JP2015056499A - 基板処理方法及び基板処理装置 - Google Patents

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正弘 堀込
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博一 上田
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Abstract

【課題】ケイ素−水素結合を多く含むアモルファスシリコン層の成膜にあたり、プラズマ処理によるダメージを低減する。
【解決手段】処理容器11にプラズマを形成して、表面にアモルファスシリコン層が形成されたウェハWをプラズマにより処理する方法であって、処理容器11内に水素を含有した処理ガスを供給し、ラジアルラインスロットアンテナとしてのスロット板52を介して処理容器11内にマイクロ波を供給する。これにより、処理容器11内に処理ガスのプラズマを発生させ、当該プラズマによりウェハW上のアモルファスシリコン層に水素を注入する。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板をプラズマを用いて処理する方法及びプラズマを用いて基板処理を実施する基板処理装置に関する。
半導体デバイスの製造においては、例えばプラズマ処理装置などの基板処理装置に設けられた減圧処理容器内で、絶縁膜をはじめとする各種成膜処理や、これら絶縁膜等によるパターン形成のためのエッチング処理などが行われる。
ところで近年の半導体デバイスにおいては、動作速度を向上させるため、例えばスイッチング素子として用いられるポリシリコンTFT(Thin Film
Transistor)の性能向上が求められている。
例えば特許文献1には、オン特性に優れたTFTの製造方法が開示されている。特許文献1の方法においては、例えば高周波プラズマを用いたCVDによりゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極を順次形成する。そして、ゲート絶縁膜上に、微結晶シリコン層からなる微結晶層、シリコン層からなる欠陥修復層、アモルファスシリコン層からなる非晶質層を設けることで、界面抵抗を低減し、オン特性に優れたTFTが提供される。
また、例えば特許文献2には、ゲート電極とゲート絶縁膜との界面に重水素を注入してトランジスタの電気的特性の劣化を抑制するにあたり、例えば重水素雰囲気中に基板を配置し、物理蒸着によりシリコン膜を堆積させることが開示されている。
特開2010−287618号公報 特開2009−94348号公報
ところで近年、ポリシリコンTFTの高性能化のために、グレインサイズの大きいポリシリコンを形成する技術が求められている。グレインサイズが大型化することで、ポリシリコンの粒界が減少し、電子の移動度が向上する。
ポリシリコンのグレインサイズ大型化を図るためには、アモルファスシリコン層の成膜時にケイ素−水素結合(SiH)が多く含まれるようにしておき、当該アモルファスシリコン層をアニール処理するという手法が知られている。
しかしながら、近年の半導体デバイスの微細化、及びそれに伴うパターンの高アスペクト比化により、トレンチの深部にまで水素ラジカルや水素イオンが到達しにくくなっている。したがって、例えば特許文献1のような高周波プラズマによりトレンチの深部まで所望のSiH濃度を有するアモルファスシリコン層を成膜するためには、プラズマ処理を長時間行うか、またはプラズマの強度を増加させる必要がある。
ところが、プラズマの強度を増加させたり、プラズマ処理を長時間行ったりすると、トレンチの例えば上端部近傍がプラズマにより損傷してしまうという問題が生じる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、SiHを多く含むアモルファスシリコン層の成膜にあたり、プラズマ処理によるダメージを低減することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明は、処理容器にプラズマを形成して、表面にアモルファスシリコン層が形成された基板を前記プラズマにより処理する基板処理方法であって、前記処理容器内に水素を含有した処理ガスを供給し、ラジアルラインスロットアンテナ方式の平面アンテナ部材を介して前記処理容器内にマイクロ波を供給し、前記処理容器内に前記処理ガスのプラズマを発生させ、前記プラズマにより前記アモルファスシリコン層に水素を注入することを特徴としている。
