JP2015058318A - 膣挿入具および穿刺方法 - Google Patents

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政克 川浦
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Abstract

【課題】生体組織支持用留置物を容易に生体内に埋設する手技を安全に行うことのできる膣挿入具および穿刺方法を提供すること。【解決手段】膣挿入具5は、膣内に挿入される長尺な膣挿入部51と、膣挿入部51に設けられた吸引孔54A、54B、54Cとを有し、吸引孔54A、54B、54Cは、互いに吸引方向Ia、Ib、Icが異なっている。また、吸引孔54Aは、膣挿入部51を膣内へ挿入した状態で膣前壁の中央部を吸引し、吸引孔54B、54Cは、吸引部54Aで吸引する部分に隣接する部分を吸引する。【選択図】図39

Description

本発明は、膣挿入具および穿刺方法に関するものである。
尿失禁、特に、腹圧性尿失禁になると、通常の運動中や、笑い、咳、くしゃみ等により腹圧がかかることで、尿漏れが生じる。この原因は、例えば、出産等により、尿道を支える筋肉である骨盤底筋が緩むこと等が挙げられる。
尿失禁の治療には、外科的療法が有効であり、例えば、「スリング」と呼ばれる帯状の生体組織支持用留置物を用い、スリングを体内に留置し、そのスリングで尿道を支持する(例えば、特許文献1参照)。スリングを体内に留置するには、術者がメスで膣を切開し、尿道と膣の間を剥離し、穿刺針等を用いて、その剥離した部位と外部とを閉鎖孔を介し連通させる。そして、このような状態で、スリングを体内に留置する。
しかしながら、膣を切開してしまうと、その切開により生じた傷口からスリングが膣内に露出してしまう虞や、前記傷口から感染してしまう等の合併症が生じる虞がある。また、膣を切開するので、侵襲が大きく、患者への負担が大きいという欠点がある。また、術者による手技の最中に尿道等を損傷する虞があり、また、術者自身も指先を損傷する虞がある。
特開2010−99499号公報
本発明の目的は、生体組織支持用留置物を容易に生体内に埋設する手技を安全に行うことのできる膣挿入具および穿刺方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1) 膣内に挿入される長尺な膣挿入部と、
前記膣挿入部に設けられた吸引部と、を有し、
前記吸引部は、吸引方向が異なる部位を有していることを特徴とする膣挿入具。
(2) 前記吸引部は、第1の吸引方向で前記膣壁を吸引する第1の吸引部と、前記第1の吸引方向とは異なる第2の吸引方向で前記膣壁を吸引する第2の吸引部と、を有している上記(1)に記載の膣挿入具。
(3) 前記第1の吸引部は、前記膣挿入部を前記膣内へ挿入した状態で膣前壁の中央部を吸引し、前記第2の吸引孔は、前記第1の吸引部で吸引する部分に隣接する部分を吸引する上記(2)に記載の膣挿入具。
(4) 前記第1の吸引方向と前記第2の吸引方向のなす角は、20°〜90°である上記(2)または(3)に記載の膣挿入具。
(5) 前記第2の吸引部は、前記第1の吸引部よりも前記膣挿入具の外側へ突出している上記(2)ないし(4)のいずれか1項に記載の膣挿入具。
(6) 前記第2の吸引部は、前記膣挿入部の周方向において前記第1の吸引部の両側に一対設けられている上記(2)ないし(5)のいずれか1項に記載の膣挿入具。
(7) 前記膣挿入部は、前記第1の吸引部が設けられ、前記膣内に挿入した状態で前記膣前壁に対向する第1の面と、前記第2の吸引部が設けられ前記第1の面に対して傾斜した第2の面とを有している上記(2)ないし(6)のいずれか1項に記載の膣挿入具。
(8) 前記第1の吸引部は、前記第1の面に開放する凹部を有し、
前記第2の吸引部は、前記第2の面に開放する凹部を有している上記(7)に記載の膣挿入具。
(9) 回動可能に設けられた湾曲した穿刺部材と、
膣内に挿入される長尺な膣挿入部を有する膣挿入具と、を用いた穿刺方法であって、
前記膣挿入部には、膣壁を吸引可能な吸引部が設けられており、
膣前壁の中央部が垂れ下がり、前記中央部の両側に窪んだ部分を有する前記膣内に挿入し、前記吸引部によって前記窪んだ部分を吸引し、その後、前記穿刺部材を生体組織に穿刺することを特徴とする穿刺方法。
本発明によれば、吸引部が互いに吸引方向が異なる部位を有しているため、膣挿入部への膣壁の吸着を効果的に行うことができる。そのため、尿道と膣壁との間のスペースを広げることができる。また、膣壁を吸着した状態で膣挿入部を体内側へ押し込むと、それとともに膣壁も押し込むことができ、膣壁の姿勢を矯正することができる。したがって、尿道と膣壁との間への穿刺部材の穿刺をより安全に行うことができる。
なお、患者によっては、膣前壁の中央部が膣内へ垂れ下がり、その両側に窪んだ部分(「ボタンホール」とも呼ばれる部位)が存在した膣を有している場合があり、本発明によれば、このような形状の膣を吸着するのに特に適している。
インプラントの一例を示す斜視図である。 第1参考例に係る穿刺装置を示す斜視図である。 図2に示す穿刺装置の側面図である。 図2に示す穿刺装置が有する操作部材を示す平面図である。 図2に示す穿刺装置が有する穿刺部材を示す図であり、(a)が斜視図、(b)が(a)中のA−A線断面図である。 図5に示す穿刺部材の断面図である。 図5に示す穿刺部材が有する状態維持部を示す図であり、(a)が上面図、(b)および(c)が断面図である。 図5に示す穿刺部材が有する状態維持部を示す部分拡大図であり、(a)および(b)が変形例を示す平面図、(c)が本参考例を示す平面図である。 図2に示す穿刺装置が備えるフレームの案内部を示す平面図である。 図9に示す案内部の断面図である。 図2に示す穿刺装置が備えるフレームの固定部を示す平面図である。 図2に示す穿刺装置が有する挿入具の側面図である。 尿道挿入部に設けられたマーカーの機能を説明するための断面図であり、(a)が不適正な場合を示す図、(b)が適正な場合を示す図である。 尿道挿入部に設けられたマーカーの機能を説明するための断面図である。 穿刺部材と閉鎖孔(骨盤)との位置関係を示す図であり、(a)が側面図、(b)が正面図である。 図12に示す挿入具が有する膣挿入具の部分拡大図であり、(a)が上面図、(b)が断面図である。 (a)が膣壁の形状の一例を示す断面図、(b)が(a)に示す膣内に膣挿入部を挿入した状態を示す断面図である。 図12に示す膣挿入部を膣に挿入した状態を示す断面図である。 図12に示す挿入具の維持部および変位部を説明するための図であり、(a)がロックされた状態を示す図、(b)が解除された状態を示す図である。 (a)および(b)がそれぞれ、図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 (a)および(b)がそれぞれ、図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 (a)および(b)がそれぞれ、図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 図22(b)に示す状態の時の穿刺装置と骨盤との関係を示す側面図である。 図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 (a)および(b)がそれぞれ、図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 図25(a)に示す状態の時の穿刺装置と骨盤との関係を示す側面図である。 図25(b)に示す状態の時の尿道に対する穿刺部材の姿勢を示す断面図である。 (a)および(b)がそれぞれ、図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 第2参考例に係る穿刺装置が有する挿入具を示す側面図である。 第3参考例に係る穿刺装置が有する挿入具を示す側面図である。 第4参考例に係る穿刺装置が有する挿入具を示す側面図である。 図32に示す挿入具が有する尿道挿入具を尿道へ挿入した状態を示す断面図である。 第5参考例に係る穿刺装置が有する挿入具の側面図であり、(a)が維持部でロックされた状態を示す図、(b)が維持部を解除した状態を示す図である。 (a)が第6参考例に係る穿刺装置が有する挿入具の側面図、(b)が維持部でロックされた状態を示す側面図、(c)が維持部を解除した状態を示す側面図である。 第7参考例に係る穿刺装置が有する挿入具の側面図である。 図36に示す膣挿入具を膣内に挿入した状態を示す断面図である。 第1実施形態に係る穿刺装置が有する挿入具の側面図である。 図38に示す膣挿入具の先端部を示す図であり、(a)が上面図、(b)が(a)中のB−B線断面図である。 図39に示す先端部を膣内に挿入した状態を示す図であり、(a)が膣壁を吸着する前の状態を示す図、(b)が膣壁を吸着した状態を示す図である。 第2実施形態に係る穿刺装置が有する膣挿入具の先端部を示す断面図である。 図41に示す先端部を膣内に挿入した状態を示す図であり、(a)が膣壁を吸着する前の状態を示す図、(b)が膣壁を吸着した状態を示す図である。 第3実施形態に係る穿刺装置が有する膣挿入具の先端部を示す断面図である。 第4実施形態に係る穿刺装置が有する膣挿入具の先端部を示す図であり、(a)が側面図、(b)が上面図、(c)が下面図である。 図44に示す先端部を膣内に挿入した状態を示す図であり、(a)が膣壁を吸着する前の状態を示す図、(b)が膣壁を吸着した状態を示す図である。 第5実施形態に係る穿刺装置が有する膣挿入具の先端部を示す図である。 第6実施形態に係る穿刺装置が有する膣挿入具の先端部を示す図であり、(a)が側面図、(b)が断面図である。 (a)および(b)が、それぞれ、図47に示す先端部の機能を説明するための図である。 第8参考例に係る穿刺装置が有する尿道挿入具を示す側面図である。 第9参考例に係る穿刺装置が有する尿道挿入部を示す側面図である。 (a)および(b)が、それぞれ、第10参考例に係る穿刺装置が有する尿道挿入部を示す部分断面図である。 第11参考例に係る穿刺装置が有する穿刺部材を示す斜視図である。 図52に示す穿刺部材の変形例を示す断面図である。
以下、本発明の膣挿入具を適用した穿刺装置および穿刺方法を添付図面に示す好適な実施形態および参考例に基づいて詳細に説明する。
<第1参考例>
図1は、インプラントの一例を示す斜視図である。図2は、本発明の第1参考例に係る穿刺装置を示す斜視図である。図3は、図2に示す穿刺装置の側面図である。図4は、図2に示す穿刺装置が有する操作部材を示す平面図である。図5は、図2に示す穿刺装置が有する穿刺部材を示す図であり、(a)が斜視図、(b)が(a)中のA−A線断面図である。図6は、図5に示す穿刺部材の断面図である。図7は、図5に示す穿刺部材が有する状態維持部を示す図であり、(a)が上面図、(b)および(c)が断面図である。図8は、図5に示す穿刺部材が有する状態維持部を示す部分拡大図であり、(a)および(b)が変形例を示す平面図、(c)が本参考例を示す平面図である。図9は、図2に示す穿刺装置が備えるフレームの案内部を示す平面図である。図10は、図9に示す案内部の断面図である。図11は、図2に示す穿刺装置が備えるフレームの固定部を示す平面図である。図12は、図2に示す穿刺装置が有する挿入具の側面図である。図13は、尿道挿入部に設けられたマーカーの機能を説明するための断面図であり、(a)が不適正な場合を示す図、(b)が適正な場合を示す図である。図14は、尿道挿入部に設けられたマーカーの機能を説明するための断面図である。図15は、穿刺部材と閉鎖孔(骨盤)との位置関係を示す図であり、(a)が側面図、(b)が正面図である。図16は、図12に示す挿入具が有する膣挿入具の部分拡大図であり、(a)が上面図、(b)が断面図である。図17は、(a)が膣壁の形状の一例を示す断面図、(b)が(a)に示す膣内に膣挿入部を挿入した状態を示す断面図である。図18は、図12に示す膣挿入部を膣に挿入した状態を示す断面図である。図19は、図12に示す挿入具の維持部および変位部を説明するための図であり、(a)がロックされた状態を示す図、(b)が解除された状態を示す図である。図20(a)および(b)は、それぞれ、図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。図21(a)および(b)は、それぞれ、図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。図22(a)および(b)は、それぞれ、図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。図23は、図22(b)に示す状態の時の穿刺装置と骨盤との関係を示す側面図である。図24は、図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。図25(a)および(b)は、それぞれ、図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。図26は、図25(a)に示す状態の時の穿刺装置と骨盤との関係を示す側面図である。図27は、図25(b)に示す状態の時の尿道に対する穿刺部材の姿勢を示す断面図である。図28(a)および(b)は、それぞれ、図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。図29は、図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図3中の左側を「先端」、右側を「基端」、上側を「上」、下側を「下」とも言う。また、図3は、まだ使用されていない状態を示し、以下では、説明の便宜上、この状態を「初期状態」とも言う。また、説明の便宜上、図3に示す穿刺装置(挿入具)が患者に装着された状態を「装着状態」とも言う。また、図6および図7では、それぞれ、説明の便宜上、円弧状に延在している穿刺部材を直線的に伸ばして図示している。
1.インプラント
まず、穿刺装置によって生体内に埋設されるインプラント(生体組織支持用留置物)9の一例について説明する。
図1に示すインプラント9は、女性の尿失禁の治療のための生体内に埋設可能な器具である。より具体的には、インプラント9は、尿道を支持する器具、例えば、尿道が膣壁側に移動しようとしたときに、その尿道を膣壁から離間する方向への移動を規制するように支持する器具である。このようなインプラント9としては、例えば、可撓性を有する長尺物を用いることができる。
図1に示すように、インプラント9は、インプラント本体91と、インプラント本体91の片端に連結された帯92とを有している。なお、帯92に替えて、例えば、ガイドワイヤ、紐、糸等を用いてもよい。インプラント本体91は、網状をなし、その全体形状は、帯状である。インプラント本体91は、例えば、線状体を交差させて網状に編んだもの、すなわち、網状の編組体で構成することができる。線状体としては、例えば、その横断面形状が円形のものや、横断面形状が扁平形状のもの、すなわち帯状のもの等が挙げられる。
