JP2015051764A - バラスト水処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】IMOが定めたバラスト水管理基準を常に達成することのできるバラスト水処理システムを提供する。
【解決手段】バラスト水処理システム10は、船舶12に搭載され、バラスト水を処理する水処理装置14と、前記水処理装置の入口部又は出口部における前記バラスト水の水質をモニタリングするモニタリング装置18と、バラスト水排水時に、前記バラスト水の水質をモニタリングし、モニタリングの結果に基づく当該水質が許容値を満足する場合、前記バラスト水を排出するように制御し、当該水質が前記許容値を満たさない場合、前記バラスト水を前記水処理装置で再処理後、前記バラスト水を排出するよう制御する制御装置と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明はバラスト水処理システムに係り、特に船舶のバラスト水から水生生物を除去するバラスト水処理システムに関する。
鉱石や原油などを運搬する船舶にはバラストタンクが設けられ、このバラストタンクに海水や淡水などのバラスト水を貯留することによって船体の姿勢制御や復元性確保が行われる。バラスト水は、空船時にバラストタンク内に取水され、積荷の進行に応じてバラストタンクから排水されるため、取水地と異なる地域で排水される。したがって、バラスト水とともに水生生物が移動し、新たな環境に定着するおそれがあり、その場合には生態系を破壊したり、水産業等の経済活動に影響を与えたりすることが懸念される。また、バラスト水とともに移動した病原菌によって、人体の健康に直接影響を与えることも危惧される。
そこで、船舶のバラスト水管理に関する国際条約において、2004年2月に「船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約」が採択され、バラスト水処理装置の搭載が義務付けられた。国際海事機構(International Maritime Organization :IMO)が定めたバラスト水管理基準は次のとおりである。
・最小サイズが50μm以上の生物は1m中に生きた生物数が10個体未満。
・最小サイズが50μm未満で10μm以上の生物は1ml中に生きた生物数が10個体未満。
・毒素酸生性コレラ(O-1,O-139)は1cfu/100μm未満。
・大腸菌は250cfu/100ml未満。
・腸球菌は100cfu/100ml未満。
このような基準を満たすため、バラスト水を浄化する様々なバラスト水処理技術が提案されている。たとえば従来は、フィルタで粗濾過(物理処理)をした後、殺菌剤を添加する殺菌方式が主流となっており、特許文献1では、塩素系薬剤を添加することによってバラスト水を殺菌している。また、特許文献2は、過酸化水素によりバラスト水を殺菌し、特許文献3は、オゾンによりバラスト水を殺菌している。
近年では、殺菌方式に代わり、凝集分離方式も提案されている。たとえば、特許文献4では、バラスト水に薬剤と磁性粉を添加することにより、除去対象の水生生物を巻き込んで磁性フロックを形成し、この磁性フロックを磁石やフィルタを用いて回収することで、対象となる水生生物を分離除去している。
特開平4−322788号公報 特開平5−910号公報 特開2006−212494号公報 特開2005−218887号公報
ところで、バラスト水は世界中の港で取水される可能性があり、その水質は取水場所によって大きく異なる。たとえば水質汚染の進んだ水域では富栄養化によって、水中に存在するバクテリアやプランクトン等の水生生物が多くなっている。また、同じ水域でも、季節によって水生生物の量は大きく変化したり、昼夜の温度差によって対流等が発生し、短時間で水生生物の量が変化したりする場合がある。このため、IMOの定めたバラスト水管理基準を常時達成することは非常に困難であり、基準を無理に満たそうとした際に新たな弊害が発生するおそれもある。
たとえば、特許文献1〜3において基準を確実に達成するためには過剰な量の殺菌剤を注入する必要があり、過剰な薬液注入によってその薬効が残留し、バラストタンクの塗装に悪影響を与えたり、バラスト水の排水時にその水域の水生生物を殺してしまったりするおそれがある。
また、特許文献4において基準を確実に達成するためには、磁性フロック形成用の薬剤を過剰に添加する必要があり、この過剰な薬液注入によって磁性フロックの回収物の量が無駄に増加するおそれがあった。
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、IMOが定めたバラスト水管理基準を常に達成することのできるバラスト水処理システムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するためにバラスト水処理システムは、船舶に搭載され、バラスト水を処理する水処理装置と、前記水処理装置の入口部又は出口部における前記バラスト水の水質をモニタリングするモニタリング装置と、バラスト水排水時に、前記バラスト水の水質をモニタリングし、モニタリングの結果に基づく当該水質が許容値を満足する場合、前記バラスト水を排出するように制御し、当該水質が前記許容値を満たさない場合、前記バラスト水を前記水処理装置で再処理後、前記バラスト水を排出するよう制御する制御装置と、を有する。
好ましくは、一端がバラストタンクと接続され、他の一端がバラスト水を取水及び排水するポンプの上流側に接続される循環ラインを備え、前記バラスト水が前記循環ラインを介して前記水処理装置に供給される。
好ましくは、前記モニタリング装置は、前記バラストタンク内の前記バラスト水の水質をモニタリングし、前記制御装置は、前記バラストタンク内のバラスト水の水質をモニタリングし、モニタリングの結果に基づいて前記バラストタンク内のバラスト水を前記水処理装置に循環させて再処理、又は前記バラストタンク内のバラスト水排水時に前記水処理装置に送液して再処理して排水するよう制御する。
