JP2015048553A - インクジェット捺染用の前処理液、インクジェット捺染用の前処理方法、インクジェット捺染方法 - Google Patents

インクジェット捺染用の前処理液、インクジェット捺染用の前処理方法、インクジェット捺染方法 Download PDF

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Abstract

【課題】臭気の発生が抑制されたインクジェット捺染用の前処理液およびこれを用いた前処理方法、ならびにインクジェット捺染方法を提供することにある。【解決手段】本発明に係るインクジェット捺染用の前処理液は、樹脂エマルジョンと、香料と、を含有し、前記樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量は、1質量%以上20質量%以下である。また、前記樹脂エマルジョンは、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂および酢酸ビニル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット捺染用の前処理液およびこれを用いた前処理方法、ならびにインクジェット捺染方法に関する。
従来から、織物、編物および不織布等の布帛に対して、画像を記録する捺染方法が知られている。捺染方法としては、スクリーン捺染方法が広く用いられているが、近年、捺染に用いるインクを効率良く使用できるという観点などから、インクジェット記録方式の利用が検討されている。具体的には、インクジェット記録方式を利用した捺染方法(以下、「インクジェット捺染方法」ともいう。)では、ヘッドのノズルから液滴状にしたインクを吐出して布帛に付着させることにより、布帛に画像を記録する。
このようなインクジェット捺染において、記録される画像の滲みの抑制や発色性の向上等の観点から、布帛にあらかじめ前処理を行う、いわゆるインクジェット捺染用の前処理方法が知られている。例えば、特許文献1には、多価カチオン塩溶液およびノニオン性ラテックスポリマーを含む前処理溶液で織物を前処理する方法が開示されている。また、特許文献2には、インクを布帛に付与する前に、該布帛に少なくとも合成アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー及びノニオン性界面活性剤を含有する前処理液を付与する方法が開示されている。
特表2010−503779号公報 特開2006−152454号公報
しかしながら、上記の特許文献に記載されているような前処理液を用いる場合、これに含まれる樹脂エマルジョンに含まれる微量な残留モノマーに由来して、臭気が発生することがある。特に、前処理液を噴射(例えばスプレーやインクジェット記録方式等)することで布帛に付着させた場合、前処理液が大気中に飛散しやすくなるので、臭気の問題が顕著となる傾向にある。
本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、臭気の発生が抑制されたインクジェット捺染用の前処理液およびこれを用いた前処理方法、ならびにインクジェット捺染方法を提供することにある。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット捺染用の前処理液の一態様は、
樹脂エマルジョンと、香料と、を含有し、
前記樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量が、1質量%以上20質量%以下である。
[適用例2]
適用例1において、
前記樹脂エマルジョンは、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂および酢酸ビニル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記香料の含有量は、0.00001質量%以上0.05質量%以下であることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか1例において、
前記樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量(M質量%)と、前記香料の含有量(M質量%)と、の比(M/M)が、0.00001以上0.01以下であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量が、3質量%以上16質量%以下であり、
前記樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量(M質量%)と、前記香料の含有量(M質量%)と、の比(M/M)が、0.00005以上0.005以下であることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
さらに、凝集剤を含有することができる。
[適用例7]
適用例6において、
前記凝集剤は、硝酸カルシウムまたは塩化カルシウムを含むことができる。
[適用例8]
本発明に係るインクジェット捺染用の前処理方法の一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか1例に記載の前処理液を噴射して、布帛に付着させる工程を含む。
[適用例9]
本発明に係るインクジェット捺染方法の一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか1例に記載の前処理液を噴射して、布帛に付着させる工程と、
顔料を含有するインクの液滴を記録ヘッドから吐出させて、前記前処理液が付着した前記布帛の領域に該インクの液滴を付着させて、画像を形成する工程と、
を含む。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.インクジェット捺染用の前処理液
本発明の一実施形態に係るインクジェット捺染用の前処理液は、樹脂エマルジョンと、香料と、を含有し、前記樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量が、1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする。
1.1.樹脂エマルジョン
本実施形態に係る前処理液に含まれる樹脂エマルジョンは、樹脂の凝集を効果的に抑制できるとともに、布帛に対する前処理液の定着性を向上させるため、得られる印捺物の耐擦性が良好となる。
また、樹脂エマルジョンは、溶液タイプの樹脂を使用する場合に比べて、同じ固形分濃度を添加した場合でも、前処理液の粘度上昇を抑えることが可能である。前処理液が低粘度であることにより、前処理液の塗布工程において、既存のスプレー法、ローラー法等による簡便な塗布が可能になり、かつ、高固形分量であっても均一に塗り易くなる。これにより、樹脂の耐擦性・耐洗濯性等を向上させる機能が良好に発揮される。