本発明者らが鋭意調査したところ、アモルファスシリコン層を成膜した後、当該アモルファスシリコン層に対して水素プラズマ処理を施すことにより、アモルファスシリコン中のSiH濃度を増加させられることが確認された。さらに、ラジアルラインスロットアンテナを介して供給されたマイクロ波により水素プラズマを発生させ、この水素プラズマによりアモルファスシリコンをプラズマ処理することで、例えば高アスペクト比のトレンチの内部であっても、当該トレンチがプラズマにダメージを受けることなく、所望のSiH濃度が得られることも確認されている。
本発明は、このような知見に基づくものであり、本発明によればラジアルラインスロットアンテナ方式の平面アンテナ部材を介して処理容器内にマイクロ波が供給されるので、処理容器内に低電子温度で且つ高密度な、水素を含有した処理ガスのプラズマが生成される。そして、当該プラズマによりアモルファスシリコン層に水素を注入することで、SiHを多く含むアモルファスシリコン層を形成するにあたり、プラズマによるダメージの少ない処理が行える。
前記処理ガスには、ヘリウムガスが添加されていてもよい。
前記アモルファスシリコン層は、凹凸状のパターンを有していてもよい。
前記マイクロ波は、1.5kW〜3.5kWの電力で供給されてもよい。
前記基板には、バイアス用の高周波電力が50W〜700Wの電力で印加されていてもよい。
本発明によれば、SiHを多く含むアモルファスシリコン層の成膜にあたり、プラズマ処理によるダメージを低減できる。
本発明を実施する基板処理装置の構成の一例を示す概略縦断面図である。 本実施の形態にかかる基板処理装置で用いられるアンテナの形態を示す平面図である。 本実施の形態で用いられるウェハW上のパターンの概略を示す説明図である。 FT−IRによる測定結果を示す説明図である。 プラズマ処理前のウェハにおけるポリシリコンのグレインサイズの分布を表すグラフである。 プラズマ処理後のウェハにおけるポリシリコンのグレインサイズの分布を表すグラフである。 SEM−EDXによる測定結果を示す説明図である。 (a)は所定のトレンチ形状を有するウェハ表面の画像であり、(b)は従来の高周波プラズマによるプラズマ処理後のウェハ表面の画像である。 プラズマ処理時間とSiHの吸光度との関係を示すグラフである。 プラズマ処理時間とSiHの吸光度との関係を示すグラフである。 プラズマの電力とSiHの吸光度との関係を示すグラフである。 プラズマの電力とSiHの吸光度との関係を示すグラフである。 バイアス電力とSiHの吸光度との関係を示すグラフである。 バイアス電力とSiHの吸光度との関係を示すグラフである。 処理容器内の圧力とSiHの吸光度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態の一例について、図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に基板処理装置1の概略構成を示す縦断面図である。なお、本実施の形態における基板処理装置1は、例えば装置内に供給された処理ガスをマイクロ波によりプラズマ化させ、ウェハWに対してプラズマ処理を施すプラズマ処理装置である。
基板処理装置1は、ウェハWを保持するウェハチャック10が設けられた略円筒状の処理容器11を有している。処理容器11は、ウェハチャック10上のウェハWに対応して上部が開口した本体部12と、本体部12の開口を塞ぎ、処理容器11内にマイクロ波発生源13で発生させた例えば2.45GHzのマイクロ波を供給するマイクロ波供給部14とを有している。
ウェハチャック10は、その下面を下部電極としてのサセプタ20により支持されている。サセプタ20は、例えばアルミニウム等の金属により略円盤状に形成されている。処理容器11の底部には、絶縁板21を介して支持台22が設けられ、サセプタ20はこの支持台22の上面に支持されている。ウェハチャック10の内部には電極(図示せず)が設けられており、当該電極に直流電圧を印加することにより生じる静電気力でウェハWを吸着保持することができるように構成されている。なお、ウェハチャック10は、当該ウェハチャック10に保持されるウェハWの表面と、後述するマイクロ波透過板51の表面との間の距離が、例えば100mm〜245mmの範囲に収まるように、その高さ方向の配置が調整されている。
