JP2015049416A - 光デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】戻り光の光源側への漏れを低減できる光デバイスを提供する。
【解決手段】光源(2)からの光が通過する第1通過部(10)が一部に設けられ、第1通過部の周囲で光を遮る第1遮光部材(4)と、第1通過部を通過し順方向に進行する光が通過する第2通過部(12)が一部に設けられ、第2通過部の周囲で光を遮る第2遮光部材(6)と、第1通過部と第2通過部との間に配置され、第1通過部を介して入射し順方向に進行する光を第2遮光部材の第2通過部に導き、第2通過部を介して入射し順方向と反対向きの逆方向に進行する光を前記第1遮光部材へ導く導光部(5)と、光源からの光を集光し、第1通過部及び導光部を介して第2通過部に収束させる集光部材(3)と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】光源(2)からの光が通過する第1通過部(10)が一部に設けられ、第1通過部の周囲で光を遮る第1遮光部材(4)と、第1通過部を通過し順方向に進行する光が通過する第2通過部(12)が一部に設けられ、第2通過部の周囲で光を遮る第2遮光部材(6)と、第1通過部と第2通過部との間に配置され、第1通過部を介して入射し順方向に進行する光を第2遮光部材の第2通過部に導き、第2通過部を介して入射し順方向と反対向きの逆方向に進行する光を前記第1遮光部材へ導く導光部(5)と、光源からの光を集光し、第1通過部及び導光部を介して第2通過部に収束させる集光部材(3)と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、レーザー加工装置や、光ディスクにデータを読み書きする光学装置等に用いて好適な光デバイスに関する。
レーザー光は、溶接、切断、切削などの各種加工、光ファイバーを利用した光通信、光ディスクのデータの読み書き等の多岐の分野で利用されている。このようなレーザー光の一部は、伝播経路の界面などで反射あるいは散乱し、光源側への戻り光になりえる。例えば、レーザー加工装置から出射されたレーザー光の一部は、加工対象物の表面で反射あるいは散乱して、レーザー加工装置へ戻ることがある。
このような戻り光は、例えば光源に到達することにより、光源の出力が不安定になる要因、光源が損傷する要因、ノイズの発生要因などになりえる。そのため、レーザー光を利用する技術においては、光源側への戻り光を遮断する光デバイスが設けられる(例えば、下記の特許文献1、2参照)。
特許文献1、2の光アイソレータは、光源から順方向に進行する光の光路と、光源へ向かう逆方向に進行する戻り光の光路とを分離する。戻り光の光路には、戻り光を遮る遮光部材が設けられている。このような構成により、戻り光が遮光部材に遮られ、光源に到達する戻り光が低減される。
ところで、光デバイスへの戻り光の入射方向は、光デバイスの光出射軸に対して傾いている場合がある。例えば、レーザー加工装置において、加工対象物の表面で反射あるいは散乱した光の進行方向は、加工対象物の表面形状などに応じて変化しうる。光デバイスへの戻り光の入射方向が変化すると、光デバイスにおける戻り光の光路がシフトして遮光部材から外れることにより、戻り光が光源側に漏れてしまうことがありえる。本発明は、上記の事情に鑑み成されたものであって、戻り光の光源側への漏れを低減できる光デバイスを提供することを目的とする。
本発明の一態様の光デバイスは、光源からの光が通過する第1通過部が一部に設けられ、第1通過部の周囲で光を遮る第1遮光部材と、第1通過部を通過し順方向に進行する光が通過する第2通過部が一部に設けられ、第2通過部の周囲で光を遮る第2遮光部材と、第1通過部と第2通過部との間に配置され、第1通過部を介して入射し順方向に進行する光を第2遮光部材の第2通過部に導き、第2通過部を介して入射し順方向と反対向きの逆方向に進行する光を第1遮光部材へ導く導光部と、光源からの光を集光し、第1通過部及び導光部を介して第2通過部に収束させる集光部材と、を備える。
