JP2015059154A - 遮蔽材料及びその組成物 - Google Patents

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貴大 樋下田
田中 興一
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Abstract

【課題】可視光透過率が高く、熱線遮蔽性や耐久性に優れ、かつ黄色味を抑え意匠性を損なわない熱線遮蔽材料並びにその組成物を提供する。【解決手段】特定の近赤外領域に優れた吸収を示すアミノ基を有し、硫黄原子含有アントラキノン色素を含有する熱線遮蔽材料及び組成物。該組成物は、アクリル系粘着剤若しくは熱可塑性樹脂を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、特定の近赤外領域に優れた吸収を示し、可視光領域の透過率が高く、意匠性を損なわないアントラキノン色素を含有する熱線遮蔽材料及び組成物に関するものである。
近年の省エネルギーや地球環境問題の観点から、空調機器の負荷を軽減することが求められている。例えば、住宅や自動車の分野では太陽光からの熱線を遮蔽できる熱線遮蔽性材料を窓ガラスへ付与した熱線遮蔽性ガラスがあり、室内や車内の温度上昇の抑制に効果があることが知られており、この熱線遮蔽性材料として近赤外吸収色素が使用されている。
この熱線遮蔽性材料を住宅や自動車の窓ガラスへ付与する場合、視認性確保の点から可視光透過率が高いこと、また、省エネルギーや地球環境問題の観点から熱線遮蔽能力が高いこと、屋外使用でも耐えられる高耐久性が望まれている。また、意匠性の点から、出来るだけ無色透明、若しくは着色が薄いことが望ましいとされている。
特許文献1では、透明性に優れた熱線遮蔽性材料としてポルフィラジン色素が開示されている。しかし、本発明者らの検討の結果、特許文献1に記載の色素は、可視光透過率が高く、熱線遮蔽性も優れていたが、黄色味が強く、意匠性を著しく損なっており、産業上使用し難いものであった。また、特許文献2では、熱線遮蔽材料としてジイモニウム系色素が開示されているが、本発明者らの検討の結果、屋外使用に耐えうる耐久性を有していなかった。
特願2012−263717 特開2008−268535
本発明は前記したような状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は可視光透過率が高く、かつ熱線遮蔽性に優れた熱線遮蔽性材料及び組成物を提供することにある。また、黄色味を抑え、住宅や自動車の分野でも意匠性を損なわず、屋外使用に耐えうる高耐久性を有する、産業上その利用価値を高めた熱線遮蔽性組成物を提供することにある。
本発明者等は前記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、特定の下記式(1)で表されるポルフィラジン色素又はこれを含有する色素分散組成物が前記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は
(1)下記式(1)で表されるアントラキノン色素を含有する熱線遮蔽材料
Figure 2015059154
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アミノ基、置換基を有してもよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、スルホンアミド基を表し、Rは炭素数1〜10の置換されていてもよい飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜10の置換されていてもよい芳香族炭化水素基を示し、X、Yはそれぞれ独立して酸素原子、窒素原子、硫黄原子を表す。]、
(2)上記式(1)のX、Yのいずれか一方が硫黄原子である(1)に記載の熱線遮蔽材料、
(3)上記式(1)のR、Rがアミノ基又は置換基を有しても良いアミノ基である(1)または(2)に記載の熱線遮蔽材料、
(4)(1)〜(3)のいずれか一項に記載の熱線吸収材料を少なくとも一種を含有する熱線遮蔽組成物、
(5)(4)に記載の熱線遮蔽組成物において、更にバインダー樹脂が含まれることを特徴とする熱線遮蔽組成物、
(6)(5)に記載のバインダー樹脂がアクリル系粘着剤であることを特徴とする熱線遮蔽組成物、
(7)(5)に記載のバインダー樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする熱線遮蔽組成物、
(8)(5)〜(7)のいずれか一項に記載の熱線遮蔽組成物を含んでなる光学フィルタ、
(9)(5)〜(7)のいずれか一項に記載の熱線遮蔽組成物を塗布してなる熱線遮蔽シート、
(10)(9)記載の熱線遮蔽シートとガラスを積層した熱線遮蔽性積層体、
に関する。
本発明のアントラキノン色素を熱線遮蔽材料として利用することにより、可視光透過率が高く、熱線遮蔽性と耐久性に優れており、かつ黄色味を抑えることができた。これにより、意匠性を損なわずに住宅や自動車の分野へ応用することができる。