樹脂エマルジョンとしては、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の原料を、公知の手段にしたがってエマルジョン状態にしたものを用いることができる。
上記の樹脂エマルジョンの原料として例示した樹脂の中でも、特にアクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂および酢酸ビニル系樹脂は、残留モノマーに由来する臭気が発生しやすい。しかしながら、本実施形態に係る前処理液によれば、このような臭気の発生しやすい樹脂エマルジョンを使用した場合であっても、臭気の発生を効果的に抑制できる。
アクリル系樹脂としては、少なくとも(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどのアクリル系単量体を重合して得られる重合体の総称であって、例えば、アクリル系単量体から得られる(メタ)アクリル樹脂や、アクリル系単量体とこれ以外の単量体(例えば、アクリルアミド、アクリロニトリル等)との共重合体などが挙げられる。アクリル系樹脂を原料とする樹脂エマルジョンには、市販品を用いてもよく、例えばFK−854(商品名、中央理科工業社製)、モビニール952B、718A(商品名、日本合成化学工業社製)、Nipol LX852、LX874(商品名、日本ゼオン社製)等が挙げられる。
なお、本明細書において、アクリル系樹脂には、後述するスチレンアクリル系樹脂や、酢酸ビニル系樹脂のうち酢酸ビニル単量体とアクリル系単量体とを用いて得られる共重合体を含まない。また、本明細書において、(メタ)アクリルとはアクリルおよびメタクリルの両方を意味する。
スチレンアクリル系樹脂は、スチレン単量体とアクリル系単量体とから得られる共重合体である。スチレンアクリル系樹脂を原料とする樹脂エマルジョンには、市販品を用いても良く、例えば、ジョンクリル7100、390、711、511、7001、632、741、450、840、74J、HRC−1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX−7630A、352J、352D、PDX−7145、538J、7640、7641、631、790、780、7610(商品名、BASF社製)、モビニール966A、975N(商品名 日本合成化学工業社製)等が挙げられる。
ウレタン系樹脂とは、ウレタン結合を有する樹脂の総称である。ウレタン系樹脂には、ウレタン結合以外に、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂等を使用してもよい。ウレタン系樹脂を原料とする樹脂エマルジョンには、市販品を用いてもよく、例えばスーパーフレックス460、460s、840、E−4000(商品名、第一工業製薬社製)、タケラックWS−6021、W−512−A−6(商品名、三井化学ポリウレタン社製)、パーマリンUA−150(商品名、三洋化成工業社製)等が挙げられる。
酢酸ビニル系樹脂とは、単量体として酢酸ビニルを使用して得られる重合体の総称であって、例えば、単量体として酢酸ビニルのみから得られる酢酸ビニル樹脂や、酢酸ビニルとこれ以外の単量体(例えば、エチレン、塩化ビニル、アクリル系単量体等)との共重合体などが挙げられる。酢酸ビニル系樹脂を原料とする樹脂エマルジョンには、市販品を用いてもよく、例えばビニブラン1245L、1225(商品名、日信化学工業社製)、モビニール50M、350、352(商品名、日本合成化学工業社製)等が挙げられる。
樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量(M)は、前処理液の全質量(100質量%)に対して、1質量%以上20質量%以下である必要があるが、1質量%以上16質量%以下であることが好ましく、3質量%以上16質量%以下であることがより好ましい。上記範囲内にあることで、得られる印捺物の耐擦性が良好となり、かつ、臭気の発生を抑制できる。特に、上記Mが3質量%以上であることで、得られる印捺物の耐擦性(耐洗濯性)が一層優れたものとなる。また、上記Mが16質量%以下であることで、樹脂エマルジョンに起因する臭気の発生をより一層抑制できる。一方、樹脂エマルジョンの含有量が1質量%未満であると、樹脂量が少なくなりすぎて、布帛表面を樹脂で覆う効果が不十分となり、印捺物に濃淡ムラが発生したり、印捺物の耐擦性が低下する傾向にある。また、樹脂エマルジョンの含有量が20質量%を超えると、樹脂エマルジョンに起因する臭気を抑制しにくくなる。
1.2.香料
本実施形態に係る前処理液に含まれる香料は、マスキング作用によって、前処理液自体の臭気(特に樹脂エマルジョンに起因する臭気)や、前処理を行う際に発生する臭気(特に樹脂エマルジョンに起因する臭気)を低減できる。
香料としては、上述した樹脂エマルジョンに由来する臭気をマスキングできるものであれば特に限定されるものではなく、天然香料、合成香料のいずれを用いてもよい。このような香料としては、例えば、鎖式有機化合物のうちアルコール,アルデヒド,ケトン類、脂環式化合物のうちアルコール,アルデヒド,ケトン,エステル,エーテル,炭化水素類、テルペン化合物のうちアルコール,アルデヒド,ケトン,エステル,エーテル類、芳香族化合物のうちアルコール,アルデヒド,ケトン,エーテル類などが挙げられる。
鎖式有機化合物のうちアルコール,アルデヒド,ケトン類としては、例えば、炭素数6〜12のアルコール、cis−3−へキセノール、3,3,5−トリメチルへキサノール、炭素数6〜12のアルデヒド、メチルアミルケトンなどが挙げられる。
脂環式化合物のうちアルコール,アルデヒド,ケトン,エステル,エーテル,炭化水素類としては、例えば、p−t−ブチルシクロへキサノール、o−t−ブチルシクロヘキサノール、合成サンダル類、4−(トリシクロ〔5,2,1,02,6〕−デシリデン−8)−ブタナール、2,4−ジメチルシクロへキセ−3−エン−3−カルボアルデヒド、p−t−ブチルシクロへキシルアセテート、o−t−ブチルシクロへキシルアセテート、トリシクロ〔5,2,1,02,6〕−デセ−3−エン−8(または9)−イルアセテート、4−アセトキシ−3−ペンチルテトラヒドロビラン、エチレンブラシレート、o−t−ブチルシクロへキサノン、p−t−アミルシクロへキサノン、2−エチルへキサナールエチレングリコールアセタールなどが挙げられる。