この光デバイスは、集光部材が光源からの光を集光し、その収斂位置に第2通過部が配置されているので、第2通過部を小型化できる。そのため、逆向きに進行する戻り光が第2通過部を通りにくくなり、結果として、戻り光の第1遮光部材から光源側への漏れを低減できる。
上記の一態様の光デバイスにおいて、導光部は、第1通過部からの光を互いに異なる方向に振動する偏光に分離する偏光子を備え、第2通過部の径は、導光部からの光が第2通過部に達したときのビーム径の2倍以上であり、偏光子の分離距離とビーム径との差の2倍以下であってもよい。この光デバイスは、順方向に進行する光のうち、第2遮光部材で遮られる光を低減することができ、光の損失を減らすことができる。
上記の一態様の光デバイスは、順方向に進行して第2通過部から出射した光を平行化する平行化部材を備えていてもよい。この光デバイスにおいて、平行化部材の光軸に対して斜方から平行化部材に入射した戻り光は、第2通過部から離れた位置に集光され、第2遮光部材に遮られる。そのため、この光デバイスは、戻り光の光源側への漏れを格段に低減できる。
上記の一態様の光デバイスにおいて、平行化部材のレンズ中心と、第2通過部のエッジにおけるレンズ中心と離間した側の端部と、を結ぶ線上を逆方向に進行する光の、第1遮光部材に達したときのビーム径をD1、第1遮光部材に達したときの光軸と第1通過部のエッジとの距離をD2とした場合に、D2>D1の関係を満たしていてもよい。この光デバイスは、第1遮光部材で遮れない角度の戻り光を第2遮光部材で遮るとともに、第2遮光部材で遮れない角度の戻り光を第1遮光部材で遮ることができ、戻り光の光源側への漏れを格段に低減できる。
上記の一態様の光デバイスにおいて、第2通過部の断面積は、第1通過部の断面積よりも小さくてもよい。この光デバイスは、戻り光が第2遮光部材により遮られやすくなり、戻り光の光源側への漏れを格段に低減できる。
上記の一態様の光デバイスにおいて、光源により形成される光源像から集光部材までの光路の長さは、集光部材の焦点距離よりも長くてもよい。この光デバイスは、光源からの光を、シンプルな構成で集光できる。
本発明によれば、戻り光の光源側への漏れを低減できる光デバイスを提供することができる。
実施形態について説明する。図1は本実施形態の光デバイス1を示す図である。この光デバイス1は、例えばレーザー加工装置などに用いられ、光源2からのレーザー光を通すとともに、レーザー光が照射される照射対象物などからの戻り光の少なくとも一部を遮る。本実施形態において、光源2から光デバイス1に入射した光の進行方向を順方向、その反対方向を逆方向という。戻り光は、逆方向に進行して光デバイス1に入射する光である。
光デバイス1は、集光部材3、第1遮光部材4、導光部5、第2遮光部材6、及び平行化部材7を備える。
光源2は、例えば半導体レーザーを含み、レーザー光を出射する。光源2から出射された光が入射する位置に導光部材8が配置されている。導光部材8は、例えば光ファイバーであり、光源2からの光を集光部材3へ導く。この光ファイバーは、シングルモードファイバーである。
導光部材8は、集光部材3へ向かって光が出射する端面8aを有する。端面8aには、光デバイス1を通る光の源になる二次光源像が形成される。二次光源像は、点光源とみなすことができる程度に、スポットサイズが小さい。二次光源像からの光は、導光部材8のコア径に応じた広がり角で、広がりながら集光部材3に入射する。
集光部材3は、光源2から導光部材8を介して入射する光を集光する。集光部材3は、集光部材3を通った光が非平行光となるように、光を集光する。図1において、集光部材3は、いわゆる凸レンズである。集光部材3は、例えば球面レンズあるいは非球面レンズのように所定の対称軸の周りで回転対称な形状である。本実施形態において、このような対称軸を、適宜、光軸と称す。集光部材3の光軸は、導光部材8から出射した光の中心光線とほぼ同軸である。