本発明を詳細に説明する。本発明は、前記式(1)のアントラキノン色素を含有する熱線遮蔽性材料並びにその組成物に関するものであり、該色素を各種バインダー樹脂に含有させ、熱線遮蔽性組成物となることを特徴とする。さらに、この色素を含有する組成物に熱線遮蔽性金属微粒子を含有させることも出来る。これら組成物は熱線遮蔽性粘着シートへ応用できるほか、基材へ塗工し、フィルムとして形成できる特徴があり、これらを用いてガラスをなどと積層体を作ることもできる。
前記式(1)中、X、Yは酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれるが、いずれか一方が硫黄原子であることが好ましく、より好ましくはもう一方が酸素原子であることがより好ましい。
前記式(1)において、R〜Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アミノ基、置換基を有してもよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、スルホンアミド基が選ばれるが、好ましくは水素原子、アミノ基、置換基を有してもよいアミノ基、ニトロ基、スルホン酸基が好ましい。また、R、Rについてはアミノ基または置換基を有してもよいアミノ基であることがより好ましい。
炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルが挙げられる。炭素数1〜4のアルコキシ基としては例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等が挙げられる。
本発明において置換アミノ基は特に限定されないが、炭素数1〜10の置換されていてもよい飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜10の置換されていてもよい芳香族炭化水素基をもつアミノ基が好ましい。炭素数1〜10の置換されていてもよい飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル等の直鎖状又は分岐状のアルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、メトキシエチル、エトキシエチル、メトキシプロピル、ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、スルホプロピル等の置換アルキル基、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等のアルケニル基などが挙げられる。炭素数6〜10の置換されていてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有しても良いナフチル基が挙げられる。
前記式(1)で表される本発明のアントラキノン色素の化合物例を下記に示す。下記化合物例は、本発明の色素を具体的に説明するために代表的な色素を示すものであり、本発明は下記の例に限定されるものではない。
(化合物例1)
Figure 2015059154
(化合物例2)
Figure 2015059154
(化合物例3)
Figure 2015059154
(化合物例4)
Figure 2015059154
(化合物例5)
Figure 2015059154
(化合物例6)
Figure 2015059154
(化合物例7)
Figure 2015059154
(化合物例8)
Figure 2015059154
(化合物例9)
Figure 2015059154
前記式(1)の化合物を熱線遮蔽材料として用いる場合、単独で用いても良いし、バインダー樹脂と混合して使用しても良い。いずれも前記式(1)の化合物を分散媒に溶解させるか、分散媒中に分散して使用することが好ましい。
分散媒しては、有機溶剤、樹脂を構成するモノマー等の前駆体、分散剤や可塑剤等の添加剤等が挙げられる。有機溶媒としては、例えば炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル等)、エーテル系溶媒(イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1,4−ジオキサン等)、グリコール系溶媒(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等)、グリコールエーテル系溶媒(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、グリコールエステル系溶媒(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等)、グライム系溶媒(モノグライム、ジグライム等)、ハロゲン系溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム等)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン)や、ピリジン、テトラヒドロフラン、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドが挙げられる。好ましくは、水、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、炭化水素系溶媒であり、より好ましくは、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンである。