テルペン化合物のうちアルコール,アルデヒド,ケトン,エステル,エーテル類としては、例えば、メントール、リナロール、テルピネオール、シトロネロール、ゲラニオール、ボルネオール、セドロール、ラバンジュロール、2,6−ジメチル−へプタン−2−オール、シトラール、シトロネラール、メトキシシトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、ゲラノキシアセトアルデヒド、4−(4−メチル−3−ペンテニル)−シクロヘキセ−3−エン−1−カルボアルデヒド、2,4,6−トリメチルシクロへキセ−3−エン−1−カルボアルデヒド、iso−ボルニルアセテート、イオノン、メチルイオノン、アセチル、セドレン、2,2,7,7−テトラメチル−2−トリシクロ〔6,2,1,03,8〕−ウンデカン−4−オン、カンファー、メントン、d−リモネン、1−リモネン、p−シメン、β−カリオフィレン、ローズオキサイド、リナロールオキサイド、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフトー〔2,1−b〕−フラン、4−メチレン−1−オキサスピロー〔5,5〕−ウンデカンなどが挙げられる。
芳香族化合物のうちアルコール,アルデヒド,ケトン,エーテル類としては、例えば、フェニルエチルアルコール、アニスアルコール、フェニルエチルジメチルカルビノール、オイゲノール、iso−オイゲノール、シンナミックアルコール、へキシルシンナミックアルデヒド、p−tert−ブチル−2−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、クミンアルデヒド、フェノキシアセトアルデヒド、へリオトロピン、バニリン、p−エチル−2,2−ジメチルヒドロシンナミックアルデヒド、ベンゾフェノン、p−メトキシアセトフェノン、β−メチルナフィチルケトン、オーランチオール、フェニルアセトアルデヒド、ジメチルアセタール、ニトロムスク類、クマリン、イソクマロン系ムスク類、メチルアンスラニレート、iso−ブチルキノリン、p−クレジルメチルエーテル、メチルオイゲノール、アネトールなどが挙げられる。
これらの香料は、単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
香料の含有量(M)は、前処理液の全質量(100質量%)に対して、0.00001質量%以上0.05質量%以下であることが好ましく、0.0001質量%以上0.005質量%以下であることがより好ましく、0.0001質量%以上0.0005質量%以下であることが特に好ましい。上記Mが0.00001質量%以上であることで、香料のマスキング作用が良好に発揮され、上記Mが0.05質量%以下であることで、香料自体の臭いが臭気となって生じることを抑制できる。
前処理液中において、上述した樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量(M質量%)と、香料の含有量(M質量%)と、の比(M/M)は、0.00001以上0.01以下であることが好ましく、0.00005以上0.005以下であることがより好ましく、0.0001以上0.001以下であることがさらに好ましく、0.0003以上0.0005以下であることが特に好ましい。M/Mが上記範囲内にあることで、樹脂エマルジョンと香料の含有量のバランスが良好となり、樹脂エマルジョンに起因する臭気を低減させつつ、香料自体の臭いが臭気となって生じることを抑制できる。
特に、樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量が、3質量%以上16質量%以下であり、かつ、樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量(M質量%)と、香料の含有量(M質量%)と、の比(M/M)が、0.00005以上0.005以下であることが好ましい。これにより、樹脂エマルジョンと香料の含有量のバランスがより一層良好となり、樹脂エマルジョンに起因する臭気を抑制させつつ、香料自体の臭いが臭気となって生じることを抑制できる効果が一層向上する。
1.3.凝集剤
前処理液は、さらに凝集剤を含有することが好ましい。凝集剤は、後述するインクに含まれる樹脂や顔料と反応することで、インクに含まれる顔料を凝集させるという機能を有する。これにより、インクにより形成された画像の発色性が向上する。
凝集剤としては、特に限定されるものではないが、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸等やこれらの塩)、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体、多価金属化合物等が挙げられ、これらの中でも、上記の顔料の凝集作用に一層優れているという点から、多価金属化合物、有機酸を好ましく使用することができ、多価金属化合物をより好ましく使用することができる。
一方、上記の凝集剤の中でも有機酸は、上述した樹脂エマルジョンと同様に、臭気の発生の原因となる場合がある。このような場合であっても、本実施形態に係る前処理液によれば、香料のマスキング作用によって臭気の発生を抑制できる。
多価金属化合物としては、以下に限定されないが、例えば、チタン化合物、クロム化合物、銅化合物、コバルト化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、及びマグネシウム化合物、並びにこれらの塩(多価金属塩)が挙げられる。これら多価金属化合物の中でも、顔料を効果的に凝集させることができるため、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、及びマグネシウム化合物、並びにこれらの塩からなる群より選択される一種以上が好ましく、カルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属の解離性塩がより好ましく、カルシウム塩及びマグネシウム塩のうち少なくともいずれかがさらに好ましく、カルシウム塩がさらにより好ましい。なお、多価金属化合物はイオン性のものが好ましい。
特に、上記多価金属化合物がカルシウム塩である場合、前処理液の安定性がより良好となり、かつ、前処理後の布帛をヒートプレスした場合に布帛表面に多価金属化合物(カルシウム塩)が析出しにくくなる。
上記の多価金属化合物の具体例としては、重質炭酸カルシウム及び軽質炭酸カルシウムといった炭酸カルシウム、チョーク、カオリン、焼成クレー、タルク、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、セリサイト、ホワイトカーボン、サポナイト、カルシウムモンモリロナイト、ソジウムモンモリロナイト、及びベントナイト等の無機顔料、並びにアクリル系プラスチックピグメント、及び尿素高分子物質などの有機顔料が挙げられる。これらの中でも、水への十分な溶解性を確保でき、かつ、前処理の跡残りが低減する(跡が目立たなくなる)ため、硝酸カルシウム及び塩化カルシウムのうち少なくともいずれかが好ましく、硝酸カルシウムがより好ましい。