好ましくは、前記水処理装置は、物理除去装置又は殺菌装置を備えることを特徴とする。
好ましくは、前記殺菌装置は、次亜塩素酸ナトリウム、オゾン、二酸化塩素、過酢酸、過酸化水素、及びUVの少なくとも一つを利用する装置である。
好ましくは、前記水処理装置は、前記バラスト水に凝集剤を注入し、攪拌することによって前記バラスト水中の被除去物を凝集させる凝集装置と、前記凝集装置で発生した凝集物を分離・除去する分離・除去装置と、を備えることを特徴とする。
好ましくは、前記分離・除去装置は、磁気分離とフィルタ分離とを組み合わせた構成であることを特徴とする。
好ましくは、前記モニタリング装置は、前記バラスト水の濁度、色度の少なくとも一方を測定してモニタリングすることを特徴とする。
好ましくは、前記モニタリング装置は、前記バラスト水を画像解析することによってモニタリングすることを特徴とする。
好ましくは、前記モニタリング装置に接続されたサンプリング管を備え、
前記モニタリング装置は、サンプリング管を介して前記バラスト水を自動的に取り込んで前記水質をモニタリングすることを特徴とする。
好ましくは、前記制御装置は、前記水処理装置の入口部における前記バラスト水の水質、前記水処理装置の出口部における前記バラスト水の水質のいずれかのモニタリングの結果に基づいて、殺菌剤の注入量を制御する請求項5に記載のバラスト水処理システム。
好ましくは、前記制御装置は、前記水処理装置の入口部における前記バラスト水の水質、前記水処理装置の出口部における前記バラスト水の水質のいずれかのモニタリングの結果に基づいて、凝集剤の注入量を制御する。
以下の船舶に関連する内容を含む。
船舶はバラスト水を取水及び排水するポンプと、前記バラスト水から被除去物を除去する水処理装置と、前記水処理装置で処理されたバラスト水を貯留するバラストタンクと、前記ポンプと前記水処理装置との間に設けられたバルブと、前記水処理装置の入口部及び出口部における前記バラスト水の水質をモニタリングするモニタリング装置と、バラスト水取水時に、前記バラスト水の水質をモニタリングし、モニタリングの結果に基づいて前記バルブの開度を制御し、前記水処理装置の単位時間当たりの処理流量を調整し、バラスト水排水時に、前記バラスト水の水質をモニタリングし、モニタリングの結果に基づく当該水質が許容値を満足する場合、前記バラスト水を排出するように制御し、当該水質が前記許容値を満たさない場合、前記バラスト水を前記水処理装置で再処理後、前記バラスト水を排出するよう制御する制御装置と、を有することを特徴とする。
また、以下のバラスト水処理システムに関連する内容を含む。
船舶に搭載され、バラスト水から被除去物を除去する水処理装置と、該水処理装置で処理されたバラスト水を貯留するバラストタンクと、を備えたバラスト水処理システムにおいて、前記バラスト水の水質をモニタリングするモニタリング装置と、前記モニタリング装置のモニタリング結果に基づいて前記水処理装置の運転条件をコントロールする制御装置と、を備え、前記モニタリング装置は、前記水処理装置の入口部における前記バラスト水の水質、前記水処理装置の出口部における前記バラスト水の水質、及び前記バラストタンク内の前記バラスト水の水質、のうち少なくとも1以上をモニタリングし、前記制御装置は、前記モニタリングした前記バラスト水の水質に基づいて、前記水処理装置の運転状況、又は前記バラストタンク内のバラスト水の前記水処理装置への循環及び当該循環したバラスト水の前記水処理装置における再処理をコントロールすることを特徴とする。
本発明は、バラスト水の水質をモニタリングし、その結果に基づいて水処理装置の運転条件をコントロールするようにしたので、取水条件によってバラスト水の水質が大きく異なる場合であっても、バラスト水を常に一定の水質に処理することができる。
また、本発明によれば、バラスト水の水質に応じて水処理を行うので、水処理に使用される薬液の過剰注入や注入不足を防止することができる。たとえば、水処理装置として殺菌方式を用いた場合には、殺菌剤の過剰注入や注入不足を防止することができ、殺菌剤がバラストタンクの塗装や環境に負荷を与えることを防止することができる。
バラスト水処理システムにおいて、前記モニタリング装置は、前記水処理装置の入口部における水質、及び前記水処理装置の出口部における水質をモニタリングし、前記制御装置は、前記モニタリングした前記水処理装置の入口部における水質と前記水処理装置の出口部における水質とを比較し、当該比較結果に基づいて前記水処理装置の運転状況をコントロールすることを特徴とする。
本発明は、バラスト水の被除去物を凝集させて分離・除去する凝集分離方式であり、殺菌方式のように殺菌剤を注入する必要がなく、バラストタンクの塗装や環境に対する負荷を無くすことができる。なお、分離・除去装置は、重力沈降、加圧浮上、磁気分離、フィルタ分離などを用いることができる。
バラスト水処理システムにおいて、前記バラストタンク内のバラスト水、又は、該バラストタンクから外部に排出されるバラスト水を前記水処理装置に循環させるラインをさらに備え、前記モニタリング装置は前記バラストタンク内の水質をモニタリングし、前記制御装置は、前記モニタリングした前記バラストタンク内の水質と許容値とを比較し、前記モニタリングした前記バラストタンク内の水質が前記許容値よりも低下した場合は前記バラストタンク内のバラスト水を前記ラインを介して前記水処理装置に循環させて前記水処理装置で再処理されるようコントロールすることを特徴とする。
本発明によれば、バラスト水の水質に応じて凝集剤の注入量を制御するので、凝集剤を過不足なく注入することができる。したがって、凝集剤の過剰注入によって凝集剤が残留することを防止でき、バラスト水の排出時における環境負荷を最小限に抑制することができる。
バラスト水処理システムにおいて、前記モニタリング装置は、前記水処理装置の出口部における水質及び前記バラストタンク内の水質をモニタリングし、前記制御装置は、前記モニタリングした前記バラストタンク内の水質と前記水処理装置の出口部における水質とが略同じになったら前記バラストタンク内のバラスト水の前記水処理装置への循環及び前記水処理装置での再処理を中止するようコントロールすることを特徴とする。
