JP2015058519A - ロボットハンド - Google Patents
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Abstract
【課題】作用する外力の状態を検出する機構による指機構の体格の増大を抑えるロボットハンドを提供する。【解決手段】ロボットハンド100の複数の指機構10,20は、指節部10b,20b、第二関節部11b,21b及び駆動装置31,32を有する。第二関節部11b,21bは、駆動装置31,32によって回転駆動される駆動プーリ17,27と、回転して指機構10,20を回動させる従動プーリ13,23と、駆動プーリ17,27及び従動プーリ13,23に巻回され伸縮性のあるタイミングベルト15,25とを有する。駆動プーリ17,27及び従動プーリ13,23には、回転角度を検知する駆動側回転センサ18,28及び従動側回転センサ14,24が設けられ、駆動装置31,32の制御装置30は、駆動側回転センサ18,28及び従動側回転センサ14,24が検知した回転角度の差に基づき、指機構10,20に作用する力の状態を検出する。【選択図】図1
Description
この発明はロボットハンドに関する。
ロボットハンドは、対象物の把持や目標位置への移動などの動作時に、対象物や周囲の障害物に接触または衝突して外力を受ける。そして、ロボットハンドに作用する外力を検出することによって、ロボットハンドの動作制御が行われている。
特許文献1には、マニピュレータの関節に作用するトルクを検出する機構が記載されている。このマニピュレータは、マスタースレーブマニピュレータを構成し、マス上腕アーム、前腕アーム、手首フレーム及びグリップからなるマスターアームを備えている。そして、マスターアームでは、スレーブアームが受ける反作用力をグリップの操作者に伝達するために、スレーブアームの各関節が受けるトルクに応じたトルクを、モータの駆動力を用いてマスターアームの各関節に与える機構が組み込まれている。
特許文献1には、マニピュレータの関節に作用するトルクを検出する機構が記載されている。このマニピュレータは、マスタースレーブマニピュレータを構成し、マス上腕アーム、前腕アーム、手首フレーム及びグリップからなるマスターアームを備えている。そして、マスターアームでは、スレーブアームが受ける反作用力をグリップの操作者に伝達するために、スレーブアームの各関節が受けるトルクに応じたトルクを、モータの駆動力を用いてマスターアームの各関節に与える機構が組み込まれている。
さらに、上記機構には、各関節に与えるトルクをフィードバック制御できるように作用トルクを検出する機構も設けられている。例えば、手首フレームとグリップとの間における作用トルク検出機構では、手首フレームに埋め込まれたモータの駆動軸に設けられたプーリと、グリップの関節軸に設けられたプーリとが、タイミングベルトによって連結されている。さらに、タイミングベルトに対して外側から移動可能なテンションプーリが押し付けられ、それによりタイミングベルトに張力が与えられている。なお、テンションプーリは、力センサを間に挟んで押付ねじによって押圧されている。そして、力センサは、モータが駆動した際にタイミングベルトの張力が変化することによって変化するテンションプーリからの反力を検出する。そして、この反力の変化量に基づき、グリップの関節軸に作用するトルクが測定され、グリップの関節軸に与えるべきモータによるトルクがフィードバック制御される。
特許文献1における作用トルク検出機構では、力センサと、テンションプーリを移動させる機構とを設ける必要があり、これらはいずれもその体格が大きくなってしまう。特に、ロボットハンドでは、指機構の指先を細くしたいという要求があるため、指先の体格が増大することは大きな問題である。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、作用する外力の状態を検出する機構による指機構の体格の増大を抑えるロボットハンドを提供することを目的とする。
この発明に係るロボットハンドは、指節部と、指節部を回動可能に支持する関節部と、関節部を駆動する駆動源とを有する複数の指機構を備えるロボットハンドにおいて、少なくとも1つの指機構に設けられ、少なくとも1つの指機構における関節部の駆動に関連する回転角度を検知する第一回転検知部及び第二回転検知部と、第一回転検知部及び第二回転検知部の検知結果に基づき、駆動源の動作を制御する制御手段とを備え、少なくとも1つの指機構における関節部は、駆動源によって回転駆動される駆動輪と、回転することによって指節部を回動させる従動輪と、駆動輪から従動輪にわたって巻回され、駆動輪の回転を従動輪に伝達する伸縮性のある無端帯状体とを有し、第一回転検知部は、駆動輪の回転角度を検知し、第二回転検知部は、従動輪の回転角度を検知し、制御手段は、第一検知部及び第二回転検知部から受け取る回転角度の差に基づき、指機構に作用する力の状態を検出する。
制御手段は、検知された駆動輪の回転角度と従動輪の回転角度との差が、駆動輪と従動輪とが無端帯状体を介して一体に回転する状態である定常状態における駆動輪の回転角度と従動輪の回転角度との差と異なると、指機構に作用する力の状態に変化が生じたと判定してもよい。
制御手段は、指機構の動作中、第二回転検知部によって従動輪の回転の停止を検知してから、第一回転検知部によって予め設定した閾値以上の回転角度での駆動輪の回転を検知すると、指機構が対象物に接触したと判定してもよい。
制御手段は、指機構の動作中、第二回転検知部によって従動輪の回転の停止を検知してから、第一回転検知部によって検知される駆動輪の回転角度の時間あたりの変化量が所定の変化量以下となると、指機構が対象物に接触したと判定してもよい。
制御手段は、指機構が対象物に接触したと判定すると、駆動源を停止してもよい。
制御手段は、指機構の動作中、第二回転検知部によって従動輪の回転の停止を検知してから、第一回転検知部によって予め設定した閾値以上の回転角度での駆動輪の回転を検知すると、指機構が対象物に接触したと判定してもよい。
制御手段は、指機構の動作中、第二回転検知部によって従動輪の回転の停止を検知してから、第一回転検知部によって検知される駆動輪の回転角度の時間あたりの変化量が所定の変化量以下となると、指機構が対象物に接触したと判定してもよい。
制御手段は、指機構が対象物に接触したと判定すると、駆動源を停止してもよい。