凝集剤として多価金属化合物を使用する場合には、多価金属化合物に含まれる金属イオンの含有量、即ち多価金属化合物に由来する金属イオン濃度は、前処理液の全質量(100質量%)に対して、1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上4.5質量%以下であることがより好ましい。当該濃度が上記範囲内であると、印捺物の隠蔽性が十分なものとなり、かつ、前処理液の跡が目立たなくなる。
1.4.その他の成分
前処理液は、上記以外の成分を含有してもよい。このような成分としては、例えば、界面活性剤、糊剤、水、pH調製剤、防腐剤・防かび剤等が挙げられる。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、及びポリシロキサン系界面活性剤のうち少なくともいずれかが好ましい。前処理液がこれらの界面活性剤を含むことにより、布帛に付着した前処理液の乾燥性が良好となる。これらの中でも、前処理液への溶解性が良好となるため、ポリシロキサン系界面活性剤がより好ましい。
上記のアセチレングリコール系界面活性剤及びアセチレンアルコール系界面活性剤としては、以下に限定されないが、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキシド付加物、並びに2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール、及び2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。これらは、オルフィン104シリーズやオルフィンE1010等のEシリーズ(エアプロダクツ社製商品名)、サーフィノール465やサーフィノール61(日信化学工業社製商品名)等の市販品として入手可能である。
また、ポリシロキサン系界面活性剤としては、以下に限定されないが、例えば、BYK−347、BYK−348(ビックケミー・ジャパン社製商品名)が挙げられる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。界面活性剤の含有量は特に制限されないが、前処理液の全質量(100質量%)に対して、0.05質量%以上0.5質量%以下であるとよい。
<糊剤>
糊剤としては、以下に限定されないが、例えば、トウモロコシ及び小麦などのデンプン物質、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロース等のセルロース系物質、アルギン酸ナトリウム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラントガム、グアーガム、及びタマリンド種子などの多糖類、ゼラチン及びカゼイン等のタンパク質、タンニン及びリグニン等の天然水溶性高分子、並びにポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル酸系化合物、及び無水マレイン酸系化合物などの合成の水溶性高分子が挙げられる。
糊剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。糊剤の含有量は特に制限されないが、前処理液の全質量(100質量%)に対して、20質量%以下であるとよい。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
<防腐剤・防かび剤>
防腐剤・防かび剤としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジンチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBND、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等が挙げられる。
<水>
水は、前処理液の主となる媒体であり、乾燥により蒸発飛散する成分である。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加などによって滅菌した水を用いると、インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。水の含有量としては、特に限定されるものではないが、前処理液の全質量(100質量%)に対して、例えば50質量%以上であることができる。
1.5.前処理液の物性
本実施形態に係る前処理液の20℃における粘度は、スプレー法を使用した場合におけるノズルからの吐出性が向上したり、ローラー等の使用した場合における塗布性が向上するという観点から、30mPa・s以下であることが好ましく、25mPa・s以以下であることがより好ましく、20mPa・s以下であることがさらに好ましく、15mPa・s以下であることが特に好ましく、10mPa・s以下であることが一層好ましく、5mPa・s以下であることがより一層好ましい。下限は限られるものではないが1mPa・s以上であることが好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
2.インクジェット捺染用の前処理方法
上記の前処理液は、インクジェット捺染の前処理、すなわちインクジェット捺染によってインクを布帛に付着させる領域に、あらかじめ付着させるために使用される。これにより、インクジェット捺染により形成される画像の発色性や定着性(耐擦性)を向上できる。特に、上記の前処理液は、白色顔料を凝集させる効果に優れているため、白色顔料を含有するインクを使用した際の布帛の隠蔽性が優れたものとなる。
ここで、インクジェット捺染用の前処理方法で用いられる布帛は、特に限定されないが、天然繊維(例えば、絹、綿、羊毛)または合成繊維(例えば、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル、レーヨン等)を用いて製造される織物、編み物および不織布等を使用できる。これらのうち、高温下でのインクの定着に耐えられるため、綿が好ましい。
以下、本実施形態に係るインクジェット捺染用の前処理方法について、工程毎に説明する。
<前処理液の付着工程>
インクジェット捺染用の前処理方法は、上記の前処理液を布帛に付着させる工程(以下、「前処理液の付着工程」ともいう。)を含む。
前処理液を付着させる方法としては、例えば、前処理液中に布帛を浸漬させる方法や、前処理液をロールコーター等で塗布する方法や、前処理液を噴射する方法等が挙げられ、いずれの方法も使用できる。
