JP2015059650A - 摺動構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】第一摺動部材の摺動面が非晶質炭素材料を含み、第二摺動部材の摺動面が銅合金を含む場合であっても、第二摺動部材の摺動面の摩耗を低減することができる摺動構造を提供する。
【解決手段】本発明に係る摺動構造は、摺動面に、水素を28〜38原子%含有した非晶質炭素被膜が被覆された第一摺動部材と、第一摺動部材の摺動面と摺動するとともに、アルミナからなる硬質粒子を15〜25体積%含有した銅または銅合金を、第一摺動部材に摺動する摺動面に含む第二摺動部材と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】本発明に係る摺動構造は、摺動面に、水素を28〜38原子%含有した非晶質炭素被膜が被覆された第一摺動部材と、第一摺動部材の摺動面と摺動するとともに、アルミナからなる硬質粒子を15〜25体積%含有した銅または銅合金を、第一摺動部材に摺動する摺動面に含む第二摺動部材と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、摺動面に非晶質炭素被膜が形成された第一摺動部材と、第一摺動部材に摺動する第二摺動部材とを備えた摺動構造に関する。
近年、資源保護、環境汚染の低減、および地球の温暖化防止は、各国で注目されており、特に、自動車業界においても排ガス規制の向上が課題となっている。該課題を解決するための一手段として、低燃費化への対応技術の開発が取り組まれている。なかでも、エンジンを構成する摺動部材、または動弁系の摺動部材の摺動特性を向上させることは、エネルギー損失を減らし、自動車の低燃費化に直接的に繋がるものである。
例えば、このような摺動部材の耐摩耗性を向上させると共に低摩擦特性を得るために、摺動部材の摺動面にコーティングを行う技術があり、該コーティング材料として、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの非晶質炭素材料が使用されつつある。非晶質炭素材料により形成された被膜(非晶質炭素被膜)は、炭素を主成分とする硬質の被膜であり、低い摺動抵抗と高い耐摩耗性とを両立できる被膜である。
このような非晶質炭素材料を利用した摺動部材の一例として、摺動面に非晶質炭素被膜を形成した第一摺動部材と、第一摺動部材の摺動面と摺動する摺動面に、少なくとも銀を1〜20重量%含有した銅合金を備えた第二摺動部材と、を有する摺動構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の摺動構造において、第一摺動部材の非晶質炭素被膜は、第二摺動部材の摺動面の銅合金に比べて硬質であるため、第二摺動部材は摩耗しやすい。たとえば、このような技術を、ピストンピンとコンロッド小端部に適用する際には、ピストンピンの表面に非晶質炭素被膜を被覆することは一般的であるが、これらの部品の小型化、これらの部品の高面圧化、潤滑剤の仕様状況によって、第二摺動部材であるコンロッド小端部のブッシュ(銅合金)の摩耗は顕著なものとなり、摺動面が焼き付きくおそれがあった。
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第一摺動部材の摺動面が非晶質炭素材料を含み、第二摺動部材の摺動面が銅合金を含む場合であっても、第二摺動部材の摺動面の摩耗を低減することができる摺動構造を提供することにある。
前記課題を鑑みて発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、摺動面に、水素を28〜38原子%含有した非晶質炭素被膜が被覆された第一摺動部材と、第一摺動部材の摺動面と摺動するとともに、アルミナからなる硬質粒子を15〜25体積%含有した銅または銅合金を、第一摺動部材に摺動する摺動面に含む第二摺動部材と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、第一摺動部材の非晶質炭素被膜に水素を28〜38原子%含有することにより、水素を含有していないものに比べてその硬度を低下させ、第二摺動部材の銅または銅合金に、アルミナからなる硬質粒子を含有されることにより、第二摺動部材の摺動面の見かけ上の硬さを向上させることができる。特に、第一摺動部材の非晶質炭素被膜の硬さと、アルミナからなる硬質粒子の硬さが同程度であるので、第一摺動部材の摩耗を低減することができるばかりでなく、第二摺動部材の非晶質炭素被膜の表面粗さを効果的に低減し、摩擦係数を低減することができる。
