JP2015057991A - 貫通部位を有する構造体を用いる、微細藻類の液面浮遊培養法及び回収方法 - Google Patents

貫通部位を有する構造体を用いる、微細藻類の液面浮遊培養法及び回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液面上で微細藻類を培養する微細藻類の液面浮遊培養法において、その含水率を低下させる。
【解決手段】予め培地中に浸漬しておいた貫通状構造体を、液面上に微細藻類バイオフィルムが形成された後に、微細藻類バイオフィルム付着貫通状構造体を気相中へと移動させることで、培養を継続し、回収する方法。気相中に設置しておいた貫通状構造体に、液面上の微細藻類バイオフィルムが接触又は膜貫通部位を通過させ、培養を継続し、回収する方法。貫通状構造体に、液面上の微細藻類バイオフィルムを付着させ、微細藻類バイオフィルム付着貫通状構造物の培養を継続し、回収する方法。液面上の微細藻類バイオフィルムを貫通状構造体を用いて堆積法によって回収する方法、又は、転写法によって回収する。
【選択図】なし

Description

本発明は、微細藻類の培養及び回収方法に関する。より詳細には、培養及び回収に網状物に代表される貫通部位を有する構造体を用いることを特徴とする、微細藻類の培養及び回収方法に関する。
微細藻類の培養は、従来、培地中に分散させながら行っていたが(以下、分散培養という)、攪拌を行うためのエネルギー源が必要、分散している微細藻類を回収するためには、遠心分離機や凝集剤などが必要など、様々な問題が原因で、培養及び回収コストは極めて高いものとなっていた。さらに、回収物から生産物を抽出する場合、回収物中の含水率が高く、その結果、有用物質抽出効率を向上させるために投入する乾燥エネルギー量は極めて多く(非特許文献1)、コスト高とともにエネルギー収支が合わないなどの問題があった。
そのために、微細藻類から種々の生産物(有用物質)を抽出する工程は、一部の高価格物質を除いて商業化されていない。特に、生産物が燃料(オイルなど)のような低価格物質の場合には、この点は重大な問題である。
膜貫通状の回収装置を用いて、培地中に分散している微細藻類を回収する方法が、特許化文献1に記載されている。しかしこの方法では、水中に分散しているプランクトンからの回収であるため、含水率を十分に下げることができない問題があり、含水率をさらに低下することのできる方法が望まれていた。また、ネット状の構造体に微細藻類を付着して培養させる方法が、特許文献2に公開されている。この方法では、ネット状構造体を引き上げるだけで、培地と微細藻類とを分離することが可能であり、特許文献1と同等の効果を期待できるが、液面浮遊培養法以下の含水率にすることはできなかった。
特開2010−45983 特開2006−230211
松本光史ら、第62回日本生物工学会大会(2010) トピックス集 p33
本発明者らは、微細藻類の培養方法に関し、液面上にバイオフィルムを形成させつつ、液面上に浮かせながら培養する液面浮遊培養法を提案してきた。液面浮遊培養法は、液面上に微細藻類の高密度バイオフィルムが浮いていることから遠心分離機などの装置を使用せずに藻体を回収することができ、また静置培養であることから攪拌のためのエネルギーが不要であり、従来法と比較して、低エネルギーかつ低コストな培養法である。このように微細藻類の培養工程において、本発明者らによって大幅な低コスト化に成功したが、回収工程から生産物抽出工程の間で、微細藻類回収物の乾燥工程の低コスト化及び低エネルギー化にはまだ改善の余地があった。特に、乾燥工程は、多量のエネルギーを投入しなければならず(非特許文献1)、この工程の改善で大幅な低コスト化及び低エネルギー化を達成できる可能性がある。
このように本発明が解決しようとしている課題は、回収物の含水率を低下させることにある。液面浮遊培養法によって培養し、得られた回収物中の含水率は、おおよそ90〜85%程度である。これぐらいの水準であれば、含水率の定義から1%の含水率の低下でも水分量を大幅に減らすことができ、これにより、生産物抽出工程で必要とする乾燥工程などに投入しなければならないエネルギー量を大幅に減らし、より低コストかつ低エネルギーで生産物生産が可能となる。
従来、微細藻類の培養は、分散培養によって行われているために、個々のサイズが非常に小さく、貫通状構造体を用いての回収は、一部の凝集性微細藻類又は凝集剤によって凝集させた微細藻類を除き困難であった。しかし、本発明では、液面上の巨大なフィルム状凝集性構造体である微細藻類バイオフィルムを回収対象としているため、貫通状構造体を用いての培養及び回収が容易である。具体的には、培養開始時に培養器の培地中に貫通状構造体を浸漬しておき、液面上に微細藻類バイオフィルムが形成された後、貫通状構造体を液面上の微細藻類バイオフィルムと共に液面より上の気相中へと移動し、培養を継続して行い、培養終了後に微細藻類を貫通状構造体上から回収する方法を用いる。さらに、液面より上の気相中に貫通状構造体を設置し、液面上に微細藻類バイオフィルムが形成された後、貫通状構造体を移動することで微細藻類バイオフィルムと接触させ、形成された微細藻類付着貫通状構造体を気相中へと移動し、培養を継続する方法も用いることができる。さらに、バイオフィルムの少なくとも一部が、気相中に設置しておいた貫通状構造体の貫通部位を通過した後、通過物のみを回収、あるいは、微細藻類バイオフィルム付着貫通状構造体を回収した後に、貫通状構造体に付着している微細藻類を回収する方法を用いることもできる。さらに別の方法として、第三の貫通状構造体用い、堆積法によって回収することもできる。以上の方法によって、微細藻類バイオフィルム回収物中の含水率を低下させることができる。
本発明は、以下を提供する。
[1] 培養器内の培地中で微細藻類を培養し、培地の液面にバイオフィルムを形成させるが、このとき培地中に貫通状構造体が配されている、培養工程;及び
形成されたバイオフィルムを、貫通状構造体とともに培地の液面上方の気相中に移動させ、バイオフィルムを回収する、回収工程
を含む、微細藻類の培養方法。
[2] 培養器内の培地中で微細藻類を培養し、培地の液面にバイオフィルムを形成させるが、このとき培地の液面の上方に貫通状構造体が配されており、バイオフィルムが、少なくともその一部が貫通状構造体に接触及び/又は貫通状構造体を貫通するように形成される、培養工程;及び
形成されたバイオフィルムを回収する、回収工程
を含む、微細藻類の培養方法。
[3] 培養器内の培地中で微細藻類を培養し、培地の液面にバイオフィルムを形成させる、培養工程;及び
形成されたバイオフィルムを、貫通状構造体を用いて構造体上に堆積させるように回収するか又は貫通状構造体を接触させて転写させるように回収する、回収工程
を含む、微細藻類の培養方法。
[4] 培養器内の培地中で微細藻類を培養し、培地の液面にバイオフィルムを形成させる、培養工程;及び
形成されたバイオフィルムを、貫通状構造体に接触させて転写させ、貫通状構造体とともに培地の液面上方の気相中に移動させ、バイオフィルムを回収する、回収工程
を含む、微細藻類の培養方法。
[5] [1]又は[4]に記載の培養方法であって、形成されたバイオフィルムを貫通状構造体とともに移動させ、培地の液面上方の気相中に配して培養を行った後に、バイオフィルムを回収するものである、培養方法。
[6] 回収工程の後に、さらに培養工程を繰り返すものである、[1]〜[5]のいずれか一に記載の培養方法。
[7] 貫通状構造体が、二以上の構造体を重ねてなるものである、[1]〜[6]のいずれか一に記載の方法。
[8] 培養工程において、培養器内へ蒸留水又は培地が添加される、[1]〜[7]のいずれか一に記載の培養方法。
[9] 貫通部位が、円形、方形、不定形の中が選ばれる少なくとも一つである、[1]〜[8]のいずれか一に記載の培養方法。
[10] 貫通部位の大きさが、0.1mm以上である、[1]〜[9]のいずれか一に記載の培養方法。
[11] 貫通部位の大きさが、1mm以上である、[10]に記載の培養方法。
[12] 貫通孔構造体が、液面と貫通状構造体との距離が1mm以上であるように配される、[2]に記載の培養方法。
[13] 微細藻類が緑藻である、[1]〜[12]のいずれか一に記載の培養方法。
[14] 微細藻類が、botryococcus sp.、Chlamydomonas sp.、Chlorococcum sp、Chlamydomonad sp.、Tetracystis sp.、Characium sp.又はProtosiphon sp.に属するものである、[1]〜[13]のいずれか一に記載の培養方法。
[15] 微細藻類が、botryococcus sudeticusに属するものである、[1]〜[14]いずれか一に記載の培養方法。
[16] 微細藻類が、botryococcus sudeticus FERM BP−11420、又はそれと分類学的に同一の性質を有する微細藻類株である、[1]〜[15]のいずれか一に記載の培養方法。
[17] [1]〜[16]のいずれか一に定義された培養方法による工程を含む、藻類バイオマスを製造する方法。
[18] 藻類バイオマスが、オイルである、[17]に記載の製造方法。
本発明の方法を用いることによって、液面上の微細藻類バイオフィルムを低い含水率で容易、かつ低コストで回収することができる。これにより、生産物抽出工程での乾燥工程に使用するエネルギー投入量を低下させることができ、低コスト培養を行うことができる。
