JP2015052365A - 転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑油が軸方向に貫流する転がり軸受において、良好な潤滑を確保しつつ、潤滑油の撹拌抵抗に起因するトルク上昇を抑制する。【解決手段】内輪10と、外輪20と、複数の転動体40と、転動体40を円周方向で所定間隔に保持する保持器30とからなり、潤滑油が軸方向に貫流する転がり軸受において、内輪10の、潤滑油入口側の外周に、遠心力で拡径する弾性リング52を取り外し可能に取り付け、保持器30と弾性リング52との間の半径方向すきまを内輪回転数に応じて変化させる。【選択図】図1

Description

この発明は転がり軸受に関する。
また、この発明は、アンギュラ玉軸受や円すいころ軸受のような、保持器の断面形状が左右非対称な転がり軸受に利用することができるが、断面形状は左右対称であっても潤滑油を軸方向に貫流させるようにしたものにも適用することができる。
呼び接触角が0°を超え45°以下のラジアル玉軸受をアンギュラコンタクト玉軸受といい、3点接触、4点接触を除く単列および複列のこの種の軸受を略してアンギュラ玉軸受という。接触角とは、軸受の中心軸に垂直な平面(ラジアル平面)と転動体荷重(転動体と軌道輪との接触部に働く力)の合成力の作用線とのなす角をいう。
従来のアンギュラ玉軸受に使用されている保持器は、玉を保持するためのポケットの壁面が玉の外周面に沿う単一曲率の曲面でできており、断面形状が左右非対称であることが一般的である(特許文献1)。円すいころ軸受の場合、転動面が円すい面形状をした円すいころを使用し、内輪の軌道面および外輪の軌道面も円すい面形状であることから、保持器の断面形状は左右非対称となる。
特許文献1に記載してあるアンギュラ玉軸受は、図4に示すように、肩おとし内輪2と、肩おとし外輪4と、複数の玉6と、保持器8とを備えている。保持器8は合成樹脂製で、内輪2の肩おとし部(カウンターボア)と外輪4の肩部との間に収まる小環状部8aと、外輪4の肩おとし部(カウンターボア)と内輪2の肩部との間に収まる大環状部8bと、小環状部8aと大環状部8bとを連結する柱部8cとを有する。保持器8の柱部8cは円周方向に等配してあり、隣り合った柱部8cと柱部8cとの間に窓形のポケット8dが形成され、このポケット8dに玉6が収容される。保持器8はそのポケット8dの形態から窓形樹脂保持器と呼ばれている。一般に、窓形樹脂保持器のポケットの壁面は、単一曲率半径の部分球面状に形成されている。
図4では接触角を符号αで示してある。そして、接触角側の内輪2の肩部を高くしたいため、保持器8の大環状部8bの内径は、玉セットのピッチ径(以下、PCDという)よりも大きくしてある。また、接触角側の外輪4の肩部を高くしたいため、保持器8の小環状部8aの外径をPCDよりも小さくしてある。そして、小環状部8aと大環状部8bを連結する柱部8cは、内径側が凹円すい面状、外径側が凸円すい面状となっている。なお、図4に破線で示すように柱部8cの断面は紡錘形状である。
実開平04−78331号公報 特開2013−72451号公報
近時、自動車用途の軸受では、燃費向上等の環境問題からトルク低減が求められている。軸受トルクに影響を与える要素の主要なものには、転動体が軌道面上を転動するときに発生する潤滑油の粘性に基づく粘性抵抗、潤滑油中を転動体が移動するときに受ける撹拌抵抗、転動体が保持器との間のすきまを通過する際に発生する油膜のせん断抵抗がある。
アンギュラ玉軸受や円すいころ軸受といった断面形状が左右非対称の転がり軸受は、回転に伴う遠心力の作用でポンプ作用が働き、過度の潤滑油が軸受内部に流入して撹拌抵抗を増大させることが知られている。ポンプ作用は回転数に応じて高くなるため、回転数が高いほど潤滑油の流入量も増加して、その分撹拌抵抗が大きくなる。撹拌抵抗の増加は軸受のトルク増大につながる。
