JP2015049227A - 大型藻類の生育診断装置及び大型藻類の生育診断方法 - Google Patents

大型藻類の生育診断装置及び大型藻類の生育診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大型藻類の生育状態の劣化を初期段階で診断できる大型藻類の生育診断装置及び大型藻類の生育診断方法を提供する。【解決手段】大型藻類の育成診断装置は、解析手段が580nmの波長の蛍光の平均蛍光寿命を演算する(ステップS2)。そして、育成診断結果出力手段は、解析手段がステップS2で演算した、580nmの波長の蛍光の平均蛍光寿命と、記憶手段に記憶した閾値を比較し、閾値以上である場合(ステップS3、Yes)、育成診断結果出力手段が異常を出力する(ステップS4)。【選択図】図2

Description

本発明は、大型藻類の生育診断装置及び大型藻類の生育診断方法に関する。
特許文献1には、大型藻類の試料片に励起光を照射してその蛍光強度を測定し、得られた測定値を予め設定された蛍光強度−品質検定曲線に照合し、品質を評価することを特徴とする大型藻類の品質評価方法の技術が記載されている。
特開昭61−133842号公報
「蛍光寿命を用いたスサビノリの生育診断への可能性」,平成24年度(第45回)照明学会全国大会,12-4,2012年9月6日〜8日
特許文献1に記載の技術は、光合成酸素発生量と、色素の蛍光強度の相関関係を求め、求めた相関関係に基づいて、品質を評価している。特許文献1に記載の技術では、大型藻類の育成診断を非破壊で簡便に行うことができる。しかしながら、大型藻類は、病害、生育(育成)環境のストレスなどにより、蛍光強度が増加する現象が引き起こされる可能性がある。このため、特許文献1に記載の技術は、正常な大型藻類を評価できるが、病害、育成環境のストレスなどを受けた大型藻類を評価する技術は確立していない。
大型藻類の養殖は、海を生産の場としているため、気象、海象の影響が大きく作用する。また、大型藻類の養殖では、生態系の生物の相互関係の影響、大型藻類の養殖に用いる水質、大型藻類の疾病等による大型藻類の生育状態の劣化を抑制したい要望がある。大型藻類の養殖の漁業従事者、つまり測定者は、大型藻類の生育状態の劣化を目視で判断していた。ところで、大型藻類の生育状態の劣化は、初期段階では可視判断がつきにくい。大型藻類の生育状態の劣化を初期段階で診断できれば、大型藻類の生育状態の劣化の要因を除去する対応をとることができ、大型藻類の養殖の生産性を向上することもできる。そこで、本発明者は、蛍光寿命測定の手法を用いて、大型藻類の生育診断方法を検討してきたが、非特許文献1に記載の時点では、大型藻類の生育状態の劣化を初期段階で診断できる知見を得ていなかった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大型藻類の生育状態の劣化を初期段階で診断できる大型藻類の生育診断装置及び大型藻類の生育診断方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、大型藻類の生育診断装置は、フィコエリスリンの吸収ピーク波長付近の波長を含むパルス励起光を大型藻類の試料に照射するパルス光源と、前記パルス励起光が照射された前記大型藻類の試料から放出される蛍光のうち、580nmの波長の蛍光を検出する検出器と、蛍光寿命に関する閾値の情報を記憶する記憶手段と、前記検出器から出力される出力信号に基づいて、前記580nmの波長の蛍光の平均蛍光寿命を演算する解析手段と、前記記憶手段に記憶する前記閾値と比較して、前記解析手段が演算した前記580nmの波長の蛍光の平均蛍光寿命が前記閾値以上である場合に、前記大型藻類の試料が異常である診断結果を出力する育成診断結果出力手段と、を備えることを特徴とする。
この大型藻類の生育診断装置によれば、大型藻類の生育状態の劣化を初期段階で診断できるので、大型藻類の生育状態の劣化の要因を除去する対応をとることができ、大型藻類の養殖の生産性を向上することもできる。
望ましい態様として、前記閾値は、0.3nsであることが好ましい。大型藻類の生育状態の劣化が生じる初期段階でも580nmの波長の蛍光の蛍光寿命が長くなることから、大型藻類の生育診断装置が、大型藻類の生育状態の劣化の判断を行う明確な基準を提供し、測定者によって海苔の評価に差異が生じてしまう可能性を抑制することができる。また、大型藻類の生育診断装置は、580nmの波長の蛍光の蛍光寿命を演算して評価すればよいので、測定及び評価が迅速に行え、簡便な測定システムとなり、また装置自体が低コストとなる。
望ましい態様として、前記育成診断結果出力手段は、前記記憶手段に記憶する閾値と比較して、前記解析手段が演算した前記580nmの波長の蛍光の平均蛍光寿命が前記閾値未満である場合に、前記大型藻類の試料が正常である診断結果を出力することが好ましい。これにより、大型藻類の生育診断装置が、大型藻類の生育状態の劣化の判断を行う明確な基準を提供し、健康な大型藻類を正常と識別し、可視判断がつきにくい初期段階における大型藻類の生育状態の劣化した大型藻類と区別することができる。
望ましい態様として、前記記憶手段が前記580nmの波長の平均蛍光寿命と、大型藻類の生育状態の劣化度合いとの相関関係の情報を記憶しており、前記育成診断結果出力手段は、前記異常であると診断結果が出力された前記大型藻類の試料の、前記解析手段が演算した580nmの波長の平均蛍光寿命と、前記相関関係の情報とに基づいて、大型藻類の生育状態の劣化度合いを出力することが好ましい。これにより、大型藻類の生育診断装置が異常であると診断した大型藻類の試料について、大型藻類の生育状態の劣化度合いの定量的評価を行うことができる。例えば、大型藻類の生育状態の劣化度合いに応じて、漁業従事者が大型藻類の生育状態の劣化の要因を除去する対応をとることができる。