本発明の模式図。(a)は、微細藻類懸濁液を入れた培養器に第一の貫通状構造体を培地中に浸漬した状態。(b)は、懸濁液を静置することで、培養器底面に、微細藻類の種類に応じて数秒から数十分間で微細藻類が沈んだ状態。(c)は、培養を行うことで、液面上に微細藻類バイオフィルムが形成された状態。(d)は、培地中に浸漬していた第一の貫通状構造体を培地中から気相中に引き出し、液面上の微細藻類バイオフィルムを貫通状構造体の表面に付着させた状態。(e)は、微細藻類バイオフィルムが付着した貫通状構造体を培養器外に出した状態。(f)は、貫通状構造体の表面に付着していた微細藻類バイオフィルムを脱着した状態。(g)は、底面上に残った微細藻類と、再び培地中に貫通状構造体を浸漬した状態。このまま継続培養すると(c)の状態になる。すなわち、繰り返し培養を行うことができる。(h)は、気相中に設置した微細藻類付着貫通状構造体をさらに培養したものである。(d)と同様に、回収、脱着、繰り返し培養を行うことができる。 本発明の模式図。(a)は、微細藻類懸濁液を入れた培養器に第二の貫通状構造体を気相中に設置した状態。(b)は、懸濁液を静置することで、培養器底面に、微細藻類の種類に応じて数秒から数十分間で微細藻類が沈んだ状態。(c)は、培養を行うことで、液面上に微細藻類バイオフィルムが形成された状態。(d)は、微細藻類バイオフィルムの増殖が進展し、第二の貫通状構造体の貫通部位を突き抜けて成長した状態。(e)は、微細藻類バイオフィルムが付着した貫通状構造体を培養器外に出した状態。(f)は、貫通状構造体の表面に付着していた微細藻類バイオフィルムを脱着した状態。(g)は、底面上に微細藻類が残っている状態と、再び気相中に貫通状構造体を設置した状態。このまま継続培養すると、(c)の状態になる。すなわち、繰り返し培養を行うことができる。(h)は、気相中に設置した微細藻類付着貫通状構造体をさらに培養したものである。(d)と同様に、回収、脱着、繰り返し培養を行うことができる。 本発明の模式図。(a)は、培養器に微細藻類懸濁液を入れた状態。(b)は、懸濁液を静置することで、培養器底面に、微細藻類の種類に応じて数秒から数十分間で微細藻類が沈んだ状態。(c)は、培養を行うことで、液面上に微細藻類バイオフィルムが形成された状態。(d)は、液面上の微細藻類バイオフィルムを第三又は第四の貫通状構造体を用いて回収している状態。(e)は、微細藻類バイオフィルムが付着、または堆積した貫通状構造体を培養器外に出した状態。(f)は、貫通状構造体の表面に付着、または堆積していた微細藻類バイオフィルムを脱着した状態。(g)は、液面上の微細藻類バイオフィルムが除去され、底面上に微細藻類が残った状態。このまま継続培養すると、(c)の状態になる。 CSiFF04培地の組成 金網を用いた培養結果。目開きと含水率および乾燥藻体量との関係 貫通状構造体を用いた培養例の写真 微細藻類ボツリオコッカス スデティクス(Botryococcus sudeticus)AVFF007株の18S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列の一部(配列番号1)
以下、本発明による微細藻類の培養方法の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
[本発明の方法]
本発明の基本的な構成を図1〜3に示した。なお、本模式図は、本発明を説明するためのものであることから、簡略化して表記されている部分がある。
[本発明の方法1:貫通状構造体を培地中に浸漬した後、気相中に設置した場合]
図1の(a)に示した様に、微細藻類の懸濁液を調製し、培養器に入れる。なお、第一の貫通状構造体を液面より下の領域に浸漬しておく。
浸漬する深さは、液面と第一の貫通状構造体との距離(基板に厚みがある場合は、液面と貫通状構造体の液面側である上面との距離)は、0.1mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましい。この距離の最大値は、液面と培養器底面との間の距離以下である。
次に、培養器を静置状態にしておくと、図1の(b)に示したように、微細藻類の種類に応じて、数秒から数十分で底面に沈む。なお、微細藻類が底面に沈むとは、大部分が底面に沈むことをいい、液面上や液中、培養器側面やその他表面や培地中から完全に微細藻類が存在しなくなる状態をいうものではない。この状態でしばらく培養すると、図1の(c)に示した様に、液面上に微細藻類から構成されたバイオフィルムが形成される。さらに培養を継続すると、フィルム状構造体から三次元状構造体へと構造は変化する。なお、この変化は連続的である。また、図1の(c)に示した様に、培養器底面にも微細藻類は存在し、図には記載していないが、培養器側面やその他表面にも存在している。
この(c)の状態で、例えば、微細藻類のオイル含有量を向上させるために、少なくとも一部の培地を置換しても良い。例えば、もしくは少なくとも一方の濃度が、置換前の培養開始時に使用していた濃度よりも少ない濃度の培地と置換することができる。また、液面上の微細藻類と培養器の壁面とが接触している部位では、微細藻類バイオフィルムが壁面に付着していることが多く、培地置換時の液面の低下で、微細藻類バイオフィルムが予定外の部位に付着したり、バイオフィルムが破けたりする問題があったが、この問題を回避するために、液面上の微細藻類バイオフィルムと培養器壁面との付着部位を金属へらのようなもので剥がす操作を行うことができる。なお、培養の進行に伴って培地の液量が蒸発などにより徐々に減少する場合がある。その場合にも、失われた液量に相当する液量を添加してから、バイオフィルムと壁面との付着部位を剥がすこともできる。なお、剥がす方法は、目的を達成できるものであれば特に限定しない。金属製のへらのようなものや棒、フィルムなどを用いることができる。また、道具を使わなくとも、液面の波や超音波などで脱離させることもできる。これは、図2、図3でも同様である。
その後、第一の貫通状構造体を液面の方向に向かって上昇させることで、液面上の微細藻類バイオフィルムを第一の貫通状構造体の上面に接触させる。さらに、第一の貫通状構造体を液面から離れる方向に上昇させ、その結果、微細藻類バイオフィルムを液面から離れる。すなわち、微細藻類付着貫通状構造体は、気相中に存在することになる。なお、液面から離れるとは、液面上の微細藻類バイオフィルムの大部分が離れることをいい、すべてが離れるという意味ではない。
この状態で回収を行うこともできるが、さらに培養を行うこともできる。すなわち、図1の(d)から(h)への工程である。前者の場合には、十分に培養を行い、必要な有用物質の量を蓄積できたと判断される場合には、採用することができる。また、後者の場合には、さらなる培養を行うことによって、微細藻類バイオフィルム中に有用物質を蓄積する場合に採用することができる。
図1の(d)や(h)の微細藻類の構造は、微細藻類バイオフィルムの主要な部分が離れていれば良く、一部は、液面と接触していても良い。バイオフィルムの内部構造は、溶液が流れることが可能な配管状のものが形成されているといわれている。この様な配管を通じて、バイオフィルム中の微細藻類に必要な水分や栄養分を届けていると考えられている。以上から、微細藻類バイオフィルムの一部が液面と接触し、必要な水分を、この部位から得ていると考えられ、微細藻類バイオフィルムの一部が液面に接触しているほうが好ましい。また、この様な構造を形成することで、微細藻類バイオフィルム中の窒素化合物やリン化合物の濃度が低下し、オイル蓄積工程と同様の効果を得ることができる。なお、微細藻類バイオフィルムを回収する直前に、微細藻類バイオフィルムと第一の貫通状構造体とを完全に液面から離してもかまわない。これにより、含水率をさらに低下させることができる場合があるからである。
液面と第一の貫通状構造体との距離(第一の貫通状構造体に厚みがある場合は、液面と第一の貫通状構造体の液面側の面との距離)は、0.1mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましい。この距離の最大値は、液面と培養器上面との間の距離以下である。
貫通部位のサイズ(貫通状構造体が網状である場合は「目開き」ということもある。貫通孔が円形である場合は、その直径。)は、微細藻類の大きさ以上であれば良いが、0.1mm以上が好ましく、1mm以上がさらに好ましく、1cm以上が最も好ましい。最大値は、1m以下、好ましくは50cm以下、より好ましくは10cm以下である。0.1mm以上であれば、回収物の含水率を好適に下げることができる。また、1m以下であると、微細藻類バイオフィルムの自重によるバイオフィルム構造の破壊やそれに伴う培地への接触による含水率の増加を可能な限り抑制することができる。
次に、第一の貫通状構造体上の微細藻類バイオフィルムを回収する。図1では、培養器から第一の貫通状構造体を取り出し、その後、微細藻類バイオフィルムを回収しているが、図1の(d)もしくは(h)の状態で第一の貫通状構造体上の微細藻類を回収しても良い。すなわち、図1の(e)の状態を経由せずに(f)の状態にしても良い。この様にすることで、第一の貫通状構造体を培養器から出し入れする必要がなく、より簡便に回収を行うことができる。
図1の(d)もしくは(h)の状態にしてから、直ちに第一の貫通状構造体上の微細藻類を回収しても良いし、液面と第一の貫通状構造体との距離を大きくし、液面からの水分の供給を完全にカットした後、しばらく放置し、第一の貫通状構造体上の微細藻類を回収しても良い。これにより、培地置換と同等の効果が得られるとともに、含水率をさらに低下させることができる場合があるからである。
図1では、第一の貫通状構造体を上昇させることで気相中に第一の貫通状構造体と微細藻類バイオフィルムとの構造体を配置させているが、培地を減らすことで同様の状態を作り出してもかまわない。すなわち、培地を培養器外へと一部分除去することによって目的を達成することも可能であるし、培地の蒸発によって徐々に自然に液面を下げていく方法も行うことも可能である。後者の場合、他の方法と比べて、液面の変化速度が小さく、液面の変化に伴う微細藻類バイオフィルムへの影響を小さくすることができる点からより好ましい。すなわち、微細藻類バイオフィルムと第一の貫通状構造体とが接触した後には、微細藻類バイオフィルムの一部分が自発的に液面と接している状態で液面を変化させることができることから、微細藻類バイオフィルムへの養分や水分の供給を無理やり遮断しない状態で行うことができることから、より好ましい。また、上記の方法と、第一の貫通状構造体を上昇させる方法とを組み合わせて用いることも可能である。
また、液面と微細藻類バイオフィルムとの距離が離れすぎないように、培養器に培地を添加してもかまわない。
第一の貫通状構造体上の微細藻類バイオフィルムを回収し、再び第一の貫通状構造体を培地中に浸漬した状態が図1の(g)である。微細藻類は、主として、培養器底面に沈んでいるが、第一の貫通状構造体の表面や培養器側面、培地中にも存在している。従って、これらを種藻として培養を再度開始することも可能であり、再び、図1の(c)の状態にすることも可能である。この様に、何度でも繰り返して培養を行うことは可能である。繰り返し培養は、培地中に増殖のための栄養成分が残っている限り行うことが可能であるが、あまりにも低濃度であると増殖速度が遅くなってしまう可能性が高いため、その様な場合には、新たに培地を添加したり、少なくとも一部分の培地を置換したり、固形物状の栄養成分や高濃度の栄養成分を添加したりすることができる。
また、培地に糖を添加しても良い。糖を添加することで、微細藻類の増殖速度、オイル含有量の少なくとも一つを向上させることができるからである。また、糖と光とを併用しても良いし、光を用いずに糖だけで培養を行っても良い。
なお、図1の液面上の微細藻類は便宜上、フィルム状の構造体で図示しているが、三次元状構造体であっても良い。これは、図2、図3でも同様である。
また、微細藻類バイオフィルムは、主として、貫通部位を塞ぐように配置していることが好ましい。すなわち、海苔の養殖の場合には、主として、貫通部位がオープンになっているが、その様な形態は、含水率を低下させることが困難であるため好ましくない。
[本発明の方法2:貫通状構造体を気相中に設置した場合]
図2には、第二の貫通状構造体を培養器内の気相中に設置しておくことで、培養および回収を行う方法を示した。