制御手段は、指機構での把持対象の把持中、駆動輪の駆動を停止している状態で第二回転検知部によって予め設定した閾値以上の回転角度での従動輪の回転を検知すると、把持対象が指機構から離れたと判定してもよい。
制御手段は、指機構で把持を行っていない状態での駆動源の停止中、第二回転検知部によって予め設定した閾値以上の回転角度での従動輪の回転を検知すると、指機構に所定以上の外力が作用したと判定し、指機構を外力を受ける側と反対側に向かって回動させるように、駆動源を駆動させてもよい。
制御手段は、指機構で把持を行っていない状態での駆動源の停止中、第二回転検知部によって予め設定した閾値以上の回転角度での従動輪の回転を検知すると、指機構に所定以上の外力が作用したと判定し、指機構を外力を受ける側と反対側に向かって回動させるように、駆動源を駆動させてもよい。
この発明によるロボットハンドによれば、作用する外力の状態を検出する機構による指機構の体格の増大を抑えることが可能になる。
実施の形態
以下に、この発明の実施の形態について、添付図に基づいて説明する。
まず、この発明の実施の形態に係るロボットハンド100の構成を説明する。
図1を参照すると、ロボットハンド100は、ハンド基部1に設けられた複数の指機構10及び20を有している。なお紙面上では、複数の指機構のうちの2つが示されており、これら2つの指機構10及び20は、互いに向かって接近する又は離れる方向に屈折するように構成されている。
以下に、この発明の実施の形態について、添付図に基づいて説明する。
まず、この発明の実施の形態に係るロボットハンド100の構成を説明する。
図1を参照すると、ロボットハンド100は、ハンド基部1に設けられた複数の指機構10及び20を有している。なお紙面上では、複数の指機構のうちの2つが示されており、これら2つの指機構10及び20は、互いに向かって接近する又は離れる方向に屈折するように構成されている。
指機構10及び20はそれぞれ、その先端側から第一指節部10a及び20a、並びに第二指節部10b及び20bによって構成されている。第一指節部10a及び20aは、第二指節部10b及び20bに設けられ且つ第一関節部11a及び21aを構成する超音波モータによって、第二指節部10b及び20bに回動自在に連結されている。第二指節部10b及び20bはそれぞれ、第二関節部11b及び21bによってハンド基部1に回動自在に連結されている。
さらに、第一指節部10a及び20aと第二指節部10b及び20bとにはそれぞれ、把持した際に把持対象物を傷つけないために、そして、把持対象物が滑り落ちないようにするために、各外表面の少なくとも把持部分に、弾性材料による被覆が施されている。
さらに、第一指節部10a及び20aと第二指節部10b及び20bとにはそれぞれ、把持した際に把持対象物を傷つけないために、そして、把持対象物が滑り落ちないようにするために、各外表面の少なくとも把持部分に、弾性材料による被覆が施されている。
また、第二関節部11b及び21bに連結される第二指節部10b及び20bの端部にはそれぞれ、円板状の従動プーリ13及び23が従動軸12及び22を介して一体回転するように連結されている。つまり、第二指節部10b及び20bと従動プーリ13及び23とはそれぞれ、従動軸12及び22を中心として、従動軸12及び22と共に一体に回転することができる。なお、従動プーリ13及び23は、ロボットハンド100のハンド基部1内に部分的又は全体的に含まれている。
ここで、従動プーリ13及び23は、従動輪を構成している。
ここで、従動プーリ13及び23は、従動輪を構成している。
さらに、従動軸12及び22の周りにはそれぞれ、従動軸12及び22の回転角度、つまり従動プーリ13及び23の回転角度を検知するための従動側回転センサ14及び24が設けられている。ここで、従動側回転センサ14及び24は、第二回転検知部を構成している。
従動側回転センサ14及び24は、従動プーリ13及び23の回転角度、すなわち第二指節部10b及び20bの回動角度を検知するために、従来のロボットハンドにも設けられるものである。そして、従動側回転センサ14及び24は、検知角度情報を送るように、ロボットハンド100の制御手段である制御装置30に電気的に接続されている。なお、従動側回転センサ14及び24には、エンコーダ、ポテンションセンサ等を用いることができる。
従動側回転センサ14及び24は、従動プーリ13及び23の回転角度、すなわち第二指節部10b及び20bの回動角度を検知するために、従来のロボットハンドにも設けられるものである。そして、従動側回転センサ14及び24は、検知角度情報を送るように、ロボットハンド100の制御手段である制御装置30に電気的に接続されている。なお、従動側回転センサ14及び24には、エンコーダ、ポテンションセンサ等を用いることができる。
また、ロボットハンド100は、ハンド基部1内に、第二指節部10b及び20bをそれぞれ回動駆動するための第一駆動装置31及び第二駆動装置32を有している。第一駆動装置31及び第二駆動装置32のそれぞれの回転駆動軸は、ハンド基部1内に設けられた円板状の駆動プーリ17及び27の駆動軸16及び26と、回転駆動力を伝達できるように接続されている。駆動プーリ17及び27はそれぞれ、従動プーリ13及び23よりも大幅に小さい直径を有している。第一駆動装置31及び第二駆動装置32はそれぞれ、駆動軸16及び26を介して駆動プーリ17及び27を回転駆動することができ、電動モータ、超音波モータ等によって構成される。なお、第一駆動装置31及び第二駆動装置32は、その動作の制御を受けるように、制御装置30に電気的に接続されている。
ここで、駆動プーリ17及び27は駆動輪を構成し、第一駆動装置31及び第二駆動装置32は駆動源を構成している。
ここで、駆動プーリ17及び27は駆動輪を構成し、第一駆動装置31及び第二駆動装置32は駆動源を構成している。
さらに、駆動軸16及び26の周りにはそれぞれ、駆動軸16及び26の回転角度、つまり駆動プーリ17及び27の回転角度を検知するための駆動側回転センサ18及び28が設けられている。これら駆動側回転センサ18及び28は、第二指節部10b及び20bの回動角度を検知しさえすればよかった従来のロボットハンドでは、設けられなかったものである。駆動側回転センサ18及び28は、検知角度情報を送るように、制御装置30に電気的に接続されている。なお、駆動側回転センサ18及び28には、エンコーダ、ポテンションセンサ等を用いることができる。ここで、駆動側回転センサ18及び28は、第一回転検知部を構成している。