前記式(1)の化合物を有機溶剤へ分散する方法としては従来の方法を用いることができる。すなわち、前記式(1)の化合物と分散媒を所定比率に混合し、必要に応じて分散剤、界面活性剤等を添加し、サンドミル、アトライター、ボールミル、ホモジナイザー、ロールミル、ビーズミル等の分散装置を用いて分散することができる。これらの中でもビーズミルが好ましい。またビーズミルにおける顔料の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましく、更に粉砕処理後に濾過、遠心分離などで素粒子を除去することが好ましい。
バインダー樹脂としてアクリル系粘着組成物である場合、耐久性の高いアクリル共重合体系粘着樹脂であることが好ましい。アクリル共重合体系粘着剤は、通常、ポリマーのガラス転移点が低い主モノマーとガラス転移点が高いコモノマーの共重合により作ることができる。
アクリル共重合体系粘着樹脂の主成分となるモノマーとしては、ガラス転移点が低くアルキル基の炭素数が2乃至14のアクリル酸アルキルエステルまたはアルキル基の炭素数が4乃至16のメタアクリル酸アルキルエステル、およびガラス転移点がそれらより高く、それらと共重合可能なモノマーが使用される。
ガラス転移点が低いアクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸メトキシエチル、アクチル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸セカンダリーブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸イソステアリル等を例示することができる。
また、ガラス転移点の低いメタアクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸n−ラウリル等を例示することができる。
また、共重合可能モノマーとしては、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアマイド、スチレン、メタアクリル酸メチル、アクリル酸メチル等を例示することができる。
これらモノマーに前記式(1)の化合物を溶解又は分散して使用することができる。例えば、あらかじめこれらモノマーに前記式(1)の化合物を溶解又は分散し、重合することにより熱線遮蔽組成物を得ることができる。
前記モノマー以外に所要の粘着性能を得るために、官能基含有モノマーとして(メタ)アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリルアマイド、メチロールアクリルアマイド、ジメチルアクリルアミド、グリシジリルメタアクリレート、無水マレイン酸等も使用される。また、分子量についてはアクリル系粘着組成物の重量平均分子量が10万〜120万であることが好ましい。より好ましくは20万〜80万である。
バインダー樹脂が熱可塑性樹脂である場合、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート、ナイロン6、ナイロン66、ポリウレタン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン、四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン/パーフルオロアルコキシエチレン重合体、四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
熱線遮蔽組成物を構成する高分子材料の架橋度は、高分子材料の種類、組成等の諸条件により異なり、特に限定されないが必要に応じ可塑剤が添加されてもよい。また、前記式(1)の化合物をこれら可塑剤に溶解または分散して使用しても良い。この可塑剤としては特に限定されないが、例えば、塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を混合して用いることができる。また、バインダー樹脂へは前記可塑剤の他、必要に応じ、例えば、紫外線吸収剤又は酸化防止剤等の各種添加剤を添加することができる。バインダー樹脂が熱可塑性樹脂である場合、可塑剤としては液状の有機エステル可塑剤が好ましい。
液状可塑剤を分散媒として前記式(1)の化合物を溶解又は分散して分散体とし、この分散体をバインダー樹脂と混合し、熱線遮蔽組成物とすることが出来る。
上記有機エステル系可塑剤としては、特に限定はされないが、例えば、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−
n − ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物が挙げられる。この中でも、エステル可塑剤としてはこのような可塑剤は、バインダー樹脂組成物との相溶性が良いものであるのが好ましい。
分散を行うときの前記式(1)の化合物と分散媒の重量比は前記式(1)の化合物を1重量部に対して好ましくは有機溶媒3〜500重量部であり、更に好ましくは有機溶媒15〜100重量部であり、最も好ましくは有機溶媒20〜50重量部である。
分散剤としては、脂肪酸塩(石けん)、α−スルホ脂肪酸エステル塩(MES)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキル硫酸塩(AS)、アルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、アルキル硫酸トリエタノールといった低分子陰イオン性(アニオン性)化合物、脂肪酸エタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(APE)、ソルビトール、ソルビタンといった低分子非イオン系化合物、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジニウムクロリド、といった低分子陽イオン性(カチオン性)化合物、アルキルカルボキシルベタイン、スルホベタイン、レシチンといった低分子両性系化合物や、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ビニル化合物とカルボン酸系単量体の共重合体塩、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどに代表される高分子水系分散剤、ポリアクリル酸部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミンといった高分子非水系分散剤、ポリエチレンイミン、アミノアルキルメタクリレート共重合体といった高分子カチオン系分散剤が代表的なものであるが、本発明の粒子に好適に適用されるものであれば、ここに例示したような形態のもの以外の構造を有するものを排除しない。
添加する分散剤としては、具体的名称を挙げると次のようなものが知られている。フローレンDOPA−15B、フローレンDOPA−17(共栄社化学株式会社製)、ソルプラスAX5、ソルプラスTX5、ソルスパース9000、ソルスパース12000、ソルスパース17000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース35100、ソルスパース54000、ソルシックス250、(日本ルーブリゾール株式会社製)、EFKA4008、EFKA4009、EFKA4010、EFKA4015、EFKA4046、EFKA4047、EFKA4060、EFKA4080、EFKA7462、EFKA4020、EFKA4050、EFKA4055、EFKA4400、EFKA4401、EFKA4402、EFKA4403、EFKA4300、EFKA4330、EFKA4340、EFKA6220、EFKA6225、EFKA6700、EFKA6780、EFKA6782、EFKA8503(エフカアディディブズ社製)、アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPN411、フェイメックスL−12(味の素ファインテクノ株式会社製)、TEXAPHOR−UV21、TEXAPHOR−UV61(コグニスジャパン株式会社製)、DisperBYK101、DisperBYK102、DisperBYK106、DisperBYK108、DisperBYK111、DisperBYK116、DisperBYK130、DisperBYK140、DisperBYK142、DisperBYK145、DisperBYK161、DisperBYK162、DisperBYK163、DisperBYK164、DisperBYK166、DisperBYK167、DisperBYK168、DisperBYK170、DisperBYK171、DisperBYK174、DisperBYK180、DisperBYK182、DisperBYK192、DisperBYK193、DisperBYK2000、DisperBYK2001、DisperBYK2020、DisperBYK2025、DisperBYK2050、DisperBYK2070、DisperBYK2155、DisperBYK2164、BYK220S、BYK300、BYK306、BYK320、BYK322、BYK325、BYK330、BYK340、BYK350、BYK377、BYK378、BYK380N、BYK410、BYK425、BYK430(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、ディスパロン1751N、ディスパロン1831、ディスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン1934、ディスパロンDA−400N、ディスパロンDA−703−50、ディスパロンDA−725、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−7301、ディスパロンDN−900、ディスパロンNS−5210、ディスパロンNVI−8514L、ヒップラードED−152、ヒップラードED−216、ヒップラードED−251、ヒップラードED−360(楠本化成株式会社)、FTX−207S、FTX−212P、FTX−220P、FTX−220S、FTX−228P、FTX−710LL、FTX−750LL、フタージェント212P、フタージェント220P、フタージェント222F、フタージェント228P、フタージェント245F、フタージェント245P、フタージェント250、フタージェント251、フタージェント710FM、フタージェント730FM、フタージェント730LL、フタージェント730LS、フタージェント750DM、フタージェント750FM(株式会社ネオス製)、AS−1100、AS−1800、AS−2000(東亞合成株式会社製)、カオーセラ2000、カオーセラ2100、KDH−154、MX−2045L、ホモゲノールL−18、ホモゲノールL−95、レオドールSP−010V、レオドールSP−030V、レオドールSP−L10、レオドールSP−P10(花王株式会社製)、エバンU103、シアノールDC902B、ノイゲンEA−167、ブライサーフA219B、ブライサーフAL(第一工業製薬株式会社製)、メガファックF−477、メガファック480SF、メガファックF−482、(DIC株式会社製)、シルフェイスSAG503A、ダイノール604(日信化学工業株式会社製)、SNスパーズ2180、SNスパーズ2190、SNレベラーS−906(サンノプコ株式会社製)、S−386、S−420(AGCセイミケミカル株式会社製)といったものが例示できる。
本発明の熱線遮蔽性金属微粒子を含有する色素分散組成物に用いる熱線遮蔽性金属微粒子としては、可視光の吸収が小さく、近赤外部から遠赤外部にかけて良好な吸収特性を有しているものが適している。そのようなものとして、近赤外域にプラズマ波長を持っている電気伝導性の金属酸化物が挙げられる。具体的には、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン等を例示することができる。このうち、可視光領域において光吸収が少ない酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛が好ましい。
また、これらの酸化物の電気導電性を向上させるために第三成分をドープすることは、大変好ましい。このためのドーパントとしては、酸化スズに対してはSb,V,Nb,Ta等が選ばれ、酸化インジウムに対してはZn,Al,Sn,Sb,Ga,Ge等が選ばれ、酸化亜鉛に対しては、Al,Ga,In,Sn,Sb,Nb等が選ばれる。
バインダー樹脂がアクリル系粘着剤である熱線遮蔽組成物に熱線遮蔽性金属微粒子を含有させた熱線遮蔽組成物を得る方法としては、熱線遮蔽性金属微粒子をアクリル系粘着組成物の主成分となるモノマーへ分散し、次いでこれを重合することで目的の熱線遮蔽性色素分散組成物を得ることが出来る。また、予め公知の方法(WO2013/039039)で熱線遮断性金属微粒子の分散液を作成し、有機溶剤に前記式(1)のような熱線遮蔽材料を溶解または分散させた熱線遮蔽組成物と共にモノマーと混合したのち重合させることにより目的の熱線遮蔽組成物を得る方法がある。さらにより簡便な方法としては、アクリル系粘着組成物を分散媒とする熱線遮蔽組成物に、予め作成した熱線遮断性金属微粒子の分散液を直接混合することにより目的の熱線遮蔽組成物を得る方法がある。
本発明の熱線遮蔽組成物を使用した光学フィルタや熱線遮蔽シートを作製する方法としては特に限定されるものではないが、例えば、下記の公知の方法が利用できる。1)熱可塑性樹脂と各種添加剤に前記式(1)のような熱線遮蔽材料を溶解または分散して本発明の熱線遮蔽組成物とし、押し出し成型等でシートを作製する方法、2)熱線遮蔽材料及びバインダー樹脂(接着剤)を含有させた組成物を透明樹脂板、透明フィルム、透明ガラス板等に塗布する方法、3)熱線遮蔽材料及びバインダー樹脂(粘着剤又は接着剤)を含有させた組成物を作製して本発明の熱線遮蔽組成物とし、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、又は合わせガラス板を作製する方法、等である。
1)の方法は、用いる組成によって加工温度、フィルム化(樹脂板化)条件等が多少異なるが、通常、熱可塑性樹脂と可塑剤や紫外線吸収剤等の添加剤をミキシングロール等で十分に混練したのち、プレス成型機を用いて5〜200℃で10分〜3時間程度で成型する。