図2の(a)に示した様に、微細藻類の懸濁液を調製し、培養器に入れる。なお、第二の貫通状構造体を液面より上の領域、すなわち、気相中に設置しておく。また設置は、培養途中に行っても良い。
液面と第二の貫通状構造体との距離(第二の貫通状構造体に厚みがある場合は、液面と第二の貫通状構造体の液面側である下面との距離)は、0.1mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましい。この距離の最大値は、液面と培養器上面との間の距離以下である。
次に、培養器を静置状態にしておくと、図2の(b)に示したように、微細藻類の種類に応じて、数秒から数十分で底面に沈む。なお、微細藻類が底面に沈むとは、大部分が底面に沈むことをいい、液面上や液中から完全に微細藻類が存在しなくなる状態をいうものではない。この状態でしばらく培養すると、図2の(c)に示した様に、液面上に微細藻類から構成されたバイオフィルムが形成される。なお、培養器底面にも微細藻類は存在し、図には記載していないが、培養器側面やその他表面にも存在している。
さらに培養を進行させると、微細藻類のフィルム状構造体は三次元状構造体へと構造は変化する。すると図2の(d)に示した様に、三次元状構造体の一部が第二の貫通状構造体の貫通部位を通過して第二の貫通状構造体の上面側へとあふれ出す。この状態で回収を行うこともできるが、さらに培養を行うこともできる。すなわち、図2の(d)から(h)への工程である。前者の場合には、十分に培養を行い、必要な有用物質の量を蓄積できたと判断される場合に採用することができる。また、後者の場合には、さらなる培養を行うことによって、微細藻類バイオフィルム中に有用物質を蓄積する場合に採用することができる。
図2の(d)や(h)の状態で培養器から微細藻類が付着した第二の貫通状構造体を培養器外へと移動したのが図2の(e)の状態である。さらに、ここから微細藻類を脱着した状態が図2の(f)の状態である。なお、フィルム状構造体から三次元状構造体への変化は連続的である。
貫通部位のサイズは、図1の場合と異なり、三次元状構造体が通過した方が良いことから、より大きなサイズが好ましい。1mm以上が好ましく、1cm以上がより好ましく、10cm以上がさらに好ましい。また、上限は、1m以下、好ましくは50cm以下、より好ましくは15cm以下である。10cm以上であれば、バイオフィルムの少なくとも一部が第二の貫通状構造体の貫通部位を通過し、貫通状構造体面上にあふれ出すことが可能である。また、1m以下であれば、バイオフィルム付着点が大きく離れることに由来する、バイオフィルムの自重によるフィルム構造の破壊が生じにくくなり、破壊によって生じたバイオフィルムの破片物が液面と接触し含水率が増加したり、破片物のバイオフィルム構造体からの落下による回収量の減少などの問題を回避できる可能性が高くなることから好ましい。
また、図2の(d)もしくは(h)の段階で、第二の貫通状構造体の貫通状構造を通過した微細藻類バイオフィルムだけを回収対象としても良い。この様にすることで、培地と接触せず、かつ、光源に近く、乾燥がより進んだ含水率の低い回収物を得ることができるからである。この方法の場合には、培養を継続することによって再び第二の貫通状構造体の貫通状部位を微細藻類バイオフィルムが通過できる場合があり、その場合には、上記と同様の方法で回収を行うことができる。また、(e)の状態を経由せずに(f)の状態にしても良い。すなわち、微細藻類が付着した第二の貫通状構造体を培養器外に移動せずに回収しても良い。この様にすることで、第二の貫通状構造体を培養器から出し入れする必要がなく、より簡便に回収を行うことができるからである。
また、ほとんどの藻体が貫通部位を通過しなくても本発明ではかまわないが、その場合には、微細藻類バイオフィルムが第二の貫通状構造体の下面に接触させたほうが好ましい。接触には、第二の貫通状構造体を移動せずに、微細藻類バイオフィルムの三次元状構造体の成長によって、第二の貫通状構造体に接触する場合と、第二の貫通状構造体を移動させることで、微細藻類バイオフィルムと接触させる方法と、部分的に接触したものの接触が不十分な場合に、さらなる接触を行うために第二の貫通状構造体を移動させることで微細藻類バイオフィルムと接触させる場合の、いずれでも用いることができる。さらに、微細藻類バイオフィルムが付着した第二の貫通状構造体を、液面から離す方向へと移動させても良い。すなわち、気相中に移動させても良い。さらに、この様な接触は、回収直前に行っても良いし、培養途中で行っても良い。前者の場合には、十分に培養を行い、必要な有用物質の量を蓄積できたと判断される場合に採用することができ、後者の場合には、さらなる培養を行うことによって、微細藻類バイオフィルム中に有用物質を蓄積する場合に採用することができる。
なお、これらの方法での貫通状構造のサイズは、図1の場合と同じとすることができる。
また、微細藻類が付着した第二の貫通状構造体を気相中へと移動させる目的として、液体培地との接触を最小限にすることで、少なくとも一部の微細藻類バイオフィルムと第二の貫通状構造体とを接触させることで形成した構造体の含水率を下げることができる。また、さらに含水率を下げるために、この状態でしばらく培養を継続してもかまわない。また同様に、培地の液量を減らしたり、蒸発した水を培養器に戻さないなどの方法で第二の貫通状構造体と液面との距離を離しても良い。また、液面と微細藻類バイオフィルムとの距離が離れすぎないように、培養器に培地を添加してもかまわない。
なお、微細藻類バイオフィルムが乾燥しすぎて培養に影響を与える場合には、微細藻類付着貫通状構造体を液面に接触させてもかまわない。これは、第一の貫通状構造体、第二の貫通状構造体を用いた培養の両方について行える。
微細藻類のオイル含有量を向上させるために、少なくとも培地の一部を置換することもできる。例えば、窒素化合物もしくはリン化合物の少なくとも一方が、培養開始時に使用していた培地置換前の濃度よりも少ない濃度の培地に置換することができる。また、液面上の微細藻類と培養器の壁面とが接触している部位では、微細藻類バイオフィルムが壁面に付着していることが多く、培地置換時の液面の低下で、微細藻類バイオフィルムが予定外の部位に付着したり、バイオフィルムが破けたりする問題があったが、この問題を回避するために、液面上の微細藻類バイオフィルムと培養器壁面との付着部位を金属へらのようなもので剥がす操作を行うことができる。なお、培養の進行に伴って培地の液量が蒸発などにより徐々に減少する場合がある。その場合にも、失われた液量に相当する液量を添加してから、バイオフィルムと壁面との付着部位を剥がすこともできる。なお、剥がす方法は、目的を達成できるものであれば特に限定しない。金属製のへらのようなものや棒、フィルムなどを用いることができる。また、道具を使わなくとも、液面の波や超音波などで脱離させることもできる。
第二の貫通状構造体上の微細藻類バイオフィルムを回収し、再び第二の貫通状構造体を気相中に設置した状態が図2の(g)である。微細藻類は、主として、培養器底面に沈んでいるが、第二の貫通状構造体の表面や培養器側面、培地中にも存在している。従って、これらを種藻として培養を再開することも可能であり、再び、図2の(c)の状態にすることも可能である。この様に、何度でも繰り返して培養を行うことは可能である。繰り返し培養は、培地中に増殖のための栄養成分が残っている限り行うことが可能であるが、あまりにも低濃度であると増殖速度が遅くなってしまう可能性が高いため、その様な場合には、新たに培地を添加したり、少なくとも一部の培地を置換したり、固形物状の栄養成分や高濃度の液体栄養成分を添加したりすることができる。また、培地に糖を添加しても良い。糖を添加することで、微細藻類の増殖速度、オイル含有量の少なくとも一つを向上させることができる場合があるからである。また、糖と光とを併用しても良いし、光を用いずに糖だけで培養を行っても良い。
また、図1、2とも貫通状構造体は、移動後固定して培養を継続しても良いし、ゆっくりと移動してから固定、又は、回収直前まで移動を続けても良い。移動速度を微細藻類バイオフィルムの成長速度にあわせると、貫通状構造体に接触している微細藻類と培地に接触している微細藻類との連続構造体が切断しにくく、その結果、培地からの水分の供給や栄養源の供給を遮断する可能性が低い状態で培養が行えるために好ましい。ただし、回収時の含水率を下げる目的や栄養源遮断によるオイル蓄積効果を期待する場合には、この限りではない。
なお、図1の説明で、図2でも同様に可能なものは、可能であるとする。
[本発明の方法3:貫通状構造体を用いた微細藻類の回収法]
図3では、第三の貫通状構造体又は第四の貫通状構造体を用いた回収方法の模式図を図示したものを示した。
図3の(a)に示した様に、微細藻類の懸濁液を調製し、培養器に入れる。次に、培養器を静置状態にしておくと、図3の(b)に示したように、微細藻類の種類に応じて、数秒から数十分で底面に沈む。なお、微細藻類が底面に沈むとは、大部分が底面に沈むことをいい、液面上や液中から完全に微細藻類が存在しなくなる状態をいうものではない。この状態でしばらく培養すると、図3の(c)に示した様に、液面上に微細藻類から構成されたバイオフィルムが形成される。なお、培養器底面にも微細藻類は存在し、図には記載していないが、培養器側面やその他表面にも存在している。
本発明では、培養の際に培養器を静置状態にしておくことが好ましいが、激しく攪拌しない限り、振盪培養を行っても本発明と同様の培養を行うことは可能である。しかし、液面上に形成されるバイオフィルム中の藻体数が多くなることから、静置状態での培養が好ましい。
その後、液面上の微細藻類バイオフィルムを二つの方法のいずれかによって回収することができる。まず、第一の方法は、図3の(d1)に示したように、第三の貫通状構造体の一部を培地中に浸漬した後、図の左側から右側へと移動させながら、その表面に液面上の微細藻類を堆積させる方法である。本発明では、この方法を堆積法による回収と呼ぶことにする。第二の方法は、図3の(d2)に示したように、第四の貫通状構造体を微細藻類バイオフィルムと接触させた後、第四の貫通状構造体の表面に微細藻類バイオフィルムを転写することで回収する方法である。本発明では、この方法を転写法による回収と呼ぶことにする。貫通状構造体を培養器外に出した状態が、それぞれ、図3の(e1)と(e2)である。貫通状構造体の表面上の微細藻類を脱着した状態が図3の(f)の状態である。なお、脱着させるとは、貫通状構造体上の回収した微細藻類の大部分が脱着されることをいい、すべてを脱着させることではない。
また、図3の(d2)の状態で貫通状構造体と微細藻類バイオフィルムとの付着物を液面から離して、図1の(d)の状態にしてから、図1と同様の方法で培養を継続しても良い。ただし、図では、微細藻類バイオフィルムの基板に対する付着面は、上下逆となる。