このような構成のインプラント9は、未使用状態で滅菌された包材90に収容されている。これにより、インプラント9の汚染を防止することができる。
インプラント本体91、帯92および包材90の構成材料としては、それぞれ、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等のような生体適合性を有する各種樹脂材料、繊維等を用いることができる。
以上、インプラント9について説明したが、インプラント9としては、同様の効果を発揮することができれば、前記網状のものに限定されない。
また、このようなインプラント9と後述するシース30とで「骨盤内治療用キット」を構成することができる。
2.穿刺装置
図2に示す穿刺装置1は、前述したインプラント9を生体内に埋設するのに用いる装置である。
図2に示すように、穿刺装置1は、フレーム(支持部)2と、挿入具6と、操作部材7と、穿刺部材3とを備えており、フレーム2に、穿刺部材3と、挿入具6と、操作部材7とが支持され、操作部材7に穿刺部材3が支持されている。また、挿入具6は、尿道挿入具4と、膣挿入具5とを有している。
以下、これら各部について順に説明する。
2−1.操作部材
操作部材7は、穿刺部材3を支持・操作するための部材である。このような操作部材7は、図2、図3および図4に示すように、挿入部71と、軸部73と、挿入部71および軸部73を連結する連結部72とを有している。これら挿入部71、連結部72および軸部73は、一体的に形成されていてもよいし、少なくとも1つの部位が他の部位に対して別体として形成されていてもよい。
挿入部71は、穿刺部材3に挿入される部位であり、穿刺部材3を内側から補強するスタイレットとして機能する。挿入部71を穿刺部材3に挿入することで、穿刺部材3が操作部材7に接続され、操作部材7による穿刺部材3の操作(生体への穿刺)が可能となる。
挿入部71は、穿刺部材3の形状に対応した円弧状をなしている。また、挿入部71の中心角は、穿刺部材3の中心角に合わせて設定される。また、挿入部71の先端部711は、先細りしており、これにより、挿入部71への穿刺部材3の挿入を円滑に行うことができる。
なお、本参考例では、挿入部71の横断面形状が円形であるが、挿入部71の横断面形状としてはこれに限定されず、例えば、楕円形や、その他、角部が丸みを帯びた菱形、角部が丸みを帯びた長方形(扁平状、板状)、中央部が両端部よりも拡幅(拡大)した紡錘形としてもよい。このような横断面形状とすることで、挿入部71を穿刺部材3に挿入した状態にて、挿入部71に対する穿刺部材3の回転等を効果的に抑制することができる。
また、軸部73は、挿入部71の中心Oと交わり、挿入部71を含む平面f1と直交する軸J1上に延在している。また、連結部72は、挿入部71の基端部と軸部73の先端部とを連結している。連結部72は、途中でほぼ直角に屈曲したほぼL字状をなしている。
このような構成の操作部材7は、穿刺部材3よりも剛性が高くなるように構成されている。操作部材7の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような各種金属材料等を用いることができる。なお、穿刺部材3の撓み等を抑制するために、必要に応じて、連結部72および軸部73を挿入部71よりも太くしてもよい。
また、軸部73の基端部には、ハンドル74が固定されており、このハンドル74を回転操作することで、操作部材7を軸J1まわりに回転操作することができるようになっている。なお、ハンドル74を省略し、例えば、連結部72を把持して操作部材7を回転操作してもよい。
2−2.穿刺部材
穿刺部材3は、生体を穿刺するための部材である。図5(a)に示すように、穿刺部材3は、長尺なシース(医療用チューブ)30と、シース30の先端に設けられた針体35とを有している。また、シース30は、チューブ状の本体31と、状態維持部34とを有している。
本体31は、長尺な管体(チューブ)で構成されており、先端および基端がそれぞれ開口している。本体31の内側は、挿入部71を挿入する空間、および、インプラント9を挿入する空間として機能する。
また、本体31は、円弧状に湾曲した湾曲形状をなしている。また、本体31は、図5(b)に示すように、短軸J31と長軸J32とを有する扁平な横断面形状となっている。本体31を扁平形状とすることで、本体31内でインプラント本体91を所望の姿勢に制御することができる。
なお、本体31の扁平形状としては、特に限定されず、例えば、楕円形、断面凸レンズ形状、角部が丸みを帯びたひし形、角部が丸みを帯びた長方形(平ら形状)、中央部が両端部よりも拡大した(拡径した)紡錘形等とすることができる。
また、本体31の内部空間の幅(長軸J32方向の長さ)は、インプラント本体91の幅とほぼ同じに設計されている。これにより、インプラント9と本体31との摩擦抵抗が低くなり、インプラント9に不要な力が掛からず、インプラント本体91を十分に展開した状態で本体31内に配置することができる。ただし、本体31の内部空間の幅は、インプラント本体91の幅よりも短くてもよい。この場合は、本体31の幅を抑えられるため、より低侵襲な穿刺部材3となる。
なお、以下では、説明の便宜上、図5(b)に示すように、長軸J32方向の内側に位置する端部を「内周部A1」とも言い、長軸J32方向の外側に位置する端部を「外周部A2」とも言い、上側に向く面を「表面A3」とも言い、下側に向く面を「裏面A4」とも言う。
図5(b)に示すように、中央部S4の円弧の中心点と本体31の長手方向に対する横断面形状の中心点の両方を含む面(本体31の中心軸を含む面)を平面f9とし、平面f9と中央部S4での短軸J31とのなす角を傾斜角θ1としたとき、傾斜角θ1は、鋭角であるのが好ましい。傾斜角θ1を鋭角とすることで、後述するように、インプラント本体91を尿道とほぼ平行に配置することができる。そのため、尿道をより効果的に支持することができる。
傾斜角θ1としては、鋭角であれば特に限定されないが、例えば、20°〜60°程度であるのが好ましく、30°〜45°であるのがより好ましく、35°〜40°程度であるのがさらに好ましい。これにより、上述の効果がより一層向上する。
なお、傾斜角θ1は、本体31の延在方向全域で上記数値範囲を満足しているのが好ましいが、少なくとも中央部S4にて上記数値範囲を満足していれば良い。ここで、「中央部S4」とは、少なくとも、穿刺部材3を生体に穿刺した状態(本体31を生体内に配置した状態)で、尿道と膣との間に位置する部位を含む領域を言う。
本体31の両端部には、中央部S4から等しい位置であって、本体31が生体に配置された状態で生体外へ突出する部分にマーカーが設けられていてもよい。これにより、両マーカーの位置を比べることによって、中央部S4の生体内での位置を確認することができる。
本体31の構成は、次のように言い換えることもできる。すなわち、図5(b)に示すように、本体31は、円弧の中心軸J5に対して長軸J32が傾斜するように形成されており、中心軸J5と長軸J32の延長線J32’が交点Pを有するように構成されているとも言える。この場合、中心軸J5と延長線J32’とのなす角θ5が傾斜角θ1と等しくなる。
また、別の言い方をすれば、本体31は、図9に示すように、本体31の中心軸J5方向から見た平面視にて、その内周縁に位置し最少曲率半径r1を有する内周部A1と、外周縁に位置し最大曲率半径r2を有する外周部A2とを備え、図5(b)、図10に示すように、内周部A1と外周部A2とが中心軸J5方向にずれて位置するように構成されているとも言える。
このような本体31は、途中にて分割できるように、2つの分割片が接続された構成となっている。具体的には、本体31は、針体35側に位置している先端分割片32と、先端分割片32の基端側に位置している基端分割片33とを有し、これらが分離可能に接続されている。また、本体31では、先端分割片32と基端分割片33とはほぼ同じ長さとなっており、これらの境界が中央部S4に位置している。
図6に示すように、先端分割片32は、チューブ状をなし、先端側開口321と基端側開口322とを有している。また、基端分割片33も、チューブ状をなし、先端側開口331と基端側開口332とを有している。そして、基端分割片33の先端部が先端分割片32の基端部内へ挿入されており、これにより、先端分割片32と基端分割片33とが接続されている。基端分割片33を先端分割片32内へ挿入することで、分割片32、33の境界に生じ得る段差が穿刺部材3の穿刺時に生体組織に引っ掛かり難くなり、穿刺部材3の生体への穿刺を円滑に行うことができる。ただし、本参考例とは逆に、先端分割片32の基端部を基端分割片33内へ挿入することで、分割片32、33を接続してもよい。
これら分割片32、33が接続された状態(接続状態)は、状態維持部34によって維持されている。図7(a)に示すように、状態維持部34は、孔342a、342b、342cと、各孔342a、342b、342cに挿通された無端状の糸341と、糸341を露出させる露出孔345、346と、露出孔345、346を繋ぐスリット347とを有している。
孔342aは、基端分割片33の基端部であって、表面A3の内周部A1寄りに設けられている。一方、孔342b、342cは、先端分割片32の基端部であって、表面A3と裏面A4の内周部A1寄りに対向して設けられている。
糸341は、本体31内に配置されており、孔342bと孔342cの間、孔342aと基端側開口332の間でそれぞれ本体31外に引き回されている。これにより、分割片32、33の接続状態を簡単に維持することができる。また、糸341の本体31外への露出を抑えることができ、糸341が生体組織に引っ掛かり難くなる。また、糸341の全長をなるべく短くすることができるため、本体31内にインプラント9を挿通する際に糸341がインプラント9に引っ掛かり難くなる。特に、前述したように、孔342a、342b、342cがそれぞれ内周部A1寄りに配置されているため、糸341も内周部A1寄りに偏って配置される。そのため、糸341がインプラント9により引っ掛かり難くなる。
糸341は、例えば、有端の糸を用意し、その一端を、基端側開口332から本体31内に挿入し、孔342bから本体31外に引き出し、孔342cから本体31内に挿入し、孔342aから本体31外へ引き出し、最後に、基端側開口332付近で他端と結ぶことで得られる。ただし、結び目の位置は限定されない。
ここで、図7(c)に示すように、孔342aは、外側開口が内側開口よりも基端側へ位置するように軸が傾斜している。一方、孔342b、342cは、それぞれ、図7(b)に示すように、外側開口が内側開口よりも先端へ位置するように軸が傾斜している。これにより、各孔342a、342b、342cを糸341の経路に沿って延在させることができ、各孔342a、342b、342cに糸341が引っ掛かり難くなる。
なお、糸341を通す孔の数および配置は、糸341によって先端分割片32と基端分割片33との接続状態を維持できる限り、特に限定されない。また、糸341は、無端状である必要はなく、一端と他端とを有する有端状であってもよい。例えば、有端状の糸を用意し、その一端を孔342aおよび基端側開口332に通した輪っかとし、他端を孔342b、342cに通した輪っかとしてもよい。また、糸341には、糸341と同様に用いることができる紐や帯等も含まれる。
露出孔345、346は、基端分割片33の基端部の表面A3と裏面A4に対向して設けられている。また、露出孔345、346は、本体31を生体内に配置したときに、体表面から露出する部位に設けられている。また、露出孔345、346は、糸341の経路上に位置しており、露出孔345、346から糸341が露出している。また、これら露出孔345、346は、本体31の周方向に沿って内周部A1に設けられたスリット347によって繋がっている。
このような状態維持部34では、糸341を切断することにより、先端分割片32と基端分割片33とが分離可能な状態となる。このような構成とすることで、先端分割片32と基端分割片33とを簡単な操作で分離可能な状態とすることができる。また、糸341の切断は、目視可能であるため、先端分割片32と基端分割片33とが分離可能な状態となったことを簡単に確認することができる。
本参考例のように、露出孔345、346およびスリット347を設けることで、糸341を簡単に切断することができる。一例を挙げて説明すると、鋏を用意し、一方の刃を露出孔345、346に挿通し、他方の刃との間に糸341を位置させる。そして、鋏を閉操作すると、一対の刃の少なくとも一方がスリット347を通過して一対の刃が重なり合い、その過程で糸341が切断される。
このように、本参考例では、スリット347を刃の通過経路として用いている。これにより、糸341の切断を上述したように簡単に行うことができるとともに、糸341の張力による本体31の変形が防止される。例えば、図8(a)に示すように、刃の通過経路をスリット347に替えて孔348で構成してもよい。しかしながら、この場合、本体31の硬さ等によっては、図8(b)に示すように、糸341の張力によって孔348が座屈して潰れ、本体31が変形するおそれがある。これに対してスリット347では、図8(c)に示すように、スリット347を挟んだ部分347a、347bが当接して突っ張っているため、上記のような変形が起きず、本体31の変形が防止される。
以上のような本体31の先端には、針体35が設けられている。図6に示すように、針体35は、先細りした針先351と、針先351の基端側に設けられた基端部352とを有している。そして、基端部352が本体31内に挿入され、これにより、針体35が本体31に着脱自在に保持されている。基端部352は、針体35の本体31からの意図しない離脱を防止できる程度の力で本体31に嵌入されている。
なお、針体35は、本体31と一体的に構成されていてもよく、この場合には、鋏等によって針体35を本体31から切断できるようになっていればよい。
また、基端部352には、挿入部71の先端部711と係合する係合部353が設けられている。係合部353は、凹部で構成され、挿入部71に穿刺部材3を挿入した挿入状態では、係合部353内に先端部711が位置している。これにより、挿入部71に対する穿刺部材3の変位、具体的には、挿入部71に対する穿刺部材3の回転、挿入部71に対する穿刺部材3のその幅方向へのずれ等が抑制され、生体への穿刺部材3の穿刺をより円滑に行うことができる。
以上、穿刺部材3について説明した。穿刺部材3の中心角θ4(図9参照)は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、針体35が、患者の一方の鼠蹊部から体内に入り、尿道と膣の間を通過して、他方の鼠蹊部から体外に突出することができるように設定される。具体的には、中心角θ4は、150°〜270°程度であることが好ましく、170°〜250°程度であることがより好ましく、190°〜230°程度であることがさらに好ましい。