望ましい態様として、前記検出器は、クロロフィル蛍光の波長の蛍光を検出しておき、 前記記憶手段が前記クロロフィル蛍光の波長の蛍光強度に対する前記580nmの波長の蛍光強度の比と、大型藻類の生育状態の劣化度合いとの相関関係の情報を記憶しており、前記解析手段は、前記異常であると診断結果が出力された前記大型藻類の試料の、前記クロロフィル蛍光の波長の蛍光強度に対する前記580nmの波長の蛍光強度の比を演算し、前記育成診断結果出力手段は、前記解析手段が演算した蛍光強度の比及び前記相関関係の情報から大型藻類の生育状態の劣化度合いを出力することが好ましい。これにより、大型藻類の生育診断装置が異常であると診断した大型藻類の試料について、大型藻類の生育状態の劣化度合いの定量的評価を行うことができる。例えば、大型藻類の生育状態の劣化度合いに応じて、漁業従事者が大型藻類の生育状態の劣化の要因を除去する対応をとることができる。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、大型藻類の生育診断方法は、フィコエリスリンの吸収ピーク波長付近の波長を含むパルス励起光を大型藻類の試料に照射し、前記パルス励起光が照射された前記大型藻類の試料から放出される蛍光を受光し、前記蛍光の580nmの蛍光寿命が0.3ns以上である場合、前記大型藻類の試料が異常であることを診断することを特徴とする。
この大型藻類の生育診断方法によれば、大型藻類の生育状態の劣化を初期段階で診断できるので、大型藻類の生育状態の劣化の要因を除去する対応をとることができ、大型藻類の養殖の生産性を向上することもできる。
望ましい態様として、異常であると診断された前記大型藻類の試料に対して、580nmの波長の平均蛍光寿命に基づいて、大型藻類の生育状態の劣化度合いを診断することがが好ましい。これにより、大型藻類の生育診断方法は、異常であると診断した大型藻類の試料について、大型藻類の生育状態の劣化度合いの定量的評価を行うことができる。その結果、診断数を低減し、大型藻類の生育診断の労力を抑制できる。そして、例えば、大型藻類の生育状態の劣化度合いに応じて、漁業従事者が大型藻類の生育状態の劣化の要因を除去する対応をとることができる。
望ましい態様として、大型藻類の生育診断方法は、異常であると診断された前記大型藻類の試料に対して、前記蛍光のクロロフィル蛍光の蛍光強度に対する前記蛍光の580nmの蛍光強度の比に基づいて、大型藻類の生育状態の劣化度合いを診断することが好ましい。これにより、大型藻類の生育診断方法は、異常であると診断した大型藻類の試料について、大型藻類の生育状態の劣化度合いの定量的評価を行うことができる。その結果、診断数を低減し、大型藻類の生育診断の労力を抑制できる。そして、例えば、大型藻類の生育状態の劣化度合いに応じて、漁業従事者が大型藻類の生育状態の劣化の要因を除去する対応をとることができる。
本発明によれば、大型藻類の生育状態の劣化を初期段階で診断できる大型藻類の生育診断装置及び大型藻類の生育診断方法を提供することができる。
図1は、大型藻類の生育診断装置の概略の構成を示すブロック図である。 図2は、大型藻類の生育診断方法の処理ステップを示すフローチャートである。 図3は、正常なスサビノリの蛍光スペクトルを示す説明図である。 図4は、正常なスサビノリの基準サンプル1に関し、580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図5は、正常なスサビノリの基準サンプル1に関し、720nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図6は、正常なスサビノリの基準サンプル1に関し、2回目に計測した580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図7は、評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4のあかぐされ病進行状態を示す外観例を示す説明図である。 図8は、図7に示す、評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4の蛍光スペクトルを示す説明図である。 図9は、評価例1に関し、580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図10は、評価例1に関し、720nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図11は、評価例1に関し、2回目に計測した580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図12は、評価例2に関し、580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図13は、評価例2に関し、720nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図14は、評価例2に関し、2回目に計測した580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図15は、評価例3に関し、580