JP2015059118A - テトラヒドロピラゾロピラジン誘導体 - Google Patents

テトラヒドロピラゾロピラジン誘導体 Download PDF

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耕三 吉田
Kozo Yoshida
耕三 吉田
亘 広瀬
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亘 広瀬
義裕 加藤
Yoshihiro Kato
義裕 加藤
格 夏谷
Kaku Natsutani
格 夏谷
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Abstract

【課題】代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5(mGluR5)ネガティブモジュレーターとしての作用を有する、mGluR5が関与する精神疾患若しくは神経変性疾患の治療剤及び/又は予防剤の提供。
【解決手段】式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩[式中、Rは、置換されていてもよいピリジル等を表し、Rは、置換されていてもよいヘテロアリール等を表し、R及びRは、水素原子等を表し、Rは、水素原子等を表し、Lは、結合又は−C(O)−を表し、nは、1又は2を表す]。

【選択図】なし

Description

本発明は、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5(mGluR5)ネガティブモジュレーターとしての作用を有する医薬として有用な新規なテトラヒドロピラゾロピラジン誘導体に関する。より詳しくは、統合失調症、不安障害、強迫性障害、PTSD、うつ病性障害、双極性障害、薬物依存症、神経変性疾患(レボドパ誘発性ジスキネジア、パーキンソン病、ハンチントン病等)、発達障害(脆弱X症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、結節性硬化症等)、疼痛(炎症性疼痛、神経障害性疼痛等)、その他の神経疾患(てんかん、酸素欠乏、虚血障害等)等のmGluR5受容体が関与する精神疾患若しくは神経変性疾患の治療剤及び/又は予防剤として有用な新規な化合物に関する。
L−グルタミン酸は中枢神経系における主要な興奮性神経伝達物質であり、神経細胞に結合し、細胞表面の受容体を活性化する。L−グルタミン酸は2つの異質性の受容体ファミリー(イオンチャネル型及び代謝型グルタミン酸受容体(mGluR))を通して作用する。mGluRはG−タンパク共役型受容体であり、グルタミン酸と結合すると細胞内のセカンドメッセンジャーを活性化する。8個のmGluRのサブタイプがクローニングされており、配列の類似性及び薬理的性質に基づき、3個のグループに分類されている。mGluR1及びmGluR5はグループIに属し、G−タンパク共役型のメカニズムにより細胞応答を開始し、ホスホリパーゼCを活性化し、イノシトールリン脂質の加水分解及び細胞内のカルシウム動員を引き起こす(Schoepp, D.D., et al., Neuropharmacology 1999, 38, 1431)。
mGluR5は中枢神経系及び末梢の両方において発現している(Chizh, B.A., et al., Amino Acids 2002, 23, 169)。故に、mGluR5活性の調節は末梢及びCNSの両方における障害の治療に有用である。末梢における障害に関して、mGluR5ネガティブモジュレーターは、胃食道逆流症(GERD)などの胃腸(GI)管障害の治療に有効であることが示されている。
CNSにおいて、mGluR5の過剰な活性化が多くの疾患(様々な痛みを伴う状態、不安症やうつ病などの精神障害、薬物依存及び薬物離脱症状などの別の神経学的障害)に関わることが示されている。例えば、mGluR5ネガティブモジュレーターは、ストレス性高体温、恐怖増強驚愕などの不安症の様々な動物モデルにおいて有効である。
mGluR5の調節が関連する別の末梢及びCNS障害として、統合失調症、不安障害、強迫性障害、PTSD、うつ病性障害、双極性障害、薬物依存症、神経変性疾患(レボドパ誘発性ジスキネジア、パーキンソン病、ハンチントン病等)、発達障害(脆弱X症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、結節性硬化症等)、疼痛(炎症性疼痛、神経障害性疼痛等)、その他の神経疾患(てんかん、酸素欠乏、虚血障害等)等が挙げられる。故に、神経障害などの様々な障害の治療方法として効果のあるmGluR5モジュレーターの有用性は非常に高い。
これまでにmGluR5ネガティブモジュレーターとしての作用を有する化合物が種々知られているが、それらの主要構造はピラゾロピリミジン骨格を有しており、本願発明のテトラヒドロピラゾロピラジン骨格を主要構造とする化合物については具体的な開示はない(例えば、特許文献1)。
また、下記で示される特許文献にmGluR5ネガティブモジュレーターとしての作用を有する5員環ヘテロアリールを含む二環性化合物が知られているが、本願発明のテトラヒドロピラゾロピラジン骨格を主要構造とする化合物についての具体的な記載はない(特許文献2)。
国際公開第09/095254号 国際公開第10/114971号
本発明の課題は、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5(mGluR5)ネガティブモジュレーターとしての作用を有し、mGluR5が関与する精神疾患若しくは神経変性疾患の治療剤及び/又は予防剤として有用な新規なテトラヒドロピラゾロピラジン誘導体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、下記式(I)で表されるテトラヒドロピラゾロピラジン骨格を有する新規化合物が強いmGluR5ネガティブモジュレーターとしての作用を有し、該化合物が薬物動態に関して優れていることを見出し、本発明を完成させた。本発明によれば、下記式(I)で表されるテトラヒドロピラゾロピラジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩(以下、「本発明の化合物」と称することもある)が提供される。
[項1]下記式(I):
[式中、
は、ピリジル又はチアゾリル(但し、当該ピリジルは、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシ及び水酸基からなる群から独立して選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく、当該チアゾリルは、上記群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい)を表し、
は、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシ及び水酸基からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい、C3−8シクロアルキル、4〜8員のヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールを表し、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はC1−3アルキルを表し、
は、水素原子又はC1−3アルキルを表し、
Lは、結合又は−C(O)−を表し、
nは、1又は2を表す]
で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項2]Rが、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシ及び水酸基からなる群から独立して選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよい、3−ピリジル又は4−ピリジルであり、
が、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシ及び水酸基からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい、C3−8シクロアルキル、4〜8員のヘテロシクリル、アリール又は単環式ヘテロアリールであり、
nが、1である、
項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項3]Rが、下記式(R1A):
で表される基であり、
、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル又は1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシである、
項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項4]R、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、フッ素、塩素又はメチルである、
項3に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項5]nが、1である、
項3又は項4に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項6]Rが、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル及び1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい、フェニル又は単環式ヘテロアリールであり、
及びRが、それぞれ独立して、水素原子又はメチルであり、
が、水素原子であり、
、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、フッ素、塩素又はメチルであり、
Lが、−C(O)−である、
項3〜5のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項7]Rが、フッ素、塩素、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル及び1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、
項6に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項8]R、R及びRが、すべて水素原子であり、
が、フッ素、塩素又はメチルである、
項6又は項7に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項9]Rが、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル及び1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい、フェニル又はピリジルであり、
及びRが、それぞれ独立して、水素原子又はメチルであり、
が、水素原子であり、
、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、フッ素、塩素又はメチルであり、
Lが、結合である、
項3に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項10]Rが、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル及び1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい、2−ピリジル又は3−ピリジルである、
項9に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項11]R、R及びRが、すべて水素原子であり、
が、フッ素、塩素又はメチルである、
項9又は項10に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項12]以下の化合物から選択される、項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩:
(3−クロロ−5−フルオロフェニル)[2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]メタノン(実施例2)、
(3−クロロフェニル)[2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]メタノン(実施例3)、
アゼパン−1−イル[2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]メタノン(実施例7)、
[2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル](フェニル)メタノン(実施例39)、
[2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル](3−メチルフェニル)メタノン(実施例44)、
(2,3−ジフルオロフェニル)[2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]メタノン(実施例49)、
[2−(5−クロロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル](3−フルオロフェニル)メタノン(実施例63)、
(3−クロロ−5−フルオロフェニル)[2−(5−クロロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]メタノン(実施例64)、
3−[2−(5−メチルピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]ピリジン−4−カルボニトリル(実施例75)、