さらに、駆動プーリ17の外周から従動プーリ13の外周にわたって掛け渡されてこれら2つのプーリの全体に対して外周に巻回されるようにして、無端帯状で弾性つまり伸縮性を有するタイミングベルト15が設けられている。これにより、第一駆動装置31が駆動すると、駆動軸16を中心に駆動プーリ17が回転駆動され、さらに、駆動プーリ17の回転力がタイミングベルト15を介して従動プーリ13に伝達し、従動プーリ13及び第二指節部10bが、従動軸12を中心として駆動プーリ17と同方向に、且つ回転速度を駆動プーリ17から大幅に減速して、回転する。
また、駆動プーリ27の外周から従動プーリ23の外周にわたって掛け渡されてこれら2つのプーリの全体に対して外周に巻回されるようにして、無端帯状で弾性つまり伸縮性を有するタイミングベルト25が設けられている。これにより、第二駆動装置32が駆動すると、駆動軸26を中心に駆動プーリ27が回転駆動され、さらに、駆動プーリ27の回転力がタイミングベルト25を介して従動プーリ23に伝達し、従動プーリ23及び第二指節部20bが、従動軸22を中心として駆動プーリ27と同方向に、且つ回転速度を駆動プーリ27から大幅に減速して、回転する。
ここで、タイミングベルト15及び25は、無端帯状体を構成し、従動プーリ13、駆動プーリ17及びタイミングベルト15は、第二関節部11bを構成し、従動プーリ23、駆動プーリ27及びタイミングベルト25は、第二関節部21bを構成している。
ここで、タイミングベルト15及び25は、無端帯状体を構成し、従動プーリ13、駆動プーリ17及びタイミングベルト15は、第二関節部11bを構成し、従動プーリ23、駆動プーリ27及びタイミングベルト25は、第二関節部21bを構成している。
次に、この発明の実施の形態に係るロボットハンド100の動作を説明する。
図1を参照すると、ロボットハンド100の制御装置30は、例えば、対象物を把持して移動する把持指令を受け取ると、ハンド基部1が連結された図示しないアームを動作させてハンド基部1を対象物の近傍に移動させる。さらに、制御装置30は、第一駆動装置31、第二駆動装置32、並びに第一関節部11a及び21aの超音波モータを適宜選択して駆動し、指機構10及び20に回動、屈折させて、対象部を把持させる。このとき、制御装置30は、駆動側回転センサ18及び28、並びに従動側回転センサ14及び24から受け取る回転角度情報から、第二指節部10b及び20bの回動角度を検知して、指機構10及び20の状態を判定し、指機構10及び20の動作を制御する。そして、制御装置30は、把持完了後、図示しないアームを動作させてハンド基部1を移動目的地に移動し、さらに、第一駆動装置31、第二駆動装置32、並びに第一関節部11a及び21aの超音波モータを適宜選択して駆動して、指機構10及び20に把持した対象物を離させる。
上述の一連の把持動作に代表される動作の中で、制御装置30は、例えば、下記のようなケースについて指機構10及び20に作用する外力を検出することで、ロボットハンド100の動作の制御にフィードバックさせている。つまり、「ケース1:把持の際に指機構が対象物に接触したか」、「ケース2:対象物を把持しているか」、及び「ケース3:把持状態でない指機構に対象物による衝突が発生したか」である。
図1を参照すると、ロボットハンド100の制御装置30は、例えば、対象物を把持して移動する把持指令を受け取ると、ハンド基部1が連結された図示しないアームを動作させてハンド基部1を対象物の近傍に移動させる。さらに、制御装置30は、第一駆動装置31、第二駆動装置32、並びに第一関節部11a及び21aの超音波モータを適宜選択して駆動し、指機構10及び20に回動、屈折させて、対象部を把持させる。このとき、制御装置30は、駆動側回転センサ18及び28、並びに従動側回転センサ14及び24から受け取る回転角度情報から、第二指節部10b及び20bの回動角度を検知して、指機構10及び20の状態を判定し、指機構10及び20の動作を制御する。そして、制御装置30は、把持完了後、図示しないアームを動作させてハンド基部1を移動目的地に移動し、さらに、第一駆動装置31、第二駆動装置32、並びに第一関節部11a及び21aの超音波モータを適宜選択して駆動して、指機構10及び20に把持した対象物を離させる。
上述の一連の把持動作に代表される動作の中で、制御装置30は、例えば、下記のようなケースについて指機構10及び20に作用する外力を検出することで、ロボットハンド100の動作の制御にフィードバックさせている。つまり、「ケース1:把持の際に指機構が対象物に接触したか」、「ケース2:対象物を把持しているか」、及び「ケース3:把持状態でない指機構に対象物による衝突が発生したか」である。
「ケース1(把持の際に指機構が対象物に接触したか)の場合」
このケースでは、制御装置30は、指機構10及び20に作用する外力(対象物からの反力)の状態を検出することによって、把持の際に指機構10及び20が対象物に接触したかを判定し、この判定結果を把持動作の制御にフィードバックする。
指機構10及び20を接近させて対象物を把持する動作を行う際、第一駆動装置31及び第二駆動装置32を稼動させて指機構10及び20を動作させるが、指機構10及び20が対象物に当接すると、指機構10及び20が動作を停止し従動プーリ13及び23が回転を停止する。
このケースでは、制御装置30は、指機構10及び20に作用する外力(対象物からの反力)の状態を検出することによって、把持の際に指機構10及び20が対象物に接触したかを判定し、この判定結果を把持動作の制御にフィードバックする。
指機構10及び20を接近させて対象物を把持する動作を行う際、第一駆動装置31及び第二駆動装置32を稼動させて指機構10及び20を動作させるが、指機構10及び20が対象物に当接すると、指機構10及び20が動作を停止し従動プーリ13及び23が回転を停止する。