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図16は、評価例3に関し、720nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図17は、評価例3に関し、2回目に計測した580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図18は、評価例4に関し、580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図19は、評価例4に関し、720nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図20は、評価例4に関し、2回目に計測した580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図21は、正常なスサビノリの基準サンプル1及び評価例4に関して580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図22は、基準サンプル1、評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4に関して、蛍光ピークの強度比I580/I720と、580nmの波長及び720nmの波長の平均蛍光寿命との関係を説明する説明図である。 図23は、大型藻類におけるエネルギー移動を説明する説明図である。 図24は、光合成色素の吸収スペクトルを説明する説明図である。 図25は、淡水に15分浸したスサビノリの蛍光スペクトルを示す説明図である。 図26は、評価例5に関し、580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図27は、評価例5に関し、720nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図28は、評価例5に関し、2回目に計測した580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。 図29は、図22の評価に加え、評価例5に関して、蛍光ピークの強度比I580/I720と、580nmの波長及び720nmの波長の平均蛍光寿命との関係を説明する説明図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
図1は、大型藻類の生育診断装置の概略の構成を示すブロック図である。大型藻類の生育診断装置1は、制御装置2と、パルス光源3と、検出器4と、分光器5と、表示手段6と、計測回路8とを備え、パルス励起光を大型藻類の試料7に照射し、大型藻類の試料7から放出される蛍光を受光する。
制御装置2は、パーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、記憶装置と、入出力インターフェースと、パルス光源3及び検出器4を制御する制御回路を含んでいる。制御装置2は、ROMにBIOS(Basic Input Output System)等のプログラムが記憶されている。記憶装置は、記憶手段23であって、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、後述する平均蛍光寿命の閾値の情報を記憶しているとともに、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶している。CPUは、演算手段であり、RAMをワークエリアとして使用しながらROM及び記憶手段23に記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能、例えば、解析手段21及び育成診断結果出力手段22を実現することができる。制御装置2は、入出力インターフェースを介して、計測回路8及び表示手段6に接続されている。計測回路8は、パルス光源3及び検出器4に接続されている。表示手段6は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ等の画像を表示する装置である。
図2は、大型藻類の生育診断方法の処理ステップを示すフローチャートである。図2に示すように、解析手段21は、CPUがパルス光源3及び検出器4を制御する計測回路8に指示し、測定開始の同期をとり、測定を開始することができる(ステップS1)。
パルス光源3は、フィコエリスリンの吸収ピーク付近の波長であって、励起される光の波長が450nm以上550nm以下の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)またはレーザーダイオードを用いることができる。以下の実施形態では、パルス光源3がレーザーダイオードの励起光源である、蛍光スペクトル測定について説明する。蛍光スペクトル測定とは、励起光を試料7に照射して光合成色素内の電子を励起し、その電子が元のエネルギー状態に戻るときに発する蛍光を検出する方法である。この手法は従来の破壊検査による化学分析等と比べて非破壊で迅速かつ効率的な測定であり、加えて遠隔計測も可能である。
大型藻類の試料7として、アオノリ、アオサなどの緑藻、コンブ、ワカメなどの褐藻、スサビノリ、テングサなどの紅藻などを用いることができる。大型藻類の試料7として、紅藻である、スサビノリ、アサクサノリ、テングサ、オゴノリなどを用いることがより好ましい。本実施形態の大型藻類の試料7は、スサビノリを用いている。