本発明によれば、磁気分離とフィルタ分離とを組み合わせるようにしたので、凝集物の分離・回収を高速且つ高精度で行うことができる。なお、本発明では、凝集前のバラスト水に磁性粉を混入させることが好ましい。また、磁気分離は永久磁石、超伝導磁石などの磁石を用いて行うことが好ましく、フィルタ分離は10〜50μmの金属性又は樹脂性のフィルタを用いることが好ましい。
バラスト水処理システムにおいて、前記モニタリング装置は前記バラストタンク内の水質をモニタリングし、前記制御装置は、前記バラスト水を排水する際に、前記モニタリングした前記バラストタンク内のバラスト水の水質が許容値を満足する場合は前記バラスト水を前記循環及び再処理なしに排水し、前記水質が前記許容値を満足しない場合は前記バラスト水を前記ラインを介して前記水処理装置に循環させて前記水処理装置で再処理されるようコントロールすることを特徴とする。
本発明によれば、濁度又は色度の少なくとも一方を測定してモニタリングするようにしたので、バラスト水中の水生生物濃度を間接的に概算することができる。また、濁度計、色度計は多くの汎用装置が開発されており、水質のモニタリングを確実に且つ低コストで行うことができる。
バラスト水処理システムにおいて、前記モニタリング装置は、サンプリング管を介して前記バラスト水を自動的に取り込んで前記水質をモニタリングすることを特徴とする。
本発明によれば、バラスト水を画像解析することによってバラスト水の水質をモニタリングするので、バラスト水中の水生生物濃度を直接的に求めることができる。
バラスト水処理システムにおいて、前記水処理装置は、大型の水生生物や浮遊物質を物理的に除去して前記バラストタンク内にマッドの堆積を防止する物理除去装置を備えることを特徴とする。
本発明によれば、単位時間あたりの処理量、すなわち、水処理装置での滞留時間を制御するようにしたので、バラスト水中の被除去物が多い場合であっても、被除去物を効率よく除去することができる。たとえば、殺菌方式の水処理装置を用いた場合、単位時間あたりの処理量を制御することによって殺菌剤との接触時間を制御することができる。したがって、赤潮等で高濃度の生物が流入した場合であっても、殺菌処理を効率よく行うことができる。また、凝集分離方式の水処理装置を用いた場合は、単位時間あたりの処理量を制御することによって凝集装置での滞留時間をコントロールすることができる。したがって、赤潮等で高濃度の生物が流入した場合であっても、水生生物の凝集処理を確実に行うことができる。
バラスト水処理システムにおいて、前記水処理装置は、殺菌剤を用いて小型の水生生物を死滅させる殺菌装置をさらに備えることを特徴とする。
水処理装置の入口部でのバラスト水の水質をモニタリングすることによって、取水時のバラスト水の水質変動に応じた水処理を行うことができる。また、水処理装置の出口部でのバラスト水の水質をモニタリングすることによって、水処理装置の性能変化(性能劣化等)に対応することができる。さらに、タンク内でのバラスト水の水質をモニタリングすることによって、タンク内で水質が劣化した場合に対応することができる。
バラスト水処理システムにおいて、前記水処理装置は、前記バラスト水に凝集剤を注入し、攪拌することによって前記被除去物を凝集させる凝集装置と、前記凝集装置で発生した凝集物を分離・除去する分離・除去装置と、を備えることを特徴とする。
本発明は、バラスト水の被除去物を凝集させて分離・除去する凝集分離方式であり、殺菌方式のように殺菌剤を注入する必要がなく、バラストタンクの塗装や環境に対する負荷を無くすことができる。なお、分離・除去装置は、重力沈降、加圧浮上、磁気分離、フィルタ分離などを用いることができる。
バラスト水処理システムにおいて、前記制御装置は、前記モニタリング装置のモニタリング結果に基づいて前記凝集装置を制御し、前記凝集剤の注入量を調節することを特徴とする。
本発明によれば、バラスト水の水質に応じて凝集剤の注入量を制御するので、凝集剤を過不足なく注入することができる。したがって、凝集剤の過剰注入によって凝集剤が残留することを防止でき、バラスト水の排出時における環境負荷を最小限に抑制することができる。
バラスト水処理システムにおいて、前記分離・除去装置は、磁気分離とフィルタ分離とを組み合わせた構成であることを特徴とする。
本発明によれば、磁気分離とフィルタ分離とを組み合わせるようにしたので、凝集物の分離・回収を高速且つ高精度で行うことができる。なお、本発明では、凝集前のバラスト水に磁性粉を混入させることが好ましい。また、磁気分離は永久磁石、超伝導磁石などの磁石を用いて行うことが好ましく、フィルタ分離は10〜50μmの金属性又は樹脂性のフィルタを用いることが好ましい。
バラスト水処理システムにおいて、前記モニタリング装置は、前記バラスト水の濁度、色度の少なくとも一方を測定してモニタリングすることを特徴とする。
本発明によれば、濁度又は色度の少なくとも一方を測定してモニタリングするようにしたので、バラスト水中の水生生物濃度を間接的に概算することができる。また、濁度計、色度計は多くの汎用装置が開発されており、水質のモニタリングを確実に且つ低コストで行うことができる。
バラスト水処理システムにおいて、前記モニタリング装置は、前記バラスト水を画像解析することによってモニタリングすることを特徴とする。
本発明によれば、バラスト水を画像解析することによってバラスト水の水質をモニタリングするので、バラスト水中の水生生物濃度を直接的に求めることができる。
バラスト水処理システムにおいて、前記制御装置は、前記水処理装置が単位時間に処理する処理量をコントロールすることを特徴とする。