本実施形態において、導光部材8の端面8aから集光部材3までの光路の長さは、集光部材3の焦点距離よりも長い。すなわち、端面8aに形成される二次光源像から集光部材3までの光路の長さは、集光部材3の焦点距離よりも長い。そのため、集光部材3で屈折した光は、収束光となって、第1遮光部材4に入射する。
第1遮光部材4には、集光部材3により集光された光が通過する第1通過部10が中心部に設けられている。第1遮光部材4は、第1通過部10の周囲に入射する光を遮る第1遮光部11を有する。第1通過部10は、例えば、第1遮光部材4に設けられた開口の内側の部分である。第1通過部10は、空隙であってもよいし、第1遮光部材4の開口に配置された透光性の部材を含んでいてもよい。
本実施形態において、第1通過部10の平面形状は、実質的に円形である。第1通過部10のエッジが配置される面は、例えば、集光部材3の光軸に対してほぼ垂直に設定される。第1通過部10の内径は、例えば、第1通過部10におけるビーム径の2倍以上に設定される。第1通過部10におけるビーム径は、例えば1mm以上10mm以下である。
図2は、ビーム径の定義を説明するための図である。図2のグラフにおいて、横軸は、光の進行方向に直交する検査面上の位置を示し、縦軸は、検査面上の各点を通る光の光強度を示す。図2に示すような光強度の分布は、ガウス分布で近似できることが多い。図2に示す光強度の分布は、光線束の中心位置で光強度が極大になり、この中心位置から裾に向かうにつれて光強度が減少する。本実施形態において、ビーム径Dは、光強度の極大値を1とした光強度の相対値が1/e2(極大値の約13.5%)以上である範囲に相当する。本実施形態において、光路上の各面における光のスポットは、この面における光強度分布の重心位置を中心として、直径がビーム径Dになる範囲に対応する。
導光部5は、第1遮光部材4の第1通過部10を通過した光が入射する位置に配置されている。導光部5は、第1通過部10を介して順方向に進行する光を、第2遮光部材6の第2通過部12(後に説明する)へ導く。また、導光部5には、逆方向に進行する戻り光が第2通過部12を介して入射することがある。導光部5は、このような戻り光を第1遮光部材4の第1遮光部11へ導く。
本実施形態において、導光部5は、第1偏光子13,磁気光学素子14、旋光子15、及び第2偏光子16を含む。
第1偏光子13は、第1通過部10からの光が入射する位置に配置されている。第1偏光子13は、第1通過部10からの光を、第1方向に振動する直線偏光L1と、第1方向に直交する第2方向に振動する直線偏光L2とに分離する。直線偏光L1と直線偏光L2とのビーム位置間距離を分離距離と呼ぶ。本実施形態において、第1偏光子13は、複屈折性を有しており、その光学軸が光の入射方向に対して傾いている。ここでは、第1方向の直線偏光L1が常光に相当し、第2方向の直線偏光L2が異常光に相当する。
第1偏光子13は、第1通過部10からの光が入射する入射端面と、入射端面に入射した光が外部へ出射する出射端面とを有する。図1においては、入射端面が光の入射方向に対して傾いており、入射端面で反射した光は、入射方向とは別の方向に進行して、光源へ向かう光路から除かれる。また、出射端面は、入射端面と実質的に平行である。
磁気光学素子14は、第1偏光子13から出射して順方向に進行した直線偏光L1および直線偏光L2が入射する位置に配置されている。磁気光学素子14は、いわゆるファラデー回転子を含む。磁気光学素子14は、順方向に進行する光の偏光方向を約−45°回転させ、逆方向に進行する光の偏光方向を約−45°回転させる。本実施形態においては、順方向に進行する光の進行元から進行先を見て、反時計回りの回転を正、時計回りの回転を負とする。
旋光子15は、磁気光学素子14から出射して順方向に進行した直線偏光L1および直線偏光L2が入射する位置に配置されている。旋光子15は、順方向に進行する光の偏光方向を約−45°回転させ、逆方向に進行する光の偏光方向を約+45°回転させる。旋光子15は、1/2波長板、あるいは偏光ローテーターを含む。