2−(ピリジン−2−イル)−5−[3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン(実施例95)、
2−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(4−メチルピリジン−3−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン(実施例106)、
2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−5−(4−メチルピリジン−3−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン(実施例123)、
2−(5−クロロピリジン−2−イル)−5−[3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン(実施例127)、及び
3−[2−(5−クロロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]ピリジン−4−カルボニトリル(実施例128)。
[項13]項1〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩及び医薬品上許容される担体を含有する医薬品組成物。
[項14]項1〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とする代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5が関与する精神疾患又は神経変性疾患の治療剤。
[項15]代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5が関与する精神疾患又は神経変性疾患が、統合失調症、不安障害、強迫性障害、PTSD、うつ病性障害、双極性障害、薬物依存症、神経変性疾患(レボドパ誘発性ジスキネジア、パーキンソン病及びハンチントン病)、発達障害(脆弱X症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群及び結節性硬化症)、疼痛(炎症性疼痛及び神経障害性疼痛)又はその他の神経疾患(てんかん、酸素欠乏及び虚血障害)である、
項14に記載の治療剤。
[項16]代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5が関与する疾患の治療剤を製造するための項1〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩の使用。
[項17]項1〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩と、統合失調症、不安障害、強迫性障害、PTSD、うつ病性障害、双極性障害、薬物依存症、神経変性疾患(レボドパ誘発性ジスキネジア、パーキンソン病及びハンチントン病)、発達障害(脆弱X症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群及び結節性硬化症)、疼痛(炎症性疼痛及び神経障害性疼痛)又はその他の神経疾患(てんかん、酸素欠乏及び虚血障害)の治療剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤とを組み合わせてなる医薬。
[項18]項1〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とする代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5が関与する、不安障害(不安症・強迫性障害);気分障害(うつ病・双極性障害);認知障害(アルツハイマー病);精神病(統合失調症);パーキンソン病;レボドパ誘発性ジスキネジア;神経変性疾患(ハンチントン病・筋萎縮性側索硬化症);自閉症スペクトラム障害;発達障害(脆弱X症候群・レット症候群・結節性硬化症・注意欠陥多動障害);知的障害(ダウン症候群;炎症性疼痛;神経障害性疼痛;術後疼痛;急性熱痛覚過敏;機械的アロディニア;疼痛(内臓痛・慢性疼痛);てんかん;てんかん発作;攻撃性;外傷後ストレス障害;触覚過敏;感覚性興奮性亢進;酸素欠乏障害(脳卒中・頭部外傷);又は虚血障害の治療剤。
本発明により、統合失調症、不安障害、強迫性障害、PTSD、うつ病性障害、双極性障害、薬物依存症、神経変性疾患(レボドパ誘発性ジスキネジア、パーキンソン病、ハンチントン病等)、発達障害(脆弱X症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、結節性硬化症等)、疼痛(炎症性疼痛、神経障害性疼痛等)、その他の神経疾患(てんかん、酸素欠乏、虚血障害等)等のmGluR5受容体が関与する精神疾患若しくは神経変性疾患の治療剤として有用なテトラヒドロピラゾロピラジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を提供することが可能であり、上記疾患に対する予防剤としても有用であり得る。詳しくは、本発明により、強いmGluR5ネガティブモジュレーターとしての作用を有すると共に、薬物動態的に優れた経口吸収性を有するテトラヒドロピラゾロピラジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩を提供することが可能である。
本発明で提供される化合物は、水和物及び/又は溶媒和物の形で存在することもあるので、これらの水和物及び/又は溶媒和物もまた本発明の化合物に包含される。
式(I)の化合物は、いずれか1つ又は2つ以上の1Hを2H(D)に変換した重水素変換体も一般式(I)で表される化合物に包含される。結晶として得られる一般式(I)で表される化合物及びその製薬学的に許容される塩には、結晶多形が存在する場合があり、その結晶多形も本発明に包含される。
特に断らない限り、本明細書中で用いられる全ての技術用語及び科学用語は当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書中で引用される全ての刊行物及び特許は、引用によりその全体を取り込まれる。
本明細書において、例えば、C1−3とは炭素数が1〜3であり、C2−6とは炭素数が2〜6であり、Cとは炭素数が3であることを表す。他の数字の場合も同様である。
「C1−3アルキル」とは炭素原子数が1〜3の直鎖又は分枝鎖の飽和の脂肪族炭化水素を意味し、その具体例として、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル等が挙げられ、より好ましくはメチル又はエチルが挙げられ、さらに好ましくはメチルが挙げられる。
「アリール」とは、炭素数が6〜10の単環又は2環の芳香族炭化水素環を意味し、好ましくはC又はC10のアリールが挙げられ、その具体例として、フェニル、1−ナフチル及び2−ナフチルが挙げられ、より好ましくはフェニルが挙げられる。当該C6−10アリールは、C3−8シクロアルキル、C4−8シクロアルケニル又は5〜10員のヘテロシクリルと縮合環を形成していてもよい。ここで縮合環は、縮合環を形成する各環の置換基として例示する下記の置換基を有しうる。この場合の縮合アリールの具体例としては、下記式ar−1〜ar−8で表される環の1価基が挙げられる(式中、ベンゼン環上の結合位置は化学的に安定であれば特に限定されない)。
「ヘテロアリール」とは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜10員の単環式又は二環式の芳香族複素環を意味する(当該ヘテロアリールの環上のヘテロ原子の位置及び結合位置は化学的に安定であれば特に限定されない)。当該ヘテロアリール上の窒素原子が酸化されたN−オキシド体も当該ヘテロアリールに含まれる。「単環式ヘテロアリール」の具体例としては、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニルなどが挙げられる。好ましい「単環式ヘテロアリール」としては、チアゾリル若しくはピリジルが挙げられ、より好ましくは、2−ピリジル又は3−ピリジルが挙げられる。「二環式ヘテロアリール」の具体例として、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、イミダゾピリジニル、インドリル、アザインドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニルなどが挙げられる。だだし、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジルは、本発明の化合物で定義されるヘテロアリールから除かれる。
「ヘテロシクリル」とは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含む単環式、二環式の飽和脂肪族複素環基を意味し、例えば、「4〜8員のヘテロシクリル」とは、4〜8個のヘテロ原子および炭素原子で構成される飽和脂肪族複素環基を意味する。縮合又は架橋環を含んでいてもよく、その窒素又は硫黄原子は適宜酸化されていてもよく、該窒素原子は適宜四級化されていてもよく、いくつかの環は部分飽和若しくは完全飽和、又は芳香族でもよい。該ヘテロシクリルは、安定な化合物をもたらすようにいずれのヘテロ原子又は炭素原子で主構造と結合していてもよい。その具体例として、アゼピニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、4−ピペリドニル、ピペラジニル、モリホニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、キヌクリジニル又は下記式hc−1〜hc−5に示す部分的に架橋された環の1価基が挙げられる(式中、R0は、水素原子又は低級アルキルを表し、架橋されたヘテロシクリル環上の結合位置は化学的に安定であれば特に限定されない)。好ましくはアゼピニル、ピロリジニル、ピペリジニル、8−オキソ−3−アザビシクロ[3,2,1]オクチル等が挙げられる。
「シクロアルキル」とは、単環又は多環式飽和炭化水素を意味し、例えば、「C3−10シクロアルキル」とは、炭素数が3〜10の多環式飽和炭化水素を意味する。その具体例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプチル、ビシクロ[3,2,0]ヘプチル、アダマンチル等が挙げられる。好ましくはアダマンチルが挙げられる。
「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味し、好ましくは、フッ素原子又は塩素原子が挙げられる。
「C1−3アルコキシ」とは、直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基が酸素原子を介して結合している基を意味し、その具体例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ等が挙げられ、好ましくはメトキシ又はエトキシが挙げられ、さらに好ましくはメトキシが挙げられる。
アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルにおける置換基としては、例えば、(i)フッ素原子や塩素原子などのハロゲン原子、(ii)シアノ、(iii)メチル、エチル、プロピル、又はトリフルオロメチルなどの1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−3アルキル、(iv)メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、又はトリフルオロメトキシなどの1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−3アルコキシ、(v)水酸基などが挙げられる。好ましくは、C1−3アルキル、ハロゲン、シアノ、C1−3アルコキシ又はトリフルオロメチルが挙げられ、より好ましくはフッ素、塩素、シアノ又はメチルが挙げられる。これらの置換基は、置換可能な任意の位置で1又は同一若しくは異なって2個以上置換していてもよい。
式(I)で表される本発明の化合物において、好適な置換基は以下のとおりである。
としては、各種置換基で置換されていてもよいピリジル又はチアゾリルが挙げられ、好ましくは、ピリジルが挙げられ、より好ましくは、2−ピリジルが挙げられる。
における、チアゾリル又はピリジル(2−ピリジル、3−ピリジル及び4−ピリジル)の置換基としては、(i)フッ素原子や塩素原子などのハロゲン原子、(ii)シアノ、(iii)メチル、エチル、プロピル、又はトリフルオロメチルなどのフッ素原子で置換されていてもよいC1−3アルキル、(iv)メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、又はトリフルオロメトキシなどのフッ素原子で置換されていてもよいC1−3アルコキシ、(v)水酸基などが挙げられる。好ましくは、C1−3アルキル、ハロゲン、シアノ又はC1−3アルコキシが挙げられ、より好ましくは、フッ素、塩素又はメチルが挙げられる。これらの置換基は置換可能な任意の位置で、1又は同一若しくは異なって2個以上置換することができる。
上記置換基で置換されていてもよいRの好ましい具体例としては、チアゾリル、2−ピリジル、4−メチル−2−ピリジル、5−メチル−2−ピリジル、6−メチル−2−ピリジル、5−フルオロ−2−ピリジル、6−フルオロ−2−ピリジル又は5−クロロ−2−ピリジルが挙げられ、より好ましくは5−メチル−2−ピリジル又は5−フルオロ−2−ピリジルが挙げられる。
としては、各種置換基で置換されていてもよい、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールが挙げられ、好ましくは、各種置換基で置換されていてもよい、フェニル又は単環式ヘテロアリールが挙げられ、より好ましくは、各種置換基で置換されていてもよい、ピリジル又はフェニルが挙げられる。もっとも好ましくは、Lが結合の場合、各種置換基で置換されていてもよい、2−ピリジル又は3−ピリジルが挙げられ、Lが−C(O)−の場合、各種置換基で置換されていてもよいフェニルが挙げられる。