ここで、前処理液を噴射する方法を採用した場合、前処理液が大気中に飛散しやすくなるので、上述した臭気の問題が生じやすくなる。しかし、本実施形態に係るインクジェット捺染用の前処理方法は、上述した前処理液を使用するので、前処理液に起因する臭気の発生を良好に抑制できる。したがって、本実施形態に係るインクジェット捺染用の前処理液は、これを噴射させて布帛に付着させる方法に用いられた場合に、優れた効果を発揮する。
前処理液の噴射は、スプレー式、インクジェット式など採用した噴射装置を使用して行うことができ、いずれの場合も布帛に対して非接触で行われる。噴射装置の中でも、スプレー式の噴射装置は、前処理液を多く付着させることが容易となるので好ましく用いることができる。
また、スプレー式の噴射装置は、インクジェット式の噴射装置と比較して、前処理液が大気中に飛散する範囲が広くなるので、臭気の発生が顕著になることがあるが、上記の前処理液を使用することで、このような不具合を効果的に抑制できる。したがって、本実施形態に係るインクジェット捺染用の前処理液は、これを噴射させて布帛に付着させる方法に用いられた場合に、一層優れた効果を発揮する。
布帛1m当たりの前処理液の付着量は、100g/m以上800g/m以下であることが好ましく、150g/m以上600g/m以下であることがより好ましい。前処理液の付着量が100g/m以上であることで、インクの定着性や発色性が良好となる。また、前処理液の付着量が800g/m以下であることで、布帛に付着した前処理液の乾燥速度が良好となるので、前処理の高速化を実現できる。
<前処理液の乾燥工程>
インクジェット捺染用の前処理方法は、前処理液の付着工程の後、布帛に付着した前処理液を乾燥させる工程(以下、「前処理液の乾燥工程」ともいう。)をさらに含んでいてもよい。
前処理液の乾燥工程は、自然乾燥で行ってもよいが、乾燥速度の向上や、前処理液に含まれる樹脂成分の布帛に対する融着を促進するという観点から、加熱を伴う乾燥であることが好ましい。
前処理液の乾燥工程において加熱を伴う場合において、その加熱方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヒートプレス法、常圧スチーム法、高圧スチーム法、及びサーモフィックス法が挙げられる。また、加熱の熱源としては、以下に限定されないが、例えば赤外線(ランプ)が挙げられる。
前処理液の乾燥工程において加熱を伴う場合には、その加熱処理は、これに限定されるものではないが、好ましくは110℃以上200℃以下、より好ましくは120℃以上180℃以下の加熱温度で、2分以下の加熱時間で行うとよい。加熱温度が110℃以上であると、前処理液の定着性が向上する傾向にある。また、加熱温度が200℃以下であると、布帛の劣化や樹脂エマルジョン等の前処理液に含まれる成分の劣化を効果的に抑制できる。
本実施形態に係るインクジェット捺染用の前処理方法によれば、上述の前処理液を使用するので、加熱を伴う前処理液の乾燥工程における臭気の発生を抑制することができる。
3.インクジェット捺染方法
3.1.捺染方法
本実施形態に係るインクジェット捺染方法は、上述の前処理方法を含むものである。具体的には、上述の前処理方法を実施した後に、顔料を含有するインクの液滴を記録ヘッドから吐出させて、前記前処理液が付着した前記布帛の領域に該インクの液滴を付着させて、画像を形成する工程(以下、「画像形成工程」ともいう。)を含むものである。
インクジェット捺染方法では、後述するインクを、インクジェット記録装置に装填して使用する。当該インクジェット記録装置としては、特に限定されないが、例えばドロップオンデマンド型のインクジェット記録装置が挙げられる。このドロップオンデマンド型のインクジェット記録装置には、記録ヘッドに配設された圧電素子を用いて記録を行う圧電素子記録方法を採用した装置、及び記録ヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギーを用いて記録を行う熱ジェット記録方法を採用した装置などがあり、いずれの記録方法を採用したものでもよい。
<画像形成工程>
画像形成工程は、顔料を含有するインクの液滴を記録ヘッドから吐出させて、前記前処理液が付着した前記布帛の領域に、該液滴を付着させて画像を形成する工程である。これにより、布帛に画像が形成された印捺物が得られる。
ここで、明度の低い布帛(例えば黒色や濃紺の布帛)を使用する場合には、画像形成工程は、前処理液が付着した布帛の領域に白色顔料を含む白色インクの液滴を付着させて白色画像を形成する工程と、白色画像上にカラー顔料を含むカラーインクの液滴を付着させてカラー画像を形成する工程と、を含むことが好ましい。このように、明度の低い布帛を使用する場合に、白色画像を形成することで、カラー画像の視認性を高めることができる。
なお、本明細書において、「明度の低い布帛」とは、CIELAB色空間において定義されるL値(明度)が50以下である布帛のことをいう。なお、L値は、例えばGretag Macbeth Spectrolino(商品名、X−RITE社製)等に準ずる測色機を用いて測定できる。また、CIELAB色空間とは、国際照明委員会(Commission Internationale de l’Eclairage:略称CIE)が1976年に推奨した近似的な均等色空間のことであり、同委員会では、これをCIE1976(L)と呼ぶものである。
<画像の乾燥工程>
本実施形態に係るインクジェット捺染方法は、上記の画像形成工程の後、画像を乾燥させる工程(以下、「画像の乾燥工程」ともいう。)をさらに含んでいてもよい。
画像の乾燥工程は、自然乾燥で行ってもよいが、乾燥速度の向上や、インクに含まれる樹脂成分等の皮膜化を促進するという観点から、加熱を伴う乾燥であることが好ましい。加熱を伴う乾燥を行うことで、印捺物の耐擦性を一層優れたものとすることができる。
画像の乾燥工程において加熱を伴う場合には、その加熱方法としては、特に限定されるものではないが、上述した前処理液の乾燥工程で例示した方法が挙げられる。
画像の乾燥工程において加熱を伴う場合には、その加熱処理は、これに限定されるものではないが、例えば150℃以上200℃以下とすることができる。
画像の乾燥工程の後に、印捺物を水洗し、乾燥する工程を行ってもよい。このとき、必要に応じてソーピング処理、即ち未固着の顔料を熱石鹸液などで洗い落とす処理を行ってもよい。これにより画像の発色性などが高まる場合がある。
3.2.インク
次に、本実施形態に係るインクジェット捺染方法で使用するインクに含まれ得る成分について説明する。
<顔料>
インクジェット捺染方法に使用するインクは、少なくとも顔料を含有する。顔料としては、有機顔料および無機顔料のいずれも使用することができ、いずれの色の顔料も使用できる。