本体31および針体35の構成材料としては、体内に挿入された状態で形状や内部空間を維持するような硬質材料が好ましい。このような硬質材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルエラストマー、ポリプロピレン等の各種樹脂材料やステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような各種金属材料等を用いることができる。
なお、本体31および針体35の構成として硬質材料を採用する他に、硬質材料以外の材料を採用する場合は、壁を補強部材で補強することでも達成される。例えば、高強度の編組体を壁内に埋め込むことにより、体内に挿入された状態で形状や内部空間を維持することができる。また、補強部材の他の例としては、本体31の壁に螺旋状物を埋め込むことにより挿入物の摺動可能な程度に内部空間を保持しつつ可撓性を備えることが可能となる。
また、本体31は、光透過性を有しており、外部から内部が視認可能になっているのが好ましい。これにより、例えば、内部に挿入された挿入部71の先端部711が係合部353に係合しているか、糸341が切れていないか等を外部から簡単に確認することができる。
穿刺装置1では、上述のような穿刺部材3(本体31)と、本体31に挿入される挿入部71とで、医療用チューブ組立体10が構成され、これらが医療用チューブ組立体10の状態で使用が開始される。
2−3.フレーム
フレーム2は、穿刺部材3が装着された操作部材7を回動自在に保持し、また、挿入具6を着脱自在に固定する。このようなフレーム2は、穿刺部材3が生体組織を穿刺する際に、針体35の穿刺経路を定める機能を有している。具体的には、フレーム2は、穿刺部材3が生体組織を穿刺したとき、針体35が尿道挿入具4と膣挿入具5との間をこれらに衝突せずに通過するように、穿刺部材3、尿道挿入具4および膣挿入具5の位置関係を定めている。
図2および図3に示すように、フレーム2は、操作部材7の軸部73を軸受する軸受部21と、穿刺部材3を案内する案内部22と、軸受部21と案内部22とを連結する連結部23と、挿入具6を固定する固定部24とを有している。
軸受部21は、穿刺装置1の基端側に位置し、軸J1に対してほぼ直交する方向に延在している。軸受部21の軸J1上には、貫通孔211が形成されており、この貫通孔211に軸部73が回動自在に挿入されている。これにより、フレーム2に操作部材7が軸J1まわりに回動可能な状態で支持される。
案内部22は、穿刺装置1の先端側に位置し、軸受部21と対向配置されている。図9に示すように、案内部22は、穿刺部材3の内側に位置し、穿刺部材3に沿って延びる円弧状をなし、穿刺部材3を内側から支えるような構成となっている。図10に示すように、穿刺部材3は、裏面A4が先端側に位置し、表面A3が基端側に位置するように案内部22に配置されている。
連結部23は、軸受部21と案内部22とを連結している。また、連結部23は、軸J1とほぼ平行に延在する棒状をなしている。連結部23は、把持部としても機能する。術者は、連結部23を把持することで、穿刺装置1を安定した状態で使用することができる。
固定部24は、軸J1を介して連結部23と対向配置されている。図11に示すように、固定部24は、挿入具6の後述する支持部40、50を嵌め込む凹部243と、雄ネジ244とを有している。このような固定部24では、支持部40、50を凹部243へ嵌め込み、さらに、雄ネジ244を支持部40に締め込むことで、挿入具6を固定部24に固定することができる。
2−4.挿入具
図12に示すように、挿入具6は、尿道挿入具4と、膣挿入具5とを有している。
−尿道挿入具−
尿道挿入具4は、その途中まで尿道内に挿入される長尺状の尿道挿入部41と、尿道挿入部41を支持する支持部(尿道挿入部支持部)40とを有している。尿道挿入部41および支持部40の構成材料としては、それぞれ、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような各種金属材料、各種樹脂材料を用いることができる。
また、尿道挿入部41(支持部40より先端側の部分)の長さとしては特に限定されず、患者の尿道の長さおよび膀胱の形状等によって適宜設定されるが、一般的な女性の尿道の長さが30mm〜50mm程度であるため、それに合わせて50mm〜100mm程度とするのが好ましい。
尿道挿入部41は、真っ直ぐな管状をなしている。このような尿道挿入部41の先端部には、伸展性を有し、拡張/収縮自在な拡張体であるバルーン(当接部)42と、尿排出部47とが設けられている。
バルーン42は、尿道挿入部41を尿道に挿入したときに、膀胱内に位置するように配置されている。また、バルーン42は、尿道挿入部41内を通ってその基端部に設けられたバルーンポート431に接続されている。バルーンポート431にはシリンジ等のバルーン拡張器具を接続することができ、バルーン拡張器具からバルーン42に作動流体(生理食塩水等のような液体、気体等)を供給するとバルーン42が拡張し、反対に、バルーン拡張器具によってバルーン42から作動流体を抜き取るとバルーン42が収縮する。なお、図12では、バルーン42が収縮した状態を二点鎖線で示し、バルーン42が拡張した状態を実線で示している。
尿排出部47は、尿道挿入部41を尿道に挿入した状態で、膀胱内の尿を排出するために用いられる。この尿排出部47には尿排出部47の内外を連通する尿排孔471が設けられている。また、尿排孔471は、尿道挿入部41内を通ってその基端部に設けられた尿排出ポート432に接続されている。そのため、尿排孔471から導入した尿を尿排出ポート432から排出することができる。
これらバルーン42および尿排出部47は、例えば、ダブルルーメンによって構成することができる。
また、尿道挿入部41の途中には、尿道挿入部41に尿道壁を吸着させるための吸引部として、複数の吸引孔44が形成されている。
複数の吸引孔44は、尿道挿入部41の周方向の全域にわたって配置されている。各吸引孔44は、尿道挿入部41内を通って支持部40に設けられた吸引ポート433に接続されている。吸引ポート433にはポンプ等の吸引装置を接続することができ、尿道挿入部41を尿道に挿入した状態で吸引装置を作動させると、吸引孔44に尿道壁を吸着・固定することができる。特に、本参考例のように、複数の吸引孔44を尿道挿入部41の周方向の全域にわたって設けることで、尿道挿入部41に尿道壁の広い範囲を吸着・固定することができる。
なお、吸引孔44の数は、特に限定されず、例えば、1つであってもよい。また、吸引孔44の配置は、特に限定されず、例えば、尿道挿入部41の周方向の一部にのみ形成されていてもよい。
このように尿道挿入部41に尿道壁を吸着・固定した状態で、尿道挿入部41を体内側(尿道挿入部41の先端側)へ押し込むと、これとともに尿道および膀胱が体内側へ押し込まれ、膀胱を穿刺部材3の穿刺経路と重ならない位置にずらすことができる。そのため、穿刺部材3の穿刺経路をより大きく確保することができ、穿刺部材3の穿刺を正確かつ安全に行うことができる。
また、尿道挿入部41の途中であってバルーン42よりも基端側には視認可能なマーカー(検知部)46が設けられている。このマーカー46は、膀胱と尿道口との距離、言い換えると尿道の長さを検知するために用いられる。
具体的に説明すると、図13(a)に示すように、膀胱1310と尿道口1320との離間距離が所定距離未満である場合、尿道挿入部41を尿道1300に挿入し、バルーン42を拡張させて膀胱頸部に当接させた状態では、マーカー46が尿道口1320から露出する。反対に、図13(b)に示すように、膀胱1310と尿道口1320との離間距離が所定距離以上である場合、尿道挿入部41を尿道1300に挿入し、バルーン42を拡張させて膀胱頸部に当接させた状態では、マーカー46が尿道1300内に位置し、尿道口1320から露出しない。
図13(a)に示すように、マーカー46が尿道口1320から露出していれば、膀胱1310と尿道口1320の距離が短く、これらの間に穿刺部材3を穿刺するのに十分なスペースが存在しないと予想される。そのため、この場合は、穿刺部材3の穿刺を行うことができないと判断する。
反対に、図13(b)に示すように、マーカー46が尿道口1320から露出していなければ、膀胱1310と尿道口1320の距離が十分に長く、これらの間に穿刺部材3を穿刺するのに十分なスペースが存在していると予想される。そのため、この場合は、穿刺部材3の穿刺を行うことができると判断する。
このように、マーカー46を設けることにより、穿刺装置1による穿刺部材3の穿刺が可能か否か、言い換えれば、穿刺装置1が患者に対して適用可能か否かを簡単に判断することができる。特に、バルーン42を配置し、このバルーン42を膀胱頸部に当接させることによって、正確に膀胱1310と尿道口1320との離間距離を検知することができ、上述の判断をより正確に行うことができる。
マーカー46の構成としては、術者が外部から視認可能であれば特に限定されず、例えば、周囲(その先端側および基端側)とは異なる色に着色された着色部で構成されていてもよいし、凹部または凸部で構成されていてもよい。
また、マーカー46は、バルーン42の基端からの距離が記された目盛であってもよい。この場合は、本参考例のように、マーカー46が尿道口1320から露出しているか否かで穿刺部材3の穿刺が可能であるか否かを判断することができないため、目盛で尿道1300の長さを計り、この長さに応じて穿刺部材3の穿刺が可能であるか否かを判断すればよい。
また、図12および図13に示すように、尿道挿入部41の先端部には、尿道壁(尿道内の組織)と接触することで、尿道に対する摺動抵抗を高める摺動抵抗増幅部49が設けられている。前述したように、穿刺装置1を用いた手技の途中で、尿道挿入部41に尿道壁を吸着・固定し、尿道挿入部41を体内側へ押し込むことで、膀胱1310を穿刺部材3の穿刺経路と重ならない位置まで十分にずらすが、この際、吸引孔44による尿道壁の吸着が十分でないと、吸引孔44から尿道壁が外れてしまい、膀胱1310を十分に押し込むことができない場合ある。そこで、本参考例のように、尿道挿入部41に摺動抵抗増幅部49を設けて、尿道壁に対して尿道挿入部41を滑り難くすることで、吸引孔44による吸着が十分でない場合であっても、また、吸引孔44による吸着が十分であった場合にはそれとの相乗効果によって、より確実に、膀胱1310を体内側へ押し込むことができる。そのため、より安全に穿刺部材3の穿刺を行うことができる。
摺動抵抗増幅部49の構成としては、上述の効果を発揮することができれば、特に限定されない。本参考例では、尿道挿入部41の表面に形成された微細な凹凸(粗面)で構成されている。これにより、摺動抵抗増幅部49の構成が簡単となる。なお、前記凹凸とは、凹部および凸部の少なくとも一方を有していれば良いことを意味している。
また、摺動抵抗増幅部49は、尿道挿入部41の周方向の全域にわたって設けられている。これにより、摺動抵抗増幅部49の面積をより大きくすることができるため、尿道1300に対する摺動抵抗をより高めることができる。なお、摺動抵抗増幅部49は、エンボス加工、サンドブラスト加工、レーザー加工等によって形成することができる。
また、摺動抵抗増幅部49は、吸引孔44が形成されている領域S1と重なって設けられている。言い換えると、摺動抵抗増幅部49に吸引孔44が形成されている。吸引孔44によって尿道壁を吸着すると、尿道壁が吸引孔44に食い込んで引っ掛かる。このようなアンカー効果が摺動抵抗増幅部49内で発揮されることで、尿道挿入部41の尿道に対する摺動抵抗をより高めることができる。また、摺動抵抗増幅部49を領域S1と重なるようにして設けることで、摺動抵抗増幅部49および領域S1を共に広く配置することができるため、互いの効果をより大きく発揮することができる。
また、尿道挿入部41には、筒状のマーカー(位置決め部)45が摺動可能に設けられている。また、尿道挿入部41のマーカー45と支持部40との間には規制部48が装着されており、この規制部48にマーカー45が当接することで、マーカー45のそれ以上の基端側への摺動が規制されている。規制部48は、尿道挿入部41から簡単に取り外すことができ、規制部48を尿道挿入部41から取り外すと、マーカー45がそれより基端側へ摺動可能となる。
規制部48の構成は、上記効果を発揮することができれば特に限定されない。本参考例では、横断面形状が略C字状の半筒型をなす本体481と、本体481に設けられたツマミ482とを有している。本体481は、自重で尿道挿入部41から離脱したり、尿道挿入部41に対して摺動したりしないように、例えば、若干拡径した状態で尿道挿入部41に装着されている。
マーカー45は、規制部48と当接し、それ以上の基端側への摺動が規制されている状態(図12に示す状態)にて、穿刺部材3の穿刺経路と所定の相対的位置関係となるように位置決めされている。そのため、図14に示すように、尿道挿入部41を尿道1300に挿入し、マーカー45を尿道口1320(または尿道口1320近傍)に位置させることにより、尿道口1320(または尿道口1320近傍)に対して穿刺部材3の穿刺経路Xを位置決めすることができる。このように、穿刺経路Xを尿道口1320(または尿道口1320近傍)に対して位置決めすることで、例えば、膀胱1310に対して位置決めする場合と比較して、位置決めの精度が高まり、穿刺部材3の正確な穿刺を行うことができる。ここで、前記「所定の相対的位置関係」とは、例えば、マーカー45を尿道口1320に位置させた状態で、穿刺部材3の穿刺経路Xが膀胱1310と重ならないような位置関係と言う事ができる。
また、マーカー45は、尿道挿入部41よりも大きな外径を有し、尿道挿入部41の外周へ突出しているため、尿道1300内に侵入できない。そのため、尿道挿入部41を尿道1300内へ挿入していけば、その途中でマーカー45が尿道口1320(または尿道口1320の周囲の組織。以下同様。)に当接し、自然とマーカー45を尿道口1320に位置させることができる。このように、物理的な引っ掛かりを利用することで、簡単かつ確実に、マーカー45を尿道口1320に位置させることができる。また、マーカー45が尿道口1320に当接すると、尿道挿入部41のそれ以上の尿道1300内への挿入が規制されため、尿道挿入部41の尿道1300内への過度な挿入を防止することができ、穿刺装置1の安全性が高まる。
このようなマーカー45は、上述したような穿刺部材3の穿刺経路を尿道口1320に対して位置決めする機能の他に、尿道挿入部41を尿道1300内に挿入した状態で尿道口1320を介した尿道1300内への空気の流入を抑制する流入低減部450としての機能を有している。具体的に説明すると、図14に示すように、尿道挿入部41を尿道1300内に挿入し、マーカー45を尿道口1320に当接させた状態では、尿道口1320がマーカー45で覆い塞がれている。そのため、尿道口1320から尿道1300内へ空気が流入し難くなっており、尿道口1320を介した尿道1300内(吸引孔44)への空気の流入を抑制することができる。その結果、吸引孔44による尿道壁の吸着をより確実かつ効果的に行うことができる。