における、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールの置換基としては、(i)フッ素原子や塩素原子などのハロゲン原子、(ii)シアノ、(iii)メチル、エチル、プロピル、又はトリフルオロメチルなどのフッ素原子で置換されていてもよいC1−3アルキル、(iv)メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、又はトリフルオロメトキシなどのフッ素原子で置換されていてもよいC1−3アルコキシ、(v)水酸基などが挙げられる。好ましくは、C1−3アルキル、ハロゲン、シアノ、C1−3アルコキシ又はトリフルオロメチルが挙げられ、より好ましくは、(i)〜(iv)が挙げられる。さらに好ましくは、フッ素、塩素又は(ii)〜(iv)が挙げられ、もっとも好ましくは、フッ素、塩素、シアノ又はメチルが挙げられる。これらの置換基は置換可能な任意の位置で、1又は同一若しくは異なって2個以上置換することができる。
上記置換基で置換されていてもよいRの好ましい具体例としては、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、3−クロロ−5−フルオロフェニル、3−クロロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、3−メチルフェニル、アゼピニル、4−シアノ−3−ピリジル、5−メトキシ−3−ピリジル、4−メチル−3−ピリジル又は3−トリフルオロメチル−2−ピリジルが挙げられる。
及びRとしては、それぞれ独立して、水素原子又はC1−3アルキルが挙げられる。好ましくは、それぞれ独立して、水素原子又はメチルが挙げられる。もっとも好ましくは、すべて水素原子が挙げられる。
としては、水素原子又はC1−3アルキルが挙げられ、好ましくは、水素原子又はメチルが挙げられる。もっとも好ましくは、水素原子が挙げられる。
Lとしては、結合又は−C(O)−が挙げられる。一つの態様として好ましくは、結合が挙げられる。また、別の態様として好ましくは−C(O)−が挙げられる。
nとしては、1又は2が挙げられ、好ましくは、1が挙げられる。
、R、R及びRとしては、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されてもよいC1−3アルキル又は1〜5個のフッ素で置換されてもよいC1−3アルコキシが挙げられ、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素、塩素又はメチルが挙げられる。より好ましいR〜Rの組み合わせとしては、R、R及びRが、すべて水素原子であり、Rが、フッ素、塩素又はメチルが挙げられる。
本明細書中において、特に断らない限り、「溶媒和物」は、非共有分子間力により結合した定比又は不定比の量の溶媒をさらに含む本発明の化合物又はその塩を意味する。溶媒が水の場合、該溶媒和物は水和物である。
本明細書中において、特に断らない限り、「製薬学的に許容される担体」は、製薬学的に許容される材料、組成物又は媒体、例えば液体もしくは固形の増量剤、希釈剤、溶媒又は封入材料を意味する。実施態様の1つにおいて、各成分は医薬製剤の他の成分と適合するという意味で「製薬学的に許容される」であり、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、抗原性、又は他の問題若しくは合併症を引き起こすことなく、合理的なベネフィット/リスクに見合ってヒト若しくは動物の組織又は臓器と接触しての使用に適切であることを意味する。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia, PA, 2005;Handbook of Pharmaceutical Excipients, 5th Edition, Rowe et al., Eds., The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2005;及びHandbook of Pharmaceutical Additives, 3rd Edition, Ash and Ash Eds., Gower Publishing Company:2007;Pharmaceutical Preformulation and Formulation, 2nd Edition, Gibson Ed., CRC Press LLC:Boca Raton, FL, 2009を参照することができる。
以下、本発明における化合物(I)の製造法について説明する。
本発明のテトラヒドロピラゾロピラジン誘導体は、公知化合物から、下記製造法又は下記製造法に準じる方法によって、適宜当業者に周知の合成方法を組み合わせて製造することができる。原料化合物は公知のものを使用するか、後記実施例に記載の方法、又は後記実施例に準じる方法によって、適宜当業者に周知の合成方法を組み合わせて製造することもできる。下記の製造法で用いられる化合物は、反応に支障を来たさない範囲において塩を形成してもよい。また、製造する物質の量に応じて、反応をスケールアップ又はスケールダウンしてもよい。
下記の各製造法において、アミド化反応、ウレア化反応、カップリング化反応、アルキル化反応、還元反応、付加環化反応、加水分解反応などを行う場合、これらの反応は当業者に公知である種々の方法に準じて行うことができる。このような方法としては、コンプリヘンシブ オーガニック トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)1999年刊、ブイシーエイチ パブリッシャーズ(VCH Publishers,INC.)に記載の方法などが挙げられる。
下記の各製造法において、保護基の導入方法及び保護基の除去方法は当業者に公知である方法[プロテクティブ グループズ イン オーガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第3版、ジョン ウィリー アンド サンズ(John Wiley & Sons, INC.)等参照]に準じて行うことができる。また、その際に用いる保護基に関しても、プロテクティブ グループズ イン オーガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第3版、ジョン ウィリー アンド サンズ(John Wiley & Sons, INC.)に記載のものなどを用いることができる。
本反応は、反応に不活性な溶媒(不活性溶媒)を用いて行うのが有利である。「不活性溶媒」とは例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジンなどの芳香族系溶媒;ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、ギ酸エチルなどのエステル系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒及び水であり、並びにこれらの均一系及び不均一系混合溶媒などである。これらの不活性溶媒は当業者に公知である種々の反応条件に応じて適宜選択される。
以下に詳述する製造法において、「塩基」とは例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水素化物;リチウムアミド、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジドなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のアミド;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシドなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の低級アルコキシド;ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、メチルリチウムなどのアルキルリチウム;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸水素塩;トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、N,N−ジメチルアニリンなどのアミン;ピリジン、イミダゾール、2,6−ルチジンなどの塩基性へテロ環化合物などである。これらの塩基は当業者に公知である種々の反応条件に応じて適宜選択される。
「酸」とは例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸及びp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸などの有機酸である。これらの酸は当業者に公知である種々の反応条件に応じて適宜選択される。
[製造法1]
式(I)で表される化合物のうち、Lが−C(O)−である式(I−a)で表される化合物は、例えば下記の方法によって製造できる。
[式中Halは、ハロゲン原子を、その他の記号は前記と同意義を示す。]
工程1:化合物(I−a)は、化合物(A−1−a)又はその塩とカルボン酸(A−2)を当業者に公知である種々のアミド化反応によってアミド結合を形成させることにより得ることができる。あるいは、化合物(A−1−a)とカルボン酸ハロゲン化物(A−3)を、不活性溶媒中、塩基存在下又は非存在下、アミド化反応させることにより得ることができる。化合物(A−1−a)又はその塩とカルボン酸(A−2)を用いたアミド化反応とは、例えば不活性溶媒中、塩基存在下又は非存在下、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HATU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HBTU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、1,1′−カルボニルジイミダゾール(CDI)などの縮合剤を用いたアミド化反応、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチル、トリメチルアセチルクロリドなどを用いた混合酸無水物経由のアミド化反応などである。縮合剤を用いたアミド化反応の際、必要に応じて1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)など通常用いられる添加物を使用することができる。
[製造法2]
式(I)で表される化合物のうち、Lが−C(O)−であり、RがN原子と共に形成されたヘテロアリール又はヘテロシクリルである式(I−b)で表される化合物は、例えば下記の方法によって製造できる。
[式中、Jは、ハロゲン原子、トリクロロメトキシ、フェノキシ、イミダゾール等を表し、R2aは、N原子と共に形成されたヘテロアリール又はヘテロシクリルを表し、その他の記号は前記と同意義を示す。]
工程2:化合物(I−b)は、不活性溶媒中、塩基存在下又は非存在下、化合物(A−1−a)を適当なウレア化剤(A−4)及び対応するアミン化合物(A−5)と反応させることで得ることができる。適当なウレア化剤としてはホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、1,1′−カルボニルジイミダゾール等が挙げられる。
[製造法3]
式(I)で表される化合物のうち、Lが結合であり、Rがアリール又はヘテロアリールである式(I−c)で表される化合物は、例えば下記の方法によって製造できる。
[式中R2bは、アリール又はヘテロアリールを表し、その他の記号は前記と同意義を示す。]
工程3:化合物(I−c)は、不活性溶媒中、パラジウム触媒及び塩基存在下、配位子の存在下又は非存在下、化合物(A−1−a)とR2bに対応するハロゲン化アリール又はハロゲン化へテロアリール(A−6)のカップリング反応によって得ることができる。ここでパラジウム触媒とは、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、塩化ビス(ベンゾニトリル)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウムなどのパラジウム化合物である。配位子とは、ジメチルフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィノフェロセン(DPPF)、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリメトキシホスフィン、トリエトキシホスフィン、トリ−tert−ブトキシホスフィン、トリフェニルホスフィン(PPh)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(DPPP)、トリフェノキシホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、2−ジシクロへキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(X−Phos)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9’−ジメチルキサンテン(Xantphos)などが挙げられる。
[製造法4]
式(I)で表される化合物のうち、Lが結合であり、Rがシクロアルキル又はヘテロシクリルである式(I−d)で表される化合物は、例えば下記の方法によって製造できる。
[式中R2cは、シクロアルキル又はヘテロシクリルを表し、その他の記号は前記と同意義を示す。]