サセプタ20の上面であってウェハチャック10の外周部には、プラズマ処理の均一性を向上させるための、例えばシリコンからなる導電性の補正リング23が設けられている。サセプタ20、支持台22及び補正リング23は、例えば石英からなる円筒部材24によりその外側面が覆われている。
支持台22の内部には、冷媒が流れる冷媒路22aが例えば円環状に設けられており、当該冷媒路22aに供給する冷媒の温度を制御することにより、ウェハチャック10で保持されるウェハWの温度を制御することができる。
サセプタ20には、当該サセプタ20に高周波電力を供給してウェハWにバイアスを印加することでウェハWにイオンを引き込むための高周波電源30が、整合器31を介して電気的に接続されている。高周波電源30は、例えば400kHz〜13.56MHzの周波数、本実施の形態では例えば13.56MHzの高周波電力を出力するように構成されている。整合器31は、高周波電源30の内部インピーダンスと負荷インピーダンスをマッチングさせるものである。
処理容器11の本体部12の底部には、当該本体部12の内壁と円筒部材24の外側面とにより、処理容器11内の雰囲気を当該処理容器11の外部へ排出するための流路として機能する排気流路40が形成されている。処理容器11の底面であって排気流路と連通する位置には排気口41が設けられている。排気口41には排気装置42が接続されている。したがって、排気装置42により、排気流路40及び排気口41を介して処理容器11内の雰囲気を排気し、処理容器11内を所定の真空度まで減圧することができる。
マイクロ波供給部14は、例えば本体部12の内側に突出して設けられた支持部材50に、気密性を確保するためのOリングなどのシール材(図示せず)を介して支持されるマイクロ波透過板51と、マイクロ波透過板51の上面に配置された、アンテナとして機能するスロット板52と、スロット板52の上面に配置された、遅波板として機能する誘電体板53、及び誘電体板53の上面に配置された金属性のプレート54を有している。プレート54の内部には、冷媒が流れる冷媒路54aが設けられている。
また、マイクロ波供給部14の中央には、同軸導波管55が接続され、当該同軸導波管55にはマイクロ波発生源13が接続されている。マイクロ波透過板51及び誘電体板53は、例えば石英、アルミナ、窒化アルミニウムなどの誘電体により構成されている。また、スロット板52は、導電性を有する材質、たとえば銅、アルミニウム、ニッケルなどの薄い円板からなり、例えば図2に示すように、複数の対のスロット52a、52bが同心円状に形成された、いわゆるラジアルラインスロットアンテナ方式の平面アンテナ部材である。各スロット52a、52bは、平面視が略方形であり、スロット板52を上下方向に貫通している。隣接するスロット52a、52b同士は、互いに直交して略アルファベットの「T」の文字を形成するように配設されている。スロット52a、52bの長さや配列間隔は、供給されるマイクロ波の波長に応じて決定されている。このようなスロット板52を用いることで、高密度で低電子温度のプラズマが得られる。
処理容器11の本体部12の上部内周面には、処理容器11内に処理ガスを供給するためのガス供給口60が形成されている。ガス供給口60は、例えば処理容器11の内周面に沿って複数箇所に形成されている。ガス供給口60には、例えば処理容器11の外部に設置されたガス供給部61と連通するガス供給管62が接続されている。本実施の形態におけるガス供給部61は、水素ガスを供給する水素ガス供給部61aと、プラズマ生成用の希ガスを供給する希ガス供給部61bを有している。ガス供給管62の、各ガス供給部61a、61bとガス供給口60との間には、バルブやマスフローコントローラを備えた流量調整部63が設けられ、ガス供給口60から供給されるガスの流量は、この流量調整部63よって制御される。これにより、所定の割合で混合した希ガスと水素ガスを、処理ガスとして処理容器11内に供給することができる。