例えば、白色系の顔料としては、以下に限定されないが、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、及び酸化ジルコニウム等の白色無機顔料等が挙げられる。当該白色無機顔料以外に、白色の中空樹脂粒子及び高分子粒子などの白色有機顔料を使用することもできる。
また、本実施形態に係るインクは、白色系の顔料以外の顔料を含有してもよい。白色系の顔料以外の顔料とは、上述した白色系の顔料を除く顔料のことをいい、例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン等のカラー顔料を挙げられる。このような白色系の顔料以外の顔料としては、以下に限定されないが、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、及びニトロソ系などの有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等)、コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、及びニッケル等の金属類、金属酸化物及び硫化物、並びにファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、及びチャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、さらには黄土、群青、及び紺青等の無機顔料を用いることができる。
以上述べた顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係るインクに含まれる顔料の含有量は、使用する顔料種により異なるものの良好な発色性を確保することなどから、インクの全質量(100質量%)に対して、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上13質量%以下がさらに好ましい。
顔料は、インク中での分散性を高めるという観点から、表面処理を施した顔料であってもよいし、分散剤等を利用した顔料であってもよい。
表面処理を施した顔料とは、物理的処理または化学的処理によって顔料表面に親水性基(カルボキシル基、スルホン酸基等)を、直接または間接的に結合させて水性溶媒中に分散可能としたものである(以下、「自己分散型の顔料」ともいう。)。
また、分散剤を利用した顔料とは、界面活性剤や樹脂により顔料を分散させたものであり(以下、「ポリマー分散型顔料」ともいう。)、界面活性剤や樹脂としてはいずれも公知の物質を使用することが可能である。また、「ポリマー分散型顔料」の中には、樹脂により被覆された顔料も含まれる。樹脂により被覆された顔料は、酸析法、転相乳化法、及びミニエマルション重合法などにより得ることができる。
<樹脂>
本実施形態に係るインクは、樹脂を含有してもよい。樹脂を含有することにより、インクと布帛の密着性を向上できるので、記録される画像の耐擦性を向上できる。
樹脂は、皮膜の耐擦性、密着性、インクの保存安定性を向上できる等の観点から、エマルジョンであることが好ましい。本実施形態に係るインクに含まれる樹脂は、水に安定に分散させるために必要な親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよいが、上述した前処理液に含まれる多価金属化合物との反応を阻害しないという観点から、乳化剤を含まない自己乳化型の分散体(自己乳化型のエマルジョン)であることが好ましい。
樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等を用いることができる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これらの中でも、設計の自由度が高く、それゆえ所望の皮膜伸度を得やすいことから、ウレタン系樹脂およびアクリル系樹脂から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、ウレタン系樹脂を用いることがより好ましい。
ウレタン系樹脂としては、ウレタン骨格を有し水分散性を有するものであれば特に限定はされず、例えば、スーパーフレックス 460、460s、840(商品名、第一工業製薬株式会社製)、レザミン D−1060、D−2020、D−4080、D−4200、D−6300、D−6455(商品名、大日精化工業株式会社製)、タケラック WS−6021、W−512−A−6(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製)、サンキュアー2710(商品名、LUBRIZOL社製)、などの市販品を用いてもよい。
また、ウレタン系樹脂は、インクの保存安定性の観点や、上述した前処理液に多価金属化合物を含む場合にこれとの反応性を向上させるという観点から、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等のアニオン性の官能基を有する、アニオン性のウレタン系樹脂であることが好ましい。上述の市販品のうち、アニオン性のウレタン系樹脂としては、第一工業製薬(株)製のスーパーフレックス460、460s、840等;三井化学ポリウレタン(株)製のタケラックWS−6021、W−512−A−6等が挙げられる。
また、ウレタン系樹脂としては、ウレタン結合以外に、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂、などを使用できる。これらのウレタン樹脂は、複数種を組み合わせて使用することができる。
樹脂の含有量は、インクの全質量(100質量%)に対して、固形分換算で、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上13質量%以下であることがより好ましい。インク中における樹脂の含有量が上記範囲内、とりわけ下限を下回らずにあることで、樹脂がインクの定着性を向上させる効果を十分に発揮できるので、記録される画像の耐擦性が向上する。また、上限を超えずにあることで、樹脂に起因する凝集物の発生が抑制できるので、インクの保存安定性や吐出安定性が優れたものとなる。
<水>
本実施形態に係るインクは、水を含有してもよい。水は、インクの主となる媒体であり、乾燥により蒸発飛散する成分である。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加などによって滅菌した水を用いると、インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。インクに含まれる水の含有量としては、特に限定されるものではないが、インクの全質量(100質量%)に対して、例えば50質量%以上であることができ、さらには50質量%以上95質量%以下であることができる。
<有機溶剤>