工程4:化合物は(I−d)は、不活性溶媒中、塩基存在下、化合物(A−1−a)と対応するハロゲン化シクロアルキル又はハロゲン化へテロシクリル(A−7)をアルキル化反応に供することにより製造することができる。又は、不活性溶媒中、酸存在下又は非存在下、化合物(A−1−a)と対応するシクロアルキルケトン及びへテロシクリルケトン(A−8)と適当な還元剤を用いて還元的アミノ化反応に供することにより得ることができる。ここで適当な還元剤とは、イミンを還元してアミンに変換できる試薬であり、例えば、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素亜鉛、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、ジボラン、ピコリンボランなどのホウ素試薬、又は水素化アルミニウムリチウム(LAH)、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBALH)などのアルミニウム試薬が挙げられる。また、不活性溶媒中、水素雰囲気下で例えばパラジウムオンカーボン、水酸化パラジウムなどを用いた水素添加反応によっても得ることができる。
(中間体製造法1)
上記各製造法で使用される化合物(A−1−a)で表される化合物は、例えば下記の方法によって製造できる。
[式中PGは、メチル、エチル、ベンジルなどのカルボキシの保護基を表し、PGは、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどのアミノの保護基を表し、LGは、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子などのハロゲン、又はメタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ、ベンセンスルホニルオキシなどの置換スルホニルオキシなどの脱離基を表し、Xは、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、メタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ、ベンセンスルホニルオキシなどの脱離基又は水酸基を表し、その他の記号は前記と同意義を示す。]
工程5:化合物(A−11)は、不活性溶媒中、化合物(A−9)と化合物(A−10)との付加環化反応により得ることができる。化合物(A−9)と化合物(A−10)は、市販されているか、文献[Tetrahedron Letters 51 (2010) 5915-5918等]に記載の方法により製造することができる。
工程6:化合物(A−13)は、化合物(A−12)のXが、ハロゲン、置換スルホニルオキシなどの場合には、不活性溶媒中、塩基存在下又は非存在下、化合物(A−11)と化合物(A−12)とのアルキル化反応により得ることができる。また、Xが水酸基の場合には、不活性溶媒中、トリフェニルホスフィン存在下又は非存在下、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)、(シアノメチレン)トリメチルホスホラン(CMMP)、(シアノメチレン)トリブチルホスホラン(CMBP)などを用いた光延反応により得ることができる。
工程7:化合物(A−14)は、化合物(A−13)を不活性溶媒中、適当な還元剤を用いて反応させることで得ることができる。ここで適当な還元剤としては、例えば、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化アルミニウムリチウム(LAH)、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBALH)などが挙げられる。また、化合物(A−13)を通常用いられる求核反応で、低級アルキルを導入後、還元することでR又はRを構築することもできる。
工程8:化合物(A−15)は、LGがハロゲンの場合、化合物(A−14)を不活性溶媒中又は無溶媒にて、適当なホスフィン存在下又は非存在下、塩基存在下又は非存在下、適当なハロゲン化剤を用いてハロゲン化反応を行うことで得ることができる。LGが置換スルホニルオキシの場合、不活性溶媒中、塩基存在下又は非存在下、適当な置換スルホニルハライドと反応させることにより得ることができる。ここで適当なホスフィンとしては、例えば、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。また、適当なハロゲン化剤としてはLGが塩素原子の場合は、N−クロロコハク酸イミド(NCS)、塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リンなどが挙げられ、LGが臭素原子の場合は、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、三臭化リン、五臭化リンなどが挙げられ、LGがヨウ素原子の場合は、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、ヨウ素などが挙げられる。適当なスルホニルハライドとしては、例えば、メタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、ベンセンスルホニルクロリドなどが挙げられる。
工程9:化合物(A−16)は、化合物(A−15)を不活性溶媒中、塩基存在下又は非存在下、分子内アルキル化(環化)反応に供することで得ることができる。
工程10:化合物(A−1−a)は、化合物(A−16)を溶媒中、該保護基に対する通常用いられる脱保護反応を用いて、例えば酸存在下で得ることができる。
(中間体製造法2)
また、化合物(A−1−a)は、下記の製造法によっても化合物(A−13)より製造することができる。
[式中の記号は前記と同意義を示す。]
工程11:化合物(A−17)は、不活性溶媒中、酸存在下又は非存在下、化合物(A−13)を脱保護反応に供し、次いで不活性溶媒中、塩基存在下、分子内環化反応に供することにより得ることができる。
工程12:化合物(A−1−a)は、不活性溶媒中、化合物(A−17)を適当な還元剤と反応させることにより得ることができる。ここで適当な還元剤とはカルボニルをメチレンへと還元できる試薬であり、例えば、水素化アルミニウムリチウム(LAH)、水素化アルミニウムナトリウムなどが挙げられる。また、化合物(A−17)を通常用いられる求核反応で、低級アルキルを導入後、還元することでR又はRを構築することもできる。
[製造法5]
式(I)で表される化合物のうち、4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン骨格の4位にRが置換した式(I−e)で表される化合物は、例えば下記の方法によって製造できる。
[式中の記号は前記と同意義を示す。]
工程13:化合物(A−19)は、化合物(A−11)を不活性溶媒中、塩基存在下又は酸存在下、水を加えて加水分解反応に供することで得られる。
工程14:化合物(A−20)は、製造法1の工程1と同様に化合物(A−21)とN−メトキシ−N−メチルアミン又はその塩とのアミド化反応により得ることが出来る。また、N−メトキシ−N−メチルアミド以外に、例えばモルホリンアミド、N−アシルピロール、N−アシルベンゾトリアゾールなどを同様に使用することができる。
工程15:化合物(A−21)は、製造法5の工程6と同様に化合物(A−12)とのアルキル化反応又は光延反応により得ることができる。
工程16:化合物(A−24)は、不活性溶媒中、化合物(A−21)にアルキルリチウム(A−22)又は有機マグネシウム試薬(A−23)を反応させた後、酸性水溶液と反応させることにより得ることができる。適当な酸性水溶液としては、塩酸水溶液、硫酸水溶液、塩化アンモニウム水溶液などが挙げられる。
工程17:化合物(A−25)は、化合物(A−24)を不活性溶媒中、該保護基に対する通常用いられる脱保護反応を用いて、例えば酸存在下で、脱保護反応に供することで分子内環化反応が進行することで得られる。
工程18:化合物(A−1−b)は、化合物(A−25)を不活性溶媒中、適当な還元剤を用いることで得ることができる。ここで適当な還元剤とは、イミンを還元してアミンに変換できる試薬であり、例えば、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素亜鉛、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、ジボラン、ピコリンボランなどのホウ素化合物、又は水素化アルミニウムリチウム(LAH)、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBALH)などのアルミニウム試薬である。また、不活性溶媒中、水素雰囲気下で例えばパラジウムオンカーボン、水酸化パラジウムなどを用いた水素添加反応によっても得ることができる。
工程19:化合物(I−e)は、化合物(A−1−b)を製造法1〜4に記載の方法と同様の反応に供することで対応する目的化合物が得られる。
前記の製造法において使用する原料や試薬などは、特に断らない限り、市販の化合物であるか、又は公知の化合物から公知の方法を用いて製造することができる。また、前記式(I)の化合物において、官能基を適宜変換することによって、式(I)の別の化合物としてもよい。官能基の変換は、通常行われる一般的方法[例えば、コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)、アール.シー.ラロック(R. C. Larock)著(1989年)等参照]によって行うことができる。
前記製造法において、反応点以外の何れかの官能基が説明した反応条件下で変化するか又は説明した方法を実施するのに不適切な場合は、当該官能基を予め適当な保護基で保護した上で、反応を実施し、その後、脱保護することにより、目的化合物を得ることができる。保護基としては、例えばプロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、ティー・ダブリュー・グリーン(T. W. Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1981年)等に記載されているような通常の保護基を用いることができる。具体的には、アミンの保護基としてはエトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、アセチル、ベンゾイル、ベンジル等を、また水酸基の保護基としてはトリアルキルシリル、アセチル、ベンゾイル、ベンジル等を挙げることができる。ケトンの保護基としてはジメチルアセタール、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、S,S’−ジメチルジチオアセタール、1,3−ジチアン、オキシム等を挙げることができる。
前記製造法において、本発明化合物(I)及び中間体は公知の手段(例えば、溶媒抽出、中和、ろ過、洗浄、乾燥、濃縮、蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等)により単離精製することができる。また、各製造法において用いられる化合物は、上記と同様の公知の手段によって単離精製することができる。単離精製は各反応後に行ってもよいし、いくつかの反応終了後に行ってもよい。
本発明化合物(I)に光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体が存在し得る場合には、個々の単一化合物及びそれらの混合物のいずれも本発明の範囲に包含される。これらの異性体は当業者に公知である合成方法、分離方法によりそれぞれ単一化合物として得ることができる。
式(I)で表される化合物の製薬学的に許容される塩は、慣用の無毒性塩であり、有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ギ酸塩、トルエンスルホン酸塩等)もしくは無機酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等)のような酸付加塩、アミノ酸(例えば、アルギニン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等)との塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)もしくはアルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩等)などの金属塩、アンモニウム塩、又は有機塩基塩(例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等)が挙げられる。
式(I)で表される化合物の製薬学的に許容される塩を取得するには、化合物(I)が塩の形で得られる場合そのまま精製すればよく、一方、遊離の形で得られる場合、適当な有機溶媒に溶解もしくは懸濁させ、酸又は塩基を加えて通常の方法により塩を形成させればよい。例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン等の溶媒中で、酸又はアルカリと混合することで、塩にすることができる。
以下に本発明を、製造実施例、実施例及び試験例によりさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。また、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。尚、以下の実施例において示された化合物名は、ACD/Name (ACD/Labs 10.01, Advanced Chemistry Development Inc.)により命名しており、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。
実施例において以下の略号を使用することがある。
Me:メチル
Et:エチル
n−:ノルマル
tert−:ターシャリー
Boc:tert−ブトキシカルボニル
THF:テトラヒドロフラン
DMF;N,N−ジメチルホルムアミド
EDC:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