しかしながら、タイミングベルト15及び25は弾性(伸縮性)を有するため、稼働中の第一駆動装置31及び第二駆動装置32は、駆動プーリ17及び27に対して、従動プーリ13及び23との間のタイミングベルト15及び25を伸長させつつ把持動作を行う方向へ、回転を継続させる。そして、第一駆動装置31及び第二駆動装置32は、その回転駆動力とタイミングベルト15及び25の張力とが釣り合う時点まで、駆動プーリ17及び27の回転を継続させようとする。このとき、タイミングベルト15では、駆動プーリ17及び従動プーリ13を挟んで指機構20側(つまり、対象物側)となる内側部位15aが伸び、駆動プーリ17及び従動プーリ13を挟んで指機構20と反対側となる外側部位15bが縮んで緩む。同様に、タイミングベルト25では、駆動プーリ27及び従動プーリ23を挟んで指機構10側(つまり、対象物側)となる内側部位25aが伸び、駆動プーリ27及び従動プーリ23を挟んで指機構10と反対側となる外側部位25bが縮んで緩む。
また、制御装置30は、駆動側回転センサ18及び28、並びに従動側回転センサ14及び24を用いて駆動プーリ17及び27の回転角度、並びに従動プーリ13及び23の回転角度を取得している。
そして、指機構10及び20における可動部分である連結部分には遊びやバックラッシュがあり、タイミングベルト15及び25にも僅かに撓みがある場合がある。さらに、対象物を把持する際には、指機構10及び20は、対象物に単に当接するだけでなく、対象物から反力を受けるように把持力を伴った状態で対象物に接触する必要がある。
このため、制御装置30は、指機構10及び20が対象物に当接して従動プーリ13及び23の回転が停止した時点から駆動プーリ17及び27が所定の回転量以上回転した場合に、指機構10及び20が対象物に把持力を伴った状態で接触したと判定し、第一駆動装置31及び第二駆動装置32を停止する。このとき、内側部位15a及び25aが伸びることによるタイミングベルト15及び25の張力が、把持力として作用する。
そして、指機構10及び20における可動部分である連結部分には遊びやバックラッシュがあり、タイミングベルト15及び25にも僅かに撓みがある場合がある。さらに、対象物を把持する際には、指機構10及び20は、対象物に単に当接するだけでなく、対象物から反力を受けるように把持力を伴った状態で対象物に接触する必要がある。
このため、制御装置30は、指機構10及び20が対象物に当接して従動プーリ13及び23の回転が停止した時点から駆動プーリ17及び27が所定の回転量以上回転した場合に、指機構10及び20が対象物に把持力を伴った状態で接触したと判定し、第一駆動装置31及び第二駆動装置32を停止する。このとき、内側部位15a及び25aが伸びることによるタイミングベルト15及び25の張力が、把持力として作用する。
なお、上記所定の回転量とは、従動プーリ13及び23の回転が停止した時点からの、駆動プーリ17及び27の回転角度であってもよく、駆動プーリ17及び27が回転を継続した時間であってもよく、又は、駆動プーリ17及び27の時間あたりの回転角度量としてもよい。
上記所定の回転量を回転角度とする場合、経過時間と指機構10の駆動プーリ17の回転角度及び従動プーリ13の回転角度との関係を示す図2を図1とあわせて参照する。なお、指機構20おいても、駆動プーリ27及び従動プーリ23は、指機構10と同様の動作を示す。
制御装置30は、時間t1において、対象物の把持動作を行うために第一駆動装置31及び第二駆動装置32を起動して駆動プーリ17,27及び従動プーリ13,23を回転駆動する(点A1−1,B1−1)。そして、時間t2において、指機構10,20が対象物に当接し従動プーリ13,23が回転を停止する(点A1−2,B1−2)。しかしながら、回転駆動力の付与が継続している駆動プーリ17,27は、指機構10,20の遊びやバックラッシュを解消すると共にタイミングベルト15,25の内側部位15a,25aを伸長させつつ、回転を継続する。そして、駆動プーリ17,27は、伸長に伴い増加するタイミングベルト15,25の張力によってその回転速度を減少させていき、時間t3において回転を停止する(点A1−3)。
制御装置30は、時間t1において、対象物の把持動作を行うために第一駆動装置31及び第二駆動装置32を起動して駆動プーリ17,27及び従動プーリ13,23を回転駆動する(点A1−1,B1−1)。そして、時間t2において、指機構10,20が対象物に当接し従動プーリ13,23が回転を停止する(点A1−2,B1−2)。しかしながら、回転駆動力の付与が継続している駆動プーリ17,27は、指機構10,20の遊びやバックラッシュを解消すると共にタイミングベルト15,25の内側部位15a,25aを伸長させつつ、回転を継続する。そして、駆動プーリ17,27は、伸長に伴い増加するタイミングベルト15,25の張力によってその回転速度を減少させていき、時間t3において回転を停止する(点A1−3)。
これにより、制御装置30は、駆動側回転センサ18,28によって駆動プーリ17,27の停止を検知し、指機構10,20が対象物に把持力を伴って接触したと判定して第一駆動装置31及び第二駆動装置32を停止する。このとき、対象物には、タイミングベルト15,25の張力による把持力が作用している。なお、点A1−2から点A1−3に至るまでの駆動プーリ17,27の回転角度量R1を予め閾値に設定しておくことによって、制御装置30は、点A1−2の時点から駆動プーリ17,27が回転角度量R1だけ回転すると、第一駆動装置31及び第二駆動装置32を停止するようにしてもよい。
また、図1とあわせて図3を参照すると、制御装置30は、指機構10,20が対象物に把持力を伴って接触したと判定できる状態であれば、点A1−3の時間t3よりも前の時点である時間t4の点A1−4に駆動プーリ17,27の回転が達したとき、第一駆動装置31及び第二駆動装置32を停止してもよい。このとき、点A1−2から点A1−4に至るまでの駆動プーリ17,27の回転角度量R2を予め閾値に設定しておくことによって、制御装置30は、点A1−2の時点から駆動プーリ17,27が回転角度量R2だけ回転すると、指機構10,20が対象物に把持力を伴って接触したと判定して第一駆動装置31及び第二駆動装置32を停止する。その結果、タイミングベルト15,25の内側部位15a,25aの張力が図2の場合に比べて小さくなるため、対象物に作用する把持力も小さくなり、過度な把持力の付与による対象物の破損を防ぐことができる。
上記所定の回転量を回転継続時間とする場合、図3における点A1−2の時点から所定の時間にわたって駆動プーリ17,27が回転すると、制御装置30が第一駆動装置31及び第二駆動装置32を停止する。上記所定の時間は、点A1−2の時点からの指機構10,20が対象物に把持力を伴って接触したと判定できる状態に至るまでの時間であり、点A1−2の時点での駆動プーリ17,27の回転速度等から予め設定して制御装置30に記憶させておくことができる。