このように、マーカー45が流入低減部450を兼ねることで、尿道挿入具4の構成が簡単となるとともに、その操作も簡単となる。また、構成部品点数が低減されてコストダウンにも寄与する。
次に、尿道挿入部41と穿刺部材3との傾きについて説明する。図3に示すように、尿道挿入部41の軸J2に直交する平面f2に対する平面f9(平面f1)の傾斜角(言い換えると軸J1、J2のなす角)θ2としては、特に限定されないが、20°〜60°程度であるの好ましく、30°〜45°程度であるのがより好ましく、35°〜40°程度であるのがさらに好ましい。これにより、穿刺部材3の穿刺を容易に行うことができ、また、穿刺部材3による穿刺距離をより短くすることができる。
具体的に説明すると、傾斜角θ2を上記範囲内とすることによって、図15(a)に示すように、穿刺部材3が骨盤1100の左右の閉鎖孔1101、1102を平面的に広く捉えることができ、穿刺部材3の穿刺スペースを広く確保することができる。すなわち、患者を所定の体位(砕石位)にした状態で、閉鎖孔1101、1102に対して穿刺部材3を比較的垂直方向に穿刺することができる。そのため、穿刺部材3の穿刺を容易に行うことができる。
加えて、閉鎖孔1101、1102に対して穿刺部材3を比較的垂直方向に穿刺することで、穿刺部材3が組織の浅い部分を通過するため、穿刺部材3の針体35が左右の閉鎖孔1101、1102の間をより短い距離で通過する。そのため、図15(b)に示すように、穿刺部材3を閉鎖孔1101、1102の恥骨結合1200寄り、好ましくはセーフティゾーンS5を通過させることができる。セーフティゾーンS5は、損傷を避けたい神経や血管が少ない部位であるため、セーフティゾーンS5を通過させることで、穿刺部材3を安全に穿刺することができる。そのため、より低侵襲となり、患者の負担を小さく抑えることができる。
このように、傾斜角θ2を上記範囲とすることによって、患者への穿刺部材3の穿刺をより適切に行うことができる。また、上述の角度にて穿刺することにより、尿道の長さ方向における中位部を指す中部尿道と膣の間の組織を目標にし易くなる。ここで、中部尿道と膣の間は、インプラント9を埋設して尿失禁の治療を行う部位として適した位置であるため、中部尿道と膣の間の組織を目標とすることで、より効果的な治療を行うことができる。
これに対して、傾斜角θ2が上記下限値未満の場合または上記上限値を超える場合は、患者の個体差、手技中の姿勢等によっては、穿刺部材3が閉鎖孔1101、1102を平面的に広く捉えることができなかったり、穿刺経路を十分に短くすることができなかったりする場合がある。
以上、尿道挿入具4の構成について説明した。このような尿道挿入具4では、尿道挿入部41は、支持部40に対してスライドできないようになっていてもよく、支持部40に対してスライド可能となっていてもよい。スライド可能となっている場合は、例えば、支持部40に設けられたネジ(図示せず)を緩めれば、尿道挿入部41が支持部40に対してスライド可能な状態となり、ネジを締め込めば、尿道挿入部41が支持部40に固定された状態となる構成としてもよい。この構成によれば、尿道挿入部41の長さを調節することができるため、より使い勝手のよい尿道挿入具4となる。なお、このことは、後述する膣挿入具5についても同様である。
また、穿刺装置1では、傾斜角θ2が一定となるように尿道挿入具4がフレーム2に固定されているが、これに限定されず、傾斜角θ2が可変となっていてもよい。これにより、患者に合わせて傾斜角θ2を調節することができるため、より使い勝手のよい穿刺装置1となる。
−膣挿入具−
図12および図16に示すように、膣挿入具5は、途中まで膣内に挿入される長尺状の膣挿入部51と、膣挿入部51を支持する支持部(膣挿入部支持部)50とを有している。また、膣挿入部51は、先端側に位置する先端部52と、先端部52の基端部に接続された軸部53とを有し、軸部53が支持部50に支持されている。
膣挿入部51および支持部50の構成材料としては、特に限定されず、例えば、尿道挿入具4(尿道挿入部41および支持部40)と同様に、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような各種金属材料、各種樹脂材料を用いることができる。
先端部52は、膣内に挿入される部位である。先端部52の長さL2としては特に限定されないが、20mm〜100mm程度であるのが好ましく、30mm〜60mm程度であるのがより好ましい。また、先端部52の幅W1としては、特に限定されないが、10mm〜50mm程度であるのが好ましく、20mm〜40mm程度であるのがより好ましい。このような長さ(L2)×幅(W1)とすることにより、先端部52が一般的な膣に適した形状および大きさとなる。そのため、装着状態における穿刺装置1の安定性が増すとともに、患者への負担が低減される。
また、先端部52は、全体的にほぼ一定な幅を有しており、その先端部が丸みを帯びている。また、先端部52は、先端側に位置し、高さが基端側に向けて漸増するテーパ部521と、テーパ部521の基端側に位置し、高さがほぼ一定な流入低減部522とを有している。なお、流入低減部522は、後述するように、先端部52を膣内に挿入した状態で膣口を介した膣内への空気の流入を抑制する機能を有している。
テーパ部521では、先端に向かう程、尿道挿入部41から離間するように、上面(尿道挿入部41側の面)521aが尿道挿入部41に対して傾斜している。これにより、傾斜していない場合と比較して、尿道挿入部41および先端部52の位置関係を実際の尿道と膣の位置関係に近づけることができる。そのため、装着状態にて、穿刺装置1がより安定して患者に保持されるとともに、患者への負担が軽減される。
上面521aの尿道挿入部41に対する傾斜角θ3としては特に限定されないが、例えば、0°〜45°程度であるのが好ましく、0°〜30°程度であるのがより好ましい。これにより、上記効果をより顕著に発揮することができる。これに対して、傾斜角θ3が上記下限値未満の場合や上記上限値を超えた場合は、患者の個体差、手技中の姿勢等によっては、装着状態にて膣や尿道が不自然に変形し、穿刺装置1が安定して保持されない場合がある。
また、先端部52には、先端部52に膣壁を吸着するための吸引部として、吸引孔54が設けられている。
吸引孔54は、テーパ部521の上面521aに開放する有底の凹部541を有している。これにより、後述するように、先端部52に膣前壁を吸着させることができる。また、吸引孔54は、先端部52内に設けられ、凹部541の底面と、先端部52の基端部に設けられた吸引ポート543とを接続する接続孔542を有している。
吸引ポート543は、装着状態において生体外に位置するように設けられている。吸引ポート543にはポンプ等の吸引装置を接続することができ、先端部52を膣内に挿入した状態で吸引装置を作動させると、凹部541に膣壁の上面である膣前壁が吸着・固定される。膣前壁を凹部541に吸着・固定させた状態で、膣挿入部51を体内側(膣挿入部51の先端側)へ押し込むと、これとともに膣壁を押し込むことができる。そのため、膣壁の配置や形状を整えることができ、穿刺部材3の穿刺経路を十分に確保することができる。その結果、穿刺部材3の穿刺を正確かつ安全に行うことができる。
なお、吸引孔54の数としては1つに限定されず、複数設けられていてもよい。吸引孔54が複数設けられている場合、凹部541の配置としては特に限定されず、長さ方向に並んで配置されていてもよいし、幅方向に並んで配置されていてもよいし、長さ方向および幅方向にそれぞれ並んで行列状に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。
図12に示すように、凹部541が形成されている領域S2は、吸引孔44が形成されている領域S1と対向している。そして、穿刺装置1は、これら領域S1、S2の間を穿刺部材3の針先が通過するように構成されている。前述したように、領域S1では尿道壁が尿道挿入部41に吸着され、領域S2では膣壁が先端部52に吸着されているため、領域S1、S2の間では尿道壁と膣壁とがより広く且つより確実に離間している。このような領域に穿刺部材3を通過させることで、穿刺部材3をより安全に穿刺することができる。
なお、図16(a)に示すように、領域S2は、上面521aの幅方向のほぼ全域にわたっているのが好ましい。領域S2の幅W2としては、特に限定されないが、9〜49mm程度であるのが好ましく、19〜39mm程度であるのがより好ましい。これにより、膣壁の形状にあまり影響を受けずに、膣壁をより確実に先端部52に吸着させることができる。
特に、患者によっては、図17(a)に示すように、膣前壁の中央部1401が膣内へ垂れ下がり、その両側に窪んだ部分(「ボタンホール」とも呼ばれる部位)1402が存在した膣1400を有している場合がある。このような場合でも、図17(b)に示すように、中央部1401のみならず、窪んだ部分1402もより確実に吸着することができる。このように、窪んだ部分1402を先端部52により確実に吸着することで、窪んだ部分1402を尿道1300から遠ざけることができ、窪んだ部分1402に穿刺部材3が穿刺されてしまうことを効果的に防止することができる。
ここで、図18に示すように、先端部52を膣1400内に挿入した状態では、膣1400の膣口1410付近(膣1400の凹部541が位置する部位よりも基端側)および膣口1410に流入低減部522が位置している。流入低減部522は、それより先端側にあるテーパ部521よりも高く、その全周(横断面積)もテーパ部521よりも長くなっている。そのため、膣1400の膣口1410付近および膣口1410が大きく伸びて、その収縮力によって流入低減部522の外周に強く密着する。そのため、膣口1410を介した膣1400内(凹部541)への空気の流入が抑制され、吸引孔54による膣壁の吸着をより確実かつ効果的に行うことができる。
なお、流入低減部522の形状としては、上述の効果を発揮することができれば本参考例の形状に限定されず、例えば、高さH1が基端側へ向けて漸増していてもよい。この場合は、流入低減部522の上面がテーパ部521の上面521aと傾きが同じ連続した面となっていてもよいし、傾きが異なる不連続な面となっていてもよい。
また、先端部52には、穿刺装置1の穿刺経路を確認することのできるマーカー57が設けられている。マーカー57は、その上方に位置する膣壁と尿道壁の間を穿刺部材3が穿刺するように設けられているため、マーカー57の位置を確認することで、穿刺部材3の穿刺経路を容易に確認でき、穿刺装置1の操作性および安全性が向上する。マーカー57は、少なくとも、先端部52の下面および側面のいずれかに設けられていることが好ましい。下面や側面は、先端部52を膣内に挿入した状態でも術者が視認し易い面であるため、このような位置にマーカー57を設けることで、簡単に、穿刺部材3の穿刺経路を確認することができる。また、先端部52の膣への挿入深さを確認することもできる。このようなマーカー57としては、外部から視認できれば良く、例えば、着色部、凹凸部等により構成することができる。
以上のような先端部52と尿道挿入部41との離間距離Dとしては、特に限定されないが、一般的な女性における尿道口と膣口との離間距離に対応させて、5〜40mm程度であるのが好ましい。
軸部53は、尿道挿入部41とほぼ平行に延在する細い棒状をなしている。軸部53の長さ(先端部52と支持部50の離間距離)としては、特に限定されないが、100mm以下程度であるのが好ましく、20〜50mm程度であるのがより好ましい。これにより、軸部53を適切な長さとすることができ、穿刺装置1の操作性が向上する。仮に、軸部53の長さが上記上限値を超えると、フレーム2の構成等によっては、穿刺装置1の重心が患者から大きく離れてしまい、装着状態での穿刺装置1の安定性が低下する場合がある。
以上、尿道挿入具4および膣挿入具5について説明した。このような尿道挿入具4および膣挿入具5を有する挿入具6は、さらに、尿道挿入部41と膣挿入部51の相対的位置関係を維持する維持部61と、維持部61で維持される相対的位置関係よりも、膣挿入部51の先端部52を尿道挿入部41に対して接近させることができる変位部62とを有している。
図12に示すように、変位部62は、ヒンジ部621を有し、このヒンジ部621によって、支持部40、50を回動可能に連結している。このように、支持部40、50同士を回動可能に連結することによって、簡単な構成の変位部62が得られ、さらに、先端部52を尿道挿入部41に対して接近させる操作を簡単に行うことができるようになる。
一方、維持部61は、尿道挿入具4と膣挿入具5とを固定して、これらの相対的位置関係を維持する状態と、尿道挿入具4と膣挿入具5との固定を解除して、膣挿入具5を尿道挿入具4に対して回動可能とする状態とをとることができる。
図12に示すように、維持部61は、支持部50に設けられた操作部611と、支持部40に設けられ、操作部611と係合する係合部612とを有している。また、操作部611は、湾曲変形(弾性変形)可能な軸部611aと、軸部611aに連結したツマミ611bと、ツマミ611bの先端部に設けられた爪部611cとを有している。一方の係合部612は、支持部40に形成された凹部612aで構成されている。
図19(a)に示すように、爪部611cが凹部612aに係合する状態とすることで、支持部50が支持部40に固定され、尿道挿入具4と膣挿入具5の相対的位置関係を維持することができる。一方、図19(b)に示すように、ツマミ611bを下方に引いて爪部611cを凹部612aから外すことで、維持状態が解除され、膣挿入具5が尿道挿入具4に対して回動可能な状態となる。そして、回動可能な状態では、図19(a)に示す維持状態よりも、膣挿入部51(先端部52)を尿道挿入部41に接近させることができる。
なお、本参考例では、係合部612が支持部40に設けられ、操作部611が支持部50に設けられているが、これとは反対に、係合部612が支持部50に設けられ、操作部611が支持部40に設けられていてもよい。また、操作部611の構成は、同様の効果を発揮することができる限り、本参考例に限定されない。
また、挿入具6では、さらに、膣挿入部51を尿道挿入部41側へ付勢する付勢部(例えばバネ)が設けられていてもよい。これにより、維持部61のロックが解除されると、前記付勢部の付勢力によって自動的に膣挿入部51が尿道挿入部41側へ移動する。そのため、挿入具6の操作がより簡単なものとなる。
3.穿刺装置1の使用方法(穿刺方法)
次に、穿刺装置1の使用方法、すなわち、穿刺装置1を用いてインプラント9を生体内に埋設する方法(手技)について説明する。
まず、患者を手術台上で砕石位とし、図20(a)に示すように、挿入具6を患者に装着する。
具体的には、まず、尿道挿入具4の尿道挿入部41を患者の尿道1300内に挿入するとともに、膣挿入具5の膣挿入部51を患者の膣1400内に挿入する。尿道挿入部41を尿道1300に挿入することによって、尿道1300が尿道挿入部41によってその所定形状(本参考例では直線状)に矯正され、膣挿入部51を膣1400に挿入することによって、膣1400が膣挿入部51(先端部52)によってその所定形状に矯正される。