以上の基板処理装置1には、制御装置150が設けられている。制御装置150は、例えばCPUやメモリなどを備えたコンピュータにより構成され、例えばメモリに記憶されたプログラムを実行することによって、基板処理装置1における基板処理が実行されるなお、基板処理装置1における基板処理や基板搬送を実現するための各種プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどの記憶媒体Hに記憶されていたものであって、その記憶媒体Hから制御装置150にインストールされたものが用いられている。
本実施の形態にかかる基板処理装置1は以上のように構成されており、次に、基板処理装置1におけるプラズマ処理について説明する。
プラズマ処理にあたっては、先ず、処理容器11内にウェハWが搬入され、ウェハチャック10上に載置されて保持される。このウェハWには、例えば図3に示すように、予め凹凸状のトレンチパターンが形成されている。当該トレンチの高さは、例えば約331nm、トレンチの幅は、例えば22nmとなっており、アスペクト比は約15である。また、ウェハW上には、ゲート酸化膜200、アモルファスシリコン層201が下からこの順で予め成膜されている。
ウェハWがウェハチャック10に保持されると、排気装置42により処理容器11内が排気され、それと共にガス供給部61から、処理ガスとして希ガスと水素ガスの混合ガスが所定の流量、例えば1000sccmの流量で処理容器11内に供給される。この際、処理容器11内の圧力は、例えば20Pa〜66.7Pa(150mTorr〜500mTorr)で制御される。本実施の形態では、例えば20Paに制御される。なお、水素ガス供給部61aから供給される水素ガスとしては、例えばヘリウム(He)ガスを混合したものが用いられる。具体的には、体積%で水素ガスが0.7%となるように水素ガスを予めヘリウムガスで希釈したものが用いられる。また、希ガス供給部61bから供給される希ガスとしては、例えばアルゴン(Ar)ガスが用いられる。アルゴンガスとヘリウムで希釈した水素ガスとの流量の比率は、例えばアルゴンガスが985sccm〜995sccm、水素ガスが15sccm〜5sccmとすることが好ましく、本実施の形態では、アルゴンガスが995sccm、水素ガスが5sccmである。
次いで、マイクロ波供給部14から処理容器11内に、例えば1.5kW〜4.5kWの電力の範囲でマイクロ波が供給される。本実施の形態では、例えば1.5kWの電力で供給される。これによりマイクロ波透過板51の下面に電界が形成され、処理ガスがプラズマ化されて、水素ラジカルが生成される。それと共に、高周波電源30から、例えば100W〜700Wの電力の範囲でバイアスが印加される。本実施の形態では、例えば150Wの電力でバイアスが印加される。これにより、ウェハWに水素ラジカル等が引き込まれ、ウェハW上のアモルファスシリコン層201に水素ラジカルが注入される。この際、ラジアルラインスロットアンテナであるスロット板52を介して処理容器内にマイクロ波が導入されるので、処理容器11内には低電子温度で且つ高密度なプラズマが均一に生成される。これにより、ウェハW上のアモルファスシリコン層201に、水素ラジカルが迅速に且つ均一に注入される。そして、このプラズマ処理が、例えば100秒間継続して行われる。
基板処理装置1によるプラズマ処理の前後における、ウェハWのアモルファスシリコン層201中のケイ素−水素結合の濃度について図4に示す。図4は、FT−IR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy:フーリエ変換赤外分光法)による測定結果であり、横軸は光の波数、縦軸は吸光度を示している。また、図4に実線で示されるグラフは基板処理装置1によるプラズマ処理後のウェハW、点線で示されるグラフはプラズマ処理前のウェハW、一点鎖線で示されるグラフは、アモルファスシリコン層201が形成されていないウェハWをそれぞれ示している。