パルス励起光が照射された大型藻類の試料7から放出される蛍光は、分光器5を介して、検出器4に入射する。分光器5は、例えば、干渉フィルタなどであり、蛍光の測定波長成分を主として透過させ、検出器4へ検知させることができる。検出器4は、蛍光光子を検出し、計測回路8を介して電気信号に変換して、制御装置2へ送出する。
制御装置2は、解析手段21が580nmの波長の蛍光の平均蛍光寿命を演算する(ステップS2)。蛍光寿命の複数の成分(τ、τ・・・τ)うち、例えば蛍光寿命が2成分(τ、τ・・・τ)とした場合、下記式(1)を用いて、上述した検出器4の検出電気信号をフィッティング(近似)して、デコンボリューション処理を行うことにより、時間tの関数である蛍光減衰曲線を演算する。ここで、A、Aは、フィッティング(近似)して決まる係数である。解析手段21が演算する蛍光寿命は、1成分であっても、3成分以上であってもよい。
次に、制御装置2は、下記式(2)を用いて解析手段21が平均蛍光寿命τを演算する。
次に育成診断結果出力手段22は、ステップS2で解析手段21が演算した、580nmの波長の蛍光の平均蛍光寿命τと、記憶手段23に記憶した閾値を比較し、閾値以上である場合(ステップS3、Yes)、育成診断結果出力手段22が異常を表示手段6に出力する(ステップS4)。このため、表示手段6は、測定者に異常を知らせることができる。育成診断結果出力手段22が異常を出力する手段は、表示手段6に限られず、音、振動、紙への印刷など測定者が知覚できる手段であればよい。
本実施形態において、記憶手段23に記憶した閾値は、0.3nsである。記憶手段23に記憶した閾値は0.5nsであってもよいが、記憶手段23に記憶した閾値が0.3nsである方がより、大型藻類の生育状態の劣化を初期段階で診断できるので、大型藻類の生育状態の劣化の要因を除去する対応をとることができ、大型藻類の養殖の生産性を向上することもできる。
580nmの波長の平均蛍光寿命の値は、大型藻類の生育状態の劣化の度合いに応じて大きくなる。このため、記憶手段23が580nmの波長の平均蛍光寿命の値と、大型藻類の生育状態の劣化度合いとの相関関係の情報を記憶している場合、異常であると診断結果が出力された大型藻類の試料7の、解析手段21が演算した580nmの波長の平均蛍光寿命と、上述した相関関係の情報とに基づいて、大型藻類の生育状態の劣化度合いを演算する(ステップS5)。次に、育成診断結果出力手段22は、ステップS5で演算した大型藻類の生育状態の劣化度合いを表示手段6に出力する(ステップS6)。このため、表示手段6は、測定者に大型藻類の生育状態の劣化度合いを知らせることができる。育成診断結果出力手段22が大型藻類の生育状態の劣化度合いを出力する手段は、表示手段6に限られず、音、振動、紙への印刷など測定者が知覚できる手段であればよい。
これにより、本実施形態の大型藻類の生育診断装置1は、上述したステップS4で異常であると診断した大型藻類の試料について、大型藻類の生育状態の劣化度合いの定量的評価を行うことができる。その結果、全部の試料について、大型藻類の生育状態の劣化度合いの定量的評価を行う必要がなくなり、大型藻類の生育診断装置1は、演算負荷が軽減し、全部の試料について結果を得る演算速度が向上する。育成診断結果出力手段22がステップS6を処理した後、処理を終了する。なお、大型藻類の生育状態の劣化度合いを出力する必要がない場合、育成診断結果出力手段22がステップS4を処理した後、処理を終了してもよい。
上述したように、育成診断結果出力手段22は、図2に示すステップS2で演算した、580nmの波長の蛍光の平均蛍光寿命τと、記憶手段23に記憶した閾値を比較し、閾値未満の場合(ステップS3、No)、育成診断結果出力手段22が正常を表示手段6に出力する(ステップS7)。このため、表示手段6は、測定者に正常を知らせることができる。これにより、大型藻類の生育診断装置1が、大型藻類の生育状態の劣化の判断を行う明確な基準を提供し、健康な大型藻類を正常と識別し、可視判断がつきにくい初期段階における大型藻類の生育状態の劣化した大型藻類と区別することができる。なお、育成診断結果出力手段22が正常を出力する手段は、表示手段6に限られず、音、振動、紙への印刷など測定者が知覚できる手段であればよい。育成診断結果出力手段22が正常を出力するステップS7は省略することもできる。
(変形例)
記憶手段23がクロロフィル蛍光の波長の蛍光強度に対する580nmの波長の蛍光強度の比と、大型藻類の生育状態の劣化度合いとの相関関係の情報を記憶している場合、育成診断結果出力手段22が図2に示すステップS5及びステップS6の処理をしてもよい。
大型藻類の試料7は、例えば670nmから750nmの範囲のクロロフィル蛍光が発現する。例えば、720nm又は685nmの波長の蛍光強度に対する580nmの波長の蛍光強度の比と、大型藻類の生育状態の劣化度合いとの相関関係は、相関があることが分かっている。そこで、予め、記憶手段23が670nm以上750nm以下の範囲のクロロフィル蛍光の波長の蛍光強度に対する580nmの波長の蛍光強度の比と、大型藻類の生育状態の劣化度合いとの相関関係の情報を記憶しておく。そして、育成診断結果出力手段22が異常である診断結果が出力された大型藻類の試料7の、670nmから750nmの範囲のクロロフィル蛍光の強度に対する580nmの波長の蛍光強度の比を演算する(ステップS5)。次に、育成診断結果出力手段22は、解析手段21が演算した、670nmから750nmの範囲のクロロフィル蛍光の強度に対する580nmの波長の蛍光強度の比に基づいて、記憶手段23に記憶する670nmから750nmの範囲のクロロフィル蛍光の強度に対する580nmの波長の蛍光強度の比と、大型藻類の生育状態の劣化度合いとの相関関係から、対応する大型藻類の生育状態の劣化度合いを演算する(ステップS6)。これにより、本実施形態の大型藻類の生育診断装置1は、上述したステップS4で異常であると診断した大型藻類の試料について、大型藻類の生育状態の劣化度合いの定量的評価を行うことができる。その結果、全部の試料について、大型藻類の生育状態の劣化度合いの定量的評価を行う必要がなくなり、大型藻類の生育診断装置1は、演算負荷が軽減し、全部の試料について結果を得る演算速度が向上する。育成診断結果出力手段22がステップS6を処理した後、処理を終了する。