なお、第一摺動部材の非晶質炭素被膜に含有する水素量および第二摺動部材の銅または銅合金に含有する硬質粒子の含有量を上述した範囲に規定した根拠は、後述する発明者が行った実施例において詳述する。
本発明によれば、第一摺動部材の摺動面が非晶質炭素材料を含み、第二摺動部材の摺動面が銅合金を含む場合であっても、第二摺動部材の摺動面の摩耗を低減することができる。
以下に本発明の実施形態に係る摺動構造を説明する。
本実施形態に係る摺動構造は、第一摺動部材と、第一摺動部材の摺動面に摺動する第二摺動部材とを備えており、第一摺動部材と第二摺動部材との間には、潤滑油またはグリースなどの潤滑剤が供給されている。
本実施形態に係る摺動構造は、第一摺動部材と、第一摺動部材の摺動面に摺動する第二摺動部材とを備えており、第一摺動部材と第二摺動部材との間には、潤滑油またはグリースなどの潤滑剤が供給されている。
第一摺動部材は、摺動面に、水素を28〜38原子%含有した非晶質炭素被膜が被覆されている。ここで、第一摺動部材のうち、非晶質炭素被膜が被覆される基材は、摺動時において非晶質炭素被膜の密着性を確保することができるような材質、表面硬さ、および表面粗さを有する材料であれば、特に限定されるものではなく、例えば、クロム鋼などの鋼、鋳鉄、アルミニウム系合金などを挙げることができる。
ここで、非晶質炭素被膜が被覆された第一摺動部材の摺動面の表面粗さは、中心線平均粗さRa0.1μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、中心線平均粗さRa0.05μm以下である。このような範囲とすることにより、後述する第二摺動部材との摺動時の初期馴染みにより、非晶質炭素被膜の表面粗さが低減され、低摩擦効果を発現することができ、この範囲を超えた場合には、前記低摩擦効果が発現され難い。
さらに、非晶質炭素被膜に含有する水素量が28原子%よりも少ない場合、非晶質炭素被膜の硬さが硬くなるため、摺動時に後述する第二摺動部材の摩耗を促進させてしまうばかりでなく、摺動初期における非晶質炭素被膜の表面粗さが十分に低減されないおそれがある。この結果、上述した低摩擦効果を発現し難い場合がある。
一方、非晶質炭素被膜に含有する水素量が38原子%を超えた場合、非晶質炭素被膜の硬さが十分でないので、摺動時に後述する第二摺動部材により摩耗が促進されることがある。
ここで、非晶質炭素被膜は、基材に対して、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどを利用した物理的蒸着法(PVD)により成膜してもよく、プラズマ処理などを利用した化学気相成長法(CVD)により成膜してもよい。たとえば、化学気相成長法(CVD)により成膜する際には、成膜用の炭化水素径ガスの種類、流量、バイアス電圧等を変化させることにより、非晶質炭素被膜の水素の含有量を調整することができる。
第二摺動部材は、少なくともアルミナからなる硬質粒子を15〜25体積%含有した銅または銅合金を、第一摺動部材に摺動する摺動面に含んでいる。ここで、硬質粒子が15体積%よりも少ない場合、硬質粒子により第二摺動部材の耐摩耗性が十分でないことがある。一方、硬質粒子が25体積%を超えた場合、硬質粒子により第二摺動部材の摩耗を促進してしまうことがある。
また、硬質粒子の粒径φは1〜3μmの範囲にあることが好ましい。ここで、硬質粒子の粒径が1μm未満である場合には、摺動の初期段階で、第一摺動部材の非晶質炭素被膜の表面粗さを低減することができないことがある。一方、硬質粒子の粒径が3μmを超えた場合、第一摺動部材の非晶質炭素被膜の摩耗が促進されるおそれがあり、さらに、非晶質炭素被膜の表面を粗くしてしまうおそれがある。