図4に示すように、各グラフは、波数が概ね630cm−1〜670cm−1の領域にピークが見られる。この630cm−1〜670cm−1は、ケイ素−水素結合であるSiHx(x=1、2、3)、の吸光度であり、図4から、アモルファスシリコン層201が形成されていないウェハW、プラズマ処理前のウェハW、プラズマ処理後のウェハWの順に大きくなっていることが確認できる。この結果から、アモルファスシリコン層201中にSiHxが存在することが確認できる。また、基板処理装置1における水素含有ガスのプラズマ処理により、アモルファスシリコン層201中のSiHx吸光度が大幅に増加することが確認できる。SiHx吸光度の増加は、水素含有ガスのプラズマ処理により、アモルファスシリコン層201を構成するシリコン(Si)のダングリングボンド(未結合手)に水素ラジカルが結合し、それによりアモルファスシリコン中でSiH結合が形成されるためと推察される。
基板処理装置1でプラズマ処理されたウェハWは、処理容器11から搬出され、例えば基板処理装置1の外部に設けられた熱処理装置(図示せず)により、約650℃で10時間アニール処理される。これによりアモルファスシリコン層201中のシリコンが結晶化してポリシリコンが形成される。
図5及び図6に、プラズマ処理の前後における、アモルファスシリコン層201中のポリシリコンのグレインの粒径分布を示す。図5、図6は、EBSD(Electron Back Scattering Diffraction:電子線後方散乱回折法)による測定結果であり、横軸にグレインの粒径を、縦軸にグレイン数を示している。また、図5はプラズマ処理前のウェハWを上記条件でアニール処理した場合、図6はプラズマ処理後のウェハWを上記条件でアニール処理した場合の結果についてそれぞれ示している。図5に示すプラズマ処理前のウェハWでは、大半のグレインの粒径は概ね0.4μm以下であり、平均粒径は約0.31μmであった。その一方、図6に示すプラズマ処理後のウェハWでは、粒径が概ね0.4μm以下のグレイン数が減少すると共に、粒径が0.4μmより大きいグレインの数が増加し、平均粒径は約0.34μmとなった。この結果から、水素含有ガスのプラズマによりウェハWをプラズマ処理することで、アモルファスシリコン層201中のポリシリコンのグレインの粒径が、約11%増大することが確認できた、
また、プラズマ処理によるラジカルの注入量とトレンチの深さとの関係について図7に示す。図7は、図3に示すトレンチ構造を有するウェハWを基板処理装置1で100秒間プラズマ処理した後に、SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)−EDX(Energy Dispersive X-ray Detector:エネルギー分散型X線分光装置)を用いてラジカルの注入量を測定した結果である。なお、水素のような質量の小さな元素はEDXでは検出できないため、図7では、水素に代えて、ヒ素(As)をプラズマにより注入した場合の測定結果を示す。図7中の右側は、ウェハWの断面形状を表すSEM画像であり、図7中の左側のグラフは、トレンチ側壁の深さ方向におけるヒ素の濃度を示し、トレンチの深さ方向に沿って約60nmピッチで測定した結果を示している。
図7に示すように、トレンチ側壁におけるヒ素の濃度は、上部の0.8%に対して底部では0.4%となっており、概ねトレンチの上部から底部に向かって徐々に低下するものの、底部においても上部の半分程度の濃度が確保されている。このことから、基板処理装置1によるプラズマ処理により、アスペクト比が15程度の高アスペクト比のトレンチパターンにおいても、その底部まで有効にプラズマ処理できることが確認できる。なお、例えば平行平板電極等を用いた従来の高周波プラズマを用い、トレンチパターンを有するウェハをプラズマ処理すると、特にトレンチの上端部がプラズマにより損傷し、その後の工程において不具合が生じることが確認されている。図8(a)は、プラズマ処理前のトレンチパターンの一例であり、図8(b)は、例えば4kWの電力でマイクロ波を供給し、300Wの電力でバイアスを印加、水素ガス濃度が0.7%となるようにアルシン(AsH3)ガスをヘリウムガスで希釈したガスの流量を300sccm、プラズマ生成用の希ガスとしてヘリウムガスの流量を700sccmでそれぞれ供給し、圧力26.7Pa(200mTorr)の条件下でプラズマ処理した後のトレンチパターンの一例を示すものである。この点、本実施の形態のように、低電子温度のマイクロ波プラズマにより処理を行った場合、図7に示すように、トレンチの先端にも特に損傷は見られず、良好なプラズマ処理を行うことができる。さらに、水素ガスを質量の小さなヘリウムガスで希釈して供給するので、プラズマによるダメージをさらに抑えることができる。また、本発明者らによれば、アモルファスシリコン層201に水素ラジカルを注入する場合、水素濃度がある所定の値で飽和することを、例えばSiH吸光度とプラズマ処理時間との相関を調べることで確認している。そのため、本実施の形態にかかる基板処理装置1を用い、トレンチ底部においても水素濃度が飽和するまでプラズマ処理を行えば、トレンチの側壁全体に概ね均一にSiH結合を形成できる。