上述したように、実施形態に係る大型藻類の生育診断方法は、フィコエリスリンの吸収ピーク波長付近の波長を含むパルス励起光を大型藻類の試料1に照射し、大型藻類の試料7から放射される蛍光を受光し、580nmの平均蛍光寿命が0.3ns以上である場合、大型藻類の試料が異常であることを診断する。この大型藻類の生育診断方法によれば、大型藻類の生育状態の劣化を初期段階で診断できるので、大型藻類の生育状態の劣化の要因を除去する対応をとることができ、大型藻類の養殖の生産性を向上することもできる。
また、大型藻類の育成診断方法は、異常であると診断された大型藻類の試料7の、670nmから750nmの範囲のクロロフィル蛍光の強度に対する580nmの蛍光強度の比に基づいて、大型藻類の生育状態の劣化度合いを診断することができる。これにより、大型藻類の生育診断方法は、異常であると診断した大型藻類の試料について、大型藻類の生育状態の劣化度合いの定量的評価を行うことができる。その結果、診断数を低減し、大型藻類の生育診断の労力を抑制できる。そして、例えば、大型藻類の生育状態の劣化度合いに応じて、漁業従事者が大型藻類の生育状態の劣化の要因を除去する対応をとることができる。
(評価)
図3から図29を用いて、大型藻類の生育診断方法及び本実施形態の大型藻類の生育診断装置1の評価例について、説明する。図3は、正常なスサビノリの蛍光スペクトルを示す説明図である。基準サンプル1及び基準サンプル2は、試料には、平成24年12月に新富津漁業協同組合で養殖したスサビノリである。励起光の波長はスサビノリの生育診断に適している励起波長であるフィコエリスリンの吸収ピーク波長付近の470nmの励起光を用いて蛍光寿命測定を行った。測定した蛍光の波長はフィコエリスリンに起因すると思われる蛍光波長の580nm、アロフィコシアニンに起因すると思われる蛍光波長の660nm、クロロフィルaに起因すると思われる蛍光波長の685nm、720nmとした。
図3に示すように、基準サンプル1及び基準サンプル2のどちらの試料も、同様の蛍光スペクトルを示している。次に、基準サンプル1について、本実施形態の大型藻類の生育診断装置1が大型藻類の生育診断方法を処理した。図4は、正常なスサビノリの基準サンプル1に関し、580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。図5は、正常なスサビノリの基準サンプル1に関し、720nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。図6は、正常なスサビノリの基準サンプル1に関し、2回目に計測した580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。なお、図4から図6には、正常なスサビノリの基準サンプル1に関して蛍光寿命を測定した際の装置応答関数(IRF)を示す。図4及び図6に示すように、580nmのピークについては確認のため2回測定を行ったが、測定結果には有意差がなく、試料の変質などがないことが確認された。基準サンプル2についても同様に評価した。
上述した式(1)及び式(2)より、図4及び図6に示すような580nmの蛍光ピークの場合、正常なスサビノリの平均蛍光寿命τが0.12ns以上0.2ns以下となった。上述した式(1)及び式(2)より、図5に示すような720nmの蛍光ピークの場合、正常なスサビノリの平均蛍光寿命τが0.12ns以上0.13ns以下となった。
次に、大型藻類の生育状態の劣化の一例として、あかぐされ病に感染したスサビノリの評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4を用意した。図7は、評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4のあかぐされ病進行状態を示す外観例を示す説明図である。図7に示すように、測定者が評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4の外観を官能評価し、あかぐされ病進行状態を示す矢印のように、評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4の順に、あかぐされ病が進行していることが確認されている。あかぐされ病は、細菌の寄生により、赤錆(あかさび)色の斑を生じ、スサビノリの葉状体が劣化する可能性がある。