有機溶剤としては、例えば、2−ピロリドン系溶剤、1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
2−ピロリドン系溶剤とは、2−ピロリドン骨格を有する化合物のことをいい、例えば2−ピロリドン(すなわち、置換基を有していないもの)の他に、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等の置換基を有する化合物を用いることができる。置換基は炭素数1〜5の、飽和あるいは不飽和の炭化水素基などの有機基が好ましい。これらの中でも、インクの保存安定性および凝集物の発生を抑制できるという効果に一層優れているという観点から、2−ピロリドンを用いることが好ましい。
2−ピロリドン系溶剤の含有量は、インクの全質量(100質量%)に対して、0.9質量%以上8.1質量%以下であることが好ましく、1質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。2−ピロリドン系溶剤の含有量が上記範囲内、とりわけ下限を下回らずにあることで、樹脂に起因する凝集物の発生を十分に抑制できる。また、上限を超えずにあることで、インクの粘度を適正な範囲にすることができるので、インクの吐出安定性が良好になる。
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。1,2−アルカンジオール類は、布帛等の記録媒体に対するインクの濡れ性を高めて均一に濡らす作用に優れているため、滲みの少ない画像を記録できる。1,2−アルカンジオール類を含有する場合には、その含有量は、インクの全質量(100質量%)に対して、1質量%以上20質量%以下であることができる。
多価アルコール類とは、上記の1,2−アルカンジオール類以外の多価アルコールのことをいい、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール類は、ヘッドのノズル面におけるインクの乾燥固化を抑制して目詰まりや吐出不良等を低減できるという観点から好ましく用いることができる。多価アルコール類を含有する場合には、その含有量が、インクの全質量(100質量%)に対して、2質量%以上20質量%以下であることができる。
グリコールエーテル類としては、例えば、アルキレングリコールモノエーテルや、アルキレングリコールジエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
グリコールエーテル類は、記録媒体に対するインクの濡れ性や浸透速度を制御できるため、鮮明な画像を記録することができる。グリコールエーテル類を含有する場合には、インクの全質量(100質量%)に対して、0.05質量%以上6質量%以下であることができる。
<界面活性剤>
界面活性剤は、表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、およびフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、BYK社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
<pH調整剤>
本実施形態に係るインクは、pH調製剤を含有してもよい。pH調製剤には上述した前処理液で例示したものと同様のものを使用できるので、その説明を省略する。
<防腐剤・防かび剤>
本実施形態に係るインクは、防腐剤・防かび剤を含有してもよい。防腐剤・防かび剤には上述した前処理液で例示したものと同様のものを使用できるので、その説明を省略する。
<インクの物性>
本実施形態に係るインクは、画像品質とインクジェット用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態に係るインクの20℃における粘度は、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
4.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
4.1.前処理液の調製
表1に示す配合量で、多価金属化合物、樹脂エマルジョン、香料、界面活性剤、イオン交換水等を総量が100質量%となるように混合し、十分に攪拌して、実施例および比較例に係る前処理液を得た。
なお、表1で示した主な成分は、次の通りである。
<多価金属化合物>
・硝酸カルシウム四水和物(カルシウムイオン濃度:17.0質量%)
・塩化カルシウム二水和物(カルシウムイオン濃度:27.2質量%)
<樹脂エマルジョン>
・ビニブラン1245L(商品名、日信化学工業社製、酢酸ビニル−アクリル系樹脂エマルジョン、固形分40%)
・FK−854(商品名、中央理化工業社製、アクリル系樹脂エマルジョン、固形分40%)
・スーパーフレックスE−4000(商品名、第一工業製薬社製、ウレタン系樹脂エマルジョン、固形分45%)
・モビニール966A(商品名、日本合成化学工業社製、スチレンアクリル系樹脂エマルジョン、固形分45%)
・アロンA−10H(商品名、東亞合成社製、水溶液タイプのアクリル系樹脂、固形分26%)
<香料>
・バニリン(東京化成工業社製)
・ゲラニオール(東京化成工業社製)
・メントール(東京化成工業社製)
<界面活性剤>
・BYK−348(商品名、BYK社製、ポリシロキサン系界面活性剤)
Figure 2015048553
4.2.インクの調製
表2に示す配合量で、二酸化チタンスラリー、樹脂、有機溶剤、界面活性剤およびイオン交換水等を総量が100質量%となるように混合し、十分に攪拌した。その後、孔径5μmの金属フィルターにてろ過して、真空ポンプで減圧することで脱気処理を行い、白色インクW1を得た。
なお、表2で示した成分のうち、化合物名以外で記載した成分は、次の通りである。
<顔料>
・二酸化チタンスラリー(商品名「NanoTek(R)Slurry」、シーアイ化成社製、二酸化チタン固形分20%、平均粒子径250nm)
<樹脂>
・タケラックWS−6021(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製、アニオン性のエーテル系ウレタン樹脂エマルジョン、自己乳化タイプ、固形分30%)
<界面活性剤>
・BYK−348(商品名、BYK社製、ポリシロキサン系界面活性剤)
Figure 2015048553
4.3.評価試験
4.3.1.臭気の評価
市販のTシャツ生地(HANES社製のヘビーウェイト、綿100%の黒色生地)を用意し、これに各前処理液を、A4サイズあたり30gの付着量になるように電動スプレーを用いて均一に塗布した。塗布後、ヒートプレス機にて160℃で1分間熱処理を行った。