次に、膀胱1310内に配置したバルーン42を拡張させるとともに、必要に応じて尿排孔471を介して膀胱1310内から尿を排出する。次に、図20(b)に示すように、バルーン42が膀胱頸部に当接するまで尿道挿入部41を体外側(基端側)へ引っ張り、この状態で、マーカー46が尿道口1320から露出しているか否かを確認する。前述したように、マーカー46が尿道口1320から露出している場合には穿刺装置1の使用ができないと判断し、この時点で手技を中止する。反対に、マーカー46が尿道口1320から露出していない場合には穿刺装置1の使用が可能であると判断して手技を続行する。
次に、図21(a)に示すように、尿道挿入部41を体内側へ押し込んで、マーカー45を尿道口1320に当接させる。これにより、尿道口1320に対して穿刺部材3が位置決めされ、穿刺部材3の穿刺経路が定まる。ここで、さらに、膣挿入部51の先端部52に設けられたマーカー57を用いて穿刺部材3の穿刺経路を確認することで、より安全な手技を行うことができる。
次に、吸引ポート433、543に吸引装置を接続し、吸引装置を作動させ、尿道壁を尿道挿入部41の吸引孔44に吸着させるとともに、膣壁を膣挿入部51の吸引孔54に吸着させる。前述したように、このとき、尿道1300側ではマーカー45が尿道口1320を覆い塞いでいるため、尿道口1320を介した尿道1300内への空気の流入が抑制され、尿道挿入部41への尿道壁の吸着をより確実に行うことができる。一方、膣1400側では流入低減部522に膣口1410が密着しているため、膣口1410を介した膣1400内への空気の流入が抑制され、膣挿入部51への膣壁の吸着をより確実に行うことができる。
特に、膣挿入具5では、図21(b)に示すように、まず、維持部61のロックを解除して、膣挿入部51を尿道挿入部41に対して回動可能な状態とし、膣挿入部51を尿道挿入部41側へ移動させる。これにより、先端部52の上面521aと膣前壁とをより確実に密着させることができる。そして、この状態で、吸引ポート543に接続した吸引装置を作動させることで、より確実に膣壁を膣挿入部51に吸着させることができる。膣壁を吸着した後は、図22(a)に示すように、膣挿入部51を尿道挿入部41から遠ざける方向へ移動させ、維持部61をロックし、膣挿入部51と尿道挿入部41との相対的位置関係を固定する。これにより、尿道1300と膣1400とが十分に離間した状態を維持することができる。
このような吸着の際、例えば、尿道壁が尿道挿入部41にきちんと吸着されれば、吸引孔44が尿道壁によって塞がれるため、吸引ポート433からの吸引が停止または弱まる。同様に、膣壁が膣挿入部51にきちんと吸着されれば、吸引孔54が膣壁によって塞がれるため、吸引ポート543からの吸引が停止または弱まる。そのため、術者は、吸引ポート433、543からの吸引具合(例えば、吸引により発生する音の大小)から、尿道壁、膣壁が尿道挿入部41、膣挿入部51にきちんと吸着されているか否かを確認することができる。
なお、挿入具6は、機械的に吸着状態を確認する確認部を有していてもよい。確認部としては、吸着状態を確認することができれば、特に限定されないが、例えば、吸引ポート543からの流量を測定する流量測定部(負圧計)と、この流量測定部からの測定結果に基づいて吸着がきちんと行われているか否かを判断する判断部とを有する構成とすることができる。
以上のようにして、尿道壁と膣前壁とが穿刺部材3を穿刺するのに十分に離間した状態とした後、図22(b)に示すように、挿入具6にフレーム2を固定する。これにより、穿刺装置1が患者に装着された状態となる。この状態では、骨盤1100と穿刺装置1との位置関係が、図23に示す状態となる。
そして、図24に示すように、尿道挿入部41から規制部48を取り外し、挿入具6を体内側へ押し込む。前述したように、尿道挿入部41には尿道壁が吸着されており、膣挿入部51には膣壁が吸着されているため、挿入具6を体内へ押し込むと、それと共に尿道1300および膣1400が押し込まれ、これらの間の組織が延ばされる。そのため、当該組織への穿刺部材3の穿刺がより容易となる。
特に、本参考例では、尿道挿入部41に尿道との摺動抵抗を高めるための摺動抵抗増幅部49が設けられているため、尿道1300をより確実に押し込むことができる。また、尿道挿入部41と尿道1300の擦れ(ズレ)が抑制されるため、尿道の損傷を抑制することもできる。
なお、このとき、規制部48を取り外しているため、マーカー45は、尿道口1320に当接しながら尿道挿入部41の基端側へスライドし、上述の尿道挿入部41の押し込みを阻害しない。
また、上述では、尿道1300および膣1400の両方を体内側へ押し込む場合について説明しているが、尿道1300および膣1400の一方のみを体内側へ押しこむようにしてもよい。これによっても、同様の効果を発揮することができる。
次に、尿道1300および膣1400を体内側へ押し込んだ状態で、穿刺部材3の穿刺軌道が骨盤の左右の閉鎖孔1101、1102のセーフティゾーンS5を通過するように穿刺装置1を位置決めし、この状態を維持しつつ、ハンドル74を操作して、図25(a)に示すように、操作部材7を回転させる。これにより、穿刺部材3の針体35は、患者の右側の鼠蹊部またはその近傍の部位の体表面Hを穿刺して体内に入り、一方の閉鎖孔1101、尿道1300と膣1400との間、他方の閉鎖孔1102を順に通過した後、左側の鼠蹊部またはその近傍の部位の体表面Hから体外に突出する。この際、穿刺部材3を骨盤の左右の閉鎖孔1101、1102に対して略垂直に穿刺することにより、インプラント9の留置に適した位置に通路を形成することができる。この状態では、骨盤1100と穿刺装置1との位置関係が、図26に示す状態となる。
また、この際、穿刺部材3は、マーカー46と尿道口1320との間を通るようにして生体を穿刺することとなる。これにより、例えば、穿刺部材3が尿道1300の中位部(中部尿道)と膣1400との間を穿刺することとなり、より効果的な治療を行うことができる。
これにより、生体に穿刺部材3が配置される。次に、ハンドル74を操作して、操作部材7を反対回りに回転させ、穿刺部材3を生体内に配置したまま、操作部材7のみを生体内から抜去する。次に、挿入具6からフレーム2を取り外し、さらに、本体31から針体35を取り外す。これにより、図25(b)に示すように、本体31のみが生体内に配置された状態となる。本体31は、先端側開口および基端側開口が共に生体外に露出した状態で生体内に配置される。
次に、必要に応じて、本体31の位置を整える。具体的には、本体31の左右の突出長さを揃えて、本体31の中央部S4を尿道1300と膣1400との間に位置させる。この状態では、図27に示すように、中央部S4は、その幅方向(長軸J32方向)Wが尿道1300とほぼ平行に配置されている。すなわち、尿道挿入具4が挿入されて矯正された尿道1300と中央部S4の幅方向Wは、実質的に平行に位置している。
次に、インプラント9を包材90から取り出しつつ本体31内に挿入し、図28(a)に示すように、インプラント本体91を本体31の基端側開口および先端側開口から突出させた状態とする。このように、本体31内に配設する直前まで、インプラント9を包材90に収容することで、インプラント9の汚染を防止することができる。なお、前述したように、本体31が扁平形状なしているため、この扁平形状にインプラント本体91の姿勢が倣う。すなわち、インプラント本体91は、その幅方向が本体31の幅方向と一致するように、本体31内に配置される。尿道1300との関係からは、インプラント本体91は矯正された尿道1300と平行に配置されている。
次に、図28(b)に示すように、露出孔345、346から露出する糸341を切断する。これにより、本体31を先端分割片32と基端分割片33とに分割できる状態となる。次に、尿道挿入部41による尿道壁の吸着と膣挿入部51による膣壁の吸着を停止する。これにより、尿道1300と膣1400の位置や形状が元の自然状態に戻る。
次に、先端分割片32と基端分割片33の接続を解除し、先端分割片32を先端側へ向けて生体から引き抜くとともに、基端分割片33を基端側へ向けて生体から引き抜く。この際、先端分割片32と基端分割片33を反対方向にほぼ同時に移動させ、先端分割片32および基端分割片33をそれぞれその形状に沿うように円弧状に移動させる。これにより、本体31が生体からスムーズに取り除かれる。
先端分割片32および基端分割片33を前述のようにして生体から取り除いていくと、本体31により押し広げられていた周囲の組織が元の位置に戻り、インプラント本体91の中央部から両端部に向けて徐々に組織がインプラント本体91に接触していく。前述のように、先端分割片32および基端分割片33をその形状に沿った方向に移動させていることと、本体31がインプラント本体91を十分に低摩擦で移動可能な内部空間を備えることにより、インプラント本体91に不要な引張力が掛からずそのままの状態で留置することができる。これにより、インプラント本体91のテンションの調節が不要になる。以上によって、図29に示すように、インプラント本体91が生体に埋設された状態となる。
インプラント9が生体に埋設された状態では、インプラント本体91は、尿道1300と膣1400の間の領域にて、尿道1300とほぼ平行に配置される。そのため、インプラント本体91によって、尿道1300をより広域で支持することができる。
このように、本体31を分割して生体から取り除くことによって、本体31の生体からの抜去を容易に行うことができる。また、抜去中の分割片32、33が、尿道1300と膣1400の間の領域でのインプラント本体91の姿勢にほとんど影響を及ぼさないため、インプラント本体91を所望の姿勢で埋設することができる。
また、尿道挿入部41が尿道1300に挿入された状態で分割片32、33を生体内から抜去するため、生体内に留置するインプラント本体91により、過度のテンションが尿道1300にかかることを防ぐことが出来る。
次に、挿入具6を生体から抜去する。すなわち、尿道挿入部41を尿道1300から抜去し、膣挿入部51を膣1400から抜去する。尿道挿入具4を抜去した後、尿道1300は、自然状態の形状に戻るが、インプラント本体91が生体組織に埋め込まれているため、自然状態の尿道1300とインプラント本体91とが平行な状態を維持することができる。
その後、インプラント本体91の不要な部分を切除し、手技を終了する。
以上説明したように、穿刺装置1によれば、インプラント9を留置する際、その穿刺部材3の穿刺等の低侵襲の手技のみで対応することができ、侵襲の大きい切開等を行わなくてよいので、患者の負担が少なく、また、患者の安全性も高い。また、インプラント本体91を尿道1300と平行に埋設することができるため、尿道1300をより広域で支持することができる。また、穿刺部材3により尿道1300および膣1400を避けて生体を穿刺することができ、穿刺部材3が尿道1300、膣1400を穿刺してしまうことを防止することができ、安全である。また、従来の膣を切開する場合のようにその切開により生じた傷口からインプラント9が膣内に露出してしまうことや、前記傷口から感染してしまう等の合併症が生じることを防止することができ、非常に安全であり、確実にインプラント9を埋設することができる。
<第2参考例>
図30は、本発明の第2参考例に係る穿刺装置が有する挿入具を示す側面図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第2参考例について説明するが、前述した参考例との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本参考例は、尿道挿入具の構成が異なること以外は、前述した第1参考例と同様である。
図30に示すように、本参考例の尿道挿入具4では、マーカー45が尿道挿入部41の表面に設けられている。また、マーカー45は、実質的に尿道挿入部41の表面から突出していない。そのため、マーカー45は、尿道挿入部41と共に尿道1300内に侵入可能である。また、マーカー45は、尿道挿入部41の表面に定着しており、尿道挿入部41に対して移動できなくなっている。このようなマーカー45は、流入低減部450としての機能を有していない。
マーカー45をこのような構成とすることで、例えば、第1参考例と比較して、穿刺装置1の構成を簡易化することができる。また、所定の段階における穿刺装置1の操作が容易となる。具体的には、例えば、前述した第1参考例では、マーカー45が尿道挿入部41から突出し、尿道1300内に侵入できないため、図24に示す状態とするためには、規制部48を取り外してマーカー45が尿道挿入部41に対してスライド可能な状態としなければならなかった。これに対して本参考例では、マーカー45が尿道1300内に侵入可能であるため、上述のような操作が必要なく、その分、操作をスムーズに行うことができる。
マーカー45の構成としては、術者が外部から視認可能であれば特に限定されず、例えば、周囲とは異なる色に着色された着色部で構成されていてもよいし、凹部または凸部で構成されていてもよい。
なお、本参考例では、マーカー45が尿道挿入部41の外周から実質的に突出していないが、マーカー45は、尿道1300内に侵入可能な限り、尿道挿入部41の外周から若干突出していてもよい。
また、本参考例の尿道挿入具4では、摺動抵抗増幅部49が尿道挿入部41の外周から突出するリング状の突起(突出部)で構成されている。摺動抵抗増幅部49をこのような構成とすることでも、効果的に、尿道1300に対する尿道挿入部41の摺動抵抗を高めることができる。なお、本参考例では、リング状の突起が1つ設けられているが、突起の数としては特に限定されず、例えば、尿道挿入部41の長さ方向に並んで複数設けられていてもよい。また、突起は、リング状でなくてもよく、例えば、疣状の突起が尿道挿入部41の周方向に沿って複数配置されたような構成であってもよいし、尿道挿入部41の長手方向に延びる螺旋状の突起であってもよい。
さらに、本参考例では、摺動抵抗増幅部49がマーカー46を兼ねている。そのため、尿道挿入具4の構成がさらに簡単なものとなる。なお、マーカー46としての機能をより発揮させ易くするために、摺動抵抗増幅部49は、その周囲(先端側および基端側)と異なる色に着色されているのが好ましい。
このような第2参考例によっても、前述した第1参考例と同様の効果を奏することができる。
<第3参考例>
図31は、本発明の第3参考例に係る穿刺装置が有する挿入具を示す側面図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第3参考例について説明するが、前述した参考例との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本参考例は、尿道挿入具の構成が異なること以外は、前述した第1参考例と同様である。