アニール処理後のウェハWは、例えば再び基板処理装置1に搬入され、プラズマ処理により、ソース電極、ドレイン電極などが順次成膜され、ウェハW上に所定のデバイスが形成される。
以上の実施の形態によれば、ラジアルラインスロットアンテナであるスロット板52を介して処理容器内にマイクロ波が導入されるので、処理容器11内には低電子温度で且つ高密度な処理ガスのプラズマが均一に生成される。そして当該プラズマにより、ウェハW上のアモルファスシリコン層201に水素ラジカルが迅速に且つ均一に注入される。また、低電子温度のプラズマ処理であるため、プラズマによる損傷がない。そのため、プラズマ処理の時間を十分確保することができ、それにより高アスペクト比のトレンチにおいても、トレンチの深い部分にまで水素を注入することができる。
また、水素ラジカルを発生させる水素ガスを、質量の小さなヘリウムガスと混同した状態で供給するので、プラズマによるダメージをさらに抑えることができる。なお、水素ガス供給部61aから供給される水素ガスとしては、必ずしもヘリウムガスと混合したものを用いる必要はなく、例えばアルシン(AsH3)やホスフィン(PH3)といった、水素を含有するガスを用いてもよい。かかる場合においても、アモルファスシリコン層201に良好に水素を注入することができる。ただし、プラズマ処理による被処理体のダメージを低減する観点から、水素ガスとヘリウムガスを混合したものを用いることがより好ましい。かかる場合、ヘリウムガスで希釈後の水素ガスの濃度は、0.7%〜0.07%の範囲内とすることが好ましい。
また、ヘリウムガスをプラズマ生成用の希ガスとして用いてもよい。換言すれば、水素ガス供給部61aからヘリウムガスで希釈した水素ガスを供給し、希ガス供給部61bからヘリウムガスを供給してもよい。図9及び図10にプラズマ生成用の希ガスとして、アルゴンを用いた場合とヘリウムを用いた場合について、SiHx(x=1、2、3)、の吸光度を測定した結果を示す。なお、水素ガス供給部61aから供給するガスの流量は5sccm、希ガス供給部61bから供給するガスの流量は995sccmとした。図9は、マイクロ波を1.5kWの電力で供給した場合、図10はマイクロ波を4.5kWの電力で供給した場合の結果である。図9、図10の横軸はプラズマ処理時間、縦軸は吸光度をそれぞれ示している。なお、吸光度は、上述の図4でピークを示した630cm−1〜670cm−1における値である。図9、図10の結果から、いずれのガスを用いた場合においても、処理時間が概ね20秒を超えていれば、同等のSiHx濃度が得られることが確認できる。
なお、図9、図10からは、マイクロ波の電力が小さい場合(図9)のほうがSiHx吸光度が高くなる傾向がみられる。この点について本発明者らが調査したところ、本発明のプラズマ処理においては、マイクロ波の電力は極力小さくすることが好ましいという結果が得られた。図11、図12に、マイクロ波の電力を変化させた場合の、SiHx吸光度の変化について示す。図11、図12の横軸はマイクロ波の電力、縦軸はSiHx吸光度であり、図11は、プラズマ処理の時間を30秒、図12は、プラズマ処理の時間を100秒とした場合の結果である。
図11、図12の結果は、処理時間が同じであれば、マイクロ波の電力が小さいほどSiHx吸光度が高くなることを示している。したがって、マイクロ波の電力は、例えば1.5kW〜3.5kWとすることが好ましく、より好ましい電力は1.5kWである。通常、マイクロ波の電力を大きくするほど高密度のプラズマが得られるが、図11、図12に示すように、マイクロ波の電力とSiHx吸光度とが反比例するのは、本発明者らによれば、以下の二点が原因であると推察される。一点目としては、マイクロ波の電力が大きいと、プラズマ生成用の希ガスのイオンの数が増加し、このイオンにより、注入された水素ラジカルとダングリングボンドとの結合により形成されたケイ素−水素結合が再び切断されることが考えられる。二点目としては、マイクロ波の電力が大きい場合に増加する希ガスのイオンの数は、特にマイクロ波透過板51の表面近傍で顕著であるため、このイオンが、例えば石英からなるマイクロ波透過板51に衝突して石英から酸素を放出させ、この酸素によりアモルファスシリコン層201の表面にシリコン酸化膜が形成されることが考えられる。シリコン酸化膜が形成されると、当該酸化膜が障壁となり、アモルファスシリコン層201に水素ラジカルが注入されることを阻害するものと思われる。
