JP2015053299A - 電気二重層コンデンサ - Google Patents

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勝洋 吉田
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Abstract

【課題】製造が容易で、容量の向上を実現した電気二重層コンデンサを提供する。【解決手段】セパレータを介して当接して対向配置された一対の分極性電極1と、前記分極性電極の表面の一部に当接して配置された一対の集電体7と、有機系の電解液と、前記集電体7とともに前記電解液を封止する枠状のガスケット6とを備えた単位セル101を少なくとも一つ有し、分極性電極1は、活性炭と前記電解液を混合したペースト状の第一の電極部であるペースト電極2と、活性炭とバインダを混合してシート状に成形した第二の電極部であるシート電極3とからなる電気二重層コンデンサを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、電気二重層コンデンサに関する。
電気二重層コンデンサは、分極性電極と、この分極性電極に接触する電解液との界面に生じる電気二重層を利用して蓄電するデバイスであり、主に、ICメモリや小型アクチュエータ等のバックアップ用電源に使用されている。
電気二重層コンデンサは、単一または複数の単位セルから構成されている。単位セルは、電解液を含んだ活性炭を主とする一対の分極性電極の間にセパレータを挟んで、周りにブチルゴムからなるガスケット及び導電性を有するブチルゴムからなる集電体を配した上で、ガスケット及び集電体を加硫させて密封することにより構成される。この単位セルを必要枚数積層した上で、金属ケース等により外装することで電気二重層コンデンサとしている。
単位セルの電解液には、有機系電解液と水溶液系電解液がある。有機系電解液を用いた電気二重層コンデンサは特許文献1に、水溶液系電解液を用いた電気二重層コンデンサは特許文献2に開示されている。
特開2001−307966号公報 特開2009−231336号公報
有機系電解液を用いた電気二重層コンデンサでは、あらかじめ電解液を含浸させたシート電極を備える場合がある。シート電極は、活性炭とバインダを混合してシート状に成形して得られる多孔質体の電極である。容量を向上させるために、多孔質体からなる電極の体積および密度を大きくすると、含浸に時間がかかったり、含浸が不十分であったりという問題があり、容量の向上が困難である。さらに、有機系電解液を用いる場合は、内部に水分が存在すると、この水分が電気分解して性能が劣化するため、乾燥をしなければならないが、多孔質体の内部に吸着している水分除去が困難であるという問題もある。
一方、水溶液系の電解液を用いた電気二重層コンデンサでは、電極材と電解液を混合したペースト電極を備える場合があり、このペースト電極は、電極を形成する部位に、塗布、滴下等で形成する。このため、ペースト電極の粘度が低いことが必要となり、電解液の比率を多くすることが求められるが、電極材同士の接続が電解液により阻害される問題があることから、電極を塗布後、電解液の溶媒である水分を揮発させて電解液の量を調整し、電極材同士の接続を十分に行うことがなされている。
単位セルの耐電圧は、電解液の電気分解電圧で決まり、水溶液系電解液の場合は1.2V程度、有機系電解液の場合は2.5〜3.3V程度である。
製品の耐電圧を上げるためには、有機系電解液を用いるのが好ましい。また、製品の使用温度範囲として、85℃以上を求められることも多くなってきており、有機系電解液の溶媒は高沸点のもの、例えばPC(プロピレンカーボネート)等の沸点が200℃以上のものが好適に使用される。このとき、容量の向上ができるペースト電極を用いた場合、電解液の量を調整するために、高沸点の溶媒を揮発させるには、長時間の乾燥、減圧、加熱乾燥等の特殊な工程が必要であり、製造が煩雑であるという課題がある。
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、その目的は、製造が容易で、容量の向上を実現した電気二重層コンデンサを提供することである。
本発明は、絶縁性を有するシート状のセパレータと、セパレータを介して当接して対向配置された一対の分極性電極と、前記分極性電極の表面の一部に当接して配置された一対の集電体と、有機系の電解液と、前記分極性電極の周囲を囲み、前記セパレータの外周端部を狭持し、前記集電体とともに前記電解液を封止する枠状のガスケットとを備えた単位セルを少なくとも一つ有する電気二重層コンデンサであって、前記分極性電極は、活性炭と前記電解液を混合したペースト状の第一の電極部と、活性炭とバインダを混合してシート状に成形した第二の電極部を有し、前記第一の電極部と前記第二の電極部が当接していることを特徴とする電気二重層コンデンサである。