第2偏光子16は、旋光子15から出射して順方向に進行した直線偏光L1および直線偏光L2が入射する位置に配置されている。第2偏光子16は、第1偏光子13で分離された直線偏光L1と直線偏光L2とを合成する。本実施形態において、第2偏光子16は、第1偏光子13と同様の構成であり、複屈折性を有している。
ところで、磁気光学素子14と旋光子15とからなる偏光調整部17は、順方向に進行する光の偏光方向を約−90°回転させる。そのため、偏光調整部17から第2偏光子16へ入射する際の直線偏光L1は、第2方向の直線偏光になっており、偏光調整部17から第2偏光子16へ入射する際の直線偏光L2は、第1方向の直線偏光になっている。そのため、第2偏光子16において、直線偏光L1に対する屈折率は、直線偏光L2に対する屈折率と異なっている。第2偏光子16は、このような屈折率の違いにより、直線偏光L1と直線偏光L2とを合成する。
第2偏光子16によって合成された直線偏光L1および直線偏光L2は、直線偏光L1の光路の少なくとも一部と直線偏光L2の光路の少なくとも一部とが重複して順方向に進行する。直線偏光L1と直線偏光L2は、それぞれ、集光部材3によって集光された非平行光に由来する光であり、導光部5を収束光として進行する。
第2遮光部材6は、導光部5から順方向に進行した直線偏光L1および直線偏光L2が入射する位置に配置されている。第2遮光部材6には、導光部5から順方向に進行した光が通過可能な第2通過部12が中心部に設けられている。第2遮光部材6は、第2通過部12の周囲に入射する光を遮る第2遮光部18を有する。第2通過部12は、集光部材3により集光されて第1通過部10を通り順方向に進行する光の収斂位置(収束位置)P1に配置されている。換言すると、第2通過部12は、集光部材3により集光された光のスポット(ビーム径)が極小になる位置(ビームウエスト)に設けられている。本実施形態において、第2遮光部材6は、所定の厚みを有する板状の部材であり、収斂位置P1は、第2遮光部材6の厚みの範囲内に設定されている。
図1の説明に戻り、第2通過部12は、例えば、第2遮光部材6に設けられた開口の内側の部分である。第2通過部12は、空隙であってもよいし、第2遮光部材6の開口に配置された透光性の部材を含んでいてもよい。第2遮光部18は、第2通過部12の周囲の部分であり、第2通過部12の周囲に入射する光を遮る。
本実施形態において、第2通過部12の平面形状は、実質的に円形である。第2通過部12の内径は、例えば、第2通過部12において順方向に進行する光が第2遮光部材6(第2通過部12)に達したときのビーム径の2倍以上であり、偏光子13、16の分離距離と上記ビーム径との差の2倍以下に設定される。第2通過部12において順方向に進行する光のビーム径は、例えば10μm以上1mm未満である。本実施形態において、第2通過部12の開口面積は、第1通過部10の開口面積よりも小さい。第2通過部12は、第1通過部10と比較して、ビーム径が極小になる位置の近くに配置されている。そのため、第2通過部12は、第1通過部10よりもs面積が小さい場合であっても、第2遮光部材6によって遮られる光の損失を抑制できる。
平行化部材7は、第2遮光部材6の第2通過部12を通過して順方向に進行する光が入射する位置に配置されている。平行化部材7は、第2通過部12からの光を平行化する。平行化部材7は、例えば、球面レンズあるいは非球面レンズのように、対称軸(光軸)の周りで回転対称な形状である。平行化部材7の光軸は、第2遮光部材6における光の収斂位置P1を通る位置に設定されている。例えば、導光部材8のコア径が約6μm、集光部材3の焦点距離が約8mmの場合に、収斂位置P1は、例えば集光部材3から約80mmの位置に設定され、平行化部材の焦点距離は、約50mmに設定される。
平行化部材7を介して順方向に進行する光は、例えば、ビームエキスパンダーなどの光学系を介して、照射対象物に照射される。照射対象物に照射された光の少なくとも一部は、照射対象物の表面での反射、散乱により、光デバイス1への戻り光になる。光デバイス1は、光源2側への戻り光の漏れを低減する。以下、光デバイス1において、光源2側への戻り光の漏れを低減する仕組みについて説明する。