図8は、図7に示す、評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4の蛍光スペクトルを示す説明図である。なお、比較のために、図8には、正常なスサビノリの蛍光スペクトル(基準サンプル1)も示している。励起光源は、蛍光寿命測定に用いた波長470nmのレーザーダイオードである。図8に示すように、あかぐされ病に感染すると580nm付近のフィコエリスリンに起因すると考えられるピークの強度が相対的に増加する。図8に示すと580nm付近のフィコエリスリンに起因すると考えられるピークは、基準サンプル1、評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4の順に大きくなっている。
図9は、評価例1に関し、580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。図10は、評価例1に関し、720nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。図11は、評価例1に関し、2回目に計測した580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。なお、図9から図11には、評価例1に関して蛍光寿命を測定した際の装置応答関数(IRF)を示す。
図12は、評価例2に関し、580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。図13は、評価例2に関し、720nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。図14は、評価例2に関し、2回目に計測した580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。なお、図12から図14には、評価例2に関して蛍光寿命を測定した際の装置応答関数(IRF)を示す。
図15は、評価例3に関し、580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。図16は、評価例3に関し、720nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。図17は、評価例3に関し、2回目に計測した580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。なお、図15から図17には、評価例3に関して蛍光寿命を測定した際の装置応答関数(IRF)を示す。
図18は、評価例4に関し、580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。図19は、評価例4に関し、720nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。図20は、評価例4に関し、2回目に計測した580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。図18から図20には、評価例4に関して蛍光寿命を測定した際の装置応答関数(IRF)を示す。
評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4について、本実施形態の大型藻類の生育診断装置1が大型藻類の生育診断方法を処理した。そして、評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4について、上述した式(1)及び式(2)より、2成分の蛍光寿命を仮定してフィッティングを行い、平均蛍光寿命を計算した。図21は、正常なスサビノリの基準サンプル1及び評価例4に関して580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。図21に示すように、式(1)の蛍光寿命の近似は、正常なスサビノリの基準サンプル1及び評価例4に関して、適切なフィッティングであることが分かる。評価結果を図22に示す。図22は、基準サンプル1、評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4に関して、蛍光ピークの強度比I580/I720と、580nmの波長及び720nmの波長の平均蛍光寿命との関係を説明する説明図である。基準サンプル1の実線の三角は、580nmの波長の平均蛍光寿命であり、基準サンプル1の破線の三角は、720nmの波長の平均蛍光寿命を示している。評価例1の実線の丸は、580nmの波長の平均蛍光寿命であり、評価例1の破線の丸は、720nmの波長の平均蛍光寿命を示している。評価例2の実線の四角は、580nmの波長の平均蛍光寿命であり、評価例2の破線の四角は、720nmの波長の平均蛍光寿命を示している。評価例3の実線の菱形は、580nmの波長の平均蛍光寿命であり、評価例3の破線の菱形は、720nmの波長の平均蛍光寿命を示している。評価例4の実線の五角形は、580nmの波長の平均蛍光寿命であり、評価例4の破線の五角形は、720nmの波長の平均蛍光寿命を示している。