過度の潤滑油の流入を防止するために、保持器内径aと内輪外径bとの間のすきまを小さくする手法も考えられるが(図3参照)、流入量を必要以上にさえぎると潤滑不良の懸念もあることから、ある程度の潤滑油は必要である。
特許文献2にも、保持器内径と内輪外径との間のすきま(クリアランス)を内輪外径の2.0%以下とすることにより、軸受内に進入する潤滑油の進入量をコントロールしてトルク損失の低減を図るようにした技術が記載されている。しかし、これは、軸受の一部が油浴に浸かること、かつ、軸受内への潤滑油の供給がポンプ作用によるため進入量が多いことを前提としている。すなわち、軸受内部に多くの潤滑油が進入すると、軸受回転時に公転する玉によって撹拌されて大きな回転抵抗となるため、トルク損失が大きくなることから、必要最小限の潤滑油が軸受内部に供給されるように意図したものである。そこでは潤滑不良の問題は捨象されている。
この発明の課題は、潤滑油が軸方向に貫流する転がり軸受において、良好な潤滑を確保しつつ、潤滑油の撹拌抵抗に起因するトルク上昇を抑制することにある。
この発明は、軸受内に流入する潤滑油量を回転数に応じて可変にコントロールする機構を採用することによって課題を解決した。
すなわち、この発明は、内輪と、外輪と、複数の転動体と、前記転動体を円周方向で所定間隔に保持する保持器とからなり、潤滑油が軸方向に貫流する転がり軸受を前提とする。そして、前記内輪の、潤滑油入口側の端部外周に、遠心力で拡径する弾性リングを設け、前記保持器と前記弾性リングとの間の半径方向すきまを内輪回転数に応じて変化させるようにしたことを特徴とする。弾性リングは、遠心力で拡径することにより、撹拌抵抗が比較的小さい、回転数の低い領域では、十分な潤滑油流入量を確保し、一方、回転数の高い領域では流入量を制限する。
この発明によれば、回転数に応じて保持器と内輪との間のすきまを調整することができる。そのため、低回転領域では十分な潤滑油を確保し、高回転領域では必要最小限の潤滑油流入量とすることで、良好な潤滑状態と、高回転領域での撹拌抵抗の低減を両立することが可能となる。したがって、この発明の転がり軸受によれば低トルク化が実現する。
(A)は実施の形態を示すアンギュラ玉軸受の断面図、(B)はピン部分の拡大図である。 図1(B)のII−II断面図である。 比較例を示す断面図である。 従来の技術を示す断面図である。 (A)は二分割保持器を用いた深溝玉軸受の断面図、(B)は部分拡大図である。 (A)は図5における保持器の部分展開図、(B)は分解展開図である。 (A)別の実施の形態を示す深溝玉軸受の断面図、(B)は止め輪の正面図である。
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。なお、すべての図を通じて実質的に同一の部品あるいは部位には同じ符号をあて、重複した記載を省略することとする。
図1に示すアンギュラ玉軸受は、内輪10と、外輪20と、玉40と、保持器30とを備えている。ここでは、内輪回転を前提とするため、内輪10が回転側軌道輪、外輪20が静止側軌道輪となる。そして、内輪10は図示しない回転軸とはめ合わせ、外輪20は図示しないハウジングに固定する。
なお、図1は、ポケットすきまが円周方向、軸方向および径方向の各両側に均等な状態すなわち中立状態で、軸受中心軸および円周方向に等配した玉40の中心を含む断面を示している。ここで、軸方向とは、軸受中心軸に沿った方向のことをいう。径方向とは、軸方向に対して垂直な方向のことをいう。円周方向とは、軸受中心軸回りの円周方向のことをいう。
内輪10は単列で、軌道12の片側に肩部14を有し、片側の肩をおとした肩おとし内輪である。肩おとし部16は、軌道12の、肩部14とは反対側に位置する外周面部からなり、カウンターボアと呼ばれる部分である。
