成は第1の実施形態と同様である。また、制御部は、上述した電圧管理基板26の一部に設けられていてもよいし、別途の回路基板あるいは外部装置として設けられていてもよい。
<空気電池ユニット20の組立方法>
次に、図20を参照しながら、上述した構成を有する空気電池ユニット20の組立方法について説明する。図20は、本実施形態に係る空気電池ユニット20の組立方法を示す分解斜視図である。
図20に示すように、まず、複数の空気電池セル200のそれぞれを、ユニット筐体21に設けられた複数の収容溝22のそれぞれに挿入し、ユニット筐体21内に複数の空気電池セル200を収容する。次いで、図示してはいないが、ユニット筐体21内に収容された複数の空気電池セル200及び電源25をバスバー(図示せず。)や導線等により接続することで、複数の空気電池セル200が接続された本実施形態に係る空気電池ユニット20を製造することができる。
なお、本実施形態に係る空気電池セル200の動作原理や、空気電池セル200及び空気電池ユニット20の用途・使用方法は、上述した第1の実施形態と同様である。
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
[負極の作製]
平均粒子径が2〜5μmのVB粒子(100g)と、カーボンブラックと、バインダとしてPVDFと、を質量比でそれぞれ、84%、8%、8%の割合で混練し、負極活物質のスラリーを作製した。次いで、このスラリーを図9等に示した形状を有するグラファイト製の集電体の溝部に刷毛を用いて塗布し、自然乾燥させた。これを集電体両面について行うことで、集電体の両面に負極活物質等が形成された負極を得た。
[空気電池の作製]
また、MnO(30質量%)とPTFE(25質量%)とカーボンブラック(5質量%)と活性炭(40質量%)とを粉末状にしたものを練り固めて触媒層材料とした。次いで、この触媒層材料をステンレス(SUS304 ニッケルメッキ)製の金網に保持させ、この一方の面にPTFE製のシートを貼り付け、さらに、これをSPCC製のフレームに固定することで、正極とした。
以上のように作製した負極及び正極を用いて、図3及び図4を用いて上述したようにして空気電池セルを作製した。なお、電解液として、濃度86質量%の水酸化カリウム水溶液を用い、セパレータとして、セルロースとレーヨンとPVAとを含む織布(厚み200μm)を用いた。このセパレータのポア径は11μm、サイズは幅260mm×200mmであった。
[単一の空気電池セルでの放電特性の評価]
以上のようにして作製した単一の空気電池セル(単セル)を用いて、5Aの定電流放電を行うことで、放電特性を評価した。本評価における放電カーブを図21に示す。図21は、本実施例における単セルでの放電カーブを示すグラフである。なお、図21では、横軸が放電時間[hh:mm:ss]を示し、左側の縦軸が電圧、右側の縦軸が電流の値を示している。また、図の一点鎖線で示した曲線が電圧の変化を示し、破線で示した曲線が電流の変化を示している。
図21に示すように、単セルの場合でも、0.3V以上の電圧を64時間近く維持できていた。これは、実用上十分な値といえる。また、VB粒子を負極活物質として使用していることからエネルギー密度が非常に高く、放電容量(309Ah)も非常に高いものとなった。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述した形態に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で当業者が想到し得る他の形態または各種の変更例についても本発明の技術的範囲に属するものと理解される。
10、20 空気電池ユニット
11 バスバー
15 ボルト
21 ユニット筐体
22 収容溝
100、200 空気電池セル
101 筐体
102 筐体フレーム
103 表面カバー
104 裏面カバー
105 キャップ
106 スライド部材
110、120、210 負極
111、121、211 負極集電体
111a 溝部
121a 凹部
112、212 負極活物質層
113、123 電極側負極端子
114 セル側負極端子
116 端子支持部材
130、230 正極
132、232 正極集電体
133 撥水性酸素透過シート
134 触媒層
135 触媒保持体
137、237 正極端子
150 電解液
160、260 セパレータ
201 挟着部材
233 酸素透過・触媒層

Claims (18)

  1. 二ホウ化バナジウムを少なくとも含み、0.5μm以上800μm以下の平均粒子径を有する負極活物質と、前記負極活物質の平均粒子径未満の平均粒子径を有する第1導電材料と、を含有する負極と、
    酸素を正極活物質とする正極と、
    前記負極と前記正極との間で水酸化物イオンを伝導する電解質と、
    を備える、空気電池。
  2. 前記負極が、前記負極活物質の平均粒子径以上の平均長さを有する第2導電材料を更に含有する、請求項1に記載の空気電池。
  3. 前記第1導電材料が、前記負極活物質100質量部に対して0.5質量部以上50質量部以下含有されており、
    前記第2導電材料が、前記負極活物質100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下含有されている、請求項2に記載の空気電池。
  4. 前記第1導電材料及び前記第2導電材料が導電性カーボンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気電池。
  5. 前記第1導電材料がカーボンブラック、黒鉛及び活性炭からなる群より選ばれる少なくとも一種の導電性カーボンであり、前記第2導電材料がグラフェン、カーボンナノチューブ及び炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも一種の導電性カーボンである、請求項4に記載の空気電池。
  6. 前記負極の集電体の材質がグラファイト又はアルカリ環境下で反応不活性な金属である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気電池。
  7. 前記負極では、前記負極活物質、前記第1導電材料及び前記第2導電材料を含む放電領域が互いに離隔した状態で複数に分割されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気電池。
  8. 前記集電体が、互いに分離した複数の放電セルを有し、且つ、隣接する前記放電セル間には隔壁が設けられており、
    各々の前記放電セル内に、前記放電領域として、前記負極活物質、前記第1導電材料及び前記第2導電材料を含有する負極活物質層を有する、請求項7に記載の空気電池。
  9. 前記電解質が、水系又は非水系の電解液であり、
    前記負極と前記正極とを電気的に絶縁するセパレータをさらに備え、
    前記セパレータが、前記電解液を含浸可能である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の空気電池。
  10. 前記負極が、前記空気電池に対して着脱可能に設けられている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の空気電池。
  11. 前記負極活物質が、水酸化物イオンと反応して電子を発生させるとともに前記反応により水酸化物となる金属で二ホウ化バナジウム粒子を包摂したVB/金属複合体である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の空気電池。
  12. 前記金属が、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム及びこれらの合金からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属である、請求項11に記載の空気電池。
  13. 前記VB/金属複合体が、導電性カーボンで包摂された二ホウ化バナジウム粒子を更に前記金属で包摂したものである、請求項11又は12に記載の空気電池。
  14. 前記二ホウ化バナジウムを包摂する導電性カーボンが、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、グラフェン、グラファイト、炭素繊維、黒鉛及び活性炭からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項13に記載の空気電池。
  15. 前記金属に包摂される二ホウ化バナジウムの平均粒子径が、0.5μm以上500μm以下である、請求項11〜14のいずれか一項に記載の空気電池。
  16. 酸素を正極活物質とする正極を有する空気電池用の負極であって、
    二ホウ化バナジウムを少なくとも含み、0.5μm以上800μm以下の平均粒子径を有する負極活物質と、
    前記負極活物質粒子の平均粒子径未満の平均粒子径を有する第1導電材料と、
    を含有する、負極。
  17. 前記負極活物質の平均粒子径以上の平均長さを有する第2導電材料を更に含有する、請求項16に記載の負極。
  18. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の空気電池のセルを複数有する、空気電池ユニット。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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