本発明によれば、単位時間あたりの処理量、すなわち、水処理装置での滞留時間を制御するようにしたので、バラスト水中の被除去物が多い場合であっても、被除去物を効率よく除去することができる。たとえば、殺菌方式の水処理装置を用いた場合、単位時間あたりの処理量を制御することによって殺菌剤との接触時間を制御することができる。したがって、赤潮等で高濃度の生物が流入した場合であっても、殺菌処理を効率よく行うことができる。また、凝集分離方式の水処理装置を用いた場合は、単位時間あたりの処理量を制御することによって凝集装置での滞留時間をコントロールすることができる。したがって、赤潮等で高濃度の生物が流入した場合であっても、水生生物の凝集処理を確実に行うことができる。
本発明によれば、バラスト水の水質をモニタリングし、その結果に基づいて水処理装置の運転条件をコントロールするので、取水条件によって大きく異なるバラスト水を所望の水質に処理することができる。したがって、バラスト水の排水基準を確実に満たすことができ、バラスト水の排水による生態系の破壊を防止することができる。
本発明に係るバラスト水処理システムの第1の実施形態を示す図 図1と異なるバラスト水処理システムを示す図 図1のバラスト水処理システムで排水フローを示す図 本発明に係るバラスト水処理システムの第2の実施形態を示す図 図4と異なるバラスト水処理システムを示す図 図4のバラスト水処理システムで排水フローを示す図 バラスト水の水生生物濃度と薬液濃度との関係を示す図 バラスト水の濁度と凝集剤の添加量の関係を示す図
以下添付図面に従って本発明に係るバラスト水処理システムの好ましい実施形態について説明する。
図1は本発明に係るバラスト水処理システムの第1の実施形態の構成を模式的に示している。同図に示すバラスト水処理システム10は船舶12内に搭載され、主として水処理装置14、バラストタンク16、モニタリング装置18、制御装置20で構成される。
水処理装置14は「殺菌方式」の一例であり、物理除去装置22、殺菌装置24の装置群で構成される。
物理除去装置22は、大型の水生生物や富裕物質等を物理的に除去するものであり、たとえばフィルタ、サイクロン、キャビテーション等を利用した装置が単独または複数組み合わせて使用される。物理除去装置22には、原水配管26が接続されており、原水配管26にはポンプ28及びバルブ30が配設される。ポンプ28を駆動することによって、原水配管26に海水又は淡水が吸引され、物理除去装置22に送液される。ポンプ28及びバルブ30は制御装置20に接続されており、制御装置20によってポンプ28の回転数やバルブ30の開度が制御される。なお、後段の殺菌装置24の設計次第では、物理除去装置22を設置しない態様も可能である。また、ポンプ28を用いる代わりに、水位差を利用して海水または淡水を送液するようにしてもよい。
物理除去装置22は、処理水配管32を介してバラストタンク16に接続され、処理水配管32の途中に殺菌装置24が設けられる。殺菌装置24は、小型の水生生物を死滅させる装置であり、たとえば次亜塩素酸ナトリウム、オゾン、二酸化塩素、過酢酸、過酸化水素、UV等を用いた装置が単独または複数組み合わせて使用される。殺菌装置24の具体例としては、殺菌剤を貯留する薬剤貯留槽(不図示)と、その殺菌剤を処理水配管に注入する注入装置(不図示)で構成される。また、殺菌剤等を発生させる発生装置(不図示)を含む態様も可能である。
物理除去装置22及び殺菌装置24で水生生物が除去された処理水は、バラストタンク16に送液されて貯留される。なお、バラストタンク16内のバラスト水を外部に排水する排水手段としては、たとえば、原水配管26とポンプ28を利用して排水する態様や、バラストタンク16に新たな排水配管(不図示)を接続して排水する態様が可能である。
原水配管26(すなわち水処理装置14の入口部)、処理水配管32(すなわち水処理装置14の出口部)、バラストタンク16にはそれぞれ、サンプリング管34、36、38が接続され、各サンプリング管34、36、38がモニタリング装置18に接続される。モニタリング装置18は、サンプリング管34、36、38を介して引き込んだバラスト水を自動的にサンプリングし、その水質を調査する。水質の調査方法は特に限定するものではないが、たとえば撮影によってバラスト水の画像データを所得し、その画像データを画像解析することによって水生生物濃度を直接測定する方法がある。また、水中の濁度を測定する濁度計や、水中の色度を測定する色度計を用いて水質を間接的に求めるようにしてもよい。
モニタリング装置18は、制御装置20に接続されており、モニタリング結果のデータが制御装置20に送信される。制御装置20はポンプ28、バルブ30、物理除去装置22、殺菌装置24に接続され、モニタリング結果に基づいて、物理除去装置22や殺菌装置24の運転条件、ポンプ28の回転数、バルブ30の開度が調節される。これにより、水生生物の処理量や単位時間当たりの処理流量など、水処理装置14の運転条件をコントロールすることができる。
次に上記の如く構成されたバラスト水処理システム10の作用について説明する。
本実施の形態では、原水配管26のバラスト水、処理水配管32のバラスト水、バラストタンク16のバラスト水をサンプリングしている。すなわち、取水時のバラスト水の水質、水処理装置14で処理した直後のバラスト水の水質、バラストタンク16内に貯留されたバラスト水の水質をモニタリングしている。そして、制御装置20は、その水質に応じて水処理装置14の運転条件をコントロールし、バラストの処理を行っている。
たとえば、原水配管26のバラスト水(すなわち取水時のバラスト水)の水質が低下し、水生生物濃度が大きくなった場合には、殺菌装置24の殺菌剤の投入量を増やしたり、ポンプ28やバルブ30によって処理流量を減少させたりすることによって、水処理装置14の処理能力を増加させる。反対に、取水時のバラスト水の水質が向上し、水生生物濃度が小さくなった場合には、殺菌装置24の殺菌剤の投入量を減らしたり、ポンプ28やバルブ30によって処理流量を増加させたりし、水処理装置14の処理能力を低下させる。これにより、バラスト水の原水の水質変動に対応することができ、処理後のバラスト水の水質を安定させることができる。また、バラスト水の原水の水質に応じて水処理装置14の運転条件をコントロールすることによって、殺菌装置24から殺菌剤が過剰注入されることを防止でき、余剰の殺菌剤がバラスト水の排水時にその地域の生態系に悪影響を及ぼすことを防止できる。