なお、以上の実施の形態では、高周波電源30から例えば100W〜700Wの電力の範囲でバイアスを印加したが、バイアスの電力は、例えば50W〜700Wの範囲内とすることがより好ましい。図13、14は、バイアス電力とSiHx吸光度の関係を示したグラフであり、縦軸にバイアス電力、横軸にSiHx吸光度を示している。図13は、マイクロ波を4.5kWの電力で供給した場合、図14はマイクロ波を1.5kWの電力で供給した場合の結果である。図13、図14では、バイアス電力を増加させることで、SiHx吸光度が増加することが確認できる。特にマイクロ波の電力を1.5kWに抑えた場合、バイアス電力によるSiHx吸光度の増加が顕著である。
また、本発明者らはSiHx吸光度に、処理容器11内の圧力が与える影響についても確認した。図15にその結果を示す。図15の横軸は処理容器11内の圧力、縦軸はSiHx吸光度であり、マイクロ波の電力は4.5kW、高周波電源30によるバイアス電力は250Wとした。図15に示すように、処理容器11内の圧力を変化させても、SiHx吸光度は特に変化がなく、両者の間には、顕著な相関は無いことが確認された。
なお、以上の実施の形態では、図3に示すような凹凸状のトレンチを有するウェハWを用いたが、ウェハW上に形成されるパターンは本実施の形態に限定されるものではなく、例えば平らな膜が形成されたウェハWも、当然に本発明のプラズマ処理方法によるプラズマ処理の対象となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 基板処理装置
10 ウェハチャック
11 処理容器
12 本体部
13 マイクロ波発生源
14 マイクロ波供給部
20 サセプタ
21 絶縁板
22 支持台
23 補正リング
24 円筒部材
30 高周波電源
31 整合器
42 排気装置
50 支持部材
51 マイクロ波透過板
52 スロット板
53 誘電体板
54 プレート
55 同軸導波管
W ウェハ

Claims (5)

  1. 処理容器にプラズマを形成して、表面にアモルファスシリコン層が形成された基板を前記プラズマにより処理する基板処理方法であって、
    前記処理容器内に水素を含有した処理ガスを供給し、
    ラジアルラインスロットアンテナ方式の平面アンテナ部材を介して前記処理容器内にマイクロ波を供給し、前記処理容器内に前記処理ガスのプラズマを発生させ、
    前記プラズマにより前記アモルファスシリコン層に水素を注入することを特徴とする、プラズマ処理方法。
  2. 前記処理ガスには、ヘリウムガスが混合されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ処理方法。
  3. 前記アモルファスシリコン層は、凹凸状のパターンを有していることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
  4. 前記マイクロ波は、1.5kW〜3.5kWの電力で供給されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
  5. 前記基板には、バイアス用の高周波電力が50W〜700Wの電力で印加されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021061451A (ja) * 2017-02-28 2021-04-15 国立大学法人 筑波大学 半導体装置とその製造方法
CN114864751A (zh) * 2022-05-19 2022-08-05 通威太阳能(眉山)有限公司 太阳电池及其制备方法

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