CDI:1,1’−カルボニルジイミダゾール
ObsMS[M+1]:観測されたプロトン化分子Rt:保持時間
化合物の同定にはプロトン核磁気共鳴吸収スペクトル(H−NMRスペクトル)やマススペクトル(LC−MS)を用いた。LC−MS分析においては、エレクトロスプレーイオン法(ESI)によってプロトン化された分子のマススペクトルを観測した。
以下の製造実施例及び実施例中、「室温」とは、0〜30℃の温度を示し、「%」は特記しない限り重量パーセントを意味する。カラムクロマトグラフィーを使用して精製した際の「シリカゲル」及び「NHシリカゲル」は、山善株式会社にて市販されているシリカゲル及びNHシリカゲルを使用した。製造実施例及び実施例中記載の各機器データは以下の測定機器にて測定した。
高速液体クロマト質量分析計:LCMSの測定条件は、以下の通りであり、観察された質量分析の値をObsMS[M+1]で、保持時間をRt(min)で示す。
MSスペクトル:
LCMS:Waters ACQUITYTM UltraPerformance
LC Column:
Waters ACQUITY UPLC BEH(登録商標) C18 1.7μm 2.1×50mm
Solvent:
A液:0.05%ギ酸/HO、B液:0.05%ギ酸/CHCN
Gradient Condition:
0.0min;A/B = 90:10
0.0−1.5min;A/B = 1:99
1.5−2.0min;A/B = 90:10
Flow rate:
0.75mL/min
UV:
220、254nm
カラム温度:
40℃
NMR:NMRの測定条件は、以下の通りであり、明細書の記載を簡略化するために実施例及び実施例中の表において以下に示すような略号を用いることもある。置換基として用いられる略号としては、Meはメチル基、Phはフェニル基を意味する。NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、ddは二重の二重線、tは三重線、tdは三重線の二重線、qは四重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線、brdは幅広い二重線及びbrtは幅広い三重線を意味する。
NMRスペクトル:400 MHz(JEOL AL400、日本電子)又は300 MHz(JEOL LA300、日本電子)
実施例1:
[2−(5−メチルピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル](フェニル)メタノン
2−(5−メチルピリジン−2−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン(製造実施例1−6、35mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)に溶解し、安息香酸(29mg)、EDC塩酸塩(46mg)及びHOBt一水和物(32mg)を加えて、室温で18時間攪拌した。反応液を酢酸エチルに加え、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=2/1−1/2)により精製し、表題化合物(42mg)を固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ8.44(s,1H),7.77(d,J=8.1Hz,1H),7.52(d,J=8.1Hz,1H),7.47(brs,5H),6.65(brs,1H),4.93(brs,2H),4.33(brs,2H),3.98(brs,2H),2.35(s,3H)
ObsMS[M+1]:319.3
Rt(min):0.87
実施例1の製造に用いた2−(5−メチルピリジン−2−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン(製造実施例1−6)は、2−エチニル−5−メチルピリジンを用いて下記の方法に従い製造した。
製造実施例1−1:
エチル 3−(5−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート
2−エチニル−5−メチルピリジン(8.42g)のトルエン(70ml)溶液にジアゾ酢酸エチル(10.9ml)を加え、85℃で14時間攪拌した。反応液を放冷後、約半分量の溶媒を留去し、ヘキサンを加えて析出した固体をろ取した。これを減圧下にて乾燥し、表題化合物(10.6g)を固体として得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ11.41(brs,1H),8.44(s,1H),7.60(m,2H),7.24(s,1H),4.42(q,J=7.2Hz,2H),2.39(s、3H),1.43(t,J=7.2Hz,3H)
ObsMS[M+1]:232.3
Rt(min):0.92
製造実施例1−2:
エチル 1−{2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]エチル}−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキレート
製造実施例1−1(9.1g)、tert−ブチル 2−ヒドロキシエチルカルバメート(8.3g)及びトリフェニルホスフィン(13.4g)のテトラヒドロフラン(200ml)溶液にアゾジカルボン酸ジイソプロピル(10.3g)を氷冷下で滴下して加えた。室温で1時間攪拌した後、溶媒を留去した。残渣をクロロホルム/ジエチルエーテルから固体化してろ取し、ジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥し表題化合物(7.0g)を固体として得た。ろ液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=2/1−1/1)により精製し、表題化合物(2.9g)を固体として得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.46(d,J=2.0Hz,1H),7.85(d,J=7.9Hz,1H),7.55(dd,J=7.9,2.0Hz,1H),7.45(s,1H),4.93(brs,1H),4.75(t,J=5.6Hz,2H)4.35(q,J=7.2Hz,2H),3.64(m,2H),2.36(s、3H),1.40(s,9H)1.39(t,J=7.2Hz,3H)
ObsMS[M+1]:375.4
Rt(min):0.86
製造実施例1−3:
tert−ブチル {2−[5−(ヒドロキシメチル)−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]エチル}カルバメート
水素化アルミニウムリチウム(1.0g)のテトラヒドロフラン(50ml)懸濁液に、製造実施例1−2(5.0g)のテトラヒドロフラン(80ml)溶液を氷冷下で滴下して加え、氷冷下で1時間攪拌した。氷冷下で、反応液に水(1.0ml)及び4mol/L水酸化ナトリウム水溶液(1.0ml)を順に加え、さらに水(3.0ml)を加え、クロロホルムを加えて30分攪拌した。得られた懸濁液をセライトろ過後、溶媒を留去し、乾燥して表題化合物(8.5g)を固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ8.43(brs,1H),7.76(d,J=7.8Hz,1H),7.52(dd,J=7.8,2.2Hz,1H),6.75(d,J=3.4Hz,1H),5.14(brs,1H),4.70(brs,2H)4.33(t,J=5.9Hz,2H),3.62(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),2.35(s、3H),1.38(s,9H)
ObsMS[M+1]:333.3
Rt(min):0.48
製造実施例1−4:
tert−ブチル {2−[5−(ブロモメチル)−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]エチル}カルバメート
製造実施例1−3(8.5g)とトリフェニルホスフィン(8.0g)のジクロロメタン(200ml)溶液に、氷冷下、N−ブロモスクシンイミド(5.5g)を加えて1時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=6/1−1/1)により精製し、表題化合物(6.1g)を固体として得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.44(d,J=1.9Hz,1H),7.78(d,J=8.2Hz,1H),7.53(dd,J=8.2,1.9Hz,1H),6.87(s,1H),4.97(brs,1H),4.51(s,2H),4.31(t,J=5.7Hz,2H),3.70(dt,J=5.7,5.7Hz,2H),2.36(s、3H),1.43(s,9H)
ObsMS[M+1]:395.3,397.3
Rt(min):0.74
製造実施例1−5:
tert−ブチル 2−(5−メチルピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−カルボキシレート
製造実施例1−4(6.1g)のN,N−ジメチルホルムアミド(150ml)溶液に水素化ナトリウム(50%,960mg)を加え、50℃で2時間攪拌後、さらに室温で13時間攪拌した。反応液を水に加え、さらに酢酸エチルを加えて抽出した。有機層を水で2回洗浄した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=4/1−2/1)し、表題化合物(3.9g)を固体として得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.44(q,J=0.7Hz,1H),7.77(d,J=8.0Hz,1H),7.52(dd,J=8.0,2.2Hz,1H),6.64(s,1H),4.70(s,2H),4.25(t,J=5.7Hz,2H),3.92(t,J=5.7Hz,2H),2.35(s、3H),1.51(s,9H)
ObsMS[M+1]:315.3
Rt(min):0.64
製造実施例1−6:
2−(5−メチルピリジン−2−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン
製造実施例1−5(3.9g)と(4mol/L塩酸)/1,4−ジオキサン(18.5ml)と1,4−ジオキサン(75ml)とメタノール(10ml)の混合溶液を40℃で5時間攪拌した。反応液を氷冷後、析出した固体をろ取し、1,4−ジオキサン、ヘキサンで順に洗浄した。これを1mol/L水酸化ナトリウム水溶液に溶解し、クロロホルムで2回抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。これを減圧下乾燥し、表題化合物(2.3g)を固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ8.44(m,1H),7.78(d,J=8.0Hz,1H),7.52(m,1H),6.57(s,1H),4.20(t,J=5.6Hz,2H),4.12(s,2H),3.43(t,J=5.6Hz,2H),2.34(s、3H)
ObsMS[M+1]:215.3
Rt(min):0.16
実施例2:
(3−クロロ−5−フルオロフェニル)[2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]メタノン
実施例1に記載の方法と同様の方法により、製造実施例1−6の代わりに2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン(製造実施例2−6)を、安息香酸の代わりに3−クロロ−5−フルオロ安息香酸を用いて表題化合物を製造した。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.47(d,J=2.8Hz,1H),7.90(dd,J=8.8,4.4Hz,1H),7.44(ddd,J=8.8,8.8,2.9Hz,1H),7.27−7.22(m,2H),7.10(ddd,J=7.9,2.4,1.3Hz,1H),6.64(brs,1H),4.85(brs,2H),4.33−3.80(brm,4H)
ObsMS[M+1]:375.3,377.3
Rt(min):0.96
実施例2の製造に用いた2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン(製造実施例2−6)は、2−エチニル−5−フルオロピリジンから下記の方法に従い製造した。
製造実施例2−1:
エチル 3−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート
製造実施例1−1に記載の方法と同様の方法により、2−エチニル−5−メチルピリジンの代わりに2−エチニル−5−フルオロピリジンを用いて、表題化合物を製造した。
H NMR(300MHz,CDCl):δ11.38(brs,1H),8.49(d,J=2.9Hz,1H),7.79(brs,1H),7.51(ddd,J=8.1,8.1,2.9Hz,1H),7.28(s,1H),4.43(q,J=7.2Hz,2H),1.43(t,J=7.2Hz,3H)
ObsMS[M+1]:236.1
Rt(min):0.75
製造実施例2−2:
エチル 1−{2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]エチル}−3−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキレート
製造実施例1−2に記載の方法と同様の方法により、エチル 3−(5−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート(製造実施例1−1)の代わりに、エチル 3−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート(製造実施例2−1)を用いて表題化合物を製造した。