また、本発明は、前記電解液の溶媒の沸点が200℃以上であることを特徴とする電気二重層コンデンサである。
本発明によれば、有機系電解液を用いた場合において、高沸点の溶媒を揮発させる特殊な工程が必要なくなるため、製造が容易となり、シート電極と、電極の体積および密度が大きいペースト電極を組み合わせることより、容量の向上を実現した電気二重層コンデンサが得られる。
本発明の電気二重層コンデンサの単位セルを模式的に表した断面図。 本発明の電気二重層コンデンサの中間体の断面図。 本発明に係る電気二重層コンデンサの断面図。 第二の実施の形態に係る中間体の断面図。 第三の実施の形態に係る中間体の断面図。 比較例として作製した単位セルの断面図。
図1は、本発明の電気二重層コンデンサの単位セルを模式的に表した断面図である。本発明の電気二重層コンデンサの単位セル101は、図1に示すように、ペースト電極2とシート電極3とで構成される分極性電極1、電解液(図示せず)、セパレータ5、ガスケット6、集電体7から構成される。
分極性電極1は、セパレータ5を介して対向して配置されており、一方が正極、他方が負極となる。これらの分極性電極1は、電解液を補液するとともにセパレータ5で絶縁されている。セパレータ5は、例えばポリプロピレンの不織布のような多孔質の絶縁シートであり、正負の分極性電極1が直接接触することを防ぎ、電解液に含まれるイオンの移動を可能としている。この構造により、正負の集電体7を介して電圧を印加した際に、単位セル101内部の分極性電極1表面に電気二重層を形成でき、セルを充放電に用いることが可能となる。
(第一の実施の形態)
第一の実施の形態では、分極性電極1は、ペースト電極2とシート電極3を集電体7と平行に配置する構成とし、セパレータ5を介してシート電極3を配置し、さらにその外側にペースト電極2を配置した。ただし、分極性電極1の構成はこれに限定されるものではなく、ペースト電極2とシート電極3を組み合わせて使用できれば、その実施の形態は問わない。例えば、ペースト電極2とシート電極3の積層する順番を入れ替えても、繰り返し積層してもよい。また、シート電極3の形状も適宜設計可能である。
次に、製造工程の一例について説明する。図2は、第一の実施の形態に係る中間体の断面図である。まず、リング状のガスケット6と円盤状の集電体7の外周を貼り合わせ、有底の円筒(凹部)とし、その凹部に電解液と活性炭を混合してペースト状にしたものを滴下、塗工することによりペースト電極2を形成し、更にその上にガスケット6の内径と同等以下の形状にしたシート電極3を載せる。
シート電極3は、活性炭がPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のバインダにより固化、成形されているものであり、成形時点では電解液は含んでいないが、ペースト電極2に接触させることによりペースト電極2中の電解液がシート電極3へ移動し、シート電極3は電解液を含んだ状態となる。したがって、ペースト電極2を用いた場合において、従来問題となっていた有機系電解液における高沸点の溶媒を揮発させるための、長時間の乾燥、減圧、加熱乾燥等の特殊な工程が必要なくなり、製造が非常に容易となる。
このようにして単位セルの片側となる中間体を形成し、同様に単位セルのもう一方の片側となる中間体を形成し、それぞれをセパレータ5を挟んで対向配置させることによって、電解液を含んだ分極性電極1が封止され、本実施の形態の電気二重層コンデンサの単位セル101が作製される。なお、ガスケット6と集電体7の形状は円形でなく、方形や楕円形等の形状であってもよく、その場合、シート電極3、セパレータ5の形状もそれに合わせた形状とすることができる。
上述した製造工程において、ペースト電極2とシート電極3の配置は、本実施の形態に限定されるものではなく、積層の順番や、配置場所等は適宜変更可能である。
分極性電極1に用いる活性炭としては、平均粒子径が8μm程度、比表面積2000m/g程度のフェノール樹脂系活性炭等を用いることができる。
電解液としては有機系の電解液を用いるが、例えば、溶媒としてPCを用い、それに電解質としてTEA−BF4塩(テトラエチルアンモニウムとテトラフルオロボーレートを溶解させたもの)を使用できる。溶媒については、沸点が200℃以上のものが好適に使用でき、PC以外の溶媒として、SL(スルホラン)、GBL(ガンマブチルラクトン)等が挙げられる。これらの溶媒としてもTEA−BF4塩が使用可能である。溶媒の沸点の上限値については、特に規定はないが、300℃以下程度とするのが好ましい。これは、一般的に沸点が高い溶媒ほど粘度が上昇し、ペーストの塗布、滴下等が困難になる場合があることから、作業性を考慮したものである。