図3は、平行化部材7の光軸と同軸な方向からの戻り光の光路を示す図である。なお、戻り光は、通常は等方的に広がる拡散光であるが、図3にはその中心光線L3を代表的に図示した。本実施形態において、光強度の角度分布において、光強度が極大になる角度の方向に進む光線を中心光線と称す。図3に示す中心光線L3は、平行化部材7の光軸と同軸である。
戻り光の中心光線L3は、逆方向に進行して平行化部材7を通り、第2遮光部材6の第2通過部12を通過した後に、第2偏光子16に入射する。第2偏光子16の光学軸は、中心光線L3に対して傾いており、中心光線L3は、第2偏光子16によって常光と異常光とに分離される。中心光線L3の常光と異常光は、それぞれ、偏光調整部17に入射する。偏光調整部17において、旋光子15は、逆向きに進行する光の偏光方向を+45°回転させ、磁気光学素子14は、逆向きに進行する光の偏光方向を−45°回転させる。その結果、偏光調整部17は、逆向きに進行する光については、出射後の偏光方向を入射前の偏光方向と実質的に同じにする。
偏光調整部17を通って逆向きに進行する中心光線L3は、第1偏光子13に入射する。ここで、順方向に進行する光は、偏光調整部17を通ることで偏光方向が約90°回転するのに対して、逆方向に進行する光は、偏光調整部17を通ることで偏光方向が変化しない。そのため、第2偏光子16で分離された常光と異常光とは、第1偏光子13で合成されることなく、互いに異なる光路を進行する。第2偏光子16で分離された常光と異常光とは、第1偏光子13において、第1偏光子13により分離されて順方向に進行する常光および異常光とは別の光路を進行する。戻り光の常光および異常光は、順方向に進行する光と光路がずれることにより、その一方または双方が第1遮光部材4の第1遮光部11に入射する。なお、戻り光の常光と異常光の一方は、第1遮光部材4とは別の遮光部に入射して、遮られる構成もある。
図4は、第1遮光部材4に入射する戻り光を示す図である。戻り光L4は、広がりながら第1遮光部材4の第1遮光部11に入射し、第1遮光部11上にスポットを形成する。ここで、第1遮光部11において、戻り光L4の中心光線L5が入射する位置を入射位置P2、戻り光L4の第1遮光部11上のビーム径をD1とする。戻り光L4の光エネルギーは、そのほとんどが入射位置P2を中心としてビーム径D1の2倍の範囲、端的には入射位置P2を中心とする半径がD1の円内に分布する。そのため、第1遮光部材4の第1通過部10のエッジ10aから中心光線L5の入射位置P2までの距離D2を、ビーム径D1よりも大きくすることで、戻り光を効果的に遮ることができる。
本実施形態においては、平行化部材7の光軸と同軸な方向からの戻り光の中心光線L3(図3参照)が第1遮光部材4に入射する入射位置P2、およびこの戻り光の第1遮光部11上でのビーム径D1に対して、入射位置P2から第1通過部10のエッジ10aまでの距離D2がD2>D1を満たしている。そのため、平行化部材7の光軸と同軸な方向からの戻り光を効果的に遮ることができる。なお、ビーム径D1は、図1に示した集光部材3から順方向に進行する光の第1通過部10におけるビーム径とほぼ同じ値で近似できる。第1通過部10の内径D3は、ビーム径の2倍以上に設定されるので、距離D2がD2>D3×0.5を満たしている場合にも、戻り光を効果的に遮ることができる。このように、第1遮光部材4は、平行化部材7に入射する戻り光のうち平行化部材7の光軸に対する入射角度が相対的に小さい成分を効果的に遮る部材である。