H NMR(400MHz,CDCl):δ8.48(d,J=2.9Hz,1H),7.98(dd,J=8.9,4.4Hz,1H),7.46(ddd,J=8.5,,8.5,2.9Hz,1H),7.43(s,1H),4.89(brs,1H)4.75(t,J=5.6Hz,2H)4.36(q,J=7.1Hz,2H),3.64(m,2H),1.41−1.37(m,3H+9H)
ObsMS[M+1]:379.3
Rt(min):1.05
製造実施例2−3:
tert−ブチル {2−[3−(5−フルオロピリジン−2−イル)−5−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]エチル}カルバメート
製造実施例1−3に記載の方法と同様の方法により、エチル 1−{2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]エチル}−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキレート(製造実施例1−2)の代わりに、エチル 1−{2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]エチル}−3−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキレート(製造実施例2−2)を用いて表題化合物を製造した。
H NMR(400MHz,CDCl):δ8.45(d,J=2.8Hz,1H),7.88(dd,J=8.8,4.6Hz,1H),7.43(dd,J=8.8,8.8,2.9Hz,1H),6.74(s,1H),5.12(brs,1H)4.70(d,J=5.9Hz,2H),4.33(t,J=6.1Hz,2H),3.62(dt,J=6.1,6.1Hz,2H),1.38(s,9H)
ObsMS[M+1]:337.3
Rt(min):0.75
製造実施例2−4:
tert−ブチル {2−[5−(ブロモメチル)−3−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]エチル}カルバメート
製造実施例1−4に記載の方法と同様の方法により、tert−ブチル {2−[5−(ヒドロキシメチル)−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]エチル}カルバメート(製造実施例1−3)の代わりに、tert−ブチル {2−[3−(5−フルオロピリジン−2−イル)−5−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]エチル}カルバメート(製造実施例2−3)を用いて表題化合物を製造した。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.46(d,J=2.9Hz,1H),7.91(dd,J=8.8,4.6Hz,1H),7.44(ddd,J=8.8,8.8,2.9Hz,1H),6.86(s,1H),4.93(brs,1H),4.51(s,2H),4.31(t,J=6.1Hz,2H),3.70(m,2H),1.43(s,9H)
ObsMS[M+1]:399.3,401.2
Rt(min):1.01
製造実施例2−5:
tert−ブチル 2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−カルボキシレート
製造実施例1−5に記載の方法と同様の方法により、tert−ブチル {2−[5−(ブロモメチル)−3−(5−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]エチル}カルバメート(製造実施例1−4)の代わりに、tert−ブチル {2−[5−(ブロモメチル)−3−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]エチル}カルバメート(製造実施例2−4)を用いて表題化合物を製造した。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.46(d,J=2.8Hz,1H),7.89(dd,J=8.8,4.4Hz,1H),7.43(ddd,J=8.8,8.8,2.9Hz,1H),6.63(s,1H),4.70(s,2H),4.24(t,J=5.7Hz,2H),3.93(t,J=5.7Hz,2H),1.51(s,9H)
ObsMS[M+1]:319.3
Rt(min):0.94
製造実施例2−6:
2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン
製造実施例1−6に記載の方法と同様の方法により、tert−ブチル 2−(5−メチルピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−カルボキシレート(製造実施例1−5)の代わりに、tert−ブチル 2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−カルボキシレート(製造実施例2−5)を用いて表題化合物を製造した。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.46(d,J=2.8Hz,1H),7.90(dd,J=8.6,4.4Hz,1H),7.42(dt,J=8.2,8.2,2.8Hz,1H),6.55(s,1H),4.20(t,J=5.5Hz,2H),4.12(s,2H),3.35(t,J=5.5Hz,2H)
ObsMS[M+1]:219.5
Rt(min):0.17
実施例3:
(3−クロロフェニル)[2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]メタノン
実施例2に記載の方法と同様の方法により、3−クロロ−5−フルオロ安息香酸の代わりに3−クロロ安息香酸を用いて表題化合物を製造した。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.47(d,J=2.6Hz,1H),7.98(dd,J=8.8,4.4Hz,1H),7.50−7.34(m,5H),6.63(brs,1H),4.85(brs,2H),4.33−3.80(brm,4H)
ObsMS[M+1]:357.2,359.1
Rt(min):1.09
実施例4:
[7,7−ジメチル−2−(ピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル](フェニル)メタノン
7,7−ジメチル−2−(ピリジン−2−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン(製造実施例4−2、33mg)及びトリエチルアミン(42mg)のジクロロメタン(2ml)溶液に、ベンゾイルクロリド(30mg)を加えて、室温で1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルに加え、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=2/1−1/2)により精製し、表題化合物(31mg)を固体として得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.61(d,J=4.4Hz,1H),7.95(d,J=7.9Hz,1H),7.70(ddd,J=7.9,7.9,1.8Hz,1H),7.45(brs,5H),7.19(m,1H),6.61(brs,1H),5.20−4.60(m,2H),4.20−3.60(m,2H),1.64(brs,6H)
ObsMS[M+1]:333.3
Rt(min):0.64
実施例4の製造に用いた7,7−ジメチル−2−(ピリジン−2−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン(製造実施例4−2)は、製造実施例1−1及び製造実施例1−2に記載の方法と同様の方法により製造したエチル 1−{1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−メチルプロパン−2−イル}−3−(ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレートから、下記の方法に従い製造した。
製造実施例4−1:
7,7−ジメチル−2−(ピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4(5H)−オン
エチル 1−{1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−メチルプロパン−2−イル}−3−(ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート(0.13g)を1,4−ジオキサン(5ml)に溶解し、(4mol/L塩酸)/1,4−ジオキサン溶液(1.7ml)を加えて50℃で30分攪拌した。反応液を濃縮した後、得られた残渣をメタノール(5ml)に溶解し、炭酸カリウム(0.14g)を加えて室温で16時間攪拌した。クロロホルムを加えて希釈し、沈殿をセライトろ過により除去した後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=99/1−19/1)により精製し、表題化合物(65mg)を固体として得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.67(ddd,J=4.8,1.8,1.1Hz,1H),7.94(ddd,J=7.9,1.1,1.1Hz,1H),7.74(ddd,J=7.5,7.5,1.8Hz,1H),7.22(ddd,J=7.5,4.8,1.1Hz,1H),6.38(brs,1H),3.59(d,J=2.9Hz,2H),1.69(s、6H)
ObsMS[M+1]:243.4
Rt(min):0.50
製造実施例4−2:
7,7−ジメチル−2−(ピリジン−2−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン
水素化アルミニウムリチウム(31mg)のテトラヒドロフラン(5ml)懸濁液に、製造実施例4−1(65mg)のテトラヒドロフラン(3ml)溶液を60℃で滴下して加え、1時間攪拌した。氷冷下で、反応液に水(31μl)、4mol/L水酸化ナトリウム水溶液(31μl)を順に加え、さらに水(93μl)を加え、さらにクロロホルムを加えて30分攪拌した。得られた懸濁液をセライトろ過後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=1/1−1/4)により精製し、表題化合物(33mg)を固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ8.60(m,1H),7.95(m,1H),7.69(m,1H),7.16(m,1H),6.53(s,1H),4.09(s,2H),3.09(s,2H),1.60(s,6H)
ObsMS[M+1]:229.2
Rt(min):0.17
実施例5:
フェニル[2−(ピリジン−2−イル)−7,8−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[1,5−a][1,4]ジアゼピン−5(6H)−イル]メタノン
実施例4に記載の方法と同様の方法により、製造実施例3−2の代わりに、2−(ピリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−ピラゾロ[1,5−a][1,4]ジアゼピン(製造実施例5−1)を用いて表題化合物を製造した。
H NMR(400MHz,CDCl):δ8.62(d,J=2.7Hz,1H),7.84(brs,1H),7.70(ddd,J=7.6,7.6,2.0Hz,1H),7.43(brs,3H),7.37(brs,2H),7.19(ddd,J=7.6,4.9,1.2Hz,1H),6.92,6.44(brs,total1H),4.88(brs,1H),4.56(t,J=5.4Hz,2H),4.50(brs,1H),4.07(brs,1H),3.73(brs,1H),2.16(brs,1H),1.96(brs,1H)
ObsMS[M+1]:319.3
Rt(min):0.49
製造実施例5−1:
2−(ピリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−ピラゾロ[1,5−a][1,4]ジアゼピン
製造実施例1−1、1−2、3−1及び3−2に記載の方法と同様の方法により、表題化合物を製造した。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.61(m,1H),7.85(ddd,J=7.9,1.1,1.1Hz,1H),7.69(ddd,J=7.9,7.5,1.8Hz,1H),7.17(ddd,J=7.5,5.0,1.1Hz,1H),6.68(s,1H),4.48(t,J=5.3Hz,2H),3.96(s,2H),3.23(t,J=5.3Hz,2H),1.89(m,2H)
ObsMS[M+1]:215.3
Rt(min):0.13
実施例6:
(3−クロロフェニル)[4−メチル−2−(6−メチルピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]メタノン
実施例1に記載の方法と同様の方法により、表題化合物を製造した。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.66(d,J=7.2Hz,1H),7.60(dd,J=7.7,7.5Hz,1H),7.48−7.38(m,3H),7.31(m,1H),7.08(d,J=7.3Hz,1H),6.67(brs,1H),5.80(brs,1H),4.37−4.18(brm,3H),3.62(brs,1H),2.60(s,3H),1.60(brs,3H)