図31に示すように、本参考例の尿道挿入具4では、バルーン42および尿排出部47が省略されている。このような構成によれば、尿道挿入具4の構成を簡単なものとすることができる。なお、穿刺装置1では、前述したように、尿道口1320に対して穿刺部材3の穿刺位置を位置決めするため、主に膀胱頸部に係合させて尿道挿入部41の位置合わせを行うために用いるバルーン42を省略しても、穿刺部材3の穿刺時における穿刺装置1の操作性が低下することがほとんどない。
このような第3参考例によっても、前述した第1参考例と同様の効果を奏することができる。
<第4参考例>
図32は、本発明の第4参考例に係る穿刺装置が有する挿入具を示す側面図である。図33は、図32に示す挿入具が有する尿道挿入具を尿道へ挿入した状態を示す断面図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第4参考例について説明するが、前述した参考例との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本参考例は、尿道挿入具の構成が異なること以外は、前述した第1参考例と同様である。
図32に示すように、本参考例の尿道挿入具4では、バルーン42および尿排出部47が省略されている。
また、本参考例の尿道挿入具4では、マーカー45が尿道挿入部41の表面に設けられており、実質的に尿道挿入部41の表面から突出していない。そのため、マーカー45は、尿道1300内に侵入可能である。また、マーカー45は、尿道挿入部41の表面に定着しており、尿道挿入部41に対して移動できなくなっている。このようなマーカー45の構成は、前述した第2参考例と同様である。
このようなマーカー45では、前述した第1参考例のように流入低減部450を兼ねることができないので、本参考例では、マーカー45とは別に流入低減部450を設けている。
流入低減部450は、マーカー45と領域S1との間に設けられており、尿道挿入部41を尿道1300に挿入し、マーカー45を尿道口1320に位置させた状態では尿道1300内に位置する。また、流入低減部450は、尿道挿入部41の外周から突出して設けられたリング状の突起(突出部)で構成されている。
また、流入低減部450は、その外径が中央部から両端(先端および基端)に向けて漸減しており、両端の外径が尿道挿入部41の外径とほぼ一致している。そのため、流入低減部450と尿道挿入部41との間に実質的に段差が形成されておらず、尿道挿入部41をより低侵襲で尿道1300に挿入することができる。
図33に示すように、尿道挿入部41を尿道1300内に挿入した状態では、流入低減部450が尿道1300内に位置している。流入低減部450は、尿道挿入部41の他の部分(流入低減部450の先端側および基端側の部分)よりも大きい外径を有しているため、流入低減部450では他の部分よりも尿道壁がより密着している。そのため、流入低減部450において、尿道1300を封止することができ、尿道口1320から尿道1300の流入低減部450よりも奥側、すなわち吸引孔44が位置している部分への空気の流入を抑制することができる。その結果、吸引孔44による尿道壁の吸着をより確実かつ効果的に行うことができる。
また、本参考例の尿道挿入具4では、摺動抵抗増幅部49が、尿道挿入部41の周方向に延在した溝491を有する構成となっている。この溝491は、尿道挿入部41の長手方向に沿って複数設けられている。なお、尿道挿入部41の周方向に沿って配置されている溝491の数は、特に限定されず、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。このような摺動抵抗増幅部49によっても、簡単な構成で、尿道1300に対する尿道挿入部41の摺動抵抗を高めることができる。
特に、溝491を尿道挿入部41の周方向に延在する溝としているため、例えば、溝491を円形の溝、尿道挿入部41の長手方向に延在する溝とした場合と比較して、尿道挿入部41を体内側押し込む際の尿道1300との摺動抵抗を高くすることができる。また、溝491を尿道挿入部41の長手方向に複数設けることによっても、尿道挿入部41を体内側押し込む際の尿道1300との摺動抵抗を高くすることができる。そのため、本参考例によれば、上述の効果がより一層高められる。
また、本参考例では、少なくとも1つの溝491が吸引孔44を兼ねている。つまり、吸引孔44を兼ねている溝491は、尿道挿入部41内を通って吸引ポート433に接続されている。このような構成とすることで、尿道挿入具4の構成がより簡単なものとなる。また、溝491が吸引孔44を兼ねることで、尿道壁を吸着した状態での尿道壁と溝491との引っ掛かりがより強くなる。そのため、尿道に対する尿道挿入部41の摺動抵抗をより大きくすることができる。
また、本参考例の尿道挿入具4では、尿道挿入部41の先端に面した吸引孔440を有している。図33に示すように、吸引孔440は、尿道挿入部41を尿道1300に挿入し、マーカー45を尿道口1320に位置させたときに膀胱1310内に位置するようになっている。そのため、吸引孔440によって膀胱壁を吸着することができる。これにより、膀胱1310を尿道挿入部41と共により効果的に体内側へ押し込むことができる。なお、吸引孔440は、膀胱1310内の尿を排出するための尿排出部47を兼ねていてもよい。
このような第4参考例によっても、前述した第1参考例と同様の効果を奏することができる。
<第5参考例>
図34は、本発明の第5参考例に係る穿刺装置が有する挿入具の側面図であり、(a)が維持部でロックされた状態を示す図、(b)が維持部を解除した状態を示す図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第5参考例について説明するが、前述した参考例との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本参考例は、尿道挿入具の構成、具体的には変位部および維持部の構成が異なること以外は、前述した第1参考例と同様である。
図34(a)に示すように、本参考例の挿入具6が有する変位部62は、尿道挿入部41と膣挿入部51とを接近・離間可能に連結している。具体的には、変位部62は、支持部40から下側へ突出したスライド軸622を有しており、このスライド軸622に支持部50がスライド可能に連結されている。なお、支持部50は、スライド軸622に対して回転できないように設けられている。また、スライド軸622の先端部にはフランジ(係合部)614が設けられており、このフランジ614によって、スライド軸622からの支持部50の離脱が防止されている。このように、膣挿入具5をスライド軸622に対してスライド可能とすることで、簡単な操作で、尿道挿入部41と膣挿入部51とを接近・離間させることができる。
一方、維持部61は、尿道挿入具4と膣挿入具5の相対的位置関係を維持する状態と、尿道挿入具4に対して膣挿入具5をスライド可能とする状態とをとることができる。このような維持部61は、前述したフランジ614と、支持部50に設けられた操作部613とを有している。また、操作部613は、湾曲変形可能な軸部613aと、軸部613aに連結したツマミ613bと、ツマミ613bの先端部に設けられた爪部613cとを有し、爪部613cがフランジ614に係合可能となっている。
図34(a)に示すように、爪部613cがフランジ614に係合した状態とすることで、支持部40と支持部50とが固定され、尿道挿入具4と膣挿入具5の相対的位置関係を維持することができる。一方、図34(b)に示すように、ツマミ613bを上方に引いて爪部613cをフランジ614から外すことで、ロック(維持状態)が解除され、膣挿入具5が尿道挿入具4に対してスライド可能な状態となる。そして、スライド可能な状態では、図34(a)に示す維持状態よりも、先端部52(膣挿入部51)を尿道挿入部41に接近させることができる。
なお、本参考例では、スライド軸622が支持部40に設けられ、操作部613が支持部50に設けられているが、これとは反対に、スライド軸622が支持部50に設けられ、操作部613が支持部40に設けられていてもよい。また、操作部613の構成は、同様の効果を発揮することができる限り、本参考例に限定されない。
このような第5参考例によっても、前述した第1参考例と同様の効果を奏することができる。
<第6参考例>
図35は、(a)が本発明の第6参考例に係る穿刺装置が有する挿入具の側面図、(b)が維持部でロックされた状態を示す側面図、(c)が維持部を解除した状態を示す側面図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第6参考例について説明するが、前述した参考例との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本参考例は、尿道挿入具の構成、具体的には変位部および維持部の構成が異なること以外は、前述した第1参考例と同様である。
図35(a)に示すように、本参考例の挿入具6では、支持部40、50が固定されている。
また、本参考例の挿入具6では、変位部62によって、膣挿入部51の軸部53がその途中で屈曲変形できるようになっている。具体的には、軸部53は、先端側に位置する先端側軸部531と、基端側に位置する基端側軸部532とに分割されており、これらがヒンジ部625で回動可能に連結されている。そして、先端側軸部531を基端側軸部532に対して回動させることで、簡単に、先端部52を尿道挿入部41に接近・離間させることができる。
一方、維持部61は、先端側軸部531と基端側軸部532とを直線的な姿勢で維持する状態と、先端側軸部531を基端側軸部532に対して回動可能とする状態とをとることができる。このような維持部61は、軸部53の外周に設けられ、軸部53に対してその長手方向に摺動(移動)可能に設けられた筒状のスライダー(操作部)615を有している。
図35(b)に示すように、スライダー615でヒンジ部625を覆った状態とすることで、先端側軸部531と基端側軸部532とが直線的な姿勢で維持され、尿道挿入部41と先端部52の相対的位置関係が維持される。一方、図35(c)に示すように、スライダー615をスライドさせてヒンジ部625を露出させた状態とすることで、ロック(維持状態)が解除され、先端部52が尿道挿入部41に対して回動可能な状態となる。回動可能な状態では、図35(b)に示す維持状態よりも、先端部52を尿道挿入部41に接近させることができる。このような維持部61によれば、簡単に操作を行うことができる。
このような第6参考例によっても、前述した第1参考例と同様の効果を奏することができる。
<第7参考例>
図36は、本発明の第7参考例に係る穿刺装置が有する挿入具の側面図である。図37は、図36に示す膣挿入具を膣内に挿入した状態を示す断面図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第7参考例について説明するが、前述した参考例との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本参考例は、膣挿入具の構成が異なること以外は、前述した第1参考例と同様である。
図36に示すように、本参考例の膣挿入具5では、先端部52が高さ方向に潰れた扁平形状をなしている。そのため、例えば、前述した第1参考例と比較して、先端部52を膣内に容易に挿入することができる。
そして、この先端部52の基端部、より具体的には凹部541よりも基端側には先端部52の外周から突出するリング状の流入低減部59が設けられている。流入低減部59は、例えば、Oリングのようなもので構成することができる。このような流入低減部59は、先端部52と共に膣1400内に挿入されない。さらには、膣口1410を覆うことができるように十分に突出している。また、流入低減部59は、気密性と柔軟性を有しているのが好ましく、例えば、ゴム材料で構成されている。
図37に示すように、このような流入低減部59は、先端部52を膣1400内に挿入した状態で膣口1410に当接して膣口1410を覆い塞ぎ、膣口1410を介した膣1400内への空気の流入を抑制する。これにより、吸引孔54による膣壁の吸着をより確実かつ効果的に行うことができる。
なお、流入低減部59は、先端部52に対して固定されていてもよいし、その長軸方向に摺動可動となっていてもよい。流入低減部59が先端部52に対してその長軸方向に摺動可能となっている場合には、流入低減部59の位置を調整することができるため、上記効果をより顕著に発揮することができる。
また、流入低減部59は、先端部52に対して着脱可能であるのが好ましい。これにより、例えば、形状の異なる複数の流入低減部59を用意しておき、その中から患者に適した1つを選択して先端部52に装着することによって、上記効果をより顕著に発揮することができる。
このような第7参考例によっても、前述した第1参考例と同様の効果を奏することができる。
<第1実施形態>
図38は、第1実施形態に係る穿刺装置が有する挿入具の側面図である。図39は、図38に示す膣挿入具の先端部を示す図であり、(a)が上面図、(b)が(a)中のB−B線断面図である。図40は、図39に示す先端部を膣内に挿入した状態を示す図であり、(a)が膣壁を吸着する前の状態を示す図、(b)が膣壁を吸着した状態を示す図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第1実施形態について説明するが、前述した参考例との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、膣挿入具の構成が異なること以外は、前述した第1参考例と同様である。
図38に示すように、本実施形態の膣挿入具5では、先端部52が高さ方向に潰れた扁平形状をなしている。そのため、例えば、前述した第1実施形態と比較して、先端部52を膣内に容易に挿入することができる。また、図39(a)、(b)に示すように、先端部52は、対向配置された上面(第1の面)52aおよび下面52dと、上面52aと下面52dとを連結し、上面52aに対して傾斜している側面(第2の面)52b、52cとを有しており、横断面形状が略台形となっている。
また、先端部52は、上面52aに開放する吸引孔(第1の吸引孔)54Aと、側面52bに開放する吸引孔(第2の吸引孔)54Bと、側面52cに開放する吸引孔(第2の吸引孔)54Cとを有している。すなわち、本実施形態の先端部52では、吸引孔54Aの両側に一対の吸引孔54B、54Cが配置された構成となっている。これら3つの吸引孔54A、54B、54Cは、それぞれ、先端部52内を通って吸引ポート543に接続されている。
また、吸引孔54Aは、上面52aの広範囲に開放する凹部541Aを有し、吸引孔54Bは、側面52bの広範囲に開放する凹部541Bを有し、吸引孔54Cは、側面52cの広範囲に開放する凹部541Cを有している。また、凹部541Aの深さが凹部541B、541Cの深さよりも深くなっており、凹部541Aの幅が凹部541B、541Cの幅よりも広くなっている。