このとき、スプレーによる前処理液の付着作業中に、電動スプレーの周囲1mの領域において、臭気の官能評価を行った。具体的には、評価者10人による官能性試験として、以下の6段階での臭気判定を実施し、その平均値を用いて判断した。平均値で、0〜2.0が臭気の良好なレベル(A)、2.1〜3.0を中程度のレベル(B)、3.1〜5.0を臭気大により不快なレベル(C)と判断した。
(評価点 臭気レベル)
0:無臭
1:わずかに感知できる臭気
2:弱い臭いとして感知できる臭気 (不快でないレベル)
3:中程度の臭いとして感知できる臭気 (やや不快なレベル)
4:強い臭いとして感知できる臭気 (不快なレベル)
5:強烈な臭気 (非常に不快なレベル)
4.3.2.印捺物均一性の評価
上記の「4.3.1.臭気の評価」で得られた前処理が行われた布帛に対して、インクジェットプリンター(商品名「PX−G930」、セイコーエプソン社製)を用いたインクジェット法により、上記の白色インクW1を塗布した。印刷パターンは、1440×1440dpiの解像度とし、ベタ印字が4回重なる条件で印刷を行った。印捺後の布帛を、ヒートプレス機を用いて160℃で1分間熱処理を行い、白色インクを布帛に定着させ、白色インクで印捺された布帛を得た。
白色インク印捺後の布帛に対して、印刷パターンの均一性を、以下の指標を用いて、目視にて判断した。
A:印捺パターンの中に、濃淡ムラがない、または極わずかであり、気にならないレベル。
B:印捺パターンの中に、濃淡ムラが中程度にある。
C:印捺パターンの中に、濃淡ムラが多く目立ち、均一性に劣る。
4.3.3.耐洗濯性(耐擦性)の評価
東芝製の全自動洗濯機(AW−424V6型)を用いて、上記「4.3.2.印捺物均一性の評価」で得られた各印捺物を5回洗濯した。その後の印捺部の表面状態を目視で観察し、以下の基準に従って判断した。
A:印捺物の塗膜が剥がれていない。
B:印捺物の塗膜の極一部が剥がれ、わずかに生地が見えている。
C:印捺部の塗膜が大きく剥がれ、生地の色が見えている。
4.4.評価結果
上記の評価試験の結果を表1に併せて示す。
表1に示すように、実施例に係る前処理液を使用すれば、臭気の発生を抑制でき、印捺物の均一性および耐洗濯性が良好であることが示された。
特に、樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量が3質量%以上16質量%以下であり、かつ樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量(M質量%)と、香料の含有量(M質量%)と、の比(M/M)が0.00005以上0.005以下であることで、臭気の発生の抑制、印捺物の均一性および耐洗濯性の効果が一層向上することが示された(実施例1、4〜9、11、13、14)。
一方、比較例1に係る前処理液は、香料を含有していないので、樹脂エマルジョンに起因する臭気が発生した。
また、比較例2に係る前処理液は、樹脂エマルジョンの含有量が少なかったため、香料を含有していなくても臭気が発生しなかった。しかし、樹脂エマルジョンの含有量が少なすぎて、印捺物の均一性および耐洗濯性が悪化することが示された。
比較例3に係る前処理液は、香料および樹脂エマルジョンを含有するが、樹脂エマルジョンの含有量が多すぎたために、臭気の発生を抑制することができなかった。
比較例4に係る前処理液は、樹脂エマルジョンに代えて溶液タイプの樹脂を含有する。そのため、前処理液の粘度が高くなりすぎて、電動スプレーのノズルから噴霧できなかった。したがって、各種評価試験を実施できなかった。なお、比較例4に係る前処理剤の20℃での粘度は、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて測定したところ、5000mPa・s以上であった。また、比較例4に係る前処理液をローラーにて代用し塗布することで他の例と同様に耐洗濯性の評価を行ったところ、Cの評価であった。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (9)

  1. 樹脂エマルジョンと、香料と、を含有し、
    前記樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量が、1質量%以上20質量%以下である、インクジェット捺染用の前処理液。
  2. 請求項1において、
    前記樹脂エマルジョンは、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂および酢酸ビニル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む、インクジェット捺染用の前処理液。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記香料の含有量は、0.00001質量%以上0.05質量%以下である、インクジェット捺染用の前処理液。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
    前記樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量(M質量%)と、前記香料の含有量(M質量%)と、の比(M/M)が、0.00001以上0.01以下である、インクジェット捺染用の前処理液。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量が、3質量%以上16質量%以下であり、
    前記樹脂エマルジョンの固形分換算における含有量(M質量%)と、前記香料の含有量(M質量%)と、の比(M/M)が、0.00005以上0.005以下である、インクジェット捺染用の前処理液。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
    さらに、凝集剤を含有する、インクジェット捺染用の前処理液。
  7. 請求項6において、
    前記凝集剤は、硝酸カルシウムまたは塩化カルシウムを含む、インクジェット捺染用の前処理液。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の前処理液を噴射して、布帛に付着させる工程を含む、インクジェット捺染用の前処理方法。
  9. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の前処理液を噴射して、布帛に付着させる工程と、
    顔料を含有するインクの液滴を記録ヘッドから吐出させて、前記前処理液が付着した前記布帛の領域に該インクの液滴を付着させて、画像を形成する工程と、
    を含む、インクジェット捺染方法。
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