ところで、平行化部材7に入射する戻り光は、一般的に、平行化部材7の光軸に対して傾いた角度成分を含む。平行化部材7の光軸に対して傾いた方向からの戻り光は、平行化部材7の光軸となす角度が大きくなるほど、第1遮光部材4において、図4に示した入射位置P2からシフトした位置に入射する。本実施形態において、戻り光は、第2偏光子16で常光と異常光とに分離されており、常光と異常光の一方は、平行化部材7に入射する際に平行化部材7の光軸に対して傾いているほど、第1遮光部材4において入射位置P2よりもエッジ10aに近い位置に入射する。換言すると、平行化部材7の光軸に対して閾値以上の角度をなして平行化部材7に入射する戻り光は、その少なくとも一部が第1遮光部材4の第1通過部10を通って光源側への漏れ光になると考えられる。本実施形態では、このような漏れ光になりうる成分の戻り光、すなわち平行化部材7に入射する戻り光のうち相対的に広角成分を、第2遮光部材6で遮るようにしており、光源側への漏れ光を格段に低減できる。
図5は、平行化部材7の光軸7aに対して傾いた方向からの戻り光を示す図である。平行化部材7に対して傾いた方向から入射する戻り光L6は、平行化部材7によって集光されて、第2遮光部材6に入射する。そのため、戻り光L6の第2遮光部材6上でのビーム径は、第2遮光部材6の第2通過部12を順方向に通過する光のビーム径と同程度であり、例えば100μm程度である。第2遮光部材6において戻り光L6が入射する入射位置P3は、戻り光L6が光軸7aとなす入射角をθ[rad]、平行化部材7の焦点距離をf[mm]として、光軸7aから距離D4=f×θだけ離れた位置になる。すなわち、図4などに示した第1遮光部材4は、入射角θが小さい望遠成分を効果的に遮るのに対して、図5に示す第2遮光部材6は、入射角θが大きい広角成分を効果的に遮ることができる。
ここで、平行化部材7のレンズ中心と第2遮光部材6の第2通過部12のエッジ12aにおける上記レンズ中心と離間した側の端部と、を結ぶ線上を進行する光線L7(図5中で破線で図示)を想定する。光線L7の入射角αは、第2通過部12の内径D5を用いて、α=D5/fで表される。戻り光のうち入射角がα以下の角度成分の光は、第2遮光部材6の第2通過部12を通過して、図3に示したように、第1遮光部材4へ入射しうる。
そこで、本実施形態においては、入射角がα以下の光を第1遮光部材4において遮るように、第1遮光部材4、導光部5、第2遮光部材6の関係が設定されている。第1遮光部材4は、平行化部材7への戻り光のうち入射角が相対的に小さい角度成分の光を効果的に遮るので、入射角αの光線L7を遮るように設定されていれば、入射角がα未満の光線についても効果的に遮ることができる。
本実施形態においては、平行化部材7の光軸7aに対する入射角αの中心光線について、図4に示したように、第1遮光部材4での入射位置P2と第1通過部10のエッジ10aとの距離D2と、入射角αの戻り光の第1遮光部材4でのビーム径D1との間にD2>D1の関係が成り立つように、第1遮光部材4と導光部5と第2遮光部材6との関係が設定されている。
ここで、上記の関係を満たすための方法の例を説明する。入射角αは、平行化部材7の焦点距離f、第2遮光部材6の第2通過部12の内径D5の一方または双方により調整可能である。第2遮光部材6の第2通過部12の内径D5を小さくすることで、入射角αも小さくなる。入射角αが小さくなると、入射角αの中心光線が第1遮光部材4に入射する入射位置P2が、第1遮光部材4の第1通過部10のエッジ10aから離れるので、第1通過部10の内径D3を大きくすることができる。逆に、第1通過部10の内径D3を小さくすると、第2遮光部材6の第2通過部12の内径D5を大きくすることもできる。このように、第1通過部10の内径D3と第2通過部12の内径D5を設定することで、上記の関係を満たすことができる。
また、導光部5の構成を調整することで、上記の関係を満たすこともできる。入射角αの光線L7が第1遮光部材4に入射する入射位置P2を、第1通過部10のエッジから離すほど、第1通過部10の内径D3を大きくすること、第2通過部12の内径D5を大きくすることができる。そのためには、導光部5の光路長を長くしてもよいし、第1偏光子13の屈折率、第2偏光子16の屈折率を大きくしてもよい。
次に、実施例と比較例について説明する。比較例の光デバイスは、集光部材3の代わりにコリメータを用いている。これにより、順方向の平行光が導光部5を介して第2通過部を通過する。そのため、比較例では、第2通過部の内径を第1通過部の内径と同じにしている。また、比較例では、第2通過部を順方向に通過した光が平行光であるので、平行化部材7を用いていない。