また、これら3つの吸引孔54A、54B、54Cは、互いに吸引方向が異なっている。吸引孔54Aは、上面52aの法線を吸引方向(第1の吸引方向)Iaとし、吸引孔54Bは、側面52bの法線を吸引方向(第2の吸引方向)Ibとし、吸引孔54Cは、側面52cの法線を吸引方向(第2の吸引方向)Icとしている。このような構成とすることによって、前述した図17に示すような窪んだ部分1402を有している膣1400の吸着をより効果的に行うことができる。
具体的に説明すると、図40(a)に示すように、先端部52を膣1400に挿入した状態では、凹部541Aが膣前壁の中央部1401(垂れ下がった部分)を向き、凹部541Bが中央部1401に隣接した窪んだ部分1402’を向き、凹部541Cが中央部1401に隣接した窪んだ部分1402”を向く。そのため、吸引孔54A、54B、54Cによる膣壁の吸着を行うと、図40(b)に示すように、凹部541Aに中央部1401が吸着され、凹部541Bに窪んだ部分1402’(1402)が吸着され、凹部541Cに窪んだ部分1402”(1402)が吸着される。このように、本実施形態の先端部52によれば、中央部1401のみならず、窪んだ部分1402’、1402”も吸着することができ、膣前壁のほぼ全域をより確実に吸着することができる。
特に、本実施形態のように、凹部541Aの深さを凹部541B、541Cの深さよりも深くし、凹部541Aの幅を凹部541B、541Cの幅よりも広くすることによって、中央部1401をより深く吸着することができる。そのため、中央部1401に釣られてその両側の窪んだ部分1402’、1402”が凹部541B、541Cに接近し、その結果、凹部541B、541Cによって、窪んだ部分1402’、1402”をより確実に吸着することができる。
ここで、吸引孔54Aの吸引方向Iaと吸引孔54Bの吸引方向Ibとのなす角θ6としては、特に限定されないが、例えば、20°〜90°程度であるのが好ましく、30°〜50°程度であるのがより好ましい。これにより、より正確に、凹部541B、541Cを窪んだ部分1402’、1402”に向けることができる。
このような第1実施形態によっても、前述した第1参考例と同様の効果を奏することができる。
<第2実施形態>
図41は、第2実施形態に係る穿刺装置が有する膣挿入具の先端部を示す断面図である。図42は、図41に示す先端部を膣内に挿入した状態を示す図であり、(a)が膣壁を吸着する前の状態を示す図、(b)が膣壁を吸着した状態を示す図である。なお、図41は、図39(b)に相当する断面図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第2実施形態について説明するが、前述した参考例および実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、膣挿入具の構成、具体的には先端部の形状が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
図41に示すように、本実施形態の膣挿入具5では、略台形の横断面形状をなしており、上面52aが内側(下面52d側)に凹んだ形状となっている。このように上面52aが凹んだ形状となっていることで、先端部52は、側面52b、52cに開放する吸引孔54B、54Cが、上面52aに開放する吸引孔54Aよりも、先端部52の外周側へ突出した形状となる。
これにより、図42(a)に示すように、先端部52を膣1400内に挿入したときに、凹部541B、541Cを窪んだ部分1402’、1402”に接近して配置することができ、図42(b)に示すように、吸着時には、より確実に、凹部541B、541Cに窪んだ部分1402’、1402”を吸着することができる。
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第3実施形態>
図43は、第3実施形態に係る穿刺装置が有する膣挿入具の先端部を示す断面図である。なお、図43は、図39(b)に相当する断面図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態および参考例との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、膣挿入具の構成、具体的には先端部の形状が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
図43に示すように、本実施形態の膣挿入具5では、上面52aと側面52b、52cとに跨って開放する凹部541を有する吸引孔54が設けられている。このような吸引孔54では、凹部541の上面52aに開放する部分541aと、側面52bに開放する部分541bと、側面52cに開放する部分541cとで、互いに吸引方向が異なっている。
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、本実施形態では、上面52a、側面52b、52cがそれぞれ平坦面で構成され、上面52aに対して側面52b、52cが傾斜しているが、先端部52の形状は、これに限定されず、例えば、上面52a、側面52b、52cが互いに連続した湾曲面で構成されていてもよい。このような形状によっても、本実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第4実施形態>
図44は、第4実施形態に係る穿刺装置が有する膣挿入具の先端部を示す図であり、(a)が側面図、(b)が上面図、(c)が下面図である。図45は、図44に示す先端部を膣内に挿入した状態を示す図であり、(a)が膣壁を吸着する前の状態を示す図、(b)が膣壁を吸着した状態を示す図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態および参考例との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、膣挿入具の構成が異なること以外は、前述した第1参考例と同様である。
図44に示すように、本実施形態の膣挿入具5では、先端部52のテーパ部521の周方向の全域にわたって複数の吸引孔54が設けられている。これにより、図45(b)に示すように、膣前壁のみならず、膣壁の全周を吸着することができる。そのため、より効果的に、先端部52に膣壁を吸着させることができる。
特に、本実施形態では、吸引孔54が、先端部52の周方向に沿って複数設けられているとともに、先端部52の長手方向に沿って複数設けられており、テーパ部521の全域にわたって配置されている。これにより、各吸引孔54のサイズを適正なサイズに抑えつつ、より広い範囲に吸引孔54を配置することができるので、吸着時の膣壁の損傷を防止しつつ、より効果的に膣壁を吸着することができる。
また、本実施形態では少なくとも、先端部52の、穿刺部材3の穿刺経路を含む平面(平面f9)上に位置する部位およびその周囲に吸引孔54が設けられているため、穿刺部材3の穿刺経路付近の膣前壁をより確実に先端部52に吸着させることができる。そのため、より確実に、尿道壁と膣前壁とが穿刺部材3を穿刺するのに十分に離間した状態とすることができる。
なお、本実施形態では、各吸引孔54の凹部541が略円形の開口形状をなしているが、凹部541の開口形状としては特に限定されず、例えば、先端部52の周方向に延在する長手形状であってもよいし、先端部52の長手方向に延在する長手形状であってもよい。また、例えば、凹部541同士が形状または大きさが異なる開口形状となっていてもよい。
本実施形態では、吸引孔54が設けられているテーパ部521の基端側に流入低減部522が設けられているため、流入低減部522の効果と相まって、上述した効果をより一層顕著に発揮することができる。
このような第4実施形態によっても、前述した第1参考例と同様の効果を奏することができる。
<第5実施形態>
図46は、第5実施形態に係る穿刺装置が有する膣挿入具の先端部を示す図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態および参考例との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、膣挿入具の構成が異なること以外は、前述した第4実施形態と同様である。
図46に示すように、本実施形態の膣挿入具5では、先端部52が高さ方向に潰れた扁平形状をなしている。このような先端部52にも、前述した第4実施形態と同様にして、その周方向の全域にわたって複数の吸引孔54が設けられている。また、先端部52の吸引孔54が形成されている領域の基端側には、先端部52から突出する流入低減部59が設けられている。
このような第5実施形態によっても、前述した第4実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第6実施形態>
図47は、本発明の第6実施形態に係る穿刺装置が有する膣挿入具の先端部を示す図であり、(a)が側面図、(b)が断面図である。図48(a)および(b)は、それぞれ、図47に示す先端部の機能を説明するための図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第6実施形態について説明するが、前述した実施形態および参考例との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、膣挿入具の先端部が変形可能な構成となっている以外は、前述した第4実施形態と同様である。
図47(a)に示すように、本実施形態の膣挿入具5では、先端部52が、基部52Aと可動部52Bとに分割されている。そして、基部52Aが軸部53に連結されており、可動部52Bが基部52Aに対して上下(尿道挿入部41と膣挿入部51の並び方向)に変位可能となっている。
可動部52Bを基部52Aに対して変位させるための変位部58としては、特に限定されないが、例えば、図47(b)に示すように、可動部52Bを基部52Aに対して上側(離間する方向)に付勢するバネ(付勢部)581と、可動部52Bに連結され、基部52Aに引っ掛けられている紐(操作部)582とを有する構成とすることができる。紐582は、術者が持ち易いように、例えば、軸部53内を通って支持部50付近まで引き出されていることが好ましい。このような構成の変位部58では、紐582を引っ張ることで、バネ581の付勢力に抗して可動部52Bを基部52A側に変位させることができる。可動部52Bの変位後は、変位前と比較して、先端部52の厚みが薄くなっている。
このような構成の先端部52は、例えば、次のようにして使用する。まず、図48(a)に示すように、先端部52を膣1400内に挿入する。次に、吸引孔54によって膣壁を吸着する。次に、図48(b)に示すように、紐582を引っ張って可動部52Bを下方へ変位させる。この際、可動部52Bに吸着されている膣前壁が可動部52Bとともに下側へ変位するため、膣1400と尿道1300の間が広がる。これにより、穿刺部材3の穿刺スペースをより広く確保することができ、穿刺部材3の穿刺をより安全に行うことができる。
特に、本実施形態では、バネ581で可動部52Bが膣前壁に押し当てられているため、可動部52Bと膣前壁とを密着させることができ、膣前壁の可動部52Bへの吸着をより確実に行うことができる。
このような第6実施形態によっても、前述した第4実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第8参考例>
図49は、第8参考例に係る穿刺装置が有する尿道挿入具を示す側面図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第8参考例について説明するが、前述した実施形態および参考例との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本参考例は、尿道挿入具の構成が異なること以外は、前述した第1参考例と同様である。
図49に示すように、本参考例の尿道挿入具4では、尿道挿入部41の途中(装着状態で尿道内に位置する部分)が凸状に湾曲しており、この凸状に湾曲した部分が摺動抵抗増幅部49を構成している。
このような第8参考例によっても、前述した第1参考例と同様の効果を奏することができる。
また、本参考例の変形例として、例えば、尿道挿入部41の途中(装着状態で尿道内に位置する部分)が波状に複数回湾曲しており、この湾曲した部分が摺動抵抗増幅部49を構成していてもよい。
<第9参考例>
図50は、第9参考例に係る穿刺装置が有する尿道挿入部を示す側面図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第9参考例について説明するが、前述した実施形態および参考例との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本参考例は、尿道挿入具の構成が異なること以外は、前述した第1参考例と同様である。
図50に示すように、本参考例の尿道挿入具4では、尿道挿入部41の途中(装着状態で尿道内に位置する部分)に、尿道挿入部41を被覆する被覆層492が設けられている。被覆層492は、尿道挿入部41の表面よりも尿道に対する摺動抵抗が高く、この被覆層492によって摺動抵抗増幅部49が構成されている。なお、本参考例では、被覆層492が領域S1と重なって設けられているため、吸引孔44が被覆層492を貫通して形成されている。
被覆層492の構成材料としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料のような摩擦係数の高い材料を用いることができる。
このような第9参考例によっても、前述した第1参考例と同様の効果を奏することができる。
なお、本参考例では、被覆層492と尿道挿入部41の境界部に、被覆層492の厚みに起因した段差が発生しているが、この段差をなくすため、すなわち、尿道挿入部41と被覆層492の外周面同士が面一となるように、尿道挿入部41の被覆層492が設けられる領域に予め被覆層492の厚み分の凹部を形成しておいてもよい。これにより、尿道挿入部41の尿道内への挿入をより円滑に行うことができる。
<第10参考例>
図51(a)および(b)は、それぞれ、第10参考例に係る穿刺装置が有する尿道挿入部を示す部分断面図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第10参考例について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本参考例は、尿道挿入具の構成が異なること以外は、前述した第1参考例と同様である。
図51(a)に示すように、本参考例の尿道挿入具4に設けられた摺動抵抗増幅部49は、尿道挿入部41の途中(装着状態で尿道内に位置する部分)に設けられ、尿道挿入部41から突出する突起(凸部)493を有している。この突起493は、先端側に傾いており、「かえし」になっている。