また、液面上の微細藻類は、フィルム状構造体として描いているが、三次元状構造体であっても良く、むしろその方が藻体量は多く、含水率が低下し易いことからより好ましい。これは、図1でも同様である。また、第四の貫通状構造体による回収方法よりも第三の貫通状構造体による回収方法の方がより好ましい。これは、回収物あたりの貫通状構造体の表面積が小さく、回収物が網目構造体の隙間に入り込み、回収量が低下する問題点を少なくすることができるからである。また、貫通状構造体のサイズを小さくすることが容易で、ハンドリングが容易だからである。
第三の貫通状構造体及び第四の貫通状構造体の貫通部位のサイズは、微細藻類の大きさ以上であれば良いが、0.1mm以上が好ましく、1mm以上がさらに好ましく、1cm以上が最も好ましい。最大値は、1m以下、好ましくは50cm以下、より好ましくは10cm以下である。0.1mm以上であれば、回収時により多くの培地を抱き込むことなく回収できる。また、1m以下であれば、バイオフィルムの自重によるフィルム構造の破壊が生じにくくなり、破壊によって生じたバイオフィルムの破片物が液面と接触し、含水率が増加するなどの問題を回避できる可能性が高くなる。
第三の貫通状構造体又は第四の貫通状構造体を用いて、液面上の微細藻類を回収した後が、図3の(g)の状態である。微細藻類は、主として、培養器底面に沈んでいるが、第三、四の貫通状構造体の表面や培養器側面、培地中にも存在している。従って、これらを種藻として培養を再度開始することも可能である。この様に、何度でも繰り返して培養を行うことは可能である。繰り返し培養は、培地中に増殖のための栄養成分が残っている限り行うことが可能であるが、あまりにも低濃度であると増殖速度が遅くなってしまう可能性が高いため、その様な場合には、新たに培地を添加したり、少なくとも一部の培地を置換したり、固形物状の栄養成分や高濃度の液体栄養成分を添加したりすることができる。また、培地に糖を添加しても良い。糖を添加することで、微細藻類の増殖速度、オイル含有量の少なくとも一つを向上させることができるからである。また、糖と光とを併用しても良いし、光を用いずに糖だけで培養を行っても良い。
なお転写による回収では、模式図では、培養器の液面全面に対して貫通状構造体を接触させているが、部分的に接触させても良いし、部分的な接触を複数回繰り返しても良い。この様にすることで、液面上の微細藻類の回収効率が向上するからである。さらに、第四の貫通状構造体の表面に、微細藻類のフィルム状構造体もしくは三次元状構造体を重ねるようにして転写することもできる。この中で、1m未満の培養面積の場合には、一回の転写で、1m以上の培養面積の場合には複数回の転写で行うことが好ましい。
第三、第四の貫通状構造体のサイズは、培養器のサイズに応じて適宜変更できるが、第三、四の貫通状構造体は、培養器内寸の短辺よりも少し小さな貫通状構造体を用いる方が好ましい。これにより、液面上のバイオフィルムが、培養器と第三もしくは第四の貫通状構造体との間の隙間を通って回収漏れが発生しにくくなるためである。
第三の貫通状構造体による回収法では、図の右側から左側に貫通状構造体を移動させているが、その移動方向は、逆(すなわち、図の左側から右側への貫通状構造体の移動)でも良いし、複数回回収しても良い。複数回回収を行うことによって、回収率が向上するからである。複数回回収する場合には、バイオフィルムを付着させたままの第三の貫通状構造体を用いても良いし、その表面からバイオフィルムを全部もしくは部分的に除去した後の貫通状構造体を用いても良いし、新しい貫通状構造体を用いても良い。また、図3では1枚の第三の貫通状構造体しか記していないが、複数枚の第三の貫通状構造体を同時に用いても良い。これにより、回収率が向上するからである。なお、この中で第三の貫通状構造体の強度が許す限り、一枚の第三の貫通状構造体を用い、回収したバイオフィルムを脱着した後、同一の第三の貫通状構造体を用いて回収を再開することが、回収装置の設置コストの面などから好ましい。また、第三の貫通状構造体の大きさ、液面に対する第三の貫通状構造体の角度や移動速度などは目的に応じて自由に設定することができる。
第三の貫通状構造体を用いての回収では、液面上のバイオフィルムのみ回収しても良いし、液面上のバイオフィルム、及び底面上の微細藻類バイオフィルムの少なくとも一部の両方を回収しても良い。これは、液面及び底面の両方の微細藻類ともバイオマスとして利用が可能だからである。ただし、一般的には、有用物質としてオイルを考慮すると、液面上の微細藻類よりも底面上の微細藻類の方がオイル含有量は低くなる。従って、底面藻を回収することは目的に応じて適時選択することが望ましい。例えば、底面上の微細藻類を種藻として利用する場合、回収操作で底面上の微細藻類の量が減少すると培養に悪影響を及ぼす場合がある。本発明では、培地除去後の新しい培地の添加時や回収操作の直前に培地を添加することによって、培養器中の培地の水深を深くし、底面上の微細藻類の回収工程での混入を最小限にすることができる。
本発明の貫通状構造体(第一、二、三、四の貫通状構造体)は、異なる貫通状構造体を複数枚重ねて使用しても良い。例えば、強度の弱い貫通状構造体に対して、強度の高い貫通状構造体を重ねることによってその変形を最小限に抑えることができる。なお、微細藻類に面している貫通状構造体は網目サイズが細かく、微細藻類から離れている方の貫通状構造体は網目サイズが大きい方が好ましい。また、後者の方が貫通状構造体を構成する素材の厚みが厚い方が好ましい。厚みが厚いと一般的には強度が高くなるからである。
[貫通状構造体の貫通部位の構造]
本発明の貫通状構造体は、少なくとも一つの貫通部位を有する。貫通部位とは、構造体に対して貫通穴が開いた部分のことをいい、貫通穴の形成法についてはどの様な方法で形成しても良い。例えば、シート状物に穴を開けても良いし、糸状物を重ねることで織物や編物状にしても良い。
貫通部位の数も特に制限なく設置することができ、そのサイズは均一であっても良く、不均一であっても良い。貫通部位の形は、円形、方形、線形、不定形など様々な形を用いることができる。
また、貫通状構造体は、移動を行っていないときは培養器に固定できるほうが好ましい。特に、第一、二の貫通状構造体は、固定した方が好ましい。
[貫通状構造体からの脱着方法]
貫通状構造体からのバイオフィルムの脱着は、バイオフィルムを貫通状構造体から脱着させることが可能な方法であればいかなる公知の方法を使用することもできる。例えば、セルスクレーバーのようなものを用いて貫通状構造体からバイオフィルムを剥ぎ取る方法、水流を用いる方法、超音波を用いる方法などをあげることができるが、セルスクレーバーのようなものを用いる方法が好ましい。これは、他の方法では、バイオフィルムが培地などで薄められることになり、再度濃縮が必要な場合があり、非効率であるからである。
また、貫通状構造体は、何度でも再利用してもかまわない。
[液面上の微細藻類バイオフィルムの回収量]
第三・四の貫通状構造体を用いての回収方法は、液面上に形成されたバイオフィルムの70%以上を回収することが好ましく、80%以上を回収することがより好ましく、90%以上を回収することが更に好ましく、99%以上回収することが最も好ましい。液面上に形成されたバイオフィルムの回収率は例えば、目視で確認することができる。
[微細藻類]
本発明の微細藻類とは、人の肉眼では、個々の存在が識別できないような微小な藻類を指す。微細藻類としては、液面上においてバイオフィルム形成能を有するものであれば特に制限はなく、原核生物及び真核生物のいずれであってもよい。
上記微細藻類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、藍色植物門、灰色植物門、紅色植物門、緑色植物門、クリプト植物門、ハプト植物門、不等毛植物門、渦鞭毛植物門、ユーグレナ植物門、クロララクニオン植物門などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、上記微細藻類としては、緑色植物門が好ましく、緑藻であることがより好ましい。バイオマスを産生する点で、ヘマトコッカス(Haematococcus sp.)属、クラミドモナス(Chlamydomonas sp.)属、クロロコッカム(Chlorococcum sp.)属、ボツリオコッカス(Botryococcus sp.)属がより好ましい。
上記微細藻類を入手する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、自然界より採取する方法、市販品を用いる方法、保存機関や寄託機関から入手する方法などがあげられる。なお、本発明で用いられる微細藻類は、純化工程を経由したものであることが好ましい。純化工程とは、微細藻類を単一の種類にする目的で行う工程であり、必ずしも完全に単独の微細藻類のみにすることをいうものではない。
本発明では、上記微細藻類の中でも有用物質を生産できることが好ましい。特に、医薬品、化粧品、健康食品の中間体や最終生成物、合成化学で使用する原料、炭化水素化合物やトリグリセリド、脂肪酸化合物のようなオイル状物、水素のような気体などを生成する微細藻類が好ましい。なお、これらを本発明では、生産物と呼ぶことがある。さらに本発明では、液面上での培養および液面からの回収が良好であること、高い増殖速度を持つこと、高いオイル含有率を有していること、少なくとも培養中は臭いが殆どなく、有毒物質の発生も確認されていないこと、のいずれかを満たす微生物を用いることが好ましい。
[バイオフィルム]
本発明でのバイオフィルムとは、岩などの表面に付着している微細藻類構造体(微細藻類集合体又は微細藻類膜、生物膜)のことをいうが、これらに加えて本発明では、液面のような流動性のある表面に存在している、微細藻類から構成されたフィルム状構造体または三次元状構造体のこともバイオフィルムという。なお、自然界でのバイオフィルムは、目的微細藻類とともに、ゴミや植物の破片などを含んでいることがあるが、本発明では純化工程を経由して得られた試料であれば、これらを含んでいてもよい。しかし、理想的には、本発明に係る微細藻類と該微細藻類の増殖時に分泌される細胞間マトリックスなどのような物質のみから構成されていることがより好ましい。また、底面上の微細藻類もフィルム状構造体を形成していれば、バイオフィルムということができる。
またバイオフィルムは、個々の微細藻類同士が直接もしくは細胞間マトリックスのような物質(例えば、多糖等)を介して付着しあっている構造であることが好ましい。
本発明では、液面上でバイオフィルムが形成可能な微細藻類を用いる必要がある。そのような微細藻類の好ましい例は、微細藻類ボツリオコッカス スデティクス(Botryococcus sudeticus)やChlorococcum属をあげることができる。より具体的な例として、ボツリオコッカス スデティクス AVFF007株(以下、AVFF007株と略称する。)、FFG039p1株をあげることができる。なお、18S rRNAをコードする遺伝子配列解析の結果、FFG039p1株はChlorococcum sp.と同定されている。