あかぐされ病に感染すると580nm付近のピーク強度I580が相対的に増加する。すなわち、あかぐされ病が進行すると蛍光ピークの強度比I580/I720が大きくなる。720nmの波長の蛍光強度に対する580nmの波長の蛍光強度の比、つまりピークの強度比I580/I720は、図22に示すように、評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4の順に、あかぐされ病が進行している順に並んでいる相関関係があることが分かる。まず、580nmの蛍光寿命に着目すると、蛍光ピークの強度比I580/I720が増加するにつれて平均蛍光寿命が長くなっている。このことより、蛍光寿命測定により、あかぐされ病の診断が可能であることが分かる。蛍光ピークの強度比I580/I720は、大型藻類の生育状態の劣化度合いと相関関係があり、記憶手段23は、予め、720nmの波長の蛍光強度に対する580nmの波長の蛍光強度の比と、大型藻類の生育状態の劣化度合いとの相関関係の情報を記憶しておくことができる。しかしながら、強度比I580/I720ではほとんど変化が見られない軽度のあかぐされ病の場合でも、580nmの平均蛍光寿命は大きく変化している。実施形態に係る大型藻類の生育診断方法は、フィコエリスリンの吸収ピーク波長付近の波長を含むパルス励起光を大型藻類の試料7に照射し、大型藻類の試料7から放射される蛍光を受光し、580nmの平均蛍光寿命が0.3ns以上である場合、大型藻類の試料が異常であることを診断する。このことより、実施形態に係る大型藻類の生育診断方法は、580nmの平均蛍光寿命を閾値と比較することで、初期のあかぐされ病においてより感度の高い測定をすることができる。
本実施形態に係る大型藻類の生育診断装置及び大型藻類の生育診断方法によれば、大型藻類の生育状態の劣化を初期段階で診断できるので、大型藻類の生育状態の劣化の要因を除去する対応をとることができ、大型藻類の養殖の生産性を向上することもできる。
基準サンプル1の580nmの平均蛍光寿命は、0.3ns以下の範囲であり、評価例1の580nmの平均蛍光寿命は、0.3nsよりも急激に増加している。図22に示すように、580nmの平均蛍光寿命は、評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4の順に、あかぐされ病が進行している順に大きくなる相関関係がある。このため、評価例1、評価例2、評価例3及び評価例4の580nmの平均蛍光寿命の値は、大型藻類の生育状態の劣化の度合いに応じて大きくなる。これに対して、720nmの平均蛍光寿命は基準サンプル1と、評価例1(評価例2)との値に大きな差がなく、強度比I580/I720にほぼ比例して増加している。
図23は、大型藻類におけるエネルギー移動を説明する説明図である。図24は、光合成色素の吸収スペクトルを説明する説明図である。図23及び図24から分かるように、励起光に用いた波長470nmの光は主としてフィコエリスリンで吸収される。フィコエリスリンで吸収された光のエネルギーは、様々な過程を介して光合成反応中心であるクロロフィルaへのエネルギーが移動する。そのため、フィコエリスリンに起因すると考えられる580nmの蛍光とクロロフィルaに起因すると考えられる685nm及び720nmの蛍光の両方が観測される。正常なスサビノリの場合には、フィコエリスリンで吸収された光のエネルギーはスムーズにエネルギー移動され、クロロフィルaに移動されたエネルギーは、スムーズに光合成に利用される。そのため、フィコエリスリンに起因すると考えられる580nmの蛍光及びクロロフィルaに起因すると考えられる685nm又は720nmの蛍光の寿命は、0.1ns以上0.2ns以下と短くなると考えられる。一方、あかぐされ病に感染すると、初期の段階ではまずフィコエリスリンで吸収されたエネルギーのクロロフィルaへの移動が阻害されるため、580nmの平均蛍光寿命が長くなると考えられる。さらに、あかぐされ病が進行すると、クロロフィルaに移動されたエネルギーの光合成への利用も阻害されるようになるため、720nmの平均蛍光寿命が長くなると考えられる。このような反応は、クロロフィルを主とする植物の反応とは異なるものである。
図24から分かるように、アロフィコシアニンの吸収ピーク付近の励起光で励起して、アロフィコシアニンの蛍光(例えば660nm)での平均蛍光寿命で評価することでも同様の評価が可能と考えられる。しかしながら、アロフィコシアニンの吸収範囲が550nm以上700nm以下の範囲であり、蛍光全体の波長範囲(550nm〜800nm程度)と重なっており、かつ550nm以上600nm以下の範囲はフィコエリスリンの吸収とも重複している。このため、アロフィコシアニンの吸収ピーク付近の励起光で励起して、アロフィコシアニンの蛍光での蛍光寿命で評価するよりも、フィコエリスリンの吸収ピーク波長付近(450nm以上550nm以下)の波長を含む励起光で励起して、フィコエリスリンの蛍光での平均蛍光寿命で評価した方がより高精度の評価が可能になる。同様に、フィコシアニンの吸収範囲はフィコエリスリンおよびアロフィコシアニンの吸収範囲と重複しており、フィコシアニンの吸収ピーク付近の励起光で励起して、フィコシアニンの蛍光での平均蛍光寿命で評価するよりも、フィコエリスリンの吸収ピーク波長付近(450nm以上550nm以下)の波長を含む励起光で励起して、フィコエリスリンの蛍光での平均蛍光寿命で評価した方がより高精度の評価が可能になる。
図22に示すように、記憶手段23に記憶した閾値が0.3nsであれば、大型藻類の育成状態の劣化により、580nmの平均蛍光寿命が長くなり、大型藻類の生育状態の劣化を初期段階で診断できる。図22に示すように、記憶手段23に記憶した閾値が0.3nsであれば、720nmの平均蛍光寿命が初期段階での感度が高くないので、0.3nsの閾値を720nmの平均蛍光寿命との対比で判断すると誤判断をしてしまう可能性がある。