また、尿道挿入部41の外周には、尿道挿入部41に対してその軸方向にスライド可能な筒状のスライダー(カバー部材)494が設けられている。スライダー494は、突起493を覆う状態と、突起493を露出させる状態とに移動することができ、突起493を覆う状態では、突起493が倒されている。
突起493は、弾性変形可能となっており、例えば、天然ゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料を用いて構成されている。
このような構成の摺動抵抗増幅部49は、尿道挿入部41が尿道内に挿入されるまでは、図51(b)に示すように、スライダー494で突起493を覆った状態とし、尿道挿入部41が尿道内に挿入され、マーカー45による位置決めが行われた後に、図51(a)に示すように、スライダー494を基端側にスライドさせて突起493を露出させるようにして使用する。
このような使用方法によれば、摺動抵抗増幅部49の機能が発揮されない状態で、尿道挿入部41を尿道内に挿入するため、当該挿入をスムーズに行うことができる。一方、尿道挿入部41に尿道壁を吸着・固定した状態で尿道挿入部41を体内側へ押し込む際には、摺動抵抗増幅部49の機能が発揮されるため、当該押し込みと共に尿道および膀胱をより確実に押し込むことができる。
特に、本参考例では、突起493が「かえし」になっているため、前記押し込み時の摺動抵抗をより高くすることができる。
このような第10参考例によっても、前述した第1参考例と同様の効果を奏することができる。
なお、本参考例では、突起493を1つしか設けていないが、突起493の数は、特に限定されない。また、本参考例では、摺動抵抗増幅部49が突起(凸部)493を有しているが、これに限定されず、凸部および凹部の少なくとも一方を少なくとも1つ以上有していればよい。
<第11参考例>
図52は、第11参考例に係る穿刺装置が有する穿刺部材を示す斜視図である。図53は、図52に示す穿刺部材の変形例を示す断面図である。
以下、この図を参照して穿刺装置の第11参考例について説明するが、前述した参考例および実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本参考例は、穿刺部材の構成が異なること以外は、前述した第1参考例と同様である。
図52に示すように、本参考例の穿刺部材3は、本体31で構成されている。すなわち、穿刺部材3は、前述した第1参考例の穿刺部材3から針体35を省略した構成となっている。また、穿刺部材3に挿入部71を挿入した状態(初期状態)では、挿入部71の先端部である先端部711が本体31の先端側開口から突出している。本体31から突出した先端部711は、穿刺部材3の針先を兼ねている。
このように、挿入部71の先端部711が穿刺部材3の針体を兼ねることにより、例えば、前述した第1参考例と比較して、部材点数の削減を図ることができる。また、穿刺部材3を生体に穿刺し、穿刺部材3から挿入部71を抜去すれば、本体31の先端側開口を開放させることができる。すなわち、本参考例によれば、前述した第1参考例のように、本体31の先端側開口を開放させるために、針体35を取り外す必要がないため、より円滑に手術を行うことができる。また、挿入部71の外径と本体31の先端側開口の内径とがほぼ同じに設定されているため、本体31に対する挿入部71のずれが防止され、操作性が向上する。
また、本体31の先端部には、その先端側開口からの外径が基端方向に向かって漸増するテーパ部319が設けられている。テーパ部319は、挿入部71の先端部711が生体を穿刺するのに伴って、先端部711に続いて、生体を徐々に拡張するように剥離する剥離部として機能する。
なお、テーパ部319のテーパ角度と先端部711のテーパ角度とは、同じであってもよいが、異なっているのが好ましい。この場合、テーパ部319のテーパ角度が先端部711のテーパ角度よりも小さいのが好ましい。これにより、円滑な穿刺を行うことができる。
このような第11参考例によっても、前述した第1参考例と同様の効果を奏することができる。
また、本参考例の変形例として、次のような構成が挙げられる。図53に示すように、穿刺部材3は、シース30で構成されている。すなわち、穿刺部材3は、前述した第1参考例の穿刺部材3から針体35を省略した構成となっている。また、穿刺部材3に挿入部71を挿入した状態(初期状態)では、挿入部71の先端部である先端部711が本体31の先端側開口から突出している。
先端部711は、螺号、嵌合等によって、挿入部71に対して脱離可能に設けられている。また、先端部711は、シース30の先端から突出している針先712を有している。針先712は、シース30に倣った扁平形状をなしている。また、針先712は、先端に向かって横断面積が漸増する面積漸増部712aと、面積漸増部712aの先端側に設けられ、先端に向かって横断面積が漸減する面積漸減部712bとを有している。面積漸増部712aと面積漸減部712bとの境界部712cの短軸は、シース30の先端の短軸よりも長く、境界部712cの長軸は、シース30先端の長軸よりも長い。これにより、実質的に針先712のみで生体内を穿刺することができる。そのため、穿刺抵抗を低減することができ、より円滑に生体への穿刺を行うことができる。なお、境界部712cの短軸は、シース30の先端の短軸と等しくてもよく、境界部712cの長軸は、シース30先端の長軸と等しくてもよい。
以上、本発明の膣挿入具および穿刺方法を、図示の実施形態および参考例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態および各参考例を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した実施形態および参考例では、本体が先端分割片と基端分割片とに分離可能である構成について説明したが、本体の構成は、これに限定されず、先端側と基端側とに分離できない構成であってもよい。すなわち、本体が1本のチューブ状となっている構成であってもよい。この場合は、状態維持部も省略される。
また、前述した実施形態および参考例では、シースが穿刺部材の一部として構成されているが、これに限定されない。すなわち、先に、何らかの手段を用いて生体に形成された貫通孔内に、シースを挿入するようにして用いてもよい。前述した第1参考例と対応させて具体的に説明すると、穿刺部材3を省略した穿刺装置1を用意し、挿入部71を穿刺部材として、その先端部711を患者の右側の鼠蹊部に穿刺し、一方の閉鎖孔、尿道と膣との間、他方の閉鎖孔を順に通過した後、左側の鼠蹊部から体外に突出させる。次に、挿入部71を内部に挿入し、挿入部71に沿わせてシース30(本体31)を体内に進め、両端が体表面Hから突出した状態とする。次に、挿入部71を体内から抜去する。これにより、シース30が生体内に配置される。そして、シース30内にインプラント本体91を配置し、シース30を体内から抜去すれば、前述した参考例と同様に、インプラント本体91を生体内に留置することができる。
また、例えば、挿入部71の先端部711を患者の右側の鼠蹊部に穿刺し、一方の閉鎖孔、尿道と膣との間、他方の閉鎖孔を順に通過した後、左側の鼠蹊部から体外に突出させた後、先端部711に、シース30の先端部を固定する。次に、挿入部71を逆方向に回転させ、挿入部71を体内から抜去するとともに、シース30を生体内に留置する。そして、シース30内にインプラント本体91を配置し、インプラント本体91を残しつつシース30を体内から抜去すれば、前述した参考例と同様に、インプラント本体91を生体内に留置することができる。
また、前述した実施形態および参考例では、穿刺部材の本体を生体内に配置した後、本体内にインプラント本体を挿入する構成について説明したが、これに限定されず、インプラント本体が初めから穿刺部材(本体)内に収容されていてもよい。この場合、例えば、インプラント本体が有する2本の糸のうちの針先側に位置する糸を針先に固定しておくのが好ましい。これにより、本体から針先を取り外すと、それとともに、前記糸を本体外へ突出させることができる。そのため、その後のインプラント本体の配置の微調整等を円滑に行うことができる。
また、前述した実施形態および参考例では、穿刺装置を女性の尿失禁の治療のための埋設可能なインプラントを生体内に埋設する際に用いる装置に適用した場合について説明したが、穿刺装置の用途は、それに限定されるものではない。
例えば、本発明は、骨盤底筋群の弱体化にともなう、排泄障害(尿意切迫感、頻尿、尿失禁、便失禁、尿閉、排尿困難など)、骨盤臓器脱、膀胱膣婁、尿道膣婁、骨盤痛などを含む骨盤底疾患が適用対象に含まれる。骨盤臓器脱には、膀胱瘤、小腸瘤、直腸瘤、子宮脱、などの疾患が含まれる。あるいは、脱している膣壁部位によって分類される呼び方である前方膣壁脱、後方膣壁脱、膣断端脱、膣円蓋部脱、などの疾患が含まれる。
また、過可動組織には、膀胱、膣、子宮、腸などが含まれる。微可動組織には、骨、筋肉、筋膜、靭帯などが含まれる。特に骨盤底疾患においては、閉鎖筋膜、尾骨筋膜、基靭帯、仙骨子宮靭帯、仙棘(せんきょく)靭帯、などが含まれる。
骨盤底疾患における、過可動組織を微可動組織に連結する手技には、恥骨後式スリング手術、経閉鎖孔スリング手術(transobturator sling surgery, transobturator tape; TOT)、経膣メッシュ手術(Tension-free Vaginal Mesh; TVM)、仙骨子宮靭帯を利用した挙上術(Uterosacral Ligament Suspension; USLS)、仙棘靭帯を利用した固定術(Sacrospinous Ligament Fixation; SSLF)、腸骨尾骨筋膜を利用した固定術、尾骨筋膜を利用した固定術、などが含まれる。
1 穿刺装置
10 医療用チューブ組立体
2 フレーム
21 軸受部
211 貫通孔
22 案内部
23 連結部
24 固定部
243 凹部
244 雄ネジ
3 穿刺部材
30 シース
31 本体
319 テーパ部
32 先端分割片
321 先端側開口
322 基端側開口
33 基端分割片
331 先端側開口
332 基端側開口
34 状態維持部
341 糸
342a、342b、342c 孔
345、346 露出孔
347 スリット
347a、347b 部分
348 孔
35 針体
351 針先
352 基端部
353 係合部
4 尿道挿入具
40 支持部
41 尿道挿入部
42 バルーン
44、440 吸引孔
431 バルーンポート
432 尿排出ポート
433 吸引ポート
45 マーカー(位置決め部)
450 流入低減部
46 マーカー(検知部)
47 尿排出部
471 尿排孔
48 規制部
481 本体
482 ツマミ
49 摺動抵抗増幅部
491 溝
492 被覆層
493 突起
494 スライダー
5 膣挿入具
50 支持部
51 膣挿入部
52 先端部
52A 基部
52B 可動部
52a 上面
52b、52c 側面
52d 下面
521 テーパ部
521a 上面
522 流入低減部
53 軸部
531 先端側軸部
532 基端側軸部
54、54A、54B、54C 吸引孔
541、541A、541B、541C 凹部
541a、541b、541c 部分
543 吸引ポート
57 マーカー
58 変位部
581 バネ(付勢部)
582 紐(操作部)
59 流入低減部
6 挿入具
61 維持部
611 操作部
611a 軸部
611b ツマミ
611c 爪部
612 係合部
612a 凹部
613 操作部
613a 軸部
613b ツマミ
613c 爪部
614 フランジ
615 スライダー
62 変位部
621 ヒンジ部
622 スライド軸
625 ヒンジ部
7 操作部材
71 挿入部
711 先端部
712 針先
712a 面積漸増部
712b 面積漸減部
712c 境界部
72 連結部
73 軸部
74 ハンドル
9 インプラント
90 包材
91 インプラント本体
92 帯
1100 骨盤
1101、1102 閉鎖孔
1200 恥骨結合
1300 尿道
1310 膀胱
1320 尿道口
1400 膣
1401 中央部
1402、1402’、1402” 窪んだ部分
1410 膣口
A1 内周部
A2 外周部
A3 表面
A4 裏面
D 離間距離
H 体表面
H1 高さ
Ia、Ib、Ic 吸引方向
J1、J2 軸
J31 短軸
J32 長軸
J32’ 延長線
J5 中心軸
L2 長さ
O 中心
P 交点
S1、S2 領域
S4 中央部
S5 セーフティゾーン
W 幅方向
X 穿刺経路
f1、f2、f9 平面
r1 最少曲率半径
r2 最大曲率半径
θ1、θ2、θ3 傾斜角
θ4 中心角
θ5、θ6 角

Claims (9)

  1. 膣内に挿入される長尺な膣挿入部と、
    前記膣挿入部に設けられた吸引部と、を有し、
    前記吸引部は、吸引方向が異なる部位を有していることを特徴とする膣挿入具。
  2. 前記吸引部は、第1の吸引方向で前記膣壁を吸引する第1の吸引部と、前記第1の吸引方向とは異なる第2の吸引方向で前記膣壁を吸引する第2の吸引部と、を有している請求項1に記載の膣挿入具。
  3. 前記第1の吸引部は、前記膣挿入部を前記膣内へ挿入した状態で膣前壁の中央部を吸引し、前記第2の吸引孔は、前記第1の吸引部で吸引する部分に隣接する部分を吸引する請求項2に記載の膣挿入具。
  4. 前記第1の吸引方向と前記第2の吸引方向のなす角は、20°〜90°である請求項2または3に記載の膣挿入具。
  5. 前記第2の吸引部は、前記第1の吸引部よりも前記膣挿入具の外側へ突出している請求項2ないし4のいずれか1項に記載の膣挿入具。
  6. 前記第2の吸引部は、前記膣挿入部の周方向において前記第1の吸引部の両側に一対設けられている請求項2ないし5のいずれか1項に記載の膣挿入具。
  7. 前記膣挿入部は、前記第1の吸引部が設けられ、前記膣内に挿入した状態で前記膣前壁に対向する第1の面と、前記第2の吸引部が設けられ前記第1の面に対して傾斜した第2の面とを有している請求項2ないし6のいずれか1項に記載の膣挿入具。
  8. 前記第1の吸引部は、前記第1の面に開放する凹部を有し、
    前記第2の吸引部は、前記第2の面に開放する凹部を有している請求項7に記載の膣挿入具。
  9. 回動可能に設けられた湾曲した穿刺部材と、
    膣内に挿入される長尺な膣挿入部を有する膣挿入具と、を用いた穿刺方法であって、
    前記膣挿入部には、膣壁を吸引可能な吸引部が設けられており、
    膣前壁の中央部が垂れ下がり、前記中央部の両側に窪んだ部分を有する前記膣内に挿入し、前記吸引部によって前記窪んだ部分を吸引し、その後、前記穿刺部材を生体組織に穿刺することを特徴とする穿刺方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105748159A (zh) * 2016-05-07 2016-07-13 钟志伟 一种盆腔多重造影阴道标记物

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