外輪20は単列で、軌道22の片側に肩部24を有し、片側の肩をおとした肩おとし外輪である。肩おとし部26は、軌道22の、肩部24とは反対側に位置する内周面部からなり、カウンターボアと呼ばれる部分である。
保持器30は、小環状部32と、大環状部34と、複数の柱部36とからなり、柱部36と柱部36の間に窓形のポケット38が形成され、各ポケット38に玉40が収容される。保持器30は合成樹脂製で、たとえば射出成型により製造することができる。
小環状部32と大環状部34は、それぞれ、保持器中心軸と同軸の円筒面形状である。小環状部32の外径はPCDよりもわずかに小さく、小環状部32の内径は内輪10の肩部14の外径よりも小さい。大環状部34の内径はPCDよりもわずかに大きく、大環状部34の外径は外輪20の肩部24の内径よりも大きい。
そして、内輪10の肩おとし部16上には、肩部14の外径よりも小径な環状空間が存在し、小環状部32は、内輪10の肩おとし部16と外輪20の肩部24との間の環状空間に収まる。外輪20の肩おとし部26上には、肩部24の内径よりも大径な環状空間が存在し、大環状部34は、外輪20の肩おとし部26と内輪10の肩部14との間の環状空間に収まる。
図示するように、中立状態では、保持器30の中心軸と軸受中心軸は同軸になっている。
柱部36は、断面形状が紡錘状で、内径面は、小環状部32の内径面と同径の円筒面部分と、その円筒面部分と大環状部34の内径面とを結ぶ凹円すい面部分とからなる。柱部36の外径面は、大環状部34の外径面と同径の円筒面部分と、その円筒面部分と小環状部32の外径面とを結ぶ凸円すい面部分とからなる。
保持器30は、転動体案内方式になっており、内輪10との間、外輪20との間には比較的大きなすきまが設けてある。ポケット38の壁面と玉40との間には、ポケットすきまが確保されている。
内輪10の肩おとし部16に環状溝18が形成してあり、環状溝18の底面18aに、ピン50が固定してある。ピン50は内輪10の半径方向に延び、先端が内輪10の肩おとし部16の外周面よりも大径の位置にある。
環状溝18には、さらに弾性リング52が装着してある。図2からわかるように、弾性リング52は円周方向の1箇所にスリット54を形成してあり、弾性的に拡径、縮径が可能である。したがって、弾性リング52は内輪10に対して取り付け、取り外しが可能である。弾性リング52のスリット54内にピン50が配置してある。
弾性リング52が最大限拡径しても保持器30と接触することがないように、弾性リング52の潤滑油出口側(図1では右側)の端面は、保持器30の小環状部32の端面よりも潤滑油入口側(図1では左側)に位置するように設定する。
次に、上記構成の作用を説明する。
内輪10が回転すると、玉40が自転しつつ公転し、玉40の公転に伴い、保持器30も回転する。すると、保持器30の断面形状に起因してポンプ作用が発生して、軸受内部の潤滑油を内輪10側から外輪20側へ、かつ、図1の左側から右側へ流動させる。したがって、図1の左側を潤滑油入口側、右側を潤滑油出口側と呼ぶこととする。
内輪10の回転に伴って弾性リング52も回転する。すなわち、内輪10に固定したピン50を介して弾性リング52に回転力が伝わる。その結果、回転速度に応じて弾性リング52が拡径または縮径し、回転速度に応じて保持器30と弾性リング52との間のクリアランスが狭まったり広がったりする。このクリアランスは、より詳しく述べるならば、保持器30の小環状部32の内径面と内輪10の肩おとし部16の外径面との間の環状すきまを意味し、潤滑油入口側に位置することから潤滑油入口開口と呼ぶことができる。