ペースト電極2としては、上記の活性炭と電解液を混合して用いるが、滴下、塗布等の作業に適する粘度にするため、電解液の重量比率が少なくとも75%以上となるように調合し混合する。また、活性炭は調合前に100Pa以下に減圧した乾燥炉にて、180℃、12時間の乾燥を行い、水分を除去する。
シート電極3の成形用のバインダとしては、PTFE等を使用し、活性炭とバインダを合わせた重量に対して、バインダが5%となるような重量比で混合したものを成形して用いるのが好ましい。密度は0.5g/cc以下となるようにプレス等で成形した後、ガスケット6に合わせたサイズに切断し、使用前に100Pa以下に減圧した乾燥炉にて、180℃、112時間の乾燥を行い、水分を除去する。
ガスケット6としては、非導電性ブチルゴム等、集電体7には、導電性ブチルゴム等を用いることができるが、その場合、ガスケット6と集電体7は、加硫により接着できる材料である必要がある。
本実施の形態では、ペースト電極2とシート電極3を組み合わせて分極性電極1を構成するが、ペースト電極2とシート電極3が接触した時点から、ペースト電極2の電解液がシート電極3に向かって毛細管現象により移動するため、ペースト電極2においては、溶媒乾燥と類似した電解液の減少が起こる。ただし、水溶液系電解液では溶媒乾燥後に電解液濃度が適正になるように電解液濃度を低めに調整しておくが、本実施の形態では、溶媒が揮発するわけではないので電解液濃度は最初から適正濃度にしておく必要がある。
ペースト電極2の電解液比率は、上記の電解液移動後の平衡状態において、ペースト電極2およびシート電極3の双方における電解液の重量比が適正比率になるように調整する。
シート電極3は、厚みが薄く密度が低い方が水分除去が容易に行えるため、厚さは1mm以下、密度は0.5g/mL以下が好ましく、また、分極性電極1に占める割合が小さい方が容量を大きくできるため、ペースト電極2から電解液を移動させる上で必要な最小の大きさとなるようにする。
また、上記の平衡状態での電解液の重量比は、60〜70%前後が好ましいが、使用する活性炭、電解液、シート電極3の大きさ、密度等により適正値が変化するため、材料に応じて最適値の検討が必要である。
図3は、本発明に係る電気二重層コンデンサの断面図である。上記の単位セル101を積層し、単位セル101に外部端子8を取り付け、さらに外装樹脂9にて外装を施して電気二重層コンデンサを作製する。なお、単位セルは1つ以上あればよく、数量は限定されない。
(第二の実施の形態)
図4は、第二の実施の形態に係る中間体の断面図である。第二の実施の形態ように、ペースト電極2とシート電極3を積層するのではなく、集電体7に対して垂直方向に並べて配置することも可能である。この垂直方向の配置も第二の実施の形態に限定されず、中間体の断面において、ペースト電極2とシート電極3が複数並ぶように配置してもよい。また、第二の実施の形態において、第一の実施の形態の製造方法や製造条件を用いることが可能である。
(第三の実施の形態)
図5は、第三の実施の形態に係る中間体の断面図である。第三の実施の形態のように、集電体7に対してシート電極3は傾きをもたせ、シート電極3の両主面にペースト電極2が当接するような構成とすることも可能である。また、第三の実施の形態においても、第一の実施の形態の製造方法や製造条件を用いることが可能である。
実施例について、図1、図2、図3を用いて説明する。ガスケット6として、厚さ1.0mmの非導電性ブチルゴムのシートを、内径6.5mm、外径10.0mmmのリング状に打ち抜き成形する。次いで集電体7として、厚さ0.18mmの導電性ブチルゴムのシートを直径10.0mmの円盤状に打ち抜き成形する。その後、集電体7をガスケット6と同心円上になるように配置し、集電体7の外周部を貼り合わせて凹部を有する凹体を形成した。
次に、ペースト電極2を作製するため、活性炭と有機系電解液を混合した。活性炭は、平均粒子径が8μmのフェノール樹脂系活性炭を用い、調合前に100Pa以下に減圧した乾燥炉にて、180℃、12時間の乾燥を行い水分を除去したものを使用した。また、有機系電解液は、溶媒がPCで電解質がTEA−BF4で電解質濃度0.8mol/Lのものを使用した。ペースト中の電解液の重量が75%となるように活性炭と電解液を混合した。
このペースト電極2を上記で作製したガスケット6と集電体7からなる凹体の底部にディスペンサにより102mg注入した。
次に、シート電極3をペースト電極2の上に載せ、100Pa以下に減圧したチャンバー内に入れ、脱ガスを30分実施した。このとき、ペースト電極2からシート電極3への電解液の移動が起こるが、両電極内の電解液比率が等しくなると仮定した場合、分極性電極1の電解液重量比率が70%となるように、ペースト電極2の初期電解液量を調整して75%とした。