上記所定の回転量を時間あたりの回転角度量とする場合、経過時間と、指機構10の駆動プーリ17の時間あたりの回転角度量(回転速度)及び従動プーリ13の時間あたりの回転角度量(回転速度)との関係を示す図4を図1とあわせて参照する。なお、指機構20おいても、駆動プーリ27及び従動プーリ23は、指機構10と同様の動作を示す。
制御装置30は、図3の場合と同様に、点A1−4の時点で指機構10,20が対象物に把持力を伴って接触したと判定し、第一駆動装置31及び第二駆動装置32の稼動を停止する。
制御装置30は、図3の場合と同様に、点A1−4の時点で指機構10,20が対象物に把持力を伴って接触したと判定し、第一駆動装置31及び第二駆動装置32の稼動を停止する。
駆動プーリ17,27は、時間t1(点A1−1)で一定の回転速度で回転が開始され、それに伴い、従動プーリ13,23が時間t1(点B1−1)でより低い一定の回転速度で回転が開始される。時間t2で、対象物への指機構10,20の当接により従動プーリ13,23の回転が停止(点B1−2)し、その後、駆動プーリ17,27は、回転速度を低下させつつ回転を継続する(点A1−2)。そして、時間t4において、回転速度が閾値v1に達すると、制御装置30は、第一駆動装置31及び第二駆動装置32を停止する。図4では、閾値v1は、回転速度が0に近づいた領域に設定している。そして、回回転速度が0に近づいた領域では、タイミングベルト15,25が伸長してその張力が増大しているため、対象物に対する十分な把持力を得ることができる。
また、本ケースでは対象物の把持中の把持力の大きさを検出することが可能である。
制御装置30は、指機構10,20が対象物に当接して従動プーリ13,23が回転を停止した時点から駆動プーリ17,27の回転を停止するまでの駆動プーリ17,27の回転角度から、タイミングベルト15,25の内側部位15a,25aそれぞれにおける伸び量を算出することができる。これらの伸び量から把持によるタイミングベルト15及び25における張力の増加量を算出することができ、算出した張力の増加量から指機構10及び20に作用する把持力を算出することができる。
制御装置30は、指機構10,20が対象物に当接して従動プーリ13,23が回転を停止した時点から駆動プーリ17,27の回転を停止するまでの駆動プーリ17,27の回転角度から、タイミングベルト15,25の内側部位15a,25aそれぞれにおける伸び量を算出することができる。これらの伸び量から把持によるタイミングベルト15及び25における張力の増加量を算出することができ、算出した張力の増加量から指機構10及び20に作用する把持力を算出することができる。
「ケース2(対象物を把持しているか)の場合」
図1を参照すると、このケースでは、制御装置30は、第一駆動装置31及び第二駆動装置32を停止して対象物を把持している最中における指機構10及び20に作用する外力(対象物からの反力)の変化を検出することによって、対象物の把持が解除されたかを判定し、この判定結果を把持動作の制御にフィードバックする。
ケース1で上述したように、指機構10及び20が対象物を把持した状態のタイミングベルト15では、内側部位15aが伸びて外側部位15bが緩み、内側部位15aの張力が外側部位15bの張力よりも大きくなっている。同様に、タイミングベルト25でも、内側部位25aが伸びて外側部位25bが緩み、内側部位25aの張力が外側部位25bの張力よりも大きくなっている。
また、指機構10及び20が対象物を把持している状態では、駆動プーリ17及び27、並びに従動プーリ13及び23は回転を停止しており、制御装置30は、このときの各プーリの回転角度を記憶している。
図1を参照すると、このケースでは、制御装置30は、第一駆動装置31及び第二駆動装置32を停止して対象物を把持している最中における指機構10及び20に作用する外力(対象物からの反力)の変化を検出することによって、対象物の把持が解除されたかを判定し、この判定結果を把持動作の制御にフィードバックする。
ケース1で上述したように、指機構10及び20が対象物を把持した状態のタイミングベルト15では、内側部位15aが伸びて外側部位15bが緩み、内側部位15aの張力が外側部位15bの張力よりも大きくなっている。同様に、タイミングベルト25でも、内側部位25aが伸びて外側部位25bが緩み、内側部位25aの張力が外側部位25bの張力よりも大きくなっている。
また、指機構10及び20が対象物を把持している状態では、駆動プーリ17及び27、並びに従動プーリ13及び23は回転を停止しており、制御装置30は、このときの各プーリの回転角度を記憶している。
そして、対象物を把持している状態で、対象物が衝突する、対象物が滑り落ちる等で対象物が指機構10及び20の間から逸脱すると、対象物からの反力を失った指機構10及び20の従動プーリ13及び23は、タイミングベルト15及び25の内側部位15a及び25aの張力によって、回転させられる。このとき、駆動プーリ17及び27は駆動装置31及び32によって停止状態に維持されるため、タイミングベルト15及び25はそれぞれ、内側部位15a及び25aと外側部位15b及び25bとの張力を均等にするように動作して、第二指節部10b及び20bを互いに接近させる方向に従動プーリ13及び23を回転させる。
そして、制御装置30は、駆動側回転センサ18及び28が示す駆動プーリ17及び27の停止状態と、従動側回転センサ14及び24が示す従動プーリ13及び23の上述の回転動作とから、対象物の把持が解除されたことを検知する。
そして、制御装置30は、駆動側回転センサ18及び28が示す駆動プーリ17及び27の停止状態と、従動側回転センサ14及び24が示す従動プーリ13及び23の上述の回転動作とから、対象物の把持が解除されたことを検知する。
ここで、本ケースにおける経過時間と指機構10の駆動プーリ17の回転角度及び従動プーリ13の回転角度との関係を示す図5を図1とあわせて参照する。なお、指機構20おいても、駆動プーリ27及び従動プーリ23は、指機構10と同様の動作を示す。