したがって、そのクリアランスが、上述のように回転速度に応じて拡径または縮径することで、軸受内部に流入する潤滑油量が回転速度に応じて制限されることとなる。回転速度が低いときは、弾性リング52の拡径量が少なく、比較的大きなクリアランスが確保されるため、潤滑油不足を招来する心配がない。回転速度が高いときは、弾性リング52の拡径量が多く、クリアランスが小さくなって潤滑油流入量を制限し、過度の潤滑油流入に起因するトルク増大を防止する。このようにして、低トルク化が実現する。
上記クリアランスは、保持器30と内輪10との間の潤滑油入口開口であって、実施例の弾性リング52は保持器30と外輪20との間の潤滑油入口開口に関しては関与しない。しかしながら、たとえば弾性リングの幅を変更するなどして後者に関しても関与するようにすることはもちろん可能である。
また、保持器30と内輪10との間の空間に流入する潤滑油量を制限することで、せん断抵抗の抑制にも寄与するという側面がある。すなわち、保持器30と内輪10との間の空間に流入する潤滑油には、そのまま軸方向に流下する部分と、保持器30と玉40の間のすきま(ポケットすきま)を通過して外輪20側へ至る部分とがある。そして、潤滑油がポケットすきまを通過するときのせん断抵抗も軸受トルクの発生要因であることから、ポケットすきまを通過する潤滑油の量が過度になるとトルク増大につながる。
せん断抵抗は、一般に、F=η(u/h)Sで求められる。ここに、F:せん断抵抗、η:潤滑油の粘度、u:すべり速度、h:油膜厚さ、S:すべり面積である。ポケットすきまは油膜厚さhに相当する。
上述の実施例の効果をまとめると次のとおりである。
回転側軌道輪である内輪10と、静止側軌道輪である外輪20と、内輪10の軌道12と外輪20の軌道22との間に介在する複数の転動体40と、転動体40を円周方向で所定間隔に保持する保持器30とからなり、潤滑油が軸方向に貫流する転がり軸受を前提とし、内輪10の、潤滑油入口側の外周に、遠心力で拡径する弾性リング52を取り外し可能に取り付け、保持器30と弾性リング52との間の半径方向すきまを内輪回転数に応じて変化させるようにした転がり軸受において、弾性リング52は、内輪10の回転数が上昇すると拡径して前記半径方向すきまを減少させ、内輪10の回転数が低下すると縮径して前記半径方向すきまを増加させる。これにより、回転数の低い比較的撹拌抵抗の小さい領域では、十分な潤滑油流入量を確保し、回転数の高い領域では潤滑油流入量を制限して撹拌抵抗を抑制する。
弾性リング52の潤滑油出口側の端面は、保持器30の潤滑油入口側の端面よりも潤滑油入口側に位置するように設定する。これにより、弾性リング52が拡径したとき、保持器30と接触する心配がない。
内輪10にピン50を固定し、弾性リング52の円周方向の1箇所にスリット54を設け、スリット54内にピン50を配置することにより、弾性リング52のまわり止めをすることができる。そして、内輪10が回転すると、ピン50を介して弾性リング52も回転し、遠心力が作用する。
内輪10の外周面に環状溝18を形成し、環状溝18の中に、ピン50を固定するとともに弾性リング52を収容することにより、弾性リング52が内輪10と一体的にユニット化されるため、取扱いが容易であるばかりでなく、使用中に外れてしまう心配もない。なお、弾性リング52は取り外し可能であるため、例えば潤滑油流入量を制限する必要のない用途では、弾性リング52を内輪10から取り外してもよい。
弾性リング52を合成樹脂製とすることにより、弾性リング52の拡径、縮径が無理なく行なえる。また、軸受全体の重量を大幅に増加させることもない。さらに、拡径したときに万一保持器と接触しても、保持器を傷つけたり損傷させたりする心配がない。