また、このとき使用したシート電極3は、以下のように作製した。まず、ペースト電極2と同じ活性炭を用い、バインダーとしてのPTTE粉末、および分散剤としてのCMC(カルボキシメチルセルロース)を重量比で95:4:1となるように秤量した。さらに活性炭重量の2倍の純水を用意し、CMCを溶解させてCMC溶液とした後、活性炭、PTFE粉末を加えて混練し、軟泥状にした。その後、厚さ0.6mmのシート状に成形し、60℃で30分の乾燥を行って水分を95%程度蒸発させた後、直径6.5mmの円盤状に打ち抜いた。そして、100Pa以下にした減圧オーブンにて180℃、12時間の乾燥を経て水分除去した。
この乾燥後のシート電極3の厚さおよび直径は、乾燥により、それぞれ0.56mm、6.4mmに収縮しており、密度は0.4g/mLであった。
このようにして図2に示す単位セルの片側となる中間体を作製し、この中間体と同じものをもう一つ作製し、これらを図1に示すように、分極性電極1が向かい合い、かつ同心円上になるように配置し、その間に厚さ0.1mm、直径7.5mmの円盤状のセパレータ5が同心円上にくるように挿入した後、ガスケット6同士を接着させて1個の単位セル101とした。セパレータ5はポリプロピレンの不織布を用い、単位セル101に組み込む前に100℃、12時間の乾燥を実施した。また、ガスケット6同士の接着には、ブチルゴムの加硫反応を利用した熱硬化接着を行い、単位セル101の気密性を高め、電解液が外部に漏洩しないようにした。
単位セル101を2つ積層して一組にし、図3のように外部端子8を取り付け、さらに外装樹脂9にて外装を施して電気二重層コンデンサを作製した。
(比較例)
図6は比較例として作製した単位セルの模式的な断面図である。比較例の単位セル201は、分極性電極11としてシート電極のみを用い、電解液を直接含浸させる点以外は、実施例と同じ材料、工法を用いた。用いたシート電極は容量を極力大きくするため、乾燥後の厚さがガスケット6内に収まる限度の2.0mmとなるように成形した。分極性電極11の密度は、実施例の場合と同じく0.4g/mLとした。
また、電解液は、セルの片側同士を接着させる直前に各々のシート電極に滴下し、100Pa以下として減圧チャンバーで30分脱気、含浸させた。また、電解液の量は、シート電極と電解液を合わせた重量の70%として、実施例で仮定した分極性電極に対する電解液の重量比率と同じにした。
比較例においても、図3のように外部端子8を取り付け、さらに外装樹脂9にて外装を施して電気二重層コンデンサを作製した。
実施例および比較例の電気二重層コンデンサを各20個作製し、初期特性として容量の平均を求め、さらに70℃、5.5V印加の高温負荷試験を実施し、1kHzにおける等価直列抵抗(ESR)を測定して試験前の初期値と比較した。その結果を表1に示す。
Figure 2015053299
実施例は比較例と比べて、容量が20%高い値を示し、分極性電極をシート電極のみではなく、ペースト電極と組み合わせて使用した効果が得られた。また、高温負荷試験後のESRの上昇は、比較例は3.5倍と高く、これはシート電極が厚くなったことにより、内部の水分が完全に除去できなかったため、残留水分が電解液と反応したためと推測される。これに対し、実施例では、ESR上昇が2倍となり、大きく改善できた。
以上説明したとおり、本発明の構成により、製造が容易で、容量の向上を実現した電気二重層コンデンサが得られた。
1、11 分極性電極
2 ペースト電極
3 シート電極
5 セパレータ
6 ガスケット
7 集電体
8 外部端子
9 外装樹脂
101、201 単位セル

Claims (2)

  1. 絶縁性を有するシート状のセパレータと、セパレータを介して当接して対向配置された一対の分極性電極と、前記分極性電極の表面の一部に当接して配置された一対の集電体と、有機系の電解液と、前記分極性電極の周囲を囲み、前記セパレータの外周端部を狭持し、前記集電体とともに前記電解液を封止する枠状のガスケットと
    を備えた単位セルを少なくとも一つ有する電気二重層コンデンサであって、
    前記分極性電極は、活性炭と前記電解液を混合したペースト状の第一の電極部と、活性炭とバインダを混合してシート状に成形した第二の電極部を有し、前記第一の電極部と前記第二の電極部が当接していることを特徴とする電気二重層コンデンサ。
  2. 前記電解液の溶媒の沸点が200℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層コンデンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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