同様に、処理水配管32のバラスト水(すなわち、処理直後のバラスト水)の水質が変動した場合にも対応することができる。すなわち、水生生物濃度が大きくなった場合には、殺菌装置24の殺菌剤の投入量を増やしたり、ポンプ28やバルブ30によって処理流量を減少させたりすることによって、水処理装置14の処理能力を増加させる。反対に、水生生物濃度が小さくなった場合には、殺菌装置24の殺菌剤の投入量を減らしたり、ポンプ28やバルブ30によって処理流量を増加させたりし、水処理装置14の処理能力を低下させる。これにより、水処理装置14をフィードバック制御することができ、処理後のバラスト水の水質を安定させることができる。なお、原水配管26のバラスト水の水質と、処理水配管32のバラスト水の水質とを比較することによって、バラスト水の原水の水質変動に、より迅速且つ正確に対応することができ、処理後のバラスト水の水質をさらに安定させることができる。
本実施の形態では、バラストタンク16内のバラスト水の水質もモニタリングしており、バラストタンク内のバラスト水の水質を監視することができる。なお、バラストタンク内での水質が低下した場合には、後述のようにバラストタンク内のバラスト水を水処理装置14に循環させて再処理する方法や、バラストタンク内のバラスト水を排水する際に水処理装置14に送液して再処理して排水する方法、さらには、バラストタンクに殺菌装置24を接続してバラストタンク内を殺菌する方法等によって対応すると良い。
このように本実施の形態によれば、バラスト水の水質をモニタリングし、その結果に基づいて水処理装置14の運転条件をコントロールするようにしたので、取水条件によってバラスト水の水質が大きく異なる場合であっても、バラスト水を常に一定の水質にすることができる。
また、本実施の形態によれば、バラスト水の水質に応じて水処理を行うので、水生生物濃度に応じた適切な量の薬液を注入することができる。ここで、水生生物濃度と各殺菌剤との関係を図7の表に示す。本実施の形態では、このような関係に基づいた適切な量の薬液を注入することができ、薬液の過剰注入や注入不足を防止することができる。したがって、薬液の残留によってバラストタンク16の塗装や排水領域での生態系に負荷を与えることを防止することができる。
なお、上述した実施形態は、バラスト水の水質を三カ所(原水配管26、処理水配管32、バラストタンク16)でモニタリングしたが、モニタリングする位置及び個数はこれに限定するものではなく、たとえば上記のうちの一カ所又は二カ所でバラスト水の水質をサンプリングしてもよい。
図2は、図1のバラスト水処理システムにおいて、バラストタンク16内のバラスト水を再処理する機能を持たせたシステムの模式図である。同図に示すバラスト水処理システム40は、バラストタンク16に循環ライン42が接続され、この循環ライン42の先端が原水配管26に接続される。循環ライン42には、不図示のポンプとバルブが設けられており、このポンプとバルブは制御装置20によって制御される。なお、循環ライン42の先端をポンプ28の上流側(図2の左側)の配管に接続することによって、取水時と循環時でポンプ28及びバルブ30を兼用してもよい。
上記の如く構成されたバラスト水処理システム40では、バラストタンク16内のバラスト水の水質をモニタリングし、そのモニタリング結果に基づいて水処理装置14の運転条件をコントロールする。たとえば、バラストタンク16内のバラスト水の水質が低下した場合、バラストタンク16内のバラスト水を循環ライン42によって水処理装置14に循環させ、バラスト水の再処理を行う。そして、バラストタンク16内のバラスト水の水質に応じて水処理装置14の運転条件をコントロールし、水質が許容値以下になるまでバラスト水の再処理を行う。これにより、バラストタンク16内のバラスト水の水質を向上させ、許容値以下に保つことができる。
このように本実施の形態では、バラストタンク16内のバラスト水を循環させて浄化することができ、たとえば、船舶の航行中にバラスト水の浄化を行うことができる。
なお、上述した実施形態では、バラストタンク16内のバラスト水を物理除去装置22の前段に戻すようにしたが、図2の二点鎖線の循環ライン44で示すように殺菌装置24による殺菌位置の前段に戻すようにしてもよい。この場合、殺菌処理のみの再処理を行うことができる。
また、上述した実施形態では、バラストタンク16内のバラスト水の水質をモニタリングし、その結果に応じてバラスト水の再処理をコントロールするようにしたが、バラストタンク16内のバラスト水の水質と処理直後のバラスト水の水質とを比較し、その比較結果に応じて再処理時の運転条件をコントロールするようにしてもよい。たとえば、処理直後のバラスト水の水質とバラストタンク16内のバラスト水の水質とが同じになった際に、バラスト水の再処理を停止するようにしてもよい。
図3は、図1のバラスト水処理システム10において、排水を行う際のフローを示す模式図である。なお、同図に示す排水フローは、図1の水処理装置14、ポンプ28、バルブ30を用いて排水を行う例であるが、排水方法はこれに限定するものではなく、取水時とは別の水処理装置、ポンプ、バルブを設けて排水するようにしてもよい。
図3に示すバラスト水処理システム10は、バルブ30を開き、ポンプ28を駆動することによって、バラストタンク16内のバラスト水が水処理装置14を通って外部に排水される。制御装置20は、バラストタンク16内のバラスト水の水質のモニタリング結果に応じて、水処理装置14をコントロールする。たとえば、バラストタンク16内のバラスト水の水質(水生生物濃度)が許容値を超えている場合に、水処理装置14を駆動してバラスト水の再処理を開始するとともに、バラスト水の水質に応じて水処理装置14の運転条件(殺菌剤の注入量などの処理量や単位時間あたりの処理流量)をコントロールする。これにより、排出されるバラスト水の水質が向上し、許容値以下に制御されて排水される。