潤滑油が軸方向に貫流する転がり軸受とは、保持器の断面形状が左右非対称である転がり軸受、具体的には、アンギュラ玉軸受や円すいころ軸受が該当する。また、特開2013−72451号公報に記載された深溝玉軸受は、内輪および外輪の肩高さが左右で異なるほか、断面形状が左右非対称になった保持器を使用していることから、ポンプ作用が生じて潤滑油が軸方向に貫流する。したがって、このような転がり軸受についてもこの発明を適用することができる。さらに、保持器の断面形状が左右対称の転がり軸受であっても、潤滑油を軸方向の一方から供給するものは潤滑油が軸方向に貫流する転がり軸受に該当する。
次に、特開2013−72451号公報に記載された深溝玉軸受の基本的構成について、図5および図6を参照して説明する。
図5に示す深溝玉軸受は、内輪110と、外輪120と、複数の玉130と、保持器140とからなる。内輪110は外周に軌道溝112を有し、外輪120は内周に軌道溝122を有し、内輪110の軌道溝112と外輪120の軌道溝122との間に玉130が組み込まれ、保持器140は玉130を円周方向で所定間隔に保持する役割を果たす。
内輪110の軌道溝112の両側に肩114、116が形成してあり、図5および図6で軌道溝112の右側に位置する肩116は左側に位置する肩114よりも高くなっている。また、外輪120の軌道溝122の両側に肩124、126が形成してあり、図5および図6で軌道溝122の左側に位置する肩124は右側に位置する肩126よりも高くなっている。
ここで、低い方の肩114、126の肩高さは、例えば、標準型の深溝玉軸受における肩と同じ高さとすることができる。
なお、説明の都合上、高い方の肩116、124をスラスト負荷側の肩といい、低い方の肩114、126をスラスト非負荷側の肩という。
スラスト負荷側の肩116、124の肩高さをHとし、玉130の径すなわち玉直径をdとすると、玉直径dに対する肩高さHの比H/dの値は、0.25〜0.50の範囲とするのが好ましい。玉直径dに対する肩高さHの比H/dの値を0.25以上とすることにより、玉130が肩116、124に乗り上げるのを確実に防止することができる。
保持器140は、第一分割体140Aと第二分割体140Bとからなる二分割保持器で、第一分割体140Aの内側に第二分割体140Bがはめ込んである。
第一分割体140Aは、図6に示すように、合成樹脂から成形した環状体142からなり、円周方向に所定間隔で複数のポケット144が形成してある。各ポケット144は環状体142を半径方向にくりぬいた部分円筒孔形状で、その周壁は半円を超えている。つまり、ポケット144は環状体142の軸方向の一方に開口しており、その開口部に、ポケット144を挟んで向き合った一対のポケット爪146が設けてある。
環状体142の内径は図5(B)に示す玉130のピッチ円径(PCD)にほぼ等しく、外径は、外輪120のスラスト負荷側の肩124の内径よりも大きく、スラスト非負荷側の肩126の内径よりも小さい。したがって、第一分割体140Aは、外輪120のスラスト非負荷側の肩126側から軸受内に挿入可能な寸法である。
第二分割体140Bは、図6に示すように、合成樹脂から成形した環状体152からなり、円周方向に所定間隔で複数のポケット154が形成してある。各ポケット154は環状体152を半径方向にくりぬいた部分円筒孔形状で、その周壁は半円を超えている。つまり、ポケット154は環状体152の軸方向の一方に開口しており、その開口部に、ポケット154を挟んで向き合った一対のポケット爪156が設けてある。
環状体152の内径は図5(B)に示す玉130のピッチ円径(PCD)にほぼ等しく、内径は、内輪110のスラスト負荷側の肩114の外径よりも大きく、スラスト非負荷側の肩116の外径よりも小さい。したがって、第二分割体140Bは、内輪110のスラスト非負荷側の肩114側から軸受内に挿入可能な寸法である。