[AVFF007株]
本明細書の実施例で使用した微細藻類、AVFF007株は、受託番号FERM BP−11420として、2011年(平成23年)9月28日付で独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)にブタベスト条約の下で、富士フイルム株式会社(日本国東京都港区西麻布2丁目26番30号)により、国際寄託されている。なお、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターの業務は、2012年(平成24年)4月1日より、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 120号室)に引き継がれている。
AVFF007株は、本発明者らが、日本国京都府の淡水池から単離した淡水微細藻類の新規株である。AVFF007株は、その18S rRNA遺伝子の塩基配列の一部(配列番号:1、図7)を国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information、NCBI)のデータに基づき、BLASTで解析した結果、Botryococcus sp. UTEX2629(Botryococcus sudeticus)株に近縁の微細藻類であると同定された(UTEX2629株側の1118塩基中、AVFF007株側の1109塩基が同一であった。)。AVFF007株は、Characiopodium sp. Mary 9/21 T−3wとも近縁の微細藻類であり、今後、Characiopodium属に変更される可能性もある。その場合、AVFF007株の名称は変更されるものとし、また、Characiopodium属以外に変更された場合にも、AVFF007株の名称は変更されるものとする。
本発明には、AVFF007株と分類学的に同一の性質を有する株を用いることができる。AVFF007株の分類学的性質を以下に示す。
AVFF007株の分類学的性質
1.形態的性質
緑色円形状である。浮遊性であり、液面及び底面で増殖することができる。サイズは4〜30μmである(液面上の場合は比較的大きく、底面上のものは比較的小さい。)。液面上で増殖し、フィルム状構造体を形成する。増殖に伴って、液面上に気泡を発生し、これらが重なり合って液面上に三次元構造体を形成する。また、オイルを生産する。
2.培養的性質(培養方法)
(1)培地:CSiFF04(CSi培地を改良したもの。組成を図4に示した。NaOHもしくはHClにてpH 6.0に調整する。培地は、121℃、10分で滅菌することができる。)
(2)培養温度:好適温度は23℃であり、37℃以下であれば培養できる。
(3)培養期間(概ね定常期に達するまでの期間)は、初期使用藻体量によるが、2週間〜1ヶ月である。通常、1×10個/mLで培養することができる。
(4)培養方法:好気培養、静置培養が適する。
(5)光要求性:要。光強度:4000〜15000ルクス、明暗周期:明期時間12時間/暗期時間12時間。継代培養の際は、4000ルクスで培養することができる。
なお、AVFF007株は、上記の培養的性質(培養方法)にしたがった継代培養により、保管することができる。植え継ぎは、液面上に浮いている微細藻類を採取し、ピペッティングなどの分散を行った後、新しい培地に分散させることにより、行うことができる。なお、継代直後は、培養器底面に沈んでいるが、1週間程度で液面上にバイオフィルムを形成し始める。継代直後から液面上に存在させても、増殖することができる。植え継ぎ間隔は、約1ヶ月である。なお黄色味を帯びてきたら、継代する。
AVFF007株と分類学的に同一の性質を有する株には、微細藻類であって、その18S rRNA遺伝子が、配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも95.0%、好ましくは98.0%、より好ましくは99.0%、さらに好ましくは99.5%、最も好ましくは99.9%の配列同一性を有するものが含まれる。
本発明で塩基配列について配列同一性というときは、2つの配列を最適の態様で整列させた場合に、整列した領域内の2つの配列間で共有する一致した塩基の数の百分率を意味する。すなわち、同一性=(一致した塩基の数/塩基の全数)×100で算出でき、市販もしくは一般に公開されているアルゴリズムを用いて計算することができる。塩基配列の同一性に関する検索・解析は、当業者には周知のアルゴリズムまたはプログラムにより行うことができる。プログラムを用いる場合のパラメーターは、当業者であれば適切に設定することができ、また各プログラムのデフォルトパラメーターを用いてもよい。これらの解析方法の具体的な手法もまた、当業者にはよく知られている。
[FFG039p1株]
本明細書の実施例で使用した微細藻類、FFG039p1株は、本発明者らが日本国奈良県において採取したものである。AVFF007株に比較して、増殖性が良く、オイル生産性に優れる。また、バイオフィルムの構造が壊れにくく、回収が容易であるという特徴を有する。なお、FFG039p1株はChlorococcum sp.である。
[浮遊培養]
本発明では、微細藻類を培地中に分散させた状態で培養することを浮遊培養と呼んでいる。なお本発明では、液面上での培養を浮遊培養とは呼ばないものとする。浮遊培養は、本培養工程では行わないが、前培養工程では目的に応じて使用できる。
[液面浮遊培養]
本発明では、液面上で微細藻類を培養する培養方法のことを液面浮遊培養という。なお、培養器底面、側面、その他表面上や培地中などに微細藻類が同時に存在していても、主たる目的が液面上での培養である場合には、液面浮遊培養という。また液面上でにはバイオフィルムとともに泡沫がたくさん存在し、液面がどの位置か必ずしも明確でない場合があり、またバイオフィルムが自重によって液面下に多少沈んでいる場合があるが、本発明で液面上というときは、完全な液面のみならず、このような場合も含む。ただし、微細藻類を液中、培養器の底面のいずれか一方のみ、または、両方のみで培養する培養方法は液面浮遊培養には含まれない。
なお本発明における液面とは、典型的には後述する液体培地の液面であり、通常、液体培地と空気との界面である。また、水が主成分となる場合は、水面のことである。
また、本発明での液面浮遊培養を行っていると、液面上のフィルム状構造体もしくは三次元状構造体からひだ状の構造体が液中へと侵入する現象が見られることがある。本発明では、この様な状況での培養も液面浮遊培養に含むものとしている。
また本発明では、膜貫通状構造体表面上で微細藻類バイオフィルムを培養しているが、これらの構造体が液中や気相中にあったとしても、培養器内に存在していれば、この様な培養法も液面浮遊培養の一種に含まれるとしている。
液面浮遊培養を行うための種藻としては、懸濁処理を行った後、培養器に添加してもよく、種藻の添加後、液体培地との混合を促進するために攪拌を行っても良い。また、微細藻類バイオフィルムを培養器の液面に対して添加し、浮かせた状態で培養を開始しても良いし、浮かせてから微細藻類バイオフィルムの液面からの離脱が最小限になるように、微細藻類バイオフィルムを可能な限り沈まないように液面上で分割処理し、さらに、培養器液面上に分散するように攪拌してもかまわない。
[前培養工程]
本発明の前培養工程とは、純化工程を終了した後に得られた保存用微細藻類を増殖させ、本培養が行えるまで微細藻類の数を増やす工程のことである。前培養工程の培養法は、公知のいかなる培養方法でも選択可能である。例えば、分散培養法や付着培養法、本発明者らにより開発された液面浮遊培養や本発明の培養法などを行うことが可能である。また、本培養が行える規模まで微細藻類を増殖させるために、前培養を本培養が行える規模まで微細藻類を増殖させるために、前培養工程を数回行っても良い。また、前培養工程では、目的に応じて静置培養を行っても良いし、振盪培養などの非静置培養を行っても良い。
また、一般的には、1cm〜1m以下の表面積を持つ培養器を使用し、屋内外いずれでも培養可能である。
[本培養工程]
本培養工程とは、前培養工程を行った後の培養工程のことであり、最終回収工程を行う直前までの培養工程のことをいう。本培養工程は、液面上のフィルム状構造体もしくは三次元状構造体が十分な量形成されたときに終了することができる。本培養工程は、例えば、数日〜数週間で、より特定すると、5日〜4週間で終了することができる。また、本培養工程は、複数回行っても良いものとする。
また、一般的には、100cm以上の表面積を持つ培養器を使用し、屋内外いずれでも培養可能であるが、屋外での培養の方が好ましい。
[種藻]
本発明での種藻とは、前培養工程や本培養工程の開始時に使用する微細藻類のことを指し、前培養工程や本培養工程における微細藻類の培養の元となる微細藻類のことをいう。
回収工程の後に、液面上や貫通状構造体上に残存している微細藻類を用いて、培養を再開することができるが、これらの微細藻類を種藻として扱うことができる。
また、液面に微細藻類バイオフィルムを浮かせた状態や底面に微細藻類が存在している状態で培養を開始することもでき、それらの場合にも、これらの微細藻類を種藻として利用することができる。さらに、底面や培養器のその他の場所、培養を構成するその他の治具などに付着存在している微細藻類も、種藻として利用することができる。
[液面上の微細藻類の種藻としての利用]
本発明では、液面上の微細藻類を種藻として使用することで培養を行うこともできる。回収工程で、液面上の微細藻類バイオフィルムの一部を残しておく方法などである。また、図1〜3の(e)(e1、e2含む)や(f)の工程の後、一部の微細藻類バイオフィルムを採取し、これを液面上に浮かせることで培養を開始することも可能である。さらに、液面上のバイオフィルムを破砕し、破砕物の多くを液面に浮かせたまま培養を開始することもできる。この様にすることで、培養器の液面を有効活用することができ、微細藻類非存在領域に対しても存在させることができることから、増殖速度を向上させることができる場合が多いからである。
[底面藻]
本発明での底面藻とは、培養器底面近傍に存在している微細藻類のことを指す。この中には、底面に付着し、軽い液流程度では剥がれないものや、底面近傍に存在し、軽い液流程度でも移動してしまう非付着性底面藻も存在している。また、回収操作によって微細藻類バイオフィルムから離れ、底面近傍へと沈んでしまった液面藻も、本発明では非付着性底面藻に含めることができる。
なお、本発明の模式図では液面上への微細藻類の供給が底面から行われるように記されているが、液面や底面以外の培地中にも低濃度ながら微細藻類が存在している場合には、これらが種藻の供給源となる可能性もある。また、培養器底面から液面上への微細藻類の供給とは、底面の微細藻類の増殖を伴わずに液面上に移動する場合と、微細藻類が底面から液面上に移動しながら増殖する場合との両方がある。