このように本実施の形態によれば、水処理装置14がバラスト水の排出ライン上に配置されるように構成したので、排出時にバラスト水の再処理を行うことができる。したがって、航行中にバラストタンク16内のバラスト水の水質が低下した場合にも、排出時のバラスト水を再処理することによって、バラスト水の排出基準を満たすことができる。
なお、上述した実施形態では、排水時のバラスト水が物理除去装置22にも流れるようにしたが、図3に示すように、物理除去装置22のバイパスライン46を設け、物理除去装置22を通らずに排水するようにしてもよい。
図4は第2の実施形態のバラスト水処理システムの構成を模式的に示している。なお、図1に示した第1の実施形態のバラスト水処理システム10と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図4示すように第2の実施形態のバラスト水処理システム50は、図1に示した第1の実施形態のバラスト水処理システム10と比較して、凝集分離方式の水処理装置52を用いた点で異なっている。凝集分離方式の水処理装置52はバラスト水中の被除去物(水生生物)を凝集させて分離除去するものであり、図4に示すように薬剤添加部54、凝集部56、分離部58で構成される。
薬剤添加部54は、バラスト水中の被除去物(水生生物)を凝集させるのに必要な薬剤をバラスト水に添加するものであり、本実施の形態では磁性粉添加装置60、無機凝集剤添加装置62、高分子凝集剤添加装置64を備える。磁性粉添加装置60は、凝集部56の急速攪拌槽66に送液されるバラスト水に磁性粉を添加するように構成されており、磁性粉としては例えば四三酸化鉄を好ましく用いることができる。無機凝集剤添加装置62は、凝集部56の急速攪拌槽66に送液されるバラスト水に無機凝集剤を添加するように構成されており、無機凝集剤としてはポリ塩化アルミニウム、塩化鉄、硫酸第二鉄等を好ましく用いることができる。高分子凝集剤添加装置64は、凝集部56の急速攪拌槽66から緩速攪拌槽68に送液されるバラスト水に高分子凝集剤を添加するように構成されており、高分子凝集剤としてはアニオン系やノニオン系等を好ましく用いることができる。なお、添加される薬剤の種類は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば、後段の分離部58で磁気分離装置72を用いない場合には磁性粉添加装置60がない態様も可能である。
凝集部56は、原水配管26からバラスト水が送液される急速攪拌槽66と、急速攪拌槽66に配管70で接続された緩速攪拌槽68とを備える。急速攪拌槽66は、不図示の攪拌羽根を高速で回転させることによって、バラスト水、磁性粉、凝集剤を急速攪拌するように構成される。急速攪拌槽66内の攪拌羽根は、その先端部における回転周速が1〜2m/秒程度であることが好ましく、このような急速攪拌槽66を用いることによって、磁性粉、バラスト水中の固形浮遊粒子、バクテリア、プランクトン等が取り込まれた数十μm程度の大きさの微小な磁性フロックが形成される。磁性フロックを含有するバラスト水は、配管70を介して緩速攪拌槽68に送水される。
緩速攪拌槽68は、不図示の攪拌羽根を低速で回転させることによって、磁性フロックを含有するバラスト水と高分子凝集剤とを緩やかに攪拌するように構成される。緩速攪拌槽68内の攪拌羽根は、急速攪拌槽66内の攪拌羽根よりも遅い回転周速に制御される。このような緩速攪拌槽68を用いることによって、磁性フロックを成長させることができ、磁性数百μm〜数mm程度の大きな磁性フロックが形成される。成長した磁性フロックを含有するバラスト水は、分離部58に送液される。なお、本実施の形態では、急速攪拌槽66と緩速攪拌槽68とで凝集部56を構成したが、凝集部56の構成はこれに限定するものではなく、たとえば攪拌方法の異なる数種類の攪拌槽を設けるなど様々な態様が可能である。
分離部58は、磁気分離装置72とフィルタ分離装置74を備える。磁気分離装置72は、バラスト水中の磁性フロックを磁力によって吸着分離するものであり、この磁気分離装置72によって、原水中の磁性フロックの約99%以上が分離除去される。磁気分離装置72で処理された処理水は、フィルタ分離装置74に送水される。フィルタ分離装置74は、たとえば孔径10〜50μmのフィルタを有する回転ドラムフィルタ(不図示)が用いられ、回転ドラムフィルタの内側にバラスト水を供給することによって、バラスト水が内側から外側に送液されて濾過され、凝集では除去できない小魚や小エビなどが除去される。これにより、バラスト水中のゴミ、固形浮遊粒子、バクテリア、プランクトン等の汚濁物質を除去することができ、バラスト水を浄化することができる。浄化されたバラスト水は、処理水配管32によってバラストタンク16に送液されて貯留される。なお、分離部58の構成は上述した形態に限定されるものではなく、フィルタ分離装置74のない形態や、磁気分離装置72の代わりに沈降分離、加圧浮上分離などの分離装置を用いた形態など様々な形態が可能である。
上述した第2の実施形態のバラスト水処理システム50は第1の実施形態と同様に、原水配管26、処理水配管32、バラストタンク16にそれぞれサンプリング管34、36、38が接続されており、各サンプリング管34、36、38がモニタリング装置18に接続される。モニタリング装置18は、サンプリング管34、36、38を介して引き込んだバラスト水を自動的にサンプリングし、その水質を調査する。水質の調査方法は特に限定するものではないが、たとえば撮影によってバラスト水の画像データを所得し、その画像データを画像解析することによって水生生物濃度を直接測定する方法がある。また、水中の濁度を測定する濁度計や、水中の色度を測定する色度計を用いて水質を間接的に求めるようにしてもよい。