時間taにおいて、対象物が、把持されている指機構10及び20から逸脱する(点B2−1)。このとき、駆動プーリ17,27は、駆動装置31,32の作用によって停止されたままである(回転角度一定を維持する)が、対象物からの反力を失った従動プーリ13,23は、タイミングベルト15,25の内側部位15a,25aの張力によって、回転させられる。そして、タイミングベルト15,25の内側部位15a,25aと外側部位15b,25bとの張力が釣り合うと、従動プーリ13,23の回転が停止する(点B2−2)。なお、従動プーリ13,23は、点B2−1から点B2−2に至る過程で回転角度量R3だけ回転する。
時間taにおいて、対象物が、把持されている指機構10及び20から逸脱する(点B2−1)。このとき、駆動プーリ17,27は、駆動装置31,32の作用によって停止されたままである(回転角度一定を維持する)が、対象物からの反力を失った従動プーリ13,23は、タイミングベルト15,25の内側部位15a,25aの張力によって、回転させられる。そして、タイミングベルト15,25の内側部位15a,25aと外側部位15b,25bとの張力が釣り合うと、従動プーリ13,23の回転が停止する(点B2−2)。なお、従動プーリ13,23は、点B2−1から点B2−2に至る過程で回転角度量R3だけ回転する。
制御装置30は、駆動側回転センサ18,28によって駆動プーリ17,27の停止を検知すると共に、従動側回転センサ14,24によって回転角度量R3の従動プーリ13,23の回転を検知することで、対象物の把持が解除されたと判定する。なお、回転角度量R3を予め閾値に設定しておくことによって、制御装置30は、点B2−1の時点から従動プーリ13,23が回転角度量R3だけ回転すると、対象物の把持が解除されたと判定してもよい。
また、指機構10,20による対象物の把持が解除されることが確実な状態であれば、対象物の把持解除判定の閾値を回転角度量R3よりも小さいR4(時間tc、点B2−3の時点)としてもよい。
また、指機構10,20による対象物の把持が解除されることが確実な状態であれば、対象物の把持解除判定の閾値を回転角度量R3よりも小さいR4(時間tc、点B2−3の時点)としてもよい。
そして、把持中でも、駆動プーリ17,27の連結部分等が遊びやバックラッシュでがたつく場合や、把持した対象物が揺動する場合、従動側回転センサ14,24及び駆動側回転センサ18,28の両方の検知回転角度に変化が生じることがある。このような場合、上述の閾値を、微小に変化する駆動プーリ17,27の回転角度量を考慮したものをすることによって、制御装置30は、連結部分等の遊び、バックラッシュ、対象物の揺動等による影響に関係なく確実な把持解除の判定を行うことができる。
「ケース3(把持状態でない指機構に対象物による衝突が発生したか)の場合」
このケースでは、制御装置30は、把持をせずに第一駆動装置31及び第二駆動装置32を停止している状態にある指機構10及び20に作用する外力の状態を検出することによって、例えば、ハンド基部1の移動中における指機構10又は20へ障害物等の対象物による衝突が発生したことを判定し、この判定結果を指機構10及び20の動作の制御にフィードバックする。
このケースでは、制御装置30は、把持をせずに第一駆動装置31及び第二駆動装置32を停止している状態にある指機構10及び20に作用する外力の状態を検出することによって、例えば、ハンド基部1の移動中における指機構10又は20へ障害物等の対象物による衝突が発生したことを判定し、この判定結果を指機構10及び20の動作の制御にフィードバックする。
指機構10が対象物による衝突を受けるとした、本ケースにおける経過時間と指機構10の駆動プーリ17の回転角度及び従動プーリ13の回転角度との関係を示す図6を図1とあわせて参照する。
時間tαで指機構10が衝突を受ける(点B3−1)と、指機構10は回動して従動プーリ13を回転させる。この場合、指機構10が指機構20と反対側に向かって回動すると仮定すると、駆動停止している第一駆動装置31が駆動プーリ17を停止状態(回転角度一定状態)に維持するため、従動プーリ13に作用する回転力は、タイミングベルト15の内側部位15aを伸長させつつ従動プーリ13を回転させる。つまり、衝撃を受ける過程では、従動プーリ13のみが回転する。
時間tαで指機構10が衝突を受ける(点B3−1)と、指機構10は回動して従動プーリ13を回転させる。この場合、指機構10が指機構20と反対側に向かって回動すると仮定すると、駆動停止している第一駆動装置31が駆動プーリ17を停止状態(回転角度一定状態)に維持するため、従動プーリ13に作用する回転力は、タイミングベルト15の内側部位15aを伸長させつつ従動プーリ13を回転させる。つまり、衝撃を受ける過程では、従動プーリ13のみが回転する。
そして、制御装置30は、時間tβにおいて、従動側回転センサ14が検知する点B3−1からの従動プーリ13の回転角度量が閾値R5に達する(点B3−2)と、指機構10に所定以上の衝撃による外力が作用したと判定し、この外力を逃がすために、指機構10を指機構20と反対側、つまり外力を受ける側と反対側に向かって回動させるような制御を行う(点A3−2)。このとき、制御装置30は、衝撃による外力が作用する方向に沿って第二指節部10bを回動させるように、第一駆動装置31を起動して駆動プーリ17を回転駆動する。これにより、タイミングベルト15の内側部位15aに作用する張力が低減され、タイミングベルト15から駆動プーリ17及び従動プーリ13が受ける力も低減する。
さらに、制御装置30は、時間tγにおいて、駆動プーリ17及び従動プーリ13がタイミングベルト15を介して一体に回転する状態、つまり、タイミングベルト15に伸びを生じずに互いの減速比に従って回転する状態になると、第一駆動装置31を停止し、駆動プーリ17及び従動プーリ13が停止状態となる(点A3−3、点B3−3)。
さらに、制御装置30は、時間tγにおいて、駆動プーリ17及び従動プーリ13がタイミングベルト15を介して一体に回転する状態、つまり、タイミングベルト15に伸びを生じずに互いの減速比に従って回転する状態になると、第一駆動装置31を停止し、駆動プーリ17及び従動プーリ13が停止状態となる(点A3−3、点B3−3)。
