JP2013201232A - 太陽電池用着色封止材および太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池用着色封止材および太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】裏側封止材として着色封止材を用いた場合、封止工程の加熱圧着の際に、着色封止材の材料が溶融流動し、光電変換セルの受光面側に回り込んだり、表側封止材との混ざりこみにより、外観不良が発生したり、また着色剤の存在により、表側封止材、光電変換セル、裏面保護部材との密着性が阻害されるおそれがある。
【解決手段】着色封止材は、エチレン−メタクリル酸共重合体、及び黒色着色剤を含み、前記黒色着色剤が前記エチレン−メタクリル酸共重合体100質量部に対して0.1〜20質量部添加されている。この着色封止材を用いることで、封止材材料の混ざりこみを防止し、密着性を維持し、外観が良好で意匠性に優れる太陽電池モジュールを提供することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、太陽電池用着色封止材およびその着色封止材を用いた太陽電池モジュールに関する。
太陽光を利用するクリーンな発電技術として、太陽電池が近年注目を集めている。太陽電池としては、結晶シリコン、非晶シリコン、化合物半導体、有機色素等を用いる多様な方式のものが存在する。中でも、結晶シリコン系太陽電池は耐候性、耐久性に優れ、比較的高い光電変換効率を有しているため、最も普及が進んでいる。
一般的な太陽電池モジュールは、図3に示すとおり表面保護部材1、表側封止材2、光電変換セル3、裏側封止材4、裏面保護部材5が順に並ぶ積層構造となっている。表面保護部材1、表側封止材2、裏側封止材4、裏面保護部材5はそれぞれシート状に形成され、これらが加熱圧着され、表側封止材2と裏側封止材4とで光電変換セル3が封止される。
このような太陽電池を構成するシート状の各材料としては、長期使用に耐え得る高い耐候性が求められる。中でも封止材2,4は、表面保護部材1、裏面保護部材5及び光電変換セル3を接着保持する材料であるため、長期間の高い密着性が必要であり、また、光電変換セル3の受光面側に配置されるものは、透明性が失われないことも求められる。
さらに近年では、太陽電池の受光面から入射した光のうち、光電変換セル3の隙間を通過する光や、薄膜セルよりなる光電変換セル3を透過した光が、そのまま裏面保護部材5を通過してしまい発電に寄与することができないという課題や、バックコンタクト型太陽電池を使用する際に背面の導線が見えてしまうという課題、また屋根一体型とする際に周りの屋根材との色の違いから浮いて見えるという課題があり、これらの課題を解決するために、裏側の封止材4として、着色されたものを用いる技術が開発されており、注目を集めている。着色された封止材を用いる太陽電池モジュールの構成を図1に示してある。この太陽電池モジュールにおいては、裏側封止材4´が着色されている。
着色封止材を用いる太陽電池モジュールとしては、特許文献1に提案されている。
裏側封止材として着色封止材4´を用いた場合、図2に示すとおり封止工程の加熱圧着の際に、着色封止材4´の材料が溶融流動し、光電変換セル3の受光面側に回り込んだり、表側封止材2との混ざりこみにより、外観不良が発生したりするという問題がある。また着色剤の存在により、表側封止材2、光電変換セル3、裏面保護部材5との密着性が阻害されるおそれがある。
その対策として、特許文献1に記載される太陽電池モジュールでは、封止材の黒色着色層を、接着層で挟持することが提案されている。
特開2010−93120号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法では、所望の封止材を得るのに共押出しや3層積層などを行う必要性があり、生産性が高くない。
本発明は上記のような課題を解決しようとするものであり、混ざりこみを防止し、密着性を維持し、外観が良好で意匠性に優れ、かつ生産性が高い、太陽電池用着色封止材及びその着色封止材を用いた太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
上記問題を解決するために請求項1に係る発明は、エチレン−メタクリル酸共重合体、及び黒色着色剤を含む太陽電池用封止材であって、前記黒色着色剤が前記エチレン−メタクリル酸共重合体100質量部に対して0.1〜20質量部添加されていることを特徴としている。
請求項2に係る発明は、前記黒色着色剤がカーボンブラックであることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、前記エチレン−メタクリル酸共重合体のメルトフローレートが0.1〜30g/10min(190℃、2.16kg荷重)であることを特徴としている。
請求項4に係る発明は、前記エチレン−メタクリル酸共重合体のメタクリル酸含有量が1〜30質量%であることを特徴としている。
請求項5に係る発明は、前記カーボンブラックの平均一次粒径が10〜100nmであることを特徴としている。
請求項6に係る発明は、前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が10〜300m/gであることを特徴としている。
請求項7に係る発明は、前記カーボンブラックのDBP吸収量が30〜200cm/100gであることを特徴としている。
請求項8に係る発明は、前記カーボンブラックの揮発分が0.1〜10%であることを特徴としている。
請求項9に係る発明は、前記着色封止材の全光線透過率が1%以下であることを特徴としている。
請求項10に係る発明は、表面保護部材、表側封止材、光電変換セル、裏側封止材、裏面保護部材を積層した積層体を加熱圧着して成る太陽電池モジュールにおいて、前記裏側封止材が請求項1乃至9のいずれかに記載の太陽電池用着色封止材であることを特徴としている。