2)の方法は、上記式(1)のような熱線遮蔽材料又は熱線遮蔽組成物を塗工する方法であり、これらを塗工する際に溶媒を用いて希釈することもできる。溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系の溶媒、又は、それらの混合溶媒を用いることができる。塗工方法としては、塗料を透明樹脂板、透明フィルム、透明ガラス板、又は撮像素子等の上にスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、オフセットコーター、スプレー等で塗工する
3)の方法はバインダー樹脂(シリコン系、ウレタン系、アクリル系等の樹脂用、ポリビニルブチラール用粘着剤又は接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤)に、前記式(1)のような熱線遮蔽材料を0.1〜30質量%程度添加した熱線遮蔽組成物を用い、透明な樹脂板同士、樹脂板と樹脂フィルム、樹脂板とガラス、樹脂フィルム同士、樹脂フィルムとガラス、ガラス同士を張り合わせることにより熱線遮蔽積層体を作製する。なお、それぞれの方法で混錬・混合の際、紫外線吸収剤、可塑剤等の樹脂成型に用いる通常の添加剤を加えてもより。各々の材料を張り合わせる方法としては、公知の貼合機を用いることができ、ガラス同士を張り合わせることによる合わせガラスの場合は、熱時圧着や高圧下で積層する方法で作製される。
アクリル系粘着組成物に対する熱線遮蔽金属微粒子と前記式(1)の化合物の混合割合は、粘着層の塗工厚と遮蔽性能により決定される。色素分散組成物を塗工したフィルムの光学性能としては、可視光透過率が高く、日射透過率が低いものが理想的であるが、一般には両者は比例関係にあり、どちらの性能を重視するかにより光学性能を決定することになる。
一般に、粘着層の塗工厚は、被接着面への追従性や粘着力および経済性を考慮して通常10〜50μmの厚みが採用されるが、この範囲で上記の熱線遮蔽性を与える微粒子の量として、(熱線遮断性金属微粒子+前記式(1)の化合物):樹脂固形分=3:97〜50:50(重量比)の範囲が好適である。
本発明を下記実施例、および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。例中にある%及び部は、特にことわりないかぎり重量基準である。
合成例1(化合物例1)
公知の方法にて合成した。メチルセロソルブ40部中に1,4−ジアミノ−2,3−ジシアノ−9,10−アントラキノン5.8部、無水炭酸カリウム9部を仕込み、75〜80℃で3時間反応させた。さらに、p−トルエンスルホン酸−2−メトキシブチルエステル12部を仕込み、100〜105℃で3時間反応させた。反応後、メタノール60部を加え、析出した結晶をろ過し、前駆体を5.4部得た。この前駆体をo−ジクロロベンゼン50部に溶解し、80〜85℃にて硫化水素ガスを吹き込みながら3時間撹拌し、反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて抽出し、目的とする化合物1を3.3部得た。この化合物1のクロロホルム中での溶解色は淡緑青色であり、λmaxは749nmであった。
製造例1(熱線遮蔽組成物1)
トルエン7ml、合成例1で得た前記式(2)の化合物(化合物例1)0.21g、分散剤DisperBYK140を0.21g加え、さらに解砕ビーズとしてジルコニアビーズを加え、バッチ式ビーズミリング装置(T.K.フィルミックス30−25型、プライミクス(株)製)にて分散処理を行った。得られた分散体を、遠心分離機(日立工機株式会社
himac CR18)を用いて遠心処理を行うことにより、熱線遮蔽組成物1を得た。
合成例2(アクリル系粘着組成物)
アクリル酸n−ブチル291gとアクリル酸9gをトルエン366gに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.15gを添加して、窒素気流下において70℃で6時間重合してアクリル樹脂共重合体(重量平均分子量:Mw=32万)を得た。さらにトルエンで希釈し、固形分率29.36%、粘度2700mPasのアクリル系粘着組成物を得た。
バインダー樹脂がアクリル系粘着組成物である熱線遮蔽組成物の塗布シート作製
実施例1
合成例2で得たアクリル系粘着組成物 100部(アクリル酸ブチル:アクリル酸=97:3)、製造例1で得た熱線遮蔽組成物1 8.1部を均一になるように混合溶解し、色素分散組成物を得た。また、これを離型シートのポリエステルフィルム(片面側にシリコーン処理を施したもの)(リンテック社製
3811厚さ:38μm)上にコンマコーターで塗布して乾燥し、離型シートのポリエステルフィルム(片面側にシリコーン処理を施したもの)(リンテック社製 3801 厚さ:38μm)で覆うことにより熱線遮蔽組成物塗布シート(厚さ:15μm)を作製した。
比較例1
特許文献1中の合成例2で示されるナフタロシアニン化合物を用いて、製造例1と同様にして熱線遮蔽組成物を作製し、実施例1と同様にして熱線遮蔽組成物塗布シート(厚さ:15μm)を作製した。
実施例2(熱線遮蔽組成物塗布シートの評価)