[底面上の微細藻類の種藻としての利用]
本発明では、図1〜3の(g)から(c)への工程のように、底面上の微細藻類を種藻として使用し、培養を継続することもできる。培地中に栄養成分が残っていれば、使用済みの培地をそのまま使用して培養を継続しても良いし、使用済み培地の一部を廃棄し、新しい培地を添加しても良い。新しい培地の添加量は、廃棄量と同等の液量加えても良いし、それよりも少なくても多くてもかまわない。なお、新しい培地を添加する方が、後段の本培養での微細藻類の増殖速度を向上させることができる観点からより好ましい。
底面上の微細藻類を種藻として利用する場合、底面藻の一部を剥がし、それを培地中へと分散させても良い。この様にすることによって、藻体の一部しか培地と接触することができない状態の微細藻類を、より多くの培地と接触させることが可能となり、増殖速度を好適に向上させることが可能だからである。
底面上に存在する非付着性微細藻類を除去しても良い。底面上に不必要に微細藻類が存在していると、栄養成分の不必要な消費が原因と考えられる増殖速度の低下が見られるからである。また、種藻として使用する底面藻の存在量を調整しても良い。このことにより、適切な培養を行うことが可能だからである。培養を開始するにあたっての底面上での微細藻類の存在量は、0.001μg/cm以上100mg/cm以下が好ましく、0.1μg/cm以上10mg/cmがさらに好ましく、1mg/cm以上5mg/cmが最も好ましい。0.1μg/cm以上であれば、培養前後の微細藻類量の比を短時間で大きくすることができることから好ましい。
[懸濁処理]
本発明では、懸濁処理した微細藻類試料を用いても良い。懸濁処理を行うことで、溶液中の微細藻類が均一化し、培養後の膜厚が均一化する結果、培養面積あたりの微細藻類量が増加する場合があるからである。懸濁処理としては、公知のいかなる方法でも用いることができるが、ピペッティングや容器内に入れた微細藻類溶液を手で振る処理、スターラーチップや攪拌棒による処理などの弱い処理、超音波処理や高速振盪処理などの強い処理、細胞間マトリックスのような接着物質を分解する酵素などの物質を用いる方法などをあげることができる。
[培養器]
培養器(培養池)の形状は、培地を保持できる限り、公知のいかなる形状でも用いることができる。例えば、円柱状、方形状、球状、板状、チューブ状、プラスチックバッグなどの不定形状のものを使用することができる。また、オープンポンド(開放池)型、レースウェイ型、チューブ型(J. Biotechnol., 92, 113, 2001)など様々な公知の方式を用いることができる。培養器として使用することの可能な形状は、例えば、Journal of Biotechnology 70 (1999) 313−321, Eng. Life Sci. 9, 165−177 (2009). に記載の培養器をあげることができる。これらの中で、オープンポンド型もしくはレースウェイ型を用いることが、コスト面からは好ましい。
本発明で使用可能な培養器は、開放型、閉鎖型のいずれでも使用することができるが、大気中よりも高い二酸化炭素濃度を使用した際の、培養器外への二酸化炭素の拡散を防ぐために、閉鎖型の培養器を用いる方が好ましい。閉鎖型の培養器を用いることで、培養目的外微生物やゴミの混入防止、培地の蒸発抑制、風によるバイオフィルム構造体への影響などを最小限にすることができる。しかし、商業生産を行う場合には、建設コストが安価であるなどの観点から、開放系での培養が好ましい。
[素材]
本発明で使用可能な培養器、貫通状構造体の素材は、特に限定することはなく、公知のものを使用することができる。例えば、有機高分子化合物、無機化合物、金属、それらの複合体から構成された素材を使用することができる。また、それらの混合物を用いることも可能である。
有機高分子化合物としては、ポリエチレン誘導体、ポリ塩化ビニル誘導体、ポリエステル誘導体、ポリアミド誘導体、ポリスチレン誘導体、ポリプロピレン誘導体、ポリアクリル誘導体、ポリエチレンテレフタレート誘導体、ポリブチレンテレフタレート誘導体、ナイロン誘導体、ポリエチレンナフタレート誘導体、ポリカーボネート誘導体、ポリ塩化ビニリデン誘導体、ポリアクリロニトリル誘導体、ポリビニルアルコール誘導体、ポリエーテルスルホン誘導体、ポリアリレート誘導体、アリルジグリコールカーボネート誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体誘導体、フッ素樹脂誘導体、ポリ乳酸誘導体、アクリル樹脂誘導体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等などを用いることができる。
無機化合物としては、ガラス、セラミックス、コンクリートなどを用いることができる。
金属化合物としては、鉄、アルミニウム、銅やステンレスなどの合金を用いることができる。
上記の中でも貫通状構造体や培養器の素材の一部は、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、塩化ビニル、ポリエステルの中から選ばれる少なくとも一つから構成されていることが好ましい。
貫通状構造体の素材は、強度があるほうが好ましく、ステンレスを用いることが好ましい。また、網状物の場合には、有機化合物や天然素材などを用いることができる。
また、培養器、貫通状構造体の素材は、同一であっても良く、異なっていても良い。
また、閉鎖型の培養器を用いる場合には、受光面は、光が透過する素材である方が良く、透明材料であればさらに良い。
[培地(液体培地)]
本発明では、微細藻類を培養できる限り、公知のいかなる培地(液体培地)も使用することができる。公知の培地として、AF−6培地、Allen培地、BBM培地、C培地、CA培地、CAM培地、CB培地、CC培地、CHU培地、CSi培地、CT培地、CYT培地、D培地、ESM培地、f/2培地、HUT培地、M−11培地、MA培地、MAF−6培地、MF培地、MDM培地、MG培地、MGM培地、MKM培地、MNK培地、MW培地、P35培地、URO培地、VT培地、VTAC培地、VTYT培地、W培地、WESM培地、SW培地、SOT培地などを挙げることができる。このうち淡水性のものはAF−6培地、Allen培地、BBM培地、C培地、CA培地、CAM培地、CB培地、CC培地、CHU培地、CSi培地、CT培地、CYT培地、D培地、HUT培地、M−11培地、MA培地、MAF−6培地、MDM培地、MG培地、MGM培地、MW培地、P35培地、URO培地、VT培地、VTAC培地、VTYT培地、W培地、SW培地、SOT培地である。前述のAVFF007株を培養する培地としては、C培地、CSi培地、CHU培地、及びこれら培地の混合物が好ましい。なお、培地は、培養する微細藻類の種類に応じて選択することが望ましい。
培地は、紫外線滅菌、オートクレーブ滅菌、フィルター滅菌しても良く、しなくても良い。
培地は、前培養工程と本培養工程で異なる培地を使用しても良い。また、培養工程の途中で異なる培地に変更しても良い。
[二酸化炭素]
多くの微細藻類の培養には、二酸化炭素の供給が必要である。
前培養工程で分散培養を行った場合には、従来法のようにバブリングによって二酸化炭素を培地中に供給しても良いが、液面浮遊培養を行った場合には、二酸化炭素を気相中から供給した方が好ましい。これは、培地中に二酸化炭素をバブリングなどの方法で供給すると液面上の微細藻類バイオフィルムの構造が破壊され、藻体量の斑が発生し、回収工程で貫通状構造体上へのバイオフィルム回収効率が悪く、回収藻体量が減少する可能性があるからである。
本発明では、大気中の二酸化炭素の利用も可能であるが、大気濃度よりも高濃度の二酸化炭素を利用することもできる。この場合には、拡散による二酸化炭素の損失を防ぐために、閉鎖型の培養器または農業用フィルムなどの被覆物で覆った培養器中で培養することが望ましい。この場合の二酸化炭素の濃度は本発明の効果が達成できる限り特に限定しないが、好ましくは大気濃度以上、20体積%未満であり、好ましくは0.01〜15体積%であり、より好ましくは0.1〜10体積%である。また、二酸化炭素は、燃焼装置によって排出された二酸化炭素であってもよい。また、試薬によって二酸化炭素を発生させてもよい。
[光源及び光量]
本発明で用いることのできる光源は、公知のいかなる光源も用いることができるが、太陽光、LED光、蛍光燈、白熱球、キセノンランプ光、ハロゲンランプなどを用いることができ、この中でも、自然エネルギーである太陽光、発光効率の良いLED、簡便に使用することのできる蛍光燈を用いることが好ましい。
光量は、100ルクス以上100万ルクス以下であることが好ましく、300ルクス以上50万ルクス以下がさらに好ましい。最も好ましい光量は、1000ルクス以上20万ルクス以下である。光量は、1000ルクス以上であると、微細藻類の培養が可能であり、20万ルクス以下であると、光障害による培養への悪影響が少ない。
光は、連続照射、ある一定の時間間隔で照射と非照射を繰り返す方法のいずれでもかまわないが、12時間間隔で光をON、OFFすることが好ましい。
光の波長は、光合成が行える波長であれば、どの様な波長でも用いることができ、その制限を設けないが、好ましい波長は、太陽光または太陽光に類似の波長である。単一の波長を照射することで光合成生物の育成速度が向上する例も報告されており、本発明でもこの様な照射方法を用いることもできる。
[その他培養条件]
本発明では、前培養工程や本培養工程で使用する液体培地(以下、液体培地のことを培養溶液ともいう)のpHは1〜13の範囲内であることが好ましく、3〜11の範囲内であることがより好ましい、5〜9の範囲内であることがさらに好ましく、6〜8の範囲内であることが最も好ましい。
また、微細藻類の種類に応じて、好適なpHは変化することから、微細藻類の種類に応じたpHを選択することが好ましい。なお、液体培地のpHとは、培養開始時のpHのことである。また、培養工程内のpHとは、培養に伴って変化する場合があることから、培養工程内でpHは変化しても良い。
本発明では、培地中のpHを一定に保つ緩衝作用を持った物質を培地中に添加することができる。これにより、微細藻類の培養の進行とともに培地中のpHが変化する問題を抑制することや、培地中への二酸化炭素の供給でpHが変化する現象を抑制できる場合がある。緩衝作用を持った物質としては、公知の物質を使用することができ、その使用には制限がないが、4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazineethanesulfonic acid(HEPES)や、リン酸ナトリウム緩衝液、リン酸カリウム緩衝液などを好適に用いることができる。これら、緩衝物質の濃度や種類は、微細藻類の種類や培養環境に応じて決めることができる。