図5および図6に示すように、第一分割体140Aと第二分割体140Bの相互間には、軸方向に非分離とするための連結手段Xが設けてある。連結手段Xは、第一分割体140Aの係合爪148と第二分割体140Bの係合凹部160との係合、および、第二分割体140Bの係合爪158と第一分割体140Aの係合凹部150との係合によって、第一分割体140Aと第二分割体140Bとを軸方向に非分離とする構造である。
より具体的に述べるならば次のとおりである。すなわち、第一分割体140Aの隣接するポケット144のポケット爪146間に内径側に突出した係合爪148が設けてあり、かつ、環状体142の内周面に、係合爪148と同一軸線上に、溝状の係合凹部150が形成してある。同様に、第二分割体140Bの隣接するポケット154のポケット爪156間に外径側に突出した係合爪158が設けてあり、かつ、環状体152の外径面に、係合爪158と同一軸線上に、溝状の係合凹部160が形成してある。
述べたような構造からなる深溝玉軸受の組立てに際しては、外輪120の内側に内輪110を挿入し、その内輪110の軌道溝112と外輪120の軌道溝122との間に所要数の玉130を組み込む。このとき、内輪110を外輪120に対して径方向にオフセットさせて、内輪110の外径面の一部を外輪120の内径面の一部に接触させ、その接触部位から周方向に180度ずれた位置に三日月形の空間を形成して玉130を組み込む。
玉130の組込みに際して、内輪110のスラスト負荷側の肩116や外輪120のスラスト負荷側の肩124の肩高さHが必要以上に高いと、玉130の組込みを阻害することになる。そこで、玉直径dに対する肩高さHの比H/dの値が0.50を超えることのない肩高さに設定することにより、内輪110と外輪120との間に玉130を確実に組み込むことができる。すべての玉130を組み込んでから、内輪110の中心と外輪120の中心を一致させて玉130を周方向に等間隔に配置する。
続いて、外輪120のスラスト非負荷側の肩126側から内輪110と外輪120との間に第一分割体140Aを、その第一分割体140Aのポケット144内に玉130がはまり込むようにして挿入する。同様に、内輪110のスラスト非負荷側の肩114側から内輪110と外輪120との間に第二分割体140Bを、その第二分割体140Bのポケット154内に玉130がはまり込むようにして挿入する。そして、第一分割体140Aの内側に第二分割体140Bをはめ込む。
第一分割体140Aに第二分割体140Bをはめ込むことにより、図5(B)および図6(A)に示すように、各分割保持器140A、140Bの係合爪148、158が相手方の分割保持器の係合凹部160、150に係合するに至る。これにより、二分割型にして非分離の分割保持器140を備えた深溝玉軸受の組立てが完了する。
この深溝玉軸受の運転時には、内輪110が外輪120に対して相対回転し、玉130が自転しつつ公転する。玉130の公転に伴って保持器140も回転する。このとき、保持器140は、第一分割体140Aと第二分割体140Bをはめ合わせた構造で、第一分割体140Aと第二分割体140Bは外径が相違している。この外径の相違により周速が異なるため、いわゆるポンプ作用が生じ、潤滑油が第二分割体140Bの内周面と内輪110の肩114の外周面との間に形成される空間から軸受内に送り込まれることになる。
次に、図7に示す実施の形態について説明する。
図7に示す転がり軸受は、内輪162と、外輪164と、複数の玉166と、分割型保持器168を有し、基本的構成に関する限り、図5に示した深溝玉軸受と実質的に同一である。しかし、両者は、断面形状が左右非対称であるため回転に伴ってポンプ作用が発生し軸受の軸方向に潤滑油が貫流する点で共通するものの、この実施の形態では止め輪170を設けた点で異なる。