第二摺動部材の表面粗さは、中心線平均粗さRa0.8μm以下であることが好ましい。このような範囲とすることにより、後述する第一摺動部材との摺動時の初期馴染みにより、非晶質炭素被膜の表面粗さが低減され、低摩擦効果を発現することができ、この範囲を超えた場合には、前記低摩擦効果が発現され難い。
ここで、銅または銅合金に、錫3.2〜5.0体積%およびリン0.04〜0.05体積%からなる粒子を含有してもよく、これらの少なくとも一部が銅と合金化してもよい。
このような第二摺動部材は、アルミナからなる硬質粒子15〜25体積%、必要に応じて、錫粉末3.2〜5.0体積%、リン粉末0.04〜0.05体積%、残り銅粉末(銅および不可避不純物からなる粉末)を焼結することにより得ることができる。ここで、アルミナからなる硬質粒子を15〜25体積%、錫およびリンを予め銅に上述した範囲で含有させた銅合金粉末を焼結することにより得てもよい。
このように、第一摺動部材の非晶質炭素被膜に水素を28〜38原子%含有することにより、水素を含有していないものに比べてその硬度を低下させ、第二摺動部材の銅または銅合金に、アルミナからなる硬質粒子を含有されることにより、第二摺動部材の摺動面の見かけ上の硬さを向上させることができる。
特に、第一摺動部材の非晶質炭素被膜の硬さと、アルミナからなる硬質粒子の硬さが同程度であるので、第二摺動部材の摩耗を低減することができるばかりでなく、第一摺動部材の非晶質炭素被膜の表面粗さを効果的に低減し、摩擦係数を低減することができる。
本実施形態の摺動構造は、第一摺動部材をピストンピンとし、第二摺動部材をコンロッド小端部のブッシュとすることで、これらの低摩擦化を実現するとともに、ブッシュの耐摩耗性を向上させることができる。
以下の本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
<第一摺動部材(リング試験片)の製作>
基材として、外径35mm×内径31mm×幅8.7mm、焼入れ焼戻ししたクロム鋼(JIS規格:SCr、表面硬さHv750〜850の範囲内)を準備し、その外周面の表面粗さを中心線平均粗さRa0.040μmに研磨した。
(実施例1)
<第一摺動部材(リング試験片)の製作>
基材として、外径35mm×内径31mm×幅8.7mm、焼入れ焼戻ししたクロム鋼(JIS規格:SCr、表面硬さHv750〜850の範囲内)を準備し、その外周面の表面粗さを中心線平均粗さRa0.040μmに研磨した。
次に、基材の外周面にCVD法により非晶質炭素被膜を成膜した。具体的には、成膜ガスにアルゴンとアセチレンとを混合したガスを用いて、バイアス電圧を−600Vにして、厚さ2.5μm、水素が含有量27.8%、膜硬度20.3GPa、中心線平均粗さRa0.042μmの非晶質炭素被膜が得られた。なお、水素量の測定にはERDA(株式イオンテクノセンタ製)を用い、膜硬度の測定にはナノインテンダ(東洋テクニカ製)を用い、表面粗さの測定には、触針式粗さ計を用いた。これらの結果を表1に示した。
<第二摺動部材(ブロック試験片)の製作>
アルミナからなる硬質粒子(粒径φ1〜3μmの範囲)を15体積%、錫粒子を4体積%、リン0.04体積%と、残りが銅粒子からなる粉末を配合し、成形型で焼結した。次に、焼結材をブロック材に貼り付けて、焼結材の一面を摺動面として残しつつ、15.7mm×10.1mm×6.3mmのブロック試験片に加工し、焼結材を含む摺動面の表面粗さを中心線平均粗さRa0.5μmに研磨した。
アルミナからなる硬質粒子(粒径φ1〜3μmの範囲)を15体積%、錫粒子を4体積%、リン0.04体積%と、残りが銅粒子からなる粉末を配合し、成形型で焼結した。次に、焼結材をブロック材に貼り付けて、焼結材の一面を摺動面として残しつつ、15.7mm×10.1mm×6.3mmのブロック試験片に加工し、焼結材を含む摺動面の表面粗さを中心線平均粗さRa0.5μmに研磨した。
(実施例2)