モニタリング装置18は、制御装置20に接続されており、モニタリング結果のデータが制御装置20に送信される。制御装置20はポンプ28、バルブ30、薬剤添加部54、凝集部56に接続されており、モニタリング結果に基づいて、薬剤添加部54や凝集部56の運転条件、ポンプ28の回転数、バルブ30の開度が調節される。これにより、水生生物の処理量や単位時間当たりの処理流量など、水処理装置52の運転条件をコントロールすることができる。
上記の如く構成された第2の実施形態によれば、バラスト水の水質をモニタリングし、その結果に基づいて水処理装置52の運転条件をコントロールするようにしたので、取水条件によってバラスト水の水質が大きく異なる場合であっても、バラスト水を常に一定の水質にすることができる。
たとえば、原水配管26のバラスト水の水質が低下し、水生生物濃度が大きくなった場合には、薬剤添加部54の薬剤投入量を増やしたり、凝集部56での攪拌効果を大きくして凝集量を増やしたり、ポンプ28やバルブ30によって処理流量を減少させたりすることによって、水処理装置52の処理能力を増加させる。反対に、取水時のバラスト水の水質が向上し、水生生物濃度が小さくなった場合には、薬剤添加部54の薬剤投入量を減らしたり、凝集部56での攪拌効果を小さくして凝集量を減少させたり、ポンプ28やバルブ30によって処理流量を増加させたりし、水処理装置52の処理能力を低下させる。これにより、バラスト水の原水の水質変動に対応することができ、処理後のバラスト水の水質を安定させることができる。また、バラスト水の原水の水質に応じて水処理装置52の運転条件をコントロールすることによって、薬剤添加部54の薬剤が過剰に添加されることを防止でき、バラスト水の排水時にその地域の生態系に悪影響を及ぼすことを防止できる。
同様に、処理水配管32のバラスト水(すなわち、処理直後のバラスト水)の水質が変動した場合にも対応することができる。すなわち、水生生物濃度が大きくなった場合には、上記と同様に水処理装置52の処理能力を増加させ、水生生物濃度が小さくなった場合には水処理装置52の処理能力を低下させる。これにより、水処理装置52をフィードバック制御することができ、処理後のバラスト水の水質を安定させることができる。なお、原水配管26のバラスト水の水質と、処理水配管32のバラスト水の水質とを比較することによって、バラスト水の原水の水質変動に、より迅速且つ正確に対応することができ、処理後のバラスト水の水質をさらに安定させることができる。
本実施の形態では、バラストタンク16内のバラスト水の水質もモニタリングしており、バラストタンク16内のバラスト水の水質を監視することができる。なお、バラストタンク16内での水質が低下した場合には、後述のようにバラストタンク16内のバラスト水を水処理装置52に循環させて再処理する方法や、バラストタンク16内のバラスト水を排水する際に水処理装置52に送液して再処理して排水する方法等によって対応すると良い。
上述したように、第2の実施形態では、バラスト水の水質に応じて水処理装置52の運転条件をコントロールするので、水生生物濃度に応じて適切な量の凝集剤を添加することができる。ここで、バラスト水の濁度と凝集剤の添加量の関係を図8に示す。本実施の形態によれば、このような関係に基づいた適切な量の凝集剤を添加することができる。
また、第2の実施形態は、凝集分離方式の水処理装置52を用いているので、殺菌剤を用いた場合のような生態系への悪影響を防止することができる。また、凝集分離方式の水処理装置52を用いた場合には、バラストタンク16内にマッド(泥、生物の死骸等)が堆積しないので、マッド内での水生生物の増加を防止することができる。よって、バラストタンク16内のバラスト水の水質が低下することを抑制することができる。
なお、上述した実施形態は、バラスト水の水質を三カ所(原水配管26、処理水配管32、バラストタンク16)でモニタリングしたが、モニタリングする位置及び個数はこれに限定するものではなく、上記のうちの一カ所又は二カ所でバラスト水の水質をサンプリングしてもよい。
図5は、図4のバラスト水処理システムにおいて、バラストタンク16内のバラスト水を再処理する機能を持たせたシステムの模式図である。同図に示すバラスト水処理システム80は、バラストタンク16に循環ライン82が接続され、この循環ライン82の先端が原水配管26に接続される。循環ライン82には、不図示のポンプとバルブが設けられており、このポンプとバルブは制御装置20によって制御される。なお、循環ライン82の先端をポンプ28の上流側(図5の左側)に接続することによって、取水時と循環時でポンプ28及びバルブ30を兼用してもよい。
上記の如く構成されたバラスト水処理システム80では、バラストタンク16内のバラスト水の水質をモニタリングし、そのモニタリング結果に基づいて水処理装置52の運転条件をコントロールする。たとえば、バラストタンク16内のバラスト水の水質が低下した場合、バラストタンク16内のバラスト水を循環ライン82によって水処理装置52に循環させ、バラスト水の再処理を開始する。そして、バラストタンク16内のバラスト水の水質に応じて水処理装置52の運転条件をコントロールし、水質が許容値以下になるまでバラスト水の再処理を行う。これにより、バラストタンク16内のバラスト水の水質が向上し、許容値以下に制御される。
このように本実施の形態では、バラストタンク16内のバラスト水を循環させて浄化することができ、たとえば、船舶の航行中にバラスト水の浄化を行うことができる。
なお、上述した実施形態では、バラストタンク16内のバラスト水の水質をモニタリングし、その結果に応じてバラスト水の再処理をコントロールするようにしたが、処理直後のバラスト水の水質とバラストタンク16内のバラスト水の水質とを比較し、その比較結果に応じて再処理時の運転条件をコントロールするようにしてもよい。たとえば、処理直後のバラスト水の水質とバラストタンク16内のバラスト水の水質とが同じになった際に、バラスト水の再処理を停止するようにしてもよい。