図6は、実施例と比較例のアイソレーションの比較を示す図である。図6のグラフの縦軸に示すアイソレーションは、逆方向に進行する光の挿入損失である。アイソレーションが大きいほど、挿入損失が大きい、すなわち漏れ光が少ないことを表す。図6の横軸は、戻り光の各角度成分の入射角を示す。
図6から分かるように、比較例の光デバイスにおいては、入射角の絶対値が約0.4°を超えるとアイソレーションが低下しており、光源側への漏れが増加している。このように、通常ならば、入射角の絶対値が約0.4°を超える成分の戻り光は、第1通過部を通ってしまうと考えられる。一方で、本実施形態に係る実施例では、入射角の絶対値が約0.4°を超える成分の戻り光が第2遮光部材6で遮られるので、特に広角成分に対してのアイソレーションが高くなる。
以上のような構成の光デバイス1は、集光部材3が光源2からの光を集光し、その収斂位置P1に第2通過部12が配置されているので、第2通過部12を小型化できる。そのため、逆向きに進行する戻り光が第2通過部12を通りにくくなり、結果として、戻り光の第1遮光部材4から光源2側への漏れを低減できる。
本実施形態に係る光デバイス1は、順方向に進行して第2通過部12から出射した光を平行化する平行化部材7を備えている。そのため、平行化部材7の光軸7aに対して斜方から平行化部材7に入射した戻り光は、第2通過部12から離れた位置に集光され、第2遮光部材6に遮られる。そのため、この光デバイス1は、戻り光の光源2側への漏れを格段に低減できる。
また、平行化部材7のレンズ中心と第2通過部12のエッジ12aとを結ぶ線上を逆方向に進行する光の、第1遮光部材4における入射位置と第1通過部10のエッジ10aとの距離をD2、第1遮光部材4におけるビーム径をD1とした場合に、D2>D1の関係を満たしている。そのため、光デバイス1は、第1遮光部材4で遮れない角度の戻り光を第2遮光部材6で遮るとともに、第2遮光部材6で遮れない角度の戻り光を第1遮光部材4で遮ることができ、戻り光の光源2側への漏れを格段に低減できる。また、本実施形態において、第2通過部12の面積は、第1通過部10の面積よりも小さいので、戻り光が第2遮光部材により遮られやすくなり、戻り光の光源側への漏れを格段に低減できる。
本実施形態において、第2通過部12の内径は、導光部5からの光が第2通過部12に達したときのビーム径の2倍以上である。そのため、光デバイス1は、順方向に進行する光のうち、第2遮光部材6で遮られる光を低減することができ、光の損失を減らすことができる。また、本実施形態において、第2通過部12の内径は、偏光子13、16の分離距離と、導光部5からの光が第2通過部12に達したときのビーム径との差の2倍以下であるため、必要な光量で順方向に光を第2通過部12を通過させることができるとともに、第2通過部12を通過する戻り光を抑制することができる。
本実施形態において、導光部材8から集光部材3までの光路の長さは、集光部材3の焦点距離よりも長い。そのため、光デバイス1は、光源からの光を、シンプルな構成で集光できる。
なお、本実施形態において、光デバイス1は平行化部材7を備えているが、平行化部材7は、光デバイス1の外部のデバイスの一部であってもよい。例えば、平行化部材7は、第2通過部12を順方向に通過した光が入射する光学系の一部であってもよい。このような光学系としては、ビームエキスパンダーなどが挙げられる。また、光デバイスは、このような光学系を含んでいてもよい。
また、光デバイス1は平行化部材7を備えていなくてもよい。すなわち、第2遮光部材6は、厚みを持った部材であるので、第2遮光部材6に斜めに入射する光の一部は、第2通過部12の側壁で遮られる。このように、第2遮光部材6は、その厚みに応じて、第2通過部12を通る光の角度分布を制限する。例えば、第2遮光部材6の厚みが増すほど、第2通過部12を広角成分の戻り光が通過しにくくなる。そのため、第2遮光部材6は、第1遮光部材4で遮れないような角度の光を遮ることができる。