実施例1と同じように摺動構造を制作した。実施例1と相違する点は、第一摺動部材の非晶質炭素被膜を成膜するバイアス電圧を−400Vにして水素含有量を表1のように調整した点と、第二摺動部材の硬質粒子の含有量を20体積%にした点である。第一摺動部材の非晶質炭素被膜の水素含有量、膜硬度、および表面粗さの測定結果を表1に示す。
実施例1と同じように摺動構造を制作した。実施例1と相違する点は、第一摺動部材の非晶質炭素被膜を成膜するバイアス電圧を−400Vにして水素含有量を表1のように調整した点と、第二摺動部材の硬質粒子の含有量を20体積%にした点である。第一摺動部材の非晶質炭素被膜の水素含有量、膜硬度、および表面粗さの測定結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1と同じように摺動構造を制作した。実施例1と相違する点は、第一摺動部材の非晶質炭素被膜を成膜するバイアス電圧を−200Vにして水素含有量を表1のように調整した点と、第二摺動部材の硬質粒子の含有量を25体積%にした点である。第一摺動部材の非晶質炭素被膜の水素含有量、膜硬度、および表面粗さの測定結果を表1に示す。
実施例1と同じように摺動構造を制作した。実施例1と相違する点は、第一摺動部材の非晶質炭素被膜を成膜するバイアス電圧を−200Vにして水素含有量を表1のように調整した点と、第二摺動部材の硬質粒子の含有量を25体積%にした点である。第一摺動部材の非晶質炭素被膜の水素含有量、膜硬度、および表面粗さの測定結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同じように摺動構造を制作した。実施例1と相違する点は、第二摺動部材に硬質粒子を含有させなかった点である。第一摺動部材の非晶質炭素被膜の水素含有量、膜硬度、および表面粗さの測定結果を表1に示す。
実施例1と同じように摺動構造を制作した。実施例1と相違する点は、第二摺動部材に硬質粒子を含有させなかった点である。第一摺動部材の非晶質炭素被膜の水素含有量、膜硬度、および表面粗さの測定結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1と同じように摺動構造を制作した。実施例1と相違する点は、第一摺動部材の非晶質炭素被膜を成膜するバイアス電圧を−400Vにして水素含有量を表1のように調整した点と、第二摺動部材の硬質粒子の含有量を5体積%にした点である。第一摺動部材の非晶質炭素被膜の水素含有量、膜硬度、および表面粗さの測定結果を表1に示す。
実施例1と同じように摺動構造を制作した。実施例1と相違する点は、第一摺動部材の非晶質炭素被膜を成膜するバイアス電圧を−400Vにして水素含有量を表1のように調整した点と、第二摺動部材の硬質粒子の含有量を5体積%にした点である。第一摺動部材の非晶質炭素被膜の水素含有量、膜硬度、および表面粗さの測定結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1と同じように摺動構造を制作した。実施例1と相違する点は、第一摺動部材の非晶質炭素被膜を成膜するバイアス電圧を−200Vにして水素含有量を表1のように調整した点と、第二摺動部材の硬質粒子の含有量を10体積%にした点である。第一摺動部材の非晶質炭素被膜の水素含有量、膜硬度、および表面粗さの測定結果を表1に示す。
実施例1と同じように摺動構造を制作した。実施例1と相違する点は、第一摺動部材の非晶質炭素被膜を成膜するバイアス電圧を−200Vにして水素含有量を表1のように調整した点と、第二摺動部材の硬質粒子の含有量を10体積%にした点である。第一摺動部材の非晶質炭素被膜の水素含有量、膜硬度、および表面粗さの測定結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1と同じように摺動構造を制作した。実施例1と相違する点は、第二摺動部材の硬質粒子の含有量を30体積%にした点である。第一摺動部材の非晶質炭素被膜の水素含有量、膜硬度、および表面粗さの測定結果を表1に示す。
実施例1と同じように摺動構造を制作した。実施例1と相違する点は、第二摺動部材の硬質粒子の含有量を30体積%にした点である。第一摺動部材の非晶質炭素被膜の水素含有量、膜硬度、および表面粗さの測定結果を表1に示す。