ObsMS[M+1]:367.4,369.3
Rt(min):0.61
実施例6の製造に用いた4−メチル−2−(6−メチルピリジン−2−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン(製造実施例6−5)は、製造実施例1−1に記載の方法に従い、2−エチニル−5−メチルピリジンの代わりに2−エチニル−6−メチルピリジンを用いて製造したエチル 3−(5−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレートから、以下の方法に従い製造した。
製造実施例6−1:
3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシリックアシッド
エチル 3−(5−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート(2.0g)をテトラヒドロフラン/メタノール(16.2ml,2/1)に溶解し、4mol/L水酸化ナトリウム水溶液(10.8ml)を加えて1時間加熱還流した。テトラヒドロフラン及びメタノールを減圧下留去し、1mol/L塩酸でpH6に調整した。水を留去し、トルエンを加えて2回共沸した。得られた固体を減圧乾燥し、精製することなく次の反応に用いた。
製造実施例6−2:
N−メトキシ−N−メチル−3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド
製造実施例6−1にN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)を加えて懸濁させ、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(1.26g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(2.47g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(1.98g)及びトリエチルアミン(3.0ml)を加えて室温で18時間攪拌した。反応液を酢酸エチルに加え、0.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。得られた水層をそれぞれ酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水、飽和食塩水で順に洗浄した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=0−4%)により精製し、表題化合物(2.0g)を固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ11.36(brs,1H),7.67(m,1H),7.64(dd,J=7.8,7.3Hz,1H),7.34(s,1H)、7.11(d,J=8.3Hz,1H),3.85(s,3H),3.44(s,3H)2.60(s,3H)
ObsMS[M+1]:247.2
Rt(min):0.34
製造実施例6−3:
tert−ブチル (2−{5−[メトキシ(メチル)カルバモイル]−3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル}エチル)カルバメート
製造実施例6−2(1.8g)、tert−ブチル 2−ヒドロキシエチルカルバメート(1.8g)及びトリフェニルホスフィン(2.9g)のテトラヒドロフラン(35ml)溶液にアゾジカルボン酸ジイソプロピル(1.7ml)を氷冷下で滴下して加えた。室温で18時間攪拌した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=9/1−1/1)により精製し、表題化合物(2.9g,20%)を固体として得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.75(d,J=7.7Hz,1H),7.62(dd,J=7.7,7.7Hz,1H),7.36(s,1H),7.08(d,J=7.3Hz,1H),5.25(brs,1H),4.64(t,J=5.6Hz,2H),3.72(s,3H),3.64(m,2H),3.39(s,3H),2.60(s,3H),1.40(s,9H)
ObsMS[M+1]:390.4
Rt(min):0.60
製造実施例6−4:
tert−ブチル {2−[5−アセチル−3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]エチル}カルバメート
製造実施例6−3(0.24g)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液にメチルマグネシウムブロミド(3mol/Lジエチルエーテル溶液、0.91ml)を氷冷下で滴下して加え、氷冷下で2時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、反応液を酢酸エチルと水に分配した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1−1/2)により精製し、表題化合物(0.14g)を固体として得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.79(d,J=7.9Hz,1H),7.66(ddd,J=7.7,7.7Hz,1H),7.51(s,1H),7.10(d,J=7.5Hz,1H),4.88(brs,1H),4.72(t,J=5.8Hz,2H),3.60(m,2H),2.61(s,3H),2.60(s,3H),1.39(s,9H)
ObsMS[M+1]:345.4
Rt(min):0.64
製造実施例6−5:
4−メチル−2−(6−メチルピリジン−2−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン
製造実施例6−4(0.13g)と4mol/L塩酸ジオキサン溶液(5ml)の混合物を室温で2時間攪拌した。反応液を濃縮した後、得られた残渣をテトラヒドロフラン(5ml)に溶解し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.32g)を加えて室温で30分攪拌した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=2/1−1/3)により精製し、表題化合物(79mg)を固体として得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.68(d,J=7.7Hz,1H),7.58(t,J=7.6Hz,1H),7.05(d,J=7.5Hz,1H),6.63(d,J=0.7Hz,1H),4.27−4.10(m,3H),3.46(ddd,J=13.4,4.8,2.4Hz,1H),3.27(ddd,J=13.4,10.6,4.8Hz,1H),2.60(s,3H),1.50(d,J=6.6Hz,3H)
ObsMS[M+1]:229.5
Rt(min):0.12
実施例7:
アゼパン−1−イル[2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]メタノン
製造実施例2−6(100mg)の塩化メチレン(2.2ml)溶液にトリホスゲン(68mg)とジイソプロピルエチルアミン(0.10ml)を加え、0℃で10分間攪拌した。続いてヘキサメチレンイミン(0.16ml)とジイソプロピルエチルアミン(0.25ml)を加えて室温まで昇温し50分攪拌した。その後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(2.0ml)を加え有機層を分取し、さらに水層をクロロホルム(2.0ml)で2回抽出した。集めた有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥させた後、減圧下にて溶媒を留去することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/メタノール=10/1)により精製し固体を得た。得られた固体をジエチルエーテル(2.0ml)で5分間攪拌した後、懸濁液中の固体を濾取することで表題化合物(99mg)を固体として得た。
H NMR:δ8.46(d,J=2.7Hz,1H),7.90(dd,J=8.8,4.4Hz,1H),7.42(ddd,J=8.8,8.8,2.7Hz,1H),6.61(s,1H),4.46(s,2H),4.31(t,J=5.6Hz,2H),3.67(t,J=5.6Hz,2H),3.42(t,J=5.7Hz,4H),1.87−1.74(m,4H),1.61−1.58(m,4H)
ObsMS[M+1]:344.7
Rt(min):0.89
実施例8〜74:
実施例1〜7に記載の方法と同様の方法により、対応する原料化合物及び試薬を用いて表1に示す通り実施例8〜71の化合物を、表2に示す通り実施例72〜74の化合物を製造した。
実施例75:
5−(4−シアノピリジン−3−イル)−2−(5−メチルピリジン−2−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン
製造実施例1−6(1.0g)、3−ブロモ−4−シアノピリジン(0.94mg)、酢酸パラジウム(105mg)、キサントホス(544mg)、炭酸セシウム(2.3g)及びトルエン(47ml)の混合物を、100℃で18時間攪拌した。放冷後、反応液をクロロホルムで希釈し、セライトろ過により不溶物をろ去した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=2/1−1/2)により精製した後、アセトニトリルから再結晶し、表題化合物(0.95g)を固体として得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.54(s,1H),8.46(d,J=2.0Hz,1H),8.39(d,J=5.0Hz,1H),7.81(d,J=7.9Hz,1H),7.54(dd,J=7.9,2.0Hz,1H),7.48(d,J=5.0H,1H),6.73(s,1H),4.65(s,2H),4.48(t,J=5.4Hz,2H),3.96(t,J=5.4Hz,2H),2.36(s,3H)
ObsMS[M+1]:317.3
Rt(min):0.53
実施例76:
5−シクロヘキシル−2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン
製造実施例2−6(30mg)、シクロヘキサノン(16mg)及びソジウムトリアセトキシボロヒドリド(35mg)のジクロロメタン(1.5ml)溶液に、酢酸(10mg)を加えて、室温で23時間攪拌した。反応液にジクロロメタン(2.0ml)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2.0ml)、水(1.0ml)及び飽和食塩水で各1回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=7/3−100%酢酸エチル)により精製し、表題化合物(24mg)を固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ8.45(d,J=2.2Hz,1H),7.89(dd,J=4.64,8.76Hz,1H),7.41(ddd,J=2.92,8.76,8.76Hz,1H),6.54(s,1H),4.23(t,J=5.5Hz,2H),3.87(s,2H),3.06(t,J=5.5Hz,2H)2.56−2.47(m,1H),1.98−1.81(m,4H),1.35−1.24(m,2H)1.35−1.14(m,4H)
ObsMS[M+1]:301.3
Rt(min):0.47
実施例77〜134:
実施例75〜76及び製造実施例1−1〜6−5に記載の方法と同様の方法により、対応する原料化合物及び試薬を用いて表3に示す通り実施例77〜129の化合物を、表4に示す通り実施例130〜134の化合物を製造した。
試験例
以下に、本発明の代表化合物の薬理試験及び薬物動態試験の結果を示すが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
mGluR5 in vitro機能アッセイ
機能アッセイは、テトラサイクリンで誘導されるプロモーターの制御下においてヒト組み換えmGluR5受容体発現する誘導型細胞株を用いて行われた。具体的には、pcDNA4/TO(invitrogen)にヒトmGluR5遺伝子を挿入し、TR発現ヒト腎臓由来HEK細胞(ATCC)に導入した。その後Geneticin(invitrogen)による選別を行い、ヒトmGluR5安定発現細胞を得た。
抗生物質(ブラストシジン、G418)培地中で増殖させたmGluR5細胞を10倍希釈したTRYPLE EXPRESS(life technologies)で軽く流すことにより剥離し、アッセイバッファー(HBSS、20mmol/L HEPES、0.1%BSA)に3x10 cells/mlとなる様に懸濁した。テトラサイクリン(終濃度100ng/mL)下でapoaequorinを一過的に導入し、384穴プレートに50μLずつ分注後、COインキュベーターで一中夜培養した。細胞を室温でセレンテラジンh(Promega、終濃度5nmol/L)と共に少なくとも4時間インキュベートした。アッセイバッファーで希釈した試験化合物を細胞に10μL添加してインキュベーション後に、終濃度2μmol/Lとなる様グルタミン酸溶液を10μL添加し、得られた発光量をHamamatsu Functional Drug Screening System 7000(FDSS 7000)を用いて記録した。阻害パーセントはグルタミン酸(終濃度2μmol/L)による活性化を基に算出した。Stat Preclinica(株式会社タクミインフォメーションテクノロジー)ソフトウェアにより、シグモイド型用量反応モデルに適用した非線形回帰を用いて分析することによって、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5(mGluR5)に対する阻害活性(IC50)を算出した。