止め輪170は、図7(A)に示すように、内輪162の肩に環状溝を設けてその中に装着する。止め輪170は合成樹脂製で、切込みを入れて弾性的に拡径、縮径が可能なリングの形態をしている。図7(B)は縮径した状態の止め輪170を示している。止め輪170を内輪162に取り付けたり、内輪162から取り外したりするときは、拡径させていわゆるC型止め輪のように開口部を設けた状態で行う。
軸受の軸方向で見た止め輪170を配置すべき場所は、軸受内部を貫流する潤滑油の下流側である。これにより、止め輪170によって潤滑油の流出量を制限することができる。したがって、潤滑油の供給量が少ない場合に潤滑油をためておく作用が得られるため良好な潤滑を確保する上で有用である。
止め輪170を用いる図7の実施の形態を弾性リング52を用いる図1の実施の形態と組み合わせることで、例えば弾性リング52によって過度に潤滑油の流入が阻止されるような場合であっても、ある程度の潤滑油を軸受内部にためておくことができる。したがって、トルク低減だけでなく良好な潤滑も達成すべき場合などに採用し得る実施の形態と言える。
以上、図面に例示したアンギュラ玉軸受や深溝玉軸受に適用した場合を例にとって説明したが、この発明は、特許請求の範囲を逸脱することなく種々の改変を加えて実施をすることができる。例えば、すでに述べたように、図1に示した弾性リング52を用いる実施の形態と、図7に示した止め輪170を用いる実施の形態は、互いに組み合わせて実施をすることもできる。その場合、それぞれの構成に基づく相乗的な作用効果が得られることは言うまでもない。また、図1に示した弾性リング52と、図7に示した止め輪170を、図5に示した二分割保持器140を用いる深溝玉軸受に適用することも可能である。さらに、図1に示した弾性リング52を、図5に示した二分割保持器140を用いる深溝玉軸受に適用することも可能である。
10 内輪
12 軌道
14 肩
16 肩おとし部(カウンターボア)
18 溝
18a 底面
20 外輪
22 軌道
24 肩
26 肩おとし部(カウンターボア)
30 保持器
32 小環状部
34 大環状部
36 柱部
38 ポケット
40 玉(転動体)
50 ピン
52 弾性リング
54 スリット
140 二分割保持器
140A 第一分割体
140B 第二分割体
170 止め輪

Claims (8)

  1. 内輪と、外輪と、複数の転動体と、前記転動体を円周方向で所定間隔に保持する保持器とからなり、潤滑油が軸方向に貫流する転がり軸受において、
    前記内輪の、潤滑油入口側の外周に、遠心力で拡径する弾性リングを取り外し可能に取り付け、前記保持器と前記弾性リングとの間の半径方向すきまを内輪回転数に応じて変化させるようにした転がり軸受。
  2. 前記弾性リングは、前記内輪の回転数が上昇すると拡径して前記半径方向すきまを減少させ、前記内輪の回転数が低下すると縮径して前記半径方向すきまを増加させる、請求項1の転がり軸受。
  3. 前記弾性リングの潤滑油出口側の端面は、前記保持器の潤滑油入口側の端面よりも潤滑油入口側に位置している請求項1または2の転がり軸受。
  4. 前記内輪にピンを固定し、前記弾性リングの円周方向の1箇所にスリットを設け、前記スリット内に前記ピンを配置した請求項1、2または3の転がり軸受。
  5. 前記内輪の外周面に周方向溝を形成し、前記周方向溝の中に前記ピンを固定した請求項1、2または3の転がり軸受。
  6. 前記弾性リングは合成樹脂製である請求項1から5のいずれか1項の転がり軸受。
  7. 前記内輪の、潤滑油出口側の外周に、止め輪を設けた請求項1から6のいずれか1項の転がり軸受。
  8. 前記保持器の断面形状が左右非対称である請求項1から7のいずれか1項の転がり軸受。
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