培養温度は、微細藻類の種類に応じて選択することができ、特に限定はしないが、0℃以上90℃以下であることが好ましく、15℃以上50℃以下がより好ましく、20℃以上40℃未満が最も好ましい。培養温度が20℃以上40℃未満であると、微細藻類を好適に増殖させることができる。
微細藻類の下限投入微細藻類量、すなわち、培養開始時に使用する微細藻類量は、培養範囲内において1個あれば、時間をかけさえすれば増殖は可能であるため、その制限は特に設けないが、好ましくは1個/cm3以上であり、より好ましくは1000個/cm3以上であり、さらに好ましくは1×10個/cm3以上である。微細藻類の上限投入微細藻類量は、基本的にはどの様な高濃度でも増殖が可能であるため、その制限は特に設けないが、ある濃度以上であると微細藻類量が多ければ多いほど、投入微細藻類量と増殖後の微細藻類量の比が低下することから、1×10個/cm3以下が好ましく、1×10個/cm3以下がより好ましく、5×10個/cm3以下がさらに好ましい。
本発明での前培養期間、本培養期間は、微細藻類の種類に応じて選択することができ、特に限定しないが、1日以上300日以下が好ましく、3日以上100日以下がより好ましく、7日以上50日以下がさらに好ましい。
分散培養を行った場合の液体培地の水深が深いと、光が届かず、攪拌効率が悪くなる問題があり、限度があった。しかし、液面浮遊培養の場合には、液面上に高密度に微細藻類が増殖していることから、培養器深部に対して光を供給する必要がなく、基本的には攪拌も行わないことから、その水深は、浅くすることができる。これにより、水の使用量が少なく、ハンドリング効率が良くなることから、水深を浅くすることは好ましい。水深は0.4cm以上が好ましく、1.0cm〜10mがより好ましく、2.0cm〜1mがさらに好ましく、4.0cm〜30cmが最も好ましい。水深が0.4cm以上であるとバイオフィルムの形成が可能となり、水深が10m以下であると、ハンドリングが容易である。水深が、4.0cm〜30cmであると、水分の蒸発による影響が最小限であり、培地や微細藻類を含む溶液のハンドリングが容易である。
[培地の置換]
新しい培地を添加する場合には、栄養成分を液体に溶解させた状態で添加しても良いし、固形分として添加しても良い。固形分として添加した場合には、培地を攪拌しなければならない場合があることから、液体に溶解させた状態で添加することの方がより好ましい。
培地の添加は、前段の本培養に使用した培地と同一成分の培地を使用しても良いし、成分が異なる培地を添加しても良い。
培地の除去は、どの部分から行っても良いが、底面部分を除いた場所から除去することが、底面部分の微細藻類の流出を抑制する観点からより好ましい。また、液面上に微細藻類バイオフィルムの少なくとも一部が存在しており、液面上の微細藻類も種藻として利用する場合には、液面と底面部分を除く中間領域には微細藻類の存在量が少ないことから、この領域から採取することが好ましい。
[液面上に形成された微細藻類バイオフィルムの大きさと増殖速度]
微細藻類バイオフィルムの大きさは0.1cm以上であることが好ましく、1cm以上がより好ましく、10cm以上がさらに好ましく、培養器の液面面積と等しいことが最も好ましい。0.1cm以上であれば、貫通状構造体を用いた回収を効率的に行えることから好ましい。また、微細藻類バイオフィルムは、培養領域内で複数個存在していても良い。
微細藻類バイオフィルムの厚さは、1μm〜10000μmの範囲であることが好ましく、1μm〜1000μmの範囲であることがより好ましく、10μm〜1000μmの範囲であることが最も好ましい。10μm〜1000μmの範囲であると、強度が高く、十分な量のバイオフィルムを収穫することができる。
本発明に係るバイオフィルムが、フィルム状構造体の一部または複数の部分で気泡状に盛り上がることで形成された立体的な三次元状構造体である場合、培地の液面を基準とした該三次元状構造体の一般的な高さは、0.01mm〜100mmの範囲であることが好ましく、0.1mm〜20mmの範囲であることがより好ましく、5mm〜20mmの範囲であることが最も好ましい。5mm〜20mmの範囲であると、含水率を十分に下げることができ、培養器の高さを低く抑えることができる。
また本発明にかかる微細藻類は、液面上における増殖速度が大きいことが好ましく、対数増殖期における増殖速度(すなわち、対数増殖期の期間における一日あたりの平均増殖速度)が、乾燥重量で0.1g/m/day以上であることが好ましく、0.5g/m/day以上であることがより好ましく、1g/m/day以上であることがさらに好ましく、3g/m/day以上であることが最も好ましい。微細藻類の対数増殖期における増殖速度は、乾燥重量で一般的に1000g/m/day以下である。
本発明に係るバイオフィルムの単位面積あたりの乾燥藻体重量は、0.001mg/cm以上であることが好ましく、0.1mg/cm以上であることがより好ましく、1mg/cm以上であることが特に好ましい。最も好ましくは、5mg/cm以上である。単位面積あたりの乾燥藻体重量が大きい方が、得られるオイルなどのバイオマスの量が大きくなることが見込まれるからである。バイオフィルムの単位面積あたりの乾燥藻体重量は通常100mg/cm以下である。
また本発明の微細藻類としては、上記の構造や、上記範囲の面積、厚さ、高さ、増殖速度、単位面積あたりの乾燥藻体重量を有するバイオフィルムを液面上に形成可能な微細藻類であることが、上記と同様の理由で好ましい。
[乾燥藻体]
本発明における乾燥藻体は、本発明によって得られた微細藻類回収物を乾燥させたものである。
当該微細藻類回収物を乾燥させる方法としては、微細藻類回収物中の水分を減らすことができる方法であれば、いかなる公知の方法を用いることができ、特に制限されない。例えば、微細藻類回収物を天日干しにする方法、微細藻類回収物を加熱乾燥させる方法、微細藻類回収物を凍結乾燥(フリーズドライ)する方法、微細藻類回収物に乾燥空気を吹き付ける方法等があげられる。これらのうち、微細藻類回収物に含まれる成分の分解を抑制できる観点から凍結乾燥、短時間で効率的に乾燥できる観点から加熱乾燥または天日干しする方法が好ましい。
[含水率]
本発明での含水率とは、回収物中に含まれる水分の重量を、回収物の重量で割って、100を掛けたものである。本発明での微細藻類バイオフィルムの含水率は、95〜60%が好ましく、89〜65%がさらに好ましく、88〜75%が最も好ましい。
分散培養で培養し、遠心分離機を用いて微細藻類を回収した場合の含水率は、一般的に90%程度とされ、本発明での培養法によって得られた液面状バイオフィルムの含水率は、それよりも低く、従来法と比べて優れている点である。なお、フィルム状構造体よりも三次元状構造体の方が含水率は低い。これは、三次元状構造体の方が液面から離れており、かつ、光源に近く、ある程度の乾燥が進行していることが原因と推定している。
[有用物質]
本発明での有用物質とは、微細藻類由来のバイオマスの一種で、バイオマスから抽出工程、精製工程などの工程を経由することによって得られた産業にとって有益な物質の総称である。この様な物質として、医薬品や化粧品や健康食品などの最終生成物や中間物や原料、化学合成物の原料、中間物や最終生成物、炭化水素化合物、さらにはオイル、アルコール化合物、水素やメタンなどのエネルギー代替物質、酵素、タンパク、核酸、糖やDHAなどの脂質化合物、アスタキサンチンなどを含む。有用物質は、生産物蓄積工程によって、微細藻類中に蓄積させることもできる。
[バイオマス及びオイル]
本発明でのバイオマスとは、化石資源を除いた再生可能な生物由来の有機性資源をいい、例えば、生物由来の物質、食料、資材、燃料、資源などをあげることができる。藻類バイオマスには、微細藻類自体(バイオフィルム状であってもよい。)、有用物質を採取した後の微細藻類残滓が含まれる。
本発明でのオイルとは、可燃性の流動性物質のことであり、主として、炭素、水素から構成された化合物のことであり、場合によっては、酸素原子、窒素原子などを含む物質のことである。オイルは、一般的に混合物であり、ヘキサンやアセトンなどの低極性溶媒を用いて抽出される物質である。その組成は、炭化水素化合物や脂肪酸、トリグリセリドなどから構成される場合や、これらから選ばれる複数種の組成から構成されている場合もある。また、エステル化して、バイオディーゼルとして使用することもできる。
微細藻類回収物中に含まれる有用物質やオイルを採取する方法としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に制限されない。
オイルの一般的な回収方法は、最終回収物を加熱乾燥させて乾燥藻体を得た後、細胞破砕を行い、有機溶媒を用いてオイルを抽出する。抽出したオイルは、一般的に、クロロフィルなどの不純物を含むため精製を行う。精製は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによるもの、蒸留(例えば、特表2010−539300に記載の蒸留方法)によるものなどがある。本発明でもこの様な方法を用いることができる。
また、超音波処理によって微細藻類を破砕したり、プロテアーゼや酵素などによって微細藻類を溶解したりした後、有機溶媒を用いて藻体内のオイルを抽出する方法もある(例えば、特表2010−530741に記載の方法)。本発明でもこの様な方法を用いることができる。
また本発明に係るバイオフィルムは、バイオマスとしての有用性の観点から、オイル含有量が高いことが好ましい。具体的には、バイオフィルムの乾燥藻体あたりのオイル含有量が5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが特に好ましい。バイオフィルムの乾燥藻体あたりのオイル含有量は通常80質量%以下である。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
前培養として、PS製ケース28号(アズワン株式会社、4−5605−05)にCSiFF04培地(図4)40mLとAVFF007株(藻体濃度5×10個/mL)との混合物を入れ、これを真空デシケーター(アズワン株式会社、1−070−01)中に入れ、15000ルクスの蛍光灯照射下(12時間ごとに光照射ON−OFF)、23℃、二酸化炭素濃度5%で静置培養を行った。なお、PS製ケース28号の側面、底面は黒いプラスチックケースで覆った。
14日後、真空デシケーターから培養器を取り出し、PS製ケース28号の短径と同じ長さのナイロンフィルムを用いて、培地水面上の微細藻類バイオフィルムを回収した。
これを5mLホモジナイズ用チューブ(株式会社トミー精工、TM−655)に、少量のCSiFF04培地と共に入れ、ビーズ式細胞破砕装置MS−100(株式会社トミー精工)にセットし、4200rpmで20秒間のホモジナイズ処理を3回行い、微細藻類懸濁液aを得た。ただし、ビーズは使用していない。
この溶液を希釈し、660nmの吸光度を測定することで濁度を算出し、予め算出していた濁度と藻体数との関係式から、上記懸濁液aの藻体量を計算し、CSiFF04培地で希釈することで、5×10個/mLの濃度の懸濁液bを580mL得た。