上述のように、ロボットハンド100において、制御装置30は、上記ケース1〜3では、駆動プーリ17,27及び従動プーリ13,23が、タイミングベルト15に伸びを生じずに互いの減速比に従って回転する状態である定常状態(両方が停止している状態も含む)から逸脱した状態となると、指機構10又は20に外力(若しくは反力)が作用した、又は作用する外力(若しくは反力)が変化したと判定する。そして、制御装置30は、上記ケース1〜3の他、指機構10又は20に外力(又は反力)が作用する様々な場合における外力(又は反力)の状態を同様に検出することができる。
このように、この発明に係るロボットハンド100は、第二指節部10b,20bと、第二指節部10b,20bを回動可能に支持する第二関節部11b,21bと、第二関節部11b,21bを駆動する駆動装置31,32とを有する複数の指機構10,20を備える。さらに、ロボットハンド100は、指機構10,20に設けられ且つ指機構10,20における第二関節部11b,21bの駆動に関連する回転角度を検知する従動側回転センサ14,24及び駆動側回転センサ18,28と、従動側回転センサ14,24及び駆動側回転センサ18,28の検知結果に基づき、駆動装置31,32の動作を制御する制御装置30とを備えている。第二関節部11b,21bは、駆動装置31,32によって回転駆動される駆動プーリ17,27と、回転することによって第二指節部10b,20bを回動させる従動プーリ13,23と、駆動プーリ17,27から従動プーリ13,23にわたって巻回され、駆動プーリ17,27の回転を従動プーリ13,23に伝達する伸縮性のあるタイミングベルト15,25とを有している。駆動側回転センサ18,28は、駆動プーリ17,27の回転角度を検知し、従動側回転センサ14,24は、従動プーリ13,23の回転角度を検知する。制御装置30は、駆動側回転センサ18,28及び従動側回転センサ14,24から受け取る回転角度の差に基づき、指機構10,20に作用する力の状態を検出する。
通常のロボットハンドでは、指機構の動作状態を検出するために従動プーリに回転センサが設けられている。本発明のロボットハンド100は、元々指機構10,20に設けられている従動側回転センサ14,24に加えて、駆動プーリ17,27に駆動側回転センサ18及び28を加えただけの構成を有している。よって、ロボットハンド100では、駆動プーリ、従動プーリ並びにタイミングベルトからなる機構に変更を加えることなく、駆動側回転センサ18,28を加えるのみで、指機構10及び20に作用する外力の状態を検出することができるようになる。よって、指機構10及び20の体格の増大を抑えつつ、指機構10及び20に作用する外力の状態の検出が可能になる。
また、ロボットハンド100において、制御装置30は、検知された駆動プーリ17,27の回転角度と従動プーリ13,23の回転角度との差が、駆動プーリ17,27と従動プーリ13,23とがタイミングベルト15,25を介して一体に回転する状態である定常状態における駆動プーリ17,27の回転角度と従動プーリ13,23の回転角度との差と異なると、指機構10,20に作用する力の状態に変化が生じたと判定する。指機構10,20に作用する外力が変化すると、従動プーリ13,23に作用する負荷が変化し、従動プーリ13,23の回転が妨害される。このとき、伸縮性のあるタイミングベルト15,25を伸長又は収縮させつつ駆動プーリ17,27が回転を継続するため、従動プーリ13,23と駆動プーリ17,27とは、これらプーリ間における回転角度の差を上記定常状態に維持できなくなる。
指機構10,20に作用する力の状態に変化が生じたとする上記判定において、制御装置30は、指機構10,20の動作中、従動側回転センサ14,24によって従動プーリ13,23の回転の停止を検知してから、駆動側回転センサ18,28によって予め設定した閾値以上の回転角度での駆動プーリ17,27の回転を検知すると、指機構10,20が対象物に接触したと判定する。指機構10,20が把持対象に当接すると、従動プーリ13,23の回転が停止させられるが、回転を継続しようとする駆動プーリ17,27は、タイミングベルト15,25を伸長させつつ把持方向へ回転を継続する。そして、ロボットハンド100の可動部分に遊びやバックラッシュがある場合や、タイミングベルト15,25に撓みがある場合、従動プーリ13,23が回転を停止した直後では駆動プーリ17,27が回転しても、指機構10,20は把持力を生じるようには把持対象に接触していない。しかしながら、把持対象への指機構10,20の接触判定のために、従動プーリ13,23の停止後の駆動プーリ17,27の回転角度に閾値を設けることによって、把持対象に対して把持力を生じるような接触状態の判定が可能になる。
または、上記制御装置30による接触判定は、指機構10,20の動作中、従動側回転センサ14,24によって従動プーリ13,23の回転の停止を検知してから、駆動側回転センサ18,28によって検知される駆動プーリ17,27の回転角度の時間あたりの変化量が所定の変化量以下となった場合である。指機構10,20が把持対象に当接すると、従動プーリ13,23が回転を停止し、駆動プーリ17,27が回転を継続してタイミングベルト15,25を伸長させる。タイミングベルト15,25が伸長すればするほどその張力が増加するため、駆動プーリ17,27は、回転角度の時間あたりの変化量である回転速度を低下させる。駆動プーリ17,27の回転速度が所定値以下となる場合では、タイミングベルト15,25には十分な張力が発生しており、この張力は、把持力を生じるように指機構10,20を把持対象に接触させることができる。
また、指機構10,20に作用する力の状態に変化が生じたとする上記判定において、制御装置30は、指機構10,20での把持対象の把持中、駆動プーリ17,27の駆動を停止している状態で従動側回転センサ14,24によって予め設定した閾値以上の回転角度での従動プーリ13,23の回転を検知すると、把持対象が指機構10,20から離れたと判定する。指機構10,20による把持中、伸長したタイミングベルト15,25の張力が、指機構10,20に対して、互いに接近させる方向である把持動作をさせる方向に作用している。このため、指機構10,20から把持対象が逸脱して把持状態が解除されると、指機構10,20は、タイミングベルト15,25の張力によって互いに接近する方向に動作する。そして、従動プーリ13,23が閾値以上の回転角度で回転した場合を把持解除の判定基準とすることによって、把持中における揺れ、可動部分の遊びやバックラッシュ等によって従動プーリ13,23が微小に回転する場合を、把持解除の判定から除外することができる。