<摩擦摩耗試験>
実施例1〜3および比較例1〜4の摺動構造に対して、図1に示すLFW試験機を用いて、JIS D4311に準拠して摩擦係数の測定および摩耗深さの測定試験を行った。具体的には、油温80℃に温度調整されたエンジンオイル(0W−20オイル)が収容された油浴槽内に、リング試験片(第一摺動部材)の周面の一部を浸漬するとともに、ブロック試験片(第二摺動部材)を5kgの荷重で押し当てて、リング試験片を270rpmで30分間回転させ、そのときの摩擦係数を測定した。次に、試験終了後の実施例1〜3および比較例1〜4のブロック試験片の摺動面(銅と硬質粒子を含む表面)の摩耗深さを測定した。さらに、摩擦摩耗試験前後のリング試験片の非晶質炭素被膜の表面粗さを測定した。この結果を図2および図3に示す。
実施例1〜3および比較例1〜4の摺動構造に対して、図1に示すLFW試験機を用いて、JIS D4311に準拠して摩擦係数の測定および摩耗深さの測定試験を行った。具体的には、油温80℃に温度調整されたエンジンオイル(0W−20オイル)が収容された油浴槽内に、リング試験片(第一摺動部材)の周面の一部を浸漬するとともに、ブロック試験片(第二摺動部材)を5kgの荷重で押し当てて、リング試験片を270rpmで30分間回転させ、そのときの摩擦係数を測定した。次に、試験終了後の実施例1〜3および比較例1〜4のブロック試験片の摺動面(銅と硬質粒子を含む表面)の摩耗深さを測定した。さらに、摩擦摩耗試験前後のリング試験片の非晶質炭素被膜の表面粗さを測定した。この結果を図2および図3に示す。
図2は、実施例1〜3および比較例1〜4のブロック試験片の摩耗深さと摩擦係数の関係を示した図であり、図3は、実施例1〜3および比較例1〜4のリング試験片の摩耗試験前後の表面粗さの測定結果を示した図である。
<結果および考察>
図2に示すように、実施例1〜3および比較例4のブロック試験片(第二摺動部材)の摩耗量は、比較例1〜3のものに比べ少なく、実施例1〜3および比較例4のブロック試験片(第二摺動部材)の摩擦係数は、比較例1〜3のものに比べて小さかった。図3に示すように、実施例1〜3および比較例4のリング試験片は、比較例1〜3のものに比べて、試験後の表面粗さが小さくなっていた。しかしながら、比較例4のリング試験片の非晶質炭素被膜の摩耗量は、実施例1〜3のものよりも大きくなっていることが目視で確認された。
図2に示すように、実施例1〜3および比較例4のブロック試験片(第二摺動部材)の摩耗量は、比較例1〜3のものに比べ少なく、実施例1〜3および比較例4のブロック試験片(第二摺動部材)の摩擦係数は、比較例1〜3のものに比べて小さかった。図3に示すように、実施例1〜3および比較例4のリング試験片は、比較例1〜3のものに比べて、試験後の表面粗さが小さくなっていた。しかしながら、比較例4のリング試験片の非晶質炭素被膜の摩耗量は、実施例1〜3のものよりも大きくなっていることが目視で確認された。
以上のことから、リング試験片(第一摺動部材)の非晶質炭素被膜に水素を28〜38原子%含有することにより、水素を含有していないものに比べてその硬度を低下させ、実施例1〜3に示すブロック試験片(第二摺動部材)の如く銅または銅合金に、アルミナからなる硬質粒子を、15〜25質量%含有させることにより、ブロック試験片の摩耗を抑制するとともに、リング試験片の非晶質炭素被膜の表面粗さを低減し、低摩擦効果を発現することができたと考えられる。
以上、本発明の実施の形態を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。
Claims (1)
- 摺動面に、水素を28〜38原子%含有した非晶質炭素被膜が被覆された第一摺動部材と、
該第一摺動部材の摺動面と摺動するとともに、アルミナからなる硬質粒子を15〜25体積%含有した銅または銅合金を、第一摺動部材に摺動する摺動面に含む第二摺動部材と、を備えたことを特徴とする摺動構造。
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