前培養と同様に本培養を開始した。ただし、懸濁液bを用いた。培養開始後21日目に水面上の微細藻類バイオフィルムをナイロンフィルム(目開き0mm)、金網を用いて堆積法で回収した。なお金網は、SUS針金を平織することで作製した(株式会社網専)。金網の各種パラメーターは以下の通りである。メッシュ400、線径0.03mm、目開き0.0335mm;メッシュ200、線径0.05mm、目開き0.077mm;メッシュ100、線径0.1mm、目開き0.154mm;メッシュ50、線径0.2mm、目開き0.308mm;メッシュ20、線径0.5mm、目開き0.77mm;メッシュ10、線径0.5mm、目開き2.04mm。回収物は、凍結乾燥を行い、乾燥重量及び含水率を算出した。
その結果を図5に示した。目開きが大きいほど回収物の乾燥藻体量は、極僅かではあるが低下した。これは、目開きが大きいほど線径が太く、金網の表面の凹凸が大きいため、微細藻類の脱着時に、金網に藻体が残りやすくなったからと推定している。一方、含水率は、89.5%から87%へと2.5%低下した。含水率での表記では、2.5%であるが、水分量では、含水率89.5%の場合、培地と乾燥藻体の合計量が1mLに対して培地量は0.7g、一方、87.5%の場合、培地量は0.4gとなり、大幅に水分量が減少していることがわかる。
また、ヘキサンを用いたオイル抽出も行ったが、回収条件に関わらず、概ねオイル含有量は乾燥藻体重量比で30%前後であった。
[実施例2]
実施例1と同様の方法で、前培養及び本培養を行った。ただし、本実施例においては、図6に示した様に、培養器の上面に実施例1にて使用した目開きを持つ金網を設置した。
金網を設置しなかった場合の含水率は、88.9%であった。一方、目開きサイズ2.04mmの金網を設置した場合には、微細藻類バイオフィルムの三次元状構造体が金網の培地側の面に接触して付着し、回収は容易であり、また、その含水率は、79.6%であった。なお、液面と金網との距離は、7.3mmであった。
針金の使用で目開きサイズ1.5cmの金網を自作し、同様の実験を行った。その結果、微細藻類バイオフィルムの三次元状構造体の成長と共に、金網の貫通部位を通過して成長し、通過した部位を回収し、凍結乾燥した後、含水率を算出した。その結果、75%であった。これは、回収対象の微細藻類が液面から離れており、光源に近いことから乾燥が進んだ結果と考えている。
[実施例3]
実施例1と同様の方法で、前培養及び本培養を行った。ただし、培養器として、染色バット(アズワン株式会社、1−1413−01)を使用し、底面から2cmのところ(培地中)に、内寸にあわせて切断した目開き2.04mmの金網を設置した。また、微細藻類懸濁液は、208mL(底面から3cmの水深)入れ、培養7日目には、液面上に微細藻類バイオフィルムが形成されていたので、金網を底面から3.5cmのところに固定した。すなわち、培地中に浸漬していた金網を培養器上面へと引き上げると共に、液面上の微細藻類を金網の上面側の表面に付着させ、液面から0.5mmのところの気相中に、微細藻類付着金網を設置した。この状態でさらに7日間培養を行い、金網上の微細藻類を回収した。これを試料3bとした。なお、金網を設置せずに、水面上の微細藻類バイオフィルムを回収した試料を3aとした。また、7日後に金網を移動させなかったものも準備し、14日後に、上記と同様に金網を移動することで気相中に引き上げ、そのまま回収を行ったもの(試料3c)、および、3時間後に回収を行ったもの(試料3d)を用意した。なお、培養中は、培養開始時の重量となるように蒸留水を必要に応じて加えた。すなわち、蒸発によって失われた水分を追加供給し、水深3cmを維持した。なお、藻体種としては、FFG039p1株(Chlorococcum sp.)を使用した。
その結果、金網を使用せずに培養した場合の乾燥藻体量(試料3a)は、8.4mg/cm、含水率90.2%、金網を使用して培養した場合には(試料3b)、乾燥藻体量8.2mg/cm、含水率72.4%となり、金網を使用した方が大幅に含水率は低くなった。これは、微細藻類バイオフィルムの培地との接触が最小限であり、水分の供給が最小限であること、微細藻類バイオフィルムが光源に近く、含水率が低くなったことが原因と考えている。また、試料3cの乾燥藻体量と含水率は、8.6mg/cm、88.7%になり、試料3dの場合には、それぞれ、8.8mg/cm、79.5%になった。これは、金網によって水面上の微細藻類バイオフィルム中の水分量が、しばらく放置することで蒸発して、含水率が下がったものと思われる。また、オイル含有量は、試料3aの場合、ヘキサン抽出の結果、33%であり、試料3bの場合、37%であった。これは、培地との接触が最低限になり、栄養成分の供給が最小限になったことが原因と考えられる。
[実施例4]
実施例3と同様の方法で、前培養及び本培養を行った。ただし、底面から6cmのところに、内寸にあわせて切断した目開き2.04mmの金網を設置した。培養7日目には、液面上に微細藻類バイオフィルムが形成されていたので、気相中に設置した金網を液面上の微細藻類バイオフィルムに移動させることで接触させ、目視ではほぼすべての藻体を金網に付着させた。これを液面から0.5mmのところに設置固定した。この状態でさらに7日間培養を行い、培養器から金網を取り出した後、金網上の微細藻類を回収した。
その結果、乾燥藻体量7.2mg/cm、含水率78.5%となった。
[実施例5]
実施例3と同様の方法で、前培養及び本培養を行った。ただし、金網の代わりに、洗濯用ネット(目開き約1〜3mm)を光源側、目開き1.5cmの金網を培養器底面側とし、二つの貫通状構造体を重ねて一つの貫通状構造体を構成したものを使用した。培養7日目には、液面上の微細藻類バイオフィルムとともに、上記構造体を引き上げ、さらに7日間培養を行い、構造体上の微細藻類を回収した。なお、洗濯用ネットは柔軟性に富むが、金網を設置したことで、液面に接触することはなかった。
その結果、乾燥藻体量7.9mg/cm、含水率73.1%となった。
回収後の貫通状構造体を上記で培養した培養器の中に再び入れ、培養を同一条件で行った。なお種藻は、培養器の底面や側面、貫通状構造体に付着残存しているものを使用したことになる。培地を交換しなかったものは、乾燥藻体量4.3mg/cm、含水率80.4%となったが、培地の半分を交換したものは、乾燥藻体量6.7mg/cm、含水率73.5%となった。
配列番号1:AVF007株の18S rRNA遺伝子の塩基配列の一部

Claims (18)

  1. 培養器内の培地中で微細藻類を培養し、培地の液面にバイオフィルムを形成させるが、このとき培地中に貫通状構造体が配されている、培養工程;及び
    形成されたバイオフィルムを、貫通状構造体とともに培地の液面上方の気相中に移動させ、バイオフィルムを回収する、回収工程
    を含む、微細藻類の培養方法。
  2. 培養器内の培地中で微細藻類を培養し、培地の液面にバイオフィルムを形成させるが、このとき培地の液面の上方に貫通状構造体が配されており、バイオフィルムが、少なくともその一部が貫通状構造体に接触及び/又は貫通状構造体を貫通するように形成される、培養工程;及び
    形成されたバイオフィルムを回収する、回収工程
    を含む、微細藻類の培養方法。
  3. 培養器内の培地中で微細藻類を培養し、培地の液面にバイオフィルムを形成させる、培養工程;及び
    形成されたバイオフィルムを、貫通状構造体を用いて貫通状構造体上に堆積させるように回収するか又は貫通状構造体を接触させて転写させるように回収する、回収工程
    を含む、微細藻類の培養方法。
  4. 培養器内の培地中で微細藻類を培養し、培地の液面にバイオフィルムを形成させる培養工程;及び
    形成されたバイオフィルムを、貫通状構造体に接触させて転写させ、貫通状構造体とともに培地の液面上方の気相中に移動させ、バイオフィルムを回収する、回収工程
    を含む、微細藻類の培養方法。
  5. 請求項1又は4に記載の培養方法であって、形成されたバイオフィルムを貫通状構造体とともに移動させ、培地の液面上方の気相中に配して培養を行った後に、バイオフィルムを回収するものである、培養方法。
  6. 回収工程の後に、さらに培養工程を繰り返すものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の培養方法。
  7. 貫通状構造体が、二以上の貫通状構造体を重ねてなるものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 培養工程において、培養器内へ蒸留水又は培地が添加される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の培養方法。
  9. 貫通部位が、円形、方形、不定形の中が選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の培養方法。
  10. 貫通部位の大きさが、0.1mm以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の培養方法。
  11. 貫通部位の大きさが、1mm以上である、請求項10に記載の培養方法。
  12. 貫通孔構造体が、液面と貫通状構造体との距離が1mm以上であるように配される、請求項2に記載の培養方法。
  13. 微細藻類が緑藻である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の培養方法。
  14. 微細藻類が、botryococcus sp.、Chlamydomonas sp.、Chlorococcum sp、Chlamydomonad sp.、Tetracystis sp.、Characium sp.又はProtosiphon sp.に属するものである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の培養方法。
  15. 微細藻類が、botryococcus sudeticusに属するものである、請求項1〜14いずれか1項に記載の培養方法。
  16. 微細藻類が、botryococcus sudeticus FERM BP−11420、又はそれと分類学的に同一の性質を有する微細藻類株である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の培養方法。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に定義された培養方法による工程を含む、藻類バイオマスを製造する方法。
  18. 藻類バイオマスが、オイルである、請求項17に記載の製造方法。
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