なお、本実施形態において、集光部材3と平行化部材7のそれぞれは、正のパワーを有する屈折系の光学部材であるが、集光部材3と平行化部材7の一方または双方は、凹面鏡などのように、正のパワーを有する反射系の光学部材でもよい。また、図1などには、集光部材3と平行化部材7のそれぞれが1つのレンズ部材で代表的に描かれているが、集光部材3と平行化部材7の一方または双方は、複数のレンズ部材を含んでいてもよい。
なお、本実施形態において、光源2および導光部材8は、光デバイス1の外部のデバイスであるが、光源2と導光部材8の一方または双方は、光デバイス1の一部であってもよい。また、導光部5の構成については、順方向と逆方向とで光路が分かれる構成であれば、適宜変更できる。例えば、磁気光学素子14の位置と旋光子15の位置は、交換可能である。
なお、本実施形態において、光デバイス1は、レーザー加工装置に用いられる例で説明したが、光デバイス1の用途はこれに限定されない。例えば、光デバイス1は、光ディスクにデータを読み書きする光学装置、光通信などにおいて光の伝播経路に配置される装置などにも利用でき、光デバイス1の外部のからの戻り光を効果的に遮ることができる。
なお、本発明の技術範囲は、上記の実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態で説明した要素の1つ以上は、省略されることがある。また、上記の実施形態で説明した要素は、適宜組み合わせることができる。
1 光デバイス、2 光源、3 集光部材、4 第1遮光部材、5 導光部、6 第2遮光部材、7 平行化部材、7a 光軸、10 第1通過部、10a エッジ、12 第2通過部、12a エッジ、D1 ビーム径、D2 距離、P1 収斂位置、P2 入射位置
Claims (6)
- 光源からの光が通過する第1通過部が一部に設けられ、前記第1通過部の周囲で光を遮る第1遮光部材と、
前記第1通過部を通過し順方向に進行する光が通過する第2通過部が一部に設けられ、前記第2通過部の周囲で光を遮る第2遮光部材と、
前記第1通過部と前記第2通過部との間に配置され、前記第1通過部を介して入射し前記順方向に進行する光を第2遮光部材の第2通過部に導き、前記第2通過部を介して入射し前記順方向と反対向きの逆方向に進行する光を前記第1遮光部材へ導く導光部と、
前記光源からの光を集光し、前記第1通過部及び前記導光部を介して前記第2通過部に収束させる集光部材と、
を備える光デバイス。 - 前記導光部は、前記第1通過部からの光を互いに異なる方向に振動する偏光に分離する偏光子を備え、
前記第2通過部の径は、前記導光部からの光が前記第2通過部に達したときのビーム径の2倍以上であり、前記偏光子の分離距離と前記ビーム径との差の2倍以下である
請求項1に記載の光デバイス。 - 前記順方向に進行して前記第2通過部から出射した光を平行化する平行化部材を備える
請求項1または2記載の光デバイス。 - 前記平行化部材のレンズ中心と、前記第2通過部のエッジにおける前記レンズ中心と離間した側の端部と、を結ぶ線上を前記逆方向に進行する光の、前記第1遮光部材に達したときのビーム径をD1、前記第1遮光部材に達したときの光軸と前記第1通過部のエッジとの距離をD2とした場合に、D2>D1の関係を満たす
請求項3に記載の光デバイス。 - 前記第2通過部の断面積は、前記第1通過部の断面積よりも小さい
請求項1から4のいずれか一項に記載の光デバイス。 - 前記光源により形成される光源像から前記集光部材までの光路の長さは、前記集光部材の焦点距離よりも長い
請求項1から5のいずれか一項に記載の光デバイス。
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2013
- 2013-09-03 JP JP2013181920A patent/JP2015049416A/ja active Pending
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