また、上記指機構10,20に作用する力の状態に変化が生じたとする判定において、制御装置30は、指機構10及び20で把持を行っていない状態での駆動装置31及び32の停止中、従動側回転センサ14又は24によって予め設定した閾値以上の回転角度での従動プーリ13又は23の回転を検知すると、指機構10又は20に所定以上の外力が作用したと判定し、指機構10又は20を外力を受ける側と反対側に向かって回動させるように、駆動装置31又は32を駆動させる。指機構10又は20に衝突による外力が作用すると、指機構10又は20、及び従動プーリ13又は23には回転力が作用するが、駆動プーリ17及び27は、停止状態の駆動装置31及び32によって停止状態に保持されている。よって、上記回転力は、タイミングベルト15又は25を伸長させつつ、指機構10又は20、及び従動プーリ13又は23を回転させる。さらに、従動プーリ13又は23の回転角度が閾値以上になると、タイミングベルト15又は25の張力によって、タイミングベルト15又は25、従動プーリ13又は23、及び駆動プーリ17及び27に作用する負荷が大きくなるため、指機構10又は20を動作させてタイミングベルト15又は25の張力を低減し、負荷を低減することができる。
また、実施の形態のロボットハンド100では、駆動プーリ17,27、タイミングベルト15,25、及び、従動プーリ13,23を介して、駆動装置31,32の駆動力を、指機構10,20に伝達していたが、これに限定されるものでない。駆動プーリ及び従動プーリをギヤとし、タイミングベルトを金属製又は弾性材料(伸縮性を有する材料)からなるチェーンとしてもよい。つまり、駆動装置31,32の駆動力を、無端帯状の部材及び回転部材を介して、指機構10,20に伝達する構成であればよい。
また、実施の形態のロボットハンド100では、指機構10及び20はそれぞれ、2つの指節部及び2つの関節部をもつ構造を有していたが、これに限定されるものでなく、3つ以上の指節部及び3つ以上の関節部を有していてもよい。また、指機構10と20とで、備えている指節部及び関節部の数が異なっていてもよい。
また、実施の形態のロボットハンド100は、2つの指機構10及び20を有していたが、3つ以上の指機構を有してもよい。
また、実施の形態のロボットハンド100では、指機構10及び20はそれぞれ、2つの指節部及び2つの関節部をもつ構造を有していたが、これに限定されるものでなく、3つ以上の指節部及び3つ以上の関節部を有していてもよい。また、指機構10と20とで、備えている指節部及び関節部の数が異なっていてもよい。
また、実施の形態のロボットハンド100は、2つの指機構10及び20を有していたが、3つ以上の指機構を有してもよい。
10,20 指機構、10a,20a 第一指節部、10b,20b 第二指節部、11a,21a 第一関節部、11b,21b 第二関節部(関節部)、13,23 従動プーリ(従動輪)、14,24 従動側回転センサ(第二回転検知部)、15,25 タイミングベルト(無端帯状体)、17,27 駆動プーリ(駆動輪)、18,28 駆動側回転センサ(第一回転検知部)、30 制御装置(制御手段)、31 第一駆動装置(駆動源)、32 第二駆動装置(駆動源)、100 ロボットハンド。
Claims (7)
- 指節部と、前記指節部を回動可能に支持する関節部と、前記関節部を駆動する駆動源とを有する複数の指機構を備えるロボットハンドにおいて、
少なくとも1つの前記指機構に設けられ、前記少なくとも1つの指機構における前記関節部の駆動に関連する回転角度を検知する第一回転検知部及び第二回転検知部と、
前記第一回転検知部及び前記第二回転検知部の検知結果に基づき、前記駆動源の動作を制御する制御手段と
を備え、
前記少なくとも1つの指機構における関節部は、
前記駆動源によって回転駆動される駆動輪と、
回転することによって前記指節部を回動させる従動輪と、
前記駆動輪から前記従動輪にわたって巻回され、前記駆動輪の回転を前記従動輪に伝達する伸縮性のある無端帯状体と
を有し、
前記第一回転検知部は、前記駆動輪の回転角度を検知し、
前記第二回転検知部は、前記従動輪の回転角度を検知し、
前記制御手段は、前記第一検知部及び前記第二回転検知部から受け取る回転角度の差に基づき、前記指機構に作用する力の状態を検出する、ロボットハンド。 - 前記制御手段は、検知された前記駆動輪の回転角度と前記従動輪の回転角度との差が、前記駆動輪と前記従動輪とが前記無端帯状体を介して一体に回転する状態である定常状態における前記駆動輪の回転角度と前記従動輪の回転角度との差と異なると、前記指機構に作用する力の状態に変化が生じたと判定する請求項1に記載のロボットハンド。
- 前記制御手段は、前記指機構の動作中、前記第二回転検知部によって前記従動輪の回転の停止を検知してから、前記第一回転検知部によって予め設定した閾値以上の回転角度での前記駆動輪の回転を検知すると、前記指機構が対象物に接触したと判定する請求項2に記載のロボットハンド。
- 前記制御手段は、前記指機構の動作中、前記第二回転検知部によって前記従動輪の回転の停止を検知してから、前記第一回転検知部によって検知される前記駆動輪の回転角度の時間あたりの変化量が所定の変化量以下となると、前記指機構が対象物に接触したと判定する請求項2に記載のロボットハンド。
- 前記制御手段は、前記指機構が対象物に接触したと判定すると、前記駆動源を停止する請求項3または4に記載のロボットハンド。
- 前記制御手段は、前記指機構での把持対象の把持中、前記駆動輪の駆動を停止している状態で前記第二回転検知部によって予め設定した閾値以上の回転角度での前記従動輪の回転を検知すると、前記把持対象が前記指機構から離れたと判定する請求項2に記載のロボットハンド。
- 前記制御手段は、前記指機構で把持を行っていない状態での前記駆動源の停止中、前記第二回転検知部によって予め設定した閾値以上の回転角度での前記従動輪の回転を検知すると、前記指機構に所定以上の外力が作用したと判定し、前記指機構を外力を受ける側と反対側に向かって回動させるように、前記駆動源を駆動させる請求項2に記載のロボットハンド。
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Cited By (2)
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