本発明によれば、太陽電池モジュールの製造時における封止材の混ざりこみを防止し、良好な密着性を維持し、外観が良好で意匠性に優れ、かつ生産性の高い太陽電池用着色封止材及び太陽電池モジュールを提供することができる。
着色封止材を用いた太陽電池モジュールの層構成を示す断面図。 太陽電池モジュールの製造封止工程時における着色封止材の混ざりこみを説明するための断面図。 一般的な太陽電池モジュールの層構成を示す断面図。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の太陽電池用着色封止材は、エチレン−メタクリル酸共重合体、及び黒色着色剤を含む材料からなる。前記黒色着色剤は前記エチレン−メタクリル酸共重合体100質量部に対して0.1〜20質量部添加されている。これにより裏面保護部材との密着力に優れた着色封止材を得ることが出来る。
黒色着色剤の添加量が0.1質量部未満の場合、エチレン−メタクリル酸共重合体の官能基と黒色着色剤の官能基との反応が弱く裏面保護部材との密着力が低くなってしまう恐れがある。また、20質量部より大きい場合、黒色着色剤同士が凝集してしまい裏面保護部材との密着力が低くなってしまう恐れがある。
本発明の太陽電池用着色封止材はエチレン−メタクリル酸共重合体、及び黒色着色剤を用いることで高い黒色性、密着性を得ることが出来る。黒色着色剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト化カーボンブラック、微粒子グラファイトなどを挙げることができる。なかでも高い黒色性、密着性を付与できることから、カーボンブラックを用いることが望ましい。
本発明の太陽電池用着色封止材は、エチレン−メタクリル酸共重合体のメルトフローレートが0.1〜30g/10min(190℃、2.16kg荷重)であることが望ましい。メルトフローレートが0.1g/10minより小さい場合は封止材加工時の成形性が悪くなる恐れがあり、30g/10minより大きい場合は、モジュール作成時のハンドリングが悪くなる恐れがある。
本発明の太陽電池用着色封止材は、エチレン−メタクリル酸共重合体のメタクリル酸含有量が1〜30質量%であることが望ましい。メタクリル酸含有量が1質量%より小さい場合は、得られる封止材の透明性が悪くなる恐れがあり、30質量%より大きい場合は、封止材加工時に気泡が発生する恐れがある。
本発明の太陽電池用着色封止材において黒色着色剤の平均一次粒径は、10〜100nmであることが望ましい。平均一次粒径が10nmより小さい場合は黒色着色剤同士が凝集してしまう能性があり、100nmより大きい場合は、黒色着色剤の質量あたりの表面積が小さくなってしまい、高い黒色性が得られない恐れがある。
また前記黒色着色剤の窒素吸着比表面積は10〜300m/gであることが望ましい。窒素吸着比表面積が10m/gより小さい場合は、高い分散性が得られない恐れがあり、300m/gより大きい場合は、高い黒色性が得られない恐れがある。
また前記黒色着色剤のDBP吸収量は30〜200cm/100gであることが望ましい。DBP吸収量が30cm/100gより小さい場合は、高い分散性が得られない恐れがあり、200cm/100gより大きい場合は、高い黒色性が得られない恐れがある。
また前記黒色着色剤の揮発分は0.1〜10%であることが望ましい。揮発分が0.1%より小さい場合は、裏側保護部材との密着性が低くなってしまう恐れがあり、10%より大きい場合は、エチレン−メタクリル酸共重合体と反応してしまい加工性が低下する恐れがある。
本発明の太陽電池用着色封止材は、全光線透過率が1%以下であることが望ましい。全光線透過率が1%より大きい場合は高い黒色性が得られない恐れがある。
前記着色封止材には、密着性、耐候性、熱安定性の観点から、架橋反応開始剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤を添加してもよい。
架橋反応開始剤としては、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキシド、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン等が挙げられる。
また、上記架橋反応開始剤の他に架橋反応を促進するための添加剤を添加してもよい。この架橋反応促進用添加剤としては、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。
密着性向上のために用いられるシランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリメトキシメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリクロロプロピルシラン、トリエトキシフェニルシラン等が挙げられる。
耐候性向上のために用いられる紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤に加え、耐候性向上のために光安定剤を添加してもよい。光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート等が挙げられる。
熱安定性を向上させるために用いられる酸化防止剤としては、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
また、ブロッキング防止のため、製膜工程の中で、熱溶融した状態の樹脂シートを表面に凹凸パターンが施されているロール(金属またはゴム製)にかけることで、封止材の最外層に該ロールの凹凸パターンを転写させ、封止材にエンボス加工を施しても良い。
以下に、実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
エチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含有量11質量%、メルトフローレート8g/10min)70質量部に対して、黒色着色剤としてカーボンブラック(一次粒径30nm、窒素吸着比表面積m/g、DBP吸収量100cm/100g、揮発分0.6%)30質量部を溶融、混合してペレット状にして黒色着色マスターバッチを得た。
上記の処理で得られたマスターバッチとエチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含有量11質量%、メルトフローレート8g/10min)を表1の配合になるようにTダイ法にて製膜を行い、裏側用の着色封止材4´を得た。
(実施例2〜4、比較例1、2)
エチレン−メタクリル酸共重合体、黒色着色剤の配合比を表1のように変更し、実施例1と同様の方法で製膜を行い、裏側用の着色封止材4´を得た。
実施例及び比較例で得られた着色封止材4´を用いて太陽電池モジュールを作成した。すなわち、図2に示す状態と同じように、表面保護部材1、表側封止材2、光電変換セル3、裏側着色封止材4´、裏面保護部材5を重ね合わせて積層し、この積層体を1気圧で加圧しながら150℃で10分キュアして太陽電池モジュールを作成した。表面保護部材1としては白板ガラス(3mm厚)を、裏面保護部材5としてはフッ化ビニルポリマー(38μm厚)にアルミ(35μm厚)を積層したフィルムを、表側封止材2としてはエチレン−メタクリル酸共重合体を用いた。
上記の処理で得られた太陽電池モジュールについて以下の評価・測定を行った。
(混ざり込み評価)
実施例及び比較例で得られた裏側着色封止材を用いた太陽電池モジュールをそれぞれ100セット作成し、封止材材料の混ざりこみによる不良品の発生の有無を調べ、混ざりこみが1セットも生じていないものを○、混ざりこみが生じたものを×とした。
(密着強度評価)
実施例及び比較例で得られた裏側着色封止材を用いた太陽電池モジュールについて、初期と恒温恒湿槽で、温度85℃、湿度85%、1000時間保存後のものにカッターナイフで剥離きっかけとして切込みを入れ、裏面保護部材を密着強度測定機のチャックに固定し、180°の剥離角度、剥離速度300mm/分、測定サンプル幅10mmの条件で評価を行った。
(全光線透過率評価)
分光光度計を用いて、JIS7105に従って評価を行った。
(メルトフローレート測定)
メルトインデクサを用いてJIS7210に従って測定を行った。
(酸含有率測定)
赤外分光分析装置を用いて測定を行った。
(カーボンブラック一次粒径測定)
透過型電子顕微鏡により100万倍で観測、100個の粒子の平均値の測定を行った。
(カーボンブラック窒素吸着比表面積測定)
JIS K6127−2にしたがって測定を行った。
(カーボンブラックDBP吸収量測定)
JIS K6127−4にしたがって測定を行った。
(カーボンブラック揮発分測定)
カーボンブラックを950℃で7分間加熱した際の揮発分の測定を行った。
表1に実施例及び比較例についての評価結果を示す。
Figure 2013201232
1…表面保護部材
2…表側封止材
3…光電変換セル
4…裏側封止材
4´…裏側着色封止材
5…裏面保護部材

Claims (10)

  1. エチレン−メタクリル酸共重合体、及び黒色着色剤を含む太陽電池用着色封止材であって、前記黒色着色剤が前記エチレン−メタクリル酸共重合体100質量部に対して0.1〜20質量部添加されていることを特徴とする太陽電池用着色封止材。
  2. 前記黒色着色剤がカーボンブラックであることを特徴とする請求項1記載の太陽電池用着色封止材。
  3. 前記エチレン−メタクリル酸共重合体のメルトフローレートが0.1〜30g/10min(190℃、2.16kg荷重)であることを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池用着色封止材。
  4. 前記エチレン−メタクリル酸共重合体のメタクリル酸含有量が1〜30質量%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の太陽電池用着色封止材。
  5. 前記カーボンブラックの平均一次粒径が10〜100nmであることを特徴とする請求項2記載の太陽電池用着色封止材。
  6. 前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が10〜300m/gであることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の太陽電池用着色封止材。
  7. 前記カーボンブラックのDBP吸収量が30〜200cm/100gであることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の太陽電池用着色封止材。
  8. 前記カーボンブラックの揮発分が0.1〜10%であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の太陽電池用着色封止材。
  9. 全光線透過率が1%以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の太陽電池用着色封止材。
  10. 表面保護部材、表側封止材、光電変換セル、裏側封止材、及び裏面保護部材を積層した積層体を加熱圧着して成る太陽電池モジュールにおいて、前記裏側封止材として請求項1乃至9のいずれかに記載の太陽電池用着色封止材が用いられていることを特徴とする太陽電池モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016051772A (ja) * 2014-08-29 2016-04-11 三菱樹脂株式会社 太陽電池モジュール及びその製造方法

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