実施例1、比較例1で作成した組成物塗布シートの評価を行った。試験方法及び結果の評価方法を以下に記載する。
(a)組成物塗布シートの透過率の算出
上記で得られた組成物塗布シートを、分光光度計(島津製作所製
UV−3150)を用いて透過スペクトルを測定し、透過率を算出した。
(b)全日射エネルギー(Tts)の算出
全日射エネルギー(Tts;Total
Solar Transmittance)は太陽からの熱的エネルギーのうち、対象となる材料をどの程度透過するかという尺度であり、ISO13837に定義されている計算式にて算出した。算出された数値が小さいほど全日射エネルギーが小さいことを示し、熱線遮蔽性が高いことを示す。
(C)CIE1976(L*a*b*)表色系のb*値の算出
CIE1976(L*a*b*)表色系のb*値は測定対象物の黄色の色相を表す数値であり、数値が大きいほど黄色味が強くなり、数値が小さいほど黄色味が弱くなる。このb*値は(a)で得られた透過スペクトルより算出した。
本評価では、熱線遮蔽性を示す全日射エネルギー(Tts)値を同一にした時のb*値を比較し、表1にまとめた。
Figure 2015059154
表1に示すとおり、本発明の色素を用いた場合、同じ熱線遮蔽性を示す比較例よりもb*値が小さくなっており、黄色味が大幅に軽減されていることがわかった。実施例1の組成物塗布シートは、黄色味は目視で確認できなかったが、比較例1のシートは目視で確認できるほど強い黄色味であることが確認できた。
実施例3(熱線遮蔽組成物塗布シートのガラス積層体)
実施例2で得られた熱線遮蔽組成物塗布シートを用い、オートクレーブ中で140℃30分間、2枚のガラスで熱線遮蔽組成物を圧着し、ガラス積層体を作成した。
比較例2
合成例1の熱線遮蔽材料を公知文献1実施例2に記載の化合物に替える以外は実施例1と同様にして熱線遮蔽組成物を作製し、実施例3と同様にしてガラス積層体を作製した。
実施例4
実施例3で得られたガラス積層体と比較例2で得られたガラス積層体を100℃で200時間の耐熱性試験を実施した。試験前後の全日射エネルギーを測定し、その変化量算出して比較したものを表2に示す。
全日射エネルギーの変化量の算出方法は、
変化量=(全日射エネルギー試験後−全日射エネルギー試験前)/全日射エネルギー試験後×100%
Figure 2015059154
表2に示すとおり、実施例3で得られた熱線遮蔽組成物を用いたガラス圧着後の耐熱試験では、試験前と試験後で全日射エネルギーに大きな差は見られず、高い耐熱性を有することがわかった。一方、比較例2で作製した圧着ガラスの耐久性試験では、全日射エネルギーの変化率が大きくなっていることから、高熱により熱線遮蔽機能が大きく低下した。
本発明は熱線遮蔽能力に優れ、黄色味が少なく意匠性に優れた、熱線遮蔽性材料としての近赤外吸収色素を提供するものである。また、得られた近赤外吸収色素は住宅や自動車の窓ガラス向け熱線遮蔽性材料への応用ができ、実用上極めて価値のあるものである。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表されるアントラキノン色素を含有する熱線遮蔽材料
    Figure 2015059154
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アミノ基、置換基を有してもよいアミノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、スルホンアミド基を表し、Rは炭素数1〜10の置換されていてもよい飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜10の置換されていてもよい芳香族炭化水素基を示し、X、Yはそれぞれ独立して酸素原子、窒素原子、硫黄原子を表す。]
  2. 上記式(1)のX、Yのいずれか一方が硫黄原子である請求項1に記載の熱線遮蔽材料。
  3. 上記式(1)のR、Rがアミノ基又は置換基を有しても良いアミノ基である請求項1または請求項2に記載の熱線遮蔽材料。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱線吸収材料を少なくとも一種を含有する熱線遮蔽組成物。
  5. 請求項4に記載の熱線遮蔽組成物において、更にバインダー樹脂が含まれることを特徴とする熱線遮蔽組成物。
  6. 請求項5に記載のバインダー樹脂がアクリル系粘着剤であることを特徴とする熱線遮蔽組成物。
  7. 請求項5乃至7のいずれか一項に記載のバインダー樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする熱線遮蔽組成物。
  8. 請求項5乃至7のいずれか一項に記載の熱線遮蔽組成物を含んでなる光学フィルタ。
  9. 請求項5乃至7のいずれか一項に記載の熱線遮蔽組成物を塗布してなる熱線遮蔽シート。
  10. 請求項9に記載の熱線遮蔽シートとガラスを積層した熱線遮蔽性積層体。
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