図25は、淡水に15分浸したスサビノリの蛍光スペクトルを示す説明図である。評価例5は、スサビノリを淡水に15分浸した場合で、平均蛍光寿命への淡水の影響を検討した。淡水にスサビノリを浸した場合にも、蛍光スペクトルは変化し、淡水に浸してから数十秒から100秒程度で580nmのピーク強度が増加する。図26は、評価例5に関し、580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。図27は、評価例5に関し、720nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。図28は、評価例5に関し、2回目に計測した580nmの波長ピークの蛍光減衰曲線を示す説明図である。なお、図26から図27には、評価例5に関して蛍光寿命を測定した際の装置応答関数(IRF)を示す。
評価例5について、本実施形態の大型藻類の生育診断装置1が大型藻類の生育診断方法を処理した。そして、評価例5について、上述した式(1)及び式(2)より、2成分の蛍光寿命を仮定してフィッティングを行い、平均蛍光寿命を計算した。図29は、図22の評価に加え、評価例5に関して、蛍光ピークの強度比I580/I720と、580nmの波長及び720nmの波長の平均蛍光寿命との関係を説明する説明図である。評価例5の実線黒塗の六角形は、580nmの波長の平均蛍光寿命であり、評価例5の破線の六角形は、720nmの波長の平均蛍光寿命を示している。
スサビノリは淡水に浸される580nm付近のピーク強度I580が相対的に増加する。すなわち、スサビノリは淡水などのストレスに反応して蛍光ピークの強度比I580/I720が大きくなる。まず、580nmの蛍光寿命に着目すると、蛍光ピークの強度比I580/I720が増加するにつれて平均蛍光寿命が長くなっている。このことより、本実施形態に係る大型藻類の生育診断装置及び大型藻類の生育診断方法によれば、大型藻類の養殖に用いる水質などの育成環境の劣化の診断が可能であることが分かる。その結果、大型藻類の養殖の漁業従事者は、大型藻類の生育状態の劣化の要因を除去する対応をとることができ、大型藻類の養殖の生産性を向上することができる。
1 大型藻類の生育診断装置
2 制御装置
3 パルス光源
4 検出器
5 分光器
6 表示手段
7 試料
8 計測回路
21 解析手段
22 育成診断結果出力手段
23 記憶手段

Claims (8)

  1. フィコエリスリンの吸収ピーク波長付近の波長を含むパルス励起光を大型藻類の試料に照射するパルス光源と、
    前記パルス励起光が照射された前記大型藻類の試料から放出される蛍光のうち、580nmの波長の蛍光を検出する検出器と、
    蛍光寿命に関する閾値の情報を記憶する記憶手段と、
    前記検出器から出力される出力信号に基づいて、前記580nmの波長の蛍光の平均蛍光寿命を演算する解析手段と、
    前記記憶手段に記憶する前記閾値と比較して、前記解析手段が演算した前記580nmの波長の蛍光の平均蛍光寿命が前記閾値以上である場合に、前記大型藻類の試料が異常である診断結果を出力する育成診断結果出力手段と、
    を備えることを特徴とする大型藻類の生育診断装置。
  2. 前記閾値は、0.3nsである請求項1に記載の大型藻類の生育診断装置。
  3. 前記育成診断結果出力手段は、前記記憶手段に記憶する閾値と比較して、前記解析手段が演算した前記580nmの波長の蛍光の平均蛍光寿命が前記閾値未満である場合に、前記大型藻類の試料が正常である診断結果を出力する請求項1または請求項2に記載の大型藻類の生育診断装置。
  4. 前記記憶手段が前記580nmの波長の平均蛍光寿命と、大型藻類の生育状態の劣化度合いとの相関関係の情報を記憶しており、
    前記育成診断結果出力手段は、前記異常であると診断結果が出力された前記大型藻類の試料の、前記解析手段が演算した580nmの波長の平均蛍光寿命と、前記相関関係の情報とに基づいて、大型藻類の生育状態の劣化度合いを出力する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の大型藻類の生育診断装置。
  5. 前記検出器は、クロロフィル蛍光の波長の蛍光を検出しておき、
    前記記憶手段が前記クロロフィル蛍光の波長の蛍光強度に対する前記580nmの波長の蛍光強度の比と、大型藻類の生育状態の劣化度合いとの相関関係の情報を記憶しており、
    前記解析手段は、前記異常であると診断結果が出力された前記大型藻類の試料の、前記クロロフィル蛍光の波長の蛍光強度に対する前記580nmの波長の蛍光強度の比を演算し、
    前記育成診断結果出力手段は、前記解析手段が演算した蛍光強度の比及び前記相関関係の情報から大型藻類の生育状態の劣化度合いを出力する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の大型藻類の生育診断装置。
  6. フィコエリスリンの吸収ピーク波長付近の波長を含むパルス励起光を大型藻類の試料に照射し、
    前記パルス励起光が照射された前記大型藻類の試料から放出される蛍光を受光し、
    前記蛍光の580nmの蛍光寿命が0.3ns以上である場合、前記大型藻類の試料が異常であることを診断することを特徴とする大型藻類の生育診断方法。
  7. 異常であると診断された前記大型藻類の試料に対して、580nmの波長の平均蛍光寿命に基づいて、大型藻類の生育状態の劣化度合いを診断する、請求項6に記載の大型藻類の生育診断方法。
  8. 異常であると診断された前記大型藻類の試料に対して、前記蛍光のクロロフィル蛍光の蛍光強度に対する前記蛍光の580nmの蛍光強度の比に基づいて、大型藻類の生育状態の劣化度合いを診断する、請求項6に記載の大型藻類の生育診断方法。
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