実施例で得た本発明のテトラヒドロピラゾロピラジン誘導体について、上記の試験を行い、結果を表5に示す。
以上の試験結果から本発明のテトラヒドロピラゾロピラゾロピラジン誘導体又は医薬的に許容される塩はmGluR5ネガティブモジュレーターとしての作用を有することが明らかになった。特に実施例2、75、81、82、83、85、87、93、94、95、104、105、112、113、118、121、123及び132は、強いmGluR5ネガティブモジュレーターとしての作用を示した。
ラットを用いた薬物動態試験
7週齢のラットに対して、本発明化合物を生理食塩水溶液にて静脈投与又はメチルセルロース水溶液にて経口投与し、それぞれ以下の時間で血液を採取した。
静脈投与:投与後5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間及び24時間
経口投与:投与後15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間及び24時間
採取した血液を4℃に設定した冷却遠心器を用いて3000rpm×10分間遠心分離することで得た血漿をHPLCにて測定し、得られたタイムカーブを基に薬物動態パラメータを算出した。
好ましい化合物である実施例2、3及び75について、上記の試験を行った結果を表6に示す。
これらの試験結果から、本発明化合物が薬物動態的に優れており、生体内においても有用であることが証明できた。
以上で説明したように、本発明の化合物が強いmGluR5ネガティブモジュレーターとしての作用を示し、薬物動態的にも優れていることを見出した。したがって、本発明の化合物は、統合失調症、不安障害、強迫性障害、PTSD、うつ病性障害、双極性障害、薬物依存症、神経変性疾患(レボドパ誘発性ジスキネジア、パーキンソン病、ハンチントン病等)、発達障害(脆弱X症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、結節性硬化症等)、疼痛(炎症性疼痛、神経障害性疼痛等)、その他の神経疾患(てんかん、酸素欠乏、虚血障害等)等のmGluR5受容体が関与する精神疾患若しくは神経変性疾患の治療剤及び/又は予防剤として有用である。

Claims (17)

  1. 式(I):
    [式中、
    は、ピリジル又はチアゾリル(但し、当該ピリジルは、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシ及び水酸基からなる群から独立して選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく、当該チアゾリルは、上記群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい)を表し、
    は、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシ及び水酸基からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい、C3−8シクロアルキル、4〜8員のヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールを表し、
    及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はC1−3アルキルを表し、
    は、水素原子又はC1−3アルキルを表し、
    Lは、結合又は−C(O)−を表し、
    nは、1又は2を表す]
    で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
  2. が、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシ及び水酸基からなる群から独立して選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよい、3−ピリジル又は4−ピリジルであり、
    が、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシ及び水酸基からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい、C3−8シクロアルキル、4〜8員のヘテロシクリル、アリール又は単環式ヘテロアリールであり、
    nが、1である、
    請求項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
  3. が、下記式(R1A):
    で表される基であり、
    、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル又は1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシである、
    請求項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
  4. 、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、フッ素、塩素又はメチルである、
    請求項3に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
  5. nが、1である、
    請求項3又は請求項4に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
  6. が、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル及び1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい、フェニル又は単環式ヘテロアリールであり、
    及びRが、それぞれ独立して、水素原子又はメチルであり、
    が、水素原子であり、
    、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、フッ素、塩素又はメチルであり、
    Lが、−C(O)−である、
    請求項3〜5のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
  7. が、フッ素、塩素、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル及び1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、
    請求項6に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
  8. 、R及びRが、すべて水素原子であり、
    が、フッ素、塩素又はメチルである、
    請求項6又は請求項7に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
  9. が、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル及び1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい、フェニル又はピリジルであり、
    及びRが、それぞれ独立して、水素原子又はメチルであり、
    が、水素原子であり、
    、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、フッ素、塩素又はメチルであり、
    Lが、結合である、
    請求項3に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
  10. が、ハロゲン、シアノ、1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル及び1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい、2−ピリジル又は3−ピリジルである、
    請求項9に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
  11. 、R及びRが、すべて水素原子であり、
    が、フッ素、塩素又はメチルである、
    請求項9又は請求項10に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
  12. 以下の化合物から選択される、請求項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩:
    (3−クロロ−5−フルオロフェニル)[2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]メタノン、
    (3−クロロフェニル)[2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]メタノン、
    アゼパン−1−イル[2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]メタノン、
    [2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル](フェニル)メタノン、
    [2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル](3−メチルフェニル)メタノン、
    (2,3−ジフルオロフェニル)[2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]メタノン、
    [2−(5−クロロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル](3−フルオロフェニル)メタノン、
    (3−クロロ−5−フルオロフェニル)[2−(5−クロロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]メタノン、
    3−[2−(5−メチルピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]ピリジン−4−カルボニトリル、
    2−(ピリジン−2−イル)−5−[3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン、
    2−(5−メチルピリジン−2−イル)−5−(4−メチルピリジン−3−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン、
    2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−5−(4−メチルピリジン−3−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン、
    2−(5−クロロピリジン−2−イル)−5−[3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン、及び
    3−[2−(5−クロロピリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−5(4H)−イル]ピリジン−4−カルボニトリル。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩及び医薬品上許容される担体を含有する医薬品組成物。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分とする代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5が関与する精神疾患又は神経変性疾患の治療剤。
  15. 代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5が関与する精神疾患又は神経変性疾患が、統合失調症、不安障害、強迫性障害、PTSD、うつ病性障害、双極性障害、薬物依存症、神経変性疾患(レボドパ誘発性ジスキネジア、パーキンソン病及びハンチントン病)、発達障害(脆弱X症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群及び結節性硬化症)、疼痛(炎症性疼痛及び神経障害性疼痛)又はその他の神経疾患(てんかん、酸素欠乏及び虚血障害)である、
    請求項14に記載の治療剤。
  16. 代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5が関与する疾患の治療剤を製造するための請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩の使用。
  17. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩と、統合失調症、不安障害、強迫性障害、PTSD、うつ病性障害、双極性障害、薬物依存症、神経変性疾患(レボドパ誘発性ジスキネジア、パーキンソン病及びハンチントン病)、発達障害(脆弱X症候群、自閉症スペクトラム障害、レット症候群及び結節性硬化症)、疼痛(炎症性疼痛及び神経障害性疼痛)又はその他の神経疾患(てんかん、酸素欠乏及び虚血障害)の治療剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤とを組み合わせてなる医薬。
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