図6は、図4のバラスト水処理システム50において、排水を行う際のフローを示す模式図である。なお、同図に示す排水フローは、図4の水処理装置52、ポンプ28、バルブ30を用いて排水を行う例であるが、排水方法はこれに限定するものではなく、取水時とは別の水処理装置、ポンプ、バルブを設けて排水するようにしてもよい。
図6に示すバラスト水処理システム50は、バルブ30を開き、ポンプ28を駆動することによって、バラストタンク16内のバラスト水が水処理装置52を通って外部に排水される。制御装置20は、バラストタンク16内のバラスト水の水質のモニタリング結果に応じて、水処理装置52をコントロールする。たとえば、バラストタンク16内のバラスト水の水質(水生生物濃度)が許容値を超えている場合に、水処理装置52を駆動してバラスト水の再処理を開始するとともに、バラスト水の水質に応じて水処理装置52の運転条件(凝集剤の注入量などの処理量や単位時間あたりのバラスト水の処理流量)をコントロールする。これにより、排出されるバラスト水の水質が向上するので、許容値以下に制御されたバラスト水を排水することができる。
このように本実施の形態によれば、水処理装置52をバラスト水の排出ライン上に組み込んだので、排出時にバラスト水を再処理して水質を向上させることができる。したがって、航行中にバラストタンク16内のバラスト水の水質が低下した場合にも、排出時にバラスト水を再処理することによって、バラスト水の排出基準を満たすことができる。
10…バラスト水処理システム、12…船舶、14…水処理装置、16…バラストタンク、18…サンプリング装置、20…制御装置、22…物理除去装置、24…殺菌装置、26…原水配管、28…ポンプ、30…バルブ、32…処理水配管、34〜38…サンプリング管、40…バラスト水処理システム、42…循環ライン、44…循環ライン、46…バイパスライン、50…バラスト水処理システム、52…水処理装置、54…薬剤添加部、56…凝集部、58…分離部、60…磁性粉添加装置、62…無機凝集剤添加装置、64…高分子凝集剤添加装置、66…急速攪拌槽、68…緩速攪拌槽、70…配管、72…磁気分離装置、74…フィルタ分離装置、80…バラスト水処理システム、82…循環ライン

Claims (12)

  1. 船舶に搭載され、バラスト水を処理する水処理装置と、
    前記水処理装置の入口部又は出口部における前記バラスト水の水質をモニタリングするモニタリング装置と、
    バラスト水排水時に、前記バラスト水の水質をモニタリングし、モニタリングの結果に基づく当該水質が許容値を満足する場合、前記バラスト水を排出するように制御し、当該水質が前記許容値を満たさない場合、前記バラスト水を前記水処理装置で再処理後、前記バラスト水を排出するよう制御する制御装置と、
    を有することを特徴とするバラスト水処理システム。
  2. 一端がバラストタンクと接続され、他の一端がバラスト水を取水及び排水するポンプの上流側に接続される循環ラインを備え、
    前記バラスト水が前記循環ラインを介して前記水処理装置に供給される請求項1に記載のバラスト水処理システム。
  3. 前記モニタリング装置は、前記バラストタンク内の前記バラスト水の水質をモニタリングし、
    前記制御装置は、前記バラストタンク内のバラスト水の水質をモニタリングし、モニタリングの結果に基づいて前記バラストタンク内のバラスト水を前記水処理装置に循環させて再処理、又は前記バラストタンク内のバラスト水排水時に前記水処理装置に送液して再処理して排水するよう制御する請求項2に記載のバラスト水処理システム。
  4. 前記水処理装置は、物理除去装置又は殺菌装置を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載のバラスト水処理システム。
  5. 前記殺菌装置は、次亜塩素酸ナトリウム、オゾン、二酸化塩素、過酢酸、過酸化水素、及びUVの少なくとも一つを利用する装置である請求項4に記載のバラスト水処理システム。
  6. 前記水処理装置は、前記バラスト水に凝集剤を注入し、攪拌することによって前記バラスト水中の被除去物を凝集させる凝集装置と、前記凝集装置で発生した凝集物を分離・除去する分離・除去装置と、を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のバラスト水処理システム。
  7. 前記分離・除去装置は、磁気分離とフィルタ分離とを組み合わせた構成であることを特徴とする請求項6に記載のバラスト水処理システム。
  8. 前記モニタリング装置は、前記バラスト水の濁度、色度の少なくとも一方を測定してモニタリングすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のバラスト水処理システム。
  9. 前記モニタリング装置は、前記バラスト水を画像解析することによってモニタリングすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のバラスト水処理システム。
  10. 前記モニタリング装置に接続されたサンプリング管を備え、
    前記モニタリング装置は、サンプリング管を介して前記バラスト水を自動的に取り込んで前記水質をモニタリングすることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載のバラスト水処理システム。
  11. 前記制御装置は、前記水処理装置の入口部における前記バラスト水の水質、前記水処理装置の出口部における前記バラスト水の水質のいずれかのモニタリングの結果に基づいて、殺菌剤の注入量を制御する請求項5に記載のバラスト水処理システム。
  12. 前記制御装置は、前記水処理装置の入口部における前記バラスト水の水質、前記水処理装置の出口部における前記バラスト水の水質のいずれかのモニタリングの結果に基づいて、凝集剤の注入量を制御する請求項6に記